JP2577338B2 - 天然石の色調再現性が高い擬石及びその製造方法 - Google Patents

天然石の色調再現性が高い擬石及びその製造方法

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JP2577338B2 JP6026236A JP2623694A JP2577338B2 JP 2577338 B2 JP2577338 B2 JP 2577338B2 JP 6026236 A JP6026236 A JP 6026236A JP 2623694 A JP2623694 A JP 2623694A JP 2577338 B2 JP2577338 B2 JP 2577338B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、庭石等に使用するため
天然石に模して形成される擬石及びその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自然を巧みに取り入れる日本庭園では、
天然石を配して庭園美を高めるとともに自然の趣と風情
を持たせ、庭に対面した者の心をいやす工夫がなされて
いる。また、最近は、都会の機能的な人造建造物で取り
囲まれたオフィス空間でも、緊張した日常活動から一時
の憩いが求められるように、自然をそのまま切り取って
移築したような小空間が設けられ、このような憩いの空
間でも天然石はさりげなく、その演出に一役かってい
る。天然石は、山間の渓谷或は海浜等から産出される
が、近年その枯渇化が叫ばれて久しい。そのため、天然
石は今まで以上に高額で取り引きされ、果ては現地の環
境や景観破壊にも通じる盗石騒ぎまで起き、社会的モラ
ル、自然環境の保護という両面から憂慮すべき問題が提
起されている。
【0003】このような状況下、コンクリートやモルタ
ル等を型に流し込んで成形加工した人造石、いわゆる擬
石と呼ばれるものの普及が近年目覚ましい。擬石の価値
は、なんといってもその形状及び色彩等が、どの程度天
然石のそれを再現しているかで決まるといっても過言で
はない。かかる擬石用の素材としては、基本的に上記コ
ンクリートやモルタルの他に、ポリエステル等の合成樹
脂が用いられ、必要に応じて種々の混合材が使用されて
いる。擬石の製造方法は、従来、成形型に流し込まれた
素材を固化させることにより製造するのが一般的であ
る。また、擬石の着色方法は、着色剤を予め素材に混練
してそのまま型成形する混練着色方法と、型成形により
擬石を予め形成しておき、その後に擬石の表面に塗料を
吹きつける吹付着色方法の二通りの方法が知られてい
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、擬石に求めら
れる天然石調の再現は、その形状よりも色調の再現が難
しく、十分に納得のいく色調再現が得られなかった。即
ち、従来の混練着色方法では、擬石の成形素材であるコ
ンクリート等に混練する着色剤は、成形後の色ムラが発
生しないように均一に混練して使用するため、成形後の
擬石表面はどうしても同一調子の、いわゆる平坦な色調
となり、一見して人工的な造形物であると看破されるこ
とが多かった。また、吹付着色方法でも、予め成形した
擬石の表面に塗料を吹き付け塗布するため、適度の塗布
ムラ等が色調発現に有利に働く場合もあるが、全体とし
ては同一調子の人工的な色調しか得られず、天然石の有
する深みのある、いわゆる野面石の趣を持った色調や地
肌を再現することは難しかった。
【0005】また、この吹付着色方法により製造された
擬石は、その一部が破損して欠けた場合には、吹付着色
前の擬石のコンクリート製等の地肌が露出してしまい、
擬石の配置現場で実際このような事態が発生するとその
咄嗟の処置に窮するという事例も報告されていた。さら
に、本出願人は、前述の天然石の抱えている問題を解消
すべく擬石の一層の普及を図るためには、従来以上に擬
石の低コスト・軽量化を図るとともに、併せて、擬石故
に可能な景観演出以外の付加機能を設けた、いわゆる付
加価値商品の開発も必要と考えた。そこで、本願発明は
上記問題点に鑑みてなされたもので、擬石における天然
石調の再現性の向上と、擬石の軽量化、製造コストの低
減及び付加機能の取付け可能性等を図ることを目的とす
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る本発明では、庭石等に使用するため
に天然石を模倣してコンクリートで型成形される擬石の
製造方法において、成形型内面の打設コンクリートとの
接触面に、打設コンクリートの表面から内部に浸透して
略段階的な濃淡差を有する色層形成が可能であって、顔
料としての無機顔料、糊料としてのポリエチレンオキサ
イド、浸透剤としてのフッ素系アルキルステル、分散
剤としてのカルボキシデカノライド、増粘剤としてのチ
タン酸カリウム、溶媒としての水とからなる特殊塗料を
塗布するとともに、前記成形型に顔料を混練したコンク
リートを打設する。
【0007】さらに、請求項2に係る発明では、請求項
1に記載の発明で、成形型を雌型とその雌型内面に間隔
を設けて配置される雄型とから構成し、特殊塗料を雌型
の打設コンクリートとの接触面に塗布するとともに、前
記雄型により擬石に中空部を成形する。また、請求項3
に係る発明では、請求項1又は2に記載の発明の顔料を
混練したコンクリートが、微粒子セメント、石粉及びガ
ラス繊維のいずれか一つを少なくとも含むものである。
【0008】さらには、請求項4に係る発明では、庭石
等に使用するため天然石を模倣して形成されるとともに
着色が施される擬石において、天然石に模した外観形状
を有するコンクリート製の外殻からなるとともに、前記
外殻の外表面から内部に向けて、顔料としての無機顔
料、糊料としてのポリエチレンオキサイド、浸透剤とし
てのフッ素系アルキルエステル、分散剤としてのカルボ
キシデカノライド、増粘剤としてのチタン酸カリウム、
溶媒としての水とからなる特殊塗料の浸透による略段階
的な濃淡差を持つ色層を有し、前記色層の厚さが0〜1
5mmの範囲であるとともに、前記コンクリートには顔
料が混練され、且つ微粒子セメント、石粉及びガラス繊
維のいずれか一つが少なくとも含まれることを特徴とす
る天然石の色調再現性が高い擬石さらに、請求項5に
係る発明では、請求項4に記載の発明で、外殻が、擬石
の設置環境に応じて選択される例えば、水浄化機能、或
は魚巣としての機能、或は貯水機能等の環境機能を擬石
に付加するために、外殻に囲まれた中空部を外殻内側に
有する
【0009】また、本発明に使用する特殊塗料の無機顔
料として、例えば、焼成顔料等を使用することができ
る。その含有量は、本発明では、特殊塗料100重量%
当り10〜20重量%が好ましい。含有量が10重量%
未満では着色性が悪く、また20重量%より大きいと着
色性が強すぎ、天然石の色調を発現する適度な濃淡差を
有する色層が効果的に得られないためである。また、糊
料としては、例えば、ポリビニルアルコール等を使用す
ることができるが、コンクリートへの浸透染着性の観点
からは、ポリエチレンオキシドが好ましい。ポリエチレ
ンオキシドの含有量は2〜4重量%が好ましく、2重量
%未満では染着性が劣り、4重量%より大きいと染着ム
ラが発生する。
【0010】また、浸透剤としては、例えば、脂肪酸ナ
トリウム等を使用することができるが、実験ではフッ素
系アルキルエステルが好ましい。さらに、その含有量は
1〜3重量%が好ましく、1重量%未満ではコンクリー
トへの特殊塗料の浸透性が悪く、3重量%より大きいと
特殊塗料の浸透性が促進され、擬石の適度な色調発現に
必要とされる色層の層厚よりも深部で染着が行なわれ、
結果として適度な色調の発現が得られない。また、分散
剤としては、例えば、ポリカルボン酸ホルマリン縮合物
等を使用することができるが、コンクリートへの特殊塗
料成分として上記成分と混和して使用するためには、実
験によりカルボキシデカノライドが好ましい。その含有
量は0.01〜0.02重量%が好ましく、0.01重
量%未満では無機顔料の分散性が悪く、0.02重量%
より大きいと分散性が大き過ぎて、却って色ムラの発現
に繋がる。
【0011】さらに、増粘剤としては、例えば、ポリア
クリル酸ソーダ等を使用することができるが、上記糊
料、浸透剤、分散剤及び溶媒の水との混和性の面から
は、チタン酸カリウムを使用することが好ましい。その
含有量は1〜3重量%が好ましく、1重量%未満では粘
性が劣り特殊塗料の塗布時に流れ易く、3重量%より大
きいと、だまが形成されたりして均一な塗布ができな
い。また、特殊塗料は、上記組成成分を全体が100重
量%となるように適量の水で溶解して調製した。溶媒と
して水を使用したのは、コンクリートの組成水分を媒体
として浸透させて染着可能な水分散性の顔料を形成する
ためと、作業環境及び安全性を考慮して、有害な揮発性
有機溶媒を使用しないように配慮したためである。
【0012】また、成形された擬石のコンクリート製の
外殻表面から内部に向けて形成される略段階的な濃淡差
を有する色層の層厚を0〜15mmの範囲、つまり0m
mを含む範囲としたのは、外殻全面に亙って表面から内
部に向けて色層が形成される場合はもちろん、色層が全
面に亙らずにその一部に顔料を混練したコンクリートの
一部が意図的に見えるようにした場合にも、擬石の外観
表面に色調変化が与えられて効果的な表現が演出できる
ためである。また、層厚を15mm以下としたのは、1
5mmより大きい場合には最早外観上の色調に差は認め
られないためである。外殻全面に亙って色層を形成する
場合は、好ましくは1〜10mmの範囲で色層が形成さ
れていればよい。
【0013】
【作用】本発明の擬石の製造方法では、成形型に打設す
るコンクリートには予め顔料を混練したものを使用する
ため、顔料に天然石調の色合いを発現するものを選択す
ることにより、成形後のコンクリート製擬石の一部が欠
けても、天然石調の色調を崩すようなコンクリートの地
肌色の露出を避けることができる。さらに、上記顔料を
混練したコンクリートに、微粒子セメント、石粉、ガラ
ス繊維を含ませることにより、天然石の石肌が有する特
有のつややかな結晶面や、石内部に鉱物結晶が透けて見
えるような状態等を演出して、より天然石調の再現性を
高めることができる。ガラス繊維の長さや含有量等を適
宜加減することにより、上記天然石調の再現性の向上と
ともに、擬石の補強材としての役目をも併せ持たせるこ
とができる。
【0014】また、本発明では、成形型の内面の打設コ
ンクリートとの接触面には、打設コンクリートの表面か
ら内部に浸透して略段階的な濃淡差を有する色層形成が
可能な特殊塗料を塗布する構成を有している。そのた
め、特殊塗料塗布後に打設したコンクリートでは、その
硬化が進むとともに特殊塗料の浸透も進行し、個々の浸
透状況に応じて略段階的な濃淡差を有した色層が形成さ
れ、結果として自然に形成された諧調状態の色調を得る
ことができる。さらに、このように形成された色層は、
人工的に形成された均一な色層ではなく、特殊塗料の自
然浸透の状況に応じて微妙に異なる色層で、人工的演出
を少しも感じさせない天然石調の発現が可能となるもの
である。さらには、擬石の外殻表面から内部に向って0
〜15mmの色層を設けるようにすることにより、外殻
の全表面に亙って色層を形成したり、或は外殻の一部に
色層の欠損部分を形成して外観に意図的に変化を与える
ことができる。
【0015】また、特殊塗料を、顔料、糊料、浸透剤、
分散剤、増粘剤、及び溶媒の水とから構成することによ
り、打設コンクリートの組成水分を媒体としてコンクリ
ート内部に上記色層を形成することができる。特に、型
成形を用いてコンクリート製の擬石を製造する場合は、
特殊塗料の組成を、顔料として無機顔料、糊料としてポ
リエチレンオキサイド、浸透材としてフッ素系アルキル
エステル、分散剤としてカルボキシデカノライド、増粘
剤としてチタン酸カリウム、溶媒として水とすることに
より、上記擬石の天然石の色調の高い再現性をより効果
的に得ることができる。
【0016】さらに、上記成形型を雌型とその雌型内面
に間隔を設けて配置される雄型とから構成することによ
り、成形される擬石が中空構造に形成され、擬石の軽量
化を達成するとともに商品価値を高めるための付加機能
の設置可能性を有するスペースを確保することができ
る。この付加機能として、擬石の設置環境に応じて、例
えば、池等に配置される場合には池の水の浄化機能を、
或は擬似岩礁として使用される場合には中空部が魚巣と
して働く機能を、或は擬石の内部に水を貯めるようにす
る貯水機能等の環境機能を付加することができる。
【0017】
【実施例】本発明に係る擬石及びその製造方法の実施例
を図により以下説明する。本実施例の擬石の製造方法
は、概略、雌型10と雄型20とからなる成形型を使用
し、雌型10の内面に浸透性の特殊塗料30を塗布する
とともに、その後顔料を混練したコンクリートを打設し
て中空構造の擬石Aを製造するものである。尚、雄型2
0は雌型10内に間隔イをあけて配置されるとともに、
この間隔イは上方開口状にコンクリートが打設し易いよ
うに設けられ、成形後はこの開口側が擬石Aの下面とな
るようになっている。
【0018】本実施例に使用する雌型10は、一定層厚
のウレタンゴム製の内側が窪んだ殻状に形成され、雌型
10の内面部分は天然石の詳細な凹凸部分を再現した形
状を有し、打設コンクリートの成形後の外表面の形状が
天然石の凹凸部分を再現することができるようになって
いる。また、雌型10の外面部分は、木材等で形成され
た支持型枠11の一定層厚の強化プラスチック殻12の
窪みに取り付けられ、安定してコンクリート打設を行な
うことができるようになっている。
【0019】一方、雄型20は、上記雌型10の内面の
凹凸に大まかに合わせた外面を有するように鋳物で形成
されている。この雄型20の大きさは、雌型10と雄型
20との間にコンクリートを打設して形成される擬石A
の外殻40が、所定の厚さを有して適度の強度が保持で
きるように設定されている。大体の目安として、擬石の
大きさが150×100×100(mm)から1500
×1000×1000(mm)規模の場合で、コンクリ
ート製の外殻40の厚さが50〜150(mm)程度に
なるように、組合せる雌型10と雄型20の大きさを設
定すればよい。尚、擬石Aの規模は、外殻40の厚みを
増すとともに成形型を大きくすればよいが、基本的には
擬石Aの重量との兼ね合いもあり、必要に応じて複数の
型で形成したものを適宜連結して大規模擬石を形成する
ことができるようにしても構わない。
【0020】打設用のコンクリートには、成形後の擬石
Aの表面をより天然石の地肌に似せるように、微粒子の
セメント(本実施例では、粒径約2ミクロンを使用)、
石粉(例えば、花崗岩、蛇紋岩、石灰岩等の石粉)、ガ
ラス繊維を、顔料(例えば、焼成顔料)とともに水で混
練したものを使用する。これらの成分比は模倣する天然
石により適宜勘案選択すればよいが、大体の目安として
微粒子セメント5〜96重量%、石粉0〜85重量%、
ガラス繊維0〜40重量%、顔料1〜20重量%、水3
〜15重量%の範囲で混練すればよい。好ましくは、微
粒子セメント7〜93重量%、石粉5〜80重量%、ガ
ラス繊維5〜20重量%、顔料2〜7重量%、水5〜1
1重量%の範囲である。また、適宜必要に応じて、上記
微粒子セメント、石粉又はガラス繊維のいずれかを組成
成分から抜いても構わない。
【0021】一方、雌型10の内面に塗布する特殊塗料
30は、顔料として無機顔料10〜20重量%、糊料と
してポリエチレンオキシド(分子量10〜17万)2〜
4重量%、浸透剤としてフッ素系アルキルエステル1〜
3重量%、分散剤としてカルボキシデカノライド0.0
1〜0.02重量%、増粘剤としてチタン酸カリウム1
〜3重量%を溶媒としての水85.99〜69.98重
量%に十分に混和して調製した。
【0022】上記混和した特殊塗料30を、ウレタンゴ
ム製の雌型10の成形面上に塗布し、乾燥させる。乾燥
後、所定厚のコンクリート製の外殻40が得られるよう
に、雌型10の内面に所定の間隔イを設けて雄型20を
設定する。設定は、雌型10を設けた支持型枠11を、
雌型10の内面が上方を向くように設置し、この雌型1
0の内面に所定の間隔イをとって雄型20を組み合わ
せ、間隔イが上方開口状に形成されるようにする。この
ようにして、成形時にはコンクリートが打設し易いよう
に擬石Aの下面側を上方にして形成する。尚、上記雌型
10及び雄型20の設定は、テイブルバイブレェーター
(図示せず)上で行なわれ、コンクリートが均一に打設
されるようになっている。上記設定後、雌型10と雄型
20との間に前述のコンクリートを打設し、適度な硬度
が得られた後に脱型する。脱型により、コンクリート製
の外殻40の表面から内部に向けて、0〜15mmの層
厚で略段階的な濃淡差を持つ色層50を有する擬石Aが
得られる。
【0023】その後は、通常通り、例えばコンクリート
のはみ出し部分の処理等の仕上げを施す等する。このよ
うにして、そのまま庭石として使用可能な擬石Aを製造
することができる。また、コンクリート以外にも、モル
タル(例えば、セメントモルタル等)を基本的には上記
と同様の方法で使用しても構わない。この場合は、特殊
塗料の成分種または組成比を適宜変えることが好まし
い。
【0024】また、本願発明の方法により製造される擬
石Aには、内部が空洞になっているため、空洞部分に活
性炭を取り替え可能に充填することにより、池等に配置
する擬石に擬似天然石としての景観演出とともに、池の
水の浄化機能を同時に行なわせるようにすることもでき
る。さらには、本発明の擬石Aは、内部が空洞に形成さ
れているため、成形型の形状や着色の色調等を適宜、魚
種別の生態に合わせて選択することにより、沿岸部等の
擬似岩礁として設置して、擬石内部の空洞を魚巣として
利用することもできる。
【0025】また、洪水時には擬石の空洞内部に水を入
れて貯めるようにし、景観演出と併せて貯水機能を持た
せることもできる。また、本実施例では雌型10と雄型
20からなる成形型を使用して中空構造の擬石Aを製造
する場合を示したが、重量上の制限のない小型の擬石を
形成する場合は、凹型の成形型を用いて上記実施例と同
様にして、内部にもコンクリートが充填した擬石を形成
することができる。
【0026】
【発明の効果】本発明に係る擬石は、従来とは異なるよ
り天然石の色調等の再現性に優れたものであるため、今
まで以上に擬石市場の拡大に貢献することができる。例
えば、公園、造園土木、家庭用の庭等の擬似庭石の製造
には勿論のこと、盛土や切土等の崩壊を防ぐための擁壁
の天端石の代用擬石としての利用拡大を図ることもでき
る。さらには、内部が空洞に形成されるため、親水護岸
や魚巣としての利用目的で、自然景観を損なうことなく
擬似岩礁としても使用することができる。また、空洞部
分に諸種の機能を発現する装置等、例えば、水の浄化装
置や、水温制御装置、集魚装置、或は大気、地熱、振
動、交通量等の検知センサー等を内包させることによ
り、景観演出と併せて、擬石の設置箇所の自然景観を破
壊することなく、環境整備や災害対策等における観測装
置等の設置場所としての利用も考えられる。さらには、
擬石が空洞に形成されるため、擬石の軽量化とともに成
形素材費の低減を図ることもできる。このようにして擬
石の使用拡大を図り天然石の代用を促進することによ
り、最終的には天然石の産出に伴う自然環境の破壊を未
然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】雌型と雄型とによる本発明の擬石の製造方法を
示す断面説明図(a)と、型成形された擬石の断面説明
図(b)。
【符号の説明】
10 雌型 20 雄型 30 特殊塗料 40 外殻 50 色層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 //(C04B 28/02 14:02 14:38 14:36) 111:54

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 庭石等に使用するために天然石を模倣し
    てコンクリートで型成形される擬石の製造方法におい
    て、成形型内面の打設コンクリートとの接触面に、打設
    コンクリートの表面から内部に浸透して略段階的な濃淡
    差を有する色層形成が可能であって、顔料としての無機
    顔料、糊料としてのポリエチレンオキサイド、浸透剤と
    してのフッ素系アルキルエステル、分散剤としてのカル
    ボキシデカノライド、増粘剤としてのチタン酸カリウ
    ム、溶媒としての水とからなる特殊塗料を塗布するとと
    もに、前記成形型に顔料を混練したコンクリートを打設
    することを特徴とする天然石の色調再現性が高い擬石の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 成形型が雌型とその雌型内面に間隔を設
    けて配置される雄型とからなり、特殊塗料が雌型の打設
    コンクリートとの接触面に塗布されるとともに、前記雄
    型により擬石に中空部を成形することを特徴とする請求
    項1に記載の天然石の色調再現性が高い擬石の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 顔料を混錬したコンクリートが、微粒子
    セメント、石粉及びガラス繊維のいずれか一つを少なく
    とも含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の天然
    石の色調再現性が高い擬石の製造方法。
  4. 【請求項4】 庭石等に使用するため天然石を模倣して
    形成されるとともに着色が施される擬石において、天然
    石に模した外観形状を有するコンクリート製の外殻から
    なるとともに、前記外殻の外表面から内部に向けて、
    料としての無機顔料、糊料としてのポリエチレンオキサ
    イド、浸透剤としてのフッ素系アルキルエステル、分散
    剤としてのカルボキシデカノライド、増粘剤としてのチ
    タン酸カリウム、溶媒としての水とからなる特殊塗料の
    浸透による略段階的な濃淡差を持つ色層を有し、前記色
    層の厚さが0〜15mmの範囲であるとともに、前記コ
    ンクリートには顔料が混練され、且つ微粒子セメント、
    石粉及びガラス繊維のいずれか一つが少なくとも含まれ
    ることを特徴とする天然石の色調再現性が高い擬石。
  5. 【請求項5】 外殻が、擬石の設置環境に応じて選択さ
    れる例えば、水浄化機能、或は魚巣としての機能、或は
    貯水機能等の環境機能を擬石に付加するために、外殻に
    囲まれた中空部を外殻内側に有することを特徴とする請
    求項4に記載の天然石の色調再現性が高い擬石。
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