JP2573064B2 - ボールバルブ - Google Patents

ボールバルブ

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はボールバルブの改良に関するものである。
〔従来の技術〕
従来からこの種のボールバルブとしては、両側に流
入、流出口を有する弁箱内に前記流入、流出口に連通可
能な流通路を水平方向に貫設してなる球状弁体を内装し
て前記流入、流出口の開口内端面の弁座面に設けたOリ
ングに該球状弁体の外周部を常時、圧着状態で摺接さ
せ、該球状弁体の回動により前記流入、流出口を開閉さ
せるように構成した構造のものが広く知られている。
しかしながら、球状弁体を摺接させているOリング
は、耐熱性、耐圧性及び耐薬品性に劣るため使用する場
所や流体の種類に制約を受けるという問題点がある。
このため、前記弁座面を金属製の弁座面に形成するこ
とが考えられるが、このような構造の場合、漏れが生じ
ないように球状弁体と弁座面とを強固に圧接させている
ために、開閉時における弁体の回動操作が重くなるばか
りでなく、弁体と該弁座面とに焼き付きが生じる虞れが
ある。
このような問題点をなくするために、本願発明者等
は、実開昭63−96384号に示すようなボールバルブを開
発した。
このボールバルブは、両側に流入、流出口を有する弁
箱内に前記流入、流出口に連通可能な流通路を水平方向
に貫設してなる球状弁体を内装し、該球状弁体の回動に
より前記流入、流出口を開閉させるように構成したボー
ルバルブにおいて、前記球状弁体の流通路に直交する側
の周面部に副弁板を流入、流出口に向かって接離する方
向に移動自在に内装した凹所設け、前記副弁板の背面側
を加圧することにより副弁板の表面側外周部を流入流出
口の開口内端面に圧着させるように構成している。
〔発明が解決しようとする課題〕
このような構造によれば、球状弁体の回動操作時には
副弁板が流入、流出口の弁座から離間させるものである
から、球状弁体の円滑な回動が可能となる反面、該球状
弁体の外周面と弁座間には僅かな隙間が設けられてあ
り、弁座に対しては副弁板のみを弁座の略全面に亘って
圧着させるように構成しているので、回動操作時に球状
弁体にガタツキが生じる虞れがあるばかりでなく、弁座
と副弁板との圧着時における接圧面積が大きくなって閉
止時における流体の縁切りが良好に行えず、特に、不純
物が混入している流体においては、弁座と副弁板との間
に不純物が介在する場合が生じて完全な閉止が行えなく
なるという問題点がある。
本発明はこのような問題点を解消したボールバルブの
提供を目的とするものである。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するために、本発明のボールバルブ
は、両側に流入、流出口を有する弁箱内に前記流入、流
出口に連通可能な流通路を水平方向に貫設してなる球状
弁体を回動自在に内装すると共にこの球状弁体の流通路
に直交する側の周面部に副弁板を流入、流出口に向かっ
て接離する方向に移動自在に内装した凹所を設け、前記
副弁体の背面側における凹所内に該副弁板の流入、流出
口に対して接離させるカム等の開閉手段を配設してなる
ボールバルブにおいて、流入、流出口の開口内端面の外
周部に前記球状弁体の外周面部を摺接させる弁体保持面
を形成すると共に開口内端面の内周部に周溝を介して前
記副弁板を圧着、離脱させるリング状突条弁座を形成し
てなる構造とするものである。
〔作用〕
球状弁体を回動操作してその流通路に直交する側の周
面を流入、流出口側に対向させ、該周面に設けた凹所内
に配設している副弁板の背面側を押圧して該副弁板を凹
所内から押し出す方向に押進させると、その表面側の外
周面が流入、流出口の開口内端面の内周部側に突設した
リング状突条弁座に圧着し、流入、流通口を完全に閉止
する。
この際、弁座はリング状突条に形成されているので、
該突条の先端に副弁板が線接触或いは極細幅のリング状
面接触状態に圧着して流体の縁切りが確実に行われ、且
つ精度のよい閉止が可能となる。
次に、副弁板の背面側に対する押圧力を解けば、該副
弁板が球状弁体の凹所内に没入する方向に退出可能とな
ってリング状突条弁座に摺接することなく球状弁体の回
動操作が行え、その回動によって球状弁体の流通路を流
入、流出口に連通させて弁を全面的に開放するものであ
る。
この時、球状弁体は流入、流出口の開口内端面の一部
である外周部端面に摺接しながらガタツキが生じること
なく円滑に回動するものであり、また、その摺接部分は
流体の閉止作用を行うものではないから、球状弁体を軽
く摺接、保持する状態にして軽快な回動操作を可能にす
るものである。
〔実 施 例〕
本発明の実施例を図面について説明すると、(1)は
弁室(1a)を中央にして該弁室(1a)の両側に同一軸線
上で連通する通孔(1b)(1c)を設けている弁箱であ
り、この弁箱(1)の前記弁室(1a)内の中央に球状弁
体(2)を回動自在に配設していると共に、前記通孔
(1b)(1b)には筒状の金属製流入、流出口(3)
(4)が夫々挿嵌状態で螺合させてある。
これらの流入、流出口(3)(4)の対向内端面にお
いて、その外周部を前記球状弁体(2)の上下外周面に
軽く摺接させる弁体保持面(5)に形成していると共に
内周部が周溝を介して先端が断面円弧状又は極細巾面に
形成されたリング状突条弁座(6)に形成してある。
なお、流入、流出口(3)(4)に設けた前記弁体保
持面(5)は、球状弁体(2)の曲面と同一彎曲端面に
形成されているが、リング状突条弁座(6)の先端はそ
の彎曲面から0.5mm程度、僅かに内方に没入した位置に
設けられてある。
球状弁体(2)には、直径方向に前記流入、流出口
(3)(4)に連通可能な流通孔(7)が貫設されてい
ると共にこの流通孔(7)に対して直角方向の面、即
ち、流入、流出口(3)(4)を閉止させる両面側に、
前記弁体保持面(5)よりも小径で、リング状突条弁座
(6)よりも大径の適宜深さの円形状凹所(8)を設け
てあり、この円形状凹所(8)内に背面が平坦な垂直面
に形成され且つ表面が球状弁体(2)と略同一の曲面に
形成された円板形状の金属製副弁板(9)を出没自在に
嵌め込んである。
(10)は球状弁体(9)の中央部に上下方向に貫通形
成した横断面長方形状のガイド孔で、前記両凹所(8)
に向かって巾広く形成され、該ガイド孔(10)の両側と
これらの凹所(8)間に連通空間部(11)が形成されて
ある。
(12)はこのガイド孔(10)に上下摺動自在に挿嵌し
たカム板で、その中央部に前記流通孔(7)に挿着して
いる筒体(7a)よりも大径の縦長長円形孔(13)を設け
てあり、この縦長長円形孔(13)に筒体(7a)を挿着し
てなる流通孔(7)を貫通させていると共に該筒体(7
a)に対してカム板(12)を上下動可能に設けているも
のである。
このカム板(12)の両側面中央部には、第4図に示す
ように、所定高さのカム突起(14)が一体に突設されて
いる一方、前記副弁板(9)の背面中央には断面円弧状
の突部(15)が一体に形成されており、球状弁体(9)
の閉止位置において、カム板(12)を下動させることに
よりカム突起(14)を突部(15)に衝接させて副弁体
(9)(9)を流入、流出口(3)(4)側に移動さ
せ、リング状突条弁座(6)に圧接させて流入、流出口
(3)(4)を密閉状態に保持するように構成してあ
る。
さらに、副弁板(9)の背面には、前記連通空間部
(11)を介してカム板(12)の中央部前後面に対向する
短腕片(9a)(9a)が突設している一方、カム板(12)
の該対向前後面に縦長長円形孔(13)の両側から両側端
に向かって斜め上方に傾斜した傾斜条溝(16)が設けら
れ、この傾斜条溝(16)に上記短腕片(9a)(9a)の対
向面中央に突設した係合突子(17)を摺接させてカム板
(12)の上動時には係合突子(17)を条溝(16)に沿っ
て移動させることにより副弁板(9)を凹所(8)内に
没入させるように構成してある。
副弁板(9)及びカム板(12)を設けている上記球状
弁体(2))はその上下端面の中央に、中空軸筒形状に
形成した上部弁軸(19)と中実短軸形状の下部弁軸(19
a)を互いに同一垂直線上に夫々突設してあり、その上
部弁軸(19)を弁箱(1)の上部中央に垂直方向に貫設
した貫通孔(20)に回動自在に支承させた状態で貫通さ
せて外部に突出させていると共に、下部弁軸(19a)弁
室(1a)の内底壁中央に形成した円形凹部に回動自在に
支持させてある。
又、カム板(12)の上面中央部に螺筒体(21)を埋設
状態に固着し、この螺筒体(21)に、前記上部弁軸(1
9)の中央孔に回動自在に挿嵌、支持されたカム板操作
軸(18)の下部に設けている螺子部(18a)を螺合させ
てあり、該カム板操作軸(18)の上端部を上部弁軸(1
9)から突出させてある。なお、このカム板操作軸(1
8)は回動が可能であっても上下動不能に上部弁軸(1
9)の中央孔に支持させているものである。
弁箱(1)の上面から突設した上部弁軸(19)の外周
面は角形状の係合部(19b)に形成されて第1操作ハン
ドル(22)の先端部に形成している角孔を有する係合環
(22a)を係脱自在に係合させていると共に水平方向に
延設した該第1操作ハンドル(22)の基端垂直面にピン
係止孔(23)を穿設してある。
(24)はカム板操作軸(18)の上端部に形成した角軸
部(18b)にその先端角孔部(24a)を係脱自在に係合さ
せた第2操作ハンドルで、その下面に水平ピン(25)を
摺動自在に挿嵌支持している突片部(26)を一体に設け
ていると共に該水平ピン(25)の基端を固着させたレバ
ー(27)をその下面に長さ方向に摺動自在に取付けてあ
り、さらに、水平ピン(25)の外周適所と突片部(26)
間に圧縮スプリング(28)を配設して水平ピン(25)を
常時、前記係止孔(23)に嵌入する方向に付勢し、常態
においては該係止孔(23)に嵌入、係止して第1、第2
操作ハンドル(22)(24)を一体的に回動させるように
しているものである。
(29)(30)は弁箱(1)の上面において、球状弁体
(2)を閉止位置と開放位置に回動停止させるために突
設した規制突片で、前記第1操作ハンドル(22)の側面
を当接させるようにしてある。
このように構成した実施例におけるボールバルブの作
用を説明すると、第1操作ハンドル(22)を閉止位置規
制突片(29)には当接させている状態、即ち、球状弁体
(2)がその副弁板(9)(9)を流入、流出孔(3)
(4)のリング状突条弁座(6)に圧接させてこれらの
流入、流出孔(3)(4)を閉止している状態から、第
2操作ハンドル(24)の把持してそのレバー(27)をス
プリング(28)の引張力に抗して手前に引くことにより
水平ピン(25)を第1操作ハンドル(22)のピン係止孔
(23)から離脱させ、そのまゝ、該第2操作ハンドル
(24)を開放方向(第2図において、反時計方向)に回
動させると、水平ピン(25)の離脱により第1操作ハン
ドル(22)は回動することなく第2操作ハンドル(24)
と係合しているカム板操作軸(18)が回動し、その螺子
部(18a)の回転によって該螺子部(18a)に螺合してい
る螺筒体(21)を有するカム板(12)が上方に移動し、
カム突起(14)を副弁板(9)の突部(15)から上方に
離脱させると共に傾斜条溝(16)によって係合突起(1
7)を引き寄せて副弁板(9)(9)を球状弁体(2)
の凹所(8)(8)内に後退、没入させ、リング状突条
弁座(6)との圧接が解かれる。
しかるのち、第2操作ハンドル(24)を第1操作ハン
ドル(22)の上方にまで回動させ、水平ピン(25)をピ
ン係止孔(23)に嵌入、係止させ、この状態で第2操作
ハンドル(24)を同一方向(反時計方向)に回動させる
と、第1操作ハンドル(22)が一体的に回動して開放位
置規制突片(30)に当接したところで停止する。
この状態においては、球状弁体(2)の流通孔(7)
が流入、流出口(3)(4)に連通し、流体の流通を行
わせることができる。
次に、流入、流出口(3)(4)を球状弁体(2)に
よって閉止させるには、水平ピン(25)を係止孔(23)
に係合させた状態で第2操作ハンドル(24)を時計方向
に90度回動させれば、第1操作ハンドル(22)が一体的
に回動して閉止位置規制突片(29)に当接し、球状弁体
(2)に設けている副弁板(9)(9)が流入、流出口
(3)(4)に対向する。
この状態から、レバー(27)をスプリング(28)の引
張力に抗して手前に引くことにより水平ピン(25)を第
1操作ハンドル(22)のピン係止孔(23)から離脱さ
せ、そのまゝ、該第2操作ハンドル(24)を時計方向に
回動させると、カム板操作軸(18)が一体的に同一方向
に回動し、その螺子部(18a)の回転によて該螺子部(1
8a)に螺合している螺筒体(21)を有するカム板(12)
が下方に移動し、カム突起(14)が副弁板(9)の突部
(15)に移動しながら該カム突起(14)上に突部(15)
を乗り上げさせ、該突部(15)を設けている副弁板
(9)(9)が凹所(8)から突出してリング状突条弁
座(6)に圧着することにより、流入、流出口(3)
(4)を閉止するものである。
なお、球状弁体(2)の副弁板(9)(9)を背面側
から押し進める押圧機構としては、上記実施例以外にピ
ストン機構やリンクモーション機構等の適宜な機構を採
用してもよい。
〔発明の効果〕
以上のように本発明のボールバルブによれば、弁箱内
に回動自在に配設した球状弁体に、弁箱側に設けた流
入、流出口に連通する流通路と、この流通路に直交する
側の周面部に副弁板を流入、流出口に向かって接離する
方向に移動自在に内装した凹所を設け、該凹所の外周縁
における球状弁体の外周面部を前記流入、流出口の開口
内端面の外周部端縁に摺接させると共にこれらの流入、
流出口の開口内端面の内周部側に周溝を介して副弁体を
圧着、離脱させるリング状突条弁座を設け、さらに、副
弁板の背面側における凹所内に該副弁板を流入し、流出
口に対して接離させるカム等の開閉手段を配設してなる
ことを特徴とするものであるから、副弁板は流入、流出
口の弁座に摺動させることなく、その前進、後退によっ
て弁座に対し、圧着、離脱させることができるので、摩
損等が殆ど生じることなく確実且つ強固に流入、流出口
を閉止させることができると共にその開放も大きな操作
力を要することなく容易に行えるものである。
さらに、弁座はリング状突条に形成されているので、
該突条の先端に副弁板が線接触或いは極細幅のリング状
面接触状態に圧着して流体の縁切りが確実に行われ、不
純物が混入している流体であっても、該不純物が圧着部
に介在するのをなくして精度のよい閉止が可能となるも
のである。
又、球状弁体は流入、流出口の開口内端面の一部であ
る外周部端面に摺接しながらガタツキが生じることなく
円滑に回動するものであり、その上、該摺接部分は流体
の閉止作用を行うものではないから、球状弁体を軽く摺
接、保持する状態にして軽快な回動操作が可能となるも
のである。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を示すもので、第1図は流通路を
閉止した状態の縦断正面図、第2図は流通路を開放した
状態の縦断正面図、第3図は簡略平面図、第4図は球状
弁体に配設されるカム板と副弁板との斜視図である。 (1)……弁箱、(2)……球状弁体、(3)(4)…
…流入、流出口、(5)……弁体保持面、(6)……リ
ング状突条弁座、(7)……流通孔、(9)……副弁
板、(12)……カム板、(14)……カム突起、(15)…
…突部、(16)……傾斜条溝、(17)……係合突子、
(18)……カム板操作軸、(19)……弁軸、(22)……
第1操作ハンドル、(24)……第2操作ハンドル。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】両側に流入、流出口を有する弁箱内に前記
    流入、流出口に連通可能な流通路を水平方向に貫設して
    なる球状弁体を回動自在に内装すると共にこの球状弁体
    の流通路に直交する側の周面部に副弁板を流入、流出口
    に向かって接離する方向に移動自在に内装した凹所を設
    け、さらに、前記副弁体の背面側における凹所内に該副
    弁板を流入、流出口に対して接離させるカム等の開閉手
    段を配設してなるボールバルブにおいて、流入、流出口
    の開口内端面の外周部に前記球状弁体の外周面部を摺接
    させる弁体保持面を形成すると共に開口内端面の内周部
    に周溝を介して前記副弁板を圧着、離脱させるリング状
    突条弁座を形成していることを特徴とするボールバル
    ブ。
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