JP2588224Y2 - 印刷機の印刷胴・ローラ洗浄装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は印刷機において、版胴，
ゴム胴，圧胴，渡し胴等の印刷胴や、着ローラ，振りロ
ーラ等のローラを洗浄する印刷胴・ローラ洗浄装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】オフセット印刷機や凹版印刷機等各種の
印刷機は、版胴，ゴム胴，圧胴，渡し胴等の印刷胴や、
着ローラ，振りローラ等のローラを備えており、これら
の印刷胴やローラの周面には、印刷作業においてインキ
かすや紙粉等の異物が付着して印刷物の品質を低下させ
るので、印刷機にはこれらの異物を除去する各種の印刷
胴・ローラ洗浄装置が設けられている。

【０００３】この種の印刷胴・ローラ洗浄装置としては
従来、各種のものが提案されているが、このうち、例え
ば特開昭６３−２９６９４５号公報に開示されている洗
浄装置は次のように構成されている。

【０００４】すなわち、この洗浄装置には、ゴム胴のブ
ランケット面に対接して回転する第１洗浄ローラと、こ
の第１洗浄ローラとゴム胴のブランケット面とに対接し
て回転する第２洗浄ローラとが装置フレームに両端軸を
軸支されて設けられており、第１洗浄ローラの上方に
は、洗浄液の滴下管が設けられている。また、第２洗浄
ローラの下方には、廃液を回収する容器が設けられてい
る。

【０００５】さらに、第２洗浄ローラの下方に位置して
装置フレーム側に支持されたアームの遊端部には、スト
ッパローラがゴム胴のブランケット面に対接して枢着さ
れており、このストッパローラは、ゴム胴のブランケッ
ト面に対する遠近方向へ移動調節自在に形成されてい
る。

【０００６】このように構成されていることによりゴム
胴と第１，第２洗浄ローラを回転させると、ゴム胴に付
着している異物は、滴下管から滴下される洗浄液で洗い
落とされ、この異物と洗浄による廃液とは、洗浄ローラ
で洗い落とされ、容器内へ落下して回収される。

【０００７】そしてストッパローラを移動調節すると、
洗浄装置全体がゴム胴のブランケット面に対する遠近方
向に移動するので、ゴム胴のブランケット面に対し第１
洗浄ローラと第２洗浄ローラとが所望の状態で接触され
るように構成されている。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来の印刷胴・ローラ洗浄装置においては、上記の
ようにストッパローラを移動調節すると、左右の装置フ
レームに軸支された洗浄ローラ等の回転体が傾斜して左
右の芯が狂い、装置全体が歪んでしまうので、この状態
で洗浄作業を開始すると、回転体の回動にこじれが生
じ、円滑に回転しなかったり、回転駆動装置に負荷がか
かってしまうという問題がある。

【０００９】本考案は以上のような点に鑑みなされたも
ので、装置の歪み発生を防止し円滑な動作を行うことを
可能にした印刷機の印刷胴・ローラ洗浄装置を提供する
ことを目的としている。

【００１０】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本考案では、印刷機の印刷胴・ローラ洗浄装置
において、被洗浄印刷胴・ローラの周面に摺接して移動
する洗浄ウェブと、可撓性を有する板状に形成されこの
洗浄ウェブの走行方向に延びる押圧部材とを設け、この
押圧部材を、弾性により揺動して洗浄ウェブを押圧する
ように一端を固定し、この押圧部材の揺動端側の幅方向
複数箇所を押圧部材の押圧方向へ進退調節する調節部材
を設けた。

【００１１】

【作用】例えば被洗浄印刷胴・ローラがゴム胴の場合、
別工程で洗浄ウェブが巻かれた供給ローラと空の巻取ロ
ーラとを装置フレームに軸支させたのち、巻取ローラか
ら巻戻した洗浄ウェブを、押圧部材とゴム胴のブランケ
ット面との間へ挿入し、その端を巻取ローラに固定す
る。次いで押圧部材の揺動端側を押すと、押圧部材が弾
性により揺動して洗浄ウェブを押すので、押圧部材を固
定し、巻取ローラを回転させると、押圧部材に押された
洗浄ウェブはゴム胴のブランケット面に摺接して走行
し、ブランケット面に付着した異物や廃液は洗浄ウェブ
で拭き取られ洗浄ウェブに転移して巻取ローラに巻取ら
れる。

【００１２】押圧部材を揺動させて洗浄ウェブを押圧す
る場合、押圧部材の押圧度によって洗浄ウェブとブラン
ケット面との接触圧が調節される。また、押圧部材の揺
動端側は、幅方向の複数箇所をそれぞれ別個に押圧され
ることにより，装置全体を歪めることなく接触圧ウェブ
は均一に押圧される。

【００１３】

【実施例】図１ないし図３は本考案に係る印刷機の印刷
胴・ローラ洗浄装置を印刷機のゴム胴に実施した例を示
し、図１は印刷胴・ローラ洗浄装置の平面図、図２は印
刷胴・ローラ洗浄装置の側面図、図３は押圧部材による
洗浄ウェブ押圧状態で示す印刷胴・ローラ洗浄装置の側
面図である。

【００１４】これらの図において、ブランケット１が周
面に巻かれたゴム胴２の前方には、全体を符号３で示す
ゴム胴洗浄装置が配設されており、このゴム胴洗浄装置
３には、図示しない機台フレームに平行状態で支持され
た左右一対の装置フレーム４が設けられている。これら
左右の装置フレーム４は、横長長方形板状に形成された
ステー５によって連結されており、このような装置フレ
ーム４等を有するゴム胴洗浄装置３は、支軸６を中心に
して揺動自在に支持されている。

【００１５】７は機台フレーム側に支持された着脱シリ
ンダであって、そのピストンロッド８の作用端部には装
置フレーム４の下端部が枢着されており、ピストンロッ
ド８を進退させることにより、ゴム胴洗浄装置３全体が
ゴム胴２に対して着脱されるように構成されている。ま
た、９は装置フレーム４側の突出部１０に枢着されたこ
ろであって、このころ９はゴム胴２両端のベアラ２ａに
当接することによりゴム胴洗浄装置３の移動限が規制さ
れるように構成されている。

【００１６】左右の装置フレーム４の上端部には、図示
しない円筒状の芯材と、この芯材上に別工程で巻付けら
れた洗浄ウェブ１１とからなる供給ローラ１２が回転か
つ着脱自在に軸支されており、また、左右の装置フレー
ム４の下端部には、図示しない円筒状の芯材と、この芯
材上に巻取られる洗浄ウェブ１１とからなる巻取ローラ
１３が回転かつ着脱自在に軸支されている。

【００１７】この場合、巻取ローラ１３を回転させる
と、洗浄ウェブ１１は供給ローラ１２から巻戻され、後
述する押圧装置１４とゴム胴２のブランケット面との間
を通過して巻取ローラ１３に巻取られるが、巻取ローラ
１３の回転駆動は、例えばエアシリンダで駆動されて揺
動するレバーの揺動をワンウェイクラッチを介して巻取
ローラ１３に伝達して巻取ローラ１３を間欠的に所定角
度ずつ回動させるものであって、定寸送りと呼ばれる間
欠送りがなされるように構成されている。

【００１８】そこで前記押圧装置１４について説明す
る。ステー５の下端部には、ゴム胴２の軸線方向に延び
る溝５ａが設けられており、この溝５ａには、洗浄ウェ
ブ１１とほゞ同幅で可撓性を有する板状に形成されてコ
字状に折曲げられた押圧部材としての洗浄パッド１５の
一端と、この洗浄パッド１５とほゞ同幅で断面Ｌ字状に
形成された板材製の固定部材１６とが重ねられて挿入さ
れ、ボルト１６ａで固定されている。すなわち、洗浄パ
ッド１５は、その弾性により固定部材１６による固定部
を中心にして揺動自在に支持されている。

【００１９】また、ステー５の上端部に設けられた複数
個のねじ孔５ｂには、接触圧調節ねじ１７が進退自在に
螺入されて弛み止めナット１８で固定されており、接触
圧調節ねじ１７の先端面には、洗浄パッド１５の揺動端
部である上部折曲げ端に装着された保持具１９が当接さ
れている。この結果、弛み止めナット１８を弛めて接触
圧調節ねじ１７を進退させることにより、洗浄パッド１
５の揺動端部が進退して洗浄パッド１５で洗浄ウェブ１
１をゴム胴２のブランケット面へ押圧したり押圧を解い
たりするとともに、押圧力が調節されるように構成され
ている。

【００２０】さらに保持具１９の上方には、図示しない
洗浄液槽と連結されたノズル管２０が支架されていて、
このノズル管２０には、洗浄液槽から送入された洗浄液
を噴出する多数のノズル孔が穿設されており、このノズ
ル孔から噴出された洗浄液が洗浄パッド１５とゴム胴２
のブランケット面との間にある洗浄ウェブ１１へ吹き付
けられるように構成されている。２１は噴出される洗浄
液を案内する案内板である。

【００２１】以上のように構成されたゴム胴洗浄装置の
動作を説明する。別工程で洗浄ウェブ１１が巻かれた供
給ローラ１２をゴム胴洗浄装置３の装置フレーム４に軸
支させ、かつ空の巻取ローラ１３を洗浄装置３の装置フ
レーム４に軸支させたのち、供給ローラ１２から巻戻し
た洗浄ウェブ１１を、洗浄パッド１５とゴム胴２のブラ
ンケット面との間へ挿入し、その端を巻取ローラ１３に
固定する。

【００２２】次いで、弛み止めナット１８を弛めて接触
圧調節ねじ１７を締め込むと、保持具１９が、接触圧調
節ねじ１７で押され、洗浄パッド１５が、固定部材１６
による支持部を中心に揺動し、洗浄ウェブ１１がゴム胴
２のブランケット面に押圧されるとともに、接触圧調節
ねじ１７の締め具合によってウェブ１１とブランケット
面との接触圧が調節される。この場合、接触圧調節ねじ
１７が複数個設けられていることにより、部分的な調節
が可能である。

【００２３】こうして準備したのち、ゴム胴２を回転さ
せ、かつノズル管２０のノズル孔から洗浄液を噴出させ
ながら着脱シリンダ７を作動させピストンロッド８を前
進させることによりゴム胴洗浄装置３をゴム胴２へ対接
させ、巻取ローラ１３を定寸送りすると、ゴム胴２のブ
ランケット面に付着した紙粉やインキかす等の異物と洗
浄液の廃液とは、洗浄パッド１５で押圧された洗浄ウェ
ブ１１で拭取られてこの洗浄ウェブ１１に転移し、洗浄
ウェブ１１は異物などを付着させたまゝ巻取ローラ１３
に巻取られる。

【００２４】図４および図５は本考案の他の実施例を示
し、図４は印刷胴・ローラ洗浄装置の平面図、図５は押
圧部材による洗浄ウェブ押圧状態で示す印刷胴・ローラ
洗浄装置の側面図である。これらの図において、図１な
いし図３に示す実施例と同構成の部材にはこれと同符号
を付してその説明を省略する。

【００２５】本実施例においては、ステー５の幅方向両
端部にそれぞれ１箇所ずつ設けられた各ねじ孔５ｃ，５
ｄに、接触圧調節ねじ２２がそれぞれ進退調節自在に螺
入されて弛み止めナット２３で固定されており、これら
接触圧調節ねじ２２の先端部には、ステー５と平行状態
で設けられた押圧バー２４が支持されている。

【００２６】こうすることにより、弛み止めナット２３
を弛めて左右の接触圧調節ねじ２２をそれぞれ別個に進
退調節すると、押圧バー２４が傾斜し、洗浄パッド１５
は所望の押圧力で洗浄ウェブ１１に押圧される。

【００２７】図６および図７はさらに本考案の他の実施
例を示し、図６は印刷胴・ローラ洗浄装置の平面図、図
７は押圧部材による洗浄ウェブ押圧状態で示す印刷胴・
ローラ洗浄装置の側面図である。これらの図において、
図１ないし図３に示す実施例と同構成の部材にはこれと
同符号を付してその説明を省略する。

【００２８】本実施例においては、図４および図５に示
す実施例と同じく、ステー５の幅方向両端部にそれぞれ
１箇所ずつ設けられた各ねじ孔５ｃ，５ｄに、接触圧調
節ねじ２２がそれぞれ進退調節自在に螺入されて弛め止
めナット２３で固定されており、これら接触圧調節ねじ
２２の先端部には、ステー５と平行状態で設けられた押
圧バー２４が支持されている。

【００２９】さらに、これら左右の接触圧調節ねじ２２
の間には、複数個の接触圧調節ねじ２５がステー５の幅
方向に並設されたねじ孔に進退調節自在に螺入されてお
り、これら複数個の接触圧調節ねじ２５の先端部は、押
圧バー２４に設けた孔に出没自在に係入されている。

【００３０】このように構成された実施例においては、
図１ないし図３に示す実施例と同じく接触圧調節ねじ２
５が複数個設けられていることにより、部分的な調節が
可能であるとともに、図４および図５に示す実施例と同
じく、弛み止めナット２３を弛めて左右の接触圧調節ね
じ２２をそれぞれ別個に進退調節すると、押圧バー２４
が傾斜し、洗浄パッド１５は所望の押圧力でウェブ１１
に押圧される。

【００３１】このような三つの実施例においては、従
来、洗浄ウェブと被洗浄印刷胴・ローラとの接触圧を調
節するために洗浄装置を機械から外してベアラに当接す
るころを調節したり、装置を支持する機械フレーム側の
支持部材の位置を調節しなければならなかったのが、装
置を機械に装着したまゝの状態で調節作業ができるよう
になったので、作業性が向上するとともに、図１ないし
図３に示す実施例や図６および図７に示す実施例におい
ては、装置を機械に装着したまゝ部分的な接触圧の調整
が可能になり、洗浄効果が向上する。

【００３２】

【考案の効果】以上の説明により明らかなように本考案
によれば印刷機の印刷胴・ローラ洗浄装置において、被
洗浄印刷胴・ローラの周面に摺接して移動する洗浄ウェ
ブと、可撓性を有する板状に形成されこの洗浄ウェブの
走行方向に延びる押圧部材とを設け、この押圧部材を、
弾性により揺動して前記洗浄ウェブを押圧するように一
端を固定し、この押圧部材の揺動端側の幅方向複数箇所
を押圧部材の押圧方向へ進退調節する調節部材を設けた
ことにより、被洗浄印刷胴・ローラの軸芯が傾斜するこ
とのないように押圧部材を調節することができ、調節後
に洗浄作業を開始しても被洗浄印刷胴・ローラの回動に
こじれが発生しないので、回転が円滑になって洗浄性能
が向上し、また回転駆動装置の負荷を軽減することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】印刷胴・ローラ洗浄装置の平面図である。

【図２】印刷胴・ローラ洗浄装置の側面図である。

【図３】押圧部材による洗浄ウェブ押圧状態で示す印刷
胴・ローラ洗浄装置の側面図である。

【図４】本考案の他の実施例を示す印刷胴・ローラ洗浄
装置の平面図である。

【図５】本考案の他の実施例を示す図であって押圧部材
による洗浄ウェブ押圧状態で示す印刷胴・ローラ洗浄装
置の側面図である。

【図６】本考案の他の実施例を示す印刷胴・ローラ洗浄
装置の平面図である。

【図７】本考案の他の実施例を示す印刷胴・ローラ洗浄
装置の側面図である。

【符号の説明】

２ ゴム胴 ３ ゴム胴洗浄装置 ４ 装置フレーム ５ ステー １１ 洗浄ウェブ １４ 押圧装置 １５ 洗浄パッド １６ 固定部材 １７ 接触圧調節ねじ １８ 弛み止めナット １９ 保持具 ２２ 接触圧調節ねじ ２３ 弛み止めナット ２５ 接触圧調節ねじ ２６ 弛み止めナット

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 被洗浄印刷胴・ローラの周面に摺接して
   移動する洗浄ウェブと、可撓性を有する板状に形成され
   この洗浄ウェブの走行方向に延びる押圧部材とを設ける
   とともに、この押圧部材を、弾性により揺動して前記洗
   浄ウェブを押圧するように一端を固定し、この押圧部材
   の揺動端側の幅方向複数箇所を押圧部材の押圧方向へ進
   退調節する調節部材を設けたことを特徴とする印刷機の
   印刷胴・ローラ洗浄装置。