JP2572449B2 - 易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法 - Google Patents

易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は易接着性ポリエステルフイルム及びその製造
方法に関し、更に詳しくはアクリル系樹脂に代表される
紫外線硬化樹脂に対し良好な接着性特に剪断力に対する
良好な接着性を示す磁気カード用易接着性ポリエステル
フイルム及びその製造方法に関する。
<従来技術> ポリエステルフイルム特にポリエチレンテレフタレー
トの二軸延伸フイルムは、優れた機械的性質、耐熱性あ
るいは耐薬品性を有するため、磁気テープ、写真フイル
ム、包装用フイルム、コンデンサー用メタライジングフ
イルム、電気絶縁用フイルム、OHPフイルムあるいは情
報記録カード等の素材としてその需要の伸びは近年特に
目ざましい。しかし、ポリエステルフイルムはその結晶
配向性のため表面凝集性が高く、各種塗料に対する接着
性に極めて乏しい。
そこで、ポリエステルフイルムの表面性を改質する方
法の一つとしてコロナ処理、プラズマ処理あるいは火炎
処理等の方法が知られているが、これらの方法では経時
的にその性能が低下する欠点がある。この欠点を克服す
る方法として、薬剤により結晶性を解く方法があげられ
る。しかし、この薬剤が有毒であったり、その蒸気の揮
散による環境汚染等実用上不利な問題がある。
もう一つの手段として二軸延伸ポリエステルフイルム
の上に易接着性塗剤を塗布することによりプライマー層
を設ける方法が知られている。しかし、この方法も溶剤
の揮散による環境汚染等の安全上及び衛生上の問題、コ
ーティング雰囲気がダーティーであるため塵埃付着によ
る塗膜表面欠陥の多発の恐れを含んでいる。
そこでこのプライマー処理を水系塗剤を用いてポリエ
ステルフイルム製膜工程中で行えばクリーンな環境の中
で塵埃の付着も少なく、また水系塗剤故、爆発の恐れや
環境汚染もなくフイルムの性能、経済面、安全性の点で
も有利である。
このような利点から、プライマーとして水溶性あるい
は水分散性のポリウレタン、共重合ポリエステル樹脂を
用いることが提案されている。しかし、上記プライマー
層は保管中の温度や湿度の変化によってフイルム同士が
ブロッキングする欠点がある。また、アクリル系樹脂に
代表される紫外線硬化樹脂に対する接着力、とりわけ剪
断力に対する接着力が著しく乏しい。
<発明の目的> 本発明の第1の目的は、アクリル系樹脂に代表される
紫外線硬化樹脂に対し優れた接着性、特に剪断力に対す
る接着性に富んだ磁気カード用易接着性ポリエステルフ
イルムを提供することにある。本発明の第2の目的は、
かかるポリエステルフイルムを効率よく製造する方法を
提供することにある。
<発明の構成・効果> 本発明のかかる目的は、本発明によれば、 1. ポリエステルフイルムの少なくとも片面に紫外線硬
化樹脂に対する易接着層を設けた易接着性フイルムであ
って、該易接着層が(a)下記式(I) で表わされる化合物70〜99重量%、(b)N−メチロー
ル(メタ)アクリルアミド1〜10重量%、(c)分子内
にカルボキシル基を有するエチレン系化合物0〜5重量
%及び(d)上記(a)〜(c)の化合物と共重合可能
でかつ該化合物以外の化合物0〜29重量%を共重合して
なり、10〜60℃の二次転移点(Tg)を有する共重合体を
含むことを特徴とする磁気カード用易接着性ポリエステ
ルフイルム。
2. 結晶配向の完了する前のポリエステルフイルムの少
なくとも片面に上記第1記載の共重合体からなり、重量
平均粒径が0.01〜0.3μmの微粒子を含む水性塗布液を
塗布し、次いで乾燥、延伸、熱処理を施しポリエステル
フイルムの結晶配向を完了させて紫外線硬化樹脂に対す
る易接着層を設けたフイルムとすることを特徴とする磁
気カード用易接着性ポリエステルフイルムの製造方法。
によって達成される。
本発明においてフイルムを構成するポリエステルと
は、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体と
ジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成さ
れる線状飽和ポリエステルである。かかるポリエステル
の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレー
ト、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタ
レート)、ポリエチレン−2,6−フタレンジカルボキシ
レート等が例示できる。これらの共重合体またはこれら
と小割合の他の樹脂とのブレンド物等も含まれる。この
ポリエステルには、フイルムの滑り性を良くしたり、遮
光性を付与するために無機または有機の微粒子を含有さ
せることができる。かかる微粒子としては、酸化チタ
ン、炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、カーボン
ブラック等の無機フィラー、シリコーン、アクリル、ベ
ンゾグアナミン、テフロン、エポキシ等の有機フィラー
があげられる。更にポリエチレングリコール、ドデシル
ベンゼンスルホン酸ソーダ等の易接着性や帯電防止性を
付与する剤を含有させることができる。
かかるポリエステルを熔融押出してフイルム状にし、
縦及び横に二軸延伸する配向結晶化及び熱処理による結
晶化で本発明のポリエステルフイルムを得ることができ
る。
本発明の易接着層を構成する共重合体は、(a)下記
式(I) で表わされる化合物、(b)N−メチロール(メタ)ア
クリルアミド、(c)分子内にカルボキシル基を有する
エチレン系化合物及び(d)上記(a)〜(c)の化合
物と共重合可能でかつ該化合物以外の化合物所定割合で
共重合させたものであり、かつ10〜60℃の二次転移点
(Tg)を有するものである。
上記式(I)で表わされる化合物(a)としては、R1
が水素原子もしくはメチル基であってかつR2がCOOR
3(ただし、R3はC1〜C20の直鎖もしくは分枝アルキル基
である)で表わされるアクリル酸もしくはメタクリル酸
のアルキルエステル系化合物を挙げることができる。こ
れらの化合物の中、アクリル酸エステル系化合物の場合
にはR3はC1〜C20の直鎖もしくは分岐アルキル基である
ことが好ましく、このようなアルキル基としては、例え
ばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−
ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オ
クチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、イソ
ノキル基、n−デシル基等が例示できる。具体的には、
例えばメチルアクリレート、エチルアクリレート、n−
ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エ
チルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレー
ト、イソノニルアクリレート等が適用できる。また、メ
タクリル酸エステル系化合物の場合には、R3はC1〜C20
の直鎖もしくは分枝アルキル基であることが好ましく、
さらに好ましくはC1〜C4の直鎖もしくは分枝アルキル基
が好ましく、このようなアルキル基としては、例えばメ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、イソブチル基等を例示でき、具体的には
例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、
n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート
等が適用できる。
また、前記化合物(a)として、R1が水素原子もしく
はメチル基であって、かつR2がシアノ基であるシアン化
ビニル系化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロ
ニトリル等も使用できる。
これら化合物(a)の使用量は、化合物(a)〜
(d)の合計100重量%に対して70〜99重量%、好まし
くは75〜95重量%である。
前記化合物(b)としては、N−メチロールアクリル
アミド及びN−メチロールメタクリルアミドがあげられ
る。これらは単独または併用して、化合物(a)〜
(d)の合計100重量%に対して1〜10重量%、好まし
くは3〜6重量%を含んでいることが必要である。
前記化合物(c)としては、例えばアクリル酸、メタ
クリル酸、クロトン酸、シトラコン酸、イタコン酸、マ
レイン酸、フマル酸等のC3〜C5のα,β−モノ−もしく
は−ジ−不飽和カルボン酸;例えば無水マイレン酸等の
C3〜C5のα,β−ジ不飽和カルボン酸の無水物;例えば
モノブチルマレート、モノブチルフマレート、モノエチ
ルイタコネート等のC3〜C5のα,β−ジ不飽和カルボン
酸のモノアルキルエステル;例えばアクリル酸ナトリウ
ム、メタクリル酸アンモニウム等のエチレン系カルボン
酸またはα,β−ジ不飽和カルボン酸モノアルキルエス
テル化合物のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩等を
挙げることができる。これら化合物(c)の使用量は、
化合物(a)〜(d)の合計100重量%に対して0〜5
重量%、好ましくは0.5〜3重量%である。
前記化合物(d)としては、例えばアクリルアミド、
メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の如き
エチレン系カルボン酸のアミド類;例えばグリシジルア
クリレート、グリシジルメタクリレート等の如きエチレ
ン系カルボン酸とエポキシ基を有するアルコールとのエ
ステル類;例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、
2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ
エチルメタクリレート等の如きエチレン系カルボン酸の
ヒドロキシアルキルエステル類;例えばジメチルアミノ
エチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリ
レート等の如きエチレン系カルボン酸とアミノ基を有す
るアルコールとのエステル類;例えばジビニルベンゼ
ン、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、ジ
エチレングリコールジメタクリレート等の如き2個以上
の不飽和基を含む化合物;等の化合物群を挙げることが
できる。これら化合物(d)の使用量は、化合物(a)
〜(d)の合計100重量%に対して、0〜29重量%であ
る。
本発明の共重合体は通常水性分散液として入手でき
る。この「水性分散液」は前記化合物群(a)〜(d)
の中から適宜選ばれた化合物を界面活性剤または保護コ
ロイドの存在下に水性媒体中で乳化重合して得られる
(共)重合体水性分散液の単独物、またはこれら複数の
(共)重合体水性分散液のブレンド物である。
界面活性剤の使用量としては、前記化合物(a)〜
(d)の合計100重量部に対して通常約0.5〜約0.7重量
部用いられ、水性乳化共重合の重合安定性、共重合体水
性分散液の貯蔵安定性及び本発明の目的とするアクリル
系樹脂に代表される紫外線硬化樹脂に対する接着性、特
に剪断力に対する接着性を得るために、約1〜約5重量
部用いるのが好ましい。
また、保護コロイドの使用量としては、前記化合物
(a)〜(d)の合計100重量部に対して0〜3重量部
の量が例示できる。
かかる界面活性剤としては、非イオン界面活性剤類と
して、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポ
リオキシエチレンステアリルエーテル等の如きポリオキ
シアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレン
オクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニ
ルフェノールエーテル等の如きポリオキシアルキレンア
ルキルフェノールエーテル類;ソルビタンモノラウレー
ト、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレ
エート等の如きソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキ
シエチレンソルビタンモノラウレート等の如きポリオキ
シアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシ
エチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステ
アレート等の如きポリオキシアルキレン脂肪酸エステル
類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグ
リセライド等の如きグリセリン脂肪酸エステル類:ポリ
オキシエチレン、ポリプロピレンブロックコポリマー;
等を挙げることができ、また陰イオン界面活性剤類とし
て、例えばオレイン酸ソーダ等の如き脂肪酸塩類;ドテ
シルベンゼンスルホン酸ソーダ等の如きアルキルアリー
ルスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ソーダ等の如きアルキ
ル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ソー
ダ、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチ
レンラウリルスルホコハク酸ソーダ等の如きアルキルス
ルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;ポリオキシ
エチレンラウリルエーテル硫酸ソーダ等の如きポリオキ
シアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリ
オキシエチレンノニルフェノールエーテル硫酸ソーダ等
の如きポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル
硫酸エステス塩類;等を、陽イオン界面活性剤類とし
て、例えばラウリルアミンアセテート等の如きアルキル
アミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロライ
ド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド
等の第4級アンモニウム塩;ポリオキシエチルアルキル
アミン;等を、また両性界面活性剤類の例として、例え
ばラウリルベタインなどのアルキルベタイン等を挙げる
ことができる。また、これらの界面活性剤のアルキル基
の水素の一部をフッ素で置換したものも使用可能であ
る。更に、界面活性剤の分子構造中にラジカル重合性二
重結合を有する、いわゆる反応性界面活性剤も使用する
ことができる。
また、前記保護コロイドの例としては、例えば部分ケ
ン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアル
コール、変性ポリビニルアルコール等の如きポリビニル
アルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキ
シプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩
等の如きセルロース誘導体;及びグアーガムなどの天然
多糖類などが挙げられる。
また前記「水性媒体中」とは、水中または水溶性有機
溶剤の水溶液中を意味し、このような水溶性有機溶剤と
しては、特に限定されるものではなく、例えば、メチル
アルコール、エチルアルコール、エチルアルコール、イ
ソプロピルアルコール等の水溶性アルコール類;アセト
ン等の水溶性ケトン類;メチルセロソロブ、セロソロ
ブ、ブチルセロソロブ、カルビトール、ブチルカルビト
ール等の水溶性エーテル類;等を単独または複数混合し
て使用することが可能である。その使用量は、水溶性有
機溶剤の水溶液濃度として0〜約50重量%程度を例示す
ることができるが、得られる共重合体水性分散液の安定
性、安全衛生、環境汚染、及び本発明の目的とするアク
リル系樹脂に代表される紫外線硬化樹脂に対する接着性
等に剪断力に対する接着性を得るという観点から、実質
的にこれら有機溶剤を含まない水中で乳化重合を行うの
が好ましい。
更に、乳化重合に際しては、例えば過硫酸アンモニウ
ム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の如き過硫
酸塩類;ターシャリイブチルハイドロパーオキサイド、
クメンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロ
パーオキサイド等の如き有機過酸化物類;過酸化水素な
どの重合開始剤を一種以上用いることが好ましい。この
量は、前記化合物(a)〜(d)の合計100重量部に対
して0.05〜1重量部、更には0.1〜0.7重量部、特に0.1
〜0.5重量部であることが好ましい。
また乳化重合に際して、所望により還元剤を併用する
ことができる。その例としては、アスコルビン酸、酒石
酸、クエン酸、ブドウ糖等の如き還元性有機化合物;チ
オ硫酸ソーダ、亜硫酸ソーダ、重亜硫酸ソーダ、メタ重
亜硫酸ソーダ等の如き還元性無機化合物を例示できる。
その使用量は適宜選択できるが、例えば使用する前記化
合物(a)〜(d)の合計100重量部に対して約0.05〜
約1重量部の如き量を例示できる。
本発明に用いる「共重合体水性分散液」はかくして得
られた(共)重合体エマルジョンの単独物または複数の
(共)重合体エマルジョンのブレンド物であるのが好ま
しい。
かくして得られる共重合体は、二次転移点(Tg)が10
〜60℃、更には20〜50℃であるポリマーである。この二
次転移点が10℃未満のときは、本発明の目的とするアク
リル系樹脂を代表とする紫外線硬化樹脂に対する接着性
等に剪断力に対する接着性が得難く、好ましくなく、一
方60℃を超えたときは造膜性の不良等の原因で十分な被
膜強度が得難く、本発明の目的とする効果が得難く、好
ましくない。
更に該共重合体の(重量)平均粒子径は0.01〜0.3μ
m、好ましくは0.05〜0.2μmである。該共重合体の
(重量)平均粒子径が上記下限値未満のときは、該共重
合体を前記の如く水性乳化重合する際、多量の凝集物の
発生もしくはゲル化が起こるため好ましくなく、該共重
合体の(重量)平均粒子径が上記上限値を超えるとき
は、本発明の目的とするアクリル系樹脂に代表される紫
外線硬化樹脂に対する接着性特に剪断力に対する接着性
が得難く、好ましくない。
本発明における易接着性水性アンカーコート剤は、そ
のまままたは水等により適宜希釈して結晶配向の完了す
るポリエステルフイルムの少なくとも片面に、塗布する
ことができる。この場合、必要に応じて濡れ剤としての
界面活性剤の併用が可能であるし、増粘剤としてのポリ
ビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン
酸系樹脂、界面活性剤等の併用も可能である。
さらに、本発明における易接着性水性アンカーコート
剤は、所望により本発明の効果を妨げない範囲で、エポ
キシ樹脂、アミノ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタ
ン樹脂、ブロック化イソシアネート樹脂等の樹脂の水性
溶液または水性分散液を配合することができ、また酸化
チタン、クレー、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、水
酸化アルミニウム、アスベスト、カボンブラック及びフ
ロシアニンブルー等の有機または無機の充填剤、顔料、
染料や、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトール等の造
膜助剤や、老化防止剤、防腐剤、紫外線吸収剤、帯電防
止剤等を添加しても一向に差支えない。
この水性プライマー塗布液を塗工する工程は、ポリマ
ーを熔融押出してキャスティングした直後、あるいは縦
または横のどちらか一方向に延伸を行った直後のポリエ
ステルフイルム表面に行うのが好ましい。通常に行なわ
れる工程としては、縦方向に延伸した一軸フイルム上に
プライマー層を塗布し、続いて加熱しながら横延伸し、
更に高温でフイルムを熱固定すると共にプライマー層の
熱硬化を完了させる。ポリエステルフイルム上にプライ
マー層を塗工する方法としては、公知の方法が適用でき
る。例えばスプレーコート法、エアーナイフ法、リバー
スコート法、キスコート法、グラビアコート法、マイヤ
ーバー法、ロールブラッシュ法等が適用できる。適用さ
れる塗液の濃度は、コーティング方法によって異なる
が、一般には0.5〜50重量%である。塗布量はwet量で1
〜20g/m2であることが好ましい。
本発明のフイルムは、アクリル系樹脂に代表される紫
外線硬化樹脂に対する接着性特に剪断力に対する接着性
に優れ、従ってテレホンカードを初めとする各種磁気カ
ード類の基材として有用である。
<実施例> 以下実施例により本発明を詳細に説明する。なお明細
書中の種々の値は、下記の通りで測定したものである。
また、実施例中の「部」とあるのは重量部を表わす。
(1)接着性 共重合体水性分散液被覆ポリエステルフイルムの上に
紫外線硬化型印刷インキ(東洋インキFDO紅APN)をRIテ
スター(明製作所)を用いて印刷した後、中圧水銀灯
(80W/cm、一灯式;日本電池)UVキュア装置でキュアリ
ングを行い、厚み4.5μmのUVインキ層を形成する。
評価:1) このUVインキ層の上に18m/m巾のセロテープ
(ニチバン)を貼付し100m/minの高速で180゜逆剥離を
行い、その剥離荷重(g/18m/m)をもって表示する。
評価:2) このUVインキ層を爪で引っかき、その欠落の
程度を5段階で表示する。(良;51;悪) 実施例1〜4 平均粒子径0.2μmのアナターゼ型酸化チタン10重量
%及び平均粒子径4μmのシリカ1重量%を含有し、25
℃、オルソクロロフェノール中で測定したポリマーの固
有粘度が0.55のポリエチレンテレフタレートをTダイか
ら押出し、これを40℃に保持したドラム上で静電印加し
つつ冷却して厚さ2.4mmの未延伸フイルムをつくり、続
いて90℃に加熱して縦方向に3.0倍延伸し、次いでこの
一軸延伸フイルムの上に下記の組成の塗布液をキスコー
ト法で塗布した。
(塗布液の組成) 第1表の共重合体樹脂 90重量部 ノニオン系界面活性剤 10重量部 (日本油脂(株)ノニオンNS−208.5) この時のwet塗布量としては、1.5%×10.7g/m2であっ
た。
その後、110℃で3.2倍に横延伸し、続いて230℃で熱
処理し、厚さ250μの二軸延伸(易接着性)ポリエステ
ルフイルムを得た。
このフイルムの性能を第1表に示す。
なお、上表中の略号は次の通りである。
MMA;メチルメタクリレート EA ;エチルアクリレート AN ;アクリロニトロル N−MAM;N−メチロールアクリルアミド MAA;メタクリル酸 比較例1 比較のために全く塗布液を被覆していないポリエステ
ルフイルムの性能を第2表に示す。
第2表から明らかな如く、本発明の共重合体水性分散
液塗布フイルムは優れた接着性能、とりわけ剪断力に対
する接着性能を示している。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // B29K 67:00 B29L 9:00 (72)発明者 鈴木 賢司 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝人株式会社相模原事業所内 (56)参考文献 特開 昭63−158250(JP,A) 特開 昭57−25377(JP,A) 特開 昭50−43911(JP,A) 特開 昭60−149442(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリエステルフイルムの少なくとも片面に
    紫外線硬化樹脂に対する易接着層を設けた易接着性フイ
    ルムであって、該易接着層が(a)下記式(I) で表わされる化合物70〜99重量%、(b)N−メチロー
    ル(メタ)アクリルアミド1〜10重量%、(c)分子内
    にカルボキシル基を有するエチレン系化合物0〜5重量
    %及び(d)上記(a)〜(c)の化合物と共重合可能
    でかつ該化合物以外の化合物0〜29重量%を共重合して
    なり、10〜60℃の二次転移点(Tg)を有する共重合体を
    含むことを特徴とする磁気カード用易接着性ポリエステ
    ルフイルム。
  2. 【請求項2】結晶配向の完了する前のポリエステルフイ
    ルムの少なくとも片面に請求項1記載の共重合体からな
    り、重量平均粒径が0.01〜0.3μmの微粒子を含む水性
    塗布液を塗布し、次いで乾燥、延伸、熱処理を施しポリ
    エステルフイルムの結晶配向を完了させて紫外線硬化樹
    脂に対する易接着層を設けたフイルムとすることを特徴
    とする磁気カード用易接着性ポリエステルフイルムの製
    造方法。
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