JP2571253B2 - 蓄熱冷暖房装置の製氷熱交換器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、蓄熱冷暖房装置の製氷熱交換器に係り、特
に、その組立の容易化と原価低減を図るのに好適な蓄熱
冷暖房装置の製氷熱交換器に関するものである。

［従来の技術］ 近年、電力需要の増大にともなって、電力負荷の昼夜
間格差が拡大する傾向にあり、電力需要の平準化対策と
して有効な蓄熱式空調システムの開発が、重要な技術課
題として進められている。

例えば、日立評論VOL.66.No.6（1984−６月）P.17〜2
0には小栗正裕ほかにより「ユニット式氷蓄冷暖房シス
テム」という技術レポートが掲載されている。

まず、従来の蓄熱冷暖房装置について第６図を参照し
て説明する。

第６図は、一般的な空冷ヒートポンプ式氷蓄熱冷暖房
装置の熱源装置部の略示構成図である。

第６図において、11は空冷ヒートポンプ式チラーユニ
ット（以下単にチラーユニットという）、12は、このチ
ラーユニット11から得られる低，高温ブラインにより製
氷蓄熱，温水蓄熱を行う蓄熱槽、13は、チラーユニット
11から得られる低，高温ブラインにより冷，温水を得る
ためのブライン／水熱交換器、14は、一点鎖線で示すブ
ライン配管に配設され、ブラインを循環させるためのブ
ラインポンプ、15は、前記ブライン／水熱交換器13と負
荷側とを接続する配管に配設された冷温水ポンプであ
り、これらで負荷側に対する熱源装置10が構成されてい
る。

蓄熱槽12は、合成樹脂と断熱材で形成された槽体内
に、例えばポリエチレンチューブを蛇行状に成形してな
る製氷熱交換器12aを組込んだものであり、この製氷熱
交換器2bの製氷用チューブは、ブライン配管に接続され
ている。

蓄氷運転においては、チラーユニット11で得られた低
温ブラインを、太い黒矢印のように蓄熱槽12の製氷熱交
換器12aに導き、チラーユニット11と製氷熱交換器12aと
を結ぶブライン配管内をブラインポンプ14を介して循環
させて蓄熱槽12の槽体内の水を冷却して、製氷熱交換器
12aの製氷用チューブの外周に着氷を生ぜしめる。

この蓄氷運転は、基本的には夜間、電力消費の少ない
時間に行なって蓄氷し、昼間の空調負荷の大きいときに
解氷放熱するものである。

［発明が解決しようとする課題］ 上記のような蓄熱冷暖房装置に用いる従来の製氷熱交
換器は、製氷用チューブとしてポリエチレンチューブを
採用し、蛇行状に成形したポリエチレンチューブを、多
数のサポートで支持して熱交換器を構成しており、その
支持に当ってはポリエチレンチューブをサポートの支持
部材に取付バンドで固定するなど複雑な支持手段を用い
ていた。また、ポリエチレンチューブをブライン配管に
接続するためには、ブライン配管に接続したヘッダー
に、管継手を介して連結していた。したがって、サポー
ト形状の複雑さと数の多さ、チューブ間の管継手の数の
多さなどから、その製作に当って作業効率が悪く、材料
費および加工費の両面からコスト高となっていた。

本発明は、上記の従来技術の問題を解決するためにな
されたもので、部品点数を少なくし、組立作業を容易に
して、原価を低減しうる蓄熱冷暖房装置の製氷熱交換器
の提供を、その目的とするものである。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本発明に係る蓄熱冷暖房
装置の製氷熱交換器の構成は、ブライン配管に接続する
ヘッダーと、このヘッダーに接続する製氷用チューブ
と、これらヘッダーおよび製氷用チューブを支持するた
めのサポートとを蓄熱槽内に設けてなる蓄熱冷暖房装置
の製氷熱交換器において、製氷用チューブは、蛇行状に
形成してユニット化し、このユニット化した蛇行状チュ
ーブを複数段に積層して熱交換部を構成するものとし、
サポートは、前記ユニット化した蛇行状チューブを貫通
しうる長穴を、複数段の積層段ごとに形設したものを少
なくとも２個配設するようにして、当該サポートの複数
の積層段ごとの長穴に、前記ユニット化した蛇行状チュ
ーブを挿着するものとし、ヘッダーは、ブラインを循環
させるべき２本のヘッダーとし、この２本のヘッダー
に、前記ユニット化した蛇行状チューブの両端を、その
積層段ごとの対応する位置に接続しうるようにしたもの
である。

なお付記すると、本発明は、製氷用チューブに銅チュ
ーブを用い、管継手を必要としないように蛇行状に一本
化したユニットを形成して、組立の容易化および部品点
数の削減をはかったものである。

［作用］ 上記技術的手段による主要な働きは次のとおりであ
る。

製氷用チューブに係る銅チューブは、熱交換部を構成
する積層段毎に蛇行状に一本化されたものを用いてお
り、その単位部品（ユニット）の中では継手およびロー
付けがない。

また、チューブユニットを蛇行状にして、サポート
に、積層段ごとに形設された長穴に容易に挿着できる。

さらに、ブライン配管に接続する２本のヘッダーに、
複数段に積層した蛇行状チューブの各ユニツトの両端
を、積層段に対応するピッチ配列でロー付けして安価に
製氷熱交換器を組立てることができる。

［実施例］ 以下、本発明の一実施例を、第１図ないし第５図を参
照して説明する。

第１図は、本発明の一実施例に係る蓄熱冷暖房装置の
製氷熱交換器に用いる製氷用チューブの斜視図、第２図
は、その製氷熱交換器に用いるサポートの斜視図、第３
図は、そのサポートに製氷用チューブを挿着した状態を
示す斜視図、第４図は、製氷用チューブとヘッダーとを
接続して組立を終った製氷熱交換器の斜視図、第５図
は、製氷用チューブとヘッダーとの接続方法を示す説明
図である。

第１図ないし第４図は、製氷熱交換器を構成する部品
とその組立手順を示すものである。

第１図に示す製氷用チューブ１は、銅チューブを用
い、蛇行状に１本化して単位部品（ユニット）すなわち
銅チューブユニット１−1,1−2,1−３を形成する。その
蛇行の仕方は、第１図に示すように、例えば銅チューブ
ユニット１−１についていえば、両端に係る接続端６−
1,7−１が、後述する２本のヘッダーに接続しうる間隔
を保つようにして、一方の接続端６−１から外まわりし
て内側に複数回蛇行し、屈曲端1aを複数並列したのち他
の接続端７−１が、接続端６−１の内側にくるように曲
げ成形されるものである。銅チューブユニット１−2,1
−３についても同様に、その両端の接続端６−2,7−２
と６−3,7−３とがそれぞれヘッダーに接続しうる間隔
を保つ。

第２図に示すサポート２は、１枚板の打抜き成形加工
で形成される２個（一対）のサポート２−1,2−２を対
向するように配設するもので、下枠8,ステー９で剛性を
保持するように構成されている。

一対のサポート２−1,2−２の面には、前記銅チュー
ブユニット１−1,1−2,1−３の屈曲端1aを貫通しうる長
穴３−1,3−2,3−３を、銅チューブユニットの積層段ご
とに所定のピッチ配列で穿設している。

本実施例の説明では、蛇行状の銅チューブユニットは
３段に積層し、屈曲端1aは３個並列のものを示している
が、実用上は多数段積層し蛇行回数もさらに多数にして
よいことは言うまでもない。第２図のサポート２−1,2
−２には、長穴３−1,3−2,3−３等の間に３−１′,3−
２′,3−３′を形設してあり、図示しない銅チューブユ
ニット１−１′等を積層できるように構成されている
が、第3,4図では、図が煩雑になるので、長穴３−１′,
3−２′,3−３′への銅チューブユニットの組立状態の
図示を省略している。

第３図は、前記サポート２に、製氷用チューブ１を組
立てた状態を示している。

すなわち、一対のサポート２−1,2−２の長穴３−1,3
−2,3−３の部分へ、銅チューブユニット１−1,1−2,1
−３を矢印の方向に、屈曲端1aを長穴に挿入するように
して組立てる。

次に、第４図は、製氷用チューブ１をヘッダー４に接
続して製氷熱交換器の組立が終わった状態を示してい
る。

先に第６図で説明したブライン配管に接続するヘッダ
ー４は、ブラインを製氷用チューブに通して循環させる
ため２本のヘッダー４−1,4−２を備え、管継手の接続
口５−1,5−２を介してブライン配管に連結される。２
本のヘッダー４−1,4−２は、第４図に示すように並列
に直立している。この２本のヘッダー４−1,4−２に
は、製氷用チューブ１の積層段に対応するピッチ配列
で、上記した銅チューブユニット１−1,1−2,1−３の両
端に係る接続端６−1,7−1,6−2,7−2,6−3,7−３をロ
ー付けできるようチューブ接続穴が穿孔されており、第
４図のように各銅チューブユニットの両端が２本のヘッ
ダーにロー付けにより連結される。

第５図は、その接続部の位置関係を示す説明図であ
る。

銅チューブユニット１−１の一方の接続端６−１はヘ
ッダー４−１にロー付けされ、他方の接続端７−１は、
他のヘッダー４−２にロー付けされる。次の積層段の銅
チューブユニットを１−１′として２点鎖線で示せば、
この銅チューブユニット１−１′の一方の接続端６−
１′はヘッダー４−２にロー付けされ、他方の接続端７
−１′はヘッダー４−１にロー付けされている。すなわ
ち、２本のヘッダー４−1,4−２のチューブ接続部のピ
ッチ配列は、銅チューブユニット１−1,1−１′１−2,
…の積層段ごとに、ヘッダーからチューブへの流出点、
チューブからヘッダーへの流入点が、各ヘッダー４−1,
4−２別にみれば互い違いになるように配列されてい
る。

本実施例によれば、製氷熱交換器を構成する部品の種
類が製氷用チューブ１、サポート２、ヘッダー４の３種
類で、製氷用チューブ１は、蛇行状に１本化された銅チ
ューブユニット１−1,1−2,1−３であり、各ユニット内
で継手を用いておらず、サポートは少なくとも２個のサ
ポート２−1,2−２からなるほど、従来にくらべ部品点
数が少ない。

また、組立手順も、銅チューブユニットの屈曲端1aを
サポート２の長穴３−1,3−2,3−3,…に挿着するという
単純な作業でよく、ヘッダー４への銅チューブユニット
の接続も、銅チューブユニットの両端を２本のヘッダー
４−1,4−２へロー付けすることによってなされ、組立
作業も容易で作業効率がよい。

したがって、部品点数、作業の容易性の両面から減価
低減の効果が大きい。

なお、上記の実施例では、サポートは、２個（一対）
のサポート２−1,2−２を用いているが、製氷熱交換器
の容量によっては、３個以上のサポートで支持すること
も可能である。

［発明の効果］ 以上述べたように、本発明によれば、部品点数を少な
くし、組立作業を容易にして、原価を低減しうる蓄熱冷
暖房装置の製氷熱交換器を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の一実施例に係る蓄熱冷暖房装置の製
氷熱交換器に用いる製氷用チューブの斜視図、第２図
は、その製氷熱交換器に用いるサポートの斜視図、第３
図は、そのサポートに製氷用チューブを挿着した状態を
示す斜視図、第４図は、製氷用チューブとヘッダーを接
続して組立を終わった製氷熱交換器の斜視図、第５図
は、製氷用チューブとヘッダーとの接続方法を示す説明
図である。 １……製氷用チューブ、１−1,1−2,1−3,1−１′……
銅チューブユニット、1a……屈曲端、2,2−1,2−２……
サポート、３−1,3−2,3−３……長穴、4,4−1,4−２…
…ヘッダー、６−1,6−2,6−3,7−1,7−2,7−3,6−
１′,7−１′……接続端、12……蓄熱槽。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坪田 祐二 東京都千代田区内幸町１丁目１番３号 東京電力株式会社内 (72)発明者 山下 輝美 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社 日立製作所土浦工場内 (72)発明者 小野田 利介 茨城県土浦市神立町603番地 株式会社 日立製作所土浦工場内 (56)参考文献 実開 昭62−45577（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−78835（ＪＰ，Ｕ) 実開 平１−88238（ＪＰ，Ｕ)

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ブライン配管に接続するヘッダーと、この
   ヘッダーに接続する製氷用チューブと、これらヘッダー
   および製氷用チューブを支持するためのサポートとを蓄
   熱槽内に設けてなる蓄熱冷暖房装置の製氷熱交換器にお
   いて、製氷用チューブは、蛇行状に形成してユニット化
   し、このユニット化した蛇行状チューブを複数段に積層
   して熱交換部を構成するものとし、サポートは、前記ユ
   ニット化した蛇行状チューブを貫通しうる長穴を、複数
   段の積層段ごとに形設したものを少なくとも２個配設す
   るようにして、当該サポートの複数の積層段ごとの長穴
   に、前記ユニット化した蛇行状チューブを挿着するもの
   とし、ヘッダーは、ブラインを循環させるべき２本のヘ
   ッダーとし、この２本のヘッダーに、前記ユニット化し
   た蛇行状チューブの両端を、その積層段ごとの対応する
   位置に接続しうるように構成したことを特徴とする蓄熱
   冷暖房装置の製氷熱交換器。
2. 【請求項２】特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、製氷用チューブを銅チューブとしたものである蓄熱
   冷暖房装置の製氷熱交換器。
3. 【請求項３】特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、ユニット化した蛇行状チューブは、その両端を２本
   のヘッダーにそれぞれ接続しうる間隔に近接させて形成
   したものである蓄熱冷暖房装置の製氷熱交換器。
4. 【請求項４】特許請求の範囲第１項記載のものにおい
   て、２本のヘッダーは、複数段に積層した蛇行状チュー
   ブの各ユニットの両端を、各段ごとにろう付け接続しう
   るピッチ配列で接続用の穴を設けたものである蓄熱冷暖
   房装置の製氷熱交換器。
5. 【請求項５】特許請求の範囲第４項記載のものにおい
   て、２本のヘッダーのチューブ接続穴のピッチ配列は、
   ユニット化した蛇行状チューブの積層段ごとに、ヘッダ
   ーからチューブへの流出点、チューブからヘッダーへの
   流入点が互い違いになるように配列したものである蓄熱
   冷暖房装置の製氷熱交換器。