JP2587430B2 - 自動変速機の変速制御装置 - Google Patents

自動変速機の変速制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、自動変速機の制御装置に関する。
[従来技術とその問題点] 一般に、自動変速機の制御においては、運転域をシフ
トパターン(シフトライン)で複数の変速域に分割して
おき、エンジン負荷と車速とで特定される運転状態があ
る変速域から他の変速域にシフトラインを横切って変化
したときには、変化の方向にしたがって、自動変速機を
シフトアップ又はシフトダウンする制御方式が採用され
ている。
この種の自動変速機の制御方式として、負荷に対応す
るスロットル開度が設定開度以下になると、強制的にシ
フトダウンを実行するようにしたものが提案されている
(例えば、特開昭52−20630号広報参照)。この制御方
式は、例えば、4速で走行中に減速をかけたときには、
直ちに4速から3速にシフトダウンし、エンジン回転数
を上昇させることにより、燃料カットの時間を長くし、
燃費性を改善しようとするものである。
しかしながら、走行中に加減速を繰り返し行う必要が
ある場合、、スロットル開度が設定開度となるごとに、
シフトダウンとシフトアップとが交互に繰り返され、強
制シフトダウン後にアクセルが踏み込まれると直ちにシ
フトアップされるため、所謂シフトショックが惹起さ
れ、運転性が悪化するという問題がある。
[発明の目的] 本発明は、かかる問題を解消すべくなされたものであ
って、強制シフトダウン後のシフトアップに際し、所謂
シフトショックを惹起することのない自動変速機の制御
装置を提供することを目的としている。
[発明の構成] このため、本発明においては、加速減が繰り返される
ような運転時には車速が安定せず、逆に車速が安定する
ような運転状態は加速減が繰り返されていないという事
実に着目して、車速の上昇率を監視しておき、強制シフ
トダウン後スロットルが設定開度より大きく開かれてと
きも直ちにシフトアップせず、車速の上昇率が鈍化した
段階、即ち車速が所望の車速に近づいたことが検出され
たときに、はじめてシフトアップを実行するようにした
ことを基本的な特徴としている。
[発明の効果] 本発明によれば、強制的にシフトダウンされた後、ア
クセルを踏み込んでシフトダウンされる以前の運転域に
移行されたときにも、直ちにシフトアップされることが
なく、車速の上昇率が鈍化して所望の速度に近づいたと
きにのみシフトアップが実行されるので、加減速が繰り
返されるような運転時には、シフトダウン,シフトアッ
プが繰り返されることがなく、したがって所謂シフトシ
ョップを確実に防止することができる。
[実施例] 以下、本発明にかかる実施例を添付の図面を参照して
具体的に説明する。
第2図に示すように、自動変速機11を制御するための
マイクロコンピュータCPUには、エンジンの吸気系,燃
料系等のエンジン全体の制御を行うため電子コントロー
ルユニットECUからスロットル開度TVOおよび車速Speed
が入力されており、各種シフトソレノイド群12(具体的
に図示せず)にその時々に必要な変速信号(駆動信号)
を出力して自動変速機11を自動制御する。
この自動変速機11の制御は、シフトレバー(図示せ
ず)によって指定されるシフトホジションに応じて行な
われ、Dレンジの如く、例えば1速から4速の変速段が
設定されている場合には、予め制御用マイクロコンピュ
ータCPU内に格納されたシフトパターンにしたがって、
スロットル開度TVOと車速Speedの変化に対応してシフト
ダウン或いはシフトアップを行う。
以上の基本制御は従来と同様でよく知られているの
で、詳しい説明を省略し、以下では本発明が特徴とする
い部分について具体的に説明する。
第1図は、自動変速機11の制御用マイクロコンピュー
タCPUが実行する制御を機能化して示すものである。第
1図において、14はギヤポジション選択回路であって、
スロットル開度TVO、車速Speedが入力されるとともに、
スロットル開度比較回路15,車速比較回路16およびスロ
ットル開度変化率、車速変化率比較回路17からの各出力
が入力されるようになっている。スロットル開度比較回
路15は、スロットル開度TVOと車速Speedとを入力とし、
第3図に示す3速と4速とのシフトラインSLにしたがっ
て、現在のスロットル開度TVOが4速領域4thにあるが、
3速領域3rdにあるかを判定するための回路であり、車
速比較回路16は、車速Speedがスロットル開度TVO=φと
なる4(シフトラインSLの部分の両端の車速Speed1とSp
eed2との間にあるか否かを判定するための回路である。
一方、スロットル開度変化率、車速変化率比較回路17
は、前段の微分値演算回路18によって演算されるスロッ
トル開度の微分値ΔTVOと車速Speedの微分値ΔSpeedと
に基づいて以下に詳述する判定を行うための回路であっ
て、基本的には車速Speedの上昇率が鈍化したか否かを
判定する。上記ギヤボジション選択回路14は、3速−4
速切換制御を第4図に示すフローチャートにしたがって
実行する。
制御が開始されると、ステップ#1でスロットル開度
TVOと車速Speedとを読み込む。ステップ#2では減速フ
ラグ(減速F)が立っているか否かを判定し、減速F=
1であるとき、つまり減速運転時であれば、ステップ#
3で車速Speedが特定の範囲にあるか否かを判定する。
この特定の範囲は、第3図に示したシフトラインSLのス
ロットル開度TVO=φ(TVOφ)の部分の両端の車速Spee
d1とSpeed2とで決まる範囲とし、この範囲に含まれてい
る場合には、ステップ#4でスロットル開度TVOがTVOθ
より小さいか否かが判定される。TVOθより小さい場合
には(TVO<TVOθ)、3速領域にあり4速への切換えの
必要がないので、そのままリターンする。スロットル開
度TVOがTVOθ以上である場合には、ステップ#5に進ん
でまずTVOθであるか否かを判定し、等しい場合(TVO=
TVOθ)、ステップ#6でその時点での車速変化(ΔSpe
ed)TVOθを読み込んだ後リターンする。スロットル開
度TVOがTVOθより大きい場合には、ステップ#7に進ん
で現在のスロットル開度TVOが車速Speedとの関係で4速
領域(第3図参照)にあるか否かを判定する。スロット
ル開度TVOが4速領域にない場合には、シフトアップの
必要がないのでそのままリターンする。
一方、スロットル開度TVOが4速領域にある場合に
は、ステップ#8でスロットルの開度変化ΔTVOが正で
あるか否かを判定する。開度変化ΔTVOが負でない場
合、つまりアクセルペダルが今だ踏み込まれつつある場
合には、ステップ#9で、その時点での車速変化ΔSpee
dがステップ#6で読み込んでおいたスロットル開度がT
VOθと等しい時の車速変化(ΔSpeed)がTVOθより十分
小さくなっているか否かを判定する。より具体的には、
0<K<1の範囲にある係数Kを用い、この係数Kと車
速変化(ΔSpeed)TVOθとの積と現在の車速変化ΔSpee
dとを比較する。ここで車速変化を問題とするのは、以
下の理由による。
いま、アクセルペダルを軽く踏み込んで、第5図に示
すように、時刻t1でスロットル開度TVOを目標とするス
ロットル開度にしたとすると、第6図に示すように、車
速は上昇し、時刻t1より遅い時刻t2で目標スロットル開
度と変速段とにより規定される目標車速に達する。その
場合、車速の変化は、スロットル開度が目標スロットル
開度に達した時刻t1以降緩慢となる。したがって、車速
の変化、実際には車速の上昇率が小さくなったことを検
出すれば、現在の運転状態が安定したものであるか否
か、換言すれば、アクセルペダルの開閉が繰り返される
ような運転時であるか否かを判定することができる。
したがって、ステップ#9での判定条件が成立した場
合(ΔSpeed≦K(ΔSpeed)TVOθ)、はじめて3速か
ら4速へのシフトアップが許可され、ステップ#10でシ
フトアップを実行する。
以上のように、アクセルペダルが踏み込まれてスロッ
トル開度TVOが既に4速領域に入っている場合でも、 ΔTVO≧O(ステップ#8)、 ΔSpeed≦K(ΔSpeed)TVOθ(ステップ#9) の2条件が成立しない限り、3速から4速へのシフトア
ップは行われない。アクセルペダルの開閉が繰り返され
るような運転時にあっては、車速変化ΔSpeedがK(ΔS
peed)TVOθ以下になる以前にアクセルペダルの踏み込
みが解除されるので、シフトアップが実行されることは
なく、したがって、シフトアップ,シフトダウンの繰り
返しによる変速ショックを確実に回避することができ
る。
4速へのシフトアップを実行した場合には、ステップ
#11でそれまで記憶していた(ΔSpeed)TVOθをクリア
し、ステップ#12でシフトフラグSFを4速であることを
示す零にセットし、減速フラグを零にセットしたうえで
リターンする。
なお、ステップ#3の判定で“NO"の場合には、ステ
ップ#14に進んで、車速SpeedがSpeed2より大きいか否
かを判定し、Speed2より大きい場合には、第3図から明
らかなように、4速領域なのでステップ#10に進んで4
速へのシフトアップを実行する。
次に、減速フラグが立っていない場合、つまりステッ
プ#2の判定で“NO"の場合の処理について説明する。
いま、ステップ#15でシフトフラグSFが零であると判
定された場合、つまり、現在の変速域が4速である場
合、ステップ#16で変速Speedが、前記特定の範囲にあ
るか否かを判定する。そして、Speed1≦Speed≦Speed2
である場合には、ステップ#17に進んでスロットル開度
TVOがTVOθより小さいか否かが判定され、“YES"である
場合には、シフトダウンの条件が成立しているので、ス
テップ#18で4速から3速へのシフトダウンを実行し、
ステップ#19でシフトフラグSFを3速を示す“1"にセッ
トし、ステップ#20で減速フラグを“1"にセットする。
ステップ#16又はステップ#17の条件が成立しない場合
には、シフトダウンの必要がないのでそのまゝリターン
する。
以上のようにして、3速と4速との間のシフトアップ
及びシフトダウンの制御を行う。
なお、上記の実施例では、ドライブレンジの3速と4
速との間の切換制御について説明したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、他の変速域やレンジにも同
様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例にかかる変速制御回路のブロッ
ク説明図、第2図は同じく自動変速機の制御システムの
全体構成図、第3図は3−4速のシフトパターンを示す
グラフ、第4図は3−4速切換え制御のフローチャー
ト、第5図はスロットル開度の上昇パターンを示すグラ
フ、第6図は第5図のスロットル開度パターンに対応し
た車速の上昇パターンを示すグラフである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】予め設定されたシフトラインを横切って運
    転状態が変化したときに変化の方向に応じてシフトアッ
    プもしくはシフトダウンを行うようにするとともに、所
    定のシフト域内でスロットル開度が設定開度以下に低下
    したときには、強制的にシフトダウンを行うようにした
    自動変速機において、 車速の上昇率を検出する手段を設けるとともに、強制シ
    フトダウン後上記所定のシフト域においてスロットル開
    度が上記設定開度以上に上昇しても、車速の上昇率が設
    定値以下に低下するまでシフトアップを遅延させるシフ
    トアップ制御手段を設けたことを特徴とする自動変速機
    の変速制御装置。
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