JP2568297B2 - 塗装用鋼板の評価方法および塗膜鮮映性に優れた塗装用鋼板 - Google Patents

塗装用鋼板の評価方法および塗膜鮮映性に優れた塗装用鋼板

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    • B21B1/00Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、各種塗装用鋼板の塗膜鮮映性(塗装後の、
鋼板表面における鮮映性)を評価する塗装用鋼板の評価
方法および塗膜鮮映性に関し、特に、塗装回数2回以下
または合計塗膜厚80μm未満の薄塗装後の鋼板の塗膜鮮
映性を正確に評価する方法および上記の薄塗装であって
も塗装回数3回以上または合計塗膜厚80μm以上の通常
塗装と同等以上の塗膜鮮映性を有する塗膜鮮映性に優れ
た塗装用鋼板に関する。
<従来の技術> 従来、自動車ボディや家庭用電気製品に用いられる塗
装用鋼板の代表例としての冷延鋼板は、冷間圧延後脱脂
清浄を行い、さらに焼鈍した後調質圧延を施して製造さ
れるのが通常である。ここで、調質圧延の目的の一つ
は、表面をダル仕上げしたワークロールを用いて軽度の
圧延を行うことによって鋼板表面に適度の表面粗さを与
えることである。
ところで、このワークロールの表面をダル仕上げする
方法としては、従来から、ロール表面にショットを投射
してダル加工を行うショットブラストによる方法と、加
工液中で放電させロール表面を溶融飛散させて所定のダ
ル表面を得る放電加工による方法とが実用化されてい
る。これらの方法によるワークロールのダル仕上げの場
合、ロール表面にはそれぞれのダル加工法固有の不規則
な粗度プロフィルが形成されるため、圧延後の鋼板表面
が不規則な山と谷で構成される。このような鋼板につい
てプレス加工を施せば、谷部に潤滑油を貯留させてプレ
ス金型と鋼板との摩擦力を低減させ、プレス作業を容易
にすると同時に、金型との摩擦力により剥離した金属粉
を谷部にトラップして焼付きを防止することができる等
プレス成形性を向上できる。
近年、乗用車は勿論、軽自動車、ワゴン車、トラック
に至るまで、塗装後の総合的な品質の高さを顧客に対し
て直接的に視覚によって訴えることができるため、塗装
面の良否が極めて重要な品質管理項目となっている。と
ころで、塗装面の評価項目としては種々のものがある。
そのうちでも特に塗装面の乱反射が少なく光沢性に優
れていること、および写像の歪みが少ないこと、すなわ
ち写像性が優れていることが重要であり、これらの光沢
性と写像性とを合わせて一般に「塗膜鮮映性」と称して
いる。
上記塗装面の塗膜鮮映性の評価方法として、従来か
ら、例えば、特開昭63−117206号、特開昭61−217708
号、特開昭62−103544号、特開昭62−233712号が提案さ
れている。
しかしながら、塗装面の塗膜鮮映性に対しては、塗料
の種類や塗装方法も影響を与えるが、塗装下地としての
鋼板表面の粗さの影響も強く受ける。特に、塗膜厚が薄
い場合、具体的には塗装回数が1ないし2回で合計膜厚
が80μm未満の場合には、塗装下地としての鋼板表面の
形態が塗膜鮮映性に大きく影響する。すなわち、鋼板表
面の平坦な部分の占める割合が少なく、波長と振幅の大
きい凹凸成分が多くなれば、塗装面でも凹凸が大きくな
り、その結果、光の乱反射を生じて光沢性を損なうとと
もに、写像の歪みを招き前述の塗膜鮮映性を悪化させる
こととなる。
そこで、塗装前の鋼板表面の微視的形態から塗膜鮮映
性を評価することが必要であるが、従来は、JISB−0601
(1982)に記載の方法により評価していた。この方法で
は、鋼板表面の微視的形態のうち、塗膜鮮映性の評価の
指標として、JISB−0601に規定された「ろ波中心線うね
り(WCA)」を用い、この値が小さいほど、塗膜鮮映性
が良好であると評価している。
一方、ショットブラストにより加工されたワークロー
ルにより圧延された鋼板(以下、ショットダル鋼板とい
う)、放電加工されたワークロールにより圧延された鋼
板(以下、放電ダル鋼板という)の塗膜鮮映性を改善す
るために、近年レーザ等の高密度ビームエネルギーによ
りダル加工した、すなわち、回転するワークロールに垂
直に近い短いピッチの断続したレーザビームをワークロ
ールの回転軸と平行に移動させながら照射し、ワークロ
ールの表面を溶融させてダル加工を行うレーザダル加工
方法による規則的な粗度プロフィルが形成されたロール
表面を有するワークロールにより塗装用鋼板を圧延する
ことが行われている。このようにして得られたレーザダ
ル鋼板は従来の放電ダル鋼板、ショットダル鋼板に比較
して、塗膜鮮映性を悪化させる鋼板表面の凹凸成分すな
わち長波長(例えば0.8〜8.0mmあるいは1.0〜6.0mm)の
「表面うねり成分」が少ない一方で、短波長(例えば、
0〜0.8mmあるいは0〜1.0mm)の「表面粗さ成分」が多
いため、プレス成形性は良好なレベルとなっている。
上記の各ダル鋼板を上述のJISB−0601に規定された方
法で評価すると、長波長成分および短波長成分を100%
カットできないので、「ろ波中心線うねり」の値に、上
述の短波長成分すなわち「表面粗さ成分」が入り込むた
めに、ショットダル鋼板および放電ダル鋼板に比べて、
レーザダル鋼板の方が「ろ波中心線うねり」の値が高く
なり、塗膜鮮映性が劣るという評価がなされ、プレス成
形性の良好な被ダル加工塗装用鋼板の塗膜鮮映性を正確
に比較評価することができていなかった。
このため、本出願人は、特願平01−312125号において
被ダル加工法の異なる各種塗装用鋼板の塗膜鮮映性を正
確に評価する方法を提案し、またこの評価方法により正
確に評価された塗膜鮮映性に優れた鋼板を提案してい
る。
この評価方法は、塗装用鋼板の表面の断面曲線を検出
し、該断面曲線をフーリエ変換して周波数解析曲線を得
ると共に、塗装後の鋼板の鮮映性を阻害する塗膜鮮映性
阻害波長域を、前記周波数解析曲線における波長1.0〜
6.0mmの範囲内に設定し、当該鮮映性阻害波長域のパワ
ースペクトル和を求めることにより、前記塗装用鋼板の
塗膜鮮映性を評価するものである。また前記パワースペ
クトル和を0.5μm2以下に限定することにより、塗膜鮮
映性の優れた鋼板を得ている。
<発明が解決しようとする課題> このような本出願人が特願平01−312125号に提案した
評価方法は、従来の塗装回数3回以上あるいは合計塗膜
厚80μm以上の通常塗装においては、塗膜鮮映性を適正
に評価できるものであり、こうして適正に評価された塗
装用鋼板は通常塗装においては優れた塗膜鮮映性を示す
塗装用鋼板である。
ところが、塗装用鋼板が用いられる分野においては、
塗装技術や塗膜性能の向上により、コストダウンを図る
ため、塗装回数の減少や薄塗膜厚化が要請されている。
しかし、上述の塗膜鮮映性阻害波長域のパワースペク
トル和による評価方法で良好であると評価される塗装用
鋼板例えばレーザダル鋼板であっても、塗装回数2回以
下または合計塗膜厚80μm未満(例えば、標準的塗膜厚
30μm以上80μm未満)では、塗装用鋼板の塗装下地処
理のダル仕上によて生じる微視的形態の影響が塗装面に
残ってしまい、例えば、レーザダル鋼板ではレーザダル
パターンのリング溝の痕跡が塗膜面に残ってしまい、塗
膜鮮映性を阻害する場合があるという問題があった。
また、本出願人は特願平01−299842号において、ワー
クロールのレーザダル加工時のマイクロクレータの形態
を規制し、リング溝の形状を規制した鋼板を提案した
が、この製法によって製造された鋼板の表面を工業的に
計測する手段および評価する方法が十分でないため、十
分な品質評価ができないという問題があった。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解消し、塗
装用鋼板の表面形状を工業的すなわち実用的な計測手段
により適切に測定して制御可能な品質評価指標を求める
ことにより、塗装回数2回以下または合計塗膜厚80μm
未満の薄塗装に供される塗装用鋼板であってもその塗膜
鮮映性を正確かつ適正に評価する塗装用鋼板の評価方法
および上記評価方法により適正に評価された塗膜鮮映性
に優れた塗装用鋼板を提供することにある。
<課題を解決するための手段> 本発明者は、上記目的を達成し、標準的な薄塗装、例
えば合計塗膜厚30μm以上80μm未満の塗装である2回
塗装においても、塗装用鋼板の塗膜鮮映性が通常塗装
(合計塗膜厚80μm以上の塗装)である3回塗装と同等
以上に優れたものとするため、薄塗装用鋼板の塗膜鮮映
性を評価する方法および優れた塗膜鮮映性を示す薄塗装
用鋼板が具備すべき条件について、鋭意研究を重ね、鋼
板表面および塗装後の薄塗装面(80μm未満の合計塗膜
厚)の断面曲線から得られる周波数解析曲線を調べ、上
記薄塗装面の鮮映性を種々の評価方法による評価実現を
行った結果、以下の知見を得て、本発明に至ったもので
ある。
(1)通常塗装の塗膜鮮映性に優れた塗装用鋼板(1.0
〜6.0mmの波長域のパワースペクトル和PAが0.5μm2
下)においては、薄塗装での塗膜鮮映性に最も効くの
は、波長範囲200μm以上1.0mm(1000μm)未満である
こと。
(2)薄塗装の塗膜鮮映性は鋼板の表面形態だけではな
く、塗装方法によっても異なるが、上記周波数解析曲線
における波長範囲200μm以上1.0mm未満のパワースペク
トル和PBを2.0μm2以下とすれば殆どの塗装仕様におい
て塗膜鮮映性が良好であり、上記パワースペクトル和PB
を1.0μm2以下にすれば、実験を行ったすべての塗装仕
様においてレーザダルパターン残存による塗膜鮮映性の
低下を全く生じない。
すなわち、本発明の第1の態様は、塗装用鋼板の表面
の断面曲線を検出し、該断面曲線をフーリエ変換して周
波数解析曲線を得、通常塗装後の鋼板の鮮映性を阻害す
る通常塗装塗膜鮮映性阻害波長域を、前記周波数解析曲
線における波長1.0〜6.0mmの範囲内に設定するととも
に、塗装回数2回以下または合計塗膜厚80μm未満の薄
塗装後の鋼板の鮮映性を阻害する薄塗装塗膜鮮映性阻害
波長域を前記周波数解析曲線における波長200μm以上
1.0mm未満の範囲内に設定し、これら2つの塗膜鮮映性
阻害波長域のパワースペクトル和を求めることにより、
前記塗装用鋼板の塗膜鮮映性を評価することを特徴とす
る塗装用鋼板の評価方法を提供することにある。
また、本発明の第2の態様は、鋼板の表面の断面曲線
をフーリエ変換して得られる周波数解析曲線における1.
0〜6.0mmの範囲内に設定された通常塗装塗膜鮮映性阻害
波長域のパワースペクトル和PAが0.5μm2以下であり、
かつ前記周波数解析曲線における波長200μm以上1.0mm
未満の範囲内に設定された、塗装回数2回以下または合
計塗膜厚80μm未満の薄塗装後の鋼板の塗膜鮮映性を阻
害する薄塗装塗膜鮮映性阻害波長域のパワースペクトル
和PBが2.0μm2以下であることを特徴とする塗膜鮮映性
に優れた塗装用鋼板を提供することにある。
上記各態様において、前記塗装用鋼板が、レーザダル
鋼板であるのが好ましい。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明においては、塗装回数3回以上または合計塗膜
厚80μm以上の塗装を通常塗装といい、塗装回数2回以
下または合計塗膜厚80μm未満の塗装を薄塗装という。
本発明にかかる塗装用鋼板の評価方法においては、ま
ず塗装用鋼板の表面形状の不規則なランダム波形、すな
わち時間軸に対してランダムな変動を示す入力信号をフ
ーリエ変換して各周波数ごとの振幅レベルに分解して、
表示して得られる周波数解析曲線(パワースペクトル−
鋼板表面に形成された凹凸の波形)を作成する。
塗装用鋼板としてレーザダル鋼板を用いて作成された
周波数解析曲線の一例を第1図に示す。
次いで、第1図に示すように、通常塗装後の鋼板の塗
膜鮮映性を阻害する塗膜鮮映性阻害波長域WAを周波数解
析曲線における波長1.0〜6.0mmの範囲内に、また薄塗装
後の鋼板の塗膜鮮映性を阻害する薄塗装塗膜鮮映性阻害
波長域WBを周波数解析曲線における波長200μm以上1.0
mm未満の範囲内に設定する。そして、第1図に示すよう
に、上記2つの塗膜鮮映性阻害波長域WAおよびWBにおけ
るパワースペクトルをそれぞれ積分して、通常塗装およ
び薄塗装それぞれの塗膜鮮映性阻害波長域のパワースペ
クトル和(以下PS和という)PAおよびPBを求める。
周波数解析曲線の通常塗装の塗膜鮮映性阻害波長域WA
におけるPS和PAは、塗装用鋼板の表面のうねり成分の存
在量が少ない程小さくなる。
また、周波数解析曲線の薄塗装の塗膜鮮映性阻害波長
域WBすなわち200μm以上1.0mm未満の波長域におけるPS
和PBは、塗装用鋼板の表面の粗さ成分の存在量が少ない
ほど小さくなる。しかし、この波長域WBは、プレス加工
性向上波長域内でもあるので、ある程度の表面粗さ成分
は存在するほうが好ましい。
例えば、第1図に示すようなレーザダル鋼板の場合に
は、この波長域にはプレス加工性向上成分である特定波
長の表面粗さ成分が存在するが、これらの成分の存在が
あまり大きいと、薄塗装後の塗装面に鋼板表面の微視的
形態の影響が残り、塗膜鮮映性を阻害する。
従って、上記各塗膜鮮映性阻害波長域WAおよびWBにあ
るPS和PAおよびPBが小さい程、通常塗装および薄塗装時
の塗膜鮮映性が良好であることから、上記パワースペク
トル和PAおよびPBの値を比較することにより、通常塗装
は勿論、薄塗装であってもあるいは、各種塗装用鋼板で
あっても塗装面の塗膜鮮映性を正確に比較評価すること
が可能となる。
上記本発明において、周波数解析曲線のPS和PAおよび
PBを求めていることから、上記各鮮映性阻害波長域WAお
よびWB内にあるパワースペクトルを100%取り込み、一
方、それ以外の波長域にあるパワースペクトルを全て取
り除くことができるため、PS和PAには通常塗装での塗膜
鮮映性を阻害する波長域WAより長波長側(6.0mm超)に
ある形状狂いに相当する成分と、短波長側(1.0mm未
満)にあるプレス成形性を向上するが、あまり大きいと
薄塗装の塗膜鮮映性を阻害する成分とが加算されない
し、PS和PBには上述の薄塗装塗膜鮮映性阻害成分のみが
加算される。従って、通常塗装または薄塗装の各種塗装
用鋼板の塗膜鮮映性を鋼板毎に正確に評価することがで
きる。
また、両塗膜鮮映性阻害波長域WAおよびWBにあるPS和
PAおよびPBそれぞれ前記各所定値以下とすることによ
り、通常塗装ではもちろん薄塗装でも確実に塗膜鮮映性
に優れている塗装用鋼板を提供できることになる。
本発明の各態様において、通常塗装および薄塗装の塗
膜鮮映性阻害波長域WAおよびWBをそれぞれ波長1.0〜6.0
mmおよび200μm以上1.0mm未満の範囲内に設定する理由
は次の通りである。
通常塗装の塗膜鮮映性阻害波長域WAの短波長端側が1.
0mmより小さいと、薄塗装の塗膜鮮映性を阻害する恐れ
があるがプレス成形性を向上する1.0mm未満にある波長
成分が上記PS和PAに入り込む。一方、長波長端側が6.0m
mより大きいと、プレス成形によって矯正可能であるた
めに、塗膜の塗膜鮮映性を低下することのない、形状狂
い相当する6.0mmを超える波長成分が上記PS和PAに入り
込む。
また、薄塗膜の塗膜鮮映性阻害波長域WBの上限を1.0m
m以上に設定すると、通常塗装の塗膜鮮映性阻害成分が
上記PS和PBに入り込む。一方、下限を200μm以上にす
るのは、波長域200μm未満については塗装によって関
係なくなるからである。
こうなると、通常塗装の各種塗装用鋼板の塗膜鮮映性
やプレス加工性を正確に評価できないばかりか、薄塗装
の塗膜鮮映性およびプレス加工性をも正確に評価できな
いからである。
本発明の塗装用鋼板としては、レーザダル鋼板が好ま
しい。
レーザダル鋼板は、レーザ等の高密度ビームエネルギ
によりダル加工したワークロールにより調質圧延され、
ダル目付けされた塗装用鋼板である。より詳細に説明す
ると、レーザダル鋼板は、例えば、冷延薄鋼板をブライ
ト仕上した後、第2図(c)に示すロール表面を有する
レーダダル加工ワークロールを用いてスキンパス圧延処
理したものであり、第2図(a)および(b)に示すよ
うに平滑なバックグラウンドに所定直径Daのリング溝20
が所定ピッチLで規則正しく並び、リング溝20で囲まれ
た円丘22の頂部もほぼ平坦である表面を有する鋼板であ
る。ここで、リング溝20のピッチLおよび直径Daは主に
鋼板表面の断面曲線の波長に、リング溝20の深さDeは主
に鋼板表面の断面曲線の振幅に影響を与える。
このようなダル目付けを行うことのできるワークロー
ルは、レーザダル加工方法によって、第2図(c)に示
すような所定直径Daおよび所定深さDeを持つマイクロク
レータが所定ピッチLで設けられた、規則的な粗度プロ
フィルを持つロール表面を有する。
このようなワークロールへのダル加工は、回転するワ
ークロールに垂直に近い短いピッチの断続したレーザビ
ームをワークロールの回転軸と平行に移動させながら照
射し、ワークロールの表面を溶融させて所定ピッチL、
深さDeおよび直径Daのマイクロクレータ24を形成させる
ことにより行われる。
このため、ワークロールへのレーザダル加工時に、ビ
ームパルス間隔およびビームエネルギなどのダル加工条
件を制御することによりワークロール表面に形成される
マイクロクレータ24のピッチLおよび直径Daと深さDe
制御することができるので、これらが調整されたワーク
ロールを用いて、レーザダル鋼板表面の断面曲線の波長
および振幅を制御することが可能である。
一般に、レーザダル鋼板は従来の放電ダル鋼板、ショ
ットダル鋼板に比較して、通常塗装の塗膜鮮映性を悪化
させる鋼板表面の凹凸成分が少ない一方で、プレス成形
性向上成分は良好なレベルとなっているが、このプレス
成形性向上成分は、薄塗装塗膜鮮映性阻害成分でもあ
る。
レーザダル鋼板は、鋼板表面の断面曲線の周波数解析
曲線から得られる上記PS和PAおよびPBを制御することが
できるので、本発明の塗装用鋼板として最も好ましい。
なお、レーザダル鋼板においては、第2図(a)およ
び(b)に示すような鋼板表面に形成されるレーザダル
パターンを制御することが可能であるため、レーザダル
パターンに基づく鋼板表面の凹凸は、例えば、第1図に
示すように波長1.0mm未満の範囲にあるプレス加工性向
上波長域にある表面粗さ成分となっている。ところで第
2図(a)および(b)に示すように鋼板表面に形成さ
れるレーザダルパターンは、第2図(c)に示すような
レーザダル加工方法により規則的な粗度プロフィルが形
成されたロール表面を有するワークロールでの圧延によ
って形成されるので、第1図に示すように、レーザダル
鋼板表面の周波数解析曲線には、薄塗装の塗膜鮮映性を
阻害する、レーザダルパターン特有の特定周波数成分の
ピークが例えば、第1図に示す例では、200μmおよび3
00μm付近に存在する。
従って、レーザダル鋼板においては、これらの成分を
含めた薄塗装の塗膜鮮映性阻害波長域WBのPS和PBによっ
て薄塗装の塗膜鮮映性を評価することができる。
次に本発明の第2の態様における数値の限定理由につ
いて説明する。
まず、本発明の塗装用鋼板においては、塗装前の鋼板
の通常塗装の塗膜鮮映性阻害波長域WAにおけるPS和PA
は、0.5μm2以下であることが必要である。PS和PAが0.5
μm2を超えると、塗装前の鋼板表面に通常塗装の塗膜鮮
映性阻害波長域WAにある凹凸の存在量が多く、塗装後に
おいて通常塗装および薄塗装のいずれの塗装によっても
この凹凸を埋めることができず塗装後において塗膜鮮映
性を阻害するため、PS和PAは0.5μm2以下であることが
必要である。
次に、上記PS和PAが0.5μm2以下の塗装用鋼板、好ま
しくはレーザダル鋼板においては、塗装前の鋼板の薄塗
装の塗膜鮮映性阻害波長域WBにおけるPS和PBは、2.0μm
2以下であることが必要である。PS和が2.0μm2を超える
と、塗装前の鋼板表面に、第1図に示す200μm以上1.0
mm未満の波長域内に凹凸が多数存在し、これらがプレス
加工性を向上させるが、薄塗装における塗膜鮮映性を阻
害するからである。
また、上記PS和PBは、2.0μm2以下であれば、薄塗装
の塗膜鮮映性をさらに向上させることができ、どのよう
な塗装仕様においても通常塗装と同等以上の塗膜鮮映性
とすることができる。
まず、本発明の第1の態様に係る塗装用鋼板の評価方
法の一例を添付図面に示す好適実施例について詳細に説
明する。
第3図は、この評価方法を実施するための塗装用鋼板
評価装置の構成を示す図である。
第3図において、鋼板試料固定台1上には塗装用鋼板
試料40が載置されている。触針10は鋼板試料40と接触し
て、試料表面に形成されたダル加工溝を走査することに
より、鋼板試料40表面の断面曲線に応じたランダム波形
を出力する。
このランダム波形は3次元表面形状測定装置2に入力
され、電圧信号に変換される。この電圧信号は、周波数
解析装置4で高速フーリエ変換されて周波数解析曲線が
作成される。
この周波数解析曲線はマイクロコンピュータ5によっ
て目的に応じた波長域間のパワースペクトル和(積分
値)に分解、定量化して表示装置7においてその結果が
表示される。
上記触針10は試料固定台1に対して移動可能に構成さ
れており、試料表面のX軸方向に触針10を移動させた
後、所定ピッチでY軸方向に触針10を移動させて、これ
を繰り返すことにより、試料表面に形成された被ダル加
工溝を走査する。
上記周波数解析装置4は、上記3次元表面形状測定装
置2で得られた表面形状の不規則な波形即ち時間軸に対
してランダムな変動を示す入力信号を高速フーリエ変換
して各周波数ごとの振幅レベルに分解、表示して得られ
る周波数解析曲線を作成する。
この周波数解析曲線は時間軸信号を数学的に周波数軸
に変換したものであり、縦軸はランダム波形から周波数
軸に対して振幅をレベル表示したパワースペクトラムで
ある。従って、この周波数曲線は目的とする波長域WAお
よびWB内の振幅レベルを100%評価することができる。
上記コンピュータ5の記憶装置の所定の記憶領域に
は、塗膜鮮映性を阻害する、2種の塗膜鮮映性阻害波長
域WAおよびWBがそれぞれ、波長1.0〜6.0mmおよび200μ
m以上1.0mm未満の範囲内に設定されている。次いで、
コンピュータ5は、この2つの設定波長域WAおよびWBに
ある周波数解析曲線の上記パワースペクトル和PAおよび
PBを演算して出力する。
こうして得られたPS和PAには、プレス成形によって矯
正可能な、波長6.0mm超の長波長側の形状狂いに相当す
る成分や波長1.0mm未満の短波長側のプレス成形性を向
上するが薄塗装塗膜鮮映性を阻害する恐れのある成分は
含まれないし、もう一つのPS和PBには、通常塗装の塗膜
鮮映性を阻害する鋼板表面のうねり成分や200μm未満
の薄塗装でほとんど消失してしまう成分は含まれない。
従って、通常塗装ではもちろん、薄塗装の塗膜鮮映性
をレーザダル鋼板を始めとして各種塗装用鋼板にわたっ
て正確に評価することができる。
ところで、ショットダル鋼板および放電ダル鋼板を圧
延して得るためのワークロールの表面の粗度プロフィル
は不規則である。従って、これらの鋼板表面の断面曲線
には方向性がないのでどこを測定してもよいが、レーザ
ダル鋼板の場合には、第2図(a)および(b)に示す
ような規則的なレーザダルパターンが形成されているた
め、鋼板表面の断面曲線を採取する際には、走査方向
が、レーザダルパターンの配列と平行にならないように
走査するのが望ましい。また、レーザダル鋼板の表面の
断面曲線を採取する際に走査方向が例えば第2図に示す
ようなレーザダルパターンの配列と平行になる場合に
は、レーザダルパターンの1ピッチL内において数条の
平行走査を行い、リング溝20を横断した断面曲線を試用
するのが良い。
第4図は、レーザダル加工されたワークロールにより
調質圧延された鋼板の表面粗さの出力曲線を示す。第4
図において、横軸は試料表面のX軸(またはY軸)方向
の変位量を示し、縦軸は試料の深さ方向(Z軸方向)を
示す。第5図は、上記周波数解析装置4において、第4
図の出力曲線を高速フーリエ変換して得られた、2次元
平均パワースペクトル分布(3次元パワースペクトル分
布をリニア加算して2次元平均化した、周波数解析曲
線)を示したものである。第5図において、横軸は試料
表面に形成された凹凸の波長(mm)を示し、縦軸はパワ
ースペクトル(μm2)または振幅スペクトル(μm)を
示す。また、波長1.0〜6.0mmの範囲内および200μm以
上1.0mm未満の範囲内は、それぞれ通常塗装および薄塗
装の塗膜鮮映性阻害波長域WAおよびWBを示し、両斜線部
は、塗膜鮮映性阻害波長域WAおよびWBにおけるPS和(パ
ワースペクトル和:積分値)PAおよびPB(μm2)を示
す。
このような周波数解析(パワースペクトル)におい
て、上記のようなパワースペクトル和を求める具体的方
法としては、例えば、まず、第4図に示すようなx軸測
定長さ40.96mmの断面曲線をy軸に50μmピッチで60本
採取する。
次に、例えば、x軸データピッチを1断面曲線当り40
96点として断面曲線は最小自乗法で傾き補正をかけ、リ
ニア加算にて60本の二次元平均振幅スペクトル分布を求
める。こうして得られた振幅スペクトル分布を第5b図に
示す。
この振幅スペクトル分布において各波長(各周波数)
に対するパワースペクトルの2乗和を求めることにより
第5a図のパワースペクトル分布を得ることができる。こ
こで振幅スペクトルの各周波数成分は実数部と虚数部か
らなるので各成分のパワーを求めるためにはそれらの2
乗和を作る必要がある。k番目の周波数成分Xkの実数部
をRe(Xk)、虚数部をIm(Xk)と表わすと、k番目のパ
ワースペクトルPkは、 Pk=|Xk|2={Re(Xk)}+{Im(Xk)} で表わされる。
第5a図に示すパワースペクトル分布の特定波長域の各
波長成分の和(積分値)をパワースペクトル和として求
めている。
すなわち、特定波長域a〜bとするとき、この波長域
内に入る振幅スペクトルの周波数成分Xk(k=0,1,2…
…n)が離散値として与えられている場合にはそのパワ
ースペクトルPkも離散値として与えられ、この範囲のPS
和PSは、 で与えられ、振幅スペクトルXが連続関数X=f(λ)
(λ:波長)で与えられている場合には、そのパワース
ペクトルPも連続関数P=|f(λ)|2=g(λ)で与え
られ、この範囲のPS和PSは、 で与えられる。
これらの式に従って、周波数解析装置4により、直接
PS和を求めてもよい。
尚、上記両塗膜鮮映性阻害波長域WAおよびWBは、イン
ターフェイス回路を通して、予めコンピュータ5に設定
しておくのが好ましい。
塗膜鮮映性阻害波長域とは、鋼板表面の凹凸がそれぞ
れの対応する合計塗膜厚の塗装によっても埋まらず、プ
レス加工によっても、矯正することのできない、鋼板表
面に形成された凹凸の波長範囲を意味する。
従って、上記波長域WAのPS和PAが小さければ、通常塗
装での塗膜鮮映性が良好となり、さらに上記波長域WBの
PS和PBがある程度小さければ、薄塗装であっても塗膜鮮
映性が良好となるので、両PS和PAおよびPBを用いて、通
常塗装はもちろん薄塗装の塗膜鮮映性を塗装用鋼板の種
類にかかわらず正確に評価することができる。
本発明の第2の態様に係る塗装用鋼板においては、上
記PS和PAが0.5μm2以下、かつ上記PS和PBが2.0μm2以下
であれば、塗装回数2回以下または合計塗膜厚80μm未
満、標準的には30μm以上80μm未満の薄塗装であって
も、塗装回数3回以上または合計塗膜厚80μm以上の通
常塗装と同等以上の優れた塗膜鮮映性を有する塗装用鋼
板であるといえる。
本発明の塗装用鋼板としては、上記条件を満足するも
のであれば、どのような塗装用鋼板でもよく、被ダル加
工法の種類によらないが、例えば、鋼板表面に形成され
るレーザダルパターンは規則的に配列されるものであ
り、その配列(ピッチL)および寸法(直径Da、深さ
De)などは制御可能であるため、レーザダル鋼板である
のがよい。
本発明においては、レーザダル鋼板を製造する際に
は、圧延用ワークロールのレーザダル加工時にマイクロ
クレータのピッチ(L)、直径(Da)、深さ(De)を制
御しておくが、スキンパス圧延を続けていると、ワーク
ロールのレーザダル目(マイクロクレータ)が摩耗して
行くので、ワークロールの使用限界をも好適に管理する
ことができ、不良品の発生を防止することができる。
なお、上記本実施例では、3次元表面形状測定装置と
しては、鋼板試料表面に接触する触針を用いたものにつ
いて説明したが、例えば、超音波発生器と受波器を有
し、鋼板試料表面に超音波を照射して鋼板表面の凹凸を
検出する等、非接触式のものを用いても良い。
<実施例> 以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明す
る。
(実施例1) 種々の塗装用鋼板に種々の塗装方法により、合計塗膜
厚55〜65μmの2回塗装および合計塗膜厚95〜105μm
の3回塗装を施し、塗装後の塗装面の断面曲線を、第3
図に示す3次元表面形状測定装置2および周波数解析装
置4を用いて、(a)3150〜1024μm、(b)1024〜20
0μmおよび(c)200〜25.6μmの3つの波長域に分割
して、それぞれ周波数解析曲線を求め、それぞれの波長
域のパワースペクトル和を求めた。
一方、塗装後の塗装面の塗膜鮮映性を4種の測定方法
により計測し、測定値と前述のパワースペクトル和の相
関および各測定方法間の相関を調べた。
ここで用いた4種の鮮映性評価法は、計器による方法
として、ドリゴン(DORIGON)鮮明度光沢計(米国ハン
ターアソシエイツラボラトリー社製)によるDOI値およ
びNSIC型写像鮮明度測定器(日本ペイント社およびスガ
試験機社製)によるNSIC値(平滑感の評価指標)および
*NSIC値(光沢感の評価指標)の計測法ならびに視覚に
よる方法としてPGD計(PORTABLE GLOSS AND DISTINCTOI
N METER)によるPGD値及びM式映像鮮明度光沢計による
M値の計測法であった。
上記(a),(b)および(c)の3種の波長域につ
いてのDOI値、NSIC値(*NSIC値)およびPGD値とPS和の
関係をそれぞれ第6図、第7図および第8図の各
(a),(b)および(c)に示す。
第6図、第7図および第8図の各(a),(b)およ
び(c)から明らかなようにいずれの測定値においても
(a)波長域の3150〜1024μmの波長域ではPS和とDOI
値との間の相関はなく、(c)の200〜25.6μmの波長
域では上記相関は小さく、(b)の1024〜200μmの波
長域の相関は大きいことがわかる。
また、上記3種の測定値の間の相関関係を調べるため
に、上述の各図からNSIC値(*NSIC値)とDOI値の関係
およびPGD値とDOI値との関係を示すグラフを得て、それ
ぞれ第9a図および第9b図に示す。
第9a図から明らかなように、DOI値とNSIC値(*NSIC
値)とは強い相関を有しており、第9b図からDOI値とPGD
値は相関関係を有していることがわかる。
図示してはいないがM値も他の測定値と同様にそれぞ
れの波長域において各波長域のPS和と同様の相関を示し
た。
従って、本発明の特定波長域のパワースペクトル和を
用いて塗膜鮮映性を評価する方法は、塗装後の塗膜鮮映
性を評価するための上記4種の評価方法のいずれに対し
ても相関を有し、正確な評価を与えるものであることが
わかる。
なお、このDOI値は、試料の表面に対して入射角30度
で光を入射し、その正反射光強度Rsと正反射角に対し、
±0.3度での散乱光強度R0.3の値を用いて、次式で表さ
れる。
DOI値(%) =100×(Rs−R0.3)/Rs そして、このDOI値が高い程塗膜鮮映性が良好である
ことを示す。
NSIC(*NSIC)値は、試料面による反射を介して結像
した矩形波パターンの光強度分布を測定し、それをフー
リエスペクトル解析し、結像パターンの「矩形波からの
ズレ」の程度として鮮明度を評価するもので、特に、平
滑感(NSIC値)および光沢感(*NSIC値)を評価する指
標である。
(実施例2) 実施例1で用いた塗装用鋼板の塗装前に鋼板表面の断
面曲線を3次元表面形状測定装置および周波数解説装置
を用いてスペクトル分析し、波長域6.0〜1.0mmのPS和PA
および波長域1.0mm未満200μm以上のPS和PBを求め、PA
が0.5μm2以下の塗装用鋼板について種々の塗装方法に
より合計塗膜厚55〜65μmの2回塗装を行って、各鋼板
の塗装後の塗装面の塗膜鮮映性を上述のドリゴン鮮明度
光沢計によるDOI値およびNSIC型写像鮮明度計測器によ
るNSIC値(*NSIC値)を求めた。
その結果を第10a図および第10b図に示す。
これらの図から明らかなように、いずれの計測法によ
る結果も、塗装用鋼板の表面の断面曲線から得られる周
波数解析曲線の波長域1.0mm未満200μm以上のPS和PBが
2.0以下であればNSIC値約70以上、*NSIC値で約50以
上、DOI値で約90以上であり、良好な塗膜鮮映性を示す
が、PBが2.0より大きくなるとNSIC値、*NSIC値、DOI値
のいずれも急激に低下し、塗膜鮮映性が劣化することが
わかる。
(実施例3) 供試鋼として、低炭素アルミキルド鋼の冷延鋼板を用
いた。これを、レーザビームによるダル加工を施した5
種類のスキンパスロールA,B,C,DおよびEを用いて、1.0
%の圧下率で調質圧延を行い、70×70mmの原板試験片A,
B,C,DおよびEを作成した。
なお、この時、レーザダル加工方法の条件を種々変え
ることにより、A,B,C,DおよびEの5種類のロール表面
の粗度パターンを変化させ、スキンパス圧延後の被ダル
加工鋼板表面の粗度パターンを変化させた5種の試験片
とした。
そして、各試験片を3次元表面形状測定装置(明神工
機製SAS−2001)により走査し、各試験片の3次元鋼板
表面断面曲線を得た。
その後、上記各試験片A,B,C,DおよびEの各々につい
て、周波数解析装置を用いて、上記3次元表面形状測定
装置で得られた表面形状の不規則なランダム波形、すな
わち時間軸に対してランダムな変動を示す入力信号を高
速フーリエ変換して、凹凸の各周波数毎の振幅レベルに
分解、表示して得られる周波数解析曲線を波長域を
(a)3150〜1024μm、(b)1024〜200μmおよび
(c)200〜25.6μmに3分割して作成した。
次いで、これらの周波数解析曲線の各波長域における
パワースペクトル和を求めた。
次に、上記各試験片について次のような化成処理を行
い、次いで合計塗膜厚55〜65μmの2回塗装を施したも
のと、合計塗膜厚95〜105μmの3回塗装を施したもの
とを得た。
化成処理 処理剤:ディップ処理用細粒型リン酸塩系薬剤 ディップ条件:43℃×120秒 被膜重量:2.2±0.2g/cm2 前処理:脱脂、水洗、表面調整 後処理:水洗い、純水洗、乾燥 塗装 塗装姿勢:垂直姿勢 下塗:カチオンED塗料 15〜20μm厚 中塗:シーラー 40〜45μm厚 上塗:トップコート 40〜45μm厚 なお、2回塗装の場合は中塗省略し、上記各工程とも
サンディングは行わなかった。
2回塗装および3回塗装後の各鋼板の試験片の塗膜表
面について、上述と同様に、第1図に示す3次元表面形
状測定装置2および周波数解析装置4を用いて、上述の
(a),(b)および(c)の3つの波長域の周波数解
析曲線を作成し、各波長域のパワースペクトル和を求め
た。
第11図(a),(b)および(c)に、試験片A,B,C,
DおよびEの原板、2回塗装板および3回塗装板のパワ
ースペクトル和を上記各(a),(b)および(c)の
3つの波長域に分けて示す。塗装姿勢はいずれも水平で
ある。
また、第12図(a),(b)および(c)に、上記試
験片AおよびDについて、上記各波長域における、原板
および2回塗装板の週数解析曲線(振幅スペクトル分
布)を示す。
第11図から明らかなように、 (a)3150〜1024μmの波長域の原板表面の凹凸成分
は、2回塗装でほとんど消失し、3回塗装で消失するこ
と、 (b)1024〜200μmの波長域の原板表面の凹凸成分
は、2回塗装後にも原板でのPS和に対応したPS和を呈す
るが、3回塗装ではほとんど消失すること、および (c)200〜25.6μmの波長域の原板表面の凹凸成分
は、2回塗装でほとんど消失するが、わずかに原板に似
たPS和の比を残しているが、3回塗装で消失すること、 がわかる。
また、第12図(a),(b)および(c)から明らか
なように、原板と2回塗膜での周波数分析の結果、Aと
Dのいずれの試験片においても、レーザダル鋼板特有の
290μm近辺と200μm近辺のピークが塗装面に痕跡を残
していることがわかる。
<発明の効果> 以上詳述したように、本発明の第1の態様によれば、
塗装用鋼板表面の断面曲線をフーリエ変換して得られる
周波数解析曲線における波長1.0〜6.0mmの範囲内に通常
塗装の塗膜鮮映性阻害波長域を設定し、かつ波長200μ
m以上1.0mm未満の範囲内に薄塗装の塗膜鮮映性阻害波
長域を設定し、これら2つの波長域のパワースペクトル
和を用いることにより、薄塗装での塗膜鮮映性をいかな
る塗装用鋼板であっても正確に評価することが可能であ
る。
また、本発明の第2の態様によれば、通常塗装の塗膜
鮮映性阻害波長域のパワースペクトル和を0.5μm2
下、かつ薄塗装の塗膜鮮映性阻害波長域のパワースペク
トル和を2.0μm2とすることにより、薄塗装であっても
優れた塗膜鮮映性を有する塗装用鋼板とすることができ
る。特に、レーザダル鋼板においては、スキンパス処理
用の圧延ワークロールのロール表面をレーザダル加工す
る際にレーザビームパルス間隔やレーザビームエネルギ
などの加工条件を制御することによりロール表面に形成
されるマイクロクレータの形状と間隔を容易に制御でき
るので、上記両波長域のPS和を制御することが可能であ
り、さらにワークロールの使用に伴うダル目(マイクロ
クレータ)の摩耗による使用限界を制御できるので、常
に一定かつ高品質の塗装用鋼板とすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係る塗装用鋼板の一実施例の鋼板表
面の周波数解析曲線の一例を示すグラフである。 第2図は(a)および(b)は、本発明の塗装用鋼板の
一実施例の鋼板表面に形成されたレーザダルパターンの
一例であり、第2図(c)は、このレーザダルパターン
を形成するのに用いられるワークロール表面の粗度プロ
フィルの一例である。 第3図は、本発明に係る塗装用鋼板の評価方法を実施す
る装置の一実施例の構成図である。 第4図は、本発明の塗装用鋼板表面を形状測定した、3
次元表面形状測定装置により得られた出力曲線の一例を
示すグラフである。 第5a図および第5b図は、それぞれ第4図の出力曲線を高
速フーリエ変換して得られた、2次元平均パワースペク
トル分布および2次元平均振幅スペクトル分布を示す図
である。 第6図、第7図および第8図の各(a),(b)および
(c)は、それぞれ塗装後の塗装面のDOI値、NSIC値お
よびPGD値とそれぞれ異なる3つの波長域のパワースペ
クトル和との関係を示す図である。 第9a図および第9b図は、それぞれ塗装後の塗装面のNSIC
値およびPGD値とDOI値の関係を示す図である。 第10a図および第10b図は、それぞれ塗装用鋼板の薄塗装
塗膜鮮映性阻害波長域のPS和PBと塗装後の塗装面のNSIC
値およびDOI値の関係を示す図である。 第11図(a),(b)および(c)は、それぞれ異なる
3つの波長域において、原板、2回塗装板および3回塗
装板のパワースペクトル和の一例を示す図である。 第12図(a),(b)および(c)は、それぞれ3つの
異なる波長域における、本発明の塗装用鋼板の2種につ
いての原板および2回塗装板の周波数解析曲線の例を示
す図である。 符号の説明 2……3次元表面形状測定装置、 4……周波数解析装置、 5……マイクロコンピュータ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塗装用鋼板の表面の断面曲線を検出し、該
    断面曲線をフーリエ変換して周波数解析曲線を得、通常
    塗装後の鋼板の鮮映性を阻害する通常塗装塗膜鮮映性阻
    害波長域を、前記周波数解析曲線における波長1.0〜6.0
    mmの範囲内に設定するとともに、塗装回数2回以下また
    は合計塗膜厚80μm未満の薄塗装後の鋼板の鮮映性を阻
    害する薄塗装塗膜鮮映性阻害波長域を前記周波数解析曲
    線における波長200μm以上1.0mm未満の範囲内に設定
    し、これら2つの塗膜鮮映性阻害波長域のパワースペク
    トル和を求めることにより、前記塗装用鋼板の塗膜鮮映
    性を評価することを特徴とする塗装用鋼板の評価方法。
  2. 【請求項2】鋼板の表面の断面曲線をフーリエ変換して
    得られる周波数解析曲線における1.0〜6.0mmの範囲内に
    設定された通常塗装塗膜鮮映性阻害波長域のパワースペ
    クトル和PAが0.5μm2以下であり、かつ前記周波数解析
    曲線における波長200μm以上1.0mm未満の範囲内に設定
    された、塗装回数2回以下または合計塗膜厚80μm未満
    の薄塗装後の鋼板の塗膜鮮映性を阻害する薄塗装塗膜鮮
    映性阻害波長域のパワースペクトル和PBが2.0μm2以下
    であることを特徴とする塗膜鮮映性に優れた塗装用鋼
    板。
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