JP2588546B2 - 車両の運動特性制御方法 - Google Patents

車両の運動特性制御方法

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JP2588546B2 JP62275963A JP27596387A JP2588546B2 JP 2588546 B2 JP2588546 B2 JP 2588546B2 JP 62275963 A JP62275963 A JP 62275963A JP 27596387 A JP27596387 A JP 27596387A JP 2588546 B2 JP2588546 B2 JP 2588546B2
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    • B60G17/0195Resilient suspensions having means for adjusting the spring or vibration-damper characteristics, for regulating the distance between a supporting surface and a sprung part of vehicle or for locking suspension during use to meet varying vehicular or surface conditions, e.g. due to speed or load the regulating means comprising electric or electronic elements characterised by the regulation being combined with other vehicle control systems
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、車体の前後、上下、左右の3方向の運動特
性を、運転者による車両の操作状態に応じて制御するよ
うにしてなる車両の運動特性制御方法に関するものであ
る。
(従来技術) 近時、車両の動きを最適制御するため種々の手法が提
案されており、このため、車体の動きに関連した種々の
機器類の特性を変更し得るようにしたものが多くなって
いる。
例えば、サスペンションにおいては、油圧緩衝器の減
衰力を変更可能としたもの、あるいはスプリングをエア
ばねとしてそのばね定数や車高を変更し得るようにした
ものがある。
また、自動変速機においては、その変速特性を変更し
得るようにしたものも多くなっており、そのなかには、
特開昭62-56657号公報に示すように、変速データの分布
状態に応じて変速特性を変更するようにしたものもあ
る。
さらに、エンジンにおいては、そのスロットル開度を
所定のスロットル特性に基づいて電磁的に制御するよう
にする一方、このスロットル特性を変更し得るようにし
たものも提案されている。
さらに又、ブレーキにおいては、ABSと呼ばれるよう
にブレーキ力が過大になるのを防止して駆動輪がロック
するのを防止するようにしたり、あるいはトラクション
コントロールと呼ばれるように、駆動輪の路面に対する
スリップ率が最適となるように制御するようにしたもの
もある。
これに加えて、ステアリングにおいては、操舵力の倍
力特性を変更したり、あるいは前輪のみならず後輪をも
操舵するようにしてステアリング特性をより最適設定し
得るようにしたものもある。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、運転者は、車両に対する操作、特にアクセ
ル、ブレーキ、ステアリングの操作によって車体の挙動
変化というものを積極的に生じさせる一方、この車体の
挙動変化によって上記アクセル等の操作状態を微妙に調
整するものである。換言すれば、運転者は、車両の挙動
変化を体感という形で検出して、車両に対する操作状態
にフィードバックしているものである。このような観点
から、運転者による車両の操作状態に対して、車体が運
転者の要求するような挙動すなわち運動を示せば、運転
者の要求と合致することになる。すなわち、運転者が車
両に対してある操作を行なったときに、これにより生じ
る車体の挙動変化が運転者の要求通りであれば、このあ
る操作を微妙に修正することが不用になるのは勿論のこ
と、運転のし易さや運転の疲労軽減にもなる等、多大な
効果を生じさせることになる。
上述した車両の挙動変化は、つまるところ、車体の前
後方向、上下方向および左右方向の運動特性として現れ
ることになり、運転者は、この3方向の運動特性を総合
的に体感して、車体の好ましい挙動変化であるか否かを
評価することになる。
このような観点から、前述した従来の種々の手法を考
えてみると、そのいずれもが、車体のある部分の動きを
事実上単独で制御するものでしかなく、上記3方向の運
動特性を総合的に制御するものとは到底いえないもので
ある。とりわけ、車体のある部分の動きを制御するとい
うことは、この制御の結果が当該ある部分のみならず他
の部分にまで影響を及ぼし、これが車体全体の動きとし
てみた場合にかえって運転者の意にそぐわないものとな
りかねない傾向すら生じる。
とりわけ、運転者は、車両の運動特性を、心理的要因
となる加速感、安定感、減速感というような要素によっ
ても体感するので、この点をも加味して運動特性を総合
制御することが望まれるものとなる。
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもの
で、その目的は、運転者の心理的要因をも加味して、運
転者による車両への操作状態に応じて車体が総合的に好
ましい運動を生じるようにした車両の運動特性制御方法
を提供することにある。
(問題点を解決するための手段、作用) 前記目的を達成するため、本発明にあっては、次のよ
うな構成としてある。
すなわち、第19図に示すように、 車両に挙動変化を与える運転者による複数の車両操作
状態を検出し、 前記複数の車両操作状態の各々が車両の前後、上下、
左右の3つの方向の運動に対して与える影響度合の第1
の相関関係があらかじめ設定されて、該第1の相関関係
に基いて、前記検出された複数の車両操作状態に応じて
車両の前後、上下、左右の3つの方向の各運動目標値を
設定し、 運転者の加速度と安定感と減速感との各々が車両の前
後、上下、左右の3つの方向の運動に対して与える影響
度合の第2の相関関係があらかじめ設定されて、該第2
の相関関係に基いて前記各運動目標値を補正し、 それぞれ前記補正された後の前記3方向の運動目標値
に基いて、主として前後方向の運動を支配する第1プラ
ントに対する制御目標値と、主として上下方向の運動目
標値を支配する第2プラントに対する制御目標値と、主
として左右方向の運動を支配する第3プラントに対する
制御目標値とを、設定し、 前記第1、第2、第3の各プラントを対応する制御目
標値でもって制御し、 前記第1の相関関係において、前記複数の車両操作状
態についてはそれぞれ操作量と操作速度とに分類され、
前記3方向の運動についてそれぞれ加速度特性とモーメ
ント特性とが設定されると共に該加速度特性およびモー
メント特性がそれぞれさらに定常特性と微分特性とに分
類されていて、該各定常特性と微分特性とのそれぞれに
ついて前記操作量および操作速度の影響度合が設定され
ており、 前記第2の相関関係において、前記加速感と安定感と
減速感とのそれぞれについて、前記各定常特性および微
分特性との影響度合が設定されている、 ような構成としてある。
上記3方向の運動特性は、つまるところ車輪の特性と
して具現され得るので、この車輪の前後、上下、左右の
特性を制御すればよいことになる。
したがって、上記前後方向の運動を主として支配する
プラントとして代表的なものは、駆動輪に対するトルク
付与を行なう駆動系統、すなわちトルク発生源としての
エンジンをはじめとして変速機、クラッチ(トルクコン
バータ)等があり、逆に駆動輪へのトルクを吸収するた
めのブレーキがある。
また、上記上下方向の運動を主として支配するプラン
トとして代表的なものはサスペンションがあり、例えば
減衰力、ばね定数、ホイールストローク(車両調整)な
どが制御され得る。
さらに、上記左右方向の運動を主として支配するプラ
ントとして代表的なものはステアリングがあり、この場
合4輪操舵による後輪転舵比を制御することも効果的で
ある。
(実施例) 以下本発明の実施例を添付した図面に基づいて説明す
る。
車両およびプラントの概要 先ず第1図において、車両(自動車)の一例とその車
体の運動特性を支配するプラント例とについて説明す
る。この第1図において、エンジン1からの動力が、ク
ラッチあるいはトルクコンバータ2、自動変速機3を介
して、センターデフ(トルクスプリット)4に伝達され
る。センターデフ4により前後に分配された動力のうち
一方は、前輪用差動装置5より、右ドライブシャフト6R
を介して右前輪7Rに伝達され、左ドライブシャフト6Cを
介して左全輪7Lに伝達される。また、センターデフ4に
より前後に分配された動力の他方は、後輪用作動装置8
より、右ドライブシャフト9Rを介して右後輪10Rに伝達
され、左ドライブシャフト9Lを介して左後輪10Lに伝達
される。
各ドライブシャフト6R、6L、9R、9Lには、それぞれブ
レーキ21R、21L、22Rあるいは22Lが設けられ、ブレーキ
ペダル23とこれ等ブレーキとを接続するブレーキ配管24
R、24L、25Rあるいは25Lに対して、液圧調整弁26R、26
L、27Rあるいは27Lが設けられている。この液圧制御弁2
6R、26L、27R、27Lは、TRC(トラクションコントロル)
用とABS(アンチロックブレーキシステム)用との兼用
とされている。すなわち、ブレーキ中にあっては、車輪
がロックしないようにブレーキ液圧を調整(主として減
圧)し、また非ブレーキ中にあっては、車輪の路面に対
するスリップが過大になるのを防止すべくブレーキ液圧
を調整する(主として加圧)ためのものとされる。
また、各ドライブシャフト6R、6L、9R、9Lと車体Bと
の間には、それぞれサスペンション28R、28L、29Rある
いは29Lが介装されている。この各サスペンションは、
油圧緩衝器30とスプリング31とから構成されて、少なく
とも緩衝器30の減衰力が調整可能とされており、必要に
応じてスプリング31をエアばねとして、そのばね定数と
車高(ホイールストローク)との少なくとも一方が調整
可能とされる。
一方、前輪7R、7Lは、ステアリング32を含む前輪操舵
系34によって操舵される。また、後輪10R、10Lが、後輪
操舵系34によって操舵されて、当該後輪10R、10Lの前輪
7R、7Lに対する転舵比が所定の特性となるように調整さ
れる。
ここで車体Bの3つの運動方向を第2図に示してあ
る。この第2図において、X幅が前後方向となり、Y軸
が左右方向となり、Z軸が上下方向となる。そして、gx
が前後方向加速度を、gyが左右方向加速度を、gzが上下
方向加速度を示しており、またφ、θ、ψが各軸周りの
モーメントを示しているが、φがロール、θがピッチン
グ、ψがヨーとなるものである。
このような車両Aの前後方向、上下方向、左右方向の
3つの方向の運動を支配するプラントは次のようにな
る。先ず主として前後方向の運動を支配するのは、車輪
に対する駆動力を支配するプラントであり、駆動力付与
のための駆動系全ての機器類、すなわち、エンジン1、
クラッチ2、変速機3がある。これに加えて駆動力を吸
収するプラントとしてブレーキ21R、21L、22R、22L(液
圧制御弁26R、26L、27R、27L)がある。特に、アクセル
35の操作に応じたエンジン負荷の調整(例えばスロット
ル弁36の開度の調整)が、その調整範囲が大きくかつ微
妙に駆動力を調整し得ることから望ましいものとなる。
次に主として上下方向の運動を支配するプラントとし
ては、サスペンション28R、28L、29R、29Lがある(減衰
力、ばね定数あるいは車両調整)。
さらに主として左右方向の運動を支配するプラントと
しては、前後のステアリング系32、33がある。より具体
的には、前輪操舵系33によるステアリング32の舵角に応
じた実際の前輪7R、7Lの転舵角の調整、あるいは後輪操
舵系34による前輪に対する後輪の転舵比変更(特にヨー
レート補正)がある。
このようなプラントを制御するコントローラヲ、第1
図で2重枠線で囲って符号41〜53で示してある。そし
て、これ等角コントローラ41〜53が、中央コントローラ
Uによって後述のように設定された制御目標値を実現す
べく、制御対象となるプラントを制御する。勿論、中央
コントローラUは、運転者による操作状態を検出するた
め、アクセル35、ブレーキペダル23、ステアリング32の
操作状態を示す信号が入力される他、車軸の前後、上
下、左右の実際の運動状態を検出するジャイロからの信
号が入力される。
なお、中央コントローラUは、第1図に示すプラント
毎のコントローラ41〜53のすべてを制御する(制御目標
値の出力)必要はなく、前後、上下、左右の3方向の各
々について少なくとも1つコントローラを制御するもの
であればよい。また、このような運動を支配するプラン
トは、この他、例えばセンターデフ4、前後の作動装置
5、8がトルク配分比を調整可能な形式である場合は、
これ等も制御対象となり得るものである。
操作状態と運動目標値と走行状態と心理評価について 第3図には、(A)で示す運動特性と、(B)で示す
操作状態と、(C)で示す走行状態と、(D)で示す運
転者の心理的評価との相関関係について示してある。上
記(A)で示す運動特性は、前後(X軸)、左右(Y
軸)、上下(Z軸)の各方向について、加速度g特性と
モーメントM特性とを設定して、このgとMとの特性に
ついて定常と微分と設定して、各方向各々4種類の計12
種類設定してある。また、(B)で示す操作状態として
は、アクセル、ブレーキ、ステアリングの各々について
その操作量と操作速度との2種類づつの計6種類設定し
てある。さらに、(C)の走行状態として、郊外、市
内、渋滞の3つに分類すると共に、その各々について直
線路と曲線路との2種類に中分類し、さらにこの中分類
を降(下り)、登(登り)の2種類に小分類して、計12
種類設定してある。そして、(D)で示す心理的評価と
しては、加速感、操縦安定感および減速感の3つに大分
類すると共に、この大分類をさらに、レスポンス、立上
り等に細分類してある。
このような第3図において、(B)において、操作状
態が運動特性に影響を与える因子のうち、その度合が強
いものを「◎」で、中程度のものを「○」、小程度のも
のを「△」で示してある。具体的には、(B)のアクセ
ル操作量について着目してみると、「◎」が施された部
分の位置をそのまま直下方の運動特性(A)の部分のど
こに位置するかを当てはめてみると、前後方向のg特性
のうち定常に対して特に大きな影響を与える、というこ
とを意味する。この前後方向のg特性のうち定常に対し
て特に大きな影響を与えるという意味ではブレーキ操作
量についても同じである。この(B)で示す操作状態と
運動特性との関係についてみると、前後方向の運動特性
に対しては、特にアクセルとブレーキとが大きな影響を
及ぼすことが当然のことと理解され、左右方向に対して
はステアリング大きな影響を及ぼすことが理解され、上
下方向に対してはアクセル、ブレーキ、ステアリングの
それぞれが大きな影響を与えることを示している。
一方、(A)で示す運動特性と(D)で示す心理的評
価の内容についてみると、例えば加速感のうちレスポン
スは前後方向のg特性、M特性の各微分および上下方向
のg特性定常が大きな影響を及ぼし、操縦安定感のうち
直進性については左右方向のM特性定常が大きな影響を
及ぼす等のことを示している。
また、(C)で示す走行状態と心理評価のについてみ
ると、例えば郊外の曲線登り時は、加速感のうち、レス
ポンス、操縦安定感のうち直進性が要求され、郊外の直
線下りは操縦安定感のうち直進性が要求される等のこと
を示している。そして、これ等加速感のうちレスポンス
の要求度合(重み付け)等を、市外走行の場合を例にし
て、(D)の欄において折れ線グラフにより示してあ
り、図中左方(+側)の値をとるほど要求度合が高くな
る(重み付け大)。なお、以下の説明では、上記走行状
態の他に操作状態(例えば定常走行時か、追従走行時
か、追い抜き時であるか等)に応じた運転者の心理評価
をも行なう場合を示しているが、この場合の心理評価も
上述した走行状態の心理評価と同じように行なわれる
(この場合は走行状態と操作状態との両者間での運転者
の要求度合の調整がなされる)。
以上を総合させて、(B)の操作状態と(A)の運動
特性との相関関係に基づき、この操作状態から運動特性
の基本の運動目標値が設定される(このための設定欄を
第3図(A)′として示す)。そして、走行状況(必要
に応じてこれに加えて前述した操作状況)に応じた心理
評価を加味しつつ、上記基本の運動目標値が補正され
て、この補正された運動目標値が最終的な運動目標値と
される(この最終運動目標値の設定欄を第3図に(E)
の欄として示す)。
なお、第3図はあくまで一例を示すものであることは
言うまでもない。
制御の全体的な概要 第4図は、本発明が適用された運動特性制御をブロッ
ク図的に示すものであり、以下の説明ではブロックをB
として称する。
先ず、B1におけるドライバ(運転者)のアクセル、ブ
レーキ、ステアリングの操作状態に応じて、B2において
前後、上下、左右の3方向について基本の運動目標値が
設定される。この運動目標値としては、第3図の場合で
は前述したようには計12種類が設定される((A)′
欄)。この基本の運動目標値の設定に際しては、B3にお
ける車体同定モデルを参照しつつ、一種類のシュミレシ
ョンにより行なわれる。すなわち、第3図の(A)と
(B)との関係を勘案しつつ、実験的にあるいは論理的
に、ある操作状態から他の操作状態へと変化したときに
車体の運動特性がどのように変化するかの基本的な態様
がB2の車体同定モデルとして設定されている。
上記B2での基本の運動目標値が、B4において、B5のド
ライバ評価モデル、すなわち運転者の心理評価を加味し
て補正される。これは、同じ操作状態であっても走行状
態の相違等により運転者が要求する運動特性が微妙に異
なってくるのを補正するためになされる(第3図の
(A)、(C)、(D)の関係)。
上記B4で補正された後の運動目標値は、B6において、
B15の車輪同定モデルを参照しつつ一種のシュミレーシ
ョンによって、車輪に対する運動目標値として変換され
る。すなわち、車体の運動目標値は、つまるところ、路
面に接触している車輪の運動特性により決定されるの
で、車輪の前後、上下、左右の運動特性を所定のものに
設定することにより、車体の前後、上下、左右の運動特
性が決定されることになる。
上記B6での車輪の運動目標値は、B7において、各プラ
ントに対する制御目標値として変換される。すなわち、
それぞれ前後、上下、左右の各運動目標値に基づいて、
主として車体前後方向の運動を支配するプラント(例え
ばエンジンおよびブレーキ)、主として前後方向の運動
を支配するプラント(例えばサスペンション)、主とし
て左右方向の運動を支配するプラント(例えばステアリ
ング)に対する制御目標値が設定される。勿論、この各
プラントに対する制御目標値の設定は、あるプラントに
対する制御目標値の変更が他のプラントが主として支配
する運動特性に与える影響を勘案しつつ行なわれる。
上記B7で設定された制御目標値はB8で示すプラントコ
ントローラ(第1図の41、48、52等)によって、対応す
るプラントがこの制御目標値にしたがって制御される
(第4図のB8では、そのうちの1つのプラントを代表し
て示してある)。そして、B8で示すコントローラによる
制御は、B8−1で示す直列補償とB8−2で示す負帰還補
償との両方を含むフィードバック制御(例えばPI−PD制
御)を行なう場合を示してある。このコントローラによ
る制御の結果は、車体の運動特性として現れ、この現れ
た実際の運動特性が、ジャイロによって検出されること
になる。このB8で示すコントローラによる制御の良し悪
しが、B9でのプラントチェックによってなされる。この
B9でのプラントチェックでは、プラント操作量とプラン
ト特性とに基づいて、プラントの伝達関数の状態を推定
することが行なわれる。このプラントチェックの結果の
1つの対応として、B10でのモデル評価により、B8での
コントローラによる制御の修正がなされる。例えば、定
常偏差が大きいときはや応答速度が小さいときはB8−1
の直列補償を大きくし、また制御により振動が大きくな
るときはB8−2の負帰還補償を大きくする。また、B9で
のプラントチェックの他の対応として、B10でのモデル
修正により、B3での車体同定モデルの修正がなされる
(運動目標値を実現するための中間段階としてのプラン
トコントロールをより最適化する観点からの車体同定モ
デルの修正)。
車体同定モデルの修正は、B12での車体モデル修正に
よっても行なわれる。すなわち、ジャイロで検出された
車体の実際の運動特性が、B11での車体チェックにより
チェックされ、この車体チェックの結果に応じてB12で
の修正が行なわれる。つまり、前記B10でのモデル修正
がプラントそのものの制御がより最適化されるような観
点からなされるのに対して、B12での修正は、運動目標
値実現のための制御の結果として最終的に現れた実際の
車体の運動特性を、所望の運動特性と極力合致させる観
点からなされる。このような同定モデルの修正は、つま
るところ、B3で設定した車体同定モデルを実際の車体に
より近づけるためのものである。より具体的には、例え
ば経年変化、積載重量の変化等により生ずる実際の車体
の特性変化に対応してB3での車体同定モデルが修正さ
れ、また設計当初に元々生じていた実際の車体特性と車
体同定モデルとの相違が小さくなるように修正される。
前述したB5でのドライバ評価モデル(運転者の心理評
価)は、ジャイロにより検出された運動特性に基づくB1
3での走行状態の判断(例えば郊外、市内、渋滞等の区
別)と、B1のドライバ操作が入力されるB14での操作状
態(例えば定常走行、追い抜き、追従走行の区別)とに
基づいて決定される。
制御の詳細 第4図にブロック図的に示す制御は、具体的には、第
5図〜第10図および第15図に示すフローチャート(図中
Pはステップを示す)に基づいて行なわれる。なお、第
5図はメインフローを示し、そのステップのうち重要部
分の詳細は他のフローチャートに示してある。
第5図(メイン) 第5図においては、先ず、P1においてシステム全体の
イニシャライズがなされた後、P2での運転者による操作
の入力(第4図B1に相当)、P3での車体特性入力(第4
図でのジャイロでの検出)、P4でのプラントの運動状態
入力(プラントの使用域、トルク、回転数等の入力で、
第4図でのフィードバック制御用およびB9でのプラント
チェック用としても利用される)がなされる。この後、
順次、P5での車体目標の設定(第4図B2、B3に相当)、
P6でのドライバ操作状態の判断(第4図B14に相当)、P
7での走行状態に判断(第4図のB13に相当)、P8での車
体目標の補正(第4図のB4、B5に相当)、P9での車輪目
標の設定(第4図B6、B15に相当)、P10でのプラント目
標の設定(第4図のB7に相当)が行なわれる。さらに、
P11でのプラント制御(第4図のB8に相当)、P12でのプ
ラントチェック(第4図でのB9、B10に相当)、P13での
車体チェック(第4図のB13に相当)、P14での車体同定
モデルの修正(第4図のB2、B10、B12に相当)、P15で
のプラント同定モデルの修正(第4図のB10に相当)が
行なわれる。
車輪目標の設定(第6図) 第5図P5の詳細は、第6図のフローチャートにしたが
ってなされる。
この第6図では、先ず、P11において、運転者による
アクセル操作α(k)、ブレーキ操作B(k)、ステア
リング操作S(k)が入力される。この後、上記P11で
の操作状態に対応して車輪特性がどのように変化するか
がP12において決定され、引続きP13においてP12で変化
すると予測された車輪特性に基づいて車体目標が決定さ
れる。
P12、P13で示す式は、次式(1)、(2)を具体的に
展開して示すものである。なお、以下のX、P、C、Q
は行列を示す。
X(k+1)=PX(k)+QU(k) ・・(1) Y(k+1)=CX(k+1) ・・(2) Y(k):現在の車体目標 Y(k+1):新しい車体目標 U(k):ドライバ操作 X:車輪特性 P:置換係数(車体同定モデルの車輪特性用) Q:置換係数(車体同定モデルのドライバ操作用) C:置換係数(車体同定モデルの車輪→車体変換用) k:時間(k+1の1回前) k+1:時間(kの1回後) 勿論、上記P、Q、Cは、論理的あるいは実験的に求
められて、車体同定モデルとして記憶されている。
P12で示す式中「n」は、車輪目標値の数に対応する
もので、例えば第3図の前後、上下、左右の各方向につ
いて各々、B特性とM特性とに対してそれぞれ定常と微
分とを設定した場合は、1つの車輪に対して計12種類の
目標値がある一方、車輪は4つあるので、このnは48と
なる。
ここで、第4図のB10、B12での車体同定モデルの修正
は、上記置換係数P、Q、Cを修正することにより行な
われる。
なお、この車体目標の設定については、同じように一
種のシュミレーションがなされる後述する車輪目標の設
定の説明をも参照すれば、より一層明確に理解される。
車体目標の補正(第7図) 第5図のP8の詳細は、第7図のフローチャートにした
がってなされる。
この第7図では、後述する走行状態の判断(第5図P
6)およびドライバ操作状態の判断(第5図P7)の結果
に基づくドライバ評価によって、P21において、加速感
の立ち上がりやレスポンス等の要求度合を、それぞれ重
み付けW1・・・・Wiとしてあらかじめ得ておき(iは上
記立ち上がりやレスポンス等の評価項目の数に対応)、
この重み付けを利用して、第7図P22に示す式にしたが
って、第6図P13で求められたy1・・・・・ynの各々に
ついて補正係数cy1・・・・・cyn(cy1で1つの補正係
数を意味する)を得る。そして、このcy1・・・・・cyn
というn個の補正係数と補正前の車体目標Y1・・・・Yn
第6図P13で得られたy1(k+1)・・・・・yn(k+
1)とに基づいて、P23で示す式にしたがって、補正後
の車体目標Y1・・・・Ynが決定される。
車輪目標の設定(第8図) 第5図P9の詳細は、第8図に示すフローチャートにし
たがってなされる。
この車輪目標の設定は、車輪同定モデルを利用して、
P31で示す式にしたがって決定される。この点を詳述す
ると、先ず、時間(k)において車輪特性がF1、F2・・
・・・・Fnであれば、時間(k+1)においてこの車輪
特性がどのように変化するかがあらかじめ実験等により
車輪同定モデルとして設定(記憶)されている。この車
輪同定モデルとしてのデータを基に、y1(k+1)を従
属変数、y1(k)およびF1(k)、F2(k)・・・・・
・Fn(k)を独立変数とする重回帰式(3) y1(k+1)=A1y1(k)+B1F1(k)+・・・+Q1Fn
(k)・・・(3) を得る、同様にして、y2(k+1)からyn(k+1)に
ついても上記(3)式と同じような式を得る。このよう
にして得られた各式を連立させて、第8図のP31に示し
てある。
なお、第8図P31における式は、次式(4)を具体的
に展開して示したものでもあり、式中F、Y、R、Qは
行列であることを示す。
F(k):各車輪の目標 Y(k):車体目標(第7図P23での左項に示すY1・・
・・Ynに相当) R、Q:車体同定モデルにより得られる置換係数 なお、F(k)は、具体的には、車輪の駆動力(制動
力)、横力、上下力として設定される。勿論、第8図P3
1で示す式から明らかなように、各車輪特性が、車体特
性におよぼす影響を相互の関連を含めて展開してあるの
で、互いに干渉しない適切な車輪目標として設定され
る。
プラント目標の設定(第9図) 第5図P10の詳細は、第9図に示すフローチャートに
したがってなされる。
先ず、P41において、ステアリングの制御目標値が目
標舵角として設定される。この設定は、車輪目標のうち
横力と制・駆動力との各関数の和として設定される。
次いで、P42において、サスペンションの目標設定が
なされる。すなわち、目標ばね定数、目標減衰力が、目
標ホイールストロークが設定される。なお、目標舵角
は、例えば車輪目標の上下速度の関数と上下加速度の関
数の和として設定される。また目標減衰力も車輪目標の
上下速度の関数と上下加速度の関数の和として設定され
る。さらに、目標ホイールストロークは、車輪目標その
もの(車高)として設定される。
最後に、P43において、パワープラント系の制御目標
値が設定される。例えば、目標ブレーキ力が、車輪目標
のうち目標制動力の関数として設定される。また、変速
機の目標ギア比が、目標駆動力と目標制動力との関数と
して設定される。さらに、目標スロットル開度が、目標
駆動力と目標ギア比とエンジン回転数との関数として設
定される。このP43においては、例えば、目標との偏差
が大きいときは変速機のギア比変更で対処され、左右ま
たは前後の目標差が大きいときあるいは目標が急減した
ときは、ブレーキ制御によって対処される。
走行状態の判断(第10図〜第14図) 第5図P7の詳細は、第10図に示すフローチャートにし
たがってなされる。
この走行状態の判断は、最終的に、郊外、市内、渋滞
のうちいずれの状態であるかを判断するもので、この判
断のためのパラメータとして、例えば車間距離D、発進
から停止までの所用時間T、最高車速Vが用いられ、こ
のため上記D、T、VがP51で入力される。このD、
T、Vが、郊外と渋滞とに対する適合度(市内は郊外と
渋滞との中間に適合する)を示したものが第11図〜第13
図である。すなわち、最高車速Vとこれに対応した適合
度を示す第12図のマップとの関係を例にして説明すると
次の通りとなる。先ず、特性線Fが郊外用とされ、特性
線Nが渋滞用とされる。特性線Fは、車間距離Dが20m
以上のときが郊外走行に対する適合度が「1.0」(100
%)とされ、Dが5m以下のときが渋滞走行に対する適合
度「1.0」とされる。そして、Dが5〜20mの間にある領
域では、特性線Fにおいては車間距離Dが小さくなるに
つれて線形的に郊外に対する適合度が小さくなって5mの
ときには郊外に対する適合度が「0」とされる一方、特
性線Nにおいては、特性線Fとは反対に車間距離Dが大
きくなるにつれて渋滞に対する適合度が線形的に小さく
なって、20mのときの渋滞に対する適合度が「0」とさ
れる。第11図、第13図も上述したのと同じような観点か
ら設定され、第11図における特性線Hおよび第13図にお
ける特性線lがそれぞれが郊外に対する適合度を示し、
また第11図特性線Lおよび第13図における特性線sが渋
滞に対する適合度を示している。
上述のことを前提として、第10図のP52において、
D、T、Vの各々に対応した適合度L、H、N、F、
s、lが、第11図〜第13図に示すマップから求められ
る。
次いで、P53において、得られた適合度L、H、N、
F、s、lの各々について、第14図に示すマップから、
その重み度ML、MH、MN、MF、MS、Mlが求められる。そし
て、P54に示す式にしたがって、得られた重み度を相加
平均することにより、走行状態を示す値Mが決定され
る。なお、第14図における特性線Pが重み度を大きく設
定するものであり、特性線Eが重み度を小さく設定する
ものであるが、両特性線PとEとは実施例では互いに交
差しないように設定してあり、このため、各適合度H、
L等については1つの重み度が設定されることになる。
勿論、この特性線PとEとを第11図〜第13図に示すよう
に互いに交差するようにして、各適合度H、L等に対し
て2つの重み度を設定するようにしてもよい(後述する
第15図での操作状態の場合を参照)。
上記得られたMの値に基づき、P55の判別処理およびP
56での判別処理によっって、M<0.75のときはP59で渋
滞走行と判断され、M>1.25のときはP57で郊外走行と
判断され、0.75≦M≦1.25のときはP58において市内走
行と判断される。
操作状態の判断(第15図〜第18図) 第5図P6の詳細は、第15図に示すフローチャートにし
たがってなされる。
この第15図のフローチャートでは、アクセル開度αと
その操作速度α′とをパラメータとして、現在の運転者
の操作状態が、定常走行か、追従走行か、追い抜き走行
かを区別するためのものであり、このため、P61におい
て上記αおよびα′が入力される(α′はαより演算し
てもよい)。このP61の後、P62〜P69の処理がなされる
が、この処理は、第10図のP52に〜P59に対応しているの
で、その重複した説明は省略して、要点のみみを説明す
ることとする。
先ず、第16図、第17図においては、特性線BとDとが
追い抜き走行の適合度を示し、特性線AとCとが定常走
行に対する適合度を示している(追従走行は定常走行と
追い抜き走行の中間のものとしてとらえる)。そして、
第18図に示す重み度の設定は、追い抜きに対する重み度
を設定する特性線Vと定常走行に対する重み度を設定す
る特性線Zとが互いに交差するように設定してある(第
14図と比較して参照)。この第18図における特性線Vと
Zとの交差によって、アクセル開度αとその操作速度
α′との各々に対して2つの適合度が設定されても、最
終的に得られる重み度は合計8つとなる(P64の式参
照)。
(発明の効果) 本発明は以上述べたことから明らかなように、運転者
による車両操作状態に対応して、車体の前後、上下、左
右の3つの方向における運動特性を最適設定することが
できる。
とりわけ、3つの方向の運動特性としてそれぞれ、加
速度についての定常特性と微分特性を設定すると共に、
モーメントについての定常特性と微分特性を設定すると
いうようにきめ細かく設定する一方、車両の操作状態を
操作量と操作速度とに分類し、運転者の心理的要因を加
速感と安定感、減速感とに分類して、これらの関係が総
合的に勘案された最適な運動目標値が設定されて、この
最適な運動目標値に対応した各プラントの制御目標値つ
まり各プラントの制御量が最適化されることになる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明が適用される自動車の一例を示す平面
図。 第2図は前後、上下、左右の3方向における運動特性の
例を示す図。 第3図は運転者の操作状態と車体の運動特性と走行状態
と運転者の心理評価との関係の一例を示す図。 第4図は本発明による制御例をブロック的に示した図。 第5図〜第10図および第15図は本発明の制御例を示すフ
ローチャート。 第11図〜第14図および第16図〜第18図は本発明の制御例
に用いるマップを示す図。 第19図は本発明の全体構成図。 A:車両 B:車体 U:中央コントローラ 41〜53:コントローラ(プラント用)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 信本 和俊 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツ ダ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−181710(JP,A) 特開 昭61−220938(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】車両に挙動変化を与える運転者による複数
    の車両操作状態を検出し、 前記複数の車両操作状態の各々が車両の前後、上下、左
    右の3つの方向の運動に対して与える影響度合の第1の
    相関関係があらかじめ設定されて、該第1の相関関係に
    基いて、前記検出された複数の車両操作状態に応じて車
    両の前後、上下、左右の3つの方向の各運動目標値を設
    定し、 運転者の加速感と安定感と減速感との各々が車両の前
    後、上下、左右の3つの方向の運動に対して与える影響
    度合の第2の相関関係があらかじめ設定されて、該第2
    の相関関係に基いて前記各運動目標値を補正し、 それぞれ前記補正された後の前記3方向の運動目標値に
    基いて、主として前後方向の運動を支配する第1プラン
    トに対する制御目標値と、主として上下方向の運動目標
    値を支配する第2プラントに対する制御目標値と、主と
    して左右方向の運動を支配する第3プラントに対する制
    御目標値とを、設定し、 前記第1、第2、第3の各プラントを対応する制御目標
    値でもって制御し、 前記第1の相関関係において、前記複数の車両操作状態
    についてはそれぞれ操作量と操作速度とに分類され、前
    記3方向の運動についてそれぞれ加速度特性とモーメン
    ト特性とが設定されると共に該加速度特性およびモーメ
    ント特性がそれぞれさらに定常特性と微分特性とに分類
    されていて、該各定常特性と微分特性とのそれぞれにつ
    いて前記操作量および操作速度の影響度合が設定されて
    おり、 前記第2の相関関係において、前記加速感と安定感と減
    速感とのそれぞれについて、前記各定常特性および微分
    特性との影響度合が設定されている、 ことを特徴とする車両の運動特性制御方法。
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