JP2581703Y2 - フロントフォーク - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動二輪車の車体と車軸間に介装された路
面からの振動を減衰する緩衝器とフォークを兼ねたフロ
ントフォークに関する。

［従来の技術］ 一般に自動二輪車のフロントフォークは当該フロント
フォークの外周を保護するアウターカバーを設けてい
る。このアウターカバーはフロントフォーク自体を車体
側に保持するアンダーブラケットに上端を固定し、下部
をスカート状に垂設しているが、このアウターカバーは
路面からの振動入力やエンジンに起因する振動で振動す
るために振動音が発生したり、半径方向の大きな振れに
よって耐久性が損われる不具合がある。

この為、例えば、実公昭37−30303号公報に開示され
たようなアウターカバーの取付構造が開発されている。

［考案が解決しようとする課題］ しかしながら、上記のアウターカバー取付構造は、ア
ウターカバー内周と車体側チューブ外周との間に薄い鉄
板で成形された脚部を介在させてアウターカバーを保持
させただけであるから、アウターカバーの車体側チュー
ブ方向への傾きは防止できるが、脚部が薄いことと、脚
部の内周に若干のクリアランスが存在することから、ア
ウターカバーの振動及び振動による発音の発生を完全に
抑えることができないという問題がある。

そこで、本考案の目的は、アウターカバーの傾きや振
動の発生を充分に防止し、耐久性を向上できるフロント
フォークを提供することである。

［課題を解決するための手段］ 上記の目的を達成するため、本考案の構成は、車体側
インナーチューブを車輪側アウターチューブ内に摺動自
在に挿入させ、車体側インナーチューブがアンダーブラ
ケットとアッパーブラケットを介して車体側に連結さ
れ、車体側インナーチューブの上方外周に当該車体側イ
ンナーチューブの外周を保護する筒状アウターカバーを
配設したフロントフォークにおいて、アウターカバーは
筒体と、筒体の上端に設けられてアンダーブラケットの
上端に係止する係止部と、筒体の胴部に形成されてアン
ダーブラケットを貫通させる開口部とを有し、更に筒体
の内周に環状のガイドを固定し、このガイドに弾性な環
状の防振体を固定し、当該防振体の内周を任意の締代を
もって車体側インナーチューブの外周に当接させたこと
を特徴とするものである。

［作用］ アウターカバーに伝達される振動入力は防振体で吸収
されてアウターカバーの振動や振動に起因する振動音の
発生が抑えられる。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面にもとづいて説明する。

車輪側アウターチューブ１内に車体側インナーチュー
ブ２が摺動自在に挿入され、車輪側アウターチューブ１
の下部中央から筒状のばね受け３が起立し、このばね受
け３の上端と車体側インナーチューブ２の上端キャップ
４との間に懸架スプリング５が介装されている。

車体側インナーチューブ２の下端外周には車輪側アウ
ターチューブ１の内周を摺接するベアリング７が設けら
れ、車体側インナーチューブ２と車輪側アウターチュー
ブ１との間には油室８が区画され、この油室８は車体側
インナーチューブ２に設けた複数のオリフイス９を介し
てリザーバ10内に通じている。

ばね受け３の下端外周には油孔桿11が設けられ、最圧
縮時に車体側インナーチューブ２がこの油孔桿11に嵌合
してオイルロックを効かせるようになっている。

懸架スプリング５は上下二つのスプリング5a,5bと二
つのスプリング5a,5bを接続するシート６とからなり、
二つのスプリング5a,5bは、ばね荷重を同一にしたり、
又は異なるものが使用される。

車体側インナーチューブ２はアッパーブラケット12と
アンダーブラケット13を介して車体側に連結され、車輪
側アウターチューブ１はアイ15を介して車軸に連結され
る。

車体側インナーチューブ２の上方外周には上方の筒状
アウターカバー16と下方の筒状アウターカバー19とが配
設され、上方のアウターカバー16はアッパーブラケット
12とアンダーブラケット13との間にカバーガイド17とパ
ッキン18を介して介装されている。下方のアウターカバ
ー19の上部係止部22aはカバーガイド17及びパッキン18
とアンダーブラケット13との間に挟持され、下部は下方
にスカート状に垂設されている。

アウターカバー19は第２図に示すように、筒体22と筒
体22の上端に設けた環状の係止部22aと、筒体22の胴部
に設けてアンダーブラケット13を貫通させる開口部22b
とを有している。係止部22aはアンダーブラケット13の
上端部に係止されている。

アウターカバー19を構成する筒体22の内周には環状の
ガイド20を溶接等で固定し、このガイド20の上面には環
状のゴム、その他の弾性材で成形した弾性な防振体21が
固定されている。この防振体21はガイド20の内周端部に
リング状に固定してもよい。

防振体21は第３図、第４図に示すように、リング本体
23と、リング本体23の上面に形成した複数の溝24と、リ
ング本体23の外周に形成して前記溝24に通じる切欠き溝
27と、内周に形成したテーパ面26とリップ25とで構成さ
れ、リップ25は任意の締代で車体側インナーチューブ２
の外周に当接している。溝24と切欠き溝27とは水抜きの
作用と防振体21の防振効果を柔軟にする作用を有してい
る。防振体21の内周テーパ面26とリップ25は弾性に富
み、車体側インナーチューブ２を挿通しやすくすると共
に防振体21の弾性を向上させている。

［考案の効果］ 本考案によれば、アウターカバーを構成する筒体の内
周にガイドを介して弾性な防振体を固定し、この防振体
の内周を車体側インナーチューブの外周に任意の締代を
もって当接させたことにより、路面からの振動入力やエ
ンジンからの振動入力がアウターカバーに伝達された
時、この防振体が振動入力を吸収してアウターカバーの
振動を防止する。この為、アウターカバーの振動音の発
生が防止され、振動に起因するアウターカバーの耐久性
の低下を防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るフロントフォークの一部縦断正面
図、第２図はアウターカバーの拡大断面図、第３図は防
振体の平面図、第４図は第３図の縦断正面図である。 ［符号の説明］ １……車輪側アウターチューブ、２……車体側インナー
チューブ 19……アウターカバー、20……ガイド 21……防振体、22……筒体 22a……係止部、22b……開口部 24……溝、25……リップ 26……テーパ面、27……切欠き溝

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体側インナーチューブを車輪側アウター
   チューブ内に摺動自在に挿入させ、車体側インナーチュ
   ーブがアンダーブラケットとアッパーブラケットを介し
   て車体側に連結され、車体側インナーチューブの上方外
   周に当該車体側インナーチューブの外周を保護する筒状
   アウターカバーを配設したフロントフォークにおいて、
   アウターカバーは筒体と、筒体の上端に設けられてアン
   ダーブラケットの上端に係止する係止部と、筒体の胴部
   に形成されてアンダーブラケットを貫通させる開口部と
   を有し、更に筒体の内周に環状のガイドを固定し、この
   ガイドに弾性な環状の防振体を固定し、当該防振体の内
   周を任意の締代をもって車体側インナーチューブの外周
   に当接させたことを特徴とするフロントフォーク。