JP2574466Y2 - タイヤ試験機 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、スピンドルに装着した
タイヤを、電動機などにより回転させながらドラムに押
し付けてタイヤの試験を行うタイヤ試験機に関する。

【０００２】

【従来の技術】タイヤの各種性能試験を行うタイヤ試験
機として、電動機などによりタイヤを回転させながらド
ラムに押し付ける形式のものがある。このようなタイヤ
試験機は、通常、タイヤに荷重，スリップ角及びキャン
バー角を与えるために、ドラム方向に移動可能で、かつ
回転軸線の角度を変更可能に設けられたスピンドルでタ
イヤを保持するとともに、該スピンドルのタイヤ装着軸
と電動機などのタイヤ駆動部とを、屈曲可能かつ伸縮可
能な接手部を有する長尺のシャフトを介して接続してい
る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記構造のタイヤ試験
機において、スピンドルの移動量及び偏角量は、試験対
象タイヤの種類などによっても異なるが、例えばトラッ
クバス用のタイヤでは外径差が１ｍ程度あり、また、キ
ャンバー角は最大５度程度、スリップ角は最大１０度程
度が付与されることがある。

【０００４】したがって、スピンドルとタイヤ駆動部と
を接続するシャフトは、上記スピンドルの移動及び偏角
によるスピンドルとタイヤ駆動部とのズレを吸収する必
要があるため、その長さを長くしてシャフトに設けられ
る屈曲部の屈曲角度が小さくなるようにしていた。

【０００５】このため、スピンドルを有する本体部とタ
イヤ駆動部との距離を大きくとる必要があり、タイヤ試
験機の設置場所が限定される場合がある。また、シャフ
トを短くすると、屈曲部の角度が大きくなるため、スピ
ンドルの移動量や偏角量に限界を生じ、試験タイヤの径
や試験項目が制限されてしまう不都合があった。

【０００６】そこで本考案は、スピンドルのタイヤ装着
軸に装着したタイヤを回転させながらドラムに押し付け
る形式のタイヤ試験機において、タイヤを駆動するため
のシャフトを短くすることができるタイヤ試験機を提供
することを目的としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ため、本考案のタイヤ試験機は、ドラム方向に移動可能
に設けられたスピンドルに装着したタイヤを、電動機な
どにより回転駆動されるシャフトを介して回転させなが
らドラムに押し付けてタイヤの試験を行うタイヤ試験機
において、前記電動機などのタイヤ駆動部を、スピンド
ルの移動方向と平行な方向に移動可能に設けるととも
に、スピンドルの移動位置を検出するスピンドル位置検
出手段と、該検出手段の検出値に基づいて前記タイヤ駆
動部を移動させるタイヤ駆動部移動手段とを設けたこと
を特徴としている。

【０００８】

【作 用】上記構成によれば、タイヤの外径の違いによ
り移動するスピンドルの移動に伴いタイヤ駆動部を移動
させることができるので、スピンドルとタイヤ駆動部と
を接続するシャフトは、スピンドルの偏角だけに追従で
きるように形成することができる。これにより、シャフ
トを短く形成しても円滑に駆動力を伝達することができ
る。

【０００９】

【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づいて説
明する。

【００１０】まず、図２乃至図４は、本考案を適用した
タイヤ試験機の全体構成を示している。このタイヤ試験
機は、タイヤ１を保持するタイヤ保持部２と、タイヤ１
を回転駆動させるタイヤ駆動部３と、タイヤ１が押し付
けられるドラム４１及びドラム駆動用モーター４２を有
するドラム駆動部４とから構成されている。

【００１１】上記タイヤ保持部２は、床に固設された固
定フレーム２１と、該固定フレーム２１に設けた上下の
ガイドレール２２によりドラム４１方向に移動可能に支
持された移動フレーム２３と、該移動フレーム２３に回
動可能に設けられたキャリッジ２４と、該キャリッジ２
４に回動可能に設けられたスピンドル２５と、該スピン
ドル２５に装着したタイヤ１を所定の荷重、所定の角度
でドラム４１に押し付けるためのシリンダ２６，２７，
２８とから構成されている。

【００１２】固定フレーム２１と移動フレーム２３後端
部との間に設けられたシリンダー２６は、移動フレーム
２３をドラム４１方向に押圧してタイヤ１に所定の荷重
を与え、移動フレーム２３とキャリッジ２４との間に設
けられたシリンダー２７は、キャリッジ２４を移動フレ
ーム２３との軸着部２４ａを中心に回動させてタイヤ１
にスリップ角を与え、キャリッジ２４とスピンドル２５
との間に設けられたシリンダー２８は、スピンドル２５
をキャリッジ２４との軸着部２５ａを中心に回動させて
タイヤ１にキャンバー角を与えるように形成されてい
る。

【００１３】また、前記タイヤ駆動部３は、床に固設さ
れた基礎フレーム３１上に敷設された一対のガイドレー
ル３２により、前記移動フレーム２３と平行な方向に移
動可能に設けられた基台３３と、該基台３３上に設置さ
れたモーター３４及び減速機３５とを備えており、前記
スピンドル２５と減速機３５との間は、前記タイヤ１を
装着したスピンドル２５の偏位及び偏角に追随できるよ
うに、両端に角度及び軸方向距離の変化を許容する等速
ジョイント３６を設けたドライブシャフト３７により接
続されている。

【００１４】そして、図１に示すように、タイヤ保持部
２のガイドレール２２の近傍には、移動フレーム２３の
位置を検出するためのスケール５１とセンサー５２とか
らなるスピンドル位置検出手段５３が設けられており、
前記シリンダー２６により押圧されてドラム４１方向に
移動する移動フレーム２３の位置、すなわちスピンドル
２５の移動量が検出される。

【００１５】一方、タイヤ駆動部３のガイドレール３２
の近傍にも、上記同様のスケール５４とセンサー５５と
からなるタイヤ駆動部位置検出手段５６が設けられてお
り、基台３３の位置、すなわちスピンドル２５の位置に
対応する減速機３５のドライブシャフト取付部の位置が
検出されている。

【００１６】上記両位置検出手段５３，５６から出力さ
れる位置信号は、マイクロコンピュータなどの制御手段
５７に入力され、スピンドル２５のドライブシャフト取
付部の位置と、タイヤ駆動部３の減速機３５のドライブ
シャフト取付部の位置とが比較される。そして、両者の
位置に差を生じた場合には、制御手段５７が油圧制御器
５８を操作してシリンダー５９を伸縮させ、基台３３を
移動させるように構成されている。

【００１７】すなわち、タイヤ装着位置（待機位置）か
ら試験位置までスピンドル２５を移動させると、スピン
ドル位置検出手段５３から出力される位置信号に基づい
て制御手段５７が作動し、タイヤ駆動部位置検出手段５
６から出力されるタイヤ駆動部３の位置が、スピンドル
２５の位置に対応するまで基台３３、すなわちタイヤ駆
動部３を移動させる。

【００１８】これにより、タイヤ１の外径が異なる場合
でも、タイヤ駆動部３をスピンドル２５に対応した位置
に移動させることができるので、ドライブシャフト３７
を短く形成しても円滑に回転力を伝達することが可能に
なる。

【００１９】なお、スピンドル位置検出手段は、スピン
ドル２５の位置を検出できるものならば任意のものを任
意の位置に設置することが可能であり、タイヤ駆動部３
を移動させる手段は、上記油圧を用いる以外にも電気的
な移動手段を採用することができ、さらにタイヤ駆動部
３の移動手段自体に位置検出あるいは制御機能を有して
いれば、上記タイヤ駆動部位置検出手段５６を省略する
ことができる。

【００２０】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のタイヤ試
験機は、スピンドルの位置に対応させてタイヤ駆動部を
移動させるので、両者を接続するドライブシャフトを短
く形成しても円滑に回転力（動力）を伝達することがで
き、さらにタイヤ保持部２とタイヤ駆動部３とを近接さ
せることができるので、タイヤ試験機の設置場所も小さ
くすることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の一実施例を示す要部の説明図であ
る。

【図２】 タイヤ試験機の全体構成を示す平面図であ
る。

【図３】 同じく正面図である。

【図４】 同じく側面図である。

【符号の説明】

１…タイヤ ２…タイヤ保持部 ２１…固定フレー
ム ２２…ガイドレール ２３…移動フレーム
２４…キャリッジ ２５…スピンドル３…タイヤ駆動
部 ３２…ガイドレール ３６…等速ジョイント
３７…ドライブシャフト ４…ドラム駆動部 ４
１…ドラム ５１，５４スケール ５２，５５セン
サー ５３…スピンドル位置検出手段 ５６…タイ
ヤ駆動部位置検出手段 ５７…制御手段 ５８…油
圧制御器 ５９…シリンダー

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ドラム方向に移動可能に設けられたスピ
   ンドルに装着したタイヤを、電動機などにより回転駆動
   されるシャフトを介して回転させながらドラムに押し付
   けてタイヤの試験を行うタイヤ試験機において、前記電
   動機などのタイヤ駆動部を、スピンドルの移動方向と平
   行な方向に移動可能に設けるとともに、スピンドルの移
   動位置を検出するスピンドル位置検出手段と、該検出手
   段の検出値に基づいて前記タイヤ駆動部を移動させるタ
   イヤ駆動部移動手段とを設けたことを特徴とするタイヤ
   試験機。