JP4267783B2 - 味認識装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、人間の五感の1つである味覚を代行できるようにしたセンサを利用して、味の中でも非電解質である、辛味、甘味及びカフェイン等の苦味を呈する味物質を高感度に検知できるようにした味認識装置に関する。なお、水中の毒物等の一部もここで言う味物質に含まれる
【0002】
【従来の技術】
まず、味を測定する技術について説明する。
味を測定する技術としては、例えば特開昭62−187252号公報にあるように複数の味覚センサの出力値から測定対象物における各原味(基本味)成分すなわち選択された呈味物質の濃度を算出し、各濃度値を人の味覚に合った各原味の強さを表す値に補正することで味を測定するものがある。
しかし、前記公報にいう味覚センサとは各基本味を呈する物質を選択的に検出する化学センサまたは物理センサであり、具体的には塩味は食塩濃度計で、酸味は水素イオン指数計で、甘味は測定対象物の液体の屈折率を利用した糖度計であった。これらのセンサは化学物質に選択的であるから例えば塩味の強さを測定しようとしている食塩濃度計は食塩(NaCl)の濃度の測定はできるが、塩味を呈する他の物質の濃度は測定できず、人の味覚に合うように補正するといっても限界があった。色に例えてこれをいえば、単一の色しか検知しないセンサを用いてカラーの結果を得ようとするようなものであった。
【0003】
本願出願人は他と共同して、「味覚センサ及びその製造方法」について特許出願(特開平3- 54446号)をし、その明細書及び図面で、疎水性の部分と親水性の部分とをもつ分子で成る脂質性物質を高分子のマトリックス内に定着させ、その表面に脂質性分子の親水性部分が整列するような構造をもつ脂質性分子膜が、アジのセンサ、すなわち、人間の味覚に代わりうる味覚センサとなることを示した。
【0004】
前記脂質性分子膜の膜式図を、化学物の設計法で使われている表現方法で表わしたものが図16である。脂質性分子のうち円で示した球状部は親水基aすなわち親水性部位aであり、それから原子配列が長く延びる炭化水素の鎖構造b(例えばアルキル基)がある。図ではいずれの場合も2本の鎖が延びて一つの分子を表わしており、全体で分子群を構成している。この炭化水素の鎖の部分は、疎水性部位bである。このような脂質性分子群11が、膜部材12の表面のマトリックス13(表面の構造、平面的なひろがりをもったミクロな構造)の中に、一部はマトリックス内部に溶け込ませた形(例えば図16の11′)で収容されている。その収容のされ方は、親水性部位が表面に配列するようなものとなっている。
【0005】
この脂質性分子膜を用いて、マルチチャンネルの味覚センサとしたものが図17(a),(b)である。本図ではマルチチャンネルのアレイ電極のうち三つの感応部が示されている。
図示の例では、基材21に 0.5mmφの孔を貫通して、それに銀の丸棒を差し込み電極22とした。脂質性分子膜(以後、脂質膜とも分子膜ともいう)23は緩衝層24を介して電極22に接触するように基材21に張りつけている。
【0006】
前記マルチチャンネルの味覚センサを用いた味の測定系を図18に示す。
呈味物質の水溶液を作り、それを被測定溶液31とし、ビーカーのような容器32に入れる。被測定溶液中に、前に述べたような、アクリル板(基材)上に脂質膜と電極とを配置して作った味覚センサアレイ33を入れた。使用前に、塩化カリウム 1m mole/l水溶液で電極電位を安定化した。図中、34a,……34hは各々の脂質膜を黒点で示したものである。
測定の基準となる電位を発生する電極として参照電極35を用意し、それを被測定溶液に入れる。味覚センサアレイ33と参照電極35とは所定の距離を隔てて設置する。参照電極35の表面には、緩衝層36として、塩化カリウム 100m mole/lを寒天で固化したもので覆ってあるから、結局、電極系は銀−塩化銀−脂質膜−被測定溶液−緩衝層(塩化カリウム 100m mole/l)−塩化銀−銀という構成となっている。
【0007】
脂質膜からの電気信号は、図では8チャンネルの信号となり、リード線37a,……,37hによってそれぞれバッファ増幅器39a,……,39hに導かれる。バッファ増幅器39の各出力は、アナログスイッチ(8チャンネル)40で選択されてA/D変換器41に加えられる。参照電極35からの電気信号もリード線38を介してA/D変換器41に加えられ、膜からの電位との差をディジタル信号に変換する。このディジタル信号はマイクロコンピュータ42で適当に処理され、またX−Yレコーダ43で表示される。
この例では、8チャンネルの味覚センサが用いられ、各チャンネルは、人間の味覚を再現できるような多くの味覚情報を得るために、それぞれ味に対して異なる応答特性を持つ表1に示す脂質性分子膜で構成されている。
【0008】
【表1】
Figure 0004267783
【0009】
前記明細書にいう味覚センサは正に味覚センサであって、人の味覚器官である舌に近い物理化学的性質を持ち、呈味物質が異なっても同様な味であれば同様な出力が得られるし、異なる味に対してもなんらかの出力がえられる。色に例えてこれをいえば、カラーで検出できるセンサである。
【0010】
この味覚センサを用いて味を測定する方法として、本願出願人は他と共同して、「アジ検出方法」(特開平4-064053号)を特許出願した。この発明によりビール等の食品の銘柄差やロット差等の微細な味の差まで識別可能となった
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
多種類の脂質膜を用いた味覚センサは、人の感覚に非常に近く、また、銘柄差はもちろん、同じ銘柄の工場間差やロット間差などの微細な味の差まで識別できるようになったものの、非電解質である、辛味、甘味及びカフェイン等の苦味を呈する味物質に対する感度については、電解質である塩味、酸味、旨味に比べ1/10から1/5程度の感度しかなく、更なる向上が望まれる。また、電極の製造が容易であること、測定時に味物質が味覚センサに付着してしまうこと等で次の測定に影響がないようにするためのリフレッシュが容易であることも望まれる。この発明の第1の目的は、非電解質である、辛味、甘味及びカフェイン等の苦味を呈する味物質に対する感度が高く、電極の製造やリフレッシュが容易である味認識装置を提供することである
【0012】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本願発明者は、脂質膜の表面電位が味の情報検出に重要であることに着目し、金属等から成る電極に電圧を印加して、その表面電位をプラス、マイナス、ゼロとしたときのインピーダンスを味の情報とすることとした
【0013】
すなわち、本発明の請求項1の味認識装置は、被測定溶液の味を測定する味認識装置であって、
前記被測定溶液に浸漬される作用電極と、前記被測定溶液に浸漬される対極と、前記被測定溶液に浸漬される参照電極と、前記作用電極と前記参照電極との間の電圧が所望の電圧となるように前記作用電極と前記対極との間に電流を供給する電流供給手段とを備え、前記所望の電圧の値と前記電流の値とから得られる前記作用電極から前記対極までのインピーダンスを前記被測定溶液の味の情報としている。
【0014】
請求項2の味認識装置は、前記電流供給手段が、前記所望の電圧が少なくとも6種類の電圧となるように電流を供給する。
請求項3の味認識装置は、前記作用電極が金属または半導体もしくは基板表面に化学修飾された脂質膜である。
【0015】
請求項4の味認識装置は、被測定溶液の味を測定する味認識装置であって、
半導体により形成され前記被測定溶液に浸漬される作用電極と、前記被測定溶液に浸漬される対極と、前記被測定溶液に浸漬される参照電極と、前記作用電極と前記参照電極との間の電圧が所望の電圧となるように前記作用電極と前記対極との間に電流を供給する電流供給手段と、前記作用電極に光を照射する光照射手段とを備え、前記作用電極に光を照射したときとしないときの前記作用電極と前記参照電極間の電圧の変化値と前記作用電極と前記対極間の電流の変化値とから得られる前記作用電極から前記対極までのインピーダンスを前記被測定溶液の味の情報としている。請求項5の味認識装置は、前記電流供給手段が、前記所望の電圧が少なくとも3種類の電圧となるように電流を供給する電流供給手段である。
【0016】
請求項6の味認識装置は、被測定溶液の味を測定する味認識装置であって、
前記被測定溶液に浸漬される作用電極と、前記被測定溶液に浸漬される参照電極と、前記作用と前記参照電極との間の電圧が所望の電圧となるように電圧を印加する電圧印加手段と、前記所望の電圧と前記作用電極に流れる電流によってインピーダンスを測定する測定手段とを備え、前記インピーダンスを前記被測定溶液の味の情報としている。
【0017】
請求項7の味認識装置は、前記電圧印加手段が、前記所望の電圧が少なくとも3種類の電圧となるように電圧を印加する。
請求項8の味認識装置は、前記作用電極が金属または半導体もしくは基板表面に化学修飾された脂質膜である。
請求項9の味認識装置は、前記作用電極が半導体であり、前記測定手段が前記作用電極に光を照射することで発生する作用電極の電流変化と電圧変化よりインピーダンスを求めることとしている。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の味認識装置は、基本的には、図3に示すように、作用電極(金属、半導体、金属に化学結合した脂質膜、等)1と参照電極3その電極に電圧(プラス、マイナス、ゼロ)を印加する手段50と電極のインピーダンスを測定する手段60とからなる。
【0024】
本発明の第1の実施の形態を図1に示す。
電極は作用電極1、対極2と参照電極3の3種類がある。ポテンショスタット4により、前記作用電極1と前記参照電極3との間の電圧が所望の電圧となるように前記作用電極1と前記対極2との間に電流を供給する。発振器5により、ポテンショスタット4を制御して前記所望の電圧を変化させる。その際の、前記所望の電圧の値と前記電流の値は、デジボル(デジタルボルトメータ)6またはロックインアンプ6から得る。コンピュータ7により発振器5を制御し、また、コンピュータ7によりデジボル6またはロックインアンプ6からの電流電圧特性の情報によりインピーダンスを算出する。前記ポテンショスタット4、発振器5、デジボル(または、ロックインアンプ)6及びパーソナルコンピュータ7が前記電極に電圧を印加する手段と作用電極のインピーダンスを測定する手段とを構成している。
【0025】
前記作用電極1と前記参照電極3との間の電圧が所望の電圧となるようにすることで、作用電極1の表面電位を所望の電位とする。そして、前記作用電極1と前記参照電極3との間の電圧を所望の電圧の近傍で微小変化させるように前記作用電極1と前記対極2との間に供給する電流を制御する。すると、その電流の変化分と電圧の変化分との関係は、前記作用電極1、参照電極3、及び対極2が浸漬された被測定溶液8に含まれる味の種類と味物質の濃度に応じたものとなる。そのようにして得られた電流電圧特性からインピーダンスを求めて味の情報とする。
【0026】
前記所望の電圧を変化させて、作用電極1の表面電位をマイナス、ゼロ、プラスと分極するように走査し、各ポイント(電圧)毎に前述のようにしてインピーダンスを求めれば、作用電極1の表面電位の状態の広い範囲にわたって作用電極1と味物質間の相互作用を調べることができる。
【0027】
安定で容易に作製可能な電極として、白金線、金線、炭素棒、等がある。基板表面に化学修飾したものについては後に述べる。作用電極1の構成を図4に示す。アクリルの板101に直径1から3mmの穴102をあけ、電極材料(金属または、炭素棒)103を埋め込み、アラルダイト(登録商標)等の接着剤104で防水加工がしてある。この電極材料103から導線105がでており、この導線105が作用電極1の出力端子となる。
【0028】
ここで動作原理について補足する。
味覚センサの脂質膜の味物質に対する応答の仕方は膜の表面電荷がどうであるかに負うところが大きい。ここで、図19に脂質膜のプラス電荷とマイナス電荷の各基本味に対する出力パターンを示す。1から8までの8種類の脂質膜に対して、5基本味の出力を示す。1から4までは、マイナスの電荷を持つ膜であり、5から8までは、プラスの電荷を持つ膜である。図より、膜の電荷の種類で、大きく分類できることが分かる。
【0029】
そこで、発明者は電極に電圧を印加する事で、脂質膜と同様な機能を持たせることを考えた。電極表面にプラスの電荷を持たせることでプラス電荷の脂質、電極表面をゼロ電位になるように調整することで電荷を持たない脂質、電極にマイナスの電荷を持たせることでマイナス電荷の脂質と同様な作用をするものとなる。この様子を図5に示す。作用電極がマイナスに分極した状態では陽イオンが電極表面に引き寄せられ、プラスに分極した状態では、陰イオンが電極表面に引き寄せられ、電極電位がゼロ電荷点付近の中性の状態では、中性物質が吸着すると考えられる。このように、電極の分極状態を変化させることで、作用電極と味物質の相互作用を変化させ、味物質に関する情報量を増加し、味物質の検出を行う。
また、疎水性の脂質膜は、インピーダンスが重要であり、インピーダンスを測定することで、辛味、甘味及びカフェイン等の苦味を呈する味物質に対する感度を高くすることができる。
各種味物質に対するセンサ出力を図6〜図9に示す。味物質の分類は、表2に示す。
【0030】
【表2】
Figure 0004267783
【0031】
表2に示した5基本味物質に対して、出力パターンを図6に示す。図6の横軸は作用電極の電位を示し、縦軸はインピーダンス変化量を示す。インピーダンス変化量は、被測定溶液に味物質が含まれない場合のインピーダンスを基準として、味物質が含まれる場合のインピーダンスとの差を意味している。また、図6中に示す、5基本味の各味物質の濃度は人の感じる各味の濃度領域の中程の濃度を各味の代表として選んでいる。前述のように横軸は作用電極の電位を示し、これは、表面電位が−0.6mVから+0.45mVまでの多種類(23ポイントの測定点は23種類に相当)の電極に相当することを意味している。つまり、この図は従来の多種類の脂質膜センサの基本味物質毎のパターン図(図19)に相当する。前述したように図19では、脂質の電荷により、各基本味毎に出力パターン(電位)が異なっており、これと同様に、図6より電極電位の極性によって、5基本味の各味毎で、出力パターン(インピーダンス変化量)が異なるパターンを示すことが分かる。例えば、電極電位が−0.6mVでは、HClとMSGは同じ出力であるが、電極電位が−0.2mVでは異なっている。この出力パターン差から、味を認識しようとするものである。また、必ずしも、電極電位はプラス、マイナス、ゼロの3種類が必要な訳でなく、上記に述べた例でも分かるように、マイナス電位の中でもプラス電位だけで異なる特性が得られるので、用途によっては、マイナス電位で2種類とか、ゼロ付近で2種類とか、マイナス電位で2種類とかの電位の組み合わせが考えられる。また、用途によっては、1点の電位だけを使用することも考えられる。
【0032】
次に、各5基本味毎に、味物質の濃度に対するインピーダンス変化のようすを図7、図8、図9に示す。縦軸、横軸の意味は、図6と同じである。各味物質の図7では、5基本味の代表的な味物質、また、図8、図9では、特に非電解質である一部の苦味(カフェイン)、甘味(しょ糖、ブドウ糖、果糖)、辛味(カプサイシン、ピペリン)に対する濃度特性を示す。味物質の濃度は、図中に示す。5基本味の各味物質の濃度は人の感じる各味の濃度領域の濃度を選んでいる。電位により各味物質毎で出力パターン(インピーダンス変化量)が異なり、また、味物質の濃度が増加するとインピーダンス変化量の絶対値も単調増加することが分かる。これより、各味物質に対して、センサの応答する濃度領域と人の感じる濃度領域が同じであり、センサの出力値が味の情報であることが分かる。また、5基本味の濃度特性に対して非電解質(辛み、甘み、苦味)も同じレベル(数kオームの変化)を示していることが分かる。従来の脂質膜(膜電位検出)を用いた味認識装置では、前述のように非電解質の感度は電解質の感度に対して1/10から1/5であったが、本発明の味認識装置においては、同程度になり、非電解味物質に対する感度向上に十分な効果がある。
【0033】
図2は第2の実施の形態を示す構成図である。第1の実施の形態との違いは、作用電極のインピーダンスを測定する手段として、光起電力を用いた点である。図2に示すように、電極は作用電極1、対極2と参照電極3の3種類がある。作用電極1は半導体であり、ここでは、P型シリコン電極を用いた。ポテンショスタット4により、前記作用電極1と前記参照電極3との間の電圧が所望の電圧となるように前記作用電極1と前記対極2との間に電流を供給する。発振器51により、ポテンショスタット4を制御して前記所望の電圧を可変とする。その際の、前記所望の電圧の値と前記電流の値は、デジボル6またはロックインアンプ6から得る。作用電極1へ照射する光の光源9として高輝度LED(LED:発光ダイオード)を用いた。その高輝度LEDのオンオフ(交流)の制御を発振器52で行う。光を作用電極1に照射することで、光起電力が発生し、このときの電流電圧特性からインピーダンスを求めることができる。コンピュータ7により発振器51を制御し、また、コンピュータ7によりデジボル6またはロックインアンプ6からの情報によりインピーダンスを算出する。前記ポテンショスタット4、発振器51,52、高輝度LED9、デジボル(またはロックインアンプ6)及びパーソナルコンピュータ7が前記電極に電圧を印加する手段と電極のインピーダンスを測定する手段とを構成している。
【0034】
前記作用電極1と前記参照電極3との間の電圧が所望の電圧となるようにすることで、作用電極1の表面電位を所望の電位とする。そして、光の照射をオン・オフする。すると、光を照射したときとしないときの電流の変化分と電圧の変化分との関係は、前記作用電極1、参照電極3、及び対極2が浸漬された被測定溶液8に含まれる味の種類と味物質の濃度に応じたものとなる。そのようにして得られた電流電圧特性からインピーダンスを求めて味の情報とする。
前記所望の電圧を変化させて、作用電極1の表面電位をマイナス、ゼロ、プラスと分極するように走査し、各ポイント(電圧)毎に前述のようにしてインピーダンスを求めれば、作用電極1の表面電位の状態の広い範囲にわたって作用電極1と味物質間の相互作用を調べることができる。
【0035】
作用電極がマイナスに分極した状態では陽イオンが電極表面に引き寄せられ、プラスに分極した状態では、陰イオンが電極表面に引き寄せられ、電極電位がゼロ電荷点付近の中性の状態では、中性物質が吸着すると考えられる。このように、電極の分極状態を変化させることで、作用電極と味物質の相互作用を変化させ、味物質に関する情報量を増加し、味物質の検出を行う。
第1の実施の形態と第2の実施の形態の違いについて述べる。第1の実施の形態では、作用電極のインピーダンスを求める手段は、電気的に求めるので、出力は被測定溶液の溶液抵抗を含む。第2の実施の形態では、光起電力を用いてインピーダンス測定をおこなっているため、出力には被測定溶液の溶液抵抗は含まれない。
【0036】
作用電極は、金属、半導体または基板表面に化学修飾された脂質膜等が利用でき、特に基板表面に化学修飾された脂質膜について以下に述べる。その際の化学修飾の方法として以下の4つが考えられる。
【0037】
▲1▼電極表面に官能基を導入し、これに通常の有機化学反応を用いて種々のセンサ用の両親媒性物質または苦味物質を修飾させて製造する。
表3に基板電極となる電極の例を示す。
【0038】
【表3】
Figure 0004267783
【0039】
▲2▼チオール基(SH基)と疎水基を持つ分子群の該チオール基を、金、白金等の電極上に修飾させて製造する。
▲3▼チオール基(SH基)と疎水基と官能基を持つ分子群の該チオール基を、金、白金等の電極上に修飾させて製造する。
▲4▼チオール基(SH基)と他の官能基の両方を持つ化合物を用い、該チオールを金、白金等の電極上に修飾させ、上記官能基と味覚センサ用脂質の官能基をそれぞれ化学結合させて製造する。
【0040】
各々のセンサの構成を図10乃至図12に示す。図13乃至図15はセンサの構成を化学式を用いて表したものである。特にチオール基(SH基)は、金、白金と非常に強力に結合する。
【0041】
ただし、上記▲1▼、▲2▼、▲4▼の構造では、センサの表面に疎水基が配向性良くしっかりと固定されていると考えられる。
【0042】
また、上記▲3▼の構造では、センサの表面に親水基をむけ、内側に疎水基をむけた両親媒性物質がチオール基(SH基)を介して配向性良くしっかりと固定されていると考えられる。これは、構造的には理想的な脂質のモノレイヤであり、センサとして特性が非常に優れている。また、チオール基(SH基)を介して電極に固定されていて、有機溶剤で洗浄しても剥がれない。
【0043】
図14及び図15は実験用に製作したセンサの模式図(断面図)である。
図14は金電極,メルカプトスルホン酸,ジオクタデシルメチルアンモニウムブロマイドの構成となっており(以後A膜と呼ぶ)、図15は金電極,n−オクタデシルメルカプタンの構成となっている(以後B膜と呼ぶ)。
【0044】
センサの製作手順を次に示す。
電極はφ1.5mmの金電極をアクリル板に穴をあけ詰め込んだものを用いた。
製作手順
1.電極を蒸留水で洗浄する。
2.電極の表面をエメリー紙(粗さ0.3μm)で研磨する。
3.電極を蒸留水で洗浄する。
4.手順2.及び3.を3回繰り返す。
5.電極の表面に触らないように注意して表面の水を吸い取る。
6.電極をエタノールで洗浄する。
【0045】
以下の手順はA膜とB膜とでは異なる。
まずA膜の手順を示す。
7A. メルカプトスルホン酸をエタノール溶液に100mM溶かす。これを溶液A1とする。
8A. 溶液A1に電極を12時間漬ける。
9A. ジオクタデシルメチルアンモニウムブロマイドをエタノール溶液に20mM溶かす。これを溶液A2とする。
10A. 溶液A1に電極を12時間漬ける。
11A. 電極をエタノールで洗浄する。
【0046】
次にB膜の手順を示す。
7B. n−オクタデシルメルカプタンをエタノール溶液に1mM溶かす。これを溶液B1とする。
8B. 溶液B1に電極を24時間漬ける。
9B. 電極をエタノールで洗浄する。
【0052】
【発明の効果】
この発明の味認識装置は、被測定溶液に浸漬される作用電極と、被測定溶液に浸漬される参照電極と、前記作用電極と参照電極との間の電圧が所望の電圧となるように電圧を印加する電圧印加手段と、前記作用電極のインピーダンスを測定する測定手段とを備え、前記作用電極のインピーダンスを前記被測定溶液の味の情報とすることとしたから、辛味、甘味及びカフェイン等の苦味を呈する味物質に対する感度を高くすることができ、また、電極の製造やリフレッシュが容易な電極を使用できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す構成図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態を示す構成図である。
【図3】本発明の基本構成を示す図である。
【図4】本発明に用いる作用電極の一例を示す構成図である。
【図5】本発明の味認識装置の作用電極での様子を説明するための図である。
【図6】5基本味の応答パターンを示す図である。
【図7】基本味物質に対する応答パターンを示す図である。
【図8】基本味物質に対する応答パターンを示す図である。
【図9】基本味物質に対する応答パターンを示す図である。
【図10】基板電極に化学修飾された脂質膜の断面の模式図である。
【図11】基板電極に化学修飾された脂質膜の断面の模式図である。
【図12】基板電極に化学修飾された脂質膜の断面の模式図である。
【図13】基板電極に化学修飾された脂質膜を化学式で表した断面の模式図である。
【図14】基板電極に化学修飾された脂質膜を化学式で表した断面の模式図である。
【図15】基板電極に化学修飾された脂質膜を化学式で表した断面の模式図である。
【図16】脂質膜を化学物の設計法で使われている表現方法で表した模式図である。
【図17】味覚センサの模式図であり、(a) は正面図、(b) は断面図である。
【図18】アジの測定系を示す図である。
【図19】従来装置における脂質膜の各基本味に対する出力パターンを示す図である。
【符号の説明】
1 作用電極
2 対極
3 参照電極
4 ポテンショスタット
5 発振器
6 デジボル(ロックインアンプ)
7 コンピュータ
8 被測定溶液
9 光源
10 脂質膜
11 脂質性分子群
11’脂質性分子群
12 膜部材
13 マトリックス
21 基材
22 電極
23 脂質膜
24 緩衝層
25 リード線
26 半田付け
31 被測定溶液
32 容器
33 味覚センサアレイ
34 各々の脂質膜(黒点で示す)
35 参照電極
36 緩衝層
37 リード線
38 リード線
39 バッファ増幅器
40 アナログスイッチ
41 A/D変換器
42 マイクロコンピュータ
43 X−Yレコーダ
50 電圧を印加する手段
51 発振器
52 発振器
60 インピーダンスを測定する手段
61 電圧計
62 電流計
91 定電流源
101 アクリルの板
102 穴
103 電極材料
104 接着剤
105 導線

Claims (9)

  1. 被測定溶液の味を測定する味認識装置であって、
    前記被測定溶液に浸漬される作用電極(1)と、前記被測定溶液に浸漬される対極(2)と、前記被測定溶液に浸漬される参照電極(3)と、前記作用電極と前記参照電極との間の電圧が所望の電圧となるように前記作用電極と前記対極との間に電流を供給する電流供給手段(4,5)とを備え、前記所望の電圧の値と前記電流の値とから得られる前記作用電極から前記対極までのインピーダンスを前記被測定溶液の味の情報とすることを特徴とする味認識装置。
  2. 前記電流供給手段が、前記所望の電圧が少なくとも6種類の電圧となるように電流を供給する電流供給手段であることを特徴とする請求項1に記載の味認識装置。
  3. 前記作用電極が金属または半導体もしくは基板表面に化学修飾された脂質膜であることを特徴とする請求項1に記載の味認識装置。
  4. 被測定溶液の味を測定する味認識装置であって、
    半導体により形成され前記被測定溶液に浸漬される作用電極(1)と、前記被測定溶液に浸漬される対極(2)と、前記被測定溶液に浸漬される参照電極(3)と、前記作用電極と前記参照電極との間の電圧が所望の電圧となるように前記作用電極と前記対極との間に電流を供給する電流供給手段(4,5)と、前記作用電極に光を照射する光照射手段(9,91)とを備え、前記作用電極に光を照射したときとしないときの前記作用電極と前記参照電極間の電圧の変化値と前記作用電極と前記対極間の電流の変化値とから得られる前記作用電極から前記対極までのインピーダンスを前記被測定溶液の味の情報とする味認識装置。
  5. 前記電流供給手段が、前記所望の電圧が少なくとも3種類の電圧となるように電流を供給する電流供給手段であることを特徴とする請求項4に記載の味認識装置。
  6. 被測定溶液の味を測定する味認識装置であって、
    前記被測定溶液に浸漬される作用電極(1)と、前記被測定溶液に浸漬される参照電極(3)と、前記作用と前記参照電極との間の電圧が所望の電圧となるように電圧を印加する電圧印加手段(50)と、前記所望の電圧と前記作用電極に流れる電流によってインピーダンスを測定する測定手段(60)とを備え、前記インピーダンスを前記被測定溶液の味の情報とする味認識装置。
  7. 前記電圧印加手段が、前記所望の電圧が少なくとも3種類の電圧となるように電圧を印加する電圧印加手段であることを特徴とする請求項6に記載の味認識装置。
  8. 前記作用電極が金属または半導体もしくは基板表面に化学修飾された脂質膜であることを特徴とする請求項6に記載の味認識装置。
  9. 前記作用電極が半導体であり、前記測定手段が前記作用電極に光を照射することで発生する作用電極の電流変化と電圧変化よりインピーダンスを求めることを特徴とする請求項6に記載の味認識装置。
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