JP2582899Y2 - 給湯機のバーナ装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、家庭用石油給湯機等に
使用されるバーナ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、給湯機のバーナ装置の一形態とし
て、図11に示すような下方燃料噴射型のバーナ装置があ
る。

【０００３】図示するように、バーナ装置100aは、熱交
換器100 の上部にバーナ取付板101aを介して筒状バーナ
本体101 の下部を接続し、さらに、同筒状バーナ本体10
1 内に、下方に向けて燃焼ノズル102 を配設して、同ノ
ズル102 の周辺を燃焼室103としている。

【０００４】また、筒状バーナ本体101 内に、内筒101c
と外筒101bとを同心円的に配設し、燃焼室103 に連絡す
る一次流路104aと二次空気流路104bとを、それぞれ、内
筒101c内と、内筒101cと外筒101bとの間に形成し、さら
に、同筒状バーナ本体101の上部に、送気ファンに接続
した送気筒106 を取付けている。

【０００５】かかる構成によって、送気ファンの駆動に
より強制送気される燃焼用空気は筒状バーナ本体101 内
に流入した後、一次燃焼空気と二次燃焼空気とにそれぞ
れ分割されて、一次空気流路104aと二次空気流路104bと
を通して、燃焼室103 及びその周辺に流入し、そして、
燃焼ノズル102 からの燃料を点火プラグ107 により着火
させることにより、燃焼室103 内での燃焼が行われるこ
とになる。

【０００６】また、筒状バーナ本体101 の後方には、送
気ファンから上記一次及び２次空気流路104a,104b に流
入する空気量を調整する空気流路切換用ダンパーＣが配
設されている。図12は、空気流通路切換用ダンパーＣを
構成する固定板110 であり、同固定板110 には空気流入
孔117,118 を設けており、かかる空気流入孔117,118
は、それぞれ一次流通路104aと二次流通路104bとに連通
している。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】しかし、かかる給湯機
のバーナ装置は、以下の解決すべき課題を有していた。

【０００８】即ち、図12に示すように、二次空気流路10
4bへの空気流入口118 は、通常、約180 °対向した位置
で２個所設けているため、燃焼室103 において、同空気
流入口118 に対応する部分への燃焼空気量が他の部分よ
り増大するので、同部分の燃焼フレームが他の部分の燃
焼フレームより長くなる。

【０００９】これは、噴霧された石油と供給された燃焼
空気との混合が不均一となり、不完全燃焼状態であるこ
とを意味し、従って、バーナ装置の燃焼性能を低下する
ことになっていた。

【００１０】本考案は、上記した課題を解決することが
できる給湯機のバーナ装置を提供することを目的とす
る。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案は、熱交換器の一
側に筒状バーナ本体を接続し、筒状バーナ本体を、燃料
噴出ノズルを内蔵した内筒周りに外筒を略同心円的に配
設することにより構成し、内筒の内部及び内筒と外筒と
の間に、それぞれ、一次空気流路と環状の二次空気流路
とを形成し、同空気流路を通して内筒の前部に形成した
燃焼室内に、燃焼用空気を流入可能に構成し、かつ、筒
状バーナ本体の後方に、送気ファンから上記一次及び二
次空気流路に流入する空気量を調整する空気流路切換用
ダンパー装置を配設した給湯機のバーナ装置において、
二次空気流路の中途であって、二次空気流路の空気流入
口の直下流位置にのみ、多孔質板からなる二次空気整流
板を分割して配設したことを特徴とする給湯機のバーナ
装置に係るものである。

【００１２】

【実施例】以下_、 本考案を添付図に示す実施例に基づい
て_、 詳説する。

【００１３】図１及び図２に、本考案に係るバーナ装置
Ａを具備する石油式給湯機Ｂの全体構成を示す。

【００１４】図示するように、石油式給湯器Ｂは、ケー
シング10内に、燃焼室11と、同燃焼室11の上端に接続し
たバーナ装置Ａと、バーナ装置Ａに送気筒12を介して接
続した送気ファン13と、燃焼室11の下端に接続した排気
ダクト14,15 とを配設することによって構成している。

【００１５】また、図３において、Ｔは灯油を充填した
タンクであり、ポンプＰの作動によって、同タンクＴか
らの灯油をフィルタＦを介して往き油管Ｕよりバーナ装
置Ａに供給する。

【００１６】また、往き油管Ｕとバーナ装置Ａとには、
戻り油管Ｄを接続して、灯油の一部が霧化されて、バー
ナ装置Ａ内に噴出されるとともに、灯油の残部が、戻り
油管Ｄを通して還流される。

【００１７】また、戻り油管Ｄの中途部には、流量調整
弁Ｅと、微細な不純物を除去するフィルタF1と、灯油が
バーナ装置Ａへの逆流を防止する逆止弁Ｇが直列状態に
取付けられている。

【００１８】そして、流量調整弁Ｅを制御することによ
り、戻り油量を調節して、バーナ装置Ａへの噴霧量を増
減して、燃焼量を変化させることができる。

【００１９】さらに、燃焼室11の外壁には給水配管が巻
回され、かつ、燃焼室11の内部下方のフィンアンドチュ
ーブよりなる熱交換器61に連通連結されており、同熱交
換器61の給水側は給水配管Ｈと連通連結するとともに、
給水配管Ｈには、水量センサS1と水温センサS2とが取付
けられている。

【００２０】一方、熱交換器61の給湯側に接続した給湯
配管Ｉには、流量調整弁Ｊと湯温センサS3が取付けられ
ている。

【００２１】また、給湯配管Ｉからは風呂用配管Ｋを分
岐させており、風呂用水量センサS4と閉止弁Ｌを取付け
ることになる。

【００２２】図４に本考案の要部をなすバーナ装置Ａの
全体構成を示す。

【００２３】同図に示すように、燃焼室11と送気筒12と
の間に介設した筒状バーナ本体20は、一次燃焼室21内
に、下方に向けて燃料を噴射する燃料噴出ノズル22と点
火プラグ23とを配設した内筒24と、同内筒24の周りに同
心円的に層状に配設した一次外筒25及び二次外筒26とか
ら構成されている。

【００２４】また、内筒24は、その前部を形成する保炎
筒27を形成するとともに、その後部に、一次空気流入案
内筒28を連設するとともに、その後部端板29に一次空気
流入孔30を多数設けている。

【００２５】さらに、一次空気流入案内筒28内には、図
４に示すように、ロート状の空気案内板28a が配設され
ており、同案内板28a は、後方に向けて縮径状態の開口
部を設け、同開口部を一次空気流路30の方向に向けて配
設している。

【００２６】そして、上記一次空気流入案内筒28及び一
次空気流入孔30を通して、送気筒12から、一次空気を一
次燃焼室21内に円滑に供給することができる。

【００２７】一方、内筒24と一次外筒25との間には、環
状の二次空気流路31が形成されているとともに、同環状
の二次空気流路31は、保炎筒27の周面に設けた多数の二
次空気流入孔32を通して、保炎筒27内に形成される一次
燃焼室21と連絡している。

【００２８】かかる構成により、上記環状二次空気流路
31及び二次空気流入孔32を通して、送気筒12から、二次
空気を一次燃焼室21内に供給することができる。

【００２９】また、一次外筒25と二次外筒26との間には
三次空気流路33が形成されており、同三次空気流路33の
先端開口は、燃焼室11の内部空間34と連絡している。

【００３０】さらに、第４図に示すように、筒状バーナ
本体20と送気筒12との接続部には、空気流路切換用ダン
パー装置Ｃが配設されている。

【００３１】そして、かかる空気流路切換用ダンパー装
置Ｃによって、図７に示すように、要求熱負荷に比例し
て上記した一次空気、二次空気及び三次空気の空気量Ｑ
_1,Ｑ_2,Ｑ₃ を調整することができる。

【００３２】空気流路切換用ダンパー装置Ｃは、以下の
構成を有する。

【００３３】即ち、図４に示すように、空気流路切換用
ダンパー装置Ｃは、筒状バーナ本体20の後部に一体的に
形成した円板状の固定プレート40と、同固定プレート40
の後面に、摺動・回転可能に、かつ重合状態に配設した
円板状の可動プレート41と、可動プレート41を固定プレ
ート40に対して回転するギアードモータ等の回転モータ
42とから構成されている。

【００３４】また、図８及び図９に、固定プレート40と
可動プレート41の平面形状が示されている。

【００３５】図示するように、固定プレート40は、180
°対向する位置に、点対称に、複数の扇形 (約1/4 円
弧) の空気流入口40a,40b,40c を設けており、かかる空
気流入口40a,40b,40c は、それぞれ、図４に示す一次空
気流入案内筒28, 二次空気流路31及び三次空気流路33と
連通している。

【００３６】そして、かかる空気流入口40a,40b,40c
は、中心側から外縁側に向けて、円周角度を等しくしな
がら、その幅を漸次狭くしている。

【００３７】一方、可動プレート41は、180 °対向する
位置に、点対称に、複数の異形形状の可動側透孔41a,41
b,41c を設けている。

【００３８】即ち、可動側透孔41a,41b は、それぞれ、
同一半径方向上に位置しており、短尺の幅広円弧部と幅
狭円弧部とからなる。

【００３９】また、可動側透孔41c は、上記した可動側
透孔41a,41b と略90°直交する円周方向位置に配設され
ている。

【００４０】さらに、かかる可動プレート41は、可動側
透孔41b,41c の間に小円形状とした複数の可動側補助透
孔41d を有している。

【００４１】かかる構成によって、回転モータ42の駆動
によって、可動プレート41と固定プレート40に対して、
相対回転位置を採らせ、図７に示すように、一次空気量
Ｑ₁と二次空気量Ｑ₂ とを調整しながら、一次空気流入
案内筒28及び二次空気流路31を通して一次燃焼室21内に
燃焼空気を流入させることができる。

【００４２】本考案は、上記したバーナ装置Ａの全体構
成において、図４、図６及び図８に示すように、一対の
扇形の空気流入口40b を通して環状の二次空気流路31を
通して一次燃焼室21内へ流入する二次空気流の流れを、
全円周にわたって均一にした構成に特徴を有する。

【００４３】即ち、図４、図６及び図８に示すように、
環状の二次空気流路31の中途であって、二次空気流路31
の始端側に設けた一対の空気流入口40b の直下流位置
に、多孔質板からなる一対の二次空気整流板31a を分割
して配設している。

【００４４】即ち、各二次空気整流板31a は、図６、及
び、図８から明らかなように、その取付位置を二次空気
流路31の空気流入口40b と重合させており、また、その
形状及び大きさも、上記した空気流入口40b の形状と略
同じくして1/4 円弧の扇状としている。

【００４５】なお、図10の実施例では、二次空気整流板
31a は鋼板製であり、その底部に一体的に設けた取付リ
ブ31b を介して、内筒24の外周面に溶接されている。

【００４６】かかる構成によって、一対の扇形の空気流
入口40b を通して二次空気流路31に流入した空気流が、
流入当初は全周にわたって均一でない場合でも、同空気
流は多孔質板からなる二次空気整流板31a の多数の透孔
を通過させられることによって均一化され、その後、一
次燃焼室21内に供給されることになる。

【００４７】従って、燃焼空気は噴霧化された石油と全
周にわたって均一に混合され、一次燃焼室21内における
燃焼フレームは全周に渡って均一化され、一次燃焼室21
における完全燃焼が可能となり、燃焼効率の向上を図る
ことができる。

【００４８】なお、図示した実施例におけるその他の構
成について説明すると、図４において、燃焼室11と筒状
バーナ本体20との接続部に、断熱用箱体ｓを取付けて、
筒状バーナ本体20への熱伝達を遮断するように構成して
いる。

【００４９】また、燃焼室11の上部には、図４に示すよ
うに、バーナ取付板25a を介して筒状バーナ本体20の下
部が取付けられており、同バーナ取付板25a に開口部を
設け、同開口部によって一次燃焼室21の保炎筒27を燃焼
室11内に突出させている。

【００５０】さらに、バーナ取付板25a には、図６に示
すように連通孔25c を設けて、断熱用箱体ｓと三次空気
流路33とを連通して、送気筒12から、三次空気を断熱用
箱体ｓ内の断熱空間ａに流入させている。

【００５１】また、図４において、保炎筒27は、その先
端に攪拌板53を取付けており、燃焼空気の拡散を増進
し、燃焼室11内における熱交換率を向上することができ
る。

【００５２】また、図５において、可動プレート41は、
その中心部に、連結孔41g を設けており、同連結孔41g
に回転モータ42の出力軸54に取付けたボス55を装着し
て、回転モータ42と連動連結している。

【００５３】さらに、可動プレート41の連結孔41g に
は、図５に示すように、ボス55に係合する為の突起部56
を突設すると共に、同ボス55の周面に、突起部56が嵌入
する為の嵌入凹部57を設けて、同可動プレート41とボス
55との連結を行っている。

【００５４】なお、58はボス55に設けた回転モータ42の
出力軸54の装着孔を示す。

【００５５】また、かかるボス55には、図５図に示すよ
うに、スプリング59を取付けて、同スプリング59によっ
て、可動プレート41を固定プレート40の方向に付勢させ
ている。

【００５６】

【効果】上記したように、本願考案では、給湯機のバー
ナ装置において、二次空気流路の中途であって、二次空
気流路の空気流入口の直下流位置にのみ、多孔質板から
なる二次空気整流板を分割して配設している。

【００５７】かかる構成によって、二次空気流入口を通
して二次空気流路に流入した空気流が、流入当初は全周
にわたって均一でない場合でも、同二次空気整流板によ
って均一化され、その後、燃焼室内に供給されることに
なる。従って、燃焼空気は噴霧化された石油と全周にわ
たって均一に混合され、燃焼室内における燃焼フレーム
は全周に渡って均一化され、燃焼室における完全燃焼が
可能となり、燃焼効率の向上を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るバーナ装置を具備する石油式給湯
機の断面正面図である。

【図２】同石油式給湯機の断面側面図である。

【図３】同石油式給湯機の概念的構成説明図である。

【図４】バーナ装置の内部構成説明図である。

【図５】バーナ装置の内部構成拡大説明図である。

【図６】第４図のＩ−Ｉ線断面図である。

【図７】要求熱負荷と風量との関係を示すグラフであ
る。

【図８】図５のＩＩ−ＩＩ線による空気流路切換用ダン
パー装置の断面図である。

【図９】可動プレートの正面図である。

【図１０】二次空気整流板の取付図である。

【図１１】従来のバーナ装置を示す断面図である。

【図１２】図１１のIV-IV 線による断面図である。

【符号の説明】

Ａ バーナ装置 Ｃ 空気流路切換用ダンパー装置 13 送気ファン 11 燃焼室 20 筒状バーナ本体 21 一次燃焼室 22 燃焼噴出ノズル 24 内筒 25 外筒 30 一次空気流路 31 二次空気流路 31a 二次空気整流板 40b 空気流入口 61 熱交換器

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 安永 繁文 兵庫県神戸市東灘区魚崎浜町43番１号 日本ユプロ株式会社内 (72)考案者 永田 弁吉 兵庫県神戸市東灘区魚崎浜町43番１号 日本ユプロ株式会社内 (56)参考文献 特開 平２−157514（ＪＰ，Ａ) 実開 平３−128221（ＪＰ，Ｕ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F23L 9/00 - 9/06 F23D 11/24

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】熱交換器(11)の一側に筒状バーナ本体(20)
   を接続し、筒状バーナ本体(20)を、燃料噴出ノズル(22)
   を内蔵した内筒(24)周りに外筒(25)を略同心円的に配設
   することにより構成し、内筒(24)の内部及び内筒(24)と
   外筒(25)との間に、それぞれ、一次空気流路(30)と環状
   の二次空気流路(31)とを形成し、同空気流路を通して内
   筒(24)の前部に形成した燃焼室(21)内に、燃焼用空気を
   流入可能に構成し、かつ、筒状バーナ本体(20)の後方
   に、送気ファン(13)から上記一次及び二次空気流路(30)
   (31)に流入する空気量を調整する空気流路切換用ダンパ
   ー装置(C) を配設した給湯機のバーナ装置において、 二次空気流路(31)の中途であって、二次空気流路(31)の
   空気流入口(41b) の直下流位置にのみ、多孔質板からな
   る二次空気整流板(31a) を分割して配設したことを特徴
   とする給湯機のバーナ装置。