JP2577662B2 - アスファルトプラントにおける骨材供給方法 - Google Patents

アスファルトプラントにおける骨材供給方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、道路舗装材であるアス
ファルト合材を製造するアスファルトプラントにおける
骨材供給方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アスファルトプラントにおいては、骨材
を種別毎に貯蔵する骨材ホッパから所望の割合で骨材を
切り出し、加熱装置であるドライヤで加熱後、プラント
本体の骨材貯蔵ビンに粒径別に一時貯蔵し、製造するア
スファルト合材の配合に基づいて各種粒径の骨材を所定
量計量してミキサに投入し、溶融アスファルト等を添加
してアスファルト合材を製造している。
【0003】前記骨材ホッパからの骨材の切り出しにあ
たっては、出荷するアスファルト合材の種類、配合に応
じて各骨材ホッパのフィーダの切り出し速度をプラント
操作盤の記憶部に予め登録し、出荷開始によって出荷予
約しているアスファルト合材の種類、配合に応じて所定
の骨材ホッパから所定量の骨材を切り出し、出荷量に見
合った骨材を切り出せば供給を停止している。
【0004】このとき骨材貯蔵ビンの各区画室と骨材ホ
ッパに貯蔵される骨材の粒度は各ビン毎に対応するもの
でないので、予め骨材ホッパに貯蔵されている骨材の粒
度の粒度分析を行い、該粒度分布を加味して切り出すよ
うにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、切り出
される骨材の粒度にバラツキがあったり、出荷するアス
ファルト合材の種類が頻繁に変化すると、時間の経過に
伴って各種粒径別に前記区画室に貯蔵している骨材の貯
蔵量の割合が出荷するアスファルト合材の配合構成の割
合に合致しなくなり、出荷時に骨材切れが生じて所望の
アスファルト合材を製造するために骨材の供給待ちをす
ることがある。
【0006】そこで、骨材切れを生じさせないために、
オペレータは各区画室の骨材貯蔵量を監視し、不足しそ
うな骨材種を判断してその骨材の切り出し量を手動にて
増加補正しているが、オペレータにとっては煩わしく、
自動化が望まれるものであった。
【0007】本発明は上記の点に鑑み、骨材貯蔵ビンの
骨材貯蔵量の変化に基づいて骨材ホッパからの骨材切り
出し量を適正に調整することができるアスファルトプラ
ントにおける骨材供給方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために、ドライヤにより加熱乾燥された骨材を篩
い分けて粒径別に区画して貯蔵する骨材貯蔵ビンのそれ
ぞれの区画室に貯蔵レベルを検出するレベル計を設け、
予めコンピュータに前記区画室毎の適正貯蔵量を設定入
力すると共に、該適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差
率と、単位時間当りの骨材貯蔵量の変化率とをファジィ
推論規則の前件部とし、骨材ホッパからの基準切出し量
に対する切出し量補正率をファジィ推論規則の後件部と
したファジィ推論規則を記憶させておき、アスファルト
プラントの運転開始に伴い、前記レベル計により各区画
室の骨材の貯蔵量を所定時間毎に検出し、該貯蔵量より
演算した適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差率と、単
位時間当りの骨材貯蔵量の変化率とに基づいてファジィ
推論を行ない、各骨材ホッパからの基準切り出し量に対
する切り出し量補正率を推定し、該切り出し量補正率に
基づいて予め設定した基準切り出し量を補正して適正切
り出し量を決定し、該適正切り出し量により各骨材ホッ
パから骨材を切り出すようにしたものである。
【0009】
【作用】本発明に係るアスファルトプラントにおける骨
材供給方法によれば、予めコンピュータに骨材貯蔵ビン
の適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差率と単位時間当
りの骨材貯蔵量の変化率とをファジィ推論規則の前件部
とし、更に、基準切出し量に対する切出し量補正率をフ
ァジィ推論規則の後件部としたファジィ推論規則を記憶
させておく。そしてプラント運転時に骨材貯蔵ビンの骨
材貯蔵量を所定時間毎に検出して適正貯蔵量に対する骨
材貯蔵量の偏差率を演算すると共に、単位時間当りの骨
材貯蔵量の変化率を演算し、これらの骨材貯蔵量の偏差
率と変化率に基づいてファジィ推論を行なって切り出し
量補正率を推定し、予め設定した基準切り出し量を補正
して適正な切り出し量を決定する。この適正な切り出し
量に基づいて骨材ホッパから骨材を所定量切り出すこと
により、骨材貯蔵ビンの各区画室の骨材貯蔵量を適正量
に維持することができるのである。
【0010】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。1a〜1dは骨材を種別毎に貯蔵する骨材ホッパで
あり、可変速のフィーダ2a〜2dにより所定量の骨材
を切り出し、引出しコンベヤ3、計量コンベヤ4を介し
て骨材加熱装置であるドライヤに投入し、ドライヤ5内
を通過する間にバーナ6の熱風により所定の温度まで加
熱昇温する。
【0011】加熱した骨材はバケットエレベータ7によ
りプラント本体上部まで持ち上げ、振動篩8により骨材
を粒径別に篩い分け、内部に区画を設けた骨材貯蔵ビン
9に粒径別に貯蔵する。9a〜9dは砂利大、砂利中、
砂利小及び砂の粒径別に骨材を貯蔵する区画室であり、
それぞれの区画室9a〜9dには貯蔵レベルを検出する
レベル計10を設けている。図示したレベル計はロード
セルを利用した連続式レベル計であって、区画室をそれ
ぞれ分離独立させて各区画室内の貯蔵量を把握するよう
にしている。また、静電容量式レベル計を用いると区画
室を分離独立する必要がない。なお、非連続式レベル
計、例えばトルクモータ式のレベル計を多数使用するこ
とによってレベル計測を行なうようにしても良い。
【0012】11はコンピュータを組み込んだ骨材供給
制御装置であって、後述するファジィ集合のメンバーシ
ップ関数とファジィ推論規則によりファジィ推論を行な
うファジィ制御部12を備えると共に、骨材貯蔵ビン9
の各区画室9a〜9dのレベル計10にて検出したレベ
ル信号を取り込むA/D変換器13、取り込んだレベル
データを演算する演算部14、予め入力設定するファジ
ィ推論規則の諸データや推論のための各種データを記憶
する記憶部15、それに前記データ等を入力設定する設
定入力部16と骨材ホッパ1a〜1dに配設した可変速
のフィーダ2a〜2dの切り出し速度を設定する速度設
定器17を備えている。
【0013】そして、骨材供給時には骨材貯蔵ビン9の
各区画室9a〜9dのレベル計10により各区画室9a
〜9dの骨材貯蔵レベルを検出し、該骨材貯蔵レベルか
ら骨材貯蔵量を演算するとともに、貯蔵ビン9の各区画
室9a〜9dの適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差率
と骨材貯蔵量の単位時間当りの変化率を演算する。更
に、この演算値を基にファジィ推論を行なって各骨材の
切り出し量補正率を推定し、この補正率によって予め設
定した各骨材の基準切り出し量を補正してフィーダ2a
〜2dの切り出し速度を設定し、適正量の骨材を切り出
すのである。
【0014】各区画室9a〜9dに貯蔵された各種粒径
の骨材は、出荷要請に基づいて所定の配合の骨材を前記
区画室9a〜9dから下位に配設した骨材計量槽18に
払い出して計量し、石粉計量槽19及びアスファルト計
量槽20で計量した石粉及び溶融アスファルトと共にミ
キサ21に投入して所定時間混合してアスファルト合材
を製造するのである。
【0015】次に適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差
率と骨材貯蔵量の単位時間当りの変化率とから骨材の切
出し量補正率をファジィ推論する方法を説明する。
【0016】先ず、骨材供給制御装置11の設定入力部
16から骨材貯蔵ビン9の各区画室9a〜9dに対する
適正貯蔵量と各骨材ホッパ1a〜1dからの基準切り出
し量を設定入力しておく。適正貯蔵量は各区画室9a〜
9dに対して個々に設定するようにしているが、出荷の
閑繁に伴って全体的に増減できるようにもしておくと良
い。基準切り出し量は出荷する配合に対応させて設定し
ておく。また運転開始前には各区画室9a〜9dに適正
貯蔵量の骨材を投入しておくと良い。そして出荷開始操
作を行なうと各区画室9a〜9dに取り付けたレベル計
10により骨材貯蔵レベルのサンプリングを開始して所
定時間毎に演算部14に取り込む。演算部14ではサン
プリングした骨材貯蔵レベルから各区画室9a〜9d毎
の骨材貯蔵量Wx(ton)を演算した後、各区画室9
a〜9dの適正貯蔵量Ws(ton)に対する前記骨材
貯蔵量の偏差率△W(%)をそれぞれ演算してファジィ
制御部12に入力する。また各区画室9a〜9dの骨材
貯蔵量Wx(ton)の前回サンプリング分と今回サン
プリング分から単位時間当りの骨材貯蔵量の変化率△V
(%)を演算してファジィ制御部12に入力する。
【0017】ファジィ制御部12では入力されたこれら
のデータからファジィ集合のメンバーシップ関数と推論
規則に基づいて各骨材ホッパ1a〜1dの切り出し量補
正率△G(%)を推定する。この切り出し量補正率△G
により予め設定入力している基準切り出し量Gsを補正
して今回切り出し量を決定し、この今回切り出し量に基
づいて速度設定器17を介してフィーダ2a〜2dの切
り出し速度を設定して適正量の骨材の切り出しを行なう
のである。
【0018】図2は骨材貯蔵量の偏差率△Wの大きさを
定性的に評価するためのメンバーシップ関数である。図
中の△W(i)(i=1〜7)はメンバーシップ関数の
形を規定する定数であって適宜決定する。PB、PM、
PS、ZR、NS、NM、NBは骨材貯蔵量の偏差率△
Wの大きさを定性的に評価するためにメンバーシップ関
数に与えた名称であり、それぞれ下記の意味を持つ。 PB:Positive Big PM:Positive Medium PS:Positive Small ZR:Zero NS:Negative Small NM:Negative Medium NB:Negative Big また、図の縦軸はメンバーシップ値である。このメンバ
ーシップ関数を用いて今回読み込んだ骨材貯蔵量の偏差
率△Wを定性的に評価する。
【0019】図3は、単位時間当りの骨材貯蔵量の変化
率△Vを定性的に評価するためのメンバーシップ関数で
ある。図中の△V(i)(i=1〜7)はメンバーシッ
プ関数の形を規定する定数であって適宜決定する。P
B、PM、PS、ZR、NS、NM、NBは単位時間当
りの骨材貯蔵量の変化率△Vの大きさを定性的に評価す
るためにメンバーシップ関数に与えた名称であり、その
意味は前記のとおりである。
【0020】図4は、骨材貯蔵量の偏差率△Wと単位時
間当りの骨材貯蔵量の変化率△Vの定性的関数から骨材
ホッパの切り出し量補正率△Gを定性的に推定するため
の推論規則である。例えば、右下の推論規則は、IF
( △W is NB and △V is NB )
THEN △GiS PB という意味を表わす。
これは、「もし、骨材貯蔵量が適正貯蔵量に対して非常
に少なく、単位時間当りの骨材貯蔵量の変化率がマイナ
ス側に非常に大きい(速い速度で減っている)ならば」
(前件部)、「骨材ホッパの切出し量補正率を非常に大
きく(切り出し量を非常に多く)せよ」(後件部)とい
うルールを示している
【0021】図5は、定性的に決定された切出し量補正
率△Gを定量的な値に変換するためのメンバーシップ関
数である。図中の△G(i)(i=1〜7)はメンバー
シップ関数の形を規定する定数であり、骨材ホッパの切
出し量補正率であって適宜決定する。PB、PM、P
S、ZR、NS、NM、NBは、骨材ホッパの切出し量
補正率の大きさを定性的に評価するためにメンバーシッ
プ関数に与えた名称であり、図4で使用している名称に
対応している。また、図の縦軸はメンバーシップ値であ
る。そして、適用された推論規則により切り出し量補正
率がどのメンバーシップ関数に属するかが決定される。
切出し量補正率が複数の推論規則による複数のメンバー
シップで規定された場合、各メンバーシップ値に応じた
加重平均値をもって実際の切出し量補正率とする。この
ファジィ推論された切り出し量補正率により予め設定入
力して記憶している基準切り出し量を補正して適正な切
り出し量を決定する。
【0022】このように適正な骨材ホッパの切り出し量
が決定されると、この切り出し量のデータに基づいてフ
ィーダ2a〜2dの速度が演算され、速度設定器17を
介してフィーダ2a〜2dの速度が設定されて所定量の
骨材が切り出されるのである。
【0023】また、本実施例で使用したメンバーシップ
関数は全て三角形としたが、必ずしもこの形に限るもの
でなく、切り出し装置の形状や骨材貯蔵ビン9の大き
さ、更に材料の特性やオペレータの知識に応じて種々の
曲線を採用しても本発明の本質が変わるものでなく、ま
たその数も任意に設定しても本発明の本質が変わるもの
ではない。
【0024】
【発明の効果】以上のように本発明に係るアスファルト
プラントにおける骨材供給方法によれば、骨材貯蔵ビン
の適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差率と、単位時間
当りの骨材貯蔵量の変化率とからファジィ推論により基
準切り出し量に対する切り出し量補正率を推定し、この
切り出し量補正率から骨材ホッパの適正切り出し量を決
定し、所定量の骨材を切り出すようにしたので、従来の
切り出し方法に比べてきめの細かい調整が自動的にで
き、煩わしい作業を無くしてオペレータの負担を軽減す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る骨材供給方法を適用したアスファ
ルトプラントの骨材供給装置の構成を示す概要図であ
る。
【図2】骨材貯蔵量の偏差率評価用メンバーシップ関数
を示す図である。
【図3】単位時間当りの骨材貯蔵量の変化率評価用メン
バーシップ関数を示す図である。
【図4】骨材ホッパの切り出し量補正率予測ルールの一
例を示す図である。
【図5】骨材ホッパの切り出し量補正率評価用メンバー
シップ関数を示す図である。
【符合の説明】
1a〜1d 骨材ホッパ 8 振動篩 9 骨材貯蔵ビン 9a〜9d 区画室 10 レベル計 11 骨材供給制御装置 12 ファジィ制御部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ドライヤにより加熱乾燥された骨材を篩い
    分けて粒径別に区画して貯蔵する骨材貯蔵ビンのそれぞ
    れの区画室に貯蔵レベルを検出するレベル計を設け、予
    めコンピュータに前記区画室毎の適正貯蔵量を設定入力
    すると共に、該適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差率
    と、単位時間当りの骨材貯蔵量の変化率とをファジィ推
    論規則の前件部とし、骨材ホッパからの基準切出し量に
    対する切出し量補正率をファジィ推論規則の後件部とし
    たファジィ推論規則を記憶させておき、アスファルトプ
    ラントの運転開始に伴い、前記レベル計により各区画室
    の骨材の貯蔵量を所定時間毎に検出し、該貯蔵量より演
    算した適正貯蔵量に対する骨材貯蔵量の偏差率と、単位
    時間当りの骨材貯蔵量の変化率とに基づいてファジィ推
    論を行ない、各骨材ホッパからの基準切り出し量に対す
    る切り出し量補正率を推定し、該切り出し量補正率に基
    づいて予め設定した基準切り出し量を補正して適正切り
    出し量を決定し、該適正切り出し量により各骨材ホッパ
    から骨材を切り出すようにしたことを特徴とするアスフ
    ァルトプラントにおける骨材供給方法。
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