JP2581944B2 - 混合ガスからの特定ガス成分の回収方法 - Google Patents

混合ガスからの特定ガス成分の回収方法

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JP2581944B2 JP63001672A JP167288A JP2581944B2 JP 2581944 B2 JP2581944 B2 JP 2581944B2 JP 63001672 A JP63001672 A JP 63001672A JP 167288 A JP167288 A JP 167288A JP 2581944 B2 JP2581944 B2 JP 2581944B2
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【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、圧力変動式吸着分離法により混合ガスから
特定ガス成分を回収する方法、殊に燃焼廃ガスなど低品
位の廃ガスから有用ガス成分を回収する方法に関するも
のである。
従来の技術 混合ガスから特定ガス成分を回収する方法として、圧
力変動式吸着分離法(以下必要に応じPSA法と称する)
と温度変動式吸着分離法(以下必要に応じTSA法と称す
る)とが知られている。
標準的なPSA法は、高圧で被吸着成分を吸着剤に吸着
させ、ついで吸着系の圧力を常圧またはそれ以下にまで
下げることによって吸着剤に吸着されている被吸着成分
を脱離させ、もって吸着成分と被吸着成分とを分離する
方法である。工業的には、吸着剤を充填した塔を複数基
設け、それぞれの吸着塔において、昇圧→吸着→洗浄→
脱気の一連の操作をサイクリックに行うことによって連
続的に分離回収を行う。
標準的なTSA法は、低温で被吸着成分を吸着剤に吸着
させ、ついで吸着系の温度を上げることによって吸着剤
に吸着されている被吸着成分を脱離させ、もって吸着成
分と被吸着成分とを分離する方法である。吸着および脱
離は常圧で行うが、場合により吸着を加圧下で行うこと
もある。
発明が解決しようとする問題点 上述のPSA法、TSA法は、現在では種々の分野で採用さ
れている。
しかしながら、これらの方法を燃焼廃ガスなど品位の
劣る廃ガスから有用ガス成分を回収する目的に応用しよ
うとすると、次に述べるような困難に直面する。
すなわち、上記PSA法においては、加圧吸着では加圧
のためのエネルギーコストが大きくなって採算性に問題
を生じ、一方常圧吸着では処理量に比し塔および吸着剤
の容量が大きくなって設備コストや吸着剤コストの点で
採算性に問題を生ずる。また再生を高度の真空下で行う
ので、真空度を高めるための動力コストが大きくなると
いう不利もある。
上記TSA法においては、吸着剤の再生をスチームなど
を利用して行うため、再生用のエネルギーコストが大き
くなる上、高温→常温、常温→高温の切り換えは圧力変
動に比しては時間がかかるため生産性が劣り、さらには
加熱のための設備費の点でもコスト高になるという不利
がある。
上述のように標準的はPSA法やTSA法は、技術的には種
々の混合ガスからの特定ガスの分離回収に適用すること
は可能でも、燃焼廃ガスなど品位の劣る廃ガスから有用
ガス成分を回収する目的には、経済性の点から実用化し
がたいという現状にある。
本発明にあっては、常圧−減圧のPSA法を採用すると
共に、再生を原料ガス自身で行うことにより、低品位ガ
スから有用成分を効率良く回収することに成功した。
問題点を解決するための手段 本発明の混合ガスからの特定ガス成分の回収方法は、
圧力変動式吸着分離法により混合ガスから特定ガス成分
を回収するにあたり、 後述の工程(F)により加熱再生を行った塔に、低温
の原料ガスを常圧で供給して塔内の吸着剤を冷却する工
程(A)、 前工程(A)により冷却を行った塔に、後述の工程
(F)における加熱再生中の塔から導出された特定ガス
成分の分圧が高められたガスを低温常圧で供給し、該特
定ガス成分を吸着剤に吸着させる工程(B)、 前工程(B)終了後、気相中の不純ガスを、後述の工
程(D)で得られる製品ガスの一部を用いてパージする
ことにより洗浄する工程(C)、 前工程(C)による洗浄後、吸着剤に吸着されている
特定ガス成分を減圧下に脱離し、製品ガスを得る工程
(D)、 前工程(D)終了後、塔を低温の原料ガスで常圧まで
昇圧すると共に、原料ガス中の特定ガス成分を吸着剤に
吸着させる工程(E)、 前工程(E)終了後の塔に、高温の原料ガスを供給
し、吸着剤に吸着されている特定ガス成分を脱気して吸
着剤を再生すると共に、特定ガス成分の分圧が高められ
たガスを導出する工程(F)、 の各工程を複数の塔を用いてサイクリックに行うことを
特徴とするものである。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の方法は、複数の成分を含むガスであれば如何
なる混合ガスであっても適用できる。
原料ガスとしては、たとえば、電気炉、転炉、高炉、
発生炉、コークス炉などから得られるガス、燃焼ガス、
各種反応ガスまたはそれに副生するガス、天然に存在ま
たは産出されるガスなどがあげられる。
これらの中でも、標準的なPSA法やTSA法を採用したの
では採算性を有しないガス、たとえば低品位の廃ガスに
少量含まれる有用ガス成分を回収する場合に、本発明の
利用価値が大きい。このような低品位の廃ガスの代表的
なものとしては、燃焼廃ガスがあげられる。燃焼廃ガス
は有用成分であるCO2を含む上、高温であるので吸着剤
の再生にその持つ熱量を用いることができ、有利であ
る。
吸着剤としては、活性炭、合成または天然ゼオライ
ト、モレキュラーシービングカーボンをはじめ、原料ガ
スの種類、分離回収しようとする特定ガスの種類に応じ
て最適なものが選択される。
次に、本発明の各工程を説明する。
工程(A) 工程(A)は、後述の工程(F)により加熱再生を行
った塔に、低温(通常は常温)の原料ガスを常圧で供給
して塔内の吸着剤を冷却する工程からなる。
この冷却により、吸着剤は特定ガスを吸着できる態勢
になる。なお、冷却操作中に原料ガス中の特定ガスが若
干吸着剤に吸着する。
工程(B) 工程(B)は、前工程(A)により冷却を行った塔
に、後述の工程(F)における加熱再生中の塔から導出
された特定ガス成分の分圧が高められたガスを低温常圧
で供給し、該特定ガス成分を吸着剤に吸着させる工程か
らなる。
吸着は、通常、特定ガス成分が破過するまで行う。
供給するガスは原料ガスに比し特定ガス成分の分圧が
高められているので、特定ガス成分は効率的に吸着剤に
吸着することになる。
工程(C) 工程(C)は、前工程(B)終了後、気相中の不純ガ
スを、後述の工程(D)で得られる製品ガスの一部を用
いてパージすることにより洗浄する工程からなる。
前工程(B)終了後の塔および配管内には不純ガスが
存在しているので、そのまま次工程(D)を実施すると
製品ガスの純度が劣るようになる。そこで製品ガス取得
に先立ち、この洗浄工程(C)を実施する。
工程(D) 工程(D)は、前工程(C)による洗浄後、吸着剤に
吸着されている特定ガス成分を減圧下に脱離し、製品ガ
スを得る工程からなる。
減圧の程度は任意に設定できるが、この工程(D)は
再生のための工程ではなく製品ガス取り出しのための工
程であるので、必ずしも高度の真空度にまで減圧しなく
てもよい。
工程(E) 工程(E)は、前工程(D)終了後、塔を低温の原料
ガスで常圧まで昇圧すると共に、原料ガス中の特定ガス
成分を吸着剤に吸着させる工程からなる。
この工程(E)は、次工程(F)において特定ガス成
分の分圧が高められたガスを得るための準備工程であ
る。
工程(F) 工程(F)は、前工程(E)終了後の塔に、高温の原
料ガスを供給し、吸着剤に吸着されている特定ガス成分
を脱気して吸着剤を再生すると共に、特定ガス成分の分
圧が高められたガスを導出する工程からなる。
前工程(E)において吸着剤に吸着された特定ガス
は、この工程(F)で脱離して吸着剤層を通過する原料
ガス中に混入し、特定ガス成分濃度の高まったオフガス
が得られることになる。
作用 工程(F)終了後は、再び工程(A)に戻り、以後の
各工程を繰り返す。
以上の工程操作を複数の塔を用いてサイクリックに行
う。塔の数としては、2塔式、3塔式、4塔式などが採
用され、一つの塔である工程が実施されている間に、他
の塔では他の工程が行われるようにプログラムを組む。
結局、本発明においては、吸着は常温常圧で行い、脱
離は減圧下に行い、再生は高温の原料ガスを用いて行う
ことになる。
実 施 例 次に実施例をあげて本発明をさらに説明する。
実施例1 第1図は、吸着剤としてクリノプチロライト系吸着剤
を用いたときのCO2の吸着等温線の一例を示したもので
あり、実線はガス温が25℃の場合の吸着等温線、点線は
ガス温が100℃の場合の吸着等温線である。横軸はCO2分
圧(mmHg)、縦軸はCO2吸着量(cc/g)である。
CO2の分圧が50mmHg(CO2含量で6.5%)の燃焼廃ガス
を原料ガスとして用い、該原料ガスから有用成分である
CO2を回収する実験を行った。実験に際しては、このガ
スを100℃にまで自然冷却したものと、25℃にまで強制
冷却したものとを用いた。
クリノプチロライト系吸着剤を充填した塔を用い、下
記の工程に従ってPSAサイクルを実施した。各工程は、
第1図にもA、B、D、E、Fの符号で示した。(工程
(C)は洗浄工程であるので図には示していない。) 工程(A) 後述の工程(F)により加熱再生を行った塔に、25℃
に冷却した原料ガスを常圧で供給して塔内の吸着剤を冷
却した。
工程(B) 前工程(A)により冷却を行った塔に、後述の工程
(F)における加熱再生中の塔から導出されたオフガ
ス、すなわちCO2成分の分圧が170mmHgにまで高められた
ガス(CO2濃度22%のガス)を低温常圧で供給し、CO2を
吸着剤に吸着させた。CO2は破過させた。
工程(C) 前工程(B)終了後、気相中の不純ガスを、後述の工
程(D)で得られる製品ガスの一部を用いてパージする
ことにより洗浄した。
工程(D) 前工程(C)による洗浄後、吸着剤に吸着されている
CO2を減圧下に脱離し、製品CO2を得た。製品ガスの一部
は、上述のように工程(C)で洗浄ガスとして消費し
た。
工程(E) 前工程(D)終了後、25℃にまで冷却した原料ガスを
塔内に通して常圧まで昇圧すると共に、CO2が破過する
まで原料ガス中のCO2を吸着剤に吸着させた。
工程(F) 前工程(E)終了後の塔に、100℃の原料ガス50Ncc/g
・サイクルを導入し、吸着剤に吸着されているCO2を脱
気して吸着剤を再生すると共に、CO2成分の分圧が170mm
Hgにまで高められたオフガス(CO2濃度22%のガス)を
塔から導出した。なおこのときの物質収支は次の通りで
ある。
CO2バランス 出=入+脱着 入 50×6.5/100 出 (50+10)×22/100 脱着 21−11=10 実施例2 工程(F)における100℃の原料ガスの導入量を30Ncc
/g・サイクルとしたほかは実施例1を繰り返した。この
ときの物質収支は次の通りである。
CO2バランス 出=入+脱着 入 30×6.5/100 出 (30+10)×30/100 脱着 21−11=10 発明の効果 本発明の方法は、基本的には常圧−減圧のPSA法を採
用するものである。
従って、原料ガスの圧縮を行わないので、加圧のため
のエネルギーを要せず、コスト的に有利である。PSA法
の利点である切り換え時間が短かいという利点もそのま
ま生かされるので、生産性の点でも有利である。また減
圧は製品ガスの取り出しのための操作であるので、真空
再生のような高度の真空度は必ずしも必要ではなく、減
圧のための動力コストの点でも有利である。
しかも、高温の原料ガスを用いて再生を行うものであ
るため、吸着剤再生のためのエネルギーコストが小さく
なる。特に燃焼ガスのように高温のガス源を用いれば、
加熱のためのエネルギーも不要となる。
また、常圧吸着と原料ガス自身による再生を組み合せ
ているので、従来の加圧−真空の場合と同様のPSA容量
が得られる。従って、原料ガスの処理量に比し塔の容量
および吸着剤の使用量を最小限に保つことができ、設備
コスト、吸着剤コストの点でも有利である。
本発明の方法は原料ガスの種類にかかわらず適用でき
る上、従来の標準的なPSA法やTSA法では採算性の点から
採用しえなかった燃焼廃ガスなど品位の劣る廃ガスから
有用ガス成分を回収する目的にも適用することができ
る。
よって本発明は、工業上極めて有利である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、吸着剤としてクリノプチロライト系吸着剤を
用いたときのCO2の吸着等温線の一例を示したものであ
り、実線はガス温が25℃の場合の吸着等温線、点線はガ
ス温が100℃の場合の吸着等温線である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】圧力変動式吸着分離法により混合ガスから
    特定ガス成分を回収するにあたり、 後述の工程(F)により加熱再生を行った塔に、低温の
    原料ガスを常圧で供給して塔内の吸着剤を冷却する工程
    (A)、 前工程(A)により冷却を行った塔に、後述の工程
    (F)における加熱再生中の塔から導出された特定ガス
    成分の分圧が高められたガスを低温常圧で供給し、該特
    定ガス成分を吸着剤に吸着させる工程(B)、 前工程(B)終了後、気相中の不純ガスを、後述の工程
    (D)で得られる製品ガスの一部を用いてパージするこ
    とにより洗浄する工程(C)、 前工程(C)による洗浄後、吸着剤に吸着されている特
    定ガス成分を減圧下に脱離し、製品ガスを得る工程
    (D)、 前工程(D)終了後、塔を低温の原料ガスで常圧まで昇
    圧すると共に、原料ガス中の特定ガス成分を吸着剤に吸
    着させる工程(E)、 前工程(E)終了後の塔に、高温の原料ガスを供給し、
    吸着剤に吸着されている特定ガス成分を脱気して吸着剤
    を再生すると共に、特定ガス成分の分圧が高められたガ
    スを導出する工程(F)、 の各工程を複数の塔を用いてサイクリックに行うことを
    特徴とする混合ガスからの特定ガス成分の回収方法。
  2. 【請求項2】原料ガスが低品位の廃ガスである請求項1
    記載の方法。
  3. 【請求項3】廃ガスが燃焼廃ガスである請求項2記載の
    方法。
  4. 【請求項4】原料ガスが低品位の燃焼廃ガスであり、か
    つ特定成分がCO2である請求項1記載の方法。
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