JPH07103934A - 味覚センサ - Google Patents

味覚センサ

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JPH07103934A
JPH07103934A JP5269826A JP26982693A JPH07103934A JP H07103934 A JPH07103934 A JP H07103934A JP 5269826 A JP5269826 A JP 5269826A JP 26982693 A JP26982693 A JP 26982693A JP H07103934 A JPH07103934 A JP H07103934A
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Kenji Hayashi
健司 林
Kiyoshi Toko
潔 都甲
Rieko Higashikubo
理江子 東久保
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Abstract

(57)【要約】 【目的】味物質に対する味覚検出用膜の過渡応答を測定
できる味覚センサを実現する。 【構成】基材1に設けられた電極3に接するように味覚
検出用膜2を貼りつけ、該味覚検出用膜2を多孔質の部
材5で覆うと共に、参照電極4と前記味覚検出用膜2と
を電気化学的に導通させる溶液を保持する保持部材6を
設けた。各電極3,4からはリード線7が出ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、人間の五感を代行で
きる人工的なセンサに係り、特に味覚を代行できるセン
サに関する。
【0002】
【従来の技術】一部同一の出願人は、先に「味覚センサ
及びその製造方法」の発明につき特許出願をし(特願平
1−190819号;以下、第1の先願発明という)、
その明細書及び図面によって、ある種の高分子重合体の
表面マトリックス内に特定の分子配列をもって収納され
たいわゆる脂質性分子群が、基本味と呼ばれる塩味、酸
味、苦味、甘味に対して、感度を示すセンサとなること
を示した。しかも、この種のセンサは、人間の五感の一
つである味覚に代わり味を測定できるものであることを
示した。
【0003】これを、少しく具体的に説明すると、第1
の先願発明では、例えば、高分子重合体として、ポリ塩
化ビニル(PVC)を用い、それにフタル酸ジオクチル
(DOP)のような可塑剤と脂質とを概ね2:3:1の
重量比で混合したものをテトラヒドロフラン(THF)
に溶融し、平底の容器に移して、均一に加熱された板上
で約30°Cに2時間保持して、THFを揮発させ、脂
質膜すなわち脂質がPVCの表面マトリックス内に収納
された脂質性分子膜を得た。膜の厚さは約200μmで
ある。
【0004】この脂質性分子膜を用いて、マルチチャン
ネルの味覚センサとしたものが図19である。本図では
マルチチャンネルのアレイ電極のうち三つの感応部が示
されている。図示の例では、脂質膜を一辺が10mmの
正方形に切り、厚さ2mmのアクリル板(基材)1に
1.5mmφの孔をあけ、銀の丸棒を挿入し電極3とし
たものに、脂質膜2が緩衝層を介して電極3に接触する
ようにPVCを10%溶解したTHFで接着した後、T
HFを揮発させ、信号を取り出すためのリード線7を半
田付けして味覚センサとした。
【0005】前記マルチチャンネルの味覚センサを用い
たアジの測定系を図20に示す。味物質の水溶液を作
り、それを被測定溶液13とし、ビーカーのような容器
15に入れる。被測定溶液中に、前に述べたような、ア
クリル板(基材)上に脂質膜と電極とを配置して作った
味覚センサアレイ16を入れた。使用前に、塩化カリウ
ム1m mole/l (mM)水溶液で電極電位を安定化し
た。図中、17−1,……17−8は各々の脂質膜を黒
点で示したものである。測定の基準となる電位を発生す
る電極として参照電極4を用意し、それを被測定溶液に
入れる。味覚センサアレイ16と参照電極4とは所定の
距離を隔てて設置する。参照電極4の表面には、緩衝層
18として、塩化カリウム100mMを寒天で固化した
もので覆ってある。
【0006】脂質膜からの電気信号は、図では8チャン
ネルの信号となり、リード線7−1,……,7−8によ
ってそれぞれバッファ増幅器19−1,……,19−8
に導かれる。バッファ増幅器19の各出力は、アナログ
スイッチ(8チャンネル)20で選択されてA/D変換
器21に加えられる。参照電極4からの電気信号もリー
ド線7を介してA/D変換器21に加えられ、膜からの
電位との差をデジタル信号に変換する。このデジタル信
号はマイクロコンピュータ22で適当に処理され、また
X−Yレコーダ23で表示される。この例では、8チャ
ンネルの味覚センサが用いられ、各チャンネルは、人間
の味覚を再現できるような多くの味覚情報を得るため
に、それぞれ味に対して異なる応答特性を持つ表1に示
すような脂質性分子膜で構成されている。
【0007】
【表1】
【0008】また、一部同一の出願人は、「味覚センサ
およびその製造方法」(特願平3−020450号)及
び「センサ」(特願平3−122636号)の特許出願
も済ませた。これらの出願の明細書及び図面で先の出願
(特願平1−190819号)よりさらに人の味覚器官
に近い分子膜を示した。これらの味を検出できる膜を、
まとめて、以後味覚検出用膜という。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】生体の味物質に対する
応答には、ダイナミック応答(dynamic response、また
は、phasic response )と、その後の持続的な静的応答
(static response 、または、tonic response)の2つ
がある。このダイナミック応答について、少し考察を加
える。下記文献1による図17は、味物質を与えた後の
時間変化に対する味神経のインパルスの頻度を記録した
ものである。味物質には、塩化ナトリウムを用いてい
る。この図から、味物質による刺激を与えてから初期の
1〜2秒に神経応答が集中していることが分かる。この
ように、味に関する情報が時間的な変化、特に過渡応答
部分にも非常に有益な情報が含まれていることが分か
る。
【0010】また、下記文献2による図18は、ラット
の味細胞の受容器電位を示す。上方向の変化が脱分極
で、下方向の変化が過分極である。味刺激物質は、0.
5MNaCl,0.02M塩酸キニーネ(Q−HC
l),0.01MHCl,0.5Mショ糖である。受容
器電位はA,B,Cの3種に分類できる。この図に見ら
れるような受容器電位の初期の過渡応答部分が、味の識
別に強く関わっていることを示している。
【0011】文献1:H.OGAWA,S.YASHI
TA,M.SATO;Journal of Neur
o Physiology,vol.37,p.44
3,(1974) 文献2:P.SATO,M.Beidler;Com
p.Biochem.Physiology,vol.
75A,p.131,(1983)
【0012】しかし、従来のセンサは、有益な情報が含
まれているダイナミック応答(過渡応答)を測定するこ
とができなかった。過渡応答を測定できない原因とし
て、次の2点が考えられる。 従来のセンサでは、測定する際の膜表面の急激な変
化(空中から被測定溶液に浸されるときの変化、被測定
溶液の流速の変化、等)による不要な衝撃の影響で膜表
面電位が安定せず、短時間に起こる味物質に対する膜の
ダイナミック応答(過渡応答)を検知することができな
い。
【0013】 従来のセンサでは、測定する際に開回
路から閉回路への変化が生じる。味覚検出用膜はハイイ
ンピーダンスなので、測定回路もハイインピーダンスに
ならざるを得ないから、開回路から閉回路へ変化したと
きの応答が遅い。従って、測定したい膜の過渡応答以外
に回路の過渡応答を含んでしまうこと、参照電極に過渡
応答が生ずること等から、正確な味物質に対する膜の過
渡応答を検出することが難しい。 この発明の目的は、味物質に対する味覚検出用膜の過渡
応答を測定できる味覚センサを実現することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】この発明では、上記、
に着目して、下記の方法により、前述の課題を解決し
た。すなわち、味覚検出用膜に衝撃が与えられないよう
に味覚検出用膜表面の大部分を、被測定溶液での電位変
化が小さく、味物質が短時間で透過することが可能な多
孔質の材料で被覆する構造の味覚センサとした。さら
に、味覚検出用膜と参照電極とを電気化学的に導通させ
る溶液を保持する保持部材で接続し、測定装置に組み込
んだときに、常に閉回路となるようにした。
【0015】
【作用】この発明の味覚センサを用いて測定を行うとき
は、予め前記多孔質の部材及び保持部材に基準液(例え
ば、KCl1mM溶液)等を含ませておく。味覚検出用
膜表面の大部分を多孔質の材料で被覆したことにより、
味覚検出用膜が空中にさらされることや、被測定溶液の
流速の影響などが無くなる。つまり、膜表面への衝撃が
無くなり、味覚検出用膜の表面電位の安定が保たれる。
このため、味とは関係のない他の影響を受けず、味物質
によって起こる膜の過渡応答のみを測定することができ
る。
【0016】また、味覚検出用膜と参照電極とを電気化
学的に導通させたことにより、測定前から閉回路の状態
であり、閉回路の状態を保ちつつ測定できることから、
ハイインピーダンスな回路の過渡応答や参照電極の過渡
応答が発生せず、より正確な味物質に対する味覚検出用
膜の過渡応答の測定が可能となる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。図1は本
発明の第一の実施例の味覚センサを示す図である。この
味覚センサに用いられている味覚検出用膜は、従来の技
術の項で述べたのと同じようにして得る。膜の組成は表
2に示す通りである。
【0018】
【表2】
【0019】味覚検出用電極3は、厚さ2mmのアクリ
ル板(基材)1に直径1.5mmの孔をあけ、この中に
銀の丸棒を挿入したものである。この味覚検出用電極3
の表面に接するように味覚検出用膜2を張り、さらに、
味覚検出用膜2をフィルム状の寒天(多孔質の部材)5
で覆ってある。この寒天フィルム5は、味物質の透過の
遅延を少なくするためと過渡応答を再現性良く得ること
ができるようにするために、厚さ約20μmと薄いもの
にしている。電極3からは測定系と接続するためのリー
ド線7を出している。
【0020】図2は本発明の第二の実施例の味覚センサ
を示す図である。この味覚センサに用いられている味覚
検出用膜は第一の実施例と同じである。味覚検出用電極
3と参照電極4は、厚さ2mmのアクリル板(基材)1
に直径1.5mmの孔をあけ、この中に銀の丸棒を挿入
したものである。この味覚検出用電極3の表面に接する
ように味覚検出用膜2を張り、さらに、味覚検出用膜2
と参照電極4とが電気化学的に導通するようにフィルム
状の寒天(多孔質の部材5と保持部材6とを兼ねる)9
で覆ってある。この寒天フィルム9は第一の実施例と同
じく厚さ約20μmと薄いものにしている。各電極3,
4からは測定系と接続するためのリード線7,7を出し
ている。
【0021】図3は、本発明の第二の実施例の味覚セン
サを組み込んだ膜電位の測定系を示す図である。測定系
は、味覚センサ8と高入力インピーダンスのアンプ10
と、増幅された信号をA/D変換するデジタルボルトメ
ータ11と、測定値を取り込むコンピュータ12とで構
成されている。
【0022】この測定系を用いて味物質に対する過渡応
答を測定した。まず、基準液としてのKCl1mM溶液
に前記味覚センサ8を約12時間浸漬する。その後、味
覚検出用膜2の部位に被測定溶液13を1滴(約0.0
2ml)滴下した際の電位変化を測定する。1回の測定
(1つの被測定溶液から1つの過渡応答が得られる)毎
に、被測定溶液が滴下された寒天フィルム9を基準液で
2度洗浄する。
【0023】5基本味に対する応答、各種塩味物質に対
する応答をそれぞれ様々な濃度で測定した。使用した味
物質の種類とそれぞれの測定濃度範囲を表3に示す。各
味物質の測定濃度範囲は、人間にとって味として受容さ
れる範囲とした。また、塩味に関しては、塩化ナトリウ
ムの他に4つの味物質を用いた。
【0024】
【表3】
【0025】次に測定結果を示す。図7〜図9は、塩味
・酸味・うま味を呈する味物質をそれぞれ測定した過渡
応答の波形であり、濃度特性を示す。図中の各矢印はそ
の時点で各濃度の測定液を滴下したことを表す。この図
から、濃度が増すに連れて波形が大きくなることは明ら
かであり、過渡応答部分にも味の濃度に関する情報が含
まれていることが分かる。また、各味物質において、3
種の濃度に対する波形を拡大したものを、図10〜図1
4に示す。5基本味それぞれに対して、特徴的なパター
ンが見られる。図15に5基本味の波形パターンを示
す。
【0026】各5基本味の波形パターンについて、簡単
に説明する。 塩味(NaCl)に関しては、比較的速い立ち上が
りに続いて10秒程で定常値に落ちつく。〔図15
(a)〕 酸味(HCl)に対しては、立ち上がり、定常に達
するまでの時間は共に短く、わずかなオーバーシュート
も見られる。〔図15(b)〕 苦味(キニーネ)は、初期の正方向への変化とそれ
に続く負方向への電位の減少、さらに続く正方向への電
位変化が見られる。〔図15(c)〕 甘味(ショ糖)については、わずか1秒間に、一度
負方向に電位が減少し、すぐ滴下した瞬間の電位に戻
る。それに続く負方向への電位の減少、さらに続く正方
向への電位変化が見られる。応答は小さいものの過渡的
な変化は、再現性良く観測できる。〔図15(d)〕 うま味(MSG)は大きく負へと変化する。〔図1
5(e)〕 このように、味物質による刺激後、膜電位の変化の仕方
が5基本味それぞれ異なっており、特に刺激を与えてか
ら初期の1〜2秒の膜電位の変化が著しい。これらの各
基本味の波形パターンの特徴から、パターン認識等によ
り味を判別することも考えられる。
【0027】次に、塩味に関する測定結果を説明する。
この測定によって、得られた過渡応答の波形は、全て前
記塩味(NaCl)の波形パターンと大変似通ったもの
である。この測定で得られたデータに、細かな変動を取
り除くため移動平均による平滑処理を行った後、次のよ
うな波形解析を行った。これを図16に示す。 静的応答値:応答の静的情報として、膜電位の初期値
と応答後の定常値の差を静的応答値とした。 微分応答値:過渡的な情報として、応答波形の微分を
とり、刺激点での電位変化量の最大値を微分応答値とし
た。 積分応答値:過渡的な情報として、刺激後1秒間の積
分をとり積分応答値とした。 表4は、各味物質に対して、下記文献3による人間の官
能検査の値と、測定で得られたデータから前記静的応答
値・微分応答値・積分応答値、さらに各応答値と人間の
官能検査との相関係数をまとめたものである。
【0028】文献3:C.Pfaffman;Hand
book of Physiology,sectio
n 1 Neuro Physiology,vol.
1,p.517,(1959) American Physiological So
cietyWashington,D.C.
【0029】
【表4】
【0030】この相関係数からわかるように、静的応答
値には、人間の官能との相関がほとんど無く、これに比
べて、はるかに微分応答値及び積分応答値は、人間の官
能と正の相関がある。図3の測定系による測定では、被
測定溶液13は参照電極4から離れた味覚検出用膜3の
部位に滴下されるため、短時間では参照電極4の周囲の
イオン環境は変化しない。従って、簡易な参照電極で済
み、センサの実用化の上でも大きなメリットとなる。ま
た、過渡応答を情報とすることで、数秒という非常に短
時間の計測が可能となった。これによって、味覚検出用
膜への吸着などの汚染が緩和される。さらに、被測定溶
液を滴下して測定する方法であるため、被測定溶液の量
が非常に少量となった。上記の事実は、工業的にもコス
トの低減等につながる。
【0031】図4は本発明の第三の実施例の味覚センサ
を示す図である。この実施例は参照電極4と複数の味覚
検出用電極3,3とを設けたマルチチャンネル型の味覚
センサである。味覚検出用膜は従来の技術の項で述べた
のと同じようにして得る。基材1としては厚さ3mmの
アクリルの円筒(外径30mmφ)1を用いる。該円筒
1の一端には被測定溶液が円筒内に入らないようにアク
リル板の蓋1aがしてある。該基材1に孔(3mmφ)
をあけ、その孔に銀の丸棒(3mmφ)を挿入して電極
3とする。味覚検出用電極3,3には電極の一端とその
周囲のアクリル面上に接着剤としてTHFを滴下し、先
に用意した一辺が10mmの正方形の味覚検出用膜2
を、電極3を覆うようにして張りつける。そして、参照
電極4と各味覚検出用膜2とを寒天フィルム9で覆い、
全チャンネルと参照電極4が電気化学的に導通状態が保
てるようにしている。この寒天フィルム9は、第一の実
施例及び第二の実施例と同じである。電極3,4の他端
にはリード線7,7が半田付けされている。
【0032】この味覚センサを用いての測定は、第二の
実施例のときのように被測定溶液を滴下するのではな
く、例えばビーカーのような容器にいれた被測定溶液に
味覚センサを浸すことで行う。このとき、参照電極4の
部位だけは被測定溶液に浸さないようにすれば、前述の
ように、簡易な参照電極を用いることができる。
【0033】前述の第二の実施例及び第三の実施例にお
いては、味覚検出用膜2を覆う部材5と保持部材6とを
兼ねて寒天フィルムが用いられたが、この他に、ろ過
紙、多孔質セラミック、多孔質ガラス、多孔質テフロン
などを用いてもよい。また、図5に示すように、味覚検
出用膜2を覆う部材5と保持部材6とを別々の材料を組
み合わせたものとしたり、図6に示すように、味覚検出
用膜2を覆う部材5と参照電極4とをパイプ6でつなぐ
ようにしてもよい。これらは、使用時には基準液などの
溶液を含ませて、電気化学的導通状態を保つようにす
る。ここで、味覚検出用膜2を覆う部材5の覆う範囲に
ついて述べると、多孔質の部材5は膜全体を覆う必要は
なく、過渡応答の測定に影響しない程度の範囲を覆えば
よい。
【0034】
【発明の効果】この発明の味覚センサによれば、測定時
に味覚検出用膜に衝撃が与えられないように味覚検出用
膜表面の大部分を、被測定溶液での電位変化が小さく、
味物質が短時間で透過することが可能な多孔質の材料で
被覆することとしたので、測定する際の膜表面の急激な
変化による不要な衝撃がなく、味物質に対する味覚検出
用膜の過渡応答を検知することができる。
【0035】さらに、味覚検出用膜と参照電極とを電気
化学的に導通させることとし、測定装置に組み込んだと
きに、常に閉回路となるようにしたので、測定する際の
開回路から閉回路への切り替えがなく、従って、参照電
極での過渡応答がなく、また、ハイインピーダンスな回
路の過渡応答もなく、正確な味物質に対する味覚検出用
膜の過渡応答を検知することが可能となった。過渡応答
を測定できるようになったことで、静的応答とは異な
る、味のセンシングに関して非常に有益な情報を得るこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の味覚センサの第一の実施例を示す図
である。
【図2】この発明の味覚センサの第二の実施例を示す図
である。
【図3】第二の実施例の味覚センサを組み込んだ膜電位
の測定系を示す図である。
【図4】この発明の味覚センサの第三の実施例を示す図
である。
【図5】この発明の味覚センサの第四の実施例を示す図
である。
【図6】この発明の味覚センサの第五の実施例を示す図
であり、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図7】塩味(NaCl)に対する応答を示す図であ
る。
【図8】酸味(HCl)に対する応答を示す図である。
【図9】うま味(MSG)に対する応答を示す図であ
る。
【図10】塩味(NaCl)に対する応答を示す図であ
り、(a)はNaClの濃度が10mM、(b)は10
0mM、(c)は1Mの場合の応答を示す図である。
【図11】酸味(HCl)に対する応答を示す図であ
り、(a)はHClの濃度が1mM、(b)は10m
M、(c)は100mMの場合の応答を示す図である。
【図12】苦味(キニーネ)に対する応答を示す図であ
り、(a)はキニーネの濃度が30μM、(b)は30
0μM、(c)は3mMの場合の応答を示す図である。
【図13】甘味(ショ糖)に対する応答を示す図であ
り、(a)はショ糖の濃度が10mM、(b)は100
mM、(c)は1Mの場合の応答を示す図である。
【図14】うま味(MSG)に対する応答を示す図であ
り、(a)はMSGの濃度が1mM、(b)は10m
M、(c)は100mMの場合の応答を示す図である。
【図15】5基本味の波形パターンを示す図であり、
(a)は塩味(NaCl)、(b)は酸味(HCl)、
(c)は苦味(キニーネ)、(d)は甘味(ショ糖)、
(e)はうま味(MSG)の波形パターンを示す図であ
る。
【図16】波形解析を説明するための図であり、(a)
は静的応答値及び積分応答値を、(b)は微分応答値を
説明する図である。
【図17】味物質を与えた後の時間変化に対する味神経
のインパルスの頻度を示す図である。
【図18】ラットの味細胞の受容器電位を示す図であ
る。
【図19】従来の味覚センサを示す図であり(a)は正
面図、(b)は断面図である。
【図20】従来の味覚センサを用いた味の測定系を示す
図である。
【符号の説明】
1 基材 2 味覚検出用膜 3 味覚検出用電極 4 参照電極 5 多孔質の部材(寒天フィルム) 6 保持部材(寒天フィルム、パイプ) 7 リード線 8 味覚センサ 9 寒天フィルム 10 アンプ 11 デジタルボルトメータ 12 コンピュータ 13 被測定溶液 14 ピペット 15 容器 16 味覚センサアレイ 17 脂質膜 18 緩衝層 19 バッファ増幅器 20 アナログスイッチ 21 A/D変換器 22 マイクロコンピュータ 23 X−Yレコーダ 24 接地電位
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 林 健司 鹿児島県鹿児島市下伊敷町3315番地 伊敷 東住宅1−503 (72)発明者 都甲 潔 福岡県福岡市東区美和台2丁目8番32−2 号 (72)発明者 東久保 理江子 東京都港区南麻布五丁目10番27号 アンリ ツ株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材(1)と、該基材の表面の少なくと
    も一部に設けられた味覚検出用膜(2)と、該味覚検出
    用膜に接するように前記基材に設けられた電極(3)と
    からなる味覚センサにおいて、前記味覚検出用膜の表面
    に味物質が短時間で透過する多孔質の部材(5)を備え
    たことを特徴とする味覚センサ。
  2. 【請求項2】 基材(1)と、該基材の表面の少なくと
    も一部に設けられた味覚検出用膜(2)と、該味覚検出
    用膜に接するように前記基材に設けられた電極(3)
    と、前記基材に設けられた参照電極(4)とからなる味
    覚センサにおいて、前記味覚検出用膜の表面に設けられ
    た味物質が短時間で透過する多孔質の部材(5)と、前
    記味覚検出用膜と前記参照電極とを電気化学的に導通さ
    せる溶液を保持する保持部材(6)とを備えたことを特
    徴とする味覚センサ。
JP26982693A 1993-09-30 1993-09-30 味覚センサ Expired - Lifetime JP3356507B2 (ja)

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