JP2587500Y2 - 摩擦移動装置 - Google Patents

摩擦移動装置

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JP2587500Y2
JP2587500Y2 JP867693U JP867693U JP2587500Y2 JP 2587500 Y2 JP2587500 Y2 JP 2587500Y2 JP 867693 U JP867693 U JP 867693U JP 867693 U JP867693 U JP 867693U JP 2587500 Y2 JP2587500 Y2 JP 2587500Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、ガイドレールに沿って
移動台車を移動させる移動装置に係り、特に、ガイドレ
ールに押圧されて回転駆動される駆動ローラを備えた摩
擦移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】比較的高速で且つ高精度にワーク等の被
移動部材を移動させる装置の一種に、(a)予め定めら
れた移動経路に沿って配設されるとともに長手方向に第
一ガイド面が設けられたガイドレールと、(b)そのガ
イドレールの長手方向と直角で且つ前記第一ガイド面と
平行な軸心まわりの回転可能に移動台車に配設され、外
周面がその第一ガイド面に押圧された状態で上記軸心ま
わりに回転駆動されることにより、それら外周面と第一
ガイド面との間の摩擦によりその移動台車をガイドレー
ルに沿って移動させる駆動ローラとを有する摩擦移動装
置がある。例えば特開平3−96748号公報に記載さ
れた摩擦移動装置はその一例で、移動台車には、ガイド
レールを挟んで駆動ローラと反対側に位置するように圧
接ローラが設けられており、その圧接ローラがピエゾ素
子等の圧接力発生手段によってガイドレールに押圧され
ることにより、反対側の駆動ローラが相対的にガイドレ
ールに押圧され、それ等の間に所定の摩擦力が発生させ
られるようになっている。この摩擦力は、加速度や移動
速度等に応じて制御される。また、かかる従来の摩擦移
動装置は、台車重量を支持するとともにその姿勢を規制
して移動方向と直角な方向に位置決めする一対の支持レ
ールを上記ガイドレールと平行に備えており、移動台車
はその支持レールに案内されつつガイドレールに対する
摩擦力に基づいて移動させられるようになっている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うに移動台車を位置決めする支持レールと、駆動ローラ
が押圧されるガイドレールとを別個に有する場合、それ
らの支持レールとガイドレールとの間に高い平行度が要
求され、直線或いは円運動以外の複雑な移動経路を設定
することが難しいとともに、平行度が悪いと、駆動ロー
ラとガイドレールとの間に隙間が生じて摩擦力を得られ
なかったり、駆動ローラや圧接ローラがガイドレールに
無理に押圧されて装置の耐久性が損なわれたりすること
がある。特に、前記圧接ローラはガイドレールに対して
直角方向に変位するピエゾ素子等によって押圧され、そ
の押圧力すなわちピエゾ素子等の変位量によって駆動ロ
ーラの摩擦力は制御されるが、ピエゾ素子等によって駆
動される圧接ローラの移動ストロークは比較的小さいた
め、より高い平行度が要求される。すなわち、圧接ロー
ラの移動ストロークが小さいと、圧接ローラと駆動ロー
ラとの間の隙間はガイドレールの幅寸法と略同じに設定
されるため、支持レールとガイドレールとの平行度が悪
く、ガイドレールに対して移動台車が僅かに位置ずれし
ただけでも、圧接ローラや駆動ローラが無理にガイドレ
ールに押圧されることがあるのである。また、このよう
に圧接ローラの移動ストロークが小さいことから、ガイ
ドレール自体の幅寸法にも高い精度が要求されるととも
に、ガイドレールや圧接ローラ,駆動ローラが摩耗した
場合に、最大ストロークでも十分な摩擦力が得られなく
なり、早期に寿命に達するという不都合がある。
【0004】なお、移動台車と支持レールとの係合形態
をガイドレールの幅方向へのある程度の相対移動を許容
する構成とすることにより、支持レールとガイドレール
との平行度に関する要求は緩和されるが、それに伴って
移動台車の姿勢が不安定となり、振動などを引き起こし
て滑らかな移動を阻害する原因となるため好ましくな
い。
【0005】本考案は以上の事情を背景として為された
もので、その目的とするところは、各部の寸法誤差や摩
耗の影響が少ないとともに移動経路の設定の自由度が高
く耐久性に優れた摩擦移動装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本考案の要旨とするところは、(a)予め定められ
た移動経路に沿って配設されるとともに、幅方向の両側
に略鉛直で且つ平行な互いに反対向きの一対の第一ガイ
ド面および第二ガイド面が設けられたガイドレールと、
(b)そのガイドレールと略平行に配設され、移動台車
に略水平な軸心まわりの回転可能に配設されたサイドロ
ーラと係合させられることにより、その移動台車がその
ガイドレールの幅方向へ所定寸法だけ移動し得る状態で
その移動台車を重力に抗して支持する支持レールと、
(c)前記ガイドレールの長手方向と直角で且つ前記第
一ガイド面と平行な軸心まわりの回転可能に前記移動台
車に配設され、外周面がその第一ガイド面に押圧された
状態で上記軸心まわりに回転駆動されることにより、そ
れら外周面と第一ガイド面との間の摩擦により上記移動
台車を前記ガイドレールに沿って移動させる駆動ローラ
、(d)その駆動ローラの軸心と平行な回動軸心まわ
りの回動可能に前記移動台車に取り付けられるとともに
その駆動ローラの軸心と平行な軸心まわりの回転可能に
単一の押圧用ローラが設けられ、予め定められた作用部
に力が加えられることにより、前記ガイドレールの長手
方向において前記駆動ローラと略同じ位置で前記第二ガ
イド面にその押圧用ローラを押圧し、その反力でその駆
動ローラを前記第一ガイド面に押圧するレバー部材と、
(e)そのレバー部材の前記作用部と係合する出力ロッ
ドを備えて前記移動台車に配設され、その出力ロッドを
突き出し引込み駆動するとともにその出力ロッドの突き
出し位置を制御し、その突き出し位置に応じて上記レバ
ー部材を回動させる電動シリンダと、(f)それぞれ前
記駆動ローラの軸心と平行な軸心まわりの回転可能に前
記移動台車に配設され、前記ガイドレールの長手方向に
おいてその駆動ローラから離間した位置で前記第一ガイ
ド面または前記第二ガイド面と係合させられることによ
り、その駆動ローラおよび前記押圧用ローラと協働して
前記ガイドレールの幅方向におけるその移動台車の姿勢
を位置決めする複数の位置決め用ローラとを有して摩擦
移動装置を構成したことにある。
【0007】
【作用】このような摩擦移動装置においては、駆動ロー
ラの軸心と平行な軸心まわりの回転可能に移動台車に
圧用ローラおよび複数の位置決め用ローラが配設され、
それらの外周面がガイドレールの第一ガイド面または第
二ガイド面と係合させられることにより、ガイドレール
の幅方向における移動台車の姿勢が位置決めされるた
め、その幅方向の位置決めを支持レールによって行わな
くても済む。一方、駆動ローラの軸心と平行な回動軸心
まわりの回動可能に移動台車に取り付けられたレバー部
材には、押圧用ローラが第二ガイド面と係合可能に保持
され、そのレバー部材の作用部に力が加えられることに
より、レバー部材が回動軸心まわりに回動させられて上
押圧用ローラが第二ガイド面に押圧され、それにより
駆動ローラが相対的に第一ガイド面に押圧される。ま
た、レバー部材の作用部と係合する出力ロッドを突き出
し引込み駆動しつつその出力ロッドの突き出し位置を制
御し、その突き出し位置に応じてレバー部材を回動させ
る電動シリンダが移動台車に配設されており、回動させ
られるレバー部材の回動量に応じて駆動ローラの外周面
と第一ガイド面との間の摩擦力が制御される。
【0008】
【考案の効果】ここで、かかる摩擦移動装置は、駆動ロ
ーラが押圧されるガイドレールによって移動台車の位置
決めが行われるため、その移動台車を重力に抗して支持
する支持レールとガイドレールとの間には従来のような
高い平行度が要求されず、装置の耐久性が向上するとと
もに移動経路の設定の自由度が高くなる。また、レバー
部材に配設されてガイドレールに押圧される押圧用ロー
の移動ストロークは、レバー部材のレバー比やレバー
部材の作用部に対する電動シリンダの出力ロッドの係合
形態等によって適宜定められ、従来のピエゾ素子等によ
る圧接ローラの移動ストロークよりも十分に大きくでき
るため、ガイドレールの寸法誤差や摩耗等に拘らず、長
期に亘って駆動ローラと第一ガイド面との間に所望の摩
擦力を発生させることができる。
【0009】
【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて詳
細に説明する。図1は、本考案の一実施例である摩擦移
動装置10の平面図および正面図である。また、図2お
よび図3は、それぞれ図1における移動台車12付近を
詳細に示す平面図および正面図である。移動台車12
は、平面視において略正方形状を成しており、予め定め
られた移動経路に沿って設けられたガイドレール14等
に対して一組の対辺が平行となる姿勢で配設されてい
る。移動台車12の上面には、ワーク等の被移動部材を
載置する図示しない支持フレーム等を固定するための一
対の取付座12a,12bが設けられている。
【0010】図2において移動経路の幅方向中央に位置
しているガイドレール14は、図4に明らかに示されて
いるように横断面が方形を成しており、その鉛直な一対
の互いに平行な反対向きの側面の一方が第一ガイド面1
6、他方が第二ガイド面18とされている。ガイドレー
ル14の両側部には、ガイドレール14と平行に一対の
支持レール20および22が設けられている。具体的に
はガイドレール14と略同じ高さの平面上において、上
記第一ガイド面16および第二ガイド面18からそれぞ
れ一定の距離だけ離間して支持レール20および22が
配置されている。これらのガイドレール14および支持
レール20,22は、移動経路が設定された床面23上
に適当な間隔をあけて立設された複数の支柱部材24に
よって支持されており、移動台車12の移動経路は、図
1から明らかなように、途中に曲線部および傾斜部を含
んで構成されている。なお、支柱部材24は、各レール
部材の他に防塵用のカバー部材26(一部分のみ図示)
などをガイドレール14と平行に支持しているととも
に、このカバー部材26およびガイドレール14は、移
動台車12の内側中空部を移動方向に貫通した状態で配
設されている。
【0011】上記図4は図3におけるIV−IV断面図で、
支持レール20,22は、それぞれ、支柱部材24上に
固定された下側レール28、およびその下側レール28
から複数個のスペーサ32を介して所定寸法だけ上方に
離間して固定された上側レール30を有して構成されて
いる。一方、移動台車12には、図2の平面図における
四隅位置において、移動方向と直角な水平軸まわりの回
転可能に軸支された4つのサイドローラ34が側壁部1
2dから外側へ突き出して設けられており、それらのサ
イドローラ34は、上記支持レール20,22の下側レ
ール28および上側レール30間に位置させられてい
る。下側レール28および上側レール30間の前記所定
寸法は、このサイドローラ34の径寸法より僅かに大き
い寸法とされており、支持レール20および22に各サ
イドローラ34が転動しつつ案内されることにより、移
動台車12の重量がそれらサイドローラ34を介して支
持されるとともに、上下方向の位置決めがなされて移動
台車12の浮き上がりが防止される。
【0012】支持レール20側の支柱部材24と支持レ
ール22側の支柱部材24とは、床面側において敷板2
4aを介してそれぞれ一体的に連結されており、支持レ
ール20および22間の離間距離を規定しているが、本
実施例の摩擦移動装置10においては、サイドローラ3
4と支持レール20,22との係合によりガイドレール
14の幅方向における移動台車12の位置決めは為され
ず、レール部材間の高い位置精度が要求されないため、
支柱部材24等の骨格部材は、必要以上に剛性が大きく
ない簡略な構造とされている。また、図4から明らかな
ように、前記ガイドレール14は、支持レール20側の
支柱部材24にブラケット36を介して支持された状態
で移動台車12の内側中空部に位置させられているとと
もに、前記カバー部材26は、そのブラケット36に固
定された支持金具38を介して、移動台車12の上部内
側の幅広い中空範囲に亘って配設されている。これらガ
イドレール14およびカバー部材26はそれぞれ移動経
路の全長に亘って連続しているため、移動台車12は、
移動に際してこれらと干渉しないよう、移動方向に直角
な断面形状が略鞍型を成している。
【0013】そして、その移動台車12の内部には、ガ
イドレール14の長手方向と直角で且つ第一ガイド面1
6と平行な軸心まわりの回転可能に駆動ローラ40が配
設されている。段付きの軸状を成す駆動ローラ40は、
その中間部の外周面41がガイドレール14の第一ガイ
ド面16に接触する状態に、その外周面41の上下両端
側の部分がそれぞれ移動台車12に配設された一対のベ
アリング42および44により支持されている。そし
て、比較的大径であるその下端部は、ベアリング44の
さらに下方において移動台車12に一体的に固設された
駆動モータ46の出力軸48と相対回転不能に連結され
ている。上記外周面41がガイドレール14の第一ガイ
ド面16に押圧された状態で、駆動モータ46によりそ
の駆動ローラ40が軸心まわりに回転駆動されると、そ
の外周面41と第一ガイド面16との間の摩擦により駆
動ローラ40が第一ガイド面16に接触しつつ転動し
て、駆動ローラ40と一体の移動台車12がガイドレー
ル14に沿って移動させられる。
【0014】図5は、移動台車12の一部を切り欠いて
その要部構成を詳細に示す平面図であり、図6は、その
図5におけるVI−VI断面図である。移動台車12内に
は、ガイドレール14の第一ガイド面16または第二ガ
イド面18にそれぞれ接触係合する位置決めローラ5
0,52,54が駆動ローラ40の軸心と平行な軸心ま
わりの回転可能に配設されている。位置決めローラ50
は、ガイドレール14を挟んで駆動ローラ40と反対側
に位置している一方、位置決めローラ52および54
は、駆動ローラ40および位置決めローラ50からそれ
ぞれ移動方向に所定距離離間した位置において、互いに
ガイドレール14を挟んで位置している。位置決めロー
ラ52および54は、それらの軸心と平行な軸心まわり
の回動可能に移動台車12に配設された可動ホルダ56
および58にそれぞれ保持されており、それらはガイド
レール14に対して対称的に構成されている。
【0015】可動ホルダ56は、移動台車12の内側梁
部12cから鉛直下方に立設されたピン60に軸受ブッ
シュ59を介して軸嵌合しているとともに、ワッシャ6
1により下方への抜け落ちが阻止されている。また、こ
の可動ホルダ56は、位置決めローラ52を軸支した側
の端部が複数枚の皿ばね62およびそれらを同心に保持
する鍔付きシャフト64からなる付勢機構66と係合さ
せられることにより、位置決めローラ52がガイドレー
ル14に押圧される回動方向へ付勢されている。可動ホ
ルダ56の上記の付勢力を受ける端面には、鍔付きシャ
フト64と嵌合可能なように嵌合孔68が設けられてい
る。図7は、可動ホルダ56等の縦断面図であり、位置
決めローラ52は一対のベアリング70により上下両側
の軸端部を支持されている。位置決めローラ52がガイ
ドレール14と接触するように、移動台車12の側壁部
12dに螺合させられた前記鍔付きシャフト64を回転
させることにより、付勢機構66のガイドレール14側
への突き出し状態が調整されるようになっている。この
ような構成は位置決めローラ54を保持した可動ホルダ
58側についても略同様であるが、軸寸法を確保するた
めに鍔付きシャフト64に大径の軸部64aが設けられ
ている点が異なる。
【0016】なお、可動ホルダ56の下方には、ロータ
リーエンコーダ72が取り付けられており、位置決めロ
ーラ52の下側の軸端と相対回転不能に入力軸74が連
結されている。このロータリーエンコーダ72からの出
力パルスをカウントすることにより、位置決めローラ5
2の回転角度を算出して移動台車12の位置検出を行う
ようになっている。
【0017】図5および図6に戻って、移動台車12の
内側梁部12eには鉛直下方にピン76が立設されてお
り、ベアリング78を介してピン76まわりの回動可能
に鉤形状を成すレバー部材80が配設されている。前記
位置決めローラ50は、このレバー部材80のピン76
からの長さ寸法が短い側の一端部にピン76と平行に軸
支されることにより、駆動ローラ40と軸心が平行とな
る姿勢でガイドレール14の第二ガイド面18に転がり
接触可能とされている。レバー部材80の回動中心に対
して位置決めローラ50と反対側、すなわちピン76か
らの長さ寸法が長い他端には、水平で、且つ位置決めロ
ーラ50が第二ガイド面18と接触している状態におい
てガイドレール14の長手方向と略平行な軸心まわりの
回転可能にカムローラ82が設けられている一方、その
カムローラ82の外周面に係合する楔テーパ状のカム8
4が、前記ピン76と平行に移動台車12に固設された
電動シリンダ86の出力ロッド88の先端に設けられて
いる。カム84からカムローラ82に加えられる力の作
用方向は第二ガイド面18に対して略垂直であり、レバ
ー部材80の回動中心に対する位置決めローラ50とカ
ムローラ82とのモーメントの腕長さ寸法の比、すなわ
ちレバー部材80のレバー比は1:2程度である。
【0018】図3におけるVIII−VIII断面を示す図8か
ら判るように、出力ロッド88の軸心に対するカム84
の楔テーパの傾斜は比較的小さいので、カム84の移動
に対するカムローラ82の移動量は小さく、楔作用によ
る力の増幅率は比較的大きい。また、上記カム84を挟
んでカムローラ82と反対側の位置には、水平且つガイ
ドレール14の長手方向と平行な軸心まわりの回転可能
にバックアップローラ90が移動台車12の側壁部12
d近傍に設けられている。バックアップローラ90の軸
心の上下位置はカムローラ82の軸心の移動平面に一致
しているとともに、カム84のバックアップローラ90
と接触する側の面は出力ロッド88の軸心と平行であ
る。本実施例ではカムローラ82を備えたレバー部材8
0の他端側が作用部に相当する。
【0019】電動シリンダ86の内部構成を図9に詳細
に示す。前記出力ロッド88は、ケーシング92から突
き出した部分にカム84が取り付けられた先端側のシャ
フト部88aと、それと同心且つ相対回転不能にケーシ
ング92内部で連結された後端側のボールねじ部88b
とからなっている。シャフト部88aは、ケーシング9
2と一体的に配設されたボールスプライン93により軸
心方向の摺動可能且つ軸心まわりの回動不能に保持され
ている一方、ボールねじ部88bは、図示しない多数の
鋼球を介してボールナット94と螺合させられている。
ボールナット94は、ケーシング92に対して一対のベ
アリング96により軸心まわりの回転可能且つ軸心方向
の移動不能に支持されているとともに、ケーシング92
に一体的に固定された電動モータ98の出力軸100と
相対回転不能に連結されている。
【0020】電動モータ98は回転角度制御が可能なブ
レーキ機構付きのステッピングモータであり、この電動
モータ98を駆動制御することによりボールナット94
の回転角度を制御し、ボールねじ機構により突き出し引
込み駆動させられる出力ロッド88の突き出し位置を制
御できるようになっている。この電動モータ98や前記
駆動モータ46、前記ロータリーエンコーダ72は、例
えば移動経路に沿って設けられた架線と常に接触させら
れる接触子を備えたトロリー式の図示しない電気接続装
置を介して、床面23上に位置固定に配設された制御装
置等に接続され、駆動電力や信号が授受されるようにな
っている。
【0021】上記電動シリンダ86によって出力ロッド
88およびカム84が突き出されると、その突き出し力
はカム84の楔テーパの傾斜に応じて増幅され、前記カ
ムローラ82を介してレバー部材80を図5におけるピ
ン76の左まわり、すなわち前記位置決めローラ50を
ガイドレール14の第二ガイド面18に押し付ける方向
へ回動させる。このときの位置決めローラ50の押圧力
は、上記カム84の傾斜に応じて増幅された力がレバー
部材80のレバー比によってさらに増幅されたものにな
るとともに、レバー部材80の回動制御すなわち前記電
動モータ98の回転角度制御による出力ロッド88の突
き出し位置に応じて所望の値に調整制御される。このよ
うに位置決めローラ50が第二ガイド面18に押圧され
ると、その反力で移動台車12には図5の上方へ向かう
力が加えられるため、前記駆動ローラ40が相対的にガ
イドレール14の第一ガイド面16に押圧され、駆動ロ
ーラ40の外周面41とガイドレール14の第一ガイド
面16との間に所定の摩擦力が発生させられる。この摩
擦力、すなわち電動シリンダ86における電動モータ9
8の回転角度制御値は、移動経路各部における移動台車
12の移動速度や加減速度等に応じて予めティーチング
等により設定される。
【0022】そして、このように駆動ローラ40がガイ
ドレール14の第一ガイド面16に押圧された状態にお
いて、駆動モータ46により駆動ローラ40が正逆両方
向へ回転駆動されることにより、移動台車12は、駆動
ローラ40の外周面41と第一ガイド面16との間の摩
擦力により駆動力を発生し、ガイドレール14に沿って
往復移動させられる。移動台車12は、上記駆動ローラ
40および位置決めローラ50によりガイドレール14
を挾圧するとともに、それらのローラ40,50からガ
イドレール14の長手方向に離間した位置に配設された
前記一対の位置決めローラ52,54によってもガイド
レール14を挾圧することにより、その幅方向すなわち
第一ガイド面16および第二ガイド面18に対して垂直
な方向における位置決めが為され、一定の姿勢で走行さ
せられる。また、前記複数のサイドローラ34と支持レ
ール20,22との係合により、移動台車12はガイド
レール14と略同じ高さ位置に支持されるとともに鉛直
方向の位置決めが為され、走行中の浮き上がり等が防止
される。支持レール20,22は、移動台車12がガイ
ドレール14の幅方向へ所定寸法だけ移動し得る状態で
サイドローラ34と係合させられているため、上記駆動
ローラ40および位置決めローラ50,52,54とガ
イドレール14との係合による移動台車12の幅方向に
おける位置決めを阻害することはない。位置決めローラ
50は押圧用ローラに相当し、位置決めローラ52、5
4は位置決め用ローラに相当する。
【0023】このように、本実施例の摩擦移動装置10
は、駆動ローラ40が押圧されて駆動力を生じさせるガ
イドレール14に位置決めローラ50,52,54が係
合させられることにより、移動台車12の幅方向におけ
る位置決めが為されるため、駆動力発生用のガイドレー
ルとは別個に位置決め用の支持レールを設けて移動台車
を位置決めする従来装置のように、支持レールとガイド
レールとの平行度の悪さ等に起因して駆動ローラとガイ
ドレールとの間に隙間を生じたり、駆動ローラやガイド
レールに過大な力が加えられて装置の耐久性が損なわれ
たりするという問題が根本的に解消する。また、移動台
車12を支持する支持レール20,22とガイドレール
14との間には従来のような高い平行度が要求されない
ため、移動経路全体を簡略な構造とすることができ、移
動経路の設定の自由度が高くなるとともに、設備コスト
を低く抑えることが可能となる。
【0024】一方、駆動ローラ40を第一ガイド面16
に押圧する押圧手段は、位置決めローラ50と反対側の
作用部にカムローラ82を備えたレバー部材80や、出
力ロッド88の先端のカム84を上記カムローラ82に
係合させてレバー部材80を回動させる電動シリンダ8
6などから構成され、カムローラ82を押し廻す力をレ
バー比に応じて倍力して位置決めローラ50を第二ガイ
ド面18に押し付けることにより、駆動ローラ40を相
対的に第一ガイド面16に押圧するようになっている。
このような構成においては、駆動ローラ40を押圧する
際の位置決めローラ50の移動ストロークを比較的大き
くできることから、ピエゾ素子等から構成した移動スト
ロークの調整幅が小さい従来の摩擦移動装置のように位
置ずれや摩耗等による必要ストロークの変化に対応しき
れなくなるという不具合がなく、移動台車12の移動性
能を維持しつつ充分な装置寿命を確保することが可能で
ある。ガイドレール14自体の幅方向の寸法精度も従来
のように厳しく要求されない。なお、上記レバー部材8
0のレバー比やカム84の傾斜角度は、位置決めローラ
50の移動ストロークや押圧力、電動シリンダ86の出
力などを考慮して適宜設定される。
【0025】また、上記カムローラ82を押し廻すため
に、楔テーパ状のカム84を先端に備えた出力ロッド8
8を突き出し引込み駆動する電動シリンダ86が設けら
れ、その出力ロッド88がボールねじ機構を介して回転
角度制御可能な電動モータ98により駆動されるように
なっているため、カムローラ82の移動ストロークより
もカム84のストロークが大きいことと相俟って、レバ
ー部材80の回動量が正確に制御されて駆動ローラ40
と第一ガイド面16との間の摩擦力が高い精度で制御さ
れるとともに、ガイドレール14への押し付け動作が確
実に得られ、且つ速やかな応答性能が得られる利点があ
る。
【0026】また、本実施例では位置決めローラ52の
回転角度をロータリーエンコーダ72によって検出する
ことにより移動台車12の位置検出を行うようになって
いるため、駆動ローラ40を回転駆動する駆動モータ4
6の回転角度位置から移動台車12の位置検出を行う場
合に比較して、スリップ等による検出誤差が少なく、移
動台車12を高い精度で位置決め制御できる。
【0027】以上、本考案の一実施例を図面に基づいて
詳細に説明したが、本考案は他の態様で実施することも
できる。
【0028】例えば、前述の実施例においては3つの位
置決めローラ50,52,54が配設され、そのうちの
位置決めローラ52および54は、駆動ローラ40およ
び位置決めローラ50からそれぞれ移動方向に所定距離
離間した位置において、互いにガイドレール14を挟ん
で位置させられていたが、位置決めローラ54に替え
て、移動方向において駆動ローラ40に対して位置決め
ローラ52と反対側、すなわち前記電動シリンダ86付
近に位置決めローラを配設し、第一ガイド面16に接触
させるようにしたり、位置決めローラ52に替えて、移
動方向において位置決めローラ50に対して位置決めロ
ーラ54と反対側、すなわちガイドレール14に対して
電動シリンダ86と反対側の位置に位置決めローラを配
設し、第二ガイド面18に接触させるようにしても前述
の実施例と同様に移動台車12の位置決めを行うことが
可能である。また、上記のような別態様の位置決めロー
ラを前述の実施例に追加して配設しても差支えなく、位
置決めローラの個数は適宜変更され得る。
【0029】また、前述の実施例における位置決めロー
ラ52および54は、可動ホルダ56および58にそれ
ぞれ保持されるとともに調整機能を備えた付勢機構66
により各位置決めローラがガイドレール14に押圧され
るように付勢されていたが、必ずしも付勢機構66によ
り付勢されるように位置決めローラ52および54を設
ける必要はなく、調整機能のない付勢機構が用いられて
も良いし、それらが移動台車12に対して位置固定に設
けられても良い。
【0030】
【0031】また、前述の実施例におけるレバー部材8
0は、位置決めローラ50と作用部(カムローラ82)
との中間の一軸心(ピン76)まわりに回動させられる
ように配設され、図5におけるピン76の左まわりに回
動させられることにより位置決めローラ50をガイドレ
ール14の第二ガイド面18に押し付けるようになって
いたが、レバー部材等の形態は前述の実施例のものに限
定されることはなく、例えば、位置決めローラ50を回
動中心と作用部との中間に有するとともに、図5におけ
る右まわりに回動することにより位置決めローラ50を
第二ガイド面18に押し付けるようなレバー部材などを
配設することも可能である。
【0032】また、前述の実施例におけるレバー部材8
0の作用部は、電動シリンダ86の出力ロッド88に設
けられたカム84と係合させられるカムローラ82を備
えたものであったが、位置決めローラ50を第二ガイド
面18に押圧するようにレバー部材80を回動させる力
を作用させ得るものであれば、どのような形態の作用部
が構成されても良く、例えば、出力ロッド88の先端に
設けられたカムローラと係合させられるカム、或いは、
レバー部材の回動軸心と平行な軸心まわりの回動可能に
設けられた電動シリンダの出力軸先端と相対回転可能に
連結されるヒンジピンなどにより作用部が構成されても
良い。
【0033】また、前述の実施例におけるバックアップ
ローラ90は、必ずしも設けられなくても差し支えない
し、カムローラ82の軸心方向や電動シリンダ86の配
設方向(出力ロッド88の突き出し方向)は、レバー部
材の作用部における係合形態によって適宜変更され得
る。
【0034】また、前述の実施例における電動シリンダ
86は、出力ロッド88の後端側のボールねじ部88b
が多数の鋼球を介してボールナット94と螺合させられ
ているとともに、そのボールナット94が電動モータ9
8により回転駆動されて出力ロッド88を突き出し引込
み駆動するようになっていたが、位置固定のボールねじ
軸が回転駆動されて軸心方向に移動させられるボールナ
ットに出力ロッド88が連結された形式のものでも良い
し、かかるボールねじ機構以外の通常の滑りねじ機構や
ローラねじ機構等により駆動される出力ロッドを備えた
電動シリンダが用いられても、その出力ロッドの突き出
し位置を制御することが可能であれば差支えない。
【0035】
【0036】
【0037】また、前述の実施例における移動経路は曲
線部および傾斜部を含むものであったが、それらを有し
ない直線状の移動経路や、曲線部および傾斜部を同じ位
置に有するものなど、移動経路の形態は適宜変更され得
る。曲線部において向心力を得るためにガイドレールの
横断面が曲率中心側へ傾斜させられ、より高速の移動が
可能とされている場合でも良い。
【0038】また、前述の実施例における移動台車12
は、上面側に被移動部材を載置する形式のものであった
が、駆動モータ等を上面側に設けるなどして下面側に被
移動部材を吊り下げるようにしたり、側面に被移動部材
を取り付けるようにしたりすることも可能である。
【0039】また、前述の実施例においては、移動台車
12の中空部をガイドレール14と共に貫通してカバー
部材26が配設されていたが、このような防塵用の部材
は必ずしも設ける必要はなく省略して差し支えないとと
もに、図4に一点鎖線で示すような他のカバー部材や別
形態の部材が追加して設けられても良い。
【0040】また、前述の実施例においては、移動台車
12と制御装置との間の制御信号の授受をトロリー形式
の電気接続装置により行っていたが、無線送受信機など
を利用して各種制御信号の授受を行うようにしても良
い。
【0041】その他一々例示はしないが、本考案は当業
者の知識に基づいて種々の変更,改良を加えた態様で実
施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例である摩擦移動装置を示す図
で、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】図1の摩擦移動装置における移動台車付近を詳
細に示す平面図である。
【図3】図1の摩擦移動装置における移動台車付近を詳
細に示す正面図である。
【図4】図3におけるIV−IV断面図である。
【図5】図2の移動台車の一部を切り欠いて示す平面図
である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】図6の位置決めローラ等の縦断面図である。
【図8】図3におけるVIII−VIII断面図である。
【図9】図8の電動シリンダを詳細に示す断面図であ
る。
【符号の説明】
10:摩擦移動装置 12:移動台車 14:ガイドレール 16:第一ガイド面 18:第二ガイド面20,22:支持レール 34:サイドローラ 40:駆動ローラ 41:外周面50:位置決めローラ(押圧用ローラ) 52,54:位置決めローラ(位置決め用ローラ) 80:レバー部材 82:カムローラ(作用部) 86:電動シリンダ 88:出力ロッド
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B61B 13/04 B61B 13/06 B61B 13/12

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め定められた移動経路に沿って配設され
    るとともに、幅方向の両側に略鉛直で且つ平行な互いに
    反対向きの一対の第一ガイド面および第二ガイド面が設
    けられたガイドレールと、該ガイドレールと略平行に配設され、移動台車に略水平
    な軸心まわりの回転可能に配設されたサイドローラと係
    合させられることにより、該移動台車が該ガイドレール
    の幅方向へ所定寸法だけ移動し得る状態で該移動台車を
    重力に抗して支持する支持レールと、 前記 ガイドレールの長手方向と直角で且つ前記第一ガイ
    ド面と平行な軸心まわりの回転可能に前記移動台車に配
    設され、外周面が該第一ガイド面に押圧された状態で該
    軸心まわりに回転駆動されることにより、該外周面と該
    第一ガイド面との間の摩擦により該移動台車を該ガイド
    レールに沿って移動させる駆動ローラと 駆動ローラの軸心と平行な回動軸心まわりの回動可能
    に前記移動台車に取り付けられるとともに該駆動ローラ
    の軸心と平行な軸心まわりの回転可能に単一の押圧用ロ
    ーラが設けられ、予め定められた作用部に力が加えられ
    ることにより、前記ガイドレールの長手方向において前
    記駆動ローラと略同じ位置で前記第二ガイド面に該押圧
    用ローラを押圧し、その反力で該駆動ローラを前記第一
    ガイド面に押圧するレバー部材と、 該レバー部材の前記作用部と係合する出力ロッドを備え
    て前記移動台車に配設され、該出力ロッドを突き出し引
    込み駆動するとともに該出力ロッドの突き出し位置を制
    御し、該突き出し位置に応じて該レバー部材を回動させ
    る電動シリンダと それぞれ前記駆動ローラの軸心と平行な軸心まわりの回
    転可能に前記移動台車に配設され、前記ガイドレールの
    長手方向において該駆動ローラから離間した位置で前記
    第一ガイド面または前記第二ガイド面と係合させられる
    ことにより、該駆動ローラおよび前記押圧用ローラと協
    働して前記ガイドレールの幅方向における該移動台車の
    姿勢を位置決めする複数の位置決め用ローラと を有する
    ことを特徴とする摩擦移動装置。
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