JPH0220462Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は増圧プランジヤ式燃料噴射装置に関す
るものである。

〔従来の技術〕

第１図は従来の一般的な増圧プランジヤ式燃料
噴射装置を示している。

１は燃料タンク２から燃料油を増圧プランジヤ
３の燃料室４およびシリンダ室７に圧送する燃料
ポンプであり、その送油経路中には燃料油圧を一
定に保持するためのアキユムレータ１３およびレ
ギユレータ１４とが設けられている。また、前記
燃料ポンプ１とシリンダ室７との間には切換弁で
あるスプール弁５が設けられている。このスプー
ル弁５は、ソレノイド１０の作用によりスプール
１１を移動させて、噴射行程では増圧プランジヤ
３のシリンダ室７を前記燃料ポンプ１に接続し、
計量行程においては増圧プランジヤ３のシリンダ
室７を還流管８に接続するものである。この還流
管８の途中にはこの管路を流れる燃料油の量を計
量する為の電磁弁９が設けられている。

前記計量行程では、増圧プランジヤ３のプラン
ジヤ６が、燃料ポンプ１から逆止弁１５を介して
燃料室４に送られる燃料油により上昇し、増圧プ
ランジヤ３のシリンダ室７の燃料油をスプール弁
５を介して計量用電磁弁９の設けられた還流管８
から燃料タンク２に戻すようになつている。そし
て、設定時間後に前記電磁弁９を遮断することに
よつてこの還流管８を流れる燃料油の量、すなわ
ち前記燃料室４に入る燃料油の量を計量してい
る。

計量完了後の噴射行程では、ソレノイド１０の
働きによつてスプール１１が切り換えられ、燃料
ポンプ１からの燃料油が増圧プランジヤのシリン
ダ室７に導入されて大径のプランジヤ６ａに作用
し、小径のプランジヤ６ｂによつて高圧化した燃
料室４の燃料が燃料噴射ノズル１２から噴射され
る。

このような液圧（燃料油圧）を利用した燃料噴
射装置では、燃料噴射量の制御、すなわち増圧プ
ランジヤの燃料室４に入る燃料油量の制御は重要
な要因となつている。

しかしながら、前記第１図の燃料噴射装置のよ
うに、還流管８に設置された電磁弁９の開弁時間
で燃料油量の制御を行うものにおいては、スプー
ル弁５に燃料漏れがあるために正確に燃料の量を
計量することができないという問題がある。この
問題を解決するためには、スプール弁５と増圧プ
ランジヤ３との間の管路に計量用電磁弁９を設置
すれば良いのであるが、この管路は増圧プランジ
ヤ３により高圧となる管路であるので、電磁弁に
は高速、高圧のものを使用せねばならず、その製
作は困難なため、実現性がなかつた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は前記従来の増圧プランジヤ式燃
料噴射装置の計量装置の問題点を解消し、計量時
にはスプール弁からの燃料の漏れがなく、噴射時
には計量用電磁弁に高圧の燃料油圧のかからない
優れた増圧プランジヤ式燃料噴射装置を提供する
ことである。

〔目的を達成するための手段〕

前記目的を達成するため、本考案の増圧プラン
ジヤ式燃料噴射装置は、燃料ポンプと連結する切
換用スプール弁と増圧プランジヤのシリンダ室と
の間に、第１の逆止弁を設け、前記シリンダ室と
燃料タンクとを結ぶ排出管に計量用電磁開閉弁と
その下流側に絞りとを設け、前記増圧プランジヤ
の大径プランジヤの下死点到達時に前記シリンダ
室と連通するスピルポートを第２の逆止弁を介し
て前記絞りと前記電磁開閉弁との間に接続したこ
とを特徴としている。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図について説明する
が、第１図の従来例と同一構成部品については同
一符号を付すものとする。

第２図は本考案の燃料噴射装置の一実施例の概
略構成図であり、同装置の噴射行程が終了した状
態を示している。本考案では燃料油の計量を還流
管８を介しては行わず、増圧プランジヤ３のシリ
ンダ室７から排出される燃料油は切換用スプール
弁５を通らないようにしている。

このために、本考案ではスプール弁５とシリン
ダ室７とを結ぶ作動油供給管１６の途中に第１の
逆止弁１７が設けられている。

そして、前記シリンダ室７の頂部７ａには排出
口３ａが設けられ、排出口３ａは燃料排出管１８
にて計量用電磁開閉弁２０を介して燃料タンク２
に連絡されている。

この実施例の電磁開閉弁２０には、そのケーシ
ング２１内に燃料油（作動油）の流入口２２と流
出口２３に連通する燃料溜り２４とばね室２９と
があり、これらの間には鉄製のロツド２６がその
隔壁を貫いてシール性良く、かつ移動自在に設け
られている。そして、前記ロツド２６の燃料溜り
２４内の端部には弁体２５が一体的に取付けら
れ、これはばね室２９内に設けられたばね２８に
付勢されて、燃料溜り２４の流出口２３をシール
している。また、前記ばね室２９の周囲にはソレ
ノイド２７が環装されており、このソレノイド２
７は通電状態で前記ロツドをばね２８に抗してば
ね室２９内に引き込むように作用するものであ
る。さらに、前記弁体２５の流入口２２側と流出
口２３側のロツド２６の軸線方向の受圧面積は等
しくなるように形成しておく。

さらに、本考案では前記シリンダ室７の側壁７
ｂに、シリンダ室７内を摺動する大径のプランジ
ヤ６ａが下死点に達した時、すなわち増圧プラン
ジヤ３が噴射行程を終えた時に開口するスピルポ
ート３ｂが設けられている。このスピルポート３
ｂは、スピルポート３ｂ側への流通を阻止する第
２の逆止弁３１を備えた調圧室１９にて前記電磁
弁２０の流出口２３の下流側近傍に、シリンダ室
７内の液圧が一時的に加わるように接続されてい
る。

また、前記実施例では、前記調圧室１９は電磁
開閉弁２０の流出口２３に接続する燃料排出管１
８の流出口２３の近傍に接続されており、シリン
ダ室７内の液圧が一時的に電磁開閉弁２０の弁体
２５の流出口２３側に加わるように、前記調圧管
１９の排出管１８への接続点より燃料タンク２側
に絞り３２が設けられている。

以上のように構成されたこの実施例の増圧プラ
ンジヤ式燃料噴射装置では、噴射行程で増圧プラ
ンジヤ３のプランジヤ６がスプール弁５を介して
燃料ポンプ１から送られてくる燃料油（作動油）
の液圧により下降し、燃料室４内の燃料油を噴射
ノズル１２から噴射し終えると、スピルポート３
ｂが開口する。すると、シリンダ室７の燃料油の
液圧は、第２の逆止弁３１を備えた調圧管１９に
より電磁開閉弁２０の弁体２５の流出口２３側に
伝わる。この液圧は排出管１８に設けられた絞り
３２の作用によりそのまま弁体２５の流出口２３
側に作用する。一方、前記噴射行程中は、シリン
ダ室７内の燃料油の液圧は排出口３ａ、排出管１
８により電磁開閉弁２０の燃料溜り２４に伝わつ
ている。従つて、弁体２５の流入口２２側にはシ
リンダ室７内の燃料油の液圧が作用している。

以上のことより噴射行程が終了し、増圧プラン
ジヤ３のプランジヤ６が下死点に達し時には、電
磁開閉弁２０の弁体２５の流入口２２側と流出口
２３側とには同圧の液圧が加わることになる。前
述のように弁体２５はその流入口２２側と流出口
２３側の軸線方向の受圧面積が等しいので、この
時点ではロツド２６の軸線方向にはばね２８の付
勢力以外の力は作用していない。

従つて、この弁体２５を開弁させるためには、
ばね２８の付勢力に打ち勝つだけの吸引力をソレ
ノイド２４が備えていれば良く、ソレノイド２４
を必要以上に大きくすることはなく、小型化を図
ることができる。

ソレノイド２７に通電して電磁開閉弁２０を開
弁させ、さらにスプール弁５のソレノイド１０に
も通電してスプール弁５を切り換えると、この実
施例の燃料噴射装置は噴射行程から計量行程に切
り換わり、燃料ポンプ１からの燃料油が第３の逆
止弁１５を経て増圧プランジヤ３の燃料室４に導
入される。この燃料油によりプランジヤ６が上昇
し、スピルポート３ｂを閉じると共に、シリンダ
室７内の燃料油を排出口３ａ→排出管１８→流入
口２２→燃料溜り２４→流出口２３→排出管１８
→燃料タンク２の経路で燃料タンク２に戻す。

この時、シリンダ室７から排出される燃料油
は、第２の逆止弁３１の働きにより調圧管１９を
逆流することがなく、決して増圧プランジヤ３に
は流入しないので、全量漏れなく燃料タンク２に
戻される。従つて、電磁開閉弁２０の開弁時間
（ソレノイド２７への通電時間）の調節によりシ
リンダ室から排出された燃料油の量、すなわち燃
料室４に導入された燃料油の量が正確に計量でき
る。

燃料室４内の燃料油が必要噴射量に達した時点
で、電磁開閉弁２０への通電を停止し、同時にス
プール弁５に通電してこれを切り換えれば、計量
行程から噴射行程に移行する。噴射行程では燃料
ポンプ１からの燃料油がスプール弁５→作動油供
給管１６→第１の逆止弁１７の経路でシリンダ室
７に流入し、その液圧がプランジヤ６に作用して
燃料室４内の燃料油が加圧されて燃料噴射ノズル
１２から噴射される。

前記噴射行程におけるシリンダ室７内の燃料油
の液圧は、排出管１８を通じて電磁開閉弁２０の
燃料溜り２４にも加わつているが、この時、弁体
２５の流出口２３側は燃料油が燃料タンク２に戻
されているので液圧が加わつていない。よつて、
弁体２５は燃料溜り２４内の液圧により流出口２
３を強固にシールし、この経路からの燃料油に漏
れはない。

このようにこの実施例の燃料噴射装置では計量
時も噴射時も燃料油に漏れがないので、常に正確
な燃料噴射を行うことができる。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案の増圧プランジヤ式
燃料噴射装置では、燃料ポンプと連結する切換用
スプール弁と増圧プランジヤのシリンダ室との間
に、第１の逆止弁を設け、前記シリンダ室と燃料
タンクとを結ぶ排出管に計量用電磁開閉弁とその
下流側に絞りとを設け、前記増圧プランジヤの大
径プランジヤの下死点到達時に前記シリンダ室と
連通するスピルポートを第２の逆止弁を介して前
記絞りと前記電磁開閉弁との間に接続したことに
より、計量時にはスプール弁からの燃料の漏れが
なくなつて計量が正確に行えるようになり、噴射
時には計量用電磁弁に高圧の燃料油圧がかからな
いので電磁弁に高速、高圧用のものを使用する必
要がない、という効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の増圧プランジヤ式燃料噴射装置
を示す概略構成図、第２図は本考案の燃料噴射装
置の一実施例における同装置の噴射行程が終了し
た状態を示す概略構成図である。 １……燃料ポンプ、２……燃料タンク、３……
増圧プランジヤ、３ａ……排出口、３ｂ……スピ
ルポート、４……燃料室、５……切換用スプール
弁、６……プランジヤ、７……シリンダ室、８…
…還流管、９……電磁弁、１２……燃料噴射ノズ
ル、１６……供給管、１７……第１の逆止弁、１
８……排出管、１９……調圧管、２０……計量用
電磁開閉弁、２２……流入口、２３……流出口、
２４……燃料溜り、２５……弁体、２７……ソレ
ノイド、３１……第２の逆止弁、３２……絞り。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃料ポンプ１と連結する切換用スプール弁５と
   増圧プランジヤ３のシリンダ室７との間に、第１
   の逆止弁１７を設け、前記シリンダ室７と燃料タ
   ンク２とを結ぶ排出管１８に計量用電磁開閉弁２
   ０とその下流側に絞り３２とを設け、前記増圧プ
   ランジヤ３の大径プランジヤ６ａの下死点到達時
   に開くスピルポート３ｂを前記シリンダ室７の側
   壁７ｂに設け、前記スピルポート３ｂを第２の逆
   止弁３１を有する調圧管１９により前記絞り３２
   と前記電磁開閉弁２０との間に接続してなる増圧
   プランジヤ式燃料噴射装置。