JP2585583B2 - 超音波モ−タ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、扇形状の圧電体振動子の側面に発生する進
行波を利用した超音波モータに関するものである。

従来技術 現在提案されている超音波モータは、円環形圧電セラ
ミックの片面に２組の電極群を接着し、それぞれの電極
群によって励振される定在波が位置的に90°ずれるよう
に電極を配置し、さらにこれら２組の電極群に印加する
交流電界が時間的に90°位相差がある２組の発振器をそ
れぞれ接続している。

このように構成した従来の超音波モータは、２組の発
振器からそれぞれの電極群に交流電界を印加することに
よって円環形圧電セラミックの周囲の表面に90°位相が
ずれた２つの定在波が発生し、この２の定在波が合成さ
れた進行波が発生する。従って、円環形圧電セラミック
の上に接着された櫛形の振動体の上に円環形の移動体を
載置して接触を強くすると、移動体が進行波によって移
動される。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、この従来の超音波モータでは、複数の
電極と、これらの電極に交流電界を印加する２組の発振
器が必要であり、電極の構成が複雑で、また振動体の構
成も複雑であり、コストが高くなるという問題があっ
た。

問題点を解決するための手段 本発明は、上記問題点を解決するために、背部に対し
て接触部が充分に小さく、かつ電極を両面に設けたほぼ
扇形状の圧電体振動子の１つまたは複数個を、上記それ
ぞれの接触部を、直接または耐摩耗性部材を介して回転
軸に接触させたことを特徴とする。

作用 本発明によれば、背部に対して接触部が充分に小さ圧
電体振動子の電極に交流電界を印加すると、圧電体振動
子に厚み方向の振動が発生するとともに、この厚み方向
の振動と90°ずれた外郭振動が発生する。この外郭振動
は圧電体振動子の側面が均等に膨縮を繰り返す振動であ
るが、背部に対して接触部が充分小さい場合は、外郭振
動によって側面が不均等に膨縮するため、背部と接触部
及びその近傍の側面に沿った進行波が発生する。この接
触部を直接または耐摩耗性部材を介して回転軸と接触さ
せると、回転軸は上記進行波で回転し、超音波モータと
して作動する。

実施例 まず、本発明の実施例を説明する前に原理を説明す
る。まず、第１図（ｂ）に示すように電極２、３が上下
面に設けられた背部1aが接触部1bに対して充分に長い平
面形状が扇形状の圧電体振動子１では、これらの電極
２、３に交流電界を印加すると、圧電体振動子１が厚み
方向の振動に振動するとともに、この厚み方向振動に対
して、90度位相がずれた側面が膨出振動するような外郭
振動が生じる。この圧電体振動子１は背部1a及び接触部
1bの両側部の長さが一致しておらず、又、背部1a及び接
触部1bの円弧も真円の一部の円弧を構成しているもので
はないので、背部1aと接触部1bにおける膨出振動は全体
に均等に膨出振動しない。つまり、背部1a及び接触部1b
の片側が大きく膨出振動し、他側が小さく膨出振動する
と、大きく膨出振動した方から小さく膨出振動した方に
進行波が発生するものと考えられる。これによって、第
１図（ａ）に示すように圧電体振動子１の背部1aでは、
矢印Ａのような進行波が発生し、また、圧電体振動子１
のほぼ中央部の点線Ｂ部分を節として接触部1bでは矢印
Ｃのように矢印Ａと反対方向の進行波が発生することが
確認され、さらに、接触部1bの近傍では矢印Ｄ、Ｅのよ
うに進行波が発生することが確認された。この進行波が
発生している部分に回転体を接触させると、回転体は非
常に強く回転することが確認された。

第２図は、本発明の実施例の超音波モータの平面断面
図、第３図は、第２図の超音波モータの側面断面図で、
ケース４に装着されたベアリング５に回転軸６が回転自
在に支持され、この回転軸６に３個の扇形状の圧電体振
動子１の接触部1bが耐摩耗性部材７を介して接触され、
また圧電体振動子１の背部1aにそれぞれ設けた板ばね８
で、圧電体振動子１はそれぞれ回転軸６の方向に押圧さ
れている。

このように構成された本実施例の超音波モータでは、
３個の圧電体振動子１のそれぞれの接触部1bに発生する
矢印Ｃの進行波によって回転軸６を回転する。従って、
構成が非常に簡単で、小型化し易く、また製造が容易
で、コストが安いという利点がある。

なお、上記実施例では、圧電体振動子１を３個設けた
が、２個以上の圧電体振動子１を設けれてもよい。また
圧電体振動子１の接触部1bを耐摩耗性部材７を介して回
転体６に接触させるようにしたが、圧電体振動子１の接
触部1bを直接触させるようにしてもよい。

第４図は、本発明の他の実施例の超音波モータの断面
図で、ケース４にベアリング５に対向してベアリング９
を設け、これらのベアリング５、９で回転体６を回転自
在に支持している。また、圧電体振動子１は３列に設け
られ、それぞれの圧電体振動子１はばね８で軸方向に押
圧され、耐摩耗性部材７が回転軸６にそれぞれ接触され
ている。さらに、隣り合った圧電体振動子１の間にスペ
ーサ10が挿入されている。

このように構成された本実施例の超音波モータでは、
３列のそれぞれのの圧電体振動子１のそれぞれの接触部
1bに発生する矢印Ｃの進行波によって回転軸６を回転す
るので、トルクがさらに強くなるという利点がある。

なお、上記実施例では、回転体６はベアリング５、９
等で支持されていはが、ケースで直接支持してもよい
し、他の軸受等を使用してもよい。

発明の効果 以上の説明から明らかなように、本発明は、平面形状
が扇形状で、背部が接触部に対して非常に大きい圧電体
振動子の複数個を、それらの接触部または耐摩耗性部材
を介してが回転体に接触させた簡単な構成であるので、
製造が容易であり、コストが安いとう利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原理を説明するための平面形状が扇形
状の圧電体振動子の平面図及び斜視図、第２図は本発明
の実施例の超音波モータの平面図、第３図は第２図の超
音波モータの側面断面図、第４図は本発明の他の実施例
の超音波モータの側面断面図である。 １……圧電体振動子、２、３……電極、４……ケース、
５、９……ベアリング、６……回転軸、７……耐摩耗性
部材、８……ばね、10……スペーサ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】背部に対して接触部が充分に小さく、かつ
   電極を両面に設けたほぼ扇形状の圧電体振動子の１つま
   たは複数個を、上記それぞれの接触部を、直接または耐
   摩耗性部材を介して回転軸に接触させたことを特徴とす
   る超音波モータ。
2. 【請求項２】上記圧電体振動子は複数層に配列したこと
   を特徴とする特許請求の範囲第１項記載の超音波モー
   タ。