JP2572286Y2 - スピーカ用ダンパー - Google Patents

スピーカ用ダンパー

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JP2572286Y2
JP2572286Y2 JP1991104656U JP10465691U JP2572286Y2 JP 2572286 Y2 JP2572286 Y2 JP 2572286Y2 JP 1991104656 U JP1991104656 U JP 1991104656U JP 10465691 U JP10465691 U JP 10465691U JP 2572286 Y2 JP2572286 Y2 JP 2572286Y2
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良雄 坂本
昭彦 芳賀
孝治 前川
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Mogami Denki Corp
Kenwood KK
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Mogami Denki Corp
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、音声信号入力用の導電
部を装着してなる、いわゆる、導電部装着型のスピーカ
用ダンパーに係り、特に導電部をコルゲーションに沿っ
た状態で装着する形式の導電部装着型ダンパーに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】図7に示すように、ボイスコイルVを磁
気回路ギャップGの中心に保持する目的で配置されるス
ピーカ用のダンパー1として、従来より、スピーカの配
線工程の省力化を図るために、同心円状のコルゲーショ
ン11に沿った形態で音声信号入力用の導電部2を装着
せしめた、いわゆる、導電部装着型ダンパーがある。こ
の導電部装着型ダンパーとしては各種のものが提案され
ているが、一般的には、図9〜図13に示す工程で製造
されており、織布Sに導電部2を装着したのち、溶剤で
希釈したフェノール樹脂H等の熱硬化型樹脂を含浸させ
ると共に、前記溶剤を揮発させて樹脂タック性を除いた
状態として、金型Dで熱プレス成型することによりコル
ゲーション11を一体成型するものである。
【0003】この図9〜13に示す従来の製造法にあっ
ては、導電部2にフェノール樹脂Hが付着したまま熱成
型されるため、硬化したフェノール樹脂Hが導電部2表
面に良好な絶縁層を形成することとなり、この導電部2
の配線作業、すなわち、導電部2とボイスコイルリード
線、導電部2と入力端子との半田付け作業等において半
田付けが不可能となって大きな障害となっていた。そし
てフェノール樹脂Hを配線作業に支障のない状態に剥離
するには極めて多くの工数を必要とし、導電部2の材
質、装着強度等の信頼性が少なかったため、実用性に乏
しかった。
【0004】前記のような従来のスピーカ用ダンパーの
製造法や配線構造における欠点を解消するために、我々
は先に2つの手法を提案した(例えば、特願平1ー17
7235号、同2ー267872号等)。第1の手法
は、図14〜図17に示すように、織布Sに溶剤で希釈
したフェノール樹脂H等の熱硬化型樹脂を含浸させると
共に乾燥炉Oで前記溶剤を揮発させて樹脂タック性を除
いた樹脂含浸織布SHを得、この樹脂含浸織布SHに、
錦糸線を平網状に編んで形成された平網錦糸線2Wを糸
Fで縫着したのち、金型Dで熱プレス成型してコルゲー
ション11を一体成型するものである。
【0005】第2の手法は、図18〜図22に示すよう
に、織布の経糸又は緯糸となるべき構成糸S1,S2に
溶剤で希釈したフェノール樹脂H等の熱硬化型樹脂を含
浸させると共に、乾燥炉Oで前記溶剤を揮発させて樹脂
タック性を除いた樹脂含浸糸S1H、S2Hを得、該樹
脂含浸糸S1H及びS2Hを主たる構成材料として織布
SHを織成し、図19に示すように、該織布SHの織成
時に該織布SHの経方向又は緯方向のいずれかの所望の
位置に導電部2の材料として錦糸線2Aを所定本数織り
込み、図20に示すように、織布SHを金型Dで熱プレ
ス成型することによりコルゲーション11を一体成型す
るものである。この第1及び第2の手法によって従来の
導電部装着型ダンパーにおける問題点を解消し、実用に
充分耐え得る導電部装着型ダンパーの提供が可能とな
り、実際に量産されている。
【0006】
【考案が解決しようとする課題】しかし、前記第1及び
第2の手法においても更に改良すべき点が見出だされ
た。例えば、第1の手法の場合、平網錦糸線2Wを糸F
で樹脂含浸織布SHに縫着する工程では工業用ミシンが
用いられている。ミシンは上糸と下糸とで縫い付けてい
く方法が通常に使用されており、ミシンの構造から上糸
の量よりも下糸の量がはるかに少ない状態であるのが一
般的である。従って、生産量が多くなるほど下糸ボビン
を頻繁に交換して下糸を供給せねばならず、縫着工程を
頻繁に止めることになって生産効率が落ちる難点があ
り、この難点に対応するために下糸が不要なミシンを使
用する場合には縫い付け糸や平網錦糸線2Wのほつれが
生じる等の欠点があり、導電部装着型ダンパーを生産す
るには不向きである。
【0007】第2の手段の場合には第1の手段のような
難点はないが別の解決すべき点がある。すなわち、第1
の手段においては、導電部材として平網状に編んだ錦糸
線が使用されるが、第2の手段においては、平網状や紐
状に編組する前の錦糸線2Aを織布SHの経糸S1又は
緯糸S2として織り込むものであるから、図19に示す
ように、錦糸線2Aが単独で平行に配置され、複数本の
錦糸線2Aを平網状や紐状に編組した場合と異なり、錦
糸線2A同士が互いに交差し接触することはない。従っ
て1本の錦糸線2Aが断線した場合に他の錦糸線2Aが
補助をするようなフェイルセーフ機能がない欠点を有す
る。この欠点に対応するために錦糸線2Aの織込み本数
を増やすと、必然的に織布SHにおける錦糸線2Aの占
める幅が増大することとなり、該織布SHにおける硬さ
の分布が偏り、ダンパーとしての硬さ分布が不安定にな
る欠点を有している。
【0008】本考案の目的は前記した従来の欠点を解消
すると共に、我々が先に提案した導電部装着型ダンパー
の優れた機能を更に改良発展させることができ、より高
性能で高品質な導電部装着型ダンパーをより安価に提供
することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本考案に係るスピーカ用
ダンパーは、織布からなるダンパーに熱成型加工により
同心円状のコルゲーションを連続的に一体成型すると共
に、該ダンパーの内周部側から外周部側に前記コルゲー
ションに沿わせた形態で音声信号入力用の導電部を装着
してなるスピーカ用ダンパーにおいて、繊維 に銅箔を巻
き付けてなる錦糸線(2A)を複数本用いて平網状に編
んで導 電部材(2W)を形成し、該導電部材(2W)を
織布の経方向又は緯方向に経糸又は緯糸と平行に織り込
むことにより前記導電部を形成したものである。この場
合、織布の経糸又は緯糸と交差すべき導電部材を該織布
の経糸又は緯糸に対して飛び越し織りさせることがで
き、また、導電部の表面側又は裏面側に絶縁層を形成す
るために、導電部材と平行すべき経糸又は緯糸を導電部
の幅と略同様になる程度の本数で導電部の表裏いずれか
の側に配置して織り込むことができる。
【0010】
【作用】織布の経糸又は緯糸となるべき構成糸に溶剤で
希釈したフェノール樹脂H等の熱硬化型樹脂を含浸させ
ると共に、乾燥炉で前記溶剤を揮発させて樹脂タック性
を除いた樹脂含浸糸を得、該樹脂含浸糸を経糸又は緯糸
として織布を織成するが、このとき、繊維に銅箔を巻き
付けてなる錦糸線を複 数本用いて平網状に編んで導電部
材を形成し、該導電部材を織布の経方向又は緯方向に経
糸又は緯糸と平行に織り込むことにより導電部を形成す
る。このようにして導電部材織込み織布を金型で熱プレ
ス成型することによりコルゲーションを一体成型する。
このような構成の導電部装着型ダンパーは、導電部材た
る平網状の錦糸線にフェノール樹脂等が付着することな
く熱成型が可能であり、しかも平網錦糸線を織布に織り
込むことにより、縫着工程そのものが不要となる。従っ
て生産効率が向上すると共に、導電部材たる錦糸線の断
線に対してもフェイルセーフ機能を有し、硬さ分布の変
化も少ない信頼性の優れた導電部装着型ダンパーを得る
ことができる。
【0011】
【実施例】本考案に係るスピーカ用ダンパーの実施例を
図1〜図9に基づいて説明するが、図10〜図22に基
づいて説明した従来のものと同一部分については同一符
号を付してその詳細な説明は省略する。本考案のスピー
カ用ダンパーは、織布SHからなるダンパー1に熱成型
加工により同心円状のコルゲーション11を連続的に一
体成型すると共に、該ダンパー1の内周部1a側から外
周部b側に前記コルゲーション11に沿わせた形態で音
声信号入力用の導電部2を装着してなるスピーカ用ダン
パーにおいて、複数本の錦糸線を平網状に編んで形成し
た導電部材2Wを織布SHの経方向又は緯方向に経糸S
1又は緯糸S2と平行に織り込むことにより前記導電部
2を形成したものである。実施例においては、織布を構
成する経糸S1及び緯糸S2として綿糸30を使用し、
該綿糸30をフェノール濃度約30%の溶液にデッピン
グしてフェノール樹脂Hを含浸させ、乾燥炉Oで溶剤を
揮発させて樹脂タック性を除いて樹脂含浸糸31を得
た。この樹脂含浸糸30を経糸S1及び緯糸S2として
織布SHを構成するが、導電部2を構成する導電部材と
して、200デニールのパラ系アラミド繊維を中心糸と
して該中心糸に幅0.32mm、厚さ0.027mmの錫合
金銅箔を22回/cmで1層に巻き付けてなる錦糸線2A
を13本集め、編組ピッチ約27.45mm/回で平網状
に編組した平網錦糸線12Wを製作し、この平網錦糸線
12Wを前記織布SHの緯糸S2と平行で任意の位置に
配置して織り込んだものである。
【0012】本実施例の場合は平網錦糸線12Wがダン
パー1の中心線上に設置されたものと、ダンパー1の中
心線に平行で約20ミリの間隔で2カ所に設置されたも
のとを製造したが、該平網錦糸線12Wと交差する経糸
S1のパターンは自由に選ぶことができる。例えば、最
も容易な手法として、図2及び図4に示すように、平網
錦糸線12Wを緯糸のうちの一本とし、経糸S1を交互
に該平網錦糸線12Wの表裏に通す方法があり、他の例
としては、図3に示すように、平網錦糸線12Wと交差
する経糸S1のうちの1本を該平網錦糸線12Wの表面
に通すと共に、3本を裏に通す方法等がある。
【0013】また、該平網錦糸線12Wの表側若しくは
裏側に該平網錦糸線12Wと交差すべき緯糸S2又は経
糸S1で絶縁層Zを設けるために、平網錦糸線12Wの
表側若しくは裏側に該平網錦糸線12Wと平行にほぼ同
様の幅になる本数の緯糸S2若しくは経糸S1を配置し
て織り込むことも可能である。この実施例として、図5
においては、緯糸S2が該平網錦糸線12Wの表面側、
即ち、図5において右側に13本配置され、該緯糸S2
及び該平網錦糸線12Wと交差する経糸S1は図3で説
明したように、4本中の1本が該平網錦糸線12Wの表
側を通り、残り3本は織布SHを構成する経糸S1と同
様に前記緯糸S2と交互に交差している。従って、前記
平網錦糸線12Wの表側を通った経糸S1が該平網錦糸
線12Wを織布SHの表面に固定するような織り込み方
法になっている。なお、この実施例以外に、ダンパー1
の性能や形状に合わせてパターンを目的に合わせて自由
に選択することができるのは勿論である。
【0014】前記のようにして平網錦糸線12Wを織り
込んでなる織布SWを、図6のように、金型Dの温度を
約250°Cにセットした熱成型プレスで約10秒間プ
レスし、同心円状の多数のコルゲーション11を一体成
型する。このとき、成型前に平網錦糸線12Wの表面に
クリーム半田を所定の位置に塗布しておいて該熱成型と
同時に平網錦糸線12Wの端末部に半田処理2hを施し
ている。熱成型プレス後余分な部分を外径切断プレス等
でトリミングし、平網錦糸線12Wからなる導電部2を
コルゲーション11に沿った状態で装着した導電部装着
型のダンパー 1を製造する。
【0015】
【考案の効果】本考案に係るスピーカ用ダンパーによれ
ば、織布を構成する経糸又は緯糸と平行に導電部材を織
り込んで導電部を形成するに際し、繊維に銅箔を 巻き付
けてなる錦糸線を複数本用いて平網状に編んで導電部材
を形成し、 該導電部材を織布の経方向又は緯方向に織り
込むものであるから、通常の錦糸線を織り込むものと異
なり、断線に対してもフェイルセーフ機能を有し、硬さ
分布の変化も少ない信頼性の高いダンパーとすることが
できる。また、織布を構成する経糸又は緯糸に含浸させ
る熱硬化型樹脂の含浸濃度を任意に調整したり、熱硬化
型樹脂を含浸しない糸を所定の位置に配置し、或は含浸
濃度の一定な太さの異なった糸を所定の位置に所定数配
置することにより、硬さ調整することもできる。
【0016】更に、織布の経糸又は緯糸と交差すべき導
電部材を該織布の経糸又は緯糸に対して飛び越し織りさ
せることができ、導電部材と平行すべき経糸又は緯糸を
導電部の幅と略同様になる程度の本数で導電部の表裏い
ずれかの側に配置して織り込むことができるから、導電
部の表面側又は裏面側に絶縁層を形成することも可能で
あり、鉄板フレーム等の導電性を有するフレームに貼り
付けてもショートの心配のない導電部装着型ダンパーと
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】織布を構成する経糸又は緯糸にフェノール樹脂
を含浸させる工程を示す概略図である。
【図2】本考案の実施例を示す導電部装着型のダンパー
の部分拡大図である。
【図3】導電部装着型のダンパーの他の構成例を示す部
分拡大図である。
【図4】本考案の実施例を示す導電部装着型のダンパー
の縦断面拡大図である。
【図5】導電部装着型のダンパーの他の構成例を示す縦
断面拡大図である。
【図6】ダンパーの成型工程を示す概略図である。
【図7】本考案に係る導電部装着型のダンパーの平面図
である。
【図8】ダンパーの配置例を示すスピーカの断面図であ
る。
【図9】従来の導電部装着型ダンパーにおけるダンパー
と導電部とを示す断面図である。
【図10】従来のダンパー製造の概略図である。
【図11】従来のダンパーにおける織布と導電部との関
係を示す拡大断面図である。
【図12】従来のダンパーにおける織布と導電部との関
係を他の角度から見た拡大断面図である。
【図13】金型の断面図である。
【図14】我々が先に提案したダンパーの製造工程にお
いて、織布にフェノール樹脂を含浸させる工程を示す概
略図である。
【図15】我々が先に提案したダンパーにおけるフェノ
ール樹脂含浸織布を示す断面図である。
【図16】我々が先に提案したダンパーの製造工程を示
す概略図である。
【図17】我々が先に提案したダンパーの平面図であ
る。
【図18】我々が先に別に提案したダンパーの製造工程
における経糸及び緯糸の処理工程を示す概略図である。
【図19】我々が先に別に提案したダンパーの拡大平面
図である。
【図20】我々が先に別に提案したダンパーの拡大断面
図である。
【図21】我々が先に別に提案したダンパーの成型工程
を示す概略図である。
【図22】我々が先に別に提案したダンパーの平面図で
ある。
【符号の説明】
1はダンパー 11はコルゲーション 2は導電部 2Wは導電部材 2Aは錦糸線 12Wは平網錦糸線 SHは織布 S1は経糸 S2は緯糸 Zは絶縁層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 前川 孝治 山形県最上郡真室川町大字新町字塩野 954番の1最上電機株式会社内 (56)参考文献 特開 平3−43000(JP,A) 特開 昭64−897(JP,A) 特開 昭61−218299(JP,A) 特開 昭62−141897(JP,A) 特開 平4−144500(JP,A) 実開 昭56−56296(JP,U) 特公 平7−10120(JP,B2)

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 織布(SH)からなるダンパー(1)に
    熱成型加工により同心円状のコルゲーション(11)が
    連続的に一体成型され、該ダンパーの内周部(1a)側
    から外周部(1b)側に前記コルゲーション(11)に
    沿わせた形態で音声信号入力用の導電部(2)を装着し
    てなるスピーカ用ダンパーにおいて、繊維に銅箔を巻き付けてなる錦糸線(2A)を複数本用
    いて平網状に編 んで導電部材(2W)を形成し、該導電
    部材(2W)を 織布の経方向又は緯方向に経糸(S1)
    又は緯糸(S2)と平行に織り込むことにより前記導電
    部(2)が形成されていることを特徴とするスピーカ用
    ダンパー。
  2. 【請求項2】 織布(SH)の経糸(S1)又は緯糸
    (S2)と交差すべき導電部材(2W)が該織布の経糸
    又は緯糸に対して飛び越し織りされていることを特徴と
    する請求項1記載のスピーカ用ダンパー。
  3. 【請求項3】 導電部材(2W)と平行すべき経糸(S
    1)又は緯糸(S2)が導電部(2)の幅と略同様にな
    る程度の本数で導電部(2)の表裏いずれかの側に配置
    され織り込まれていて、導電部(2)の表面側又は裏面
    側に絶縁層が形成されていることを特徴とする請求項1
    記載のスピーカ用ダンパー。
JP1991104656U 1991-11-27 1991-11-27 スピーカ用ダンパー Expired - Lifetime JP2572286Y2 (ja)

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JPH0548495U JPH0548495U (ja) 1993-06-25
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