JP2569403Y2 - 薬剤散布車 - Google Patents

薬剤散布車

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JP2569403Y2
JP2569403Y2 JP1993005663U JP566393U JP2569403Y2 JP 2569403 Y2 JP2569403 Y2 JP 2569403Y2 JP 1993005663 U JP1993005663 U JP 1993005663U JP 566393 U JP566393 U JP 566393U JP 2569403 Y2 JP2569403 Y2 JP 2569403Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、水田等の大規模防除
(例えば散布幅約100m)に使用される薬剤散布車に
係り、詳しくは薬剤微粒子の到達性及び均一散布性を向
上した薬剤散布車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】特開平1−171668号公報は、ノズ
ルからの薬剤微粒子を送風に乗せて散布する大規模防除
用散布装置を開示する。この散布装置では、均一散布を
図るため、送風部のケーシングを吐出口側において径を
漸減するテーパ状にするとともに、吐出口を送風部の中
心線に対して斜め下向きのカット面にしている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】特開平1−17166
8号公報の散布装置の問題点を列挙すると、次のとおり
である。 (a)斜め下向きのカット面とされた吐出口は乱流を引
き起こす傾向があり、送風のエネルギー減衰量が増大す
る。したがって、風の影響を受けやすく、送風方向が特
に向かい風となっているときは、薬剤微粒子の到達距離
が低下する。 (b)到達性を上げるために、散布装置の容量を増大す
ると、追い風時に薬剤微粒子が飛び過ぎて、非散布地域
まで達し、薬害を生じる虞がある。
【0004】請求項1の考案の目的は、良好な到達性を
確保しつつ均一散布を図ることができかつ散布状況に応
じて薬剤微粒子の適切な散布を行なうことができる薬剤
散布車を提供することである。請求項2の考案の目的
は、大容量薬剤散布機による薬剤微粒子の到達性を向上
できる薬剤散布車を提供することである。請求項3の考
案の目的は、進行方向に対して横向きで薬剤微粒子を散
布するとき大容量薬剤散布機からの薬剤微粒子が走行風
から影響を受けるのを抑制することができる薬剤散布車
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この考案を、実施例に対
応する図面の符号を使用して説明する。請求項1の薬剤
散布車(10)は、(a)薬剤微粒子(74)を送風に
乗せて近い方の距離範囲に散布する小容量薬剤散布機
(38)と、(b)薬剤微粒子(74)を送風に乗せて
遠い方の距離範囲に散布する大容量薬剤散布機(28)
とを有し,かつ前記小容量薬剤散布機(38)及び大容
量薬剤散布機(28)はそれらの吐出口(44,34)
を相互に独立に上下方向揺動自在とされている。
【0006】請求項2の薬剤散布車(10)では、小容
量薬剤散布機(38)及び大容量薬剤散布機(28)
は、小容量薬剤散布機(38)からの送風が大容量薬剤
散布機(28)からの送風に隣接して流れる位置関係
で、配設される。
【0007】請求項3の薬剤散布車(10)では、前記
小容量薬剤散布機(38)は前記大容量薬剤薬剤散布車
(28)の側方において吐出口を前記大容量薬剤散布機
(28)と同一方向とされている。
【0008】
【作用】請求項1の薬剤散布車(10)では、小容量薬
剤散布機(38)及び大容量薬剤散布機(28)は、並
行して作動して、薬剤微粒子(74)の散布を行なう。
薬剤散布車(10)に近い方の距離範囲では、小容量薬
剤散布機(38)からの薬剤微粒子(74)が散布され
る。また、薬剤散布車(10)から遠い方の距離範囲で
は、大容量薬剤散布機(28)からの薬剤微粒子(7
4)が散布される。そして前記小容量薬剤散布機(3
8)及び大容量薬剤散布機(28)は、それぞれの回動
支点(46,36)により独立して回動自在であり,散
布状況、例えば、薬剤微粒子(74)を散布する圃場の
広さ、自然風の強さや方向、及び走行速度等に応じて、
吐出口(44,34)の仰角を独立に調整される。
【0009】請求項2の薬剤散布車(10)において、
大容量薬剤散布機(28)からの送風は、薬剤散布車
(10)に近い範囲では小容量薬剤散布機(38)から
の送風に隣接して流れることにより風力を強められ、あ
るいは風力の減衰を抑制される。この結果、大容量薬剤
散布機(28)からの送風は遠い距離まで到達でき、大
容量薬剤散布機(28)からの薬剤微粒子(74)も遠
い距離まで達する。
【0010】請求項3の薬剤散布車(10)では、小容
量薬剤散布機(38)は前記大容量薬剤散布機(28)
の側方において,吐出口(44,34)を前記大容量薬
剤散布機(28)と同一方向とされ、大容量薬剤散布機
(28)からの送風に対して薬剤散布車(10)の走行
風を遮断する。この結果、大容量薬剤散布機(28)か
らの送風は薬剤散布車(10)の走行風からの影響を抑
制される。
【0011】
【実施例】以下、この考案を図面の実施例について説明
する。図1は薬剤散布車10の側面図である。総輪駆動
の自走台車12は前輪14及び後輪16を備え、前輸1
4は操舵輪を兼ねる。薬剤タンク18及び動力部20は
自走台車12の荷台に搭載され、薬剤タンク18は薬剤
(液体)を貯留し、動力部20は後述のエンジン62や
噴霧ポンプ68(図4)等の機械類を含む。
【0012】図2は散布装置22を薬剤散布車10の後
方から見た図である。図1及び図2において、散布装置
22は自走台車12の後端部に装着される。回転台24
は鉛直線の周りを回転自在であり、1対のアーム26
は、下端部において回転台24に固定され、回転台24
から起立している。主薬剤散布機28は中・遠距離散布
用として十分な容量となっている。主薬剤散布機28に
おいて、ケーシング30は、軸方向両側にそれぞれ吸入
口32及び吐出口34を備え、1対のアーム26の上端
部に回動支点36を介して結合し、水平線の周りに回動
自在になっている。副薬剤散布機38は近距離散布用と
して十分な容量を有している。副薬剤散布機38におい
て、ケーシング40は、軸方向両側にそれぞれ吸入口4
2及び吐出口44を備え、ケーシング30の一方の側部
に回動支点46を介して結合し、水平線の周りに回動自
在になっており、図示しない油圧シリンダの伸縮により
回動角を調整自在とされている。ケーシング30,40
は、吐出口34,44側の半部において吐出口34,4
4の方へ径を漸減するテーパ状になっている。油圧シリ
ンダ48は、主薬剤散布機28と回転台24との間に斜
めに延び、両端部において主薬剤散布機28及び回転台
24に回動自在に結合し、伸縮により支点36の周りに
おけるケーシング30の回動角を調整する。
【0013】図3は主薬剤散布機28及び副薬剤散布機
38の内部構造図である。主薬剤散布機28及び副薬剤
散布機38は、寸法が異なるのみで、構造は同一となっ
ている。主薬剤散布機28及び副薬剤散布機38におい
て、油圧モータ50,56は吸入口32,42の近傍に
配設され、ファン52,58は、油圧モータ50,56
に対して吐出口34,44側に配設されて、油圧モータ
50,56により駆動されるようになっている。環状ノ
ズル列54,60は吐出口34,44の内側に周辺に沿
って配設されている。この実施例では、環状ノズル列5
4,60は、ケーシング30,40の内周側に沿って延
びているが、ケーシング30,40の外周側に沿って延
びていてもよい。主薬剤散布機28及び副薬剤散布機3
8は、ファン52,58の回転に伴って、吸入口32,
42を介して外部からケーシング30,40内へ空気を
吸入し、吐出口34,44から吐出する。液剤は、環状
ノズル列54,60の各ノズルから前方へ向かって霧状
に噴出され、ファン52,58からの送風に乗って散布
される。
【0014】図4は油圧及び液剤の系統を一例として示
す図である。エンジン62は、油圧ポンプ64を駆動す
るとともに、ベルト66を介して噴霧ポンプ68を駆動
する。油路70は、油圧ボンプ64と油圧モータ50,
56とを相互に接続し、油圧モータ50,56へ駆動用
の油圧を供給する。管路72は噴霧ポンプ68の吐出側
を環状ノズル列54,60へ接続し、薬剤タンク18内
の薬剤は噴霧ポンプ68により管路72を介して環状ノ
ズル列54,60へ圧送される。
【0015】図5は散布装置22による薬剤微粒子74
の散布の状況を示している。散布装置22は通常の散布
作業では回転台24の回転により薬剤散布車10に対し
て横向きとされる。A,Bはそれぞれ薬剤散布車10か
ら近距離及び中・長距離範囲を示しており、主薬剤散布
機28及び副薬剤散布機38からの薬剤微粒子74はそ
れぞれ中・長距離散布範囲B及び近距離散布範囲Aに散
布される。中・長距離散布範囲Bの遠い方の端は例えば
薬剤散布車10から約100mである。主薬剤散布機2
8および副薬剤散布機38は、それぞれ回動支点36,
46(図1及び図2)の周りに独立に回動自在になって
おり、油圧シリンダ48等により吐出口34,44の仰
角を変更可能である。吐出口34,44の仰角は、散布
幅、自然風の強さや方向、さらには走行速度等の散布状
況に応じて調整され、適切な到達性と均一密度性とが得
られるようにされる。
【0016】図6は散布装置22を横向きにした散布作
業の状態図である。1対の副薬剤散布機38は主薬剤散
布機28の両側部に回動自在に取付けられている。薬剤
散布車10は圃場76の境界に沿って走行し、主薬剤散
布機28及び副薬剤散布機38は回転台24の回転によ
り薬剤散布車10の進行方向に対して圃場76の方へ横
向きにされる。1対の副薬剤散布機38は、吐出口44
の仰角を揃えて、あるいは相互に独立に回動される。副
薬剤散布機38からの送風は、主薬剤散布機28からの
送風に隣接するように流れ、これにより、主薬剤散布機
28からの送風は、ほぼ近距離散布範囲Aにおいて風力
を強められ、あるいは風力の減衰を抑制される。この結
果、主薬剤散布機28からの送風の到達性が高められ、
主薬剤散布機28からの薬剤微粒子74の到達距離が増
大する。一方、主薬剤散布機28からの送風方向に対し
て水平方向両側からの自然風又は走行風は、近距離散布
範囲Aでは、薬剤散布車10の進行方向に対して主薬剤
散布機28の両側に配設されている副薬剤散布機38か
らの送風により、主薬剤散布機28からの送風に対して
遮断される。この結果、主薬剤散布機28からの送風は
走行風や自然風からの影響を抑制され、主薬剤散布機2
8からの薬剤微粒子74は十分に遠い距離に達する。
【0017】
【考案の効果】請求項1の考案では、小容量薬剤散布機
及び大容量薬剤散布機が近い方及び遠い方の距離範囲を
分担して薬剤微粒子を散布するので、小容量薬剤散布機
及び大容量薬剤散布機は、それぞれ近い方及び遠い方の
距離範囲の散布専用として、各範囲の均一散布に適した
ものにして、散布幅全体にわたる薬剤微粒子の均一散布
が達成されるとともに、大容量薬剤散布機は、近い方の
距離範囲の薬剤微粒子の散布については考慮されること
なく、到達性を主眼に最適なものを選定できるので、薬
剤散布車全体の到達性を高めることができるもので,要
するに小容量薬剤散布機は大容量薬剤散布機による散布
の死角部分をカバーするものであり,かつこれら小容量
薬剤散布機及び大容量薬剤散布機は、吐出口を相互に独
立に上下方向揺動自在とされるので、散布幅、自然風、
走行速度等の散布状況に応じて小容量薬剤散布機及び大
容量薬剤散布機の仰角を調整することができ、適切な散
布を行なうことができる。
【0018】請求項2の考案では、大容量薬剤散布機か
らの送風が薬剤散布車に近い範囲では小容量薬剤散布機
からの送風に隣接される結果、大容量薬剤散布機からの
送風は、風力の減衰を抑制され、あるいは風力を増大さ
れ、薬剤微粒子の到達距離を伸ばすことができる。
【0019】請求項3の考案では、小容量薬剤散布機か
らの送風は、薬剤散布車の進行方向に関しての側方にお
いて大容量薬剤散布機と同一方向とされるので、薬剤散
布車の進行に伴う走行風からの影響を抑制され、薬剤微
粒子の到達性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】薬剤散布車の側面図である。
【図2】散布装置を薬剤散布車の後方から見た図であ
る。
【図3】主薬剤散布機及び副薬剤散布機の内部構造図で
ある。
【図4】油圧及び液剤の系統を一例として示す図であ
る。
【図5】散布装置による薬剤微粒子の散布の状況を示す
図である。
【図6】散布装置を横向きにした散布作業の状態図であ
る。
【符号の説明】
10 薬剤散布車 28 主薬剤散布機(大容量薬剤散布機) 34,44 吐出口 38 副薬剤散布機(小容量薬剤散布機) 74 薬剤微粒子

Claims (3)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬剤微粒子(74)を送風に乗せて近い
    方の距離範囲に散布する小容量薬剤散布機(38)と、
    薬剤微粒子(74)を送風に乗せて遠い方の距離範囲に
    散布する大容量薬剤散布機(28)とを有し,かつ前記
    小容量薬剤散布機(38)及び前記大容量薬剤散布機
    (28)はそれらの吐出口(44,34)を相互に独立
    に上下方向揺動自在とされていることを特徴とする薬剤
    散布車。
  2. 【請求項2】 前記小容量薬剤散布機(38)からの送
    風が前記大容量薬剤散布機(28)からの送風に隣接し
    て流れる位置関係で、前記小容量薬剤散布機(38)及
    び前記大容量薬剤散布機(28)が配設されていること
    を特徴とする請求項1記載の薬剤散布車。
  3. 【請求項3】 前記小容量薬剤散布機(38)は前記大
    容量薬剤薬剤散布車(28)の側方において吐出口(4
    4,34)を前記大容量薬剤散布機(28)と同一方向
    されていることを特徴とする請求項記載の薬剤散布
    車。
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