JP2583993Y2 - 木質ドア - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は木質ドアに関し、特に、
框材や桟材等により組み付けられた枠体に鏡板が嵌め込
まれて成る木質ドアに関する。

【０００２】

【従来の技術】框材や桟材等により組み付けられた枠体
の嵌合溝に鏡板を嵌め込んで成る従来の木質ドアにおい
て、ガタつきを防止するために嵌合溝に鏡板を緊密に嵌
め込んだ場合、それら木質板の吸湿乾燥に伴う膨張収縮
作用によって、ドア自体に反りやねじれが生ずるという
問題があった。

【０００３】実公昭５９−４１５８号公報及び実公昭６
４−７１８１号公報にはこの問題に対する解決手段が提
案されている。前者は、鏡板を嵌合溝に遊嵌させ、所定
方向におけるそれらの接続部にダボ挿入用溝孔を設け、
これらダボ挿入用溝孔内に直径方向には動けず長さ方向
には摺動可能なダボを非接着に挿入して位置決めを行う
よう構成したものである。後者は、鏡板として用いられ
得る木質パネルの嵌め込み端部に、非孔質、低伸縮性、
高強度の異質材を挿入したものである。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】ところが、前者は鏡板
における膨張収縮自体を何ら抑制するものではないため
その伸縮作用は大きく、枠体との間に隙間が生じたり、
鏡板自体に割れが生じたりする恐れがあった。また、後
者によれば、繊維強化プラスチック板、熱可塑性樹脂
板、金属板等の湿気や水分による寸法変化を生じない材
料の異質材が挿入されるため、木質パネルの伸縮作用を
抑制することができるが、異質材挿入部分における木質
パネルの自由な動きが完全に封じられるため、異質材の
挿入されない部分における伸縮作用によって木質パネル
の反り、特にねじれが生じてしまい、ひいては木質パネ
ルを鏡板として用いて構成したドア自体の反りを生じさ
せる原因となっていた。

【０００５】

【課題を解決するための手段】そこで本考案は、上記従
来技術の欠点を解消することを目的として鋭意工夫の末
に創案されたものであって、框材や桟材等により組み付
けられた枠体に鏡板が嵌め込まれて成る木質ドアにおい
て、前記鏡板として、膨張収縮に伴う長さ寸法変化率が
小さく且つ異方性の小さい無機質板を芯材とし、該芯材
の両面に芯材よりも膨張収縮に伴う長さ寸法変化率が大
きく且つ異方性も大きい木質材よりなる表面材を貼着し
て成る積層板が用いられることを特徴とする。

【０００６】鏡板の芯材となる無機質板としては、珪酸
カルシウム板、セメント板、石膏板等を用いることがで
きる。このような無機質板は、吸放湿に伴う収縮膨張に
よる寸法変化がすべての方向において実質的にゼロであ
る。。

【０００７】

【０００８】

【０００９】

【００１０】このような芯材の両面に接着剤を介して表
面材を貼着して積層板とし、鏡板に用いる。接着剤は常
用の合成樹脂系のものであって良く、冷圧接着、熱圧接
着、常温接着等任意の方法により表面材の貼着を行う。

【００１１】表面材としては、芯材と同様に収縮膨張に
伴う寸法変化率が小さく且つ異方性の小さな板状体を用
いることができ、該板状体の表面には必要に応じて突板
貼り、化粧シート貼り、任意着色塗装等の化粧が施され
る。このような表面材を芯材の表裏両面に貼着して得ら
れる積層板は、長さ寸法変化はされるものの元来寸法変
化率が小さいものであり、また表面材と芯材とが互いに
拘束し合うため、反りやねじれ等を生ずることがない。

【００１２】本考案においては、表面材として、収縮膨
張に伴う寸法変化率（特に長さ方向の寸法変化率）が比
較的大きく、あるいは異方性の大きなもの、例えば木
材、単板、単板積層材、集成材等の木質材を用いること
ができる。このような表面材を用いた場合であっても、
収縮膨張によっても実質的に寸法変化を来すことのない
無機質板で芯材が構成されているため、表面材の収縮膨
張の動きを芯材が拘束し、鏡板全体に反りやねじれを生
ずることを防止することができる。

【００１３】

【００１４】

【実施例】図示実施例による木質ドア１は、上框２、下
框３及び一対の縦框４，４の框材で形成された框組に、
縦桟５と横桟６，６の各桟材が組み付けられて枠体が構
成され、この枠体における各開口部にそれぞれ鏡板７，
７…が嵌め込まれて成るものである。より具体的には、
鏡板７が嵌合される各開口部に臨む上框２、下框３、縦
框４、縦桟５、横桟６の周縁部に形成された嵌合凹溝
８，８…に、鏡板７の周縁凸部を挿入嵌合することによ
って、鏡板７が取り付けられる。鏡板７を取り付けた状
態において、各嵌合凹溝８内には遊び空間９（図３）が
残され、鏡板７の膨張収縮に伴う寸法変化を吸収する。

【００１５】各鏡板７は、膨張収縮に伴う寸法変化率が
いずれの方向においても実質的にゼロである無機質板を
芯材１０とし、その芯材１０の両面に表面材１１，１１
が貼着されて成る。

【００１６】

【考案の効果】本考案によれば、木質ドアの枠体に嵌合
される鏡板が、無機質板を芯材とし、この芯材の両面に
木質材より成る表面材を貼着して構成されているので、
表面材の収縮膨張に伴う寸法変化が芯材によって拘束さ
れ、鏡板としての反りやねじれが有効に防止される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による木質ドアを示す正面図
である。

【図２】図１中Ａ−Ａ切断線による拡大断面図である。

【符号の説明】

１ 木質ドア ７ 鏡板 ８ 嵌合凹溝 １０ 芯材 １１ 表面材

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】框材や桟材等により組み付けられた枠体に
   鏡板が嵌め込まれて成る木質ドアにおいて、前記鏡板と
   して、膨張収縮に伴う長さ寸法変化率が小さく且つ異方
   性の小さい無機質板を芯材とし、該芯材の両面に芯材よ
   りも膨張収縮に伴う長さ寸法変化率が大きく且つ異方性
   も大きい木質材よりなる表面材を貼着して成る積層板が
   用いられることを特徴とする木質ドア。