JP2579431B2 - 歯列矯正用エッジワイズブラケット - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術の分野 本発明は歯列矯正用エッジワイズ（縁に沿った）・ブ
ラケットに係り、詳しくは、治療効果、快適性及び使い
易さを高めたエッジワイズ・ブラケットに関するもので
ある。

技術の背景 歯列矯正用ブラケットはアーチワイヤ及び付属品が連
結されることによって選択的に付与される力を利用し
て、歯列を矯正するために広く使用されている。ブラケ
ットは特に金属、セラミック又は複合材からなり、歯へ
の取着用のバンド又は結合パッドのいずれかに連結され
る。

エッジワイズ・ブラケットにおいて、アーチワイヤは
唇に向かって開口するとともに、一組あるいは複数組の
対向するタイウィングによって形成された水平溝を通っ
ている。アーチワイヤは所望の力を付与するような形状
及びサイズに予め形成されている。各ブラケットにおい
て、一対のタイウィングは歯肉方向に延びるタイウィン
グと咬合方向に延びるタイウィングとを有する。１組あ
るいは複数組のタイウィングの溝にアーチワイヤが配置
されると、そのアーチワイヤは鋼製の又は弾性を有する
緊縛糸を備えた緊縛装置によって、その内部に拘束され
る。

歯列矯正治療の目的及び技術が発展し続ける中で、多
種類のエッジワイズ・ブラケットのデザイン及び連結用
の付属品が提案されている。近年、アーチワイヤとブラ
ケット表面との間の摩擦係合を低減したほうが、空間の
閉鎖及び身体上の歯の動きを促進するアーチワイヤ用の
溝を形成する上で好ましいことが分かった。同様に、多
くの状況において現在では、溝内に配置されるアーチワ
イヤを制止するために使用されるアーチワイヤと緊縛装
置との間の摩擦係合を低減することが目標とされてい
る。そのような摩擦を低減すると、歯が移動する割合を
明らかに増加させることができ、かつ歯列矯正治療の期
間を短縮することができる。

同時に、患者の快適性及び使い易さを考慮すること
は、ますます重要になってきている。患者の快適性はブ
ラケットサイズをより小さくするとともに、よりなめら
かな輪郭を描いたブラケットにすることにより十分な対
応が行われてきた。使い易さを考慮することによって、
開業医のブラケットの配置又は取扱いが楽で、複数の様
式に適応したブラケットデザインがもたらされた。

本発明は単独及び連結状態の両方においてブラケット
の一体構造を維持しながら上記の歯列矯正用ブラケット
に関して顕著な利点をもたらすものである。

発明の開示 本発明の一態様において、エッジワイズ・ブラケット
は一対のタイウィングを備え、両者の間にアーチワイヤ
用の溝が形成されるとともに、一対の緊縛支持手段を備
えている。一方の緊縛支持手段は近心側及び遠心側に延
出した各タイウィングの内部に形成されている。緊縛支
持手段は溝に配置されたアーチワイヤと、その緊縛支持
手段上で、かつアーチワイヤ用の溝と交差するように配
置された緊縛装置との間の摩擦係合を低減するために選
択的に使用可能である。各緊縛支持手段は溝に向かって
唇側に延びる（例えば、歯肉及び咬合位置の近辺から溝
に向かって唇側に延びる）斜状部又は湾曲部を備えてい
る。この部分はその上に配置された緊縛装置の結合力を
低減するためのものである。緊縛支持手段は緊縛装置を
容易に受け止めることができる大きさで、タイウィング
の近辺の歯肉又は咬合方向から延びる溝であることが好
ましい。又、緊縛支持手段は更に結合力を低減するため
に曲線状の凹面形状であることが好ましい。特に、一対
のタイウィングにおいて、対向する溝はブラケットの歯
肉−咬合方向の中心軸に対して平行の共通の中心軸を備
えている。アーチワイヤ用の溝がアーチワイヤ及びブラ
ケットの摩擦係合を低減するための凸状の側壁及び底部
のうちいずれか一方を有している場合、緊縛支持手段は
治療の調節力を高めるために、その側壁及び底部のうち
いずれか一方に近接して（例えば、共通の歯肉−咬合方
向の面を中心として）配置されるのが好ましい。

本発明の別の態様において、エッジワイズ・ブラケッ
トは一対のタイウィングと、近心及び遠心に延出したタ
イウィングの内部に形成された２組の対向する緊縛支持
手段とを備えた構成となっている。一組の緊縛支持手段
はブラケットの近心及び遠心側にそれぞれ設けられてい
る。タイウィングの歯肉及び咬合方向の端部は、唇側か
ら見て長円形状に形成されている。より詳しく説明する
と、それぞれのタイウィングは歯肉又は咬合方向に延出
した中心、近心、遠心部分から構成され、緊縛支持手段
は中心と近心との間及び中央と遠心との間に設けられて
いる。それぞれの部分から延出したタイウィングの歯肉
及び咬合方向の端部は、長円形状を区画形成する。この
ような形状は一体構造及び性能を保ちつつ、患者の快適
性の恩恵をもたらすサイズの縮小に適応している。

この点に関し、一対の対向するＴ型タイウィングが好
適であることが明らかになろう。すなわち、Ｔ型タイウ
ィングの“かさ”の部分にアーチワイヤ溝が形成されて
いるとともに、歯肉又は咬合方向に延びる各タイウィン
グの“中心脚”が形成されている。緊縛支持手段は各Ｔ
型タイウィングの中心脚の近心及び遠心側の両方に対し
て歯肉及び咬合方向の周辺に形成された溝であることが
好ましい。中心脚は緊縛糸の連結のための柱として都合
よく使用することができる位置に、それぞれ歯肉及び咬
合方向に片持ち梁状をなして延出した構成となってい
る。各溝の外側に位置する近心及び遠心タイウィングの
先端部もまた、タイウィングの外側壁から歯肉及び咬合
方向に片持ち梁状をなして延出した構成となっている。
この先端部は通常の緊縛が行われている間、片持ち梁状
をなすタイウィングの先端部分及び中心脚の下面に円弧
状の座部が形成されて、緊縛装置を保持するに十分な距
離だけタイウィングの外側壁から外側に向かって延出さ
れている。これと関連して、各Ｔ型タイウィングの片持
ち梁状をなす中心脚は、緊縛支持の溝が開業医によって
緊縛装置を保持するために選択的に使用される時に、そ
の緊縛装置を保持するように隣接した緊縛支持手段の歯
肉及び咬合方向の端部よりも外側に、少なくともタイウ
ィングの先端部とほぼ同じ距離だけ延出すべきである。

本発明の更に別の態様において、エッジワイズ・ブラ
ケットは一対のタイウィングを備え、両者の間にアーチ
ワイヤ用の溝が形成されるとともに、一つのタイウィン
グから歯肉及び咬合方向に一体に延出したＴ型フックを
備えた構成となっている。このＴ型フックはアーチワイ
ヤの溝の長手方向の中心軸に対して垂直方向に延出され
ており、牽引装置（例えば、ゴムバンド、スプリング
等）が種々の治療形態に適応できるように複数の方向か
ら容易に取着できるようになっている。Ｔ型フックはブ
ラケットの歯肉−咬合方向の中心軸上にその中心が配置
されるとともに、歯根の中心抵抗に近接して牽引装置が
連結されることによって引き起こされる外面モーメント
を伝えることができるように、Ｔ型タイウィングの中心
脚に片持ち梁状をなして延出されることが好ましい。Ｔ
型フックは歯肉及び咬合方向から見たときに全体的に平
坦であることが好ましい。更に、Ｔ型フックは口唇面か
ら見たときにＴ型タイウィングの中心脚と連続するテー
パ状部分を備え、そのテーパ部分と連続する部分が円弧
状の首部分であり、その首部分と連続する頭部がテーパ
状であることが望ましく、牽引装置は首部分に確実に保
持される。すなわち、テーパ部分は牽引装置のブラケッ
トのアーチワイヤ用の溝方向への動きを制限する役割を
果たし、頭部はＴ型フックから牽引装置が離脱するのを
制限する役割を果たす。一体形成のＴ型フックは軟質組
織との隙間及び患者の快適性を得るために、その選択的
な回動を許容することができる柔軟材であることが好ま
しい。

本発明の更に別の態様において、エッジワイズ・ブラ
ケットは少なくとも一対のタイウィングを備え、両者の
間にアーチワイヤ用の溝が形成されるとともに、近心及
び遠心の方向から見たときに、タイウィング対の歯肉及
び咬合方向の外側壁の面が台形（不等辺四辺形）に形成
されている。一方の外側壁はアーチワイヤ用の溝の長手
方向の中心面に対して所定角度にて形成されており、外
側壁はその中心面から唇側外方へ延出している。他方の
外側壁はアーチワイヤ用の溝の中心面に対してほぼ平行
に形成されている。所定角度に形成された外側壁は、上
顎骨に適用する際には歯肉方向に形成され、下顎骨に適
用する際には咬合方向に形成される。例えば、上記した
形状のブラケットを使用した場合、部分的に生え出た上
部双頭歯の早期矯正治療を行うことができ、アーチワイ
ヤ用の溝は、完全に生え出た双頭歯上にて歯肉方向に配
置できる。このことは治療効果を高めるとともに、開業
医の時間短縮要求に答えることになる。更に、このデザ
インのブラケットは、上部アーチ及び下部アーチとの間
でブラケットと歯との接触を極力減少することができ
る。上記した形状のものを用いることにより、適用可能
なブラケットの輪郭及び強度が維持される。

本発明の別の態様において、エッジワイズ・ブラケッ
トは一対のタイウィングを備え、両者の間にアーチワイ
ヤ用の溝が形成されるとともに、歯肉方向の端部から咬
合方向の端部、又は、その逆にアーチワイヤ用の溝に延
びる少なくとも一つの補助溝を備えた構成となってい
る。そして、補助溝及びその溝に挿入される補助装置の
軸は、両者間の回転動作を制限するために相補的な形状
となっている。例えば、補助溝は隣接する平坦な内側壁
（例えば、四角形の角部を形成する）を備えるととも
に、補助軸は平坦な外側壁（例えば、四角形の角部を形
成する）を備えており、両者間の回転動作が望み通りに
制限される。

本発明と関連する態様において、エッジワイズ・ブラ
ケットは一対のタイウィングを備え、両者の間にアーチ
ワイヤ用の溝が形成されるとともに、その溝の底部を横
切る方向に延び、かつ唇へ向かって延びる少なくとも一
つの凸部を備えた構成となっている。又、エッジワイズ
・ブラケットは歯肉及び咬合方向に延びる少なくとも一
つの補助溝が備えるとともに、その補助溝は凸状溝底部
の下方に配置されている。凸状溝底部の下に補助溝を形
成することによって、ブラケットの高さは好都合に維持
することができ、それゆえ、患者の快適性を高めるため
にその高さを低くすることができる。２つの凸状溝底部
を形成する場合には、それぞれ歯肉及び咬合方向に形成
され、一対の補助溝は各凸状溝底部の下方を通過するよ
うに好適に配置される。上記した利点に加えてこのブラ
ケットは、歯の生えかわりに対して十分に対応すること
ができる。例えば、早期治療の段階で一対の補助溝は、
迅速な歯全体の生えかわりを達成するために鋼製の緊縛
糸を使用するのに利用することができる。上記した種類
の相補的な補助溝及び補助軸の形状もまた使用すること
ができる。

本発明の一実施例において、エッジワイズ・ブラケッ
トは対向する一組のＴ型タイウィングを備えており、各
タイウィングの中心脚の各側（即ち、近心及び遠心側）
に緊縛支持手段の溝が形成された構成となっている。ア
ーチワイヤ用の溝が形成された側壁には、２組の対向す
る凸状側壁部が形成されており、各１組がブラケットの
近心及び遠心側にそれぞれ形成されている。同様に、ア
ーチワイヤ用の溝の底部には、唇に向かい、かつその溝
を横切る方向に延びる２つの凸部がブラケットの近心及
び遠心にそれぞれ形成されている。このような構成によ
って、ブラケットは所望の歯の生えかわりを可能とし、
アーチワイヤとアーチワイヤ用の溝との間の摩擦係合が
低減されるとともに、アーチワイヤと緊縛装置との間の
摩擦係合が選択的に低減された歯列矯正が可能となる。
更に、この形状は動的なアーチワイヤ用の溝を形成して
おり、アーチワイヤが溝に侵入する際の角度の“記憶”
を所望の角度に保持することができる。各溝は歯肉及び
咬合側周辺からアーチワイヤ用の溝に向かって外方及び
唇に向かって延び、緊縛糸の連結を低減するような凸状
曲面を呈示する部分を備える。中心脚の歯肉及び咬合方
向の端部及び対向するＴ型タイウィングの先端部は、ブ
ラケットサイズを縮小するとともに、患者の快適性及び
外観を良くするために、唇側から見たときに長円形状に
形成されている。軟質組織にさらされるすべての突出し
た端部は、患者の快適性のために丸くなっていることが
好ましい。

上記した一体のＴ型フックは、Ｔ型タイウィングの中
心脚に歯肉及び咬合方向に片持ち梁状をなして選択的に
延出される。Ｔ型フックは柔軟材であることが好まし
く、かつ平坦な舌状及び唇状の表面からなることが好ま
しい。そして、フックはタイウィングの中心脚に対し
て、開業医によって限られた範囲まで手動で揺動させる
ことができる。

補助溝もまた選択的に形成されるとともに、ブラケッ
トの歯肉−咬合方向の中心面で、対向するＴ型タイウィ
ングの中心脚の下方に形成されている。また、一組の補
助溝はブラケットの歯肉−咬合方向の中心面の各側部
（すなわち、近心及び遠心位置）で、アーチワイヤ用の
溝の近心及び遠心に形成された凸状溝底部の下方を通過
するようにして形成されている。１つ又は一対の補助溝
が配置された状態では、各補助溝は上記したように、挿
入された補助部材の回動を制限するのに相補的な内部形
状を備えていることが好ましい。

ブラケットのＴ型タイウィングは、一対のタイウィン
グの対向する歯肉及び咬合方向の側壁が近心又は遠心側
の面から見て不等辺四辺形となるように選択的に形成さ
れる。より詳しく説明すると、一方の外側壁はアーチワ
イヤ用の溝の長手方向に対して所定角度にて形成されて
いるとともに、タイウィングのベース面又はブラケット
のベース及び底面に対して垂直に形成されている。他方
の外側壁はアーチワイヤ用の溝の中心面に対して平行に
形成されている。

Ｔ型タイウィングの中心脚は、溝の長手方向の中心軸
に対して鋭角に形成されている。このような角度は、臨
床歯冠の中心軸が正常な咬合時において咬合面に対して
鋭角となっている場合に必要とされる。このような角度
に形成されていることにより、開業医のブラケットの歯
への取着を容易にし、中心脚の軸が歯の長軸に沿った配
置となる。又、ブラケットの溝の中心軸は咬合面と平行
になる。好ましくは、歯への正確な取着を容易にするた
めには、各Ｔ型タイウィングの中心脚の近心及び遠心の
対向端面もまた中心脚の軸に対して平行となる。また、
対向する緊縛支持の溝の中心軸をブラケットの歯肉−咬
合中心面と平行に配置することが好ましい。これに関連
して、アーチワイヤ用の溝の長手方向の中心面に対して
ほぼ垂直である共通面内に近心又は遠心に相当する位置
に配置された、対向する凸状溝側壁部及び凸状溝底部の
頂点を配設することは、回転のためには好ましい。

当業者によって認識されるように、以下に述べる本発
明の実施例は、多数の利点をもたらし、新規なブラケッ
トを提示する。

図面の簡単な説明 図1A〜Ｃは本発明の一実施例の唇面、側面及び端面図
である。

図2A,2B,及び2C,2Dは緊縛支持手段が弾性緊縛糸を支
持するために使用されたとき、及び緊縛支持手段が弾性
緊縛糸を支持するために使用されていないときの図1A〜
Ｃの実施例の唇面及び端面図である。

図3A〜Ｃは一体Ｔ型フック及び一組の補助溝を備えた
本発明の変更実施例における唇面、側面及び端面図であ
る。

図4A〜Ｃは不等辺四辺形に形成されたタイウィングの
外側壁を備えた本発明の変更実施例における正面、側面
及び端面図である。

図5A〜Ｄは中央に補助溝を備えた本発明の図4A〜Ｃの
変更実施例における唇面、側面及び端面図である。

図6A〜Ｃは歯肉−咬合方向の中心軸及び一組の補助溝
が所定角度に配置された本発明の図4A〜Ｃの変更実施例
における唇面、側面及び両端面図である。

図7A,図7Bは本発明の実施例における補助溝に使用さ
れる補助装置の一例の２面図である。

詳細な説明 本発明の一実施例におけるエッジワイズ・ブラケット
10は図1A〜Ｃ及び2A〜Ｄに図示されており、種々の変形
例、様式及び補助装置の一例は図3A〜C,4A〜C,5A〜C,6A
〜Ｃ及び7A,7Bに図示されている。同一の形状のものに
ついては、共通の参照番号を付してある。

エッジワイズ・ブラケット10は２つの対向する一体の
タイウィング12,14を備えている。このタイウィング12,
14は共通のベース及びベース面16を備えるとともに、両
者の間にアーチワイヤ用の溝18が形成されている。一実
施例としてフランジ32は、後のバンド取付用としてブラ
ケット10と隣接して設けられる。代わりに、ブラケット
を結合パッドに近接させてもよい（図示せず）。

対向する２組の緊縛支持手段20,22は、それぞれタイ
ウィング12,14の歯肉方向及び咬合方向の縁に形成さ
れ、各組が歯肉方向に形成された溝と咬合方向に形成さ
れた溝とからなる。各緊縛支持手段20,22は傾斜部24及
び上面26を備えている。傾斜部24は曲線状の凹面形状に
形成されている。

各Ｔ型タイウィング12,14はブラケット10の歯肉−咬
合方向の中心軸（AA面に位置する）上に配置された片持
ち梁状をなす中心脚28と、前記上面26と一体に形成さ
れ、片持ち梁状をなす近心及び遠心側のウィングの先端
部30とから構成されている。中心脚28の歯肉及び咬合方
向の端部、及びタイウィング12,14のウィングの先端部3
0によって、唇に関連する楕円形状Ｅが形成されてい
る。このことについては、片持ち梁状をなすウィングの
先端部30はタイウィング12,14の各外側壁34,36から外方
に向かって、片持ち梁状をなすタイウィングの先端部30
及び中心脚28の下面に形成された円弧状の座部38に緊縛
装置を保持するのに十分な距離ｄだけ延出されている。
これと関連して、各Ｔ型タイウィング12,14の片持ち梁
状をなす中心脚28は、隣接する緊縛支持手段20の歯肉及
び咬合方向の端部よりも外方に距離ｆだけ延出されてい
る。この距離ｆは距離ｄと少なくともほぼ同じ長さとな
っている。

アーチワイヤ溝18を形成する側壁は、アーチワイヤと
の摩擦係合を低減させるために相対する方向へ突出する
２組の凸状部分42を備える。同様に、アーチワイヤ溝18
の底部には、アーチワイヤとの摩擦係合を低減させるた
めに、アーチワイヤ溝18を横切るようにして、２つの凸
状部分44が設けられている。図1A〜図1Cに示すように、
歯肉咬合中心平面AAの同じ側に配置された緊縛支持手段
20、凸状の溝側壁部分42及び凸状の溝底部部分44は、共
通の中心軸（平面BBに存在する）を有しうる。そのた
め、アーチワイヤと溝の壁及ベースとの間の摩擦係合、
そして、アーチワイヤと緊縛支持手段20上に支持された
緊縛部材との間の摩擦による係合は平面BBについて限ら
れた領域において起こる。

付加的な補助溝70は、図7A,7Bに例示するような補助
部材74のように、補足的な補助装置を支持するために設
けられている。補助溝70の内部側壁と、補助部材74の連
結用の軸部76は、両者間での回転移動を制限すべく好適
に形成されている。図示するように、補足的な補助部材
については断面長方形状が採用されている。加えて、補
助部材74は、補助溝70に適合しない外部形状を有する延
長部78を好適に有する。それにより、配置及び取外が容
易なものとなる。

図2A〜図2Bは、図1A〜図1Cにおいて図示された本発明
の実施例における２組の緊縛支持手段20が使用された場
合において、アーチワイヤＸと弾性を有する緊縛装置Ｙ
との境界部分を示している。図2C〜図2Dは、本実施例に
おける緊縛支持手段20が全く使用されていない場合にお
いて、アーチワイヤＸと弾性を有する緊縛部材Ｙとの境
界部分を示している。当業者によって認識されるよう
に、これらの物理療法が要求される各種の処理条件が存
在する。加えて、ブラケット10の近心側及び遠心側の各
々に１組の緊縛支持手段20を設けるということは、医者
にとっては１組以外の何も使用せしめる必要がなく、望
ましい。

図3A〜3Cにおいて、Ｔ型状のタイウィング12の１つの
中心脚部28に延びるようにして、一体形のＴ型状のフッ
ク50が設けられている。Ｔ型状のフック50は、好ましく
は、平坦な舌側及び唇側の表面を備え（図3C参照）、ま
た、中心脚部20に対して回動が可能なように順応性を有
することが好ましい。Ｔ型状のフック50は、好ましく
は、テーパ部52、アーチ状の首部54及び頭部56を有して
おり、これらにより、首部54における牽引装置の保持性
が高められる。

２つの補助溝80は、図7A〜図7Bで例示した補助部材74
のような、補助部材を受入れるために付加的に設けられ
ている。２つの補助溝80は、凸状の溝底部部分44の下に
好適に配置されている。溝80及び典型的な補助部材74の
形状は、上述したように、両者間での回転移動が制限さ
れ、また、配置、取外が容易なように形成されている。

図3A〜図3Cはまた、緊縛装置を受入れるための支持配
置部分26内に設けられうる付加的なサドル60を示してい
る。そのようなサドル60は、回転の目的のために所望の
位置において普通より小さいアーチワイヤを保持するた
めに初期の処理状況において確かに有益であるものと確
信される。

図4A〜図4Cにおいて、タイウィング12の外部側壁34及
びタイウィング14の外部側壁36は、不等辺四辺形をなし
ている。特に、外部側壁34は、アーチワイヤ溝18の長手
方向の中心平面CCに対して傾いている。また、外部側壁
36は、アーチワイヤ溝18の長手方向の中心平面CCに対し
て平行に配置されている。この配置によって例えば、外
部側壁34は、部分的に生えた上部の二尖頭のある歯の上
に歯肉のように配置できる利点がある。さらに、この形
状におけるブラケットシステムは、基本的には上部及び
下部アーチ間でのブラケットと歯との接触を低減させる
であろう。

図4A〜図4Cにおいて示された修正された実施例は、図
5A〜図5C、図6A〜図6Cにおいて付加的な形状とともに示
されている。図5A〜図5Cにおいては、中央の補助溝70が
設けられている。図6A〜図6Cにおいては、補助部材を支
持するための２つの補助溝80が含まれている。２つの鉛
直な溝80は、各々が１つの凸状の溝底部部分44の下を通
過するように配置されている。

図6A〜図6Cの説明においてはまた、以下のことが認識
される。すなわち、ブラケットの歯肉咬合中心軸（平面
AA内に存在する）は、アーチワイヤ溝18の中心軸（平面
CC内に存在する）に対して鋭角状に配置されている。特
に、中心脚部28は、歯肉咬合中心軸上に位置しており、
中心脚部28には、歯肉咬合中心軸に平行な端末及び中間
の表面84が設けられ、それにより、ブラケットの配置が
容易なものとなっている。この修正された物においては
また、次のことが認識されるべきである。すなわち、緊
縛支持手段20の中心平面BBがまた、歯肉咬合中心軸に平
行に配置された場合、近心及び遠心側の各々に位置する
凸状の溝側壁部分42及び凸状の溝底部部分の頂点が、ア
ーチワイヤ溝の中心平面CCに対し垂直な一平面上に存在
する。それに関係して、次のことが認識されるべきであ
る。すなわち、Ｔ型状のフック（上記した図3A〜図3Cで
示されたＴ型状のフック50のようなもの）が使用された
場合には、自身の中心軸は、アーチワイヤ溝18の中心軸
に垂直に配置されるとともに、ブラケット10の歯肉咬合
中心軸に対して傾いて配置される。

本発明における前記の記載は、例示及び説明の目的の
ために採用されている。この記載は、本発明及びその種
々の様式を限定するものではない。様々なバリエーショ
ン、実施例、変更例は、当業者にとっては、明らかなも
のであり、また、次に示すクレームの範囲内に含まれう
るものである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平３−21236（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−160547（ＪＰ，Ａ) 特開 平１−25847（ＪＰ，Ａ) 実開 平２−147112（ＪＰ，Ｕ) 米国特許4859179（ＵＳ，Ａ) 米国特許4386908（ＵＳ，Ａ) 米国特許5066225（ＵＳ，Ａ)

Claims (17)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】唇に向かって開口したアーチワイヤ溝を形
   成する歯肉及び咬合タイウィングと、歯肉及び咬合タイ
   ウィングの各々が近心及び遠心延長部を有することと、 第１の組の歯肉及び咬合緊縛支持手段と、その歯肉緊縛
   支持手段は、前記歯肉タイウィングの近心及び遠心延長
   部の内側に配置されるとともにアーチワイヤ溝へ向かっ
   て唇側に延びる傾斜部分を含み、前記咬合緊縛支持手段
   は、前記咬合タイウィングの近心及び遠心延長部の内側
   に配置されるとともにアーチワイヤ溝へ向かって唇側に
   延びる傾斜部分を含むことと、 前記歯肉及び咬合緊縛支持手段は、ほぼ曲線状の表面を
   形成するように、横方向に配置された側壁部および底部
   をそれぞれ備え、各緊縛支持手段は前記アーチワイヤ溝
   内にアーチワイヤを保持するための装置を受け入れる エッジワイズの歯列矯正ブラケット。
2. 【請求項２】請求項１に記載されたエッジワイズの歯列
   矯正ブラケットにおいて、 前記歯肉緊縛支持手段は、さらに、前記歯肉タイウィン
   グの歯肉エッジから前記アーチワイヤ溝へ向かって延び
   る凹面状の溝を含み、 前記咬合緊縛支持手段は、さらに、前記咬合タイウィン
   グの咬合エッジから前記アーチワイヤ溝へ向かって延び
   る凹面状の溝を含んでいる。
3. 【請求項３】請求項１に記載されたエッジワイズの歯列
   矯正ブラケットは、さらに、 第２の組の歯肉及び咬合緊縛支持手段を備え、 前記第１の組の歯肉及び咬合緊縛支持手段は、前記ブラ
   ケットの近心側に配置されており、前記第２の組の歯肉
   及び咬合緊縛支持手段は、前記ブラケットの遠心側に配
   置されている。
4. 【請求項４】請求項３に記載されたエッジワイズの歯列
   矯正ブラケットにおいて、 前記歯肉タイウィングは、さらに、歯肉側に延びる中心
   脚部分及び歯肉に向かって延びる近心及び遠心タイウィ
   ング先端部を備え、 前記咬合タイウィングは、さらに、咬合側に延びる中心
   脚部分及び咬合に向かって延びる近心及び遠心タイウィ
   ング先端部を備え、 前記歯肉タイウィングの歯肉エッジ及び前記咬合タイウ
   ィングの咬合エッジは、楕円形状を区画形成する。
5. 【請求項５】請求項３に記載されたエッジワイズの歯列
   矯正ブラケットは、さらに、 前記アーチワイヤ溝の内部に設けられた第１の組の相対
   する凸状の側壁部分及び第１の凸状の底部部分を備え、
   当該第１の組の相対する凸状の側壁部分及び第１の凸状
   の底部部分は、前記第１の組の緊縛支持手段のうち前記
   歯肉緊縛支持手段と前記咬合緊縛支持手段とのほぼ間に
   配置されており、 前記アーチワイヤ溝の内部に設けられた第２の組の相対
   する凸状の側壁部分及び第２の凸状の底部部分を備え、
   当該第２の組の相対する凸状の側壁部分及び第２の凸状
   の底部部分は、前記第２の組の緊縛支持手段のうち前記
   歯肉緊縛支持手段と前記咬合緊縛支持手段とのほぼ間に
   配置されている。
6. 【請求項６】唇に向かって開口するアーチワイヤ溝を形
   成する歯肉及び咬合タイウイングと、歯肉及び咬合タイ
   ウイングの各々が近心及び遠心延長部を有し、前記歯肉
   ウイングは歯肉に向かって延びる中心脚と歯肉に向かっ
   て延びる近心及び遠心ウイング先端部とを備え、前記歯
   肉に向かって延びる中心脚は前記歯肉に向かって延びる
   近心及び遠心ウイング先端部の各々よりも前記アーチワ
   イヤ溝から大きな距離だけ延長され、前記咬合ウイング
   は咬合側に延びる中心脚と咬合側に延びる中心及び遠心
   ウイング先端部とを備え、前記咬合側に延びる中心脚は
   前記咬合側に延びる近心及び遠心ウイング先端部の各々
   よりも前記アーチワイヤ溝から大きな距離だけ延長さ
   れ、 第１の組の歯肉溝及び咬合溝と、その第１の組の歯肉溝
   は前記歯肉タイウイングの近心及び遠心延長部内に位置
   し、前記第１の組の咬合溝は前記咬合タイウイングの近
   心及び遠心延長部内に位置し、 第２の組の歯肉溝及び咬合溝と、その第２の組の歯肉溝
   は前記歯肉タイウイングの近心及び遠心延長部内に位置
   し、前記第２の組の咬合溝は前記咬合タイウイングの近
   心及び遠心延長部内に位置し、前記第１の組の溝は前記
   ブラケットの近心側に配置され、かつ、前記第２の組の
   溝は前記ブラケットの遠心側に配置され、前記第１の組
   の前記歯肉溝は前記歯肉タイウイングの前記中心脚と前
   記歯肉タイウイングの前記近心ウイング先端部との間に
   配置され、前記第２の組の前記歯肉溝は前記歯肉タイウ
   イングの前記中心脚と前記歯肉タイウイングの前記遠心
   ウイング先端部との間に配置され、前記第１の組の咬合
   溝は前記咬合タイウイングの前記中心脚と前記咬合タイ
   ウイングの前記近心ウイング先端部との間に配置され、
   前記第２の組の前記咬合溝は前記咬合タイウイングの前
   記中心脚と前記咬合タイウイングの前記近心ウイング先
   端部との間に配置されているエッジワイズの歯列矯正ブ
   ラケット。
7. 【請求項７】請求項６に記載されたエッジワイズの歯列
   矯正ブラケットは更に、前記歯肉及び咬合タイウイング
   の内の一方の中心脚から一体に延びる片持ち張り状のＴ
   型状のフックを備え、そのＴ型状のフックは、 前記歯肉及び咬合タイウィングの一方の前記中心脚に連
   続するテーパ部分と、 前記テーパ部分に連続する首部分と、 前記首部分に連続する頭部分と を備える。
8. 【請求項８】唇に向かって開口するアーチワイヤ溝を形
   成する歯肉及び咬合タイウィングを備え、前記歯肉タイ
   ウィングは前記アーチワイヤ溝の長手方向の中心基準平
   面から唇に向かって離間するように延びる、歯肉側に配
   置された外部側壁を有し、前記咬合タイウィングは前記
   アーチワイヤ溝の長手方向の中心基準平面とほぼ平行に
   延びる、咬合側に配置された外部側壁を有し、近心−遠
   心から見た場合に前記歯肉及び咬合タイウイングの前記
   外部側壁によって不等辺四辺形状が形成されているエッ
   ジワイズの歯列矯正ブラケット。
9. 【請求項９】患者の歯に接する第１の表面を備えたベー
   スと、 唇に向かって開口し、近心及び遠心側に延びるアーチワ
   イヤ溝を形成する歯肉及び咬合タイウィングと、前記ア
   ータワイヤ溝は、アーチワイヤがその内部に配置された
   ときにアーチワイヤと接触すように、相対する側壁及び
   隣接する底部を備え、前記タイウイングは前記ベースか
   ら唇に向かって延びていることと、 前記底部が、前記底部から前記アーチワイヤ溝を横切っ
   て唇に向かい、ほぼ咬合及び歯肉方向に沿って延びる第
   １の凸状部分と、 前記第１の凸状部分の下方に配設され、前記ベースを介
   してほぼ咬合及び歯肉方向に沿って延びる第１の補助溝
   とから構成されていることと からなるエッジワイズの歯列矯正ブラケット。
10. 【請求項１０】請求項９に記載されたエッジワイズの歯
    列矯正ブラケットにおいて、 前記アーチワイヤ溝の前記底部は更に、 前記第１の凸状部分から近心−遠心側に間隔を隔てて位
    置し、かつ、前記底部から唇に向かい、前記アーチワイ
    ヤ溝を横切ってほぼ咬合及び歯肉方向に延びる第２の凸
    状部分と、 前記第２の凸状部分の下部に配設され、前記ベースを通
    ってほぼ咬合及び歯肉方向に延びる第２の補助溝と を備え、 前記第１の凸状部分及び前記第１の補助溝は、前記ブラ
    ケットの近心側に位置し、前記第２の凸状部分及び前記
    第２の補助溝は、前記ブラケットの遠心側に位置してい
    る。
11. 【請求項１１】歯肉及び咬合側壁を備えた本体と、 前記本体から延び、かつ唇に向かって開口するアーチワ
    イヤ溝を形成する歯肉及び咬合タイウィングと、前記歯
    肉及び咬合タイウイングは固定位置に配置されているこ
    とと、 前記咬合側壁から歯肉側壁に向かい、前記本体を貫通し
    て延びる補助溝と、前記補助溝は前記ブラケットの近心
    側及び遠心側の少なくとも一方に配置されていること
    と、 前記補助溝の内部に配置可能な軸部を有する補助歯列矯
    正処置部材と を備え、 前記補助溝及び前記補助歯列矯正処置部材の前記軸部
    は、それらの間での回転運動を抑制するための相補的な
    形状を有するエッジワイズの歯列矯正ブラケット。
12. 【請求項１２】請求項11に記載されたエッジワイズの歯
    列矯正ブラケットにおいて、 前記補助溝は隣接する平坦な側壁を有するとともに、前
    記補助歯列矯正処置部材の前記軸部は相補的な隣接する
    平坦な側壁を有する。
13. 【請求項１３】歯に取付け可能なベースと、 前記ベースに取付けられ、少なくとも一対の対向する側
    壁を有する本体部と、前記少なくとも一対の側壁は咬合
    側壁及び歯肉側壁を備えることと、 前記歯肉側壁から前記咬合側壁へ向かってそれぞれ延び
    る第１及び第２の離間配置された補助溝と を備える歯列矯正ブラケット。
14. 【請求項１４】請求項13に記載された歯列矯正ブラケッ
    トにおいて、 前記第１及び第２の補助溝は、ほぼ平行であり、前記第
    １の補助溝は、前記ブラケットの近心側に位置してお
    り、前記第２の補助溝は、前記ブラケットの遠心側に位
    置している。
15. 【請求項１５】請求項13に記載された歯列矯正ブラケッ
    トにおいて、 前記本体部は、唇に向かって開口するアーチワイヤ溝を
    形成する歯肉及び咬合タイウィングを含んでおり、前記
    アーチワイヤ溝は、底部を有するとともに、ほぼ近心−
    遠心方向に延びている。
16. 【請求項１６】請求項13に記載された歯列矯正ブラケッ
    トは、さらに、 前記アーチワイヤ溝の底部から突出しており、かつ、前
    記アーチワイヤ溝を横切るように延びる第１及び第２の
    凸状底部を備え、前記第１及び第２の補助溝は前記第１
    及び第２の凸状底部を通って延びている。
17. 【請求項１７】請求項１に記載された歯列矯正ブラケッ
    トにおいて、前記緊縛支持手段の各々は更に前記溝に近
    接して配置された支持ランドを備える。