JP2583527Y2 - 調理用焼成器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、遠赤外線の放射によっ
て魚や野菜などの食品類を焼成する調理用焼成器の改良
に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来から、遠赤外線放射体としては無機
質材、特にセラミックが広く知られており、このような
セラミックをガスレンジのような焼成器に使用するに
は、下方部にバーナ等の熱源を配し、この熱源の上方に
多孔板を張設すると共に該多孔板上に多数の多孔質セラ
ミックス片を層状に敷き並べてなる構造とすることが一
般的に行われている。そして、熱源からの放熱によって
多孔質セラミック片を加熱し、その加熱によって発生す
る遠赤外線によって上方の被加熱物を加熱、調理するも
のである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかしながら、セラミ
ックは熱伝導性に劣るために加熱から調理が可能な高温
度となるまで長時間を要するばかりでなく、セラミック
自体は発熱しなくて伝熱作用によって被加熱物を焼成す
るものであるから、熱源からの高温放熱を効率良く伝達
するためには、敷設したセラミック層に被加熱物を載置
する金網等を直接又は極めて接近させた状態にしなけれ
ばならず、その上、セラミック層によって一定温度の加
熱が行えてもセラミックは予め層状に一体形成されてい
るために、その使用量による加熱温度の調整が困難であ
るという問題点があった。本考案はこのような問題点を
全面的に解消し得る調理用焼成器の提供を目的とするも
のものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本考案の調理用焼成器は、多数の通気孔を穿設してな
る金属製多孔底板の周縁に一定高さの周壁板を設けると
共に該周壁の上端開口縁に金網を着脱自在に張設して焼
成器本体を形成し、この焼成器本体内に小径短筒形状の
銅チップを多数、敷き並べ状態に或いは積層状態に収納
した構造を有している。

【０００５】

【作用】上記焼成器本体をガスコンロ等のバーナの上方
に五徳などを介して載置し、バーナを着火させて焼成器
本体の底板を加熱すると、内部に収納している多数の銅
チップが多孔底板を介して伝熱されて急速に加熱され、
赤熱化して遠赤外線を放射すると共に高温の熱を発生
し、焼成器本体の上端開口縁に張設した金網上の被加熱
物を焼成する。銅チップは表面積が大きい小径短筒形状
に形成されているので、上記バーナの火炎により加熱さ
れた多孔底板からの伝熱が素早く行われて短時間で加熱
されて赤熱化し、遠赤外線と共にその高温熱の放散によ
って被加熱物を全面的に均一且つ効率良く加熱、焼成す
る。

【０００６】

【実施例】本考案の実施例を図面について説明すると、
１は中空偏平箱形状に形成された金属板製焼成器本体
で、縦横に一定間隔毎に多数の通気孔３を穿設してなる
鉄板又は鋼板等の矩形状金属板製底板２の四方周縁に一
定高さの周壁板４の下端縁を一体に固着してなるもので
あり、この周壁板４の内周面に沿って該周壁板４の高さ
よりも僅かに小径の中空筒形状の断熱壁部材５を装着し
ていると共に上端開口縁に内方に向かって水平支持枠６
を突設し、この水平支持枠６上に金網７を着脱自在に載
置してある。

【０００７】８は焼成器本体１の内底面上に収納、堆積
した多数の小径短筒形状の銅チップで、肉厚が１〜２ｍ
ｍ、外径が１〜２ｃｍ程度、長さが１〜３ｃｍの円筒形
状に形成されているが、その断面形状は楕円径状、角形
形状その他の異形断面形状であってもよく、さらには外
周面が波形に屈曲させておいてもよく、要するに長さ方
向の両端間が貫通した筒状形状であればよい。

【０００８】一方、上記底板２に穿設された通気孔３の
径は、この銅製のチップ８が通過することができない程
度の大きさに形成されていると共に隣接する通気孔３、
３間の間隔を該通気孔３の径よりも小さくして底板２の
面積に対する全ての通気孔３の開口面積が５０％以上と
なるように形成し、バーナの火炎による加熱が通気孔３
を通じて焼成器本体１の内底面上に堆積状態に敷き詰め
た銅チップ８に効率よく伝熱するように形成されてい
る。なお、焼成器本体１には図示していないが把手や蓋
体を装着しておくことが好ましい。

【０００９】以上のように構成したので、使用に際して
銅チップ８が焼成器本体１とは別に保管されている場合
には、焼成器本体１の金網７を取り外して焼成器本体１
内にランダムに投入したのち、略均一な高さとなるよう
に掻き均して焼成器本体１の高さの中程に達する程度ま
で全面に亘って堆積させる。このように焼成器本体１内
に銅チップ８を収納した状態においては、銅チップ８は
横向きに或いは縦向きに、或いは傾斜状態になって隣接
する銅チップ８、８間には隙間が生じている。なお、銅
チップ８の堆積量、即ち、使用量は、焼成すべき被加熱
物に応じて適宜に設定する。

【００１０】銅チップ８を上記のように収納した焼成器
本体１をガスコンロ等のバーナの上方に五徳等を介して
設置すると共に焼成器本体１の開口端の水平支持枠６上
に金網７を載置し、バーナを着火させて焼成器本体１の
多孔底板２にその直火を作用させると、多孔底板２が加
熱されると共に火炎が多数の通気孔３を通じて銅チップ
８に直接作用し、銅チップ８が高温の直火によって急速
に加熱されて赤熱化し、その表面から遠赤外線を放射す
ると共に赤熱化した高温の銅チップ８により焼成器本体
１の金網７上に載置した魚や肉等の被加熱物を加熱する
ものである。

【００１１】即ち、バーナの火炎が多孔底板２を通じて
焼成器本体１内に敷き並べ状態に堆積した多数の銅チッ
プ８に短時間で伝熱して焼成器本体１の全面に亘って均
一な銅チップ８による加熱層を形成し、赤熱化した加熱
層から放射される高温の遠赤外線によって金網７上の被
加熱物を全面的に均一に加熱、焼成するものである。こ
の際、金網７と堆積した銅チップ８による加熱層の表面
との間に所望間隔を存しているので、被加熱物がその内
部にまで徐々に万辺なく加熱、焼成されるものである。
なお、以上の実施例においては焼成器本体１を平面矩形
状に形成しているが、円形、長方形、ドーナッツ形状等
の適宜な形状に形成しておいてもよい。

【００１２】

【考案の効果】以上のように本考案の調理用焼成器によ
れば、多数の通気孔を穿設してなる金属製多孔底板の周
縁に一定高さの周壁を設けて焼成器本体を形成し、この
焼成器本体内に小径短筒形状の銅チップを多数、収納
し、焼成器本体の開口上端に金網を着脱自在に張設した
構造としているので、銅チップは熱伝導性に優れている
ために、焼成器本体をガスコンロ等の上方に設置してそ
の多孔底板を介してバーナ等の直火で加熱することによ
り、銅チップを短時間で高温赤熱化させることができ、
従って、魚や野菜等の被加熱物の焼成が迅速に行えるも
のである。

【００１３】さらに、銅チップは短筒形状に形成されて
いるので、その広い表面積によって高温赤熱化が短時間
で全表面に亘って均一に行われ、高温度の遠赤外線を放
射して被加熱物の焼成時間を短縮し得ると共に焼成後に
直火を消すと、銅チップが急速に冷却して火傷等の危険
性を少なくすることができる。また、このような小径短
筒形状の銅チップは、長尺の小径銅管を所望長さ毎に切
断することによって容易に且つ多量に生産することがで
き、その切断も容易で加工性に適して安価に提供し得る
ものである。

【００１４】また、焼成器本体から金網を取り外して内
部に収納する小径短筒形状の銅チップの堆積量を増減す
ることができ、そのため、金網上の被加熱物と銅チップ
の堆積面との間の空隙を大小に変化させて赤熱化した高
温遠赤外線の放射熱量を自由に調整することができるの
で、被加熱物に応じた強弱な加熱が可能となって被加熱
物を内部にまで万辺なく効率的に焼成することができ、
優れた調理が可能となるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】一部切欠斜視図、

【図２】その簡略縦断正面図。

【符号の説明】

１ 焼成器本体 ２ 底板 ３ 通気孔 ４ 周壁板 ７ 金網 ８ 銅チップ

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 多数の通気孔を穿設してなる金属製多孔
   底板の周縁に一定高さの周壁板を設けて焼成器本体を形
   成し、この焼成器本体内に小径短筒形状の銅チップを多
   数、収納し、焼成器本体の開口上端に金網を着脱自在に
   張設してなることを特徴とする調理用焼成器。