JP2578374B2 - 味覚検出システム - Google Patents
味覚検出システムInfo
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Description
ングシステムに係り、特に味覚という、従来は人工的な
センサあるいはセンシングシステムでは代行できないと
された、ヒトの感覚に代る電子回路装置に関する。
センサ(トランスジューサ)が開発されている。現在、
視覚,聴覚,触覚などに対応する、光,音,温度,圧力
などの物理量を検知するセンサ(学術用語としては、ト
ランスジューサの方が正しい言い方と思うが慣用されて
いるセンサという語を以下に用いる)があり、中にはヒ
トの感覚よりも優れた性能をもつものが実現されてい
る。
った化学量を検知するセンサについても、イオン選択性
をもった電界効果形トランジスタ(ISFET)や酵素セン
サといったものが知られている。
定の化学物質についてのみ応答を示す選択性に、その特
徴があるものとされている。ヒトが感ずる匂いとか味と
かいう測定対象量は、単一の物質に由来するものとは限
らず、むしろ多種類の物質が、結合あるいは混合された
ものが測定の対象物であって、匂いや味を総合的に認識
できるセンサを実現することが、ヒトの五感に近づいた
センサを得ることにつながると思われる。
出す測定対象量は、匂いや味を構成するそれぞれの物質
間の相乗作用や、抑制作用といった複合効果を経由して
得られたものであろうと推察できるから、単に特定物質
に選択性をもつセンサを複数種類の物質ごとに用意し
て、それらのセンサの各々から得られる信号を、四則演
算で処理するという主法だけで、匂いや味のセンサに到
達できるとも思えない。
ンサは、人間の嗜好といった極めて人間性のある要素が
加味された量が測定の対象となっているので、生体に近
い構造をもつセンサを構成する必要があるのではないか
と思われる。
構)について少し考察を加える。
味物質による刺激は、受容細胞を構成している生体膜に
よって味物質が捉えられ、それによって生体膜の膜電位
が変化し、この変化が化学的シナプス(ニューロンと呼
ばれる神経細胞の相互間の結合部)を介して、味神経系
統を伝搬するインパルスを発生する。
サである。
d)と呼ばれ、味細胞が数十個集まった構造をしてい
る。
先端にはミクロビリーと呼ばれる突起があり、この部分
が味を呈する物質(味物)を受容する部位といわれてい
る。
び蛋白質で構成され、生体膜の構造は、極性をもつ脂質
が、疎水性の部分を互に向い合わせた極性二分子の層で
できた膜(第1図)を作っていて、この極性二分子膜に
蛋白質が自由度を持って埋め込まれている。
れた蛋白質が受容体となって,この受容蛋白質を介して
受容され、酸味,塩味などは脂質の親水基(図では、○
印で模式的に分子構造を示した)に吸着して生体膜の界
面電位を変化させるものと考えられている。
位(曲りながら細く伸びる線分で模式的に分子構造を示
してある)に吸着し、この部分の構成を変えること、あ
るいは吸着による電荷密度の変化によって、生体膜の界
面電位を変化させると考えられる。
個々の味細胞は、各々特定の味にのみ反応する訳ではな
く、4基本味全てに反応する。ただし、4基本味全て同
等に反応するのではなく、特定の1〜2の味に強く反応
する(第3図)。つまり、味物質に対し少しつづ特性の
異なる多数の味細胞の出力を味パターンとして受けて、
大脳で処理して味として認識する機構になっている。
分類に従って、塩味,酸味,甘味,苦味を挙げた。ヘニ
ング(Henning)氏によれば、これら四つを四面体の頂
点を極座標とし、四面体の形状によって味を定量的に
(有形形状で)表現しており、ヘニング氏の四面体とし
て知られている(第4図)。しかし、この四つ以外に五
番目の基本味として,うま味も評量されるべきである
と、最近の知見に従い発明者は考えている。
実を概観しておく。
ォスフェートが用いられ、この脂質を多孔質のフィルタ
として知られるミリポア膜に固定した試料が実験に供さ
れていた。
フォスフェート(dioleyl phosphate:DOPH)について説
明する。
であって,水中では負に帯電するから、酸味,塩味の原
因である水素イオンH+、金属イオン(例Na+、第2図)
を引き寄せる。リンP原子の左側には親水基と対称的に
2本の炭素鎖が延びている(第2図)。
ムNaClなどの塩の水溶液に入れると、塩濃度が低い場合
にはDOPH分子は油滴状態であり(第5図左側)、塩濃度
を高くすると整列が次第に進み、二分子膜と(第5図右
側のように)なること(一種の相転移)が観察される。
させて作ったDOPHミリポア膜を用いて、五つの基本味が
膜電位、膜抵抗、膜の自励発振へ及ぼす影響などについ
て調査し、実験し、その成果の一部を例えば次の刊行物
で発表してきた。
7). (2) Proc.of the 22nd Jap.Symp.on Taste and Sme
ll(1988)pp,213〜216. (3) Agric.Biol.Chem.50(11),pp.2709〜2714(19
86). (1)においては4基本味〔塩・酸・苦・甘〕それぞ
れに対しDOPHミリポア膜電位・膜抵抗が異なった応答を
すること、さらにDOPHミリポア膜の自励発振が、四つの
基本味に対して各独立の応答をすることを見出した。
りあげ、うま味物質としてL−グルタミン酸ナトリウム
(MSG)、イノシン5′−1リン酸2ナトリウム塩(IM
P)およびグアノミン5′−1リン酸2ナトリウム(GM
P)をとりあげた。その結果、うま味に対する応答およ
びうま味物質の混合物が相乗的に膜質膜に作用すること
が判明している。
uv と表わされることで、ここで、u:溶液中のMSGの
濃度、v:MSGに添加するIMP又はGMPの濃度、y:二物質の
混合溶液と同じ反応を示すMSG単独溶液の濃度、γ:相
乗作用の強さを定める定数で、ヒトの場合 γ=6.42×104(MSG+IMPの場合) γ=1.48×105(MSG+GMPの場合) と言われている。
象である相乗効果が検出できることが示された。
が塩味物質(KCl)と苦味物質(キニーネ)の混合につ
いて、やはりDOPHミリポア膜の膜電位変化が減少するこ
とにより確められた。
さが5μmのミリポア膜に吸着させ、その膜の自励発振
が、味に対してヒトの味覚に近い応答を示すことを発見
できた。
質だけでなく、甘味・うま味をも検出できる可能性を示
唆している。しかし、DOPHミリポア膜は、残念ながら、
産業上の利用のためにはいくつかの解決すべき問題点を
蔵していた。
とであり、長期間安定した状態で使用できないことで
あり、単一種の脂質膜から得られる測定量の数には限
りがある、結局、測定によって得られる情報が最も質
も乏しいものとなることであった。近時になって、本願
の共同発明者の一部らは、安定な、また、基本味につい
ても、うま味についても、特徴的な性質を示す電気信号
出力することができる脂質性分子膜を発明した。同一出
願人の特許出願(特願平1−190819号(特開平3−5444
6号公報))の明細書に味覚センサについて詳しく記述
した。
ある味の評定をするためのセンシングシステムを実現し
ようとするものであり、つぎに挙げるような目的をもっ
て創作されたものである。
れるが、この四つの基本味に加えてうま味も評定できる
味覚検出システムを実現する。
本味の相乗効果や抑制効果といった複合効果を検出でき
る味覚検出システムを実現する。
い機能をもつ、味覚検出システムを実現する。
が、非線型であっても処理できるものとする。
る。
憶し、応用するために、学習機能を備えているものとす
る。
し、できるだけヒトの生体の味覚検出システムを模倣す
ることで、前項に列挙した課題を達成する。
ば膜電位がもつ、味の基本物質に対する応答特性(振幅
応答)を利用した味覚検出システムの構築を意図する
(対応する課題イ,ロ,ハ)。
類似化できる。これは脂質膜の種類と味の基本物質の種
類と組合せでかなり特徴的なものがあることを発見し
た。人間の味の感覚に近いものがあることも発見した。
人間の感覚に近い味の検出装置を実現した。これらの性
質を利用する(対応する課題、イ,ロ,ハ)。
に学習させる(対応する課題ニ,ホ,ヘ)。
味のサンプルを用意し、その各々の溶液に対するセンサ
出力を、ニューロン回路網に入れ、その時の出力と所望
する出力の誤差がゼロになるようにニューロン回路網の
中のニューロン素子間の結合係数を変える。一例とし
て、誤差を各結合係数の重みの関係とみるし、最小勾配
法によって、誤差関係が最小になるように探索する(対
応する課題ニ,ホ,ヘ)。
もの、濃度の違うものの味)を定量的に検出する(対応
する課題ニ,ホ,ヘ)。
いて述べ、発明者が発見した実験的帰納的事実を摘示す
る。
た。この第1表には11種類の脂質性分子を示してある。
これらの脂質性物質を単体で、あるいは他と混合して脂
質膜を形成し、実験した。これらの脂質性物質の分子構
造上の特徴は、第1図と第2図の模式図に示したよう
に、原子配列が長手方向に延びる疎水性部位と、その長
く延びた原子群の一端部又はその近くに、親水性部位が
ある点を指摘できる。しかも、親水性部位として、リン
酸基,アミノ酸,カルボキシル基,水酸基などが存在す
る。
羅している。
い。容易に入手でき、取扱いも簡単な、熱可塑性のポリ
塩化ビニル[CH2CHCl]n;PVCを用いることとした。
ン、シクロヘキサノン等に溶け、可塑剤との混合比を変
えることにより、軟質にも、硬質にもすることができる
から、用途に応じて使いわけができる便利さがある上
に、品質の安定性、成形の容易さも特徴とされる。
可塑剤を添加しないと出来上りの脂質膜が白濁していた
り、不均一になったりして好ましくない。また脂質・可
塑剤の選び方、混合する比率、混合の仕方によっても、
出来上がった脂質膜に白濁や不均一を生ずることがあ
る。可塑剤としてフタル酸ジオクチル(DOP),ジオク
チルフェニルフォスフォネート(DOPP)あるいはリン酸
トリクレシル(TCP)を用い、第1表の脂質とPVCとを混
合したもの約400mgを、THF10ccに溶解し、平底の容器
(例べば、85mmφのシャーレ)に移し、それを均一な加
熱された板上で約30℃に保つこと約2時間、THFを揮散
させて、脂質間を形成し。こうして得られた脂質膜の厚
さはほぼ200μmであった。THFを揮散させるには、室温
で減圧をしても目的を達成することはできるが、多少の
加熱をするほうが、良い膜が得られるようである。
リクスの組織中に固定されていると考えらえる。この脂
質膜を約10m mole/(以下、mMという)の食塩水、あ
るいは塩化カリウム水溶液などの電解質溶液に1分間ほ
ど浸すと、脂質のもつ親水基が表面に整列した分子配列
が安定した状態で得られ、味覚センサとしての機能を果
たすものとなる。また、上記の電解質溶液は、味覚セン
サ用の脂質膜を保存するのに適しており、空気中に放置
したものでは日のオーダーで劣化がみられるのに対し、
この溶液につけておいた脂質膜は年のオーダーでも劣化
が認められていない。
機能もこの溶液には認められた。
リウムや塩化ナトリウムなどのイオンを形成し易い水溶
液に数分間浸すと、PVCなどのマトリクスに固定された
脂質性分子群の親水基が少なくとも一部は表面に並ぶ
(水溶液に向かって並ぶ)ようで、味覚センサしての機
能、感度が向上することが発見された。
6図は実験用で作った味覚センサ用電極の模式図(断面
図)である。基材1は、アクリル樹脂の厚さ2mmの板で
あり、これに電極2をとりつける。図示の例では、基材
1に0.5mmφの孔を貫通し、それに銀の丸棒を差し込ん
だ。電極としては、金、白金を用いるのもよいが高価で
ある。
不分極性の分子、イオン化する分子層など用途(自励振
動を観察するか、あるいは膜電位や導電率を測定するか
の目的による)に応じて、一種の緩衝層(buffer層)4
を設けておくとよい。電極2は基材1の平面上に印刷配
線しておくのもよい。脂質膜3を基材1上に装着する際
は、電極2と図示の例では緩衝層4を介して接触するよ
うに張りつけ、PVCを10%溶解したTHCでアクリル板に接
着した後、THFを揮散させて、第6図のような構造を作
った。第7図(a)は味覚センサ用電極の正面図で、こ
の場合、多チャンネルのアレイ電極のうち三つのセンサ
が示してある。
であり、異なる応答特性を持つ脂質膜を多数並列になら
べることにより、膜から取り出せる信号を増やし、人間
の味覚を再現できるように味覚情報として十分な量をセ
ンサから得ることができるようにする必要がある。
衝層4aとして、ここでは10mMの塩化カリウムKClを寒天
の中に加えた層を採用している。この緩衝層は、塩化銀
の周囲のCl-濃度を一定に保ち、また膜に対し塩濃度勾
配をかけることができ、生体系により近い状態に膜をお
くことができる。この緩衝層は、被測定溶液中のイオン
が電極である金属に到達し、電極と膜間の電位を変動さ
せるのを抑制する。
測定系の基本構成10を示す。味覚物質の水溶液を造り、
それを被測定溶液11としてビーカーのような容器12に入
れる。
Cl、酸味を代表する塩化水素HCl、苦味を代表する塩酸
キニーネ、甘味を代表するしょ糖の四つの基本味を用い
ることとした。
に脂質膜と電極とを配置して作った味覚センサアレイ13
を入れた、使用前に、塩化カリウム10mM水溶液で電極電
位を安定化した。
で示したものである。
15を用意し、それを被測定溶液に入れる。
てて設置する。
ム100mMを寒天で固化したもので覆ってあるから、結
局、電極系は 銀2|塩化銀4|脂質膜3(14)|被測定溶液12|緩衝層
(塩化カリウム100mM)16|塩化銀4|銀2という構成とな
っている。
信号となり、リード線17−1,…,17−5によってそれぞ
れバッファ増幅器19−1,…,19−5に導かれる。
チャンネル)20で選択されてA/D変換器21に加えられ
る。
変換器21に加えられ、膜からの電位との差をディジタル
信号に変換する。
に処理され、またX−Yレコーダ23で表示される。測定
系は、膜電位を測定する系を示したから、特に電位の設
定には配慮してあり、被測定溶液を入れる部分は導電性
材料で囲って接地電位24を得るようにしている。脂質膜
の導電率を測定する場合、自励発振を測定する場合の測
定系も、第8図に準じて構成できる。膜電位の測定が最
も基本的で、かつ、重要と思われたので例示し、他の測
定系の記載は省略する。
する電位特性を第2表及び第9図〜第13図の左側に示
す。ここで、グラフの横軸は各4基本味物質の濃度、縦
軸は何も入れない状態,つまりKCl10mM溶液中を基準と
した時の各四基本味物質に対する各センサの電圧の変位
をそれぞれ示している。各センサの出力特性は、酸味以
外に対しては、ほぼ単調な増加あるいは減少の関数とな
っている。酸味に関しては、ある程度の濃度まで電位は
単調に増加し、それ以降は単調に減少するものもある。
次に各センサの基本味物質の混合液の濃度に対する電位
特性を第3表に示す。これらの混合液は各四基本味物質
の人間の感じる代表濃度をHCl1mM、NaCl10mM、キニーネ
0.1mM、糖100mMとし、これら4種類の溶液を混合したも
のである。ここで、各センサの各四基本味物質の濃度に
対する出力特性が、混合液の場合どの様に影響を受ける
か考える。各々基本味物質に対する各センサの出力は、
第9図〜第13図の左側で示されているが、この出力特性
が他の基本味物質によってどのような影響を受けるか考
えると、大別して4つの場合が考えられる。基本味物質
Aに他の基本味物質Bを混合したとする。第1は全くB
の影響を受けない場合、第2は基本味物質Aがそのセン
サに与える影響力を強調する場合、第3は基本味物質A
が,そのセンサに与える影響力を抑制する場合、第4は
基本味物質Aのみの溶液では現われない範囲へ電位が変
化してしまう場合である。ここで、あるセンサの基本味
物質Aの出力特性が単調減少であったとする。つまり、
この基本味物質Aは、このセンサ電位に抑制の力が働い
ている。そこへ基本味物質Bを混ぜた時、電位がさらに
下がれば基本味物質Aのこのセンサ電位に対する抑制力
を強調したことになり、上記の第2場合に相当する。ま
た電位が上がれば、上記の抑制力を基本味物質Bが抑え
たことになり、上記の第3の場合に相当する。電位が基
本味物質Aのみの場合の範囲を大きく越え、このセンサ
の電位の影響の種類が分からない場合は第4の場合に相
当する。電位があまり変化しなければ、基本味物質Bの
影響を受けなかったことになり,上記の第1の場合に相
当する。これらの4つの場合に着目して、各センサごと
の基本味物質の混合した時の相互の影響の様子を第9図
〜第13図の右側に示す。ここで、図中の記号の説明をす
る。
受けないことを意味する。
の影響が元の基本味物質Aに換算してlogX[mM](X>
0)増加した場合に匹敵することを意味する。
の影響が、元の基本味物質に換算してlogX[mM](X>
0)減少した場合に匹敵することを意味する。
本味物質Aの出力特性の値が占める範囲の外ほど影響を
受けたことを意味する。
位置に上記4種類の点を置き、混合液の場合のセンサの
電位の位置に、混合した基本味溶液の種類のアルファベ
ットを置く。
ーネ,Sは蔗糖を意味し、例えば,N+Hは塩分塩酸の混合
液を意味する。
ンネルの特徴を次に示す。
る。
される。
される。
分類される。
として、酸のみによる電位H(h)[mV]キニーネのみ
による電位をQ(h)[mV]とするとch5の電位VはV
=H(h)+Q(h)で表わされる。
各基本味溶液の濃度が分析できることを発見した。その
アルゴリズムは、第14図によって説明する。図中の記号
の説明を行う。hi,ni,qi,siは、ichの情報より計算され
た塩酸,食塩,キニーネ、蔗糖の濃度を意味している。
定1とする。
受けないので、HClの濃度出力特性グラフ(もしくは、
特性を覚えさせたニューラルネット)よりHClの濃度を
計算でき、それらの答をh1、h2とする。この時h1≠h2で
あれば仮定1が誤っているので、HClは存在しないとい
う答が決定される。
chの全てのセンサで矛盾していなければ最初の仮定を含
む推論の途中の仮定は、全て正しいものとし、出た答を
正解とする。
に近く、かつ、少しでも他の基本味物質が混入すると、
それら他の基本味物質の影響を強く受け、検出が難しい
場合が非常に多い。
せの混合液に糖を加えることで、出力が大きく変わる場
合がある。したがって、他の3種類の基本味溶液の濃度
が分かっていれば、ある程度推論できる。例えば、4ch
における食塩(N)と塩酸(H)の混合液は、糖の影響
を非常に受けるのでQがゼロで、NとHの濃度が分かっ
ていれば、Sの濃度を計算できる。
合せれば、各基本味成分の濃度の分析が出来ることが分
かる。ここでは、この5つの味センサの出力を受けて、
ニューラルネットワークを用いて、成分分析を行なう。
ニューラルネットワークは、いくつかの学習データとそ
れらに対応する解を用意しておき、与えられたパターン
に対する正解を出力するよう学習するものである。ニュ
ーラルネットの特徴は、非線形性にあり,パターン認識
の識別の境界面が曲面である。
り、線形分離できないパターン認識、例えば、XORのパ
ターン認識は不可能であり、特に5つのセンサ特性が複
雑にからみあっている場合、多変量解析では、非常に難
しい。今回の場合、各センサの味物質の濃度に対する出
力特性が、すでに非線形である。
示す。入力i(i=1〜5)には、脂質膜電極からの電
圧Vi(i=1〜5)が入る。
1〜n)と、出力層VOi(i=1〜4)を構成する素子
に分けられる。
の結合係数をβij,NHiからのNOjへの結合係数をδijと
記す。これは、シナプス結合の強さを表わしており、正
は興奮性、負は抑制性を表わしている。
てNaCl濃度を、Y2は酸味としてHCl濃度を、Y3苦味とし
てキニーネ濃度を、Y4は甘味としてショ糖濃度を表して
おり、各濃度が10-3+YimMを意味している。
であるので、0≦Yi≦5とした。NHi,NOiの入出力特性
は、いろいろ考えられるが、ここでは、生体の神経細胞
の入出力特性に似たシグモイド関数を用いた。
サをつけ、その出力を受けて演算した出力Yi〜Y4が、正
しい答えを出すように結合係数αij,βij,δijを変えて
やる。その為にまず誤差関数Eを設定する。
る。つまり、Eをαij,βij,δijの関数とおき勾配方向
に向かってαij,βij,δijを変化させて、Eを減少させ
ていく方法である。勾配方向は、 ニューラルネットへの入出力パターンが、NP個あった
として、その第k番目の上記誤差関数をEkとする。1パ
ターンごとに、そのパターンに対応する誤差関数Eが最
小となるよう、各重みαij,βij,δijを少しだけ(4)
式,(5)式,(6)式に従って変化させる。上記の操
作を第1番目のパターンから順に第NP番目までのパター
ンについて行い、これを1セットとして全てのパターン
が学習されるまで繰り返す。第L回目の操作の時、対応
するパターンが第i番目のパターンとし、重みWの第L
回目の操作での変化量をΔW(L)とすると で与えられる。
方向への変化量を示し、(7)式の右辺第2項は別のパ
ターンへの影響を考えて、変化量を補正する項である。
γ1=1.0,γ2=0.9とした。
2表のデータから塩酸,蔗糖,食塩に関しては0.01mM,
0.10mM,1.0mM,10.0mM,100mMキニーネに関しては0.01mM,
0.10mM,1.0mM,3.0mMの計19個の学習パターンを選び、混
合液のデータは第3表のデータから計11個の学習パター
ンを与えた。
の素子NHiは、5個〜10個で非常に容易に学習が完了し
た。各出力Yi (i=1〜4)の誤差を10%以内を正確と
すると、学習データおよび,第2表の未学習データに関
しても100%の認識率を得ている。
は、中間層の素子NHiは、30個ぐらい必要で学習回数
も、初期設定に相当影響されるが、1万回から2万回の
の学習回数である。
水滴液中の基本味物質の濃度だけによって味の強度(味
を人間が感ずる感じ方の程度)が決まると一義的に断定
しにくい面もある(今後の研究にまつところがある)。
各用途によって,いろいろの変形が考えられる。
との強度を検出する。
基本味ごとの人間の感覚量を検出する。
くつかの代表的な食品の味を基準にして、与えられた食
品が何味であるか、または何味に似ているかを分析す
る。
えられた食品の良否を決定する。
ている味センサの特性が人間の感覚量に近いため、
(2)〜(4)項の用途に用いた方が、本発明の実施例
よりはるかに実現が容易である。
れば、センサ部に脂質といわれる味受容膜の主要構成成
分を素材として膜を用い、この膜のもつ電気的特性を検
出することにより人間の舌の味細胞の味覚特性に非常に
似た特性が得られ、味覚特性の異なる複数のセンサを用
い、そこからの信号処理部にニューラルネットワークを
用いることで、より人間の感覚に近づけることができ
る。
定でき、味覚特性に基本味の相乗効果や抑制効果の影響
が入っており、その上にニューラルネットワークを用い
ることで、人間の感覚と無理なく対比できる。ニューラ
ルネットワークは、その特徴として非線型性が上げら
れ、上記センサの味覚特性が線型でなくても良いので、
使用できるセンサの範囲が非常に広い。ニューラルネッ
トワークは、構造が簡単で,また学習によって形成され
るので、専門家の特別な知識を必要としない。用途によ
り学習データを変えてやるだけで良いので、汎用性が高
い。人間の味覚特性に関する研究が進めば進む程、その
分析結果をこの味覚検出システムに学習させることで、
人間の味覚に非常に近い検出が可能となり、従来難しい
とされてきた味の標準化を実現できる。その結果、味の
評価分析においては、このシステムにより、非常に客観
的に、かつ自動的に行われることが可能となり、コス
ト、精度の面を考えると、食品産業界に多大なる貢献を
期待できる。
本味物質の刺激に対するマウスの味細胞の興奮パター
ン、第4図はヘニング氏の四面体の概念図、第5図はDO
PHの相転移の模式図、第6図は本発明の一実施例に係る
味覚センサの模式図(横断図)、第7図(a)と(b)
はそれぞれ本発明のに係る一実施例係る味覚センサの模
式図の正面図と断面図、第8図は膜電位の測定回路、第
9図〜第13図の右側は基本味に対する各センサの出力特
性を示し,第9図〜第13図の右側は第9図〜第13図の左
側に示す各センサの出力特性により得られる,各センサ
の基本味の混合溶液に対する特性、第14図は各基本味の
濃度分析のアルゴリズム、第15図はニューラル素子を用
いた信号処理部の一実施例をそれぞれ示す。 図中、1……基材、2……電極、3……脂質膜、4と4a
……緩衝層、5……リード線、6……半田付け、10……
膜電位の測定系の基本構成、11……被測定溶液、12……
容器、13……味覚センサアレイ、14−1〜14−5……各
々の脂質膜(黒点で示す)、15……参照電極、16……緩
衝層、17−1〜17−5……リード線、18……リード線、
19−1〜19−5……バッファ増幅器、20……アナログス
イッチ、21……A/D変換器、22……マイクロコンピュー
タ、23……X−Yレコーダ、24……接地電位をそれぞれ
示す。
Claims (1)
- 【請求項1】複数種類の基本味を識別する味覚検出シス
テムにおいて、 呈味物質に対して非線型性を有し、かつ、互いに検出特
性の異なる複数個の、脂質膜を用いた味センサと、該味
センサの検出特性に対応した重み係数を学習済みとさ
れ、該味センサからの複数個の出力を受けて、前記複数
種類の基本味の強度を出力するニューロン回路網とを備
えたことを特徴とする味覚検出システム。
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JP1303750A JP2578374B2 (ja) | 1989-11-22 | 1989-11-22 | 味覚検出システム |
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JP1303750A JP2578374B2 (ja) | 1989-11-22 | 1989-11-22 | 味覚検出システム |
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-
1989
- 1989-11-22 JP JP1303750A patent/JP2578374B2/ja not_active Expired - Fee Related
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KR102604774B1 (ko) * | 2023-01-18 | 2023-11-21 | 주식회사 래빗 | 딥러닝에 기반한 생체모방기술을 활용한 식음료의 맛 분석 방법 및 시스템 |
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