JP2570387Y2 - ガス燃焼エンジンの混合ガス供給装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、液化天然ガス、圧縮天
然ガス等のガスを燃焼させて回転するエンジン、特に空
気導入路中に燃料を導入する燃料通路を配置し、その燃
料通路の導出口にばねで付勢されたダイアフラムを有す
る空気の負圧によって作動する燃料供給調整弁を設け、
液化天然ガス、圧縮天然ガスと空気を混合させて、エン
ジンに供給するガス燃焼エンジンの混合ガス供給装置に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の前述のようなガスと空気とを混合
させて燃焼するエンジンにおいて、ガスと空気との混合
を行う混合ガス供給装置は、図５に示すように燃料ガス
を導入する燃料通路１が空気導入路２中に配設されてい
る。

【０００３】この燃料通路１の導出口３に対向して、ば
ね４で付勢されているダイアフラム５に取り付けられて
いる燃料供給調整弁６が設けられており、空気導入路２
の出口側７には、燃料と空気が混合された混合ガスの流
量を制御して、エンジンの回転を制御するスロットルバ
ルブ８が設けられている。

【０００４】尚、図中符号９は、燃料ガスの最大供給量
を制御して、エンジンの最大出力を設定する調整弁であ
る。この混合ガス供給装置は、エンジンの回転によって
混合気の吸入が行われると、空気は空気導入路２から吸
入されて出口側７に向かって流れるが、この際に燃料通
路１の導出口３の周囲を通過する。

【０００５】この時に、この周囲を通過する空気の量が
多くなれば、この空気が導出口３を迂回する際にダイア
フラム５を押すので、ダイアフラム５に取り付けられて
いる燃料供給調整弁６が導出口３から遠ざかるようにな
り、導出口３が開かれるものであるが、その開度は、導
出口３の周囲を通過する空気の量に比例し、かくして燃
料と空気の混合比率は一定に保たれる。

【０００６】このような、混合ガス供給装置を使用する
ガス燃焼エンジンにおいて、例えば上り坂道等の負荷の
多い道から急に平坦、或いは下り坂道等の急激に負荷の
少ない道に移行した際に、アクセルペダルを弛めず、ス
ロットルバルブ８が閉められない場合には、混合ガスの
供給量が減少しないので、エンジンの回転は負荷が少な
いことに起因して、回転数が増加し、危険回転域にまで
達してしまう。

【０００７】このような、エンジンの過回転による危険
防止のために、従来は危険回転数の手前の設定回転数に
達した時に、エンジンの点火プラグの点火を停止し、エ
ンジンを停止させるようになっていた。

【０００８】尚、燃焼式ガス機関として、従来特開平３
−２５３７４８号公報に示すものが知られている。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】前述のようなエンジン
の回転停止装置が用いられているエンジンを、自動車の
エンジンとした際には、エンジンの回転停止に伴って、
急激なエンジンブレーキが掛かった状態となり、急激に
停止することになって運転者や同乗者の姿勢が崩れ、或
いは後続車両が追突する恐れがある。

【００１０】本考案は、点火プラグの点火中止のような
エンジンの急激な停止に伴う危険性を排除するため、エ
ンジンの急激な停止を防止して安全を図ることを目的と
する。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本考案は、空気導入路中
に燃料を導入する燃料通路を配置し、その燃料通路の導
出口に、ばねで付勢されたダイヤフラムを有する空気の
負圧によって作動する燃料供給調整弁を設けたガス燃焼
エンジンの混合ガス供給装置において、上記燃料供給調
整弁と連動し、混合ガス供給装置の外方の空気を前記ダ
イヤフラム内に導入・遮断することを制御する電磁開閉
制御弁と、前記電磁開閉制御弁に対し制御信号を出力す
る制御手段と、を具備し、該制御手段は、前記ガス燃焼
エンジンの危険回転数より低い回転数設定値を大小２個
設定し、前記エンジン回転数センサからのエンジン回転
数と、前記設定した回転数設定値と比較し、前記電磁開
閉弁に対し空気導入・遮断を２種類に制御する制御信号
を出力するように構成したこと、を特徴とするものであ
る。

【００１２】

【作用】本考案のガス燃焼エンジンの混合ガス供給装置
は、エンジンの回転が所定以上の過回転域になると、そ
の際のエンジン回転センサからの回転数信号が制御手段
に印加される。制御手段には、予め回転数と電磁開閉制
御弁との対応関係を定める要素が組み込まれているか
ら、前記印加された信号に基づいて、電磁開閉制御弁の
開放・遮断を制御する信号を電磁開閉制御弁に印加す
る。対応関係を定める要素として、先ずガス燃焼エンジ
ンの危険回転数より低い値の回転数を大小２個設定して
おく。そしてエンジン回転センサからの回転数信号を前
記回転数設定値と比較する。そして比較結果に応じ電磁
開閉弁に対する制御信号を２種類発生させる。そのた
め、燃料供給調整弁は２段階にわたって閉鎖されて行く
ため、緩やかにエンジンを停止することが出来る。

【００１３】

【実施例】次に、本考案の実施の一例を、図１〜図４に
ついて以下に説明するが、従来のガス燃焼エンジンの混
合ガス供給装置と同一部分には同一符号を付して、その
説明を省略する。

【００１４】この実施例においては、混合ガス供給装置
として、燃料通路１の左右両側に導出口３ａ、３ｂとし
て２個設けられ、各導出口３ａ、３ｂのそれぞれに対向
して、ばね４ａ、４ｂに付勢されているダイアフラム５
ａ、５ｂに取り付けられた燃料供給調整弁６ａ、６ｂが
設けられている混合ガス供給装置が用いられる。

【００１５】そして、ばね４ａ、４ｂが設けられている
ダイアフラム５ａ、５ｂのダイアフラム室ａ、ｂには、
大気の導入を制御する電磁バルブＡ、Ｂが設けられ、エ
ンジンの回転数を検出する回転センサ１０の検出した回
転数が入力される制御回路１１の出力で、これらの電磁
バルブＡ、Ｂは動作する。

【００１６】前記制御回路１１は、図４のフローチャー
トに基づいて制御を行うもので、エンジンを始動するキ
ースイッチがオンされると、ステップＳ１としてスター
トし、ステップＳ２としてエンジンの回転数を検出する
回転センサ１０の回転数ＮＥが入力され、ステップＳ３
としてその回転数が予め設定してある回転数ＮＥ１以下
であるか否かの判断が行われる。

【００１７】この回転数ＮＥ１は、図３のスロットルバ
ルブ８が全開の時の負荷に対するエンジンの回転数を示
す曲線ＷＯＴのエンジンの回転が最大、即ち危険回転数
ＮＥＭに達する前の負荷に対して、エンジンの回転数が
緩やかな上昇になる位置以前の回転数に設定される。

【００１８】前記のステップＳ３において、回転数ＮＥ
が回転数ＮＥ１よりも低い場合にはステップＳ４に至
り、電磁バルブＡ、Ｂへの電流は遮断された状態を維持
し、混合ガス供給装置は、従来と変わらない動作を継続
する。

【００１９】しかし、前記のステップＳ３において、回
転数ＮＥが回転数ＮＥ１と同じ、若しくは多い場合に
は、ステップＳ５に移行して、電磁バルブＡに電流を流
してこれを動作させる。電磁バルブはその内部が貫通す
るので、ダイヤフラム室ａ内に混合ガス供給装置の外方
から大気を導入して、ダイヤフラム５ａをして導出口３
ａに向かって移動させるから、燃料供給調整弁６ａは、
図１において左方へ移動し、導出口３ａを閉鎖させる。

【００２０】この導出口３ａの閉鎖により、燃料通路１
からの燃料の流出量は減じ、出口側７での混合気は希薄
となってエンジンの出力は低下して、その回転数が低下
するようになる。

【００２１】その結果として、ステップＳ６としてエン
ジンの回転数ＮＥが回転数ＮＥ２よりも高いか否かの判
断を行い、この時の回転数ＮＥが回転数ＮＥ２よりも低
い場合にはステップＳ７に至り、電磁バルブＢへの電流
の遮断状態を維持し、導出口３ｂからの燃料供給は継続
される。

【００２２】この設定した回転数ＮＥ２は、前記回転数
ＮＥ１よりも高いが、危険回転数ＮＥＭよりも低い回転
数であり、エンジンは導出口３ａの閉鎖によって回転数
が低下するのが普通であるが、負荷の低減がそれ以上で
ある場合等に一層上昇する場合があるので、図３の前記
曲線ＷＯＴの回転数ＮＥ１よりも高い回転の位置にこの
回転数ＮＥ２を設定するものである。

【００２３】そして、この時の回転数ＮＥが回転数ＮＥ
２と同じ、もしくはそれ以上である場合には、ステップ
Ｓ８に至り、電磁バルブＢに電流を供給し、これを動作
させて、ダイアフラム室ｂ内に大気を導入する。

【００２４】すると、電磁バルブＡの場合と同様に、燃
料供給調整弁６ｂが導出口３ｂを閉鎖するので、燃料供
給調整弁６ａの導出口３ｂの閉鎖と相まって、空気導入
路２への燃料ガスの供給は皆無となり、エンジンは停止
するものである。

【００２５】このようなステップＳ４、ステップＳ７、
ステップＳ８が行われた後に、ステップＳ２に戻り、上
記の動作を反復するものであり、エンジンに電流を供給
するキースイッチが切られることによって、このフロー
チャートはステップＳ９として、終了するものである。

【００２６】このようにして、この実施例においては、
２段階にエンジンの回転数を低下させる処置が行われる
ので、エンジンの回転が急激に停止されることがなく、
これに伴う前記の危険性が回避できるものである。

【００２７】

【考案の効果】以上説明したように本考案は、燃料供給
調整弁を閉鎖して、空気導入路への燃料ガスの供給を遮
断して、エンジンの回転を低下させるものであるから、
従来の点火プラグの点火を中止した場合のような急激な
エンジンの回転の停止がなく、急激なエンジンブレーキ
による追突、あるは運転者、同乗者の姿勢崩れによるフ
ロントガラスへの突っ込み等の危険性が回避できるもの
である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例の混合ガス供給装置を断面で表
したブロック図である。

【図２】同上の全体的な回路図である。

【図３】エンジンの負荷と回転数の関係を示す図であ
る。

【図４】制御回路のフローチャート図である。

【図５】従来の混合ガス供給装置の断面図である。

【符号の説明】

Ａ、Ｂ 電磁バルブ １ 燃料通路 ２ 空気導入路 ３ａ、３ｂ 導出口 ４ａ、４ｂ ばね ５ａ、５ｂ ダイアフラム ６ａ、６ｂ 燃料供給調整弁 １０ 回転センサ １１ 制御回路

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 空気導入路中に燃料を導入する燃料通路
   を配置し、その燃料通路の導出口に、ばねで付勢された
   ダイヤフラムを有する空気の負圧によって作動する燃料
   供給調整弁を設けたガス燃焼エンジンの混合ガス供給装
   置において、 上記燃料供給調整弁と連動し、混合ガス供給装置の外方
   の空気を前記ダイヤフラム内に導入・遮断することを制
   御する電磁開閉制御弁と、 前記電磁開閉制御弁に対し制御信号を出力する制御手段
   と、を具備し 、該制御手段は、前記ガス燃焼エンジンの危険回転数より
   低い回転数設定値を大小２個設定し、前記エンジン回転
   数センサからのエンジン回転数と、前記設定した回転数
   設定値と比較し、前記電磁開閉弁に対し空気導入・遮断
   を２種類に制御する制御信号を出力するように構成した
   こと、 を 特徴とするガス燃焼エンジンの混合ガス供給装置。