JP2579222B2 - 全血試料分析用乾式分析要素 - Google Patents

全血試料分析用乾式分析要素

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は全血を試料とする血液中の成分の定量に用い
る乾式の一体型多層分析要素に関するもので、詳しくは
微細繊維布を有する一体型多層分析要素に関するもので
ある。
(技術的背景) 臨床医学上重要な体液中の各種成分、例えば、グルコ
ース、ビリルビン、BUN(尿素窒素)、尿酸、コレステ
ロール、各種酵素(クレアチンキナーゼ、GOT(グルタ
ミン酸オキザロ酢酸トランスアミナーゼ)、GPT(グル
タミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ)等の定量分析
には湿式法と乾式化学分析とがある。乾式化学分析は、
乾燥状態の分析試薬系を含む試験片、分析スライド、分
析テープ等の分析要素を用いた分析法であり、溶液試薬
を用いる湿式法に比し、操作の簡易性と分析の迅速さの
点で優れている。
この乾式法をさらに進めて、微量の液体試料で高精度
化学分析を迅速に行うことができる分析手段として乾式
の一体型多層分析要素が開発されている。これには例え
ば、特公昭53−21677(US 3,992,158)、特開昭55−164
356(US 4,292,272)、特開昭60−222769(EP 0 162 30
2A)などに記載の分析要素がある。
一体型多層分析要素(多層分析要素ともいう)は、例
えば、透明支持体、試薬層、光反射層(光遮蔽層)及び
展開層から構成されている。透明支持体(例えばポリマ
シート)の上に塗布された試薬層には、液体試料中に含
まれる被検成分と反応しその成分量に応じた光学濃度に
発色又は変色する試薬が含まれる。展開層は点着された
液体試料を一様に(その中に含有している成分を実質的
に偏在させることなく面方向に単位面積当りほぼ一定量
の割合で)広げる。この作用は液体計量(metering)作
用とも展開(spreading)又は展延作用とも呼ばれてい
る。
このような乾式分析要素の展開層の表面に液体試料、
例えば、血液の微小量(例、約10μ)の一定量を点着
すると、展開層で展開された血液は光反射層を通って試
薬層に達し、ここで試薬と反応し、発色又は変色する。
多層分析要素を一定温度、一定時間インクベーションし
た後、透明支持体側から発色量又は変色量を反射光学的
に測定し、検量線に基づいて定量分析を行う。光反射層
は光学濃度測定の再に展開層中の液体試料の色の影響を
排除し白色背景を形成する役割を持つ。
しかし、このような乾式化学分析法においても、湿式
法と同様に、全血から赤血球を除去した血清又は血漿を
試料として用いることが多かった。血液から赤血球を分
離する操作には多くの労力と時間と装置が必要である。
従って、迅速・簡便性を特長とする乾式法では全血を試
料としてそのまま分析できることが特に望まれている。
(従来技術) 全血を試料とする乾式多層分析要素としては、特公昭
53−21677(US 3,992,158)、特開昭60−111960(US 4,
637,978)び特開昭60−27980等に、血球及び血中高分子
量成分を分離するための濾過層を設けたものが提案され
ている。
これらはセルロースアセテート膜などの高分子多孔膜
(メンブランフィルタ)や、微小粒子で形成された連続
空隙を有する多孔性層を濾過層として用い、濾過層表面
又は表面付近で血球成分をトラップして除去するもので
ある。従って血球を充分に除去するためには、平均孔径
が充分に小さいものを用いる必要がある。しかし、平均
孔径を小さくすると、血漿が濾過層通過するのに時間が
かかり測定の迅速性が著しく害される。また孔径が小さ
いと、溶血によりヘモグロビン色素によるバックグラン
ドが大きくなったり、血球内成分の漏出により検出層で
の発色反応に悪影響を与えたりして、測定値がバラつ
き、再現性が乏しくなるという不都合もあった。
一方、ガラス繊維濾紙は全血から血球と血漿とに分け
る血球/血漿分離機能が高いことも知られており、この
ガラス繊維濾紙を利用した分析要素も、特開昭57−5366
1(EP 0 045 476A)、特開昭61−96466(EP 0 159 727
A)等で提案されている。
これらは溶血が少ないという点で優れているが、脆性
の高いガラス繊維を用いるので、分析要素製造時の加工
に注意が必要で製造適性が低いという問題がある。また
ガラス繊維濾紙(又はガラス繊維層)は検出試薬層また
は展開層の上に密着載置させただけであるので、接着強
度は小さく、剥離しやすい。剥離が生じると検出試薬層
への血漿移動量がバラつくことになり、測定値の再現性
が乏しくなるという問題も生じていた。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はこのような事情に鑑みなされたもので、製造
(成形)時の加工がし易く、迅速に測定できかつアナラ
イト測定値の再現性の高い定量分析の全血試料分析用乾
式分析要素を提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段) 前記の目的は、独立して形成されたフィラメント平均
直径0.1〜7μm、空隙率45〜70%の非ガラス繊維布
と、検出機能層とが積層してなる全血試料分析用乾式分
析要素により達成される。
また、前記の目的は、独立して形成されたフィラメン
ト平均直径0.1〜7μm、空隙率45〜70%の非ガラス繊
維布と、多孔性層と、検出機能層とがこの順に積層して
なる全血試料分析用乾式分析要素によっても達成され
る。
(作用) 本発明は、ある種の微細繊維布が溶血することなく血
球の血漿とを特異的に分離することを見出した本発明者
らの知見に基づきなされたものであり、微細繊維布によ
る血球・血漿分離作用を利用して構成したものである。
その分離機構は明らかではないが、微細繊維布はその
表面のみで血球をトラップする訳ではなく、その厚さ方
向に浸透するに従って、初めは大きな血液成分、後から
小さな血液成分と徐々に繊維構造にからめ、厚さ方向の
全長にわたって血球を除去していくいわゆる体積濾過作
用によるものと思われる。
なお多孔性層は展開層として機能させるためのもので
あるが、微細繊維布自体もある程度の展開作用を発揮で
きるので、微細繊維布だけで充分なときには、微細繊維
布に血球分離作用と展開作用との両方を担なわせれば、
多孔性層を省略して構成できる。
(課題を解決するための手段の詳細な説明) 本発明の乾式分析要素の基本構成は、微細繊維布と検
出機能層とを積層したもの、またはその間にさらに展開
層としての多孔性層を挾んだものを最小単位とする。し
かし本発明の分析要素は、これらを透光性支持体上に形
成してもよい。また検出機能層は少くとも1以上の試薬
層を含むものであり、発色反応の結果生じた色素を検出
し易くするため別の検出層に移動させて検出するもので
もよい。以下各構成要素について説明する。
微細繊維布 微細繊維布の繊維素材は特に限定されない。これは微
細繊維布の血球・血漿分離機能は繊維の化学的性質によ
るよりも、むしろ微細繊維布という布地構造によるもの
だと考えられるからである。したがって、血球と血漿を
充分分離できるような繊維径、密度を選ぶことにより本
発明は達成できる。一般的には、フィラメント平均直径
0.1〜7μm、空隙率は45〜70%の範囲にあるものが望
ましい。
用いられる布の繊維の太さ(平均直径)は約0.1μm
〜約7μm、好ましくは約0.2μm〜約7.0μmの範囲で
ある。布の密度は約0.02g/cm3〜約1.0g/cm3、好ましく
は約0.05g/cm3〜約0.7g/cm3の範囲、布の厚さは約100μ
m〜約2000μm、好ましくは約150μm〜約1000μmの
範囲、布の空隙率は約45%〜約70%、好ましくは約50%
〜約65%の範囲である。
なおフィラメント断面は真円のものに限られず、楕
円、三角、方形、星形当の異形断面のものでもよい。従
って、ここでいうフィラメント平均直径とは、フィラメ
ントの平均断面積をSとしたとき、 2×(S/π)0.5 で表わされるものである。
微細繊維布の例としては、直紡微細布、分割微細布、
抽出微細布等がある。直紡微細布とは、直接微細繊維を
紡糸し、その糸で作った布である。分割微細布とは、多
成分混合紡糸した糸で布を作り、それをある種の方法
(例えば、熱・物理的方法・溶剤等)で分割した結果フ
ィラメントが微細繊維となっている布である。抽出微細
布とは、多成分混合紡糸した糸で作った布を溶剤により
何成分かを抽出除去した結果フィラメントが微細繊維と
なっている布である。
多孔性層 多孔性層は微細繊維布で血球と分離された血漿を一様
に展開する展開層であり、下層の検出機能層に血漿を供
給する。微細繊維布とは別の層であり、繊維質多孔性
層、非繊維質多孔性層のいずれで形成してもよい。
繊維質多孔性層とする場合には、濾紙、不織布、織物
布地(例えば平織布地)、編物布地(例えばトリコット
編物布地)等を用いることができる。これらのうちでは
織物布地、編物布地が好ましい。織物布地、編物布地等
は特開昭57−66359(US 4,783,315)に記載されている
ようなグロー放電処理をすることができる。あるいは特
公昭59−11709、特公昭59−24233に記載のアルカリエッ
チング(アルカリ減量)処理した織物布地、編物布地等
も用いることができる。
非繊維質多孔性層とする場合には、特公昭53−21677
(US 3,992,158)、米国特許1,421,341等に記載された
セルロースエステル類、例えばセルロースアセテート、
セルロースアセテートブチレート、硝酸セルロースのブ
ラッシュ・ポリマの層(メンブランフィルタ)が好まし
い。その他に6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリア
ミド;ポリエチレン、ポリプロピレン等の微多孔性膜、
特開昭62−27006に記載のポリスルホンからなる微多孔
性膜も用いることができる。その他、特公昭53−2167
7、特開昭55−90859(US 4,258,001)等に記載のポリマ
微小粒子、ガラス微小粒子、珪藻土等が親水性又は非吸
水性ポリマで点接着状に結合された連続空隙を持つ多孔
性層も用いることができる。
微細繊維布に展開作用を発揮させる場合には、この多
孔性層を省略して本発明の多層分析要素を構成してもよ
い。しかし、微細繊維布と多孔性層とを後述の部分接着
(多孔性接着)により積層し、この2層が渾然一体とな
って、血球分離作用、血漿の展開(液体計量)作用及
び、血漿を下側の検出機能層へ供給する作用とを働かせ
るようにするのが本発明としては好ましい態様である。
この多孔性層には、下記のような親水性ポリマや界面
活性剤を含浸・含有させて、その展開作用をより均一に
することが望ましい。
親水性ポリマー, 特開昭60−222770(EP 0 162 301A)に記載の親水性セ
ルロース誘導体; 特開昭63−21533(EP 0 254 202A)に記載のメチルセル
ロース、エチルセルロース;ポリビニルアルコール; ポリビニルピロリドン; ポリアクリル酸等; 特開昭62−182652(DE 37 17 913A)等に記載のアクリ
ルアミド、N−置換又はN,N−ジ置換アクリルアミドの
ホモポリマ又はコポリマ等の親水性高分子 界面活性剤 特公昭53−21677(US 3,992,158)、特開昭55−164356
(US 4,292,272)等に記載のノニルフェノキシポリエト
キシエタノール等のノニオン界面活性剤、 特開昭60−222770に記載のHLB値10以上のノニオン界面
活性剤、 特開昭63−21533(EP 0 254 202A)に記載の多価アルコ
ールエステルエチレンオキシド付加物; ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類;高級アルコ
ールエチレンオキシド付加物;アルキルフェノールエチ
レンオキシド付加物;高級脂肪酸アルカノールアミドの
ようなノニオン界面活性剤; 特開昭62−6167(Chemical Abstracts 107,171961w)、
特開昭63−196849(EP 0 278 496A)等に記載のフッ素
含有界面活性剤等 これらの親水性ポリマと界面活性剤は併用することも
できる。
なお、多孔性層を省略した場合、または多孔性層と併
用する場合でも微細繊維布にも展開作用を併せ持たせる
場合には、これらの親水性ポリマと界面活性剤を微細繊
維布に含有させるのが望ましい。
検出機能層 検出機能層は多孔性層(または直接微細繊維布層)か
ら供給された血漿を受け、被検成分を検出する機能を有
する層である。少なくとも1層の試薬層からなるが、試
薬層では発色(又は変色)反応のみを行なわせ、その結
果生じた色素は検出層に移行させ、この検出層で色素量
を検出するようにしてもよい。
試薬層 試薬層は、被検成分の存在下に、光学的に検出しうる
発色又は色変化、又は紫外線領域の吸収波長の変化を生
じうる組成物(試薬組成物)を含む層であり、親水性ポ
リマバインダからなる水浸透性の層又は多孔性の層に試
薬組成物を含有させたものある。
親水性ポリマバインダからなる水浸透性の層で試薬層
を構成する場合、 親水性ポリマバインダとしては、例えば、ゼラチン及
びその誘導体(例、フタル化ゼラチン);セルロース誘
導体(例、ヒドロキシエチルセルロース);アガロー
ス;ポリアクリルアミド、ポリメタアクリルアミド、ア
クリルアミド又はメタアクリルアミドと各種ビニルモノ
マーとのコポリマ;ポリビニルアルコール;ポリビニル
ピロリドン等を用いることができる。このような親水性
ポリマバインダ内に、試薬組成物の全成分又は一部の成
分(この場合、残余の成分は他の層に含まれる)が実質
的に均一に含有される。
親水性ポリマをバインダとする試薬層は,特公昭53−
21677(US 3,992,158)、特開昭55−164356(US 4,292,
272)、特開昭54−101398(US 4,132,528)、特開昭61
−292063(Chemical Abstracts 106,210567y)等の明細
書に記載の方法に従って、試薬組成物と親水性ポリマを
含む水溶液又は水分散液を支持体又は検出層等の他の層
の上に塗布し乾燥することにより設けることができる。
親水性ポリマをバインダとする試薬層の乾燥時厚さは約
3μm〜約50μm、好ましくは約5μm〜約30μmの範
囲、被覆量では約3g/m2〜約50g/m2、好ましくは約5g/m2
〜約30g/m2の範囲である。
試薬組成物を含む多孔性層で試薬層を構成する場合
(多孔性試薬層)、 この場合の多孔性試薬層には、前記の多孔性層と同様
な多孔性層、又は特開昭59−120957(EP 0 114 403A)
等に記載の固体微粒子とポリマをバインダとする多孔性
構造体層を用いることができる。
試薬組成物をこの多孔性試薬層に含有させるには、試
薬組成物の溶液(または分散液)を含浸または塗布する
ことにより行なう。試薬組成物を含有させた多孔性試薬
層は、他の水浸透性層、例えば、第2の試薬層、吸水
層、検出層又は接着層の上に積層される。なおこの積層
は、特開昭55−164356(US 4,292,272)に記載のように
水でほぼ一様に湿潤させた下層の上に多孔性試薬層を軽
く圧着する方法で接着されて行なうことができる。
あるいは、吸水層、検出層又は接着層の上に多孔性層
を特開昭55−164356に記載の前記のような方法で接着さ
せた後に、試薬組成物の溶液又は分散液を多孔性試薬層
に塗布してもよい。
多孔性試薬層への試薬組成物溶液の含浸又は塗布には
公知の方法を利用できる。塗布には例えばディップ塗
布、ドクター塗布、ホッパー塗布、カーテン塗布等を適
宜選択して用いることができる。
試薬組成物 試薬組成物は、被検成分の存在下に光学的に検出し得
る物質(例えば色素(染料))を生成し得る組成物であ
ればよい。被検成分と直接に反応して発色・変色するも
のでも、被検成分と他の試薬(例、酵素を含む試薬組成
物、特開昭62−138756(333頁右下欄〜334頁右上欄)
(EP 0 226 465A、5頁48行〜6頁40行)に記載された
試薬組成物など)との反応により生成する中間体との反
応の結果、光学的に検出しうる物質(色素又は染料)を
生成しうる組成物(指示薬)でもよい。例えば、 i)ロイコ色素の酸化によって色素を生成する組成物
(例、米国特許4,089,747等に記載のトリアリールイミ
ダゾールロイコ色素、特開昭59−193352(EP 0 122 641
A)等に記載のジアリールイミダゾールロイコ色素); ii)ジアゾニウム塩; iii)酸化されたときに他の化合物とカップリングによ
り色素を生成する化合物を含む組成物(例えば4−アミ
ノアンチピリン類とフェノール類又はナフトール類); iv)還元型補酵素と電子伝達剤の存在下で色素を生成す
ることのできる化合物からなるもの 等を用いることができる。
また、酵素活性を測定する分析要素の場合には、例え
ばp−ニトロフェノールのような有色物質を遊離しうる
自己顕色性基質を、試薬層や多孔性層に含ませることが
できる。
試薬組成物には必要に応じ、活性化剤、緩衝剤、硬膜
剤、界面活性剤等を含有させることができる。本発明の
分析要素の試薬層に含有させることができる緩衝剤の例
として、炭酸塩、硼酸塩、燐酸塩や「Biochemistry」5
巻 467〜477頁(1966年)に記載されているGoodの緩衝
剤などをあげることができる。これらの緩衝剤は「蛋白
質・酵素の基礎実験法」(堀尾武一ほか著、南江堂、19
81年)、「Biochemistry」5巻 467〜477頁(1966年)
等の文献を参考にして選択することができる。
なお発色反応が多段階に進むものである場合には、試
薬層を2以上に分けて構成し、各反応段階に対応する試
薬組成物を各層に含有させてもよい。
検出層 検出層は、試薬層において被検成分の存在下で生成し
た色素等がこの層に拡散到達し、透明支持体を通して光
学的に検出される層で、親水性ポリマにより構成するこ
とができる。
検出層には必要に応じて媒染剤、例えばアニオン性色
素に対してカチオン性ポリマを含めることにより、発色
色素の検出を容易にすることができる。
検出層の下層には吸水層を設けてもよい。
吸水層は、水分を吸収することにより一種の拡散負圧
を生じさせ、多孔性層や試薬層への血漿の移動拡散・浸
透、検出層への色素の移動を促進するものであり、試薬
層で生成した色素が実質的にその層の内部に拡散しない
ような層をいう。この吸水層は、水により膨潤しやすい
親水性ポリマにより構成することができる。
また検出層の上層であって、少くとも微細繊維布また
は多孔性層の下層には光遮蔽層を設けてもよい。この光
遮蔽層は、検出量、試薬層等に生じた検出可能な変化
(色変化、発色等)を透明支持体側から反射測光する際
に、血中の赤血球のヘモグロビンの赤色を遮蔽するとと
もに、光反射層又は背景層として機能する層で、二酸化
チタン、硫酸バリウム等の光反射性微粒子を含有する親
水性バインダからなる層又は光反射性微粒子を含有する
多孔性の層である。
支持体 支持体の材料として好ましいものはポリエチレンテレ
フタレートである。セルローストリアセテート等のセル
ロースエステル類、ポリスチレン、ビスフェノールAの
ポリカルボネート等も用いることができる。支持体は一
般的には光透過性(透明)水不透過性のものが用いられ
るが、水透過性又は水浸透性のもの、光不透過性(不透
明)のものも用いることができる。支持体はその上層に
積層される親水性層を強固に接着させるため通常、下塗
層を設けるか、親水化処理を施す。
ただし、微細繊維布層が要素の構造を維持できる物理
的強度を有する場合には支持体はなくともよい。
分析要素の全体構成 本発明の分析要素は種々の構成を有することができ
る。例えば、特開昭49−53888(US 3,992,158)特開昭5
5−164356(US 4,292,272)、特開昭60−222769(EP 0
162 302A)、特開昭62−138756、特開昭62−138757、特
開昭62−138758(EP 0 226 465A)等に記載の多層分析
要素の層構成を参考にできる。なお本発明の1態様にお
いては、微細繊維布に隣接する多孔性層を省略してもよ
いのは前記した通りである。
実用的には例えば、 (1) 支持体の上に、親水性ポリマバインダ含有試薬
層、微細繊維布の層をこの順に、 (2) 支持体の上に、親水性ポリマバインダ含有試薬
層、多孔性層、微細繊維布の層をこの順に、 (3) 支持体の上に、吸水層、親水性ポリマバインダ
含有試薬層、多孔性層、微細繊維布の層をこの順に (4) 支持体の上に、検出層、親水性ポリマバインダ
含有試薬層、多孔性層、微細繊維布の層をこの順に (5) 支持体の上に、吸水層、試薬含有多孔性層、微
細繊維布の層をこの順に (6) 支持体の上に、検出層、試薬含有多孔性層、微
細繊維布の層をこの順に それぞれ有するものが有用である(支持体は下塗層を含
んでいてもよい)。
部分接着(多孔性接着) 次に本発明の多層分析要素の特徴をなす微細繊維布と
多孔性層又は検出機能層との部分接着(多孔性接着)に
ついて説明する。
部分接着とは、特開昭61−4959(EP 0 166 365A)、
特開昭62−138756〜8(EP 0 226 465A)等に記載の2
つの隣接する多孔性層同士又は隣接する多孔性層と非多
孔性層との接着の態様であって、『隣接する2層の界面
の間に部分的(又は断続的)に配置された接着剤によっ
て実質的に密着され一体化されており、かつ前記燐酸す
る2面及びその間において液体の一様通過が実質的に妨
げられないように構成されている接着』である。本発明
の多層分析要素においては隣接する微細繊維布と多孔性
層との界面、又は隣接する微細繊維布と検出機能層との
界面が部分接着されている。
一般的には、微細繊維布に接着剤を部分的に配置し、
次いで多孔性層又は検出機能層に微細繊維布を一様に軽
く圧力を加えながら貼りあわせる。逆に多孔性層又は検
出機能層に接着剤を部分的に配置し、ついで多孔性層又
は検出機能層に微細繊維布を一様に軽く圧力を加えなが
ら貼りあわせることもできる。さらに、微細繊維布に接
着剤を部分的に配置し、多孔性層にする多孔性シート状
物に微細繊維布を一様に軽く圧力を加えながら貼りあわ
せ、あるいは逆に多孔性層にする多孔性シート状物に接
着剤を部分的に配置し、ついで多孔性シート状物に微細
繊維布を一様に軽く圧力を加えながら貼りあわせた後
に、検出機能層に多孔性シート状物を一様に貼りあわせ
ることもできる。
接着剤を微細繊維布、多孔性層、または検出機能層に
部分的に配置する方法は特開昭61−4959、特開昭62−13
8756、特開昭64−23160(DE 37 21 236A)等に記載の諸
種の方法によることができる。それらの諸方法のうちで
は印刷法による方法が好ましい。印刷法のうちで、接着
剤を印刷版(クラビア印刷版又は凹版が好ましい)ロー
ラーを用いて多孔性層又は検出機能層に転写し付着させ
る方法及び隣接する2層を貼りあわせる方法は、例え
ば、日本印刷学会編『印刷工学便覧』(技報堂出版(下
部)、1983年)838〜853頁等に記載の公知の装置及び方
法により実施することができる。
用いられる接着剤としては特開昭62−138756に記載の
諸種の接着剤、そのほか前記の『印刷工学便覧』839〜8
53頁等に記載の公知の接着剤を用いることができる。接
着剤としては水溶媒型の接着剤、有機溶剤型の接着剤、
熱接着性(ホットメルト型又は感熱性)接着剤を用いる
ことができる。水溶媒型の接着剤の例として、澱粉糊等
の水性の糊;デキストリン、カルボキシメチルセルロー
ス、ポリビニルアルコール等の水溶液;酢酸ビニル−ブ
チルアクリレート共重合体エマルジョンがある。有機溶
剤型の接着剤としては、溶剤の蒸発のおそいものが適す
る。熱接着性(ホットメルト型又は感熱性)接着剤は特
に有用である。
熱接着性のホットメルト型接着剤としては、「工業材
料」26巻(11号)4〜5頁等に記載のホットメルト型接
着剤を用いることができる。その例として、エチレン−
酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体等のエチレン共重
合体;低分子量ポリエチレンやアタクチックポリプロピ
レンのようなポリオレフィン類;ナイロン等のポリアミ
ド;ポリエステル系共重合体;SBSなどのスチレンブロッ
ク共重合体のような熱可塑性ゴム;スチレンブタジエン
ゴム、ブチルゴム、ウレタンゴム;ロジン、石油樹脂、
テルペン樹脂;合成ワックスがある。
(実施例1及び比較例1) グルコース定量用一体型多層分析要素 支持体の上に、試薬層、光遮蔽層、微細繊維布を順に
積層した分析要素Aを作成した。
まず、厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタ
レート(PET)シート(支持体)の表面に下記の被覆量
となるように試薬組成物の水溶液を塗布し乾燥して試薬
層を形成した。
試薬層の被覆量(1m2当り) 脱イオンゼラチン 26g グルコースオキシダーゼ 2000U ペルオキシダーゼ 3300U 4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネ
チルイミダゾール(ロイコ色素)・酢酸塩 1600mg 1,7−ジヒドロキシナフタレン 660mg ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(平均10オキ
シエチレン単位含有) 270mg この試薬層の上に下記組成物の水分散液を塗布し、下
記被覆量となるように光遮蔽層(乾燥厚さ約7μm)を
形成した。
光遮蔽層の被覆量(1m2当り) 脱イオンゼラチン 2.9g ルチル型二酸化チタン微粒子 13 g ノニルフェノキシポリエトキシエタノール(平均10オキ
シエチレン単位含有) 600 mg この光遮蔽層の表面を水でほぼ一様に膨潤させてお
き、その上にポリエステル/ナイロン並列多層型複合糸
を縦100本/インチ、横100本/インチに平織りした後分
割した布(フィラメント平均直径5.3μm、空隙率60
%、厚さ200μm)を一様に軽く圧力をかけながらラミ
ネートし乾燥して密着一体化させ一体型多層分析要素
(要素A)を得た。
比較例として微細繊維布のかわりに公称孔径(有効孔
径または最小孔径の平均値)1.2μm、厚さ約140μm、
空隙率約80%のセルロースアセテートメンブランフィル
ターを用い、他は要素Aと同様にした一体型多層分析要
素(要素B)を作成した。
要素A及びBに、それぞれ正常人全血(ヘマクリット
値42%、血漿中グルコース濃度122mg/ml)20μを点着
した。要素は37℃で6分間インクベーションし、直ちに
支持体側から中心波長540nm及640nmの可視光で要素内の
反射吸光度を測定した。この測定をそれぞれ10個の要素
を用いて10回繰返し行ないその平均値と標準偏差(SD)
を求めた。結果を表1に示す。
赤血球ヘモグロビンの吸収に対応する540nmの反射吸
光度は、微細繊維布を使った要素Aでは全く認められな
いのに対し、比較例の要素Bでは0.454と大きな値を示
した。これは要素Bでは血球分離性が不十分であるか又
は溶血が生じているのに対し、微細繊維布を用いた要素
Aでは赤血球は完全に除去されまた溶血も殆んど生じて
いないことを示している。
また、血漿中のグルコース値に対応する640nm反射吸
光度は、要素Aでは1.115と高くかつばらつきも小さい
(SD=0.003)。一方要素Bでは、0.766と小さく、ばら
つきも大きい(SD=0.034)。これは、要素Bでは分析
要素内で溶血が生じて色素生成反応を阻害しているため
と考えられる。
このように、本発明の要素Aは優れた血球分離性と非
溶血性を示す。また測定感度自体も優れ、再現性にも優
れていた。
(実施例2及び比較例2) 全ビリルビン定量用一体型多層分析要素 支持体の上に、第1吸水層、第2吸水層、試薬層、微
細繊維布を順に積層した分析要素Cを作成した。
まず、厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタ
レート(PET)シート(支持体)の表面に下記の被覆量
となるように第1吸水層(乾燥厚さ約15μm)と第2吸
水層(乾燥厚さ約10μm)をこの順に水溶液から塗布し
乾燥して設けた。
第1吸水層の被覆量(1m2当り) ポリビニルアルコール(鹸化度88%,20℃における4%
水溶液の粘度5cps) 14g ノニルフェノキシポリグドール(平均10グリシドール単
位含有) 350 mg 第2吸水層の被覆量(1m2当り) ポリビニルアルコール(鹸化度99%,20℃における4%
水溶液の粘度5cps) 9.4g ノニルフェノキシポリグドール(平均10グリシドール単
位含有) 300 mg 第2吸水層を一様に水で湿潤させておき、その上にノ
ニルフェノキシポリグドール(平均10グリシドール単位
含有)水溶液で親水化処理し乾燥させた100番手双糸綿
糸製のブロード織物布地を一様に軽く圧力をかけながら
ラミネーションし乾燥させて多孔性試薬層のマトリック
スを形成した。
ついで織物布地の上から下記の被覆量になるようにし
て第1試薬組成物塗布液を塗布し、含浸させ乾燥させ
た。
さらに織物布地の上から下記の被覆量になるようにし
て第2試薬組成物塗布液を塗布し含浸させ乾燥させて織
物布地(多孔性試薬層)の上縁に光遮蔽層を形成した。
第1試薬組成物の被覆量(1m2当り) 7−(2,3−ジヒドロキシプロピル)テオフィリン[CA
Registry No.479−18−5] 25 g スルホサリチル酸 5 g ヒドロキシプロピルメタクリレート−N−(α−スルホ
メチル−α−メチルエチル)アクリルアミド(6:4)コ
ポリマ 2.5g 2,4−ジクロロベンゼンジアゾニウム・スルホサリチレ
ート 320 mg 第2試薬組成物の被覆量(1m2当り) 二酸化チタン微粒子 11g 7−(2,3−ジヒドロキシプロピル)テオフィリン 30g ノニルフェノキシポリグリシドール(平均10グリシドー
ル単位含有) 1g この織物布地(多孔性試薬層)の上に、ポリエステル
/ポリエチレン海島構造複合板を縦100本/インチ、横1
00本/インチに平織した後溶剤抽出しポリエステルを7
分割した布(フィラメント平均直径4.5μm、空隙率68
%、厚さ130μm)を密着載置し、全ビリルビン定量用
一体型多層分析要素(要素C)を得た。
比較例としてポリエステル微細繊維布のかわりに公称
孔径1.2μm、厚さ約140μm、空隙率約80%のセルロー
スアセテートメンブランフィルターを用い、他は要素C
と同様にした一体型多層分析要素(要素D)を作成し
た。
要素C及びDに、それぞれ正常人全血(ヘマトクリッ
ト値42%、血漿中総ビリルビン濃度0.98mg/dl)20μ
を点着した。要素は37℃で6分インキュベートし、直ち
に支持体側から中心波長600nm及び540nmの可視光で要素
内の反射吸光度を測定した。
この測定をそれぞれ10個の要素を用いて10回繰返し行
ないその平均値と標準偏差(SD)を求めた。
生成色素量に対応する600nmの反射吸光度は、要素C
では0.611と高くかつばらつきも小さかった(SD=0.00
2)。一方要素Dでは、0.350と小さく、ばらつきも大き
かった(SD=0.027)。これは、要素Dでは溶血が生じ
色素生成反応が阻害されているためと考えられる。
540nmの反射吸光度は、生成色素及び赤血球両方の反
射吸光度の和となる。要素Cの0.865に対し、要素Dは
1.034と大きな値を示した。このように要素Dでは、色
素生成量(600nm吸光度)が要素Cより少ないのに540nm
吸光度は高値を示した。このことは要素Dでは血球分離
性が不十分であることを示している。これに対し本発明
の要素Cは優れた血球分離性と非溶血性を示し、しかも
測定感度、再現性に優れている。
(実施例3及び比較例3) 全コレステロール定量用一体形型多層分析要素 支持体の上に第1試薬層(発色試薬層)、第2試薬層
(多孔性試薬層)、微細繊維布を順に積層した分析要素
Aを作成した。
初めに、厚さ180μmの無色透明PETシート(支持体)
の表面に下記の被覆量になるようにして発色試薬層塗布
液を塗布し乾燥して発色試薬層(乾燥厚さ約20μm)を
設ける。
発色試薬層の組成(1m2当りの被覆量) [ロイコ色素油状有機溶媒液] 2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル)−
4−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−5−フェネ
チルイミダゾール(ロイコ色素)・酢酸塩 415 mg 上記と同じロイコ色素・塩酸塩 60 mg N,N−ジエチルラウリルアミド 7.2g [ゼラチン水溶液] 脱イオンゼラチン 22g ビス[(ビニルスルホニルメチルカルボニル)−アミ
ノ]メタン 220mg 上記ゼラチン水溶液(ゼラチン含有量;15.8重量%)
を乳化器で攪拌しながら上記ロイコ色素油状有機溶媒液
を添加し、約30分間攪拌を続けて分散乳化液(発色試薬
組成物水分散液)を調製し、これを支持体に塗布し乾燥
して発色試薬層を形成した。
次いで発色試薬層の表面の一様に水で湿潤させてお
き、その上に公称孔径(有効孔径又は最小孔系の平均
値)1.2μm、厚さ約140μm、空隙率約80%のセルロー
スアセテートメンブランフィルタを一様に軽く圧力をか
けながらラミネートし乾燥させて発色試薬層とメンブラ
ンフィルタを密着一体化させた。
ついでメンブランフィルタの上から下記組成のコレス
テロール測定試薬組成物の水分散液を下記の被覆量にな
るようにして塗布し含浸させ乾燥させて第2試薬層(多
孔性試薬層)を形成した。
コレステロール測定試薬組成物被覆量(1m2当り) コレステロールエステラーゼ 7.7kU コレステロールオキシダーゼ 3.6kU リポプロテインリパーゼ 5.6kU ペルオキシダーゼ 83 kU フェロシアン化カリウム 490 mg ノニルフェノキシポリエトキシエタノールとホルムアル
デヒドとの縮合物 400 mg 次にこの多孔性試薬層(メンブランフィルタ)の上に
フィラメント平均直径4.5μmのナイロン糸を縦100本/
インチ、横100本/インチに平織した布(空隙率50%、
厚さ150μm)をグラビア印刷法により部分接着して全
コレステロール定量用一体型多層分析要素(要素E)を
調製した。
部分接着は、ホットメルト型接着剤ニッタイトH6352
−2A(新田ゼラチン(株)製;スチレン−ブタジエン共
重合体;軟化点76℃、140℃での粘度4100cps)を135℃
で溶融させ、第1図に示したパターンのグライバ版(正
方形の各頂点に真円状ドットを配置したパターン;各ド
ットの深さ50μm、直径0.4mm、浅いU字状断面、縦横
のドット中心間隔(ピッチ)0.8mm)を用いてメンブラ
ンフィルタに転写し、直ちにメンブランフィルタを微細
繊維布に圧着ラミネートする工程で実施した。
比較例としてナイロン微細繊維布のかわりに公称孔径
1.2μm、厚さ約140μm、空隙率約80%のセルロースア
セテートメンブランフィルターを用い、他は要素Eと同
様にした一体型多層分析要素(要素F)を作成した。
要素E及びFに、それぞれ正常人全血(ヘマトクリッ
ト値48%、血漿中総コレステロール濃度151mg/dl)20μ
を点着した。要素は37℃で6分インキュベートし、直
ちにポリエチレンテレフタレート支持体側から中心波長
540nm及び640nmの可視孔で要素内の反射吸光度を測定し
た。
この測定をそれぞれ10個の要素を用いて10回繰返し行
ないその平均値と標準偏差(SD)を求めた。
赤血球による吸収である540nmの反射吸光度は、要素
Fでは0.491と大きな値を示し血球分離性が不十分であ
ることを示している。これに対し、微細繊維布を用いた
要素Eの反射吸光度はバックグラウンド・レベルであ
り、赤血球はほぼ完全に除去されしかも溶血も殆ど起き
ていないことが示された。
また全コレステロール値に対応する640nm反射吸光度
は、要素Eでは1.012と高くかつばらつきも小さかった
(SD=0.003)。一方要素Fでは、0.354と小さく、ばら
つきも大きかった(SD=0.022)。これは、要素Fは分
析要素内で溶血し色素生成反応阻害されているためと考
えられる。
このように本発明の要素Eは優れた血球分離性と非溶
血性を示し、しかも測定感度、再現性に優れている。
(発明の効果) 以上のように本発明の一体型多層分析要素は、微細繊
維布により血球を除去・分離するようにしたもので、優
れた血球分離性と非溶血性を示す。従って、測定値がバ
ラつかず再現性に優れている。また脆性が十分低い微細
繊維布を使用しているので分析要素の製造、加工が容易
である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1〜3の一体型多層分析要素において微
細繊維布を部分接着(多孔性接着)する際にグラビア印
刷法で接着剤を配置するために用いたグラビア印刷版の
パターン(正方形の各頂点に真円状ドットを配置したパ
ターン;各ドットの深さ50μm、直径0.4mm、浅いU字
状断面、縦横のドット中心間隔(ピッチ)0.8mm)であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−230062(JP,A) 特開 昭60−230064(JP,A) 特開 昭62−103542(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】独立して形成されたフィラメント平均直径
    0.1〜7μm、空隙率45〜70%の非ガラス繊維布と、検
    出機能層とが積層してなる全血試料分析用乾式分析要
    素。
  2. 【請求項2】独立して形成されたフィラメント平均直径
    0.1〜7μm、空隙率45〜70%の非ガラス繊維布と、多
    孔性層と、検出機能層とがこの順に積層してなる全血試
    料分析用乾式分析要素。
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