JP2574383B2 - セラミック電子部品の電極形成方法 - Google Patents

セラミック電子部品の電極形成方法

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、セラミックコンデンサ等の各種セラミック
電子部品の電極形成方法に関する。
従来の技術 従来から誘電体,圧電体,半導体等の機能特性を利用
したセラミック電子部品の電極としてはセラミック基板
の表面にAg,Ag−Pd,Ag−Ni等の貴金属を焼き付けて形成
したものが使用されている。しかし、近年の電子部品の
コストダウン要求に伴い、メッキ法による電極の形成方
法が種々開発されている。しかしながら、これ等の方法
にも多くの欠点がある。
例えばセラミック基板の表面に焼付により銀電極を形
成し、その後ニッケル電極や銅電極を電解メッキ法等に
より設けることも可能であるが、この方法では銀電極を
十分厚くするとコストが上昇し、またコストを下げよう
とすると焼付による銀電極層と磁器素体の引張強度を劣
化させる欠点があった。
また他の方法としては無電解メッキ法が用いられてい
る。この無電解メッキ法は最初に塩化第1錫を吸着させ
塩化パラジウムとの化学反応によりPdを析出させ活性化
処理をすることが一般的であった。
例えばセラミック誘電体材料を利用したコンデンサを
例にとると、これをコンデンサ用電極として使用する場
合には多くの問題点があった。即ち電極材料および電極
と関連する材料の種類や取付方法によっては引張強度が
低下(焼付による銀電極に比べて半分以下)し、容量ば
らつきや誘電正接、容量温度特性の変化、耐湿負荷寿命
特性等コンデンサとしての特性が劣化するものである。
無電解メッキはその工法及び性質上、セラミック基板の
全表面上に金属が形成され易く、その場合は周側面の金
属被膜を研削除去してコンデンサ形成用の電極を作る
が、この場合は端面耐電圧距離は、基板の厚みで決定さ
れ、電極終端部への電荷の集中によって絶縁破壊が起こ
り易く、このため基板の厚みをあまり薄くすることはで
きない。従って小型大容量の製品が得がたい。また必要
な部分を有機物でコートしてその後エッチングするとい
う方法もあるが、コストの上昇や生産性の低下、更には
エッチング液による誘電体セラミック基板の食刻等をま
ねき、安価で効率よくしかも高信頼性のセラミック電子
部品を製造する方法としては不適切であった。
またこれ等の方法に対して部分メッキ法としてはセラ
ミック基板の表面に必要箇所に樹脂レジストを施し、次
にセラミック基板の表面を活性化した後、その樹脂製レ
ジストを除去し、そして無電解メッキを施してセラミッ
ク基板の表面に金属層を形成する方法や、真空蒸着法フ
ォトエッチング法等種々の方法があるが、いずれの方法
もセラミック電子部品用の電極形成方法としては作業性
が悪く、満足する結果が得られない。また特開昭60−19
51号ではセラミック基板と電極の密着性を増すために弗
酸や硝酸との塩酸等の希釈液で表面処理をしたり、熱処
理の後Pd等の貴金属イオンが含まれる水溶液中で置換処
理をする必要があった。
発明が解決しようとする課題 以上説明したように従来から知られているような電極
形成方法ではメッキの密着性が悪かったり、特に小型化
を目的としたコンデンサ製品のセラミック基板の厚みは
0.1〜0.3mmと薄く、形状は3.6〜20mmφと種々のものが
あり、量産性を考慮すると何れの方法も夫々問題点を有
していた。更に、容量値を少しでも大きく得るため、セ
ラミック基板の全面に電極を形成した場合は上述したよ
うに寿命特性が極度に悪く、信頼性の面からみてもセラ
ミック基板の表面の電極部に縁を設ける必要があり、工
数の増加につながっていた。
課題を解決するための手段 上記問題点を解決するため、本発明は銀粉と金属亜鉛
粉を金属成分として合計で1.0〜70重量%、ガラス成分
を0.5〜10重量%を含んだ混合物を有機ワニスに分散さ
せたペーストをセラミック基板の必要箇所に付与し、そ
の後400〜800℃の範囲内の温度で熱処理を施し、セラミ
ック基板上に銀成分と亜鉛成分の混合物並びに合金混合
物等の粒子を析出させ、その後無電解メッキ法により銅
またはニッケルの電極を形成するものである。
作用 上記方法により得られた電極は、焼付電極法によって
得られた電極に比較して、電極材料のイオンマイグレイ
ションが小さく、非常に良好な寿命特性を示す。
実施例 以下本発明の電極形成方法の一実施例を説明する。
まず、誘電体基板としてBaTiO3−BaZrO3−CaTiO3系の
セラミック素体を、また圧電体基板としてPbTiO3−PbZr
O3−Pb(Mg1/3Nb2/3)O3系のセラミック素体を夫々テス
トピースとして用いた。
そしてそれ等のテストピースの厚みは0.3mmとし、直
径は12mmとした。そしてこれ等の基板の両面に1mmの縁
が残るようなマスクを用い、吹き付け法または印刷法に
よってペーストを付与した。また、ペースト中のAg粉末
とZn粉末を第1表の成分Iの欄に示したような割合で金
属成分に換算して0.1〜70重量%になるように添加し
た。また粉末ガラスとしてPbO−SiO2−B2O3−ZnO系のガ
ラス(以下フリットという)を0〜15重量%とナフテン
酸,オレイン酸等の有機酸の金属塩(以下金属石鹸とい
う)、ピロリドン樹脂の少なくとも1種を0〜35重量
%、更にペーストの他の構成成分としてエチルセルロー
ズ,エチルセロソルブ,ブチルカルビトール,テルペン
系溶剤等を全体として100重量%になるように調合して
第1表の成分IIとした。(なお表の「金属石鹸等」の欄
の金属は、記載金属の石鹸の略記である。)また、印刷
用には40000cpsの粘度に、また吹き付け用としては100
〜300cpsの粘度に夫々調整した。
次にこれを前述した各セラミック基板の表裏両面に1
〜30μmの厚さで付与した。その後、80〜150℃の範囲
内の温度で乾燥させ、電気炉を用いて大気中350〜910℃
の範囲内の温度で焼付し、AgとZnの混合物或いは合金と
混合物の粒子を析出させた。次いで、クエン酸,アスコ
ルビン酸等の有機酸の1種、又は2種以上を混合して、
PH2.0〜5.7の水溶液で表面処理を行なった後、硫酸銅,
ロッシェル塩,苛性ソーダ,ホルマリン,及び安定剤か
らなる無電解メッキ液に浸漬して金属銅電極を形成し
た。次に、リード端子付けの方法としてはPb−Sn系主体
の半田材料を用い浸漬法により、リード線を取付け、そ
の後フェノール系塗料にて被覆し、さらにワックスを含
漬させて完成品とした。
なお、本実施例としては誘電体,圧電体磁器材料を用
いたが、他の絶縁体,半導体磁器等でしかも上記した熱
処理に耐え得る磁器組成物であれば全く問題ない。
第1表は誘電体材料を用いたコンデンサの特性であ
る。表中、No.1〜No.10はAg−Znの割合を変化させた場
合のものであり、成分IIとしてフリット1.0重量%、金
属石鹸としてナフテン酸ニッケル(表中ではNiと略記)
2.0重量%を添加した。その結果、No.1のように成分I
がAgのみではメッキができないことがわかり、また本発
明の範囲内であるNo.2〜No.10の組成のものは良好な諸
特性を示していることがわかった。
No.11〜No.15は金属成分の割合及びフリット,金属石
鹸の割合を一定にして、金属の含有量のみを変化させた
場合のものであり、成分IIはNo.1〜No.10と同じであ
る。その結果、含有率が1%以上のものは良好な諸特性
を示すのにたいし、No.15のように含有率が1%未満の
ものは、電極は形成されるものの電極とセラミックとの
密着性が悪くなって引張強度が低下することがわかっ
た。
No.16〜21は金属成分の割合と金属の含有率及び金属
石鹸の割合を一定にして、フリットの添加量を変化させ
た場合のものである。この結果、フリットを未添加ない
し、添加量が0.5重量%未満ではZnの酸化による比抵抗
の増加により誘電正接の悪化をきたすことが判った。ま
た、No.21のもののようにフリットの添加量が10重量%
を起すとフリット成分による比抵抗の増加により誘電正
接の悪化をまねく。No.22〜No.36は有機ワニスの成分の
みを変化させた場合にものであり、金属石鹸としてナフ
テン酸ニッケル、オレイン酸とチタン,亜鉛,錫,鉄,
コバルトの化合物やその誘導体とポリビニルピロリドン
を用いた。なお、表においては上記夫々をNi,Ti,Zn,Sn,
Fe,Coと略記した。この結果、有機ワニスにおける上記
物質の含有率が0.1重量%を下回るとNo.21のもののよう
に引張強度が低下してしまい、また30重量%を越えると
No.28のもののように残存する有機物によって特性、特
に誘電正接が悪化してしまうことが分かった、 No.37〜No.40は熱処理の温度条件を変化させた場合を
示しており、400℃を下回るとNo.37のもののように誘電
正接の悪化をきたし、また900℃を上回ると温度が高過
ぎて金属の酸化が促進され、No.40のもののように誘電
正接が悪化する。No.41〜No.49は表面処理を施す溶液の
PHを変化させたものであり、本発明の範囲内であるNo.4
2〜No.48のものは良好な特性を示すのに対して、範囲外
のNo.41とNo.48のものはメッキができないことがわかっ
た。
なお、No.50及びNo.51は本実施例のものと比較のため
に用意した従来例であり、No.50は公知の銅メッキ法を
用いたもの、No.51は焼付により銀電極を形成したもの
である。
また、第2表はPbTiO3−PbZrO3−Pb(Mg1/3Nb2/3)O3
系圧電体基板を用いた場合の実施例であり、本実施例に
おいても誘電体基板を用いた時と同様の結果が得られ
た。
発明の効果 以上説明したように、本発明の電極形成方法を用いる
と、銀や銀パラジウム等の焼付によって電極を形成した
場合に比べ、その電極は寿命特性が優れしかも信頼性も
高く、工業的量産化にてきしたものである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銀粉末を99.5重量%以下含み残部が金属亜
    鉛粉末よりなる金属成分1.0〜70重量%と、ガラス成分
    0.5〜10重量%含んだ混合物を有機ワニスに分散させて
    なるペーストを、セラミック基板の必要箇所に付与し、
    その後400〜800℃の温度範囲で熱処理を施し、その後前
    記ペーストを付与した箇所に無電解メッキ法によって銅
    またはニッケルの電極を形成することを特徴とするセラ
    ミック電子部品の電極形成方法。
  2. 【請求項2】有機ワニスは、Ti,Zn,Ni,Sn,Fe,Coの金属
    石鹸やピロリドン基を含む有機化合物の少なくとも1種
    の0.1〜30重量%含むことを特徴とする特許請求の範囲
    第1項に記載のセラミックス電子部品の電極形成方法。
  3. 【請求項3】銀粉末を99.5重量%以下含み残部が金属亜
    鉛粉末よりなる金属成分1.0〜70重量%と、ガラス成分
    0.5〜10重量%含んだ温合物を有機ワニスに分散させて
    なるペーストを、セラミックス基板の必要箇所に付与
    し、その後400〜800℃の温度範囲で熱処理を施し、その
    後PH2.3〜5.3の酸水溶液で表面処理し、その後前記ペー
    ストを付与した箇所に無電解メッキ法によって銅または
    ニッケルの電極を形成することを特徴とするセラミック
    電子部品の電極形成方法。
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