JP2583045B2 - セルロ−ス系繊維製品の消臭加工法 - Google Patents

セルロ−ス系繊維製品の消臭加工法

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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、セルロース系繊維製品に耐洗濯性ある消臭
効果を付与する方法に関する。
従来技術 近年、防炎処理や防皺処理などの各種加工に伴い繊維
製品に染みついた異臭(ホルマリン臭、有機アミン臭、
有機リン臭等)や、寝室や居間から発生する不快な生活
臭を繊維製品から除去する目的で消臭加工を施すことが
多くなった。消臭剤としては、天然植物、例えばツバキ
科植物の葉に含まれる消臭用組成物を利用したもの(例
えば、白井松新薬(株)製のフレッシュ・シライマツFS
−600M)が最も効果的であるとされ、広く使用される
が、消臭能力の持続性が十分でなく、洗濯耐久性が悪い
などの欠点があった。
発明の解決しようとする問題点 このように従来の消臭剤は耐洗濯性が悪いため、頻繁
に洗濯する必要のある肌着素材等に実用性ある消臭加工
を施すことは不可能であった。
そこで、本発明では、繰り返し洗濯する用途に使用さ
れる繊維製品にも、このような従来の消臭処理と同等以
上の消臭効果を有効に付与できる方法を提供することを
目的とする。
即ち、本発明では、セルロース系繊維製品に耐洗濯性
ある消臭加工を施す方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、先に特願昭60−239739で消臭性防炎繊
維製品の製造方法を提案したが、更に消臭能力の持続
性、消臭効果を向上させるための手段、耐洗濯性の改良
を検討した。
その結果、セルロース系繊維製品を一定量の有機リン
化合物を含有する処理液で処理することによって、予想
外の消臭効果が得られることがわかった。
本発明で使用するリン化合物は下記のA〜Cからなる
群から選ばれるものである。
これらのリン化合物は単独で使用されても混合使用さ
れてもよい。
処理液としては有機リン化合物を0.1〜15重量%の割
合で含有する溶液、分散液などを使用すればよいが、有
機リン化合物を0.5〜10重量%、の割合で含有する水性
液を使用した場合に、特に顕著な効果が得られる。
有機リン化合物の含有量が多過ぎると、製品の風合が
悪くなったり、製品がリン臭を発するものとなったり、
また処理の種類によってはホルマリン臭を発するものと
なり、所望の目的を達成できなくなる。また、有機リン
化合物の含有量が少な過ぎると、十分な消臭効果を製品
に付与できない。
本発明における処理は、前述の如き処理液を溶液、分
散液、粘稠液、糊状などの状態に調製し、これを繊維製
品に含浸、塗布、スプレーコーティングなどで付着さ
せ、乾燥、必要に応じて熱処理することにより実施され
る。
更に、例えば、セルロース系繊維製品への耐洗濯性を
得るための適用法としては特願昭60−239739号のような
方法が利用できる。
処理液は、目的に応じて市販の消臭剤、抗菌剤などを
併含してもよい。市販の消臭剤は耐洗濯性に欠けるが、
リン化合物使用による処理直後の処理臭(リン臭やホル
マリン臭)を除去する効果がある。この種の消臭剤とし
ては、ツバキ科植物の葉に含まれる消臭用組成物を利用
したものが好ましい。また、抗菌剤はバクテリヤなどの
繁殖によって生ずる臭いを抑制するのに使用するもので
あり、下着素材の処理にあっては、その併用が望まし
い。
抗菌剤としては、例えば芳香族ハロゲン剤の2,4,4′
−トリクロロ−2′−ヒドロキシジフェニルエーテルを
主成分としたもの、シリコン第4級アンモニウム塩系の
3−トリメトキシシリルプロピルジメチルオクタデシル
・アンモニウムクロライドを主成分としたもの、含窒素
系のポリヘキサメチレン・バイグアナイド・ハイドロク
ロライドを主成分としたものなど、市販のものがいずれ
も使用できる。
有機リン化合物に市販の消臭剤及び抗菌剤を併用した
処理液の使用では、耐洗濯性ある優れた消臭効果に加え
て、従来、得難いとされていた抗菌剤の耐洗濯性をも著
しく改良し、消臭及び抗菌性の両面で耐久機能性ある非
常に品質のよい加工が可能となる。
市販の消臭剤や抗菌剤を処理液に併含させる場合、そ
の使用量は処理液に対して、消臭剤0〜10重量%、抗菌
剤0.5〜10重量%程度でよく、消臭0.5〜5重量%、抗菌
剤1〜5重量%程度であるのが好ましい。
なお、処理液には更に吸水吸汗剤、帯電防止剤、撥水
撥油剤、ホルマリンキャチャーなどの添加剤を併含させ
てもよい。
繊維製品にリン化合物を固着させる手段としては (1) リン化合物をセルロース繊維と化学的に結合さ
せるための触媒、例えば、MgCl2、有機アミン塩酸塩な
ど、一般に樹脂加工用の架橋形成させるための触媒を用
いる、 (2) 架橋剤でリン化合物を繊維に固着する、 (3) 高分子バインダーで被膜形成、架橋反応、重合
反応などで繊維に固着させるなどの方法がいずれも使用
できる。
一般に処理液をパッディング、浸漬処理などにより繊
維製品に含浸させ、50〜100%程度の絞り率で圧搾し、
約100〜130℃で2〜10分の乾燥後、140〜180℃で10〜0.
5分の熱処理をすることにより、所望の結果を得ること
ができ、熱処理後の製品はそのまま使用することができ
るが、必要に応じて、未反応、未固着の樹脂等を除去す
るために、熱処理後、ソーピング(ソーダ灰のようなア
ルカリ物質を用いて約60〜90℃で5〜10分のアルカリソ
ーピング)、水洗、乾燥してもよい。なお、本発明で処
理されるセルロース系繊維製品とは、セルロース繊維単
独からなる糸、織物、編物、不織物などだけでなく、セ
ルロース繊維とポリエステルなど他の繊維との混紡品、
交織又は交編品などをも含むものである。
実施例1 60/2晒綿ニットに下記成分からなる処理液をパッド
し、ピックアップ65%に絞り、120℃で3分間乾燥後、1
50℃で3分間熱処理した。 成分 重量% ピロバテックス CP*1 2.5 リケンフィクサー LTC−28*2 0.5 ライトテックス 900*3 2.0 ダイパー 001*4 0.2 アゾレジン FCD*5 1 フレッシュ・シライマツ FS−600M*6 5 *1)チバ・ガイギー社のリン化合物(B式の化合物) *2)三木理研工業(株)製の触媒 *3)共栄社油脂(株)のシリコン系ソフナー *4)日華化学工業(株)製の非イオン系浸透剤 *5)里田化工(株)製のエチレン尿素系ホルマリンキ
ャチャー剤 *6)白井松新薬(株)製の消臭剤 得られた製品の消臭効果を下記のトリメチルアミン試
験で試験した。その結果を第1表に示す。
トリメチルアミン試験 350cm3の密閉容器に試料(25×32cm)を一枚入れ、更
に2%のトリメチルアミン溶液1mlを加えて密閉し、24
時間放置後、ヘッドスペースガス1mlを取り出し、ガス
クロマトグラフィーで分析した。その結果を同様にして
実施した空試験の結果と比較してトリメチルアミンの除
去率及び消臭量を求めた。
(ただし、洗濯試験は、JIS L−1042−1983 G法の電気
洗濯機法によった。) 第1表の結果から、本発明の処理によって、耐洗濯性
に優れた消臭効果が得られることがわかる。
実施例2 水玉プリントの180本ブロードに、第2A表の処理液1
〜9をパッドし、ピックアップ65〜70%となるように絞
り、120℃で3分間乾燥後、150℃で3分間熱処理した。
各製品の消臭効果を下記のトリメチルアミン試験で測定
した。その結果を第2B表に示す。
トリメチルアミン試験 350cm3の密閉容器に試料(25×32cm)を一枚入れ、更
に2%のトリメチルアミン溶液1mlを加えて密閉し、24
時間放置後、更に5%のトリメチルアミン溶液1mlを加
え、24時間放置後、ヘッドスペースガス1mlを取り出
し、ガスクロマトグラフィーで分析した。その結果を同
様にして実施した空試験の結果と比較してトリメチルア
ミンの除去率及び消臭量を求めた。
ただし、Iは処理後未洗濯の製品の測定値、IIは洗濯
5回後の製品の測定値を示す。
第2B表の結果から、リン化合物の添加量が増加するに
従って、未洗濯時及び洗濯後いずれにおいても著しく消
臭効果が増大することがわかる。また、市販の消臭剤の
併用は、未洗濯時の消臭効果を増加すると同時に、洗濯
後、特にリン化合物の添加量が多い時の消臭効果に相乗
効果を示すことがわかる。
なお、市販消臭剤の併用は、リン化合物にありがちな
異臭の軽減にも効果があった。
実施例3 水玉模様の捺様のしたポリエステル/綿(65/35)織
物を、下記組成からなる処理液I及びIIのFS−600Mの量
を変化させて処理した。処理液パッド後、72〜75%のピ
ックアップに絞り、120℃で3分間乾燥し、更に150℃で
3分間熱処理した製品の消臭効果を実施例1と同様に試
験した。その結果を第3表に示す。
重 量(%) 成分 処理液I 処理液II ピロバテックス CP*1 − 5.0 キャタリスト SWC*2 − 1.5 ネオ・シリコン 900*3 2.0 2.0 ダイパー 001 (30%)*4 0.2 0.2 Fix#8*5 3.0 3.0 FS−600M*6 X X 水 残り 残り *1)*2)*4)〜*7)は実施例2の第2A表と同
じ。*3)は里田化工(株)の柔軟剤(アミノシリコ
ン)。
本発明の処理液IIでは、市販の消臭剤の約半量のリン
化合物を使用するだけで、市販の消臭剤と同等の消臭効
果を示す。
実施例4 47CDポプリン(綿100%)に下記のリン化合物A〜C
の水性液をパッドし、ピックアップ65〜70%に絞り乾燥
後、150℃で3分30秒熱処理した。各製品の消臭効果を
実施例1と同様に試験した。その結果を市販の消臭剤D
を用いた場合と比較して第4表に示す。
A)明成化学工業(株)のK−19A(A式のリン化合
物) B)チバ・ガイギー社のピロバテックスCP(B式のリン
化合物) C)新日曹化工(株)のアミドホスファゼン化合物(C
式のリン化合物) D)白井松新薬(株)の消臭剤:フレッシュ・シライマ
ツFS−600M A〜Cいずれのリン化合物も、市販の消臭剤Dと同等
以上の消臭効果を示し、5%程度の使用量で非常に効果
的な結果が得られることがわかる。
実施例5 綿ブロードのプリント生地(綿100%)に第5A表の組
成からなる水性処理液をパッドし、ピックアップ約70%
に絞り、120℃で3分30秒乾燥後、150℃で3分熱処理し
た。
各製品の消臭効果を実施例2と同様に試験し、また、
抗菌効果については下記の試験法によって試験した。そ
の結果を第5B表に示す。
抗菌試験 AATCC Test Method 90準用、ハローテスト 使用菌種、黄色ブドウ状球菌(Staphylococcus aureu
s FDA 209P) 使用培地、普通寒天培地 (ただし、処理液No.0−未処理−及びNo.1は比較例であ
る。また、各試験結果で、Xの値は処理後未洗濯の製品
の測定値、Yの値は洗濯30回後の製品の測定値を示し、
抗菌試験の結果は、ハローの大きさmmを示す。) 第5B表の結果から、本発明の方法で、処理液に抗菌剤
を併含させた製品は、耐洗濯性ある消臭効果に加えて、
抗菌性にも耐洗濯性ある優れた結果が得られることがわ
かる。
発明の効果 本発明の方法は、セルロース系繊維製品に耐洗濯性あ
る優れた安定した消臭効果を付与できるので、従来の技
術では消臭加工が不可能とされていた、頻繁な洗濯を必
要とする繊維製品、例えば肌着、寝装、スポーツウエア
ーなどに対する消臭加工を可能とする。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記A〜Cからなる群から選ばれるリン化
    合物を0.1〜15重量%の割合で含有する処理液でセルロ
    ース系繊維製品を処理することを特徴とするセルロース
    系繊維製品の消臭加工法。
  2. 【請求項2】上記処理液が公知の消臭剤を併含すること
    を特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の方法。
  3. 【請求項3】上記処理液が抗菌剤を併含することを特徴
    とする特許請求の範囲第1項又は第2項に記載の方法。
  4. 【請求項4】セルロース系繊維に上記処理液をピックア
    ップ50〜100%の割合で付着させ、100〜130℃で乾燥
    後、140〜180℃で熱処理することを特徴とする特許請求
    の範囲第1項〜第3項いずれか1項記載の方法。
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JPS61119776A (ja) * 1984-11-16 1986-06-06 丸菱油化工業株式会社 改良されたセルロ−ス系繊維又は繊維製品の耐洗濯性防炎加工法

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