JP2573408B2 - 直線コーマの円形ブラシの摩耗を自動的に補償する装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、繊維工業、より特定的には直線コーマ（一
般的にはフレンチコーマともいわれている。）に係わ
り、直線コーマの円形ブラシの摩耗を自動的に補償する
装置を提供する。

直線コーマでは、長さを規制できる短い繊維が円形コ
ーム及び固定コームによって長い繊維から分離される。
このようにして除去された短い繊維はノイルになる。円
形コームはその上にたまったノイルを円形ブラシに移
し、この円形ブラシからはノイルがブッファによって除
去される。ノイルは次いでドッファから除去され、ノイ
ル貯蔵容器に回収される。

実際の操作では、円形ブラシが円形コームの針の間に
侵入してこの円形コームからノイルを除去し、そのノイ
ルをドッファに移す。円形ブラシは、円形コームを十分
に清掃できるように、その円形コームより速い速度で回
転する。そのため、円形コームの針の間に侵入する時に
円形ブラシの房が後方に押し戻され、或る程度の時間が
たつと後方に反ったままになり、従って著しく摩耗す
る。

その結果多くの問題が生じる。例えば、房が円形コー
ムの針の間に侵入しなくなり、従ってノイルが除去さな
くなるため、円形ブラシの効率がほぼゼロになり、ま
た、円形コームもノイルが除去されずに蓄積することか
ら詰まりを起こすため、機能が大幅に低下する。更に、
円形ブラシをしばしば交換しなければならないために、
コストが著しく高くなると共に、機械を何回も停止させ
なければならないことから機械の効率が明らかに低下す
る。

これらの問題を解決すべく、円形ブラシの回転軸を可
動性にする、即ち調整可能にすることが提案された。実
際、ブラシが摩耗すると直径が減少するため、その位置
の調整が可能であればブラシの房の摩耗を相殺すること
ができ、その結果前記房が常に円形コームの中に侵入し
てその機能を十分に果たすようになる。円形ブラシの軸
の移動によるこのような補償、即ち円形ブラシの摩耗を
隣接部材に対して相殺する操作は現在のところ手動で実
施されており、従ってコーミングの質の低下が確認され
た後で散発的に行われている。

本発明の目的は、コーマの円形ブラシの摩耗に起因す
る前述のごとき問題を総て解決することにある。

上記の如き目的は、本発明による円形コーム及びドッ
ファを具備した直線コーマの円形ブラシの摩耗を自動的
に補償する装置であって、円形ブラシの軸と、円形コー
ムの軸及びドッファの軸を含む面とに垂直な方向に円形
ブラシを移動させ、これによって円形コーム及びドッフ
ァに対する円形ブラシの位置を変化させる移動手段と、
円形ブラシの摩耗に応じて移動手段を起動させ、円形ブ
ラシが円形コームと最適に係合しかつドッファと接触す
るように円形ブラシの位置を制御するべく、円形ブラシ
の摩耗を検知するセンサ手段からの出力に応答して移動
手段を制御する自動制御手段とを備えた直線コーマの円
形ブラシの摩耗を自動的に補償する装置によって達成さ
れる。

円形ブラシが摩耗すると、自動制御手段は、円形ブラ
シを移動させる移動手段を起動し、これによって、円形
ブラシが円形コームと最適に係合しかつドッファと接触
するらうに円形ブラシの位置を制御する。この際、円形
ブラシは、円形ブラシの軸と、円形コームの軸及びドッ
ファの軸を含む面とに垂直な方向に、移動手段によって
移動される。

これにより、円形ブラシは円形コームに対して常に最
適の位置におかれるため、円形コームからのノイルの除
去が絶えず実施される。従って、円形コームが常に清潔
な状態を維持するため、直線コーマの保守は容易とな
る。

本発明は、以下の添付図面に基づく非限定的実施例の
説明でより明らかにされよう。

第１図は、繊維ストリップ６を処理する直線コーマの
固定コーム１と、円形コーム２と、円形ブラシ３と、ド
ッファ４と、デタッチングコーム５とを示している。

本発明では、直線コーマの円形ブラシの摩耗を補償す
る装置が自動的であり、特に第２図及び第３図に示すよ
うに、主として自動制御装置７からなる。この制御装置
は円形ブラシ３の位置を制御し、少なくとも１つの駆動
装置８を介して前記ブラシをその軸９と直交する少なく
とも一方の方向に移動させる機能をもつ。

そのため円形ブラシ３は、その方向及び移動位置に応
じて円形コーム２及び／又はドッファ４に多少とも接近
することができる。従って、円形ブラシ３が円形コーム
２に接近した場合には、このブラシに具備された房10が
湾曲したり又は折曲げられても円形コーム２の針11の間
に侵入してその底部まで到達し、コームの針の間に詰ま
っている短い繊維を完全に除去する。これに対し、ドッ
ファ４の針12は円形ブラシ３の房10の中には侵入せずに
これらの房とすれすれに接した状態を維持し、これらの
房との間に小さい間隙さえ有し得る。従って、円形ブラ
シ３の位置は、円形ブラシ３と円形コーム２とが最適に
協働すると共に、円形ブラシ３とドッファ４とがすれす
れに接触し合うような位置でなければならない。

本発明の特徴の１つとして、駆動装置８は、自動制御
装置７によって制御される可逆性の又は減速−逆転器14
を備えた電動機13と、この電動機13の回転運動を円形ブ
ラシ３の並進移動運動に変換する機械的装置15とで構成
される。

また、電動機13と減速−逆転器14、又は減速−逆転器
14と機械的装置15との切換えを挿入すれば、円形ブラシ
３の移動を手動で制御できるようにすることも可能であ
る。

第２図に示すように、機械的装置15は電動機13によっ
て回転駆動されるシャフト16を含む。このシャフト16に
は２つのアングルピニオン18及び18′が取付けられてお
り、各ピニオンが、スクリューとしてのネジ21又は21′
に固定された対応する直交アングルピニオン19又は19′
と咬合する。前記ネジは衝止部材21又は21′によって並
進移動を制限され、各々が１つの可動支承部材22又は2
2′を作動させる。

本発明の別の特徴によれば、各可動支承部材22又は2
2′は軸９の端部を支持する軸受23又は23′とナット24
又は24′とを含み、このナットが対応する駆動ネジ20又
は20′と協働して円形ブラシ３の軸９を水平面上で、円
形コーム２及びドッファ４の軸線と直交する方向に従
い、シャフト16（第２図）の回転方向に応じて２つの移
動方向35又は36のいずれか一方に並進移動させる。

前述の機械的装置15はフレーム17に取付けられてお
り、２つの可動支承部材22及び22′を同期して移動さ
せ、従って円形ブラシ３とドッファ４及び円形コーム２
との間の平行性を保持せしめる。

図面には示さなかったが、本発明の変形例の１つで
は、駆動装置８が機械的装置15とつめ車とで構成され、
前記つめ車が圧力シリンダによって作動するラチェット
を介して駆動される。この場合は、前記つめ車は電動機
13の代わりにシャフト16に直接取付けられる。

第２図に示すように、本発明の装置は圧力シリンダ2
5,25′を含む。これらの圧力シリンダは自動制御装置７
の制御下で円形ブラシ３を作動位置に固定する。

この固定は円形ブラシ３の軸９の移動と同期して行わ
れる。

本発明の更に別の特徴として、自動制御装置７は第３
図に示すようにプログラマブル制御伝達装置26とセンサ
27とを含み、円形ブラシ３の水平移動の周期及び値を調
整し、調節された力で前記ブラシを固定させ、且つ可変
速度電動機28を用いて円形ブラシ３を駆動することによ
り該ブラシの回転速度をその位置に応じて又はその位置
とは拘りなく固定する機能を果たす。

円形ブラシ３の駆動はピニオン、鎖又はベルトを用い
て実施することもできる。

円形ブラシ３の軸９の移動には種々の方法、即ち周期
性とピッチの値とを調整できる増分移動（deplacement
incremental）又は連続移動を使用し得る。自動制御装
置は、可変速度電動機28を用いて円形ブラシ３の回転速
度を制御することにより、この速度を房10の摩耗に合わ
せて調節し、それによって円形ブラシの周縁直線速度を
一定に維持する。その結果、円形コーム２の清掃が一定
の質で実施されることになる。また、回転部材2,3及び
４の集中的清掃周期は直線コーマの作動サイクルに包括
されるようにし得る。そのためには、円形ブラシ３の回
転速度を円形コーム２及びドッファ４の回転速度に対し
て著しく変化させればよい。

本発明の装置は、円形ブラシ３の位置及び状態とセン
サ27のデータとを常時確認するためのディスプレイ装置
29も含む。

第３図に示すように、本発明の装置は直線コーマの作
動を自動的に停止させる装置30も含む。この自動停止装
置は、行程の終了を示す少なくとも１つの接触子31に接
続されている。本発明の装置は更に、円形ブラシ３の房
10の使用可能な最大磨耗を知らせる装置32、例えば電灯
信号、警報器等を少なくとも１つ有する。

摩耗を知らせる装置32によって使用者は円形ブラシ３
の交換が近々必要であることを予知できるため、この交
換を行う装置を予め用意し、それによって機械停止時間
を短縮させることができる。

円形ブラシ３が完全に摩滅すると、自動的作動停止装
置30が作動してコーマを停止させる。

本発明の装置は第３図に示すように、手動移動制御手
段33も含む。この制御手段は、手動移動モード又は自動
移動モード選択装置34を介して自動制御装置７を切断し
た後で使用可能になる。

特に円形ブラシ３を交換する時には、自動制御装置７
を切断した後で、例えば円形ブラシ３の前進及び回転を
制御する押しボタンを用いて円形ブラシ３の移動を手動
的に制御することができる。

ここで、直線コーマの機能全般と、円形ブラシ３の摩
耗を自動的に補償する第２図に示したような装置の機能
とを詳細に説明する。

直線コーマでは、これに送られた繊維ストリップ６の
コーミングが円形コーム２と固定コーム１とによって実
施される。その結果、短い繊維が繊維ストリップ６から
除去されてノイルとなり、このノイルが円形コーム２上
で集塊を形成する。円形コームは円形ブラシ３によって
ノイルを除去され清掃される。この円形コーム２の清掃
操作は、円形コーム２及び円形ブラシ３を夫々第１図に
示した方向に回転させ且つ円形ブラシ３の回転速度を円
形コーム２より速くすることによって実施される。ドッ
ファ４は円形ブラシ３より遅い速度で第１図に示した方
向に回転してノイルを捕捉する。このノイルはデタッチ
ングコーム５によってドッファから除去され、該デタッ
チングコームの振動運動によって直線コーマの一部分を
なす回収容器内に振り落とされる。コーミング処理後の
長い繊維のみとからなるヴェール６′はストリッピング
レザー（cuir arracheur）上で再編成され、ホッパによ
ってテープ状にコンデンスされ、且つローラによってポ
ット内に配置される。ヴェール６′から形成されたコー
ミングされたテープは直線コーマから送出される製品を
構成する。

第２図に好ましい実施例を示した本発明の円形ブラシ
３の摩耗を補償する装置は、下記のように作動する。

モータ13がアングルピニオン18及び18′を備えたシャ
フト16を回転駆動し、これらのピニオンがこの回転をネ
ジ20及び20′に固定されたアングルピニオン19及び19′
に夫々伝達する。衝止部材21及び21′によって並進移動
を制限された前記ネジは回転によって支承部材22および
22′を移動させる。これらの支承部材は軸受23及び23′
を介して円形ブラシ３の軸９を支持している。円形ブラ
シ３の移動は矢印35及び36に従って実施される。正常運
転時、即ち房10の摩耗を補償しなければならない時には
矢印35に従って移動し、円形ブラシ３を交換のために取
外す時は矢印36方向に移動するのである。前述のごと
く、円形ブラシ３の摩耗の補償は連続的に又は周期的に
行われるようにし得る。

以上の説明から明らかなように、発明を使用すれ
ば、円形ブラシ３の摩耗に関する問題を総て解決するこ
とができる。

実際、円形ブラシ３が円形コーム２に対して常に最適
の位置におかれるため、円形コーム２からのノイルの除
去が絶えず実施される。従って、円形コーム２が常に清
潔な状態を維持するため、直線コーマの保守は極めて容
易である。

また、円形コーム２が前述のごとく極めて規則的な清
掃によって常に清潔な状態におかれることから、直線コ
ーマの機能の質も向上する。実際、円形コーム２がより
効果的に清掃されるため、送出される製品の品質が自動
的に向上する。

更に、円形ブラシ３の摩耗が自動的に補償されるた
め、該ブラシの耐用年数が長くなり、通常は使用性も向
上する。また、機械を頻繁に停止させることがなくなる
ため、直線コーマの効率も大幅に向上する。

勿論、本発明は前述の実施例には限定されず、特に種
々の部材の構造の観点からその範囲内で様々な変形が可
能であり、又は他の等価の技術を使用することができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の可動円形ブラシを含む直線コーマの部
分断面側面図、第２図は本発明の装置の一部分をなす駆
動装置を備えた円形ブラシの平面図、第３図は本発明の
装置のブロック図である。 ２……円形コーム、３……円形ブラシ、４……ドッフ
ァ、７……自動制御装置

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円形コーム及びドッファを具備した直線コ
   ーマの円形ブラシの摩耗を自動的に補償する装置であっ
   て、 前記円形ブラシの軸と前記円形コームの軸及び前記ドッ
   ファの軸を含む面とに垂直な方向に前記円形ブラシを移
   動させ、これによって前記円形コーム及び前記ドッファ
   に対する前記円形ブラシの位置を変化させる移動手段
   と、 前記円形ブラシの摩耗に応じて前記移動手段を起動さ
   せ、前記円形ブラシが前記円形コームと最適に係合しか
   つ前記ドッファと接触するように前記円形ブラシの位置
   を制御すべく、前記円形ブラシの摩耗を検知するセンサ
   手段からの出力に応答して前記移動手段を制御する自動
   制御手段と を備えたことを特徴とする直線コーマの円形ブラシの摩
   耗を自動的に補償する装置。
2. 【請求項２】前記移動手段が、可逆性の又は減速−逆転
   器を備えた電動機と、該電動機の回転運動を前記円形ブ
   ラシの並進移動運動に変換する機械的装置とで構成され
   ていることを特徴とする請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】前記機械的装置が前記電動機によって回転
   駆動されるシャフトと、該シャフトに固定された二つの
   アングルピニオンと、前記アングルピニオンと夫々係合
   する二つの直交アングルピニオンと、前記直交アングル
   ピニオンが夫々一端に固定されている二つのスクリュー
   と、前記スクリューの並進運動を夫々制限する二つの衝
   止部材と、前記スクリューを回転することによって並進
   移動するべく構成された二つの可動支承部材とを備えた
   ことを特徴とする請求項２に記載の装置。
4. 【請求項４】前記可動支承部材の夫々が前記円形ブラシ
   の軸の端部を支持する軸受とナットとを含み、該ナット
   が対応するスクリューと協働して前記円形ブラシの軸
   を、前記シャフトの回転方向に応じて水平面上の前記方
   向に並進移動させるようになっていることを特徴とする
   請求項３に記載の装置。
5. 【請求項５】前記自動制御手段の制御下で前記円形ブラ
   シを移動後に固定する圧力シリンダを含むことを特徴と
   する請求項１に記載の装置。
6. 【請求項６】前記自動制御手段が前記円形ブラシの回転
   速度をその位置に応じて又はその位置とは拘わりなく固
   定するべく構成されたことを特徴とする請求項１又は５
   に記載の装置。