JP2579298B2 - 多孔性セメント成形物の製造方法 - Google Patents

多孔性セメント成形物の製造方法

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JP2579298B2
JP2579298B2 JP3032424A JP3242491A JP2579298B2 JP 2579298 B2 JP2579298 B2 JP 2579298B2 JP 3032424 A JP3032424 A JP 3032424A JP 3242491 A JP3242491 A JP 3242491A JP 2579298 B2 JP2579298 B2 JP 2579298B2
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和秀 西沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】 本発明は建材等に用いられる
孔性セメント成形 の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来からセメントと、木質繊維等の有機
繊維と、水との混練物を所定形状に成形してから養生す
ることにより得られるセメント板が建材等に用いられて
いる。しかしながらこのようなセメント板は養生中に乾
燥により収縮したり、有機繊維の混入による成形後の伸
縮が起き易く、寸法安定性の良好な製品を得ることが困
難である。
【0003】そこでセメント板を成形し養生した後に焼
成することが行なわれている。この方法によれば焼成過
程において、焼成中の高温のためにセメント硬化物中の
水和結合水まで欠乏するようになり、セメント板の強度
が低下する。このようなセメント板の強度低下を防止す
るためには、補強材としてケイ石粉、耐火骨材(シャモ
ット)、金属繊維等が添加される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術において
は、上記補強材の添加によりセメント板焼成中の強度低
下は防止されるが、比重が大きくなり(約2.0以
上)、建材としての取扱い適性が劣り、また硬度が過大
となって表面研削や切断加工等の加工性も劣ると云う問
題がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】 本発明は上記従来の課
題を解決するための手段として、セメントと、有機充填
材と、ガラス粉末と、水とを主体とする混練物を所定形
状に成形し、該成形物を養生した後焼成することによ
り、該成形物内に分散している有機充填材分解させ
該成形物内に無数 の空孔を形成させ、かつ該ガラス粉末
溶融させて該空孔壁面を被覆せし ることを特徴とす
多孔性セメント成形物の製造方法を提供するものであ
る。
【0006】本発明を以下に詳細に説明する。本発明に
用いられるセメントはポルトランドセメント、高炉セメ
ント、シリカセメント、フライアッシュセメント、アル
ミナセメント等、如何なる種類のセメントでも差支えな
い。
【0007】本発明に用いられる有機充填材とは、木
片、木粉、木質繊維、プラスチック片、プラスチック
粉、合成繊維、有機発泡剤、有機起泡剤等である。
【0008】本発明に用いられるガラス粉末としては、
セメント板の焼成温度により溶融するものなら如何なる
種類のガラス粉末でも差支えない。即ち該焼成温度は通
常600℃〜1200℃程度であるから、ガラス粉末と
してはその範囲以下の温度のものを選択する。また上記
ガラス粉末としては通常100〜350メッシュの微細
粉を使用することが望ましい。
【0009】上記組成以外に本発明においてはパーライ
ト、シラスバルーン、膨張スラグ、火山れき等の軽量な
骨材を添加してもよい。
【0010】本発明では上記セメントと、上記有機充填
材と、上記ガラス粉末と、所望なれば上記骨材との混合
物に水を添加して混練するのであるが、通常上記混合物
中の有機充填材の添加量は2〜20重量%とし、ガラス
粉末の添加量は10〜40重量%とする。
【0011】上記混練物は通常抄造された後にプレスさ
れて板状に成形されるが、型内に充填することにより所
定形状に成形されてもよく、また押出し成形等により成
形されてもよい。得られた成形物は養生されるが、養生
条件は通常20〜80℃で1ないし7日程度である。養
生後は該成形物は100〜150℃程度に加熱されて絶
乾状態とした上で通常600〜1200℃程度の温度で
1〜24時間程度焼成する。
【0012】このようにして本発明のセメント成形物が
得られるが、所望なれば焼成前に該セメント成形物表面
に生釉、フリットユウ等の釉薬をかけてもよい。
【0013】
【作用】 本発明においてはセメント成形物は焼成に
より、該セメント 成形物内に分散している有機充填材
分解し該セメント成形物内に無数の空孔が形成され、
該セメント成形物は多孔質となって軽量化されるが、溶
融したガラス粉末は該空孔の壁面を被覆して該多孔質
メント成形物を補強する。このように空孔の壁部を被覆
するガラス粉末溶融物は該空孔への水分の侵入を防止
し、その結果耐凍結性も向上する。
【0014】有機充填材として繊維状のものを用いる
と、焼成前においては成形物の補強材として該成形物の
形崩れを防止し、焼成により毛細管状の連続した空孔が
形成され、該空孔の壁部にガラス粉末溶融物が被覆され
る結果、補強効果は非常に大きなものとなる。
【0015】
【発明の効果】したがって本発明においては寸法安定性
が極めて良好でかつ軽量な、しかも強度が大で耐凍結性
の良好なセメント成形物が得られる。
【0016】
【実施例】〔実験1〕下記組成のガラス粉(150メッ
シュ全通、融点800℃)を用いる。 Na2O 12.5重量% K2O 1.0 〃 CaO 9.5 〃 MgO 2.5 〃 Al23 2.0 〃 Fe23 2.0 〃 SiO2 72.5 〃 上記ガラス粉末を表1に示す量で添加して下記の組成の
混合物を水と混練してスラリー状の混練物とし、該混練
物を抄造した後プレスして板状成形物とし、該成形物を
60℃で3日間養生した後、120℃に加熱して絶乾状
態とした上で、表1に示す温度で2時間焼成して試料1
〜16(但し試料1,5,9,13は焼成せず)を作成
した。 セメント* 45〜75重量% パルプ 10 〃 パーライト 15 〃 ガラス粉末 0〜30 〃 *:高炉スラグを50重量%含むセメントを使用し、セ
メント+ガラス粉末が75重量%になるようにする。
【0017】
【表1】 上記16種類の試料について、表2に示す物性試験を行
なった。
【0018】
【表2】 1 :20℃の水中に24時間試料を浸漬した後の寸法
の変化(%)を測定する。 *2 :−20℃の気中で4時間凍結した後、+20℃の
水中に2時間浸漬するサイクルを300サイクル行なっ
た後の試料の膨潤率(%)を測定する。
【0019】表2をみるとガラス粉末を添加していない
試料1〜4では焼成により曲げ強度が著しく低下するこ
とが分かる。一方ガラス粉末が添加されている試料5〜
16をみると700℃焼成では曲げ強度が低下し、これ
はガラス粉末の溶融が不完全であるためと考えられる
が、900℃以上の焼成ではガラス粉末は充分溶融して
焼成による曲げ強度の低下は極めて小さい。また凍融テ
スト等もガラス粉末添加により著しく改善された。
【0020】〔実験2〕実験1においてパルプを添加し
ない下記の組成の混合物を水と混練して混練物とし、該
混練物を型枠内に流し込んで60℃で3日間養生した
後、脱型して120℃に加熱して絶乾状態とした上で、
表3に示す温度で2時間焼成して試料17〜32(但し
17,21,25,29は焼成せず)を作成した。 セメント 55〜75重量% パーライト 15 〃 ガラス粉末 10〜30 〃
【0021】
【表3】 上記16種類の試料について、実験1と同様な物性試験
(但し凍融テストは省く)を行なった。その結果は表4
に示される。
【0022】
【表4】 1 :表2と同様の試験方法による。 表4をみるとパルプを配合していない試料17〜32で
は表2のパルプが配合されている試料1〜16に比して
比重が大きくまた焼成後の曲げ強度も低い。このことか
ら、有機充填材とガラス粉末を混練、成形、養生後焼成
することによりセメント板の軽量化と曲げ強度の向上に
顕著な効果のあることが見出された。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】セメントと、有機充填材と、ガラス粉末
    と、水とを主体とする混練物を所定形状に成形し、該成
    形物を養生した後焼成することにより、該成形物内に分
    散している有機充填材分解させて該成形物内に無数
    空孔を形成させ、かつ該ガラス粉末溶融させて該空孔
    壁面を被覆せし ることを特徴とする多孔性セメント成
    形物の製造方法
JP3032424A 1991-01-31 1991-01-31 多孔性セメント成形物の製造方法 Expired - Lifetime JP2579298B2 (ja)

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