JP2585686B2 - 回転式熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、主としてシャーベット状の氷を製造するた
めに用いられる回転式熱交換器に関する。

（従来の技術） 最近、電力需要の平均化を図るため、需要の少ない夜
間にシャーベット状の氷を予め製造して蓄えておき、昼
間にその蓄えた氷で室内冷房を行うという冷房技術が開
発されつつある。

しかしてシャーベット状の氷を製造する熱交換器の例
として、従来、例えば日経メカニカル（1986年11月17日
号，第77頁）に記載され、又、第６図に示すように、被
熱交換媒体となる製氷用溶液の流入口（Ｘ）と流出口
（Ｙ）とをもつ縦長状ケーシング（Ｋ）の内部に、複数
本の伝熱管（Ｐ）・・・・を上下方向に支持し、該各伝
熱管（Ｐ）周りに、取入口（Ｚ）及び取出口（Ｗ）を介
して熱交換媒体である冷媒を流通させて、各伝熱管
（Ｐ）を流下する製氷用溶液を冷媒で冷却して、該各伝
熱管（Ｐ）の内部でシャーベット状の氷を製造し、この
氷を流出口（Ｙ）から外部に取出すようにしたものがあ
る。

所が、上記のものでは、各伝熱管（Ｐ）の内壁面に氷
が付着し易く、この氷が徐々に成長して、該各伝熱管
（Ｐ）を閉塞し、シャーベット状氷の製造効率が著しく
困難となる問題があり、別のタイプの熱交換器として、
被熱交換媒体たる溶液が流通される内管に、該内管の内
周面に摺接するブレードを備えた回転ドラムを内装し、
内管の内周面に発生する氷を、ブレードで掻取るように
した所謂回転式のものがある。

（発明が解決しようとする課題） 以上のごとき回転式熱交換器では、発生した氷による
凍結防止が図れて良好な製氷が行い得るのであるが、回
転ドラムを内管に内装するには、該ドラムを内管の軸方
向一端側から内部へと挿入しなければならず、又、一般
にこれら回転ドラム及び内管は軸方向に長尺とされるこ
とから、該回転ドラムの挿入側先端エッジ部などが前記
内管の内周面に接触して該内周面を損傷したりする問題
が起こるのであった。

特に前記内管の内周面は、熱交換媒体と被熱交換媒体
との伝熱面となることから、ホーニング加工などを施し
て精密仕上げを行うのが一般的であり、斯くのごとく精
密仕上げされた前記内周面を損傷したりすると、熱交換
効率が著しく低下させることになるのであった。

本発明は回転式熱交換器において特有の問題となる回
転ドラムの組付け時の改善を図るべく発明したもので、
その目的は、回転ドラムの内管への挿入時に、該内管の
内周面と回転ドラムとの間に常に所定の隙間を保持可能
とすることにより、回転ドラムの先端エッジ部などで前
記内管の内周面を損傷したりするのを確実に防止できる
回転式熱交換器を提供することにある。

（課題を解決するための手段） 本発明は、図面の実施例に示したごとく、軸方向一端
部に被熱交換媒体の流入口（11）を、他端部に前記被熱
交換媒体の流出口（12）を設けた内管（１）と、熱交換
媒体の取入口（21）と取出口（22）とを設けた外管
（２）とを備え、前記内管（１）に、該内管（１）の内
周面（1a）に摺接するブレード（３）を備えた回転ドラ
ム（４）を、該ドラム（４）の軸方向一端側から挿入し
て内装し、前記内周面（1a）を伝熱面として前記被熱交
換媒体の熱交換を行うようにした回転式熱交換器であっ
て、前記回転ドラム（４）の外周面（4a）で、該回転ド
ラム（４）の前記内管（１）への挿入側先端部に、挿入
時に前記外周面（4a）の前記内周面（1a）への接触を阻
止する挿入案内体（８）を取付けていることを特徴とす
るものである。

（作用） しかして以上のごとき回転式熱交換器の組立時で、前
記回転ドラム（４）を前記内管（１）の軸方向一端側か
ら挿入する場合には、前記挿入案内体（８）により前記
内管（１）の内周面（1a）と前記回転ドラム（４）の外
周面（4a）との間に、常に所定の隙間が確保されるので
あり、従って前記内管（１）及び回転ドラム（４）が長
尺とされているにも拘わらず、これら内管（１）と回転
ドラム（４）との接触が阻止され、該回転ドラム（４）
の先端エッジ部などで、前記熱交換媒体の熱交換時に伝
熱面となる前記内管（１）の内周面（1a）を損傷したり
することが防止されるのである。

（実施例） 第４図及び第５図に示した回転式熱交換器は、横長状
とされた内管（１）と、該内管（１）の外部側に気密状
に挿嵌された外管（２）とを備え、前記内管（１）の長
さ方向一端側で外周下部側に被熱交換媒体たる製氷用溶
液の流入口（11）を、また長さ方向他端側で外周上部側
に前記溶液の流出口（12）をそれぞれ設けると共に、前
記外管（２）の外周下部側で複数箇所に熱交換媒体たる
冷媒の取入口（21）を、また外周上部側で複数箇所に該
冷媒の取出口（22）をそれぞれ設ける一方、前記内管
（１）の内部側に、この内管（１）の内周面（1a）に摺
接する複数のブレード（３）を揺動自由に支持した回転
ドラム（４）を、該回転ドラム（４）の軸方向一端側か
ら挿入することにより内装している。

前記ブレード（３）は、回転ドラム（４）の軸方向長
さに沿って４分割して４対（3a,3a）（3b,3b）（3c,3
c）（3d,3d）配設され、各一対は互いに回転ドラム
（４）の円周上180゜隔てて対向状に設けられ、又、各
対は該回転ドラム（４）の軸方向長さに沿って互いに45
℃づつ偏位させて設けている。

前記内管（１）の内周面（1a）は、後で詳述するごと
く、前記溶液と冷媒との熱交換時に伝熱面とされること
から、ホーニング加工などの精密加工を施している。

斯くして前記内管（１）の内周面（1a）と、この内管
（１）の内部側に回転自由に支持した前記回転ドラム
（４）の外周面（4a）との間に、前記溶液の熱交換室
（Ａ）を形成し、また前記内管（１）と該内管（１）の
外部側に挿嵌させた前記外管（２）との間に、冷媒の循
環室（Ｂ）を形成して、前記流入口（11）から前記熱交
換室（Ａ）に供給された溶液を、前記内管（１）の内周
面（1a）を伝熱面として、前記循環室（Ｂ）で循環され
る冷媒で冷却することにより、前記溶液をシャーベット
状の氷となし、前記熱交換室（Ａ）から前記流出口（1
2）を介して外部に取出すようにしている。

また、前記回転ドラム（４）の外周面（4a）に前記ブ
レード（３）を揺動自由に支持するにあたっては、第３
図に示すように、前記ドラム（４）の外周面（4a）に、
多角形状とされた取付片（５）を半径方向外方に向かっ
て一体に突設すると共に、前記ブレード（３）の前記回
転ドラム（４）側に円筒形状をなす取付基部（31）を一
体形成して、前記取付片（５）に設けた貫通孔と前記ブ
レード（３）の取付基部（31）とに、長尺とされた１本
のシャフト（６）を挿通させることにより、前記ブレー
ド（３）を前記取付片（５）を介して前記回転ドラム
（４）の外周面（4a）に揺動自由に支持させるようにし
ている。

更に、前記取付片（５）と前記ブレード（３）の取付
基部（31）との間には、コイルスプリング（７）を介装
させて、該スプリング（７）で前記ブレード（３）の先
端部を前記内管（１）の内周面（1a）に常時接触させ、
前記内周面（1a）に発生する氷を効率良く掻取るように
している。

また、前記内管（１）の長さ方向両側で開放端部側に
は、第１及び第２鍔部（13）（14）をそれぞれ一体に取
付けると共に、前記回転ドラム（４）の長さ方向両側
に、それぞれ軸受やシール部材などを内装した第１及び
第２軸受ハウジング（41）（42）を一体に設け、この第
１ハウジング（41）にモータ（図示せず）に連結される
駆動軸（43）を突設させている。

斯くして前記回転式熱交換器の組立時には、第１図及
び第４図で明らかなごとく、前記回転ドラム（４）を前
記内管（１）の内部へと、前記第１ハウジング（41）側
から挿入させて、この第１ハウジング（41）を前記第１
鍔部（13）の中心部に設けた開口部（13a）に係合させ
た状態で、前記内管（１）の他方側に配置される取付蓋
（15）と、前記第２鍔部（14）との間に、複数の締付ボ
ルト（16）を螺締することにより、前記内管（１）の内
部に前記回転ドラム（４）を組込み、この回転ドラム
（４）と前記内管（１）との間に、前記溶液の熱交換室
（Ａ）を確保するようにしている。

また、前記外管（２）の長さ方向両側で、該外管
（２）と前記内管（１）との間には、これら内，外管
（１）（２）を所定間隔に保持する保持部材（17）を設
けて、この保持部材（17）で前記内，外管（１）（２）
間に前記冷媒の循環室（Ｂ）を確保するようにしてい
る。

しかして以上のごとき回転式熱交換器において、前記
回転ドラム（４）の外周面（4a）で、該回転ドラム
（４）の前記内管（１）への挿入側先端部に、挿入時に
前記回転ドラム（４）の外周面（4a）と前記内管（１）
の内周面（1a）との間に、所定の隙間を確保可能とした
合成樹脂などの軟質材料から成る挿入案内体（８）を取
付け、この案内体（８）により、前記回転ドラム（４）
の前記内管（１）への挿入時に、該内管（１）の内周面
（1a）に対する前記回転ドラム（４）の接触を阻止し、
この回転ドラム（４）の先端エッジ部などでホーニング
加工などの精密加工が施された前記内周面（1a）を損傷
したりするのを阻止するごとくなしたのである。

具体的には、第１図乃至第３図で詳しく示したごと
く、前記回転ドラム（４）の外周面（4a）で複数箇所
に、該外周面（4a）に対する前記ブレード（３）の取付
片（５）を利用して、この取付片（５）の２組を所定間
隔をあけて前記回転ドラム（４）の外周面（4a）に一体
に取付けると共に、前記案内体（８）を前記各取付片
（５）よりも広幅でかつ高位となるように多角形状に形
成して、斯く形成された案内体（８）を前記各取付片
（５）間に介装させて、該各取付片（５）に形成した貫
通孔間に固定ピン（81）を挿通させることにより、前記
案内体（８）を前記回転ドラム（４）の外周面（4a）に
取付けるのである。

前記案内体（８）は、前記回転ドラム（４）の前記内
管（１）に対する組付時に、該内管（１）の内周面（1
a）との間に約3mm程度の隙間が確保されるような高さに
形成するのであり、斯くすることにより前記内管（１）
に対する前記回転ドラム（４）の挿入時に、前記案内体
（８）で前記回転ドラム（４）の先端エッジ部などが前
記内周面（1a）に接触するのを阻止できながら、前記案
内体（８）で前記回転ドラム（４）の芯出しが容易に行
えるのであり、しかも前記内管（１）に前記回転ドラム
（４）を組付けた後には、前記案内体（８）で阻害され
ることなく、前記回転ドラム（４）の円滑な回転が行え
るのである。

尚、第４図中、（18）は前記外管（２）の複数箇所に
取付けた液面計である。

（発明の効果） 以上説明したごとく本発明にかかる回転式熱交換器で
は、回転ドラム（４）の外周面（4a）で、該回転ドラム
（４）の内管（１）への挿入側先端部に、前記回転ドラ
ム（４）の挿入時に、前記外周面（4a）の前記内周面
（1a）への接触を阻止する挿入案内体（８）を取付ける
ようにしたから、前記回転式熱交換器の組立時で、前記
回転ドラム（４）を前記内管（１）の軸方向一端側から
挿入する場合に、前記案内体（８）で前記内管（１）の
内周面（1a）と前記回転ドラム（４）の外周面（4a）と
の間に、常に所定の隙間を確保できるのであり、従って
前記内管（１）と回転ドラム（４）との接触を阻止し
て、該回転ドラム（４）の先端エッジ部などで、前記熱
交換媒体の熱交換時に伝熱面となる前記内管（１）の内
周面（1a）を損傷したりするのを確実に防止できるに至
ったのである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかる回転式熱交換器の要部を示す正
断面図、第２図は同要部の側断面図、第３図は同要部の
拡大斜視図、第４図は回転式熱交換器の全体構造を示す
一部切欠正面図、第５図は同縦断面図、第６図は従来技
術の説明図である。 （１）……内管 （1a）……内周面 （11）……流入口 （12）……流出口 （２）……外管 （21）……取入口 （22）……取出口 （３）……ブレード （４）……回転ドラム （4a）……外周面 （８）……挿入案内体

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 倉多 明 大阪府堺市金岡町1304番地 ダイキン工 業株式会社堺製作所金岡工場内 (56)参考文献 特開 昭58−2567（ＪＰ，Ａ) 実公 昭42−18539（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】軸方向一端部に被熱交換媒体の流入口（1
   1）を、他端部に前記被熱交換媒体の流出口（12）を設
   けた内管（１）と、熱交換媒体の取入口（21）と取出口
   （22）とを設けた外管（２）とを備え、前記内管（１）
   に、該内管（１）の内周面（1a）に摺接するブレード
   （３）を備えた回転ドラム（４）を、該ドラム（４）の
   軸方向一端側から挿入して内装し、前記内周面（1a）を
   伝熱面として前記被熱交換媒体の熱交換を行うようにし
   た回転式熱交換器であって、前記回転ドラム（４）の外
   周面（4a）で、該回転ドラム（４）の前記内管（１）へ
   の挿入側先端部に、挿入時に前記外周面（4a）の前記内
   周面（1a）への接触を阻止する挿入案内体（８）を取付
   けていることを特徴とする回転式熱交換器。