JP2572946B2 - ネジ孔清掃機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、バルブ、配管などのネ
ジ孔の清掃に用いるネジ孔清掃機に関し、特に、簡単に
かつ確実にネジ孔を清掃でき、しかも清掃屑のネジ孔内
への混入を防止できるようにしたネジ孔清掃機に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】流体回路の中に設けられる種々のバル
ブ、配管、継手などの回路素子を結合する方法として、
互いに接続される回路素子の一方に形成したネジ孔に他
方の端部をねじ込む方法がある。この場合、互いに接続
される回路素子のネジ孔と雄ネジとの間に形成される微
細な隙間を通って流体が外部に漏洩することや、外部か
ら流体回路に塵埃、水などの異物が侵入することを防止
するために、回路素子のネジ孔と雄ネジとの間の隙間に
シールテープ、クレヨン、ワックスなどのシール部材が
充填されることが多い。

【０００３】このようにシール部材を用いて回路素子が
接続されている部分が、部品交換、点検、整備などのた
めに分解される場合、分解後、再組立前に回路素子どう
しを円滑に、かつ確実にシールされるように螺締すると
共に、使用済みのシール部材などの残渣が回路内に異物
として侵入することを防止するために、ネジ孔にこびり
付いた残渣を除去する必要がある。

【０００４】このため、従来では分解された回路素子の
ネジ孔をワイヤブラシ、ワイヤー、ドライバ、時計ドラ
イバ、ピンセットなどを用いて手作業で清掃することに
よってネジ孔の残渣が除去されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし、使用済みのシ
ール部材は、ネジ孔のネジ溝の谷底にこびり着いている
ことが多く、このネジ溝の谷底にこびり着いたシール部
材を手作業で除去する作業には大変多くの手間と時間が
必要になる。また、ネジ穴の表面から剥離されたシール
部材がネジ孔の奥の流路に入って残留し、再組立後に機
器のトラブルを発生させることがある。

【０００６】本発明は、上記の事情を鑑みて、ネジ孔か
ら短時間で確実に使用済みのシール部材を回収できるネ
ジ孔清掃機の提供を目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明に係るネジ孔清掃機は、エアモータ１と、エ
アモータ１で回転駆動される螺旋ブラシ２の周囲に吸引
空間３を区画する吸引カバー４と、エアモータ１に圧縮
空気を供給するエア回路から分岐されたエアにより吸引
空間３の空気を吸引して吸引カバー４外にシール部材の
残渣を回収するエジェクタ１７と、エジェクタ１７の出
口に接続される回収ケース１８と、回収ケース１８内に
設けたフィルタ１９とを備えたネジ孔清掃機であって、
螺旋ブラシ２をネジ孔内に挿入しネジ孔の螺解方向に回
転させてネジ山に付着したシール部材を強制的に掻き出
し、シール部材の残渣を吸引回収するようにしたことを
特徴とするネジ孔清掃機である。

【０００８】

【作用】ネジ孔にブラシを差し込み、吸引カバーの先端
をネジ孔の周囲の回路素子の表面に当接させて吸引カバ
ー内にその外側から区画された吸引空間を形成した状態
で、モータでブラシを回転駆動するとネジ孔が機械的に
清掃される。特に、ブラシをネジ孔の螺解方向に回転駆
動すると、ブラシがネジ溝を清掃すると共に、清掃によ
りネジ溝から剥離された清掃屑がネジ溝に案内されてネ
ジ孔の口の方に強制的に排出される。

【０００９】ネジ孔から排出された清掃屑は、回収手段
によって吸引空間から吸引カバー外に回収されるので、
ネジ孔から吸引空間に排出された清掃屑が再びネジ孔に
侵入するおそれはなくなる。

【００１０】

【実施例】以下、本発明の一実施例に係るネジ孔清掃機
を図面に基づいて説明する。図１の縦断側面図に示すよ
うに、本発明の一実施例に係るネジ孔清掃機は、市販さ
れているエアドライバを利用するものであり、このエア
ドライバに装着した螺旋ブラシ２（以下、単に「ブラシ
２」という）でネジ孔を清掃し、その清掃屑をネジ孔か
ら排出して回収手段５に回収するようにしている。

【００１１】すなわち、このネジ孔清掃機は片手で持て
るボディ６にモータ１を内蔵したエアドライバーと、こ
のモータ１によって駆動されるブラシ２と、ブラシ２の
周囲に環状の吸引空間３を区画する吸引カバー４と、こ
の吸引空間３の空気を吸引して吸引カバー４外に清掃屑
を回収する回収手段５とを備えている。上記ボディ６に
は片手で把持できるハンドル７が設けられ、このハンド
ル７の下端に圧縮空気供給用ホースを解離可能に接続し
てから、このハンドル７に設けた引金８を人差指で引く
ことによりハンドル７に内蔵された図示しない閉止弁が
開弁され、モータ１が回転し、またこの引金８を放すと
閉止弁が閉弁され、モータ１は停止する。

【００１２】なお、このハンドル７内には、必要に応じ
て、図示しない方向制御弁が設けられ、ハンドル７に水
平軸心回りに回転可能に支持された切替レバー９を回転
操作することによりこの方向制御弁を切り替えてモータ
１の回転方向が切り替えられるようにしている。また、
このハンドル７内には、必要に応じて、モータ１から排
出される排気の噴出音を消音する図示しないサイレンサ
が設けられている。

【００１３】上記ブラシ２は、清掃されるネジ孔の径に
対応してブラシ外径が異なる複数種類のものが用意さ
れ、必要に応じてエアドライバのドライバビットと同様
のクイックチェンジ方式によってモータ１に付替えられ
る。すなわち、このブラシ２は、クイックチェンジ方式
エアドライバのチャックに差し込まれるＡ型ビットと同
様に６角軸状の基端部に周溝が形成されたビット10と、
このビット10の先端部に螺旋状に巻き付けられたブラシ
本体11とを備え、モータ１の出力軸に連結されたチャッ
ク20のチャック穴21にビット10の基端部を一定以上強い
力で押し込むことによりモータ１に連結され、一定以上
強い力でビット10を抜く方向に引くことによりチャック
から引き抜かれる。

【００１４】なお、上記ブラシ本体11は２本の針金の間
に所定の長さに切り揃えられた多数のストランドを挟
み、上記２本の針金を縒り合わせたモール状に形成され
たものであり、このストランドの素材としては一般に研
磨用ブラシに多用されている鋼線、合成樹脂、研磨材を
担持させた合成樹脂などを用いることができる。上記吸
引カバー４は、基端筒部12、先端筒部13、押さえバネ14
およびびパッド15を備え、上記基端筒部12は、両端に外
つばを有する円筒形に形成され、ボディ６の先端部に外
嵌して固定される。

【００１５】上記先端筒部13は、基端部に内つばを有す
る円筒形に形成され、基端筒部12に進退可能に外嵌し
て、その内つばを基端筒部12の先端側の外つばに受け止
めさせることにより基端筒部12から進出方向に脱出しな
いようにしている。上記押さえバネ14は、基端筒部12の
基端側の外つばと先端筒部13の基端面との間に挿入され
た圧縮コイルバネからなり、先端筒部13を進出方向に付
勢しており、ハンドル７を片手で持って先端筒部13を回
路素子の端面に当接させ、さらにボディ６を回路素子側
に押すと圧縮され、先端筒部13が基端筒部12に対して後
退する。

【００１６】上記パッド15は、本発明に必須のものでは
ないが、回路素子の端面に先端筒部13を気密状に当接さ
せると共に、回路素子の端面を先端筒部13で傷付けない
ようにするために設けられるものであり、例えばゴム、
合成樹脂などの適当な弾性を有する部材で形成される。
このパッド15は、少なくとも先端筒部13の先端面の一部
分を覆うものであればよいが、この実施例ではパッド15
を確実に先端筒部13に支持させるために、先端筒部13の
先端部を全周にわたって、外周面から先端面を経て内周
面にわたる範囲で覆うようにしている。

【００１７】なお、このパッド15は、単に先端筒部13に
嵌合させてその弾力で先端筒部13に固定されるようにし
てもよく、また、先端筒部13に接着剤で接着するように
してもよい。上記回収手段５は、この吸引カバー４内に
形成される吸引空間３の空気を吸引して吸引カバー４外
に清掃屑を回収するように構成してあればよく、例えば
吸引空間３に連通させた吸引路と、この吸引路の始端
部、中間部あるいは終端部に設けられ、電気、油圧、圧
縮空気などによって駆動されるファンモータと、このフ
ァンモータによって形成される気流に乗って吸引空間３
から吸引された塵埃などの異物を漉し採るフィルタとを
備えるものが考えられる。

【００１８】しかしながら、この実施例では、上記のよ
うにエアドライバを利用しているので、上記モータ１に
供給されている圧縮空気を利用することが有利になる。
また、ファンモータは、モータとファンとを組み合わせ
たものであり、構成が複雑になる嫌いがある。そこで、
この実施例では、上記モータ１に供給されている圧縮空
気を利用すると共に、回収手段の構成を簡単にするため
に、回収手段５が、上記モータ１に圧縮空気を供給する
エア回路から分岐させた分岐エア回路16と、この分岐エ
ア回路16に接続されたエジェクタ17と、このエジェクタ
17の出口に接続される回収ケース18と、この回収ケース
18内に設けたフィルタ19とを備えるようにしている。

【００１９】上記分岐エア回路16は、ハンドル７に内蔵
された閉止弁よりも上流側でエア回路から分岐させても
よいが、この実施例では、圧縮空気の無駄使いをなくす
ために閉止弁よりも下流側でエア回路から分岐させてあ
る。なお、この場合、方向制御弁の下流側でモータ１お
よびブラシ２がネジ孔の螺締方向に回転する時にのみ分
岐エア回路16に空気が流れるように分岐エア回路16を分
岐させ、特にネジ孔の奥に清掃屑が送り込まれやすくな
る時にのみネジ孔から吸引空間３を経て回収手段５に清
掃屑が吸引されるようにしてもよい。

【００２０】逆に、方向制御弁の下流側でモータ１およ
びブラシ２がネジ孔の螺解方向に回転する時にのみ分岐
エア回路16に空気が流れるように分岐エア回路16を分岐
させ、ネジ孔からブラシ２によって吸引空間３に掻き出
される清掃屑が回収手段５に吸引されるようにしてもよ
い。もちろん、方向制御弁の上流側で分岐エア回路16を
分岐させて、モータ１およびブラシ２の回転方向に関係
なく吸引空間３から清掃屑が回収手段５に吸引されるよ
うにしてもよい。

【００２１】この実施例では、清掃屑が回路素子のネジ
孔に残留したりその奥の流体通路に侵入したりする恐れ
を無くすために、使用方法としてモータ１およびブラシ
２がネジ孔の螺締方向に回転させながら清掃することを
禁じ、方向制御弁の下流側でモータ１およびブラシ２が
ネジ孔の螺解方向に回転する時にのみ分岐エア回路１６
に空気が流れるように分岐エア回路16を分岐させ、ネジ
孔からブラシ２によって吸引空間３に強制的に掻き出さ
れる清掃屑を回収手段５に吸引されるようにしている。

【００２２】つまり、このネジ孔清掃機を片手に持ち、
伸長している吸引カバー４の先端から突出しているブラ
シ２の先端部を図示しない回路素子のネジ孔に差し込
み、回路素子の端面にパッド15を押し付け、さらに、ボ
ディ６を押さえバネ14に抗して押し込みながら引金８を
引いてモータ１をネジ孔の螺解方向（ここでは右ネジ用
としているので左回り方向）に回転させる。

【００２３】これにより、ブラシ２が、ネジ孔の螺解方
向に回転しながらネジ孔に送り込まれてネジ溝を清掃
し、しかも、清掃によりネジ溝から剥離したシール材、
焼着防止剤、錆、ごみなどの清掃屑をネジ孔からネジ溝
を案内にして吸引空間３に強制的に掻き出す。そして、
吸引空間３に掻き出された清掃屑はエジェクタ17によっ
て吸引空間３から吸い出され、回収ケース18内に吹き込
まれてフィルタ19に捕捉され、回収される。

【００２４】なお、回収ケース18から噴出する圧縮空気
の噴出音はフィルタ19の消音作用によって消される。こ
のように、このネジ孔清掃機によれば、機械的にネジ孔
が清掃されるので、ネジ溝からシール材、焼着防止剤、
錆、ごみなどを確実に除去することができ、清掃品質を
高めることができるとともに、従来では数分程度であっ
た１孔当たりの清掃時間が数秒に短縮されて、著しく作
業性が高められる。

【００２５】しかも、清掃屑が回収手段５に回収される
ので、ネジ孔の奥の流体通路に清掃屑が侵入する恐れが
なくなり、回路素子内の流体通路に残留した清掃屑によ
るトラブルが発生する恐れがなくなる。加えて、このネ
ジ孔清掃機は、１本のエアホースを接続するだけで、モ
ータ１と回収手段５とを駆動することができ、外部の配
管ないし配線を簡単にできるうえ、圧縮空気を供給する
ホースを外せば、片手に持って所要の箇所に自由に持ち
運びすることができる。

【００２６】上記モータ１の駆動源は、特に限定され
ず、例えば電気、油圧、圧縮空気などをその駆動源とし
て用いることができる。なお、上記の実施例では、モー
タ１をエアモータで構成することにより、清掃時に火花
が発生して周囲に引火したり、爆発を誘ったりする恐れ
を無くし、また、作動流体の漏洩によって周囲が汚染さ
れる恐れを無くしている。

【００２７】しかしながら、十分な防爆対策を施すので
あれば、モータ１として使用時に火花が発生しやすい電
動モータを用いてもよく、十分な作動流体の漏洩防止対
策を施すのであれば、モータ１として油圧モータを用い
ることも可能であり、換言すれば、本発明を実施する上
で、市販されている電動ドライバや油圧ドライバを利用
することもできるのである。

【００２８】

【発明の効果】以上に説明したように、本発明のネジ孔
清掃機はエアモータ１と、エアモータ１で回転駆動され
る螺旋ブラシ２の周囲に吸引空間３を区画する吸引カバ
ー４と、エアモータ１に圧縮空気を供給するエア回路か
ら分岐されたエアにより吸引空間３の空気を吸引して吸
引カバー４外にシール部材の残渣を回収するエジェクタ
１７と、エジェクタ１７の出口に接続される回収ケース
１８と、回収ケース１８内に設けたフィルタ１９とを備
えたネジ孔清掃機であって、螺旋ブラシ２をネジ孔内に
挿入しネジ孔の螺解方向に回転させてネジ山に付着した
シール部材を強制的に掻き出し、シール部材の残渣を吸
引回収するようにしたことを特徴とするネジ孔清掃機で
あるので、エアモータで駆動している螺旋ブラシをネジ
孔に挿入することにより、ネジ孔を機械的に清掃するこ
とができる。

【００２９】これにより、ネジ孔からシール材、焼着防
止剤、錆、ごみなどを確実に除去し、清掃品質を高める
ことができると共に、従来では数分程度であった１孔当
たりの清掃時間を数秒に短縮でき、著しく作業性が高め
られる。しかも、清掃屑がネジ溝に案内されて強制的に
ネジ孔から排出され、回収手段に吸引して回収されるの
で、ネジ孔の奥の流体通路に清掃屑が侵入する恐れがな
くなり、回路素子内の流体通路に残留した清掃屑による
トラブルが発生する恐れがなくなる。

【００３０】本発明において、特に上記モータとしてエ
アモータが用いられ、上記回収手段がこのエアモータに
圧縮空気を供給するエア回路から分岐されたエアにより
吸引空間の空気を吸引するエジェクタを備える場合に
は、１本のエアホースを接続するだけでモータと回収手
段とを駆動することが可能になり、外部の配管ないし配
線を簡単にできるうえ、エアホースを外して任意の場所
に簡単に持ち運べるようになる。

【００３１】また、この場合には、火花が発生する恐れ
がないので、特に防爆対策を講じなくても、引火性雰囲
気や爆発性雰囲気の中で使用しても火災や爆発を誘発す
る恐れがなく、簡単で安価な構成で高い安全性を得るこ
とができる。さらに、この場合には、特に作動流体の漏
洩防止対策を講じなくても、排気ないし漏洩した圧縮空
気が周囲を汚染する恐れがないので、簡単で安価な構成
で高い衛生性を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の横断側面図である。

【符号の説明】

１…モータ ２…ブラシ ３…吸引空間 ４…吸引カバー ５…回収手段

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 水谷 浩一 大阪市北区本庄東二丁目９番18号 関電 興業株式会社内 (72)発明者 熊谷 進 大阪市北区本庄東二丁目９番18号 関電 興業株式会社内 (72)発明者 松尾 光康 大阪市西区新町二丁目18番１号 有限会 社 新栄商店内 (72)発明者 村井 敬二 東大阪市西岩田三丁目５番55号 ヨコタ 工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平２−256407（ＪＰ，Ａ) 実開 平４−17067（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアモータ１と、エアモータ１で回転駆
   動される螺旋ブラシ２の周囲に吸引空間３を区画する吸
   引カバー４と、エアモータ１に圧縮空気を供給するエア
   回路から分岐されたエアにより吸引空間３の空気を吸引
   して吸引カバー４外にシール部材の残渣を回収するエジ
   ェクタ１７と、エジェクタ１７の出口に接続される回収
   ケース１８と、回収ケース１８内に設けたフィルタ１９
   とを備えたネジ孔清掃機であって、螺旋ブラシ２をネジ
   孔内に挿入しネジ孔の螺解方向に回転させてネジ山に付
   着したシール部材を強制的に掻き出し、シール部材の残
   渣を吸引回収するようにしたことを特徴とするネジ孔清
   掃機。