JP2584919B2 - パイプのガスシールドアーク溶接ワイヤ - Google Patents
パイプのガスシールドアーク溶接ワイヤInfo
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- JP2584919B2 JP2584919B2 JP3248249A JP24824991A JP2584919B2 JP 2584919 B2 JP2584919 B2 JP 2584919B2 JP 3248249 A JP3248249 A JP 3248249A JP 24824991 A JP24824991 A JP 24824991A JP 2584919 B2 JP2584919 B2 JP 2584919B2
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Description
【０００１】
【産業上の利用分野】本発明は、ＣＯ2を含んだ石油及
び天然ガス、又はＣＯ2を輸送するラインパイプの円周
溶接に適するガスシールドアーク溶接ワイヤに関し、特
に溶接金属の耐選択腐食性や低温靭性、耐割れ性に優れ
たガスシールドアーク溶接ワイヤに関するものである。
び天然ガス、又はＣＯ2を輸送するラインパイプの円周
溶接に適するガスシールドアーク溶接ワイヤに関し、特
に溶接金属の耐選択腐食性や低温靭性、耐割れ性に優れ
たガスシールドアーク溶接ワイヤに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】従来、低合金鋼の溶接部選択腐食に関し
ては、次のような文献が公表され、その改善策が提案さ
れている。 （１）氷海での溶接継手部局部腐食に対して、母材と溶
接金属のＮi添加量の差が影響を及ぼすとするもの（阿
部隆ほか、「鉄と鋼」Ｖol.７２(１９８８)、ｐ.１２６
６)。 （２）同じく、氷海域鋼の溶接部局部腐食で、ＮiとＣu
が影響を及ぼし、３.８×Ｃu＋１.１×Ｎi＋０.３の量
が選択腐食性を左右するとするもの（伊藤亀太郎ほか、
「鉄と鋼」Ｖol.７２(１９８９)、ｐ.１２６５)。 （３）炭素鋼配管円周溶接部の選択腐食防止にＣu及び
Ｎiを含む低合金溶接棒の使用が有効であるとするもの
（幸英明、「材料」Ｖol.３８(１９８９)、Ｎo.４２
４、ｐ.６２〜６８)。 （４）溶接鋼管縦シーム溶接部の選択腐食防止にＮi及
びＭoの添加が有効であるとするもの（須賀ほか、特願
平１−２０６９８５号)。
ては、次のような文献が公表され、その改善策が提案さ
れている。 （１）氷海での溶接継手部局部腐食に対して、母材と溶
接金属のＮi添加量の差が影響を及ぼすとするもの（阿
部隆ほか、「鉄と鋼」Ｖol.７２(１９８８)、ｐ.１２６
６)。 （２）同じく、氷海域鋼の溶接部局部腐食で、ＮiとＣu
が影響を及ぼし、３.８×Ｃu＋１.１×Ｎi＋０.３の量
が選択腐食性を左右するとするもの（伊藤亀太郎ほか、
「鉄と鋼」Ｖol.７２(１９８９)、ｐ.１２６５)。 （３）炭素鋼配管円周溶接部の選択腐食防止にＣu及び
Ｎiを含む低合金溶接棒の使用が有効であるとするもの
（幸英明、「材料」Ｖol.３８(１９８９)、Ｎo.４２
４、ｐ.６２〜６８)。 （４）溶接鋼管縦シーム溶接部の選択腐食防止にＮi及
びＭoの添加が有効であるとするもの（須賀ほか、特願
平１−２０６９８５号)。
【０００３】以上のように、氷海等の酸素を含む腐食環
境中で溶接金属の選択腐食を改善する方法として、Ｎi
及びＣuを溶接金属に添加する方法や、溶接鋼管縦シー
ムの耐選択腐食特性の改善にＮi及びＭoを添加する方法
が提案されている。
境中で溶接金属の選択腐食を改善する方法として、Ｎi
及びＣuを溶接金属に添加する方法や、溶接鋼管縦シー
ムの耐選択腐食特性の改善にＮi及びＭoを添加する方法
が提案されている。
【０００４】しかし、ＣＯ2を含む腐食環境下で使用さ
れるラインパイプ円周溶接部の選択腐食抑制に、Ｎi及
びＭo添加が有効であるとの知見や、溶接金属の硬さや
耐割れ性などを考慮したガスシールド溶接用ワイヤは開
発されていない。
れるラインパイプ円周溶接部の選択腐食抑制に、Ｎi及
びＭo添加が有効であるとの知見や、溶接金属の硬さや
耐割れ性などを考慮したガスシールド溶接用ワイヤは開
発されていない。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】溶接鋼管或いはシーム
レス鋼管を、ＣＯ2を含んだ石油及び天然ガス又はＣＯ2
の輸送に使用すると、円周溶接金属が選択に腐食する、
いわゆる溶接部選択腐食を起こす場合がある。これは、
溶接金属と母材部との化学成分や組織が異なり、溶接金
属部が電気化学的に卑になり、溶接金属分野が選択的に
腐食するものである。
レス鋼管を、ＣＯ2を含んだ石油及び天然ガス又はＣＯ2
の輸送に使用すると、円周溶接金属が選択に腐食する、
いわゆる溶接部選択腐食を起こす場合がある。これは、
溶接金属と母材部との化学成分や組織が異なり、溶接金
属部が電気化学的に卑になり、溶接金属分野が選択的に
腐食するものである。
【０００６】従来、このような環境で使用されるライン
パイプの円周溶接において、この選択腐食を考慮した円
周溶接用ガスシールドアーク溶接ワイヤは開発されてい
なかった。しかしながら、実環境では、この種の選択腐
食が問題となることがしばしばあり、この検討が待たれ
ているのが実情である。
パイプの円周溶接において、この選択腐食を考慮した円
周溶接用ガスシールドアーク溶接ワイヤは開発されてい
なかった。しかしながら、実環境では、この種の選択腐
食が問題となることがしばしばあり、この検討が待たれ
ているのが実情である。
【０００７】すなわち、ＣＯ2を含む腐食環境で使用さ
れるラインパイプをガスシールドアーク溶接により円周
溶接するには、円周溶接部の選択腐食を抑制し得る溶接
ワイヤが必要である。更には、溶接金属の硬さや耐割れ
性などの実用性を考慮する必要がある。しかるに、従
来、これらの諸特性を満足し得る溶接材料は開発されて
いなかった。
れるラインパイプをガスシールドアーク溶接により円周
溶接するには、円周溶接部の選択腐食を抑制し得る溶接
ワイヤが必要である。更には、溶接金属の硬さや耐割れ
性などの実用性を考慮する必要がある。しかるに、従
来、これらの諸特性を満足し得る溶接材料は開発されて
いなかった。
【０００８】本発明は、かゝる要請に応えるべくなされ
たものであって、その目的とするところは、特に円周溶
接金属部の選択腐食の防止と共に、充分な強度と靭性及
び耐割れ性を備えた円周溶接金属が得られるガスシール
ドアーク溶接ワイヤを提供することにある。
たものであって、その目的とするところは、特に円周溶
接金属部の選択腐食の防止と共に、充分な強度と靭性及
び耐割れ性を備えた円周溶接金属が得られるガスシール
ドアーク溶接ワイヤを提供することにある。
【０００９】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明者らは、ガスシールドアーク溶接ワイヤの化
学成分及びその成分値を各種に変化させて、ＣＯ2と海
水を含む腐食環境中での溶接部の耐選択腐食特性とその
機械的性質、耐割れ性等について綿密な調査を重ねた結
果、Ｎi、Ｍoの添加等々によって溶接金属部の化学成分
を調整することにより、円周溶接金属部の選択腐食を効
果的に防止し得るガスシールドアーク溶接ワイヤを見い
出したものである。
に、本発明者らは、ガスシールドアーク溶接ワイヤの化
学成分及びその成分値を各種に変化させて、ＣＯ2と海
水を含む腐食環境中での溶接部の耐選択腐食特性とその
機械的性質、耐割れ性等について綿密な調査を重ねた結
果、Ｎi、Ｍoの添加等々によって溶接金属部の化学成分
を調整することにより、円周溶接金属部の選択腐食を効
果的に防止し得るガスシールドアーク溶接ワイヤを見い
出したものである。
【００１０】即ち、本発明は、ＣＯ 2 を含む流体を輸送
するラインパイプの円周溶接用であるガスシールドアー
ク溶接ワイヤにおいて、Ｃ：０．０１〜０．１５％、Ｓ
ｉ：０．２０〜１．２０％、Ｍｎ：０．６０〜２．５０
％、Ｃｕ≦３．００％、Ｎｉ：０．５０〜３．００％を
含有し、必要に応じ更にＭｏ＜０．３０％及びＴｉ≦
０．３０％のうちの１種又は２種を含有し、残部がＦｅ
及び不可避的不純物からなり、かつ、不可避的不純物の
含有量を、Ｐ≦０．０３０％、Ｓ≦０．０３０％、Ａｌ
≦０．０５％、Ｎ≦０．０１％、Ｎｂ≦０．０２％、Ｖ
≦０．０２％、Ｃｒ＜０．０３％、Ｚｒ≦０．０５％、
Ｏ≦０．０２％、Ｂ≦０．００２％に規制したことを特
徴とするガスシールドアーク溶接ワイヤを要旨とするも
のである。
するラインパイプの円周溶接用であるガスシールドアー
ク溶接ワイヤにおいて、Ｃ：０．０１〜０．１５％、Ｓ
ｉ：０．２０〜１．２０％、Ｍｎ：０．６０〜２．５０
％、Ｃｕ≦３．００％、Ｎｉ：０．５０〜３．００％を
含有し、必要に応じ更にＭｏ＜０．３０％及びＴｉ≦
０．３０％のうちの１種又は２種を含有し、残部がＦｅ
及び不可避的不純物からなり、かつ、不可避的不純物の
含有量を、Ｐ≦０．０３０％、Ｓ≦０．０３０％、Ａｌ
≦０．０５％、Ｎ≦０．０１％、Ｎｂ≦０．０２％、Ｖ
≦０．０２％、Ｃｒ＜０．０３％、Ｚｒ≦０．０５％、
Ｏ≦０．０２％、Ｂ≦０．００２％に規制したことを特
徴とするガスシールドアーク溶接ワイヤを要旨とするも
のである。
【００１１】以下に本発明を更に詳細に説明する。
【００１２】
【００１３】本発明のガスシールドアーク溶接ワイヤに
おける化学成分の限定理由は以下のとおりである。
おける化学成分の限定理由は以下のとおりである。
【００１４】（Ｃ：０.０１〜０.１５％）Ｃは良好な作
業性及び溶接金属の機械的性質を得るためにワイヤ中に
添加する。しかし、０.０１％未満では、溶滴移行が不
安定となり、スパッタ量が増加する。また、溶接金属中
のフェライト粒が粗大化するため強度及び靭性が低下
し、機械的性能が母材に対して不充分となる。一方、
０.１５％を超えると、溶滴中に発生するＣＯ2ガスの爆
発によりスパッタ量が増加する。また、溶接金属の強度
が母材に対して過大となり、それによる靭性不足が生じ
る。更に、硬さが上昇するため、溶接割れや応力腐食割
れ感受性が増大する。よって、Ｃ量は０.０１〜０.１５
％の範囲とし、好ましくは０.０３〜０.０８％の範囲で
ある。
業性及び溶接金属の機械的性質を得るためにワイヤ中に
添加する。しかし、０.０１％未満では、溶滴移行が不
安定となり、スパッタ量が増加する。また、溶接金属中
のフェライト粒が粗大化するため強度及び靭性が低下
し、機械的性能が母材に対して不充分となる。一方、
０.１５％を超えると、溶滴中に発生するＣＯ2ガスの爆
発によりスパッタ量が増加する。また、溶接金属の強度
が母材に対して過大となり、それによる靭性不足が生じ
る。更に、硬さが上昇するため、溶接割れや応力腐食割
れ感受性が増大する。よって、Ｃ量は０.０１〜０.１５
％の範囲とし、好ましくは０.０３〜０.０８％の範囲で
ある。
【００１５】（Ｓi：０.２０〜１.２０％）Ｓiは良好な
作業性及び溶接金属の機械的性質を得るためにワイヤ中
に添加する。しかし、０.２０％未満では、母材に対す
る溶融金属のなじみが低下するためにビード形状が不良
となり、融合不良等の欠陥の原因となる。特に含有量が
極端に少ない場合には、脱酸不足となり、ブローホール
が発生する。また、機械的性能では、溶接金属の強度が
母材に対して不足する。一方、１.２０％を超えると、
溶接金属の強度が母材に対して過大となり、それにより
靭性不足が生じる。また、硬さが上昇するため、溶接割
れや応力腐食割れ感受性が増大する。よって、Ｓi量は
０.２０〜１.２０％の範囲とし、好ましくは０.３０〜
０.７０％の範囲である。
作業性及び溶接金属の機械的性質を得るためにワイヤ中
に添加する。しかし、０.２０％未満では、母材に対す
る溶融金属のなじみが低下するためにビード形状が不良
となり、融合不良等の欠陥の原因となる。特に含有量が
極端に少ない場合には、脱酸不足となり、ブローホール
が発生する。また、機械的性能では、溶接金属の強度が
母材に対して不足する。一方、１.２０％を超えると、
溶接金属の強度が母材に対して過大となり、それにより
靭性不足が生じる。また、硬さが上昇するため、溶接割
れや応力腐食割れ感受性が増大する。よって、Ｓi量は
０.２０〜１.２０％の範囲とし、好ましくは０.３０〜
０.７０％の範囲である。
【００１６】（Ｍn：０.６０〜２.５０％）Ｍnは良好な
作業性と溶接金属の機械的性質を得るためにワイヤ中に
添加する。しかし、０.６０％未満では、Ｍn／Ｓiの値
が１に近づくほど或いは１を下回るほどスラグ量（面
積）が増加し、スラグ巻込み等の原因となる。特に含有
量が極端に少ない場合には、脱酸不足によるブローホー
ルが発生する。また、機械的性能に関しては、溶接金属
の強度が母材に対して不足したり、焼入れ性が低下する
ために靭性が劣化する。一方、２.５０％を超えて溶接
ワイヤに添加すると、溶接金属の強度が母材に対して過
大となり、それによる靭性不足が生じる。また、硬さが
上昇するため、溶接割れや応力腐食割れ感受性が増大す
る。よって、Ｍn量は０.６０〜２.５０％の範囲とし、
好ましくは１.３０〜１.８０％の範囲である。
作業性と溶接金属の機械的性質を得るためにワイヤ中に
添加する。しかし、０.６０％未満では、Ｍn／Ｓiの値
が１に近づくほど或いは１を下回るほどスラグ量（面
積）が増加し、スラグ巻込み等の原因となる。特に含有
量が極端に少ない場合には、脱酸不足によるブローホー
ルが発生する。また、機械的性能に関しては、溶接金属
の強度が母材に対して不足したり、焼入れ性が低下する
ために靭性が劣化する。一方、２.５０％を超えて溶接
ワイヤに添加すると、溶接金属の強度が母材に対して過
大となり、それによる靭性不足が生じる。また、硬さが
上昇するため、溶接割れや応力腐食割れ感受性が増大す
る。よって、Ｍn量は０.６０〜２.５０％の範囲とし、
好ましくは１.３０〜１.８０％の範囲である。
【００１７】（Ｃu≦３.００％、Ｎi≦０.５０〜３.０
０％）Ｃu及びＮiは溶接金属の靭性改善と耐選択腐食特
性を向上させるためにワイヤ中に添加する。Ｃuは溶接
金属の耐選択腐食特性を向上させる効果を有するもの
の、３.００％を超えると高温割れに対する感受性が増
大する。また、Ｎiも耐選択腐食特性向上に効果を有す
るが、Ｃu無添加の場合、Ｎi添加で良好な耐選択腐食特
性を得るためには０.５０％以上が必要である。しか
し、Ｎi量が３.００％を超えると溶接金属の強度が母材
に対して過大となり、それによる靭性不足が生じる。ま
た、硬さが上昇するため、溶接割れや応力腐食割れ感受
性が増大する。よって、Ｃu量は３.００％以下、Ｎi量
は０.５０〜３.００％の範囲とする。なお、ワイヤへの
Ｃu及びＮiの添加方法としては、メッキ、溶融のいずれ
でもよい。
０％）Ｃu及びＮiは溶接金属の靭性改善と耐選択腐食特
性を向上させるためにワイヤ中に添加する。Ｃuは溶接
金属の耐選択腐食特性を向上させる効果を有するもの
の、３.００％を超えると高温割れに対する感受性が増
大する。また、Ｎiも耐選択腐食特性向上に効果を有す
るが、Ｃu無添加の場合、Ｎi添加で良好な耐選択腐食特
性を得るためには０.５０％以上が必要である。しか
し、Ｎi量が３.００％を超えると溶接金属の強度が母材
に対して過大となり、それによる靭性不足が生じる。ま
た、硬さが上昇するため、溶接割れや応力腐食割れ感受
性が増大する。よって、Ｃu量は３.００％以下、Ｎi量
は０.５０〜３.００％の範囲とする。なお、ワイヤへの
Ｃu及びＮiの添加方法としては、メッキ、溶融のいずれ
でもよい。
【００１８】なお、より良好な耐選択腐食特性を得るに
は、図１に示すように、ＣuとＮiの溶接金属と母材との
含有量の差(Δ(Ｃu＋Ｎi))が０.５％以上であることが
望ましい。図１は、母材と溶接金属との間に流れた選択
腐食電流(μＡ)とΔ(Ｃu＋Ｎi)との関係を示しており、
選択腐食電流がプラスの時、溶接金属の選択腐食は起こ
らない。Δ(Ｃu＋Ｎi)が０.５％以上になると選択腐食
電流はプラスに転じている。
は、図１に示すように、ＣuとＮiの溶接金属と母材との
含有量の差(Δ(Ｃu＋Ｎi))が０.５％以上であることが
望ましい。図１は、母材と溶接金属との間に流れた選択
腐食電流(μＡ)とΔ(Ｃu＋Ｎi)との関係を示しており、
選択腐食電流がプラスの時、溶接金属の選択腐食は起こ
らない。Δ(Ｃu＋Ｎi)が０.５％以上になると選択腐食
電流はプラスに転じている。
【００１９】以上の成分を必須成分として含有するが、
必要に応じて、以下の成分の１種又は２種を適量にて含
有させることができる。
必要に応じて、以下の成分の１種又は２種を適量にて含
有させることができる。
【００２０】（Ｍo≦１.１０％）Ｍoは溶接金属の選択
腐食を防止するために、必要に応じてワイヤ中に添加す
ることができる。添加する場合、１.１０％を超えると
溶接金属の硬さが増加し、溶接低温割れや応力腐食割れ
感受性を増大させるので、Ｍo量は１.１０％以下とす
る。
腐食を防止するために、必要に応じてワイヤ中に添加す
ることができる。添加する場合、１.１０％を超えると
溶接金属の硬さが増加し、溶接低温割れや応力腐食割れ
感受性を増大させるので、Ｍo量は１.１０％以下とす
る。
【００２１】（Ｔi≦０.３０％）Ｔiは、初析フェライ
トの微細化による溶接金属の靭性向上を目的として、必
要に応じてワイヤ中に添加することができる。添加する
場合、０.３０％を超えるとスラグ量が増加し、スラグ
巻込み等の欠陥の原因となる。また、溶接金属の強度が
母材に対して過大となり、それによる靭性不足が生じ
る。また、硬さが上昇するため、溶接割れや応力腐食割
れ感受性が増大する。よって、Ｔi量は０.３０％以下と
する。
トの微細化による溶接金属の靭性向上を目的として、必
要に応じてワイヤ中に添加することができる。添加する
場合、０.３０％を超えるとスラグ量が増加し、スラグ
巻込み等の欠陥の原因となる。また、溶接金属の強度が
母材に対して過大となり、それによる靭性不足が生じ
る。また、硬さが上昇するため、溶接割れや応力腐食割
れ感受性が増大する。よって、Ｔi量は０.３０％以下と
する。
【００２２】（不可避的不純物）不可避的不純物の量は
可及的に少ないのが望ましく、特に、Ｐ≦０.０３０
％、Ｓ≦０.０３０％、Ａl≦０.０５％、Ｎ≦０.０１
％、Ｎb≦０.０２％、Ｖ≦０.０２％、Ｃr≦０.０５
％、Ｚr≦０.０５％、Ｏ≦０.０２％、Ｂ≦０.００２％
の範囲内であれば、溶接金属の耐選択腐食特性及び機械
的性能を阻害しない。これらの各成分が上記範囲を超え
る場合には、溶接作業性の低下(Ａl)、溶接欠陥の発生
(Ｐ、Ｓ、Ｂ、Ｎ)、機械的性能の劣化(Ａl、Ｃr、Ｎb、
Ｖ、Ｏ、Ｎ)等の不具合が生じる。
可及的に少ないのが望ましく、特に、Ｐ≦０.０３０
％、Ｓ≦０.０３０％、Ａl≦０.０５％、Ｎ≦０.０１
％、Ｎb≦０.０２％、Ｖ≦０.０２％、Ｃr≦０.０５
％、Ｚr≦０.０５％、Ｏ≦０.０２％、Ｂ≦０.００２％
の範囲内であれば、溶接金属の耐選択腐食特性及び機械
的性能を阻害しない。これらの各成分が上記範囲を超え
る場合には、溶接作業性の低下(Ａl)、溶接欠陥の発生
(Ｐ、Ｓ、Ｂ、Ｎ)、機械的性能の劣化(Ａl、Ｃr、Ｎb、
Ｖ、Ｏ、Ｎ)等の不具合が生じる。
【００２３】なお、ガスシールドアーク溶接に用いられ
るシールドガスの種類、ワイヤ径等々の溶接条件は特に
制限されない。また、ガスシールドアーク溶接の適用鋼
種についても、この種の用途に供し得るものであれば適
宜材質のものが可能である。
るシールドガスの種類、ワイヤ径等々の溶接条件は特に
制限されない。また、ガスシールドアーク溶接の適用鋼
種についても、この種の用途に供し得るものであれば適
宜材質のものが可能である。
【００２４】次に本発明の実施例を示す。
【００２５】表１に示す化学成分の供試鋼を用いて外径
３８ｉｎ×全長１２ｍの溶接鋼管を製造した後、表２に
示す化学成分の溶接鋼ワイヤを用いてガスシールドアー
ク溶接で円周溶接を行なった。ワイヤ径は１．２ｍｍを
使用し、シールドガスには８０％Ａｒ＋２０％ＣＯ
2（初層と最終層）とＣＯ2（初層と最終層を除く層）を
用い、溶接電流２００〜２４０Ａで溶接した。溶接作業
性、溶接金属の強度（降伏強さ）、靭性、溶接割れ、海
水環境（ＣＯ2バブリング）での選択腐食速度をそれぞ
れ調べた。それらの結果を表３に示す。
３８ｉｎ×全長１２ｍの溶接鋼管を製造した後、表２に
示す化学成分の溶接鋼ワイヤを用いてガスシールドアー
ク溶接で円周溶接を行なった。ワイヤ径は１．２ｍｍを
使用し、シールドガスには８０％Ａｒ＋２０％ＣＯ
2（初層と最終層）とＣＯ2（初層と最終層を除く層）を
用い、溶接電流２００〜２４０Ａで溶接した。溶接作業
性、溶接金属の強度（降伏強さ）、靭性、溶接割れ、海
水環境（ＣＯ2バブリング）での選択腐食速度をそれぞ
れ調べた。それらの結果を表３に示す。
【表１】
【表２】
【表３】
【００２６】降伏強さはＪＩＳ Ｚ ２２０１ ３号試験
片(６mmφ)を用いて評価し、靭性はＪＩＳ Ｚ ３１２８
４号試験片を用いてＯ℃での吸収エネルギーで評価し
た。溶接割れ発生の有無は溶接後５断面の観察により判
定した。選択腐食速度は、円周溶接部を含む全長５０cm
の鋼管の内部に人工海水を入れ、これにＣＯ2ガスを吹
き込んで、母材と溶接金属部の各板厚の差を求めること
により測定した値であり、溶接金属部が選択的に腐食し
ない場合を「０.０」で表示した。
片(６mmφ)を用いて評価し、靭性はＪＩＳ Ｚ ３１２８
４号試験片を用いてＯ℃での吸収エネルギーで評価し
た。溶接割れ発生の有無は溶接後５断面の観察により判
定した。選択腐食速度は、円周溶接部を含む全長５０cm
の鋼管の内部に人工海水を入れ、これにＣＯ2ガスを吹
き込んで、母材と溶接金属部の各板厚の差を求めること
により測定した値であり、溶接金属部が選択的に腐食し
ない場合を「０.０」で表示した。
【００２７】表３に示すように、本発明のガスシールド
アーク溶接ワイヤで溶接した円周溶接部は、降伏強さが
３５０Ｎ／mm2以上、靭性が５０Ｊ以上で、耐選択腐食
特性に優れ、また溶接作業性及び耐割れ性にも優れた円
周溶接部であることが確認された。
アーク溶接ワイヤで溶接した円周溶接部は、降伏強さが
３５０Ｎ／mm2以上、靭性が５０Ｊ以上で、耐選択腐食
特性に優れ、また溶接作業性及び耐割れ性にも優れた円
周溶接部であることが確認された。
【００２８】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明のガスシー
ルドアーク溶接ワイヤを用いて溶接すれば、高強度と高
靭性を有し、かつ耐溶接割れ性と耐選択腐食性に優れて
いる溶接金属部が得られる。特に、腐食性に富む石油及
び天然ガスを輸送するラインパイプの溶接用に適してお
り、母材に対して選択的に腐食され難い円周溶接金属部
が得られる。
ルドアーク溶接ワイヤを用いて溶接すれば、高強度と高
靭性を有し、かつ耐溶接割れ性と耐選択腐食性に優れて
いる溶接金属部が得られる。特に、腐食性に富む石油及
び天然ガスを輸送するラインパイプの溶接用に適してお
り、母材に対して選択的に腐食され難い円周溶接金属部
が得られる。
【図１】母材と溶接金属との間に流れた選択腐食電流
(μＡ)と、ＣuとＮiの溶接金属と母材との含有量の差
(Δ(Ｃu＋Ｎi))との関係を示す図である。
(μＡ)と、ＣuとＮiの溶接金属と母材との含有量の差
(Δ(Ｃu＋Ｎi))との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 遠藤 茂 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 長江守康 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号日 本鋼管株式会社内 (72)発明者 伊藤元清 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号日 本鋼管株式会社内 (56)参考文献 特開 昭60−158995（ＪＰ，Ａ) 特開 平４−22596（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−221294（ＪＰ，Ａ) 特公 昭45−27450（ＪＰ，Ｂ１)
Claims (2)
- 【請求項１】 ＣＯ ２ を含む流体を輸送するラインパイ
プの円周溶接用であるガスシールドアーク溶接ワイヤに
おいて、重量％で（以下、同じ）、 Ｃ：０．０１〜０．１５％、 Ｓｉ：０．２０〜１．２０％、 Ｍｎ：０．６０〜２．５０％、 Ｃｕ≦３．００％、 Ｎｉ：０．５０〜３．００％ を含有し、残部がＦｅ及び不可避的不純物からなり、か
つ、不可避的不純物の含有量を、Ｐ≦０．０３０％、Ｓ
≦０．０３０％、Ａｌ≦０．０５％、Ｎ≦０．０１％、
Ｎｂ≦０．０２％、Ｖ≦０．０２％、Ｃｒ＜０．０３
％、Ｚｒ≦０．０５％、Ｏ≦０．０２％、Ｂ≦０．００
２％に規制したことを特徴とするガスシールドアーク溶
接ワイヤ。 - 【請求項２】 上記化学成分に加えて、更に、Ｍｏ＜
０．３０％及びＴｉ≦０．３０％のうちの１種又は２種
を含有していることを特徴とする請求項１に記載のガス
シールドアーク溶接ワイヤ。
Priority Applications (6)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3248249A JP2584919B2 (ja) | 1991-09-02 | 1991-09-02 | パイプのガスシールドアーク溶接ワイヤ |
| CA002076435A CA2076435A1 (en) | 1991-08-30 | 1992-08-19 | Method for gas-shield arc welding of a pipe and weld wire for use in the welding method |
| GB9217614A GB2259881B (en) | 1991-08-30 | 1992-08-19 | Method for gas-shield arc welding of a pipe and weld wire for use in the welding method |
| DE4228249A DE4228249A1 (de) | 1991-08-30 | 1992-08-25 | Verfahren zum elektroschweissen unter schutzgas eines rohres und schweissdraht zur verwendung bei dem schweissverfahren |
| US07/935,523 US5300751A (en) | 1991-08-30 | 1992-08-25 | Method for gas-shield arc welding of a pipe and weld wire for use in the welding method |
| NO923354A NO305689B1 (no) | 1991-08-30 | 1992-08-27 | FremgangsmÕte for gassdekket buesveising av r°r samt sveisetrÕd for anvendelse ved fremgangsmÕten |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP3248249A JP2584919B2 (ja) | 1991-09-02 | 1991-09-02 | パイプのガスシールドアーク溶接ワイヤ |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH0557478A JPH0557478A (ja) | 1993-03-09 |
| JP2584919B2 true JP2584919B2 (ja) | 1997-02-26 |
Family
ID=17175368
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP3248249A Expired - Lifetime JP2584919B2 (ja) | 1991-08-30 | 1991-09-02 | パイプのガスシールドアーク溶接ワイヤ |
Country Status (1)
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|---|---|
| JP (1) | JP2584919B2 (ja) |
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| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
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| CN115302127A (zh) * | 2022-10-12 | 2022-11-08 | 中国科学院金属研究所 | 一种500MPa级极寒海洋工程用熔化极活性气体保护焊焊丝及其应用 |
Family Cites Families (3)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS60158995A (ja) * | 1984-01-30 | 1985-08-20 | Kobe Steel Ltd | 高張力鋼用ｍｉｇ溶接ワイヤ |
| JP2854650B2 (ja) * | 1990-01-23 | 1999-02-03 | 株式会社神戸製鋼所 | 高張力鋼用ｍｉｇワイヤ |
| JP2687037B2 (ja) * | 1990-05-15 | 1997-12-08 | 新日本製鐵株式会社 | ガスシールドアーク溶接方法 |
-
1991
- 1991-09-02 JP JP3248249A patent/JP2584919B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPH0557478A (ja) | 1993-03-09 |
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