JP2588420B2 - 延性の良好な超高強度鋼材の製造方法 - Google Patents
延性の良好な超高強度鋼材の製造方法Info
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- JP2588420B2 JP2588420B2 JP63087238A JP8723888A JP2588420B2 JP 2588420 B2 JP2588420 B2 JP 2588420B2 JP 63087238 A JP63087238 A JP 63087238A JP 8723888 A JP8723888 A JP 8723888A JP 2588420 B2 JP2588420 B2 JP 2588420B2
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- C21—METALLURGY OF IRON
- C21D—MODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
- C21D6/00—Heat treatment of ferrous alloys
- C21D6/005—Heat treatment of ferrous alloys containing Mn
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- Organic Chemistry (AREA)
- Heat Treatment Of Steel (AREA)
- Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動車などの鋼構造物に用いられる高強度
と高延性を兼ね備えた複合組織を有する超高強度鋼材の
製造方法に関する。
と高延性を兼ね備えた複合組織を有する超高強度鋼材の
製造方法に関する。
近年、自動車産業においては燃費と走行性能向上を目
指してグラム単位の軽量化が図られている。このため、
高強度鋼板の使用比率が高くなっている。しかし、ハイ
テン化率、高張力化とも現在では飽和しつつある。この
理由としては、引張り強さ(TS)100kgf/mm2を超える超
高強度鋼板は概して加工性に乏しく、また多量の強化元
素を含み溶接性が劣るなどの問題のために部品への成
形、溶接が困難であることが考えられる。したがって、
優れた加工性と溶接性を有するTSが100kgf/mm2以上の超
高強度鋼板が開発されれば、産業上の利点はきわめて大
きいといえる。
指してグラム単位の軽量化が図られている。このため、
高強度鋼板の使用比率が高くなっている。しかし、ハイ
テン化率、高張力化とも現在では飽和しつつある。この
理由としては、引張り強さ(TS)100kgf/mm2を超える超
高強度鋼板は概して加工性に乏しく、また多量の強化元
素を含み溶接性が劣るなどの問題のために部品への成
形、溶接が困難であることが考えられる。したがって、
優れた加工性と溶接性を有するTSが100kgf/mm2以上の超
高強度鋼板が開発されれば、産業上の利点はきわめて大
きいといえる。
超高強度鋼板の強化方法としては従来回復焼鈍法,
析出強化法,変態強化法が主なものであるが、回
復焼鈍法,析出強化法で強化された鋼板は引張り強さ
80kgf/mm2を超えると延性の低下が著しく、引張り強さ1
00kgf/mm2級に対する強化法としては満足できるもので
はない。変態強化法に属するものに、フェライト、マ
ルテンサイトの2相鋼、いわゆるDual−Phase鋼(特公
昭56−11741)がある。この鋼材はマルテンサイトで強
度を、フェライトで延性を確保することを狙ったもの
で、高強度鋼板としては比較的良好な強度−延性バラン
スを示すが、それでも引張り強さ100kgf/mm2級では伸び
の値は高々15%に過ぎず、プレス加工などに対応しうる
ものではない。このように、従来型の超高強度鋼板は、
延性を犠牲にして強度を得ているために強度−延性バラ
ンスの指標とされるTS〔kgf/mm2〕×El〔%〕の値も180
0程度が限界であった。
析出強化法,変態強化法が主なものであるが、回
復焼鈍法,析出強化法で強化された鋼板は引張り強さ
80kgf/mm2を超えると延性の低下が著しく、引張り強さ1
00kgf/mm2級に対する強化法としては満足できるもので
はない。変態強化法に属するものに、フェライト、マ
ルテンサイトの2相鋼、いわゆるDual−Phase鋼(特公
昭56−11741)がある。この鋼材はマルテンサイトで強
度を、フェライトで延性を確保することを狙ったもの
で、高強度鋼板としては比較的良好な強度−延性バラン
スを示すが、それでも引張り強さ100kgf/mm2級では伸び
の値は高々15%に過ぎず、プレス加工などに対応しうる
ものではない。このように、従来型の超高強度鋼板は、
延性を犠牲にして強度を得ているために強度−延性バラ
ンスの指標とされるTS〔kgf/mm2〕×El〔%〕の値も180
0程度が限界であった。
このような超高強度鋼板の延性改善を図る手段とし
て、残留オーステナイトのTRIP(Transformation Indlc
ed Plalticity:変態誘起塑性)効果を利用する方法が、
特公昭第58−44246号に提示されている。この方法によ
れば引張り強さが100kgf/mm2以上でElが30%以上を示
し、TS×Elの値が3000を超す高延性高強度鋼板の製造が
可能である。しかしながら、この方法では素材のCが0.
35〜0.85%と高いことから溶接性に問題があるため自動
車用鋼板としての適用性は狭い。
て、残留オーステナイトのTRIP(Transformation Indlc
ed Plalticity:変態誘起塑性)効果を利用する方法が、
特公昭第58−44246号に提示されている。この方法によ
れば引張り強さが100kgf/mm2以上でElが30%以上を示
し、TS×Elの値が3000を超す高延性高強度鋼板の製造が
可能である。しかしながら、この方法では素材のCが0.
35〜0.85%と高いことから溶接性に問題があるため自動
車用鋼板としての適用性は狭い。
本発明は、前述のような従来技術の問題を解消し、低
炭素系でMnを適量添加した鋼成分でフェライト+マルテ
ンサイト+残留オーステナイトの微細な混合組織を有
し、残留オーステナイトのTRIP効果によってTSが100kgf
/mm2以上、かつTS×Elの値が3000を超える加工性に優れ
た超高強度鋼材を得ることを目的とする。
炭素系でMnを適量添加した鋼成分でフェライト+マルテ
ンサイト+残留オーステナイトの微細な混合組織を有
し、残留オーステナイトのTRIP効果によってTSが100kgf
/mm2以上、かつTS×Elの値が3000を超える加工性に優れ
た超高強度鋼材を得ることを目的とする。
本発明は残留オーステナイトのTRIP効果による延性の
著しい向上を利用して加工性に優れた超高強度鋼を製造
しようとするものであるが、TRIP効果を有効に働かせる
条件である残留オーステナイトの歪に対する安定性を高
める手段として本発明ではMnの添加によるオーステトナ
イト安定化効果を利用している。すなわちこれは低炭素
濃度でMnを適量添加した鋼をα+γ2相域の本発明者が
見出した所定の温度範囲に加熱することによりα/γ界
面での合金元素の分配によってγ相中に著しくC,Mnを濃
縮させ、これを室温でまで冷却することにより30〜60容
量%フェライト−20〜40容量%残留オーステナイト−残
部マルテンサイトの3相混合組織とすることにより、歪
に対して安定性の高い残留オーステナイトがフェライ
ト,マルテンサイトの相間にあって有効にTRIP効果を発
揮して、TSが100kgf/mm2以上、かつTS×Elの値が3000以
上を示す延性の良好な超高強度鋼が得られるという知見
にもとづくものである。
著しい向上を利用して加工性に優れた超高強度鋼を製造
しようとするものであるが、TRIP効果を有効に働かせる
条件である残留オーステナイトの歪に対する安定性を高
める手段として本発明ではMnの添加によるオーステトナ
イト安定化効果を利用している。すなわちこれは低炭素
濃度でMnを適量添加した鋼をα+γ2相域の本発明者が
見出した所定の温度範囲に加熱することによりα/γ界
面での合金元素の分配によってγ相中に著しくC,Mnを濃
縮させ、これを室温でまで冷却することにより30〜60容
量%フェライト−20〜40容量%残留オーステナイト−残
部マルテンサイトの3相混合組織とすることにより、歪
に対して安定性の高い残留オーステナイトがフェライ
ト,マルテンサイトの相間にあって有効にTRIP効果を発
揮して、TSが100kgf/mm2以上、かつTS×Elの値が3000以
上を示す延性の良好な超高強度鋼が得られるという知見
にもとづくものである。
本発明は重量パーセントで C:0.05〜0.3%,Si:3%以下,Mn:4.0%を越え6%以
下,残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼をAc1+(A
c3−Ac1)×1/10〜Ac1+(Ac3−Ac1)×3/4の温度域に
1分間以上加熱保持して炉冷以上の冷却速度で室温に冷
却することによって、40〜60%フェライト−20〜40%残
留オーステナイト−残部マルテンサイトの混合組織とす
ることからなる、加工性に優れた超高強度鋼材の製造方
法を提供する。
下,残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼をAc1+(A
c3−Ac1)×1/10〜Ac1+(Ac3−Ac1)×3/4の温度域に
1分間以上加熱保持して炉冷以上の冷却速度で室温に冷
却することによって、40〜60%フェライト−20〜40%残
留オーステナイト−残部マルテンサイトの混合組織とす
ることからなる、加工性に優れた超高強度鋼材の製造方
法を提供する。
まず、本発明における化学成分的要因について述べ
る。
る。
Cはオーステナイト安定化元素であり、残留オーステ
ナイトの形成に必要不可欠な元素である。Cが0.05%以
下ではオーステナイト安定化効果が不充分なため延性を
向上させるために充分な残留オーステナイト量が得られ
ない。0.3%を超えると溶接性の劣化が著しくなるので
0.3%以下とする。
ナイトの形成に必要不可欠な元素である。Cが0.05%以
下ではオーステナイト安定化効果が不充分なため延性を
向上させるために充分な残留オーステナイト量が得られ
ない。0.3%を超えると溶接性の劣化が著しくなるので
0.3%以下とする。
Siは本発明においては引張り強さや伸びには大きな影
響を及ぼさず、降伏点を上昇させる効果を有する元素で
ある。すなわち、Si含有量が低い場合には降伏点が低
く、Si含有量が高い場合には降伏点が高いのでSi含有量
によって降伏点(降伏比)の制御が可能である。3%を
超えるとこの効果が飽和するばかりでなく、Ac3点の上
昇を招いて製造性に困難を来すのみであるので上限を3
%とする。
響を及ぼさず、降伏点を上昇させる効果を有する元素で
ある。すなわち、Si含有量が低い場合には降伏点が低
く、Si含有量が高い場合には降伏点が高いのでSi含有量
によって降伏点(降伏比)の制御が可能である。3%を
超えるとこの効果が飽和するばかりでなく、Ac3点の上
昇を招いて製造性に困難を来すのみであるので上限を3
%とする。
Mnはオーステナイト安定化元素であり本発明では残留
オーステナイトを得るためのCの代替元素として重要で
ある。また、Mnを4.0%越え6%以下添加すると拡散変
態は大幅に抑制され、焼鈍温度からの冷却過程で炉冷以
上の冷却速度ならばマルテンサイト以外の変態生成物は
生成しないので、焼鈍時の相比率(α:γ)と室温にお
ける相比率(α:α′+γ)が等しいことになり、組織
制御上で焼鈍温度と焼鈍時間だけを考慮すれば鋼板の組
織中の(α:α′+γ)の比率を制御できることにな
る。鋼板の引張り強さは最終的な組織比率によって決ま
るので、焼鈍温度と焼鈍時間を変えることによって鋼板
の引張り強さが制御できることがわかる。Mn添加量が4.
0%以下では残留オーステナイト生成が不充分で、かつ
冷却過程でフェライト,パーライト,ベイナイトなどの
変態生成物が生成しやすくなるために下限を4.0%越え
とする。Mnが6%を超えると、残留オーステナイトは増
加するが、必ずしも延性が向上するとは限らず、単に製
造コストを増加させるのみであるから上限を6%とす
る。
オーステナイトを得るためのCの代替元素として重要で
ある。また、Mnを4.0%越え6%以下添加すると拡散変
態は大幅に抑制され、焼鈍温度からの冷却過程で炉冷以
上の冷却速度ならばマルテンサイト以外の変態生成物は
生成しないので、焼鈍時の相比率(α:γ)と室温にお
ける相比率(α:α′+γ)が等しいことになり、組織
制御上で焼鈍温度と焼鈍時間だけを考慮すれば鋼板の組
織中の(α:α′+γ)の比率を制御できることにな
る。鋼板の引張り強さは最終的な組織比率によって決ま
るので、焼鈍温度と焼鈍時間を変えることによって鋼板
の引張り強さが制御できることがわかる。Mn添加量が4.
0%以下では残留オーステナイト生成が不充分で、かつ
冷却過程でフェライト,パーライト,ベイナイトなどの
変態生成物が生成しやすくなるために下限を4.0%越え
とする。Mnが6%を超えると、残留オーステナイトは増
加するが、必ずしも延性が向上するとは限らず、単に製
造コストを増加させるのみであるから上限を6%とす
る。
このような組成の鋼を、α+γ2相域中にあるAc1+
(Ac3−Ac1)×1/10〜Ac1+(Ac3−Ac1)×3/4の温度域
に1分間以上加熱することによって微細な炭化物を核に
オーステナイトを生成させ、α/γの2相状態とする。
上記の関係式は、後に示すように本発明者らが実験的に
見出したものである。
(Ac3−Ac1)×1/10〜Ac1+(Ac3−Ac1)×3/4の温度域
に1分間以上加熱することによって微細な炭化物を核に
オーステナイトを生成させ、α/γの2相状態とする。
上記の関係式は、後に示すように本発明者らが実験的に
見出したものである。
このとき、Mnを4.0%越え6%以下含むこの鋼ではC
の長距離の拡散は起りにくいためにオーステナイト粒は
大きく成長することなく微細に分散し、フェライト粒も
微細に分散したオーステナイト粒に阻まれて成長できな
い。このためにα/γ2相域に加熱することによって微
細かつ等軸な混合組織が得られる。さらに、α+γ2相
域での加熱保持中には組織はα/γの2相状態となり、
α/γ界面でC,Mnの分配が進行してγ相中のC,Mnが濃化
される。これにより、γ相は安定化され室温においても
準安定な残留オーステナイトが得られる。ただし、濃度
的な不均一さなどによって一部がマルテンサイトに変態
するので、最終的な組織はフェライト+マルテンサイト
+残留オーステナイトの3相混合組織になる。このよう
にして生成した残留オーステナイトは歪に対して適度な
不安定性を有するので残留オーステナイトを含む複合組
織鋼はTRIP効果によって延性が著しく向上する。
の長距離の拡散は起りにくいためにオーステナイト粒は
大きく成長することなく微細に分散し、フェライト粒も
微細に分散したオーステナイト粒に阻まれて成長できな
い。このためにα/γ2相域に加熱することによって微
細かつ等軸な混合組織が得られる。さらに、α+γ2相
域での加熱保持中には組織はα/γの2相状態となり、
α/γ界面でC,Mnの分配が進行してγ相中のC,Mnが濃化
される。これにより、γ相は安定化され室温においても
準安定な残留オーステナイトが得られる。ただし、濃度
的な不均一さなどによって一部がマルテンサイトに変態
するので、最終的な組織はフェライト+マルテンサイト
+残留オーステナイトの3相混合組織になる。このよう
にして生成した残留オーステナイトは歪に対して適度な
不安定性を有するので残留オーステナイトを含む複合組
織鋼はTRIP効果によって延性が著しく向上する。
加熱温度がAc1+(Ac3−Ac1)×1/10未満では加熱し
た際にγ相中へのCの溶解速度が遅いためγ相中に充分
にC量を濃縮させることができなくなる。その結果とし
て炭化物が多量に析出し、残留オーステナイトの生成量
が不充分で、フェライト量が過半数を占めるので良好な
強度と延性のバランスが得られない。
た際にγ相中へのCの溶解速度が遅いためγ相中に充分
にC量を濃縮させることができなくなる。その結果とし
て炭化物が多量に析出し、残留オーステナイトの生成量
が不充分で、フェライト量が過半数を占めるので良好な
強度と延性のバランスが得られない。
一方、加熱温度がAc1+(Ac3−Ac1)×3/4を越えると
加熱中におけるγ相の比率が多くなるためγ相中のC,Mn
の濃縮量が少なく、γ相が充分に安定化されない。よっ
て冷却時に多量のマルテンサイトを生じるためにフェラ
イト量が少なくマルテンサイト量が多く、かつ残留オー
ステナイトの安定性が低い組織となるので、その材質は
高強度ではあっても延性の劣るものとなる。よって、加
熱温度はAc1(Ac3−Ac1)×1/10〜Ac1+(Ac3−Ac1)×
3/4に限定する。
加熱中におけるγ相の比率が多くなるためγ相中のC,Mn
の濃縮量が少なく、γ相が充分に安定化されない。よっ
て冷却時に多量のマルテンサイトを生じるためにフェラ
イト量が少なくマルテンサイト量が多く、かつ残留オー
ステナイトの安定性が低い組織となるので、その材質は
高強度ではあっても延性の劣るものとなる。よって、加
熱温度はAc1(Ac3−Ac1)×1/10〜Ac1+(Ac3−Ac1)×
3/4に限定する。
加熱時間が1分間未満ではγ相の形成が不充分でα/
γ間のC,Mnの分配が期待できないので少なくとも1分間
は保持する必要がある。
γ間のC,Mnの分配が期待できないので少なくとも1分間
は保持する必要がある。
次に本発明を実施例および実施例によって具体的に説
明する。
明する。
実験 C:0.19%,Si:2.05%,Mn:4.96%,残部Feおよび不可避
的不純物よりなる鋼の板厚1mmの板を630℃〜730℃℃の
各温度で10分加熱したのち空冷する熱処理を施し、JIS
5号引張り試験片(GL=50mm)に加工して引張り試験を
行なった。本網のAc1変態点は627℃、Ac3変態点は751℃
であるので、Ac1+(Ac3−Ac1)×1/10=639(℃)、Ac
1+(Ac3−Ac1)×3/4=720(℃)である。引張性質は
第1図に示す通りであった。本発明の加熱温度範囲にあ
るものはTS×Elの値がいずれも3000以上の優れた強度−
延性バランスを示す。
的不純物よりなる鋼の板厚1mmの板を630℃〜730℃℃の
各温度で10分加熱したのち空冷する熱処理を施し、JIS
5号引張り試験片(GL=50mm)に加工して引張り試験を
行なった。本網のAc1変態点は627℃、Ac3変態点は751℃
であるので、Ac1+(Ac3−Ac1)×1/10=639(℃)、Ac
1+(Ac3−Ac1)×3/4=720(℃)である。引張性質は
第1図に示す通りであった。本発明の加熱温度範囲にあ
るものはTS×Elの値がいずれも3000以上の優れた強度−
延性バランスを示す。
本実験は本発明の対象鋼組成域の略中心の組成で実施
された。本発明鋼における特徴的成分はMnとSiであり、
上記実験より引き出される結論は本発明の鋼組成域に適
用されると考えても不当ではない。
された。本発明鋼における特徴的成分はMnとSiであり、
上記実験より引き出される結論は本発明の鋼組成域に適
用されると考えても不当ではない。
実施例 第1表に示す化学組成を有する板厚1mmの鋼を第2表
に示す熱処理を施したのちJIS 5号引張り試験片(GL=5
0mm)に加工して引張り試験を行なった。鋼番号〜
は本発明範囲、はMn過少、はC過少である。引張試
験の結果は残留オーステナイト量γRとともに第3表に
示す。
に示す熱処理を施したのちJIS 5号引張り試験片(GL=5
0mm)に加工して引張り試験を行なった。鋼番号〜
は本発明範囲、はMn過少、はC過少である。引張試
験の結果は残留オーステナイト量γRとともに第3表に
示す。
第3表から、試番I、II、III、IVは本発明の条件を
満たしていて、TS×Elの値もいずれも3000以上の優れた
強度−延性バランスを示している。加熱温度の高いVI
I、IXでは、オーステナイト中のC,Mn濃度が低くなるた
め安定性の高い残留オーステナイトが得られないために
延性に乏しく硬質のものになる。加熱温度の低いVIIIで
は、オーステナイトが新たに生成されないので、優れた
強度−延性バランスは得られない。化学成分が本発明範
囲外であるV、VIは最適と思われる熱処理を施しても良
好な強度−延性バランスを得ることは出来ない。
満たしていて、TS×Elの値もいずれも3000以上の優れた
強度−延性バランスを示している。加熱温度の高いVI
I、IXでは、オーステナイト中のC,Mn濃度が低くなるた
め安定性の高い残留オーステナイトが得られないために
延性に乏しく硬質のものになる。加熱温度の低いVIIIで
は、オーステナイトが新たに生成されないので、優れた
強度−延性バランスは得られない。化学成分が本発明範
囲外であるV、VIは最適と思われる熱処理を施しても良
好な強度−延性バランスを得ることは出来ない。
〔発明の効果〕 以上の実施例から明らかなように、本発明によればTS
×Elの値が3000を超える加工性に優れた超高強度鋼板が
製造できる。
×Elの値が3000を超える加工性に優れた超高強度鋼板が
製造できる。
第1図は本発明方法の対象鋼種の代表的組成の鋼の熱処
理後の引張強さ、伸びおよび引張強さ×伸びの加熱温度
の関係を示す図である。
理後の引張強さ、伸びおよび引張強さ×伸びの加熱温度
の関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−131130(JP,A) 特公 昭58−42246(JP,B2) 特公 昭56−11741(JP,B2)
Claims (1)
- 【請求項1】重量パーセントで C:0.05〜0.3%,Si:3%以下,Mn:4.0%を越え6%以下,
残部Feおよび不可避的不純物よりなる鋼を Ac1+(Ac3−Ac1)×1/10〜Ac1+(Ac3−Ac1)×3/4 の温度域に1分間以上加熱保持して炉冷以上の冷却速度
で室温に冷却することによって40〜60%フェライト−20
〜40%残留オーステナイト−残部マルテンサイトの混合
組織とすることからなる、加工性に優れた超高強度鋼材
の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63087238A JP2588420B2 (ja) | 1988-04-11 | 1988-04-11 | 延性の良好な超高強度鋼材の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63087238A JP2588420B2 (ja) | 1988-04-11 | 1988-04-11 | 延性の良好な超高強度鋼材の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH01259120A JPH01259120A (ja) | 1989-10-16 |
JP2588420B2 true JP2588420B2 (ja) | 1997-03-05 |
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ID=13909242
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JP63087238A Expired - Fee Related JP2588420B2 (ja) | 1988-04-11 | 1988-04-11 | 延性の良好な超高強度鋼材の製造方法 |
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JP5747249B2 (ja) * | 2011-04-15 | 2015-07-08 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 強度、延性及びエネルギー吸収能に優れた高強度鋼材とその製造方法 |
JP5747250B2 (ja) * | 2011-04-25 | 2015-07-08 | 国立研究開発法人物質・材料研究機構 | 強度、延性及び衝撃エネルギー吸収能に優れた高強度鋼材並びにその製造方法 |
JP5825119B2 (ja) * | 2011-04-25 | 2015-12-02 | Jfeスチール株式会社 | 加工性と材質安定性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
JP5440672B2 (ja) * | 2011-09-16 | 2014-03-12 | Jfeスチール株式会社 | 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
EP2772556B1 (en) | 2011-10-24 | 2018-12-19 | JFE Steel Corporation | Method for producing high-strength steel sheet having superior workability |
JP6158769B2 (ja) * | 2014-08-29 | 2017-07-05 | 株式会社神戸製鋼所 | 高強度高延性鋼板 |
WO2016067624A1 (ja) | 2014-10-30 | 2016-05-06 | Jfeスチール株式会社 | 高強度鋼板、高強度溶融亜鉛めっき鋼板、高強度溶融アルミニウムめっき鋼板および高強度電気亜鉛めっき鋼板、ならびに、それらの製造方法 |
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