JP2574242Y2 - 変圧器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は変圧器に係り、特に巻線
部の下部とタンク内壁との間に絶縁冷媒を巻線等の中身
本体内に案内するガイド体を備えた変圧器に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】一般に、変圧器のタンク内において、巻
線部と鉄心部とを備えてなる中身本体内に絶縁冷媒を循
環させてこれら巻線と鉄心を冷却することが行われてい
る。この場合、冷却効果を上げるために巻線とタンク間
にガイド体を設けて絶縁冷媒が無駄な循環経路を通らな
いようにしている。

【０００３】図４および図５はかかる従来の変圧器を示
し、図４は内部構造説明図、図５は図４のガイド体１５
の拡大図である。図４および図５において、１は変圧器
で、巻線２および鉄心３からなる中身本体４をタンク５
内に収納し、かつ、絶縁冷媒６を充填したタンク５の側
部に設けた上部の流出口７と下部の流入口８を介して冷
却器９を設け、冷却器９と下部流入口８の間にポンプ１
０を設けてこのポンプ１０により前記絶縁冷媒６をタン
ク５の内部と冷却器９の間を強制的に循環させてタンク
５の内部に収納した中身本体４を冷却し、さらに冷却器
９をファン１１により冷却するように構成している。

【０００４】タンク５内の中身本体４は、鉄心３と、こ
の鉄心３に巻装した巻線２で構成しており、この中身本
体４は、タンク５の底部に設けた鉄心固定枠１２によっ
て固定されている。巻線２は図５に示すように複数のコ
イル１３からなり、コイル１３間には冷却ダクト１４が
設けられ、また巻線２と鉄心３の間にも同様な冷却ダク
ト（図示省略）が設けられている。

【０００５】図４中の円で囲んだ１５はガイド体を示
し、その詳細は図５において拡大して示している。１６
はＬ字状の水平ガイドで、一辺を水平に保ち他辺を絶縁
テープ等１７で巻線２の側壁に固着している。１８は絶
縁アングルで、タンク５の内壁にスタットボルト・ナッ
ト１９で固着されており、この絶縁アングル１８の水平
面に長方形断面のガスケット２０が接着固定されてい
る。ガスケット２０は水平ガイド１６の水平部と絶縁ア
ングル１８の間に設けられて両者の間を閉鎖するように
構成されている。

【０００６】ガイド体１５の形成は、タンク５の内壁に
固着された絶縁アングル１８の水平面にガスケット２０
を固着しておき、水平ガイド１６を巻線２に取付けてお
く。このような状態において中身本体４をタンク５の上
部から吊り降ろし、水平ガイド１６の水平部をガスケッ
ト２０に当接閉鎖して形成するものである。

【０００７】このように構成された変圧器１において
は、長方形断面のガスケット２０とこれを固定している
絶縁アングル１８、水平ガイド１６とによって、タンク
５の内壁と巻線２の間は塞がれているので、絶縁冷媒６
は図５中に矢印２１で示すように巻線２の間の冷却ダク
ト１４および鉄心３と巻線２との間（図示省略）にのみ
流れ込み、巻線２の上部方向に移動しながら巻線２およ
び鉄心３を冷却する。

【０００８】

【考案が解決しようとする課題】一般に、変圧器におい
ては高電圧部である巻線２と接地側であるタンク５の内
壁との間には、絶縁上必要な絶縁距離を確保しなければ
ならない。そこで、タンク５の内壁と巻線２との間に必
要な絶縁距離を確保するために、水平ガイド１６および
ガスケット２０は絶縁部材により形成することが一般的
に行われている。このために、次のような問題が生じて
いた。

【０００９】（１）中身本体４の収納時に寸法誤差を吸
収するためにガスケット２０の変形量を大きくする必要
があり、ガスケット２０はスポンジ体で成形する。ま
た、タンク５の内壁の内周を引き回すため長尺物とする
必要があるので、連続成形した帯体が使用される。しか
し、連続成形して良好な形状を得るためには、仕上品の
硬度は可変ではなく硬度は形状により左右されるため、
形状を優先すると、それに伴って硬度がある範囲に限定
され、この限定された範囲しか製作できない。

【００１０】（２）ガスケットとして必要な圧縮量は水
平ガイド１６や絶縁アングル１８の取付位置の精度によ
り決まってくるが、ある程度ガスケットの圧縮量（つぶ
れ代）が大きくないと、精度不足による間隙が生じる恐
れがある。ガスケット２０の寸法を大きくできれば問題
は生じないが、成形上の制約があり、おおむね高さ５０
ｍｍ位が上限であり、圧縮量を２０ｍｍとした際の圧縮
率は、４０％とかなり大きく、この際の反発力も大きな
値となる。

【００１１】（３）水平ガイド１６は絶縁物にて製作
し、支持方法もコイル側面による片持ち支持のため、ガ
スケット２０の反発力に対して十分な強度とするのは困
難であり、鉄心締付金具等による補助的な支持構造も考
えられるが、構造が複雑である。

【００１２】本考案は以上のような点に鑑みてなされた
もので、長期間の耐熱安定性があり、構造が簡単で、材
料コストを低減したガイド体を備えた変圧器を提供する
ことを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】本考案の変圧器において
は、鉄心に巻線を巻装しかつ内部に冷却ダクトを備えた
中身本体をタンク内に設け、このタンク内の上部と下部
とを冷却器を介して連通して前記タンク内に充填した絶
縁冷媒を前記中身本体内に循環させるとともに、前記絶
縁冷媒をタンク内壁と巻線の下部側との間に設けたガイ
ド体で前記冷却器で冷却された絶縁冷媒を中身本体の冷
却ダクト内に案内するように構成した変圧器において、
前記ガイド体をタンク内壁に設けた絶縁アングルと、前
記巻線に設けた水平ガイドと、これら絶縁アングルと水
平ガイドとの間に設けられかつ前記絶縁冷媒の垂直方向
の流れを案内する弾性絶縁物からなるガスケットとで構
成するとともに、このガスケットは、前記絶縁アングル
に当接する下部接着面を平面とし、水平ガイドに接する
上部を断面形状が半円形状としてその内部に中空部を設
けて形成したことを特徴としている。

【００１４】

【作用】上述のごとく構成されているから、ガスケット
の反発力が少なくなり、ガイド体に必要な強度が少なく
てもよいので、ガスケットの形状の簡略化が可能とな
り、ガイド体の重量減、構造の簡素化ができる。

【００１５】

【実施例】以下、本考案を図１〜図３に示す実施例に基
づいて説明する。なお、前述の図４および図５と同一の
符号を付するものはこれらと同等品を示すものであるか
ら、これらの詳細な説明は省略する。まず図１および図
２に基づいて第１実施例を説明する。図１は本考案の変
圧器の一実施例を示す内部構造説明図で、図２は本考案
の第１実施例のガイド体１５のガスケット３１の断面図
である。図２において、３１はスポンジゴム等の絶縁弾
性体からなるガスケットであり、下部接着面３２は平面
で、上面３３は半円形状であり、その内部に中空部３４
を設けている。この中空部３４によってガスケット３１
の反発力は少なくなり、圧縮され易くなる。このガスケ
ット３１をタンク５の内壁に固着している絶縁アングル
１８の上に装着し、巻線２に固着されている水平ガイド
１６との間に設置してガイド体１５を構成している。こ
のガイド体１５によって絶縁冷媒６の流通が規制・案内
され、絶縁冷媒６を中身本体４の内部に流通して中身本
体４（巻線２および鉄心３）を冷却する。

【００１６】次に、図３に基づいて本考案の第２実施例
を説明する。図３において、４１はスポンジゴム等の絶
縁弾性体からなるガスケットであり、外形は長方形であ
るが、内部は大きい中空部３４を設けた長方形厚肉チュ
ーブ状である。このガスケット４１をタンク５の内壁に
固着している絶縁アングル１８の上に装着し、巻線２に
固着されている水平ガイド１６との間に設置してガイド
体１５を構成している。このガイド体１５によって絶縁
冷媒６の流通が規制・案内され、絶縁冷媒６を中身本体
４の内部に流通して中身本体４（巻線２および鉄心３）
を冷却する。

【００１７】このように、ガスケットの内部に中空部を
設けることにより、ガスケットの反発力を押さえつつ圧
縮代を大きくすることができ、ガスケットの反発力が少
なくなるので、ガイド体に必要な強度が少なくてよいの
で、ガイド形状の簡略化が可能となり、ガイド体の重量
減、構造の簡素化ができる。

【００１８】

【考案の効果】以上述べたように、絶縁冷媒の垂直方向
の流れを案内するガイド体に弾性絶縁物からなるガスケ
ットを使用し、その圧縮部分を半円形状または厚肉チュ
ーブ状あるいは断面内部に中空部を設けた形状としたの
で、 （１）水平ガイドに必要な強度が小さくて済むので、水
平ガイドを構成する絶縁板が薄くできる。

【００１９】（２）水平ガイドの軽量化が可能になるの
で、支持構造の簡略化が可能になる。

【００２０】（３）水平ガイドに作用する反発力に対し
て、従来行っていた鉄心支持物等からの補助的な支持が
簡略化できる。

【００２１】等の優れた効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の変圧器の一実施例を示す内部構造説明
図。

【図２】本考案の第１実施例のガスケットの断面図。

【図３】本考案の第２実施例のガスケットの断面図。

【図４】従来の変圧器の内部構造説明図。

【図５】図４のガイド体１５の拡大図。

【符号の説明】

１…変圧器 ２…巻線 ３…鉄心 ４…中身本体 ５…タンク ６…絶縁冷媒 ７…流出口 ８…流入口 ９…冷却器 １０…ポンプ １１…ファン １２…鉄心固定枠 １３…コイル １４…冷却ダクト １５…ガイド体 １６…水平ガイド １７…絶縁テープ等 １８…絶縁アングル １９…スタッドボルト・ナット ３１，４１…ガスケット ３２…ガスケット下部接着面 ３３…ガスケット上面 ３４…中空部

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 鉄心に巻線を巻装しかつ内部に冷却ダク
   トを備えた中身本体をタンク内に設け、このタンク内の
   上部と下部とを冷却器を介して連通して前記タンク内に
   充填した絶縁冷媒を前記中身本体内に循環させるととも
   に、前記絶縁冷媒をタンク内壁と巻線の下部側との間に
   設けたガイド体で前記冷却器で冷却された絶縁冷媒を中
   身本体の冷却ダクト内に案内するように構成した変圧器
   において、前記ガイド体をタンク内壁に設けた絶縁アン
   グルと、前記巻線に設けた水平ガイドと、これら絶縁ア
   ングルと水平ガイドとの間に設けられかつ前記絶縁冷媒
   の垂直方向の流れを案内する弾性絶縁物からなるガスケ
   ットとで構成するとともに、このガスケットは、前記絶
   縁アングルに当接する下部接着面を平面とし、水平ガイ
   ドに接する上部を断面形状が半円形状としてその内部に
   中空部を設けて形成したことを特徴とする変圧器。