JP2582155B2 - 自動巻用オモリ - Google Patents

自動巻用オモリ

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JP2582155B2 JP1105239A JP10523989A JP2582155B2 JP 2582155 B2 JP2582155 B2 JP 2582155B2 JP 1105239 A JP1105239 A JP 1105239A JP 10523989 A JP10523989 A JP 10523989A JP 2582155 B2 JP2582155 B2 JP 2582155B2
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憲一 吉岡
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隆夫 河西
博文 渡辺
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、自動巻腕時計のぜんまいを巻くためと自動
巻用オモリに関するものである。
〔従来の技術〕
従来の自動巻オモリは、第3図(a)に示すようにタ
ングステン、モリブデン、プラチナ等の貴金属を主体に
する合金からなるオモリ部1と、該オモリ部1を固定
し、回転軸受を保持する黄胴製ハブ部2とで構成され、
両者は鋲留めまたは溶接によって接合されていた。第3
図(b)は第3図(a)におけるオモリ部1のA−A断
面図である。これまでのオモリ部は、粉末冶金法によ
り、単純な円板形状のブロックを作り、旋盤加工によっ
て削りだす方法を取ることが一般的であった。
〔発明が解決しようとする課題〕
円板状のブロックを製造し、ブロックより要求形状を
削り出す従来方法では、切削量が多いため、材料の無駄
が多く、又切削加工に負担がかかるので、コストアップ
になるという欠点があった。
従来方法によるオモリ部製造法の欠点を補う目的で、
発明者は、粉末射出成形法または乾式粉末プレス法によ
りオモリ部の完成形状を直接成形し、焼成して製造する
方法による開発を試みたが、後に述べるような課題があ
り、完全な改良にはならなかった。
粉末射出成形法によるオモリ部の製造工程を簡単に説
明すると、原料粉であるタングステン、モリブデン、プ
ラチタ等の重金属を主体とした金属粉末と熱可塑性樹脂
やワックスバインダーとを混合した混練物を作り、射出
成形機によって前記混練物からオモリ部成形体を作り、
次に約500℃まで徐々に昇温して樹脂を分解除去する脱
脂処理をした後、還元雰囲気で脱脂体を焼結し、製品を
得る。タングステン合金は、金属結合剤であるニッケ
ル、鉄および銅を溶融した液相存在下で焼結される。
粉末射出成形法の課題とは、上記脱脂工程において、
成形体中の樹脂バインダーが軟化し、成形体の強度が低
下するため、第4図に示すようにセッター4に接してい
ない部分(例えば、ひさし3)は、自重を支えきれず変
形すること、および焼成工程において、上記金属粉末を
融点以上の温度で焼結させるため、同様に軟化して変形
することである。特に、第4図にようにひさし3におい
て、自重を支えきれなくなってしまい、最大100μm程
度変形を生じてしまう。ひさし3の変形防止のため、第
5図のように、ひさし3とセッター4との隙間にセラミ
ック製の冶具5を置いて焼成すれば、ひさしの変形を抑
えることは可能であるが、オモリ部脱脂体は、焼成工程
で焼結が進むにつれてち密化し、15%程度収縮するた
め、オモリ部の収縮に合わせて収縮するような冶具を用
意しなければならない。
しかし、このような冶具を作ることは技術的に非常に
困難である。焼成後の寸法に合わせた冶具では、オモリ
部成形体と焼成体との寸法が大きく異なるため、脱脂す
る際にひさし3全体を保持できず、脱脂と焼成で冶具5
を取り替えなければならない。しかし、脱脂工程終了
後、脱脂体は樹脂が除去されていて、もろい状態にある
ため、脱脂体の取扱いは難しく、冶具の交換は非常に手
間がかかる作業となってしまう。セラミックスや金属等
の粉末の中にオモリ部を埋め込んで脱脂・焼成をする
と、変形を防止できるように考えられるが、詰め粉自身
もオモリ部の収縮に併せて収縮あるいは移動しないと、
やはり変形を抑えることはできない。さらに、敷いてい
た粉が焼成体のオモリ部表面に突き刺さり、焼成後に粉
の除去をするために非常に手間がかかってしまう。変形
したオモリ部は、ハブ部2との溶接不良となったり、組
み込み不良の原因となり、製品として使用できないた
め、プレス等の後工程によって変形を修正しなければな
らなくなり、コストアップにつながってしまう。
本発明では、粉末成形法によって完成形状のオモリ部
を成形し、焼成することにより、円板状のブロックを削
り出して製造する方法のコストアップという欠点を解消
し、なおかつ変形のない、安価な自動巻用オモリを提供
することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本発明は、オモリ部を、外
周部の肉厚が内周部に比べ厚く、ほぼ半円形で、かつ内
周部近傍の一面に複数個の凹部が設けられている形状
に、射出成形法、プレス成形法等の粉末成形法により成
形し、ハブ部に前記凹部に係合する突出部を設け、これ
らを前記凹部と突出部とを固着することで達成される。
〔実施例〕
本発明による実施例を図面を基に説明する。
第1図(a)、(b)は、本発明による自動巻用オモ
リの構成を示したもので、第1図(a)は、オモリ部と
ハブ部の下面図、(b)は、オモリ部のB−B断面図で
ある。オモリ部6は、タングステン、モリブデン、プラ
チナ等の貴金属を主体とした合金からなり、ハブ部7は
黄銅製からなっている。オモリ部6は、内周部近傍の一
面にハブ部7の突出部9が係合する凹部8を複数個持
ち、ハブ部7にはオモリ部6に形成された凹部8に係合
する突出部9が設けてあり、この凹部8と突出部9でオ
モリ部6とハブ部7とは、鋲とめまたは溶接によって接
合固定されている。
以下に、オモリ部6の凹部8の大きさについて説明す
る。10、11の寸法は、凹部8の面積が大きすぎると焼成
段階で自重によって変形してしまうし、小さすぎると、
溶接不良となってしまう。そこで10、11の寸法は、確実
に溶接することのできるよう10、11ともに1mm程度とす
る。深さ方向の寸法12は、オモリ部6とハブ部7を接合
した後、両者が面一になるようにハブ部7の厚み以上と
する必要がある。次に、オモリ部6とハブ部7とが重な
る場合は、第2図のように接合に必要な面積だけでな
く、オモリ部13内周部の全体にわたってひさし15をつけ
るようにすると、ハブ部14を取り付けた後のオモリの強
度が、ひさしのない第1図に示したオモリに比べて向上
し、実際にオモリを時計に組み込んで使用している時の
落下等の衝撃対策に有効である。しかし、このひさし15
の面積を広くとりすぎると、オモリ部13を焼成する段階
で、ひさし15が第4図のひさし3のように変形を起こし
てしまうため、第2図の15の寸法は、最大1mm程度とす
るのが望ましい。
次に射出成形法と、プレス成形法を用いたオモリ部の
成形について説明する。
<射出成形法> 平均粒径が1〜10μmのタングステン、鉄、ニッケル
および銅の粉末を重量比で95:1:2:2の割合で混合し、前
記混合物に対して5wt%のアクリル系高分子とワックス
からなる樹脂を添加し、ニーダーにより、100℃で3時
間混練し、樹脂の中に金属粉末を均一に分散させた。前
記金属と樹脂の混合物を射出成形機の加熱筒内に充填
し、加熱筒内の温度を150℃に保って混合物を溶融状態
にした後、予め収縮を見込んである射出成形用金型中に
射出し、完成形状のオモリ部を成形した。次に、オモリ
部成形体には、第1図(b)に示す1a面を下にして、セ
ッターにのせ、窒素中雰囲気で400℃まで20℃/hrで昇温
させ、樹脂成分を取り除く脱脂処理を行った。前記脱脂
処理で樹脂成分を約90%まで揮発させた後、水素雰囲気
下、1400℃で焼成した。
焼成後の寸法測定を行ったところ、本発明によるオモ
リ部においては、変形がなく、完成寸法を満足し、二次
加工を全く必要としないことが判った。
<プレス成形法> 実施例1の金属粉末と、金属粉末に対して0.8wt%の
ポリビニルアルコールとワックスを有機溶剤に加えてボ
ールミルで混合し、スプレードライにて造粒し、乾式プ
レス成形機により完成形状のオモリ部を成形した。プレ
ス成形法の場合は、樹脂成分の割合が少ないため、射出
成形法のように脱脂工程でひさしが変形するようなこと
はなかった。焼成は実施例1と同様に行った。焼成後の
測定の結果、変形はなく、寸法精度も実施例1よりは劣
るが要求値を満足していた。
〔発明の効果〕 以上説明した様に、本発明によれば、ハブ部を固着す
るための凹部に変形のないオモリ部が得られた。その結
果、変形修正のための二次加工が不要になった。さら
に、ひさしの部分の肉厚が従来よりも増したため、オモ
リ部自身の重量が増加して、慣性モーメントが増え、巻
き効率が向上した。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるオモリ部およびハブ部の一実施例
を示し、(a)は下面図、(b)はオモリ部の(a)に
おけるBB線断面図、第2図は本発明によるオモリ部およ
びハブ部の他の実施例を示す下面図であり、第3図
(a)、(b)は従来のオモリ部およびハブ部を示し、
(a)は下面図、(b)はオモリ部の(a)におけるAA
線断面図、第4図はひさしの変形した従来のオモリ部の
説明図、第5図はひさしの変形防止のために冶具をおい
た従来のオモリ部の説明図である。 1、6、13……オモリ部、 2、7、14……ハブ部、 8……凹部、 9……突出部。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き 審査官 居島 一仁 (56)参考文献 特開 昭51−147357(JP,A) 実開 昭50−6268(JP,U) 実開 昭51−76515(JP,U) 実開 昭50−107167(JP,U) 実公 昭51−9263(JP,Y1)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】タングステン、モリブデン、プラチナ等の
    重金属を主体とした高比重の合金からなるオモリ部と、
    これに接合されるハブ部よりなる自動巻用オモリにおい
    て、前記オモリ部は、粉末成形法によって成形されるも
    のであって、外周部に肉厚が内周部に比べ厚く、ほぼ半
    円形で、かつ円周部近傍の一面に複数個の凹部が形成さ
    れており、前記ハブ部は、前記オモリ部に形成された凹
    部に係合する突出部を設けており、前記オモリ部とハブ
    部とは前記凹部と突出部とで固着一体化されていること
    を特徴とする自動巻用オモリ。
JP1105239A 1989-04-25 1989-04-25 自動巻用オモリ Expired - Lifetime JP2582155B2 (ja)

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EP2979138B1 (fr) * 2013-03-28 2017-06-28 ETA SA Manufacture Horlogère Suisse Procédé de fabrication d'une masse oscillante en matériaux composites
EP4086711A1 (fr) * 2021-05-07 2022-11-09 Comadur S.A. Support pour un procédé de frittage d'un corps, notamment pour l'horlogerie

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