JP2567949B2 - エレベータ遠隔監視装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明はエレベータ遠隔監視装置に関する。

［従来の技術］ 一般に、エレベータ側には、乗かごが予め定められた
位置に停止しない、ドアが予め定められた時間閉じな
い、あるいはインターホン呼びが押された等の諸状態を
監視する端末装置が設けられており、この諸状態から異
常と判断されたものが電話回線を介して発報され、この
発報信号を監視センタが受信することによつて必要な対
応を行なうようなエレベータ遠隔監視装置が実用化され
ている。それによつて、早急に異常状態がわかり、適切
な処置ができるようになつた。

ところで、エレベータで生じる事故は、これを利用す
る人々に多大の迷惑を及ぼし、人身事故につながること
も考えられる。このため、エレベータに対して事故発生
時だけでなく通常の時でも、保守員がある間隔をおいて
定期的に点検するようになつている。このような点検
は、そのエレベータを管轄する営業所から二人の保守員
が派遣されそれぞれが担当するエレベータを巡回し、機
械室、ピツト内あるいは乗かご上での点検作業をするこ
とによつて行なわれている。

しかし、この点検中、保守員自身の身体上の異常のよ
うな緊急事態が起きたとすると、保守員は自分自身で外
部に連絡しなければ、その場に長時間閉じ込められると
いう危険性があつた。そのため、連絡をする手段とし
て、保守員一人一人が防犯用ブザーを携帯するように
し、それによつて万一異常が発生したときでも、保守員
がこの防犯用ブザーを操作することによつて警報音を発
し、連絡するようにしたものがある。

［発明が解決しようとする課題］ 従来のエレベータ遠隔監視装置は上述のように構成し
たため、例えば、機械室での点検中では防犯用ブザーを
鳴動させても外部に聞こえないことが考えられ、乗かご
での点検中でもエレベータ付近の通常の騒音で防犯用ブ
ザーの音がかき消されてしまうことも考えられる。ま
た、気分が悪くなり急に倒れたような場合には防犯用ブ
ザーを操作することができず、外部との連絡がまつたく
とれないことも考えられる。

本発明の目的は、エレベータの点検中に、緊急事態が
生じても適切に対応することができるエレベータ遠隔監
視装置を提供するにある。

［課題を解決するための手段］ 本発明は上記目的を達成するために、エレベータの点
検時に保守員が携行するエネルギー波発振器と、このエ
ネルギー波発振器からの信号を受信するエネルギー波受
信部と、端末装置に、所定時間エネルギー波受信部で上
述した信号が受信されたとき異常信号を出力する判断手
段と、この異常信号により通信装置を起動させる起動手
段とを設けたことを特徴とする。

また第２番目の発明では、判断手段が所定時間よりも
短い所定の時間に達したとき作動する警報手段と、この
警報手段が所定時間に達するまで継続したとき起動手段
を作動させるようにしたことを特徴とする。

［作用］ 本発明によるエレベータ遠隔監視装置は上述の如く構
成したため、エレベータの点検にあたつて保守員が携行
したエネルギー発振器を操作すると、エネルギー波が発
振され、エネルギー波受信器がこの信号を受信し、この
受信時間が所定時間を超えると判断手段が異常と判断
し、起動手段によつて通信装置が起動され、監視センタ
に通報することができる。それによつて、監視センタで
は対象となるエレベータに新たな保守員を急行させるこ
とができ、素早い処置をとることができる。

また第２番目の発明では、上述した所定時間よりも短
い所定の時間に達したとき異常信号により警報手段を作
動させることによつて、保守員に対して監視センタへの
発報を予告し、もし、保守員自身に異常がなく作業の続
行に支障がない場合は、保守員により停止手段が操作さ
れて監視センタへの発報を停止させ、もし、保守員自身
の身体上の異常のような緊急自体となり所定時間を超え
ても警報手段が止まらない場合は、停止手段が操作され
ずに監視センタへの発報が行なわれる。それによつて、
エレベータの点検が作業時間を超えたとしてもあと少し
で作業を終えられるような場合に、監視センタから新た
な保守員を不必要に派遣させるようなことがなく、保守
員自身の身体上の異常があるような緊急自体にだけ対処
することができる。

［実施例］ 以下本発明の一実施例を図面から説明する。

図面は本発明の一実施例を示すエレベータ遠隔監視装
置のブロツク図である。

エレベータ側にはエレベータの異常を監視する端末装
置３が設けられており、異常があつたときに電話回線５
を介して、監視センタ４に発報するように構成されてい
る。エレベータの各箇所、すなわち、乗場ホール、乗か
ご内、搭内および機械室等には、保守員が携行するエネ
ルギー波発振器１の発する信号を受信するエネルギー波
受信部２や警報器６が設置されており、それぞれ端末装
置３に電気的に接続されている。

端末装置３は次のように構成されている。エレベータ
の種々のデータを入力して異常の有無の判定を行なうの
が制御装置3aであり、エネルギー波受信部２が所定時間
信号を受信すると異常信号を出力する判断手段と、この
異常信号により通信装置3bを起動させる起動手段とを含
んでいる。この制御装置3aで所要の事項について異常の
有無の判定がなされ、異常であると判定されると、通信
装置3bによりその異常信号を電話回線５を介して監視セ
ンタ４に出力する。その他、端末装置３には、エネルギ
ー波受信部２からの信号を受信すると共に、端末装置３
からの信号を送信するための送受信アンプ3cと、該復調
器3dと、警報出力部3eと、所定時間が設定されているタ
イマ3fとが設けられている。

また監視センタ４は、端末装置３からの異常信号を受
信するための通信装置4aと、この異常信号を処理してそ
の内容を印字および表示するための処理装置4bとから構
成されている。

なお、エネルギー波発振器１およびエネルギー波受信
部２に用いられるエネルギー波としては、超音波や電磁
波等があるが、本実施例では超音波で説明し、超音波発
振器１および超音波受信部２とする。この超音波発振器
１は、保守員が操作する押釦スイツチ1cで作動する携帯
発振器1aと、そこからの超音波を外部に出力する超音波
発信部1bとから成つている。

エレベータの点検にあたり保守員は、超音波発信器１
の押釦スイツチ1cを押して、ある特定の点検作業を意味
する超音波信号を超音波発信部1bから発振させる。この
状態で保守員が塔内に入り点検作業を開始すると、超音
波受信部２はその信号を受信する。また端末装置３で
は、この信号が送受信アンプ3c、変復調器3dを介して制
御装置3aに入力される。制御装置3aには、通常状態にお
ける点検作業に要するよりもある程度長い時間が設定さ
れたカウンタが設けられ、超音波発振器１からの信号が
入力されている間カウント動作が継続されるようになつ
ている。

通常の点検作業では、上述したカウンタに設定された
所定時間内に作業が完了する。保守員は作業が終わると
押釦スイツチ1cを開放する。これにより超音波発振器１
からは他の特定超音波の信号が出力され、この信号が端
末装置3aに入力されてカウンタをリセツトする。すなわ
ちそのカウンタはカウント値の最終値に至る前にリセツ
トされることになる。

ところで、点検中に大きな異常が発見されて応急修理
を施す必要が生じたり、保守員自身の身体に異常が生じ
たりすると、作業の進行が遅延することが考えられる。
このため、上述した所定時間になるとカウンタは最終値
となり、判断手段は異常と判定し異常信号を出力する。
次に警報手段により警報出力部3eから信号が出力され、
警報器６を作動させると共にタイマ3fを作動状態とす
る。この警報器６の作動により保守員は作業が遅延して
いることを知ることができる。

そこで、他の保守員の助力が必要だと判断した場合に
は、保守員は警報器６の動作をそのまま放置しておく。
またもし保守員が倒れてしまつたときにも警報器６の動
作は放置される。それによつて、上述した所定時間より
も短くタイマ3fに設定された所定の時間が経過して、所
定時間に達すると、起動手段が動作し通信手段3bが起動
して監視センタ４へ点検作業の遅延を発報する。これを
受けた監視センタ４では、保守員を新たに派遣する等の
所要の処理をとることができる。

もし、警報手段により作業の遅延が知らされたとして
も、保守員一人で作業を完了できると判断した場合に
は、超音波発振器１の押釦スイツチ1cを開放する。これ
により超音波発振器１からは他の特定信号が出力され、
制御装置3aのカウンタがリセツトされると共に、警報出
力部3eへの信号出力が停止され、タイマ3fがリセツトさ
れる。こうして通信装置3bからの発報が中止され、以
後、保守員は単独で点検作業を完了することができる。
この時、作業の種類や場所を変更して点検を継続する場
合等を考慮して、保守員が押釦スイツチ1cを開放して
も、直ちに押釦スイツチ1cが再度閉じるよう定めること
もできる。

このように、保守員に発振器を携行させ、また塔内、
機械室等にその受信部を設置し、所定時間より短い所定
の時間が経過すると警報手段が作動するようにしたの
で、作業中の保守員の必要に応じた処置をとることがで
きる。さらに、監視センタ４では、任意に端末装置３の
制御装置3aを呼び出してその内部のカウンタ値を知るこ
とができるので、作業の進行状況を推定することが可能
となり、それに基いた保守員の配置、派遣等を合理的に
行なえる。

なお、本実施例では、警報出力部3e、警報器６、タイ
マ3fを設けて発報予告をするようにしたが、制御装置3a
で所定時間の経過が判断されたら、直ちに発報するよう
にしてもよい。また、保守員が携行する発振器にスピー
カを設け、警報出力部3eの信号をそのスピーカに入力し
て作動させるようにすれば、警報器６を設けなくてもよ
い。さらに、制御装置3a内のカウンタは、信号継続中カ
ウントダウンする形式でもよいし、逆にカウントアツプ
させてもよく、これらカウンタの他にタイマを用いても
よい。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明は、保守員が携行するエネ
ルギー波発振器の信号が所定時間を超えて受信されると
監視センタへの通報が行なわれるようにしたため、その
点検の遅延が保守員自身の身体上の異常であるような緊
急事態が発生した場合にのみ新たな保守員を派遣して、
これに対応することができる。

また、第２番目の発明では、上述の構成に加えて、保
守員に対し作業が遅延気味であることを警報手段によつ
て知らせるようにしたため、作業時間が長引いたとして
もあと少しで作業が完了する場合のように、新たな保守
員が不要であるのに通報してしまうことを防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例によるエレベータ遠隔監視装
置のブロツク図である。 １……エネルギー波発振器、２……エネルギー波受信
部、３……端末装置、3b……通信装置、４……監視セン
タ、５……電話回線。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】エレベータの異常を監視すると共に、通信
   装置を有して構成された端末装置と、電話回線を介して
   上記端末装置と接続した監視センタとから構成されるエ
   レベータ遠隔監視装置において、上記エレベータの点検
   時に保守員が携行するエネルギー波発振器と、このエネ
   ルギー波発振器からの信号を受信するエネルギー波受信
   部と、上記端末装置に、所定時間上記エネルギー波受信
   部で上記信号が受信されたとき異常信号を出力する判断
   手段と、上記異常信号により上記通信装置を起動させる
   起動手段とを設けたことを特徴とするエレベータ遠隔監
   視装置。
2. 【請求項２】請求項１記載のものにおいて、上記判断手
   段が上記所定時間よりも短い所定の時間に達したとき作
   動する警報手段と、この警報手段が上記所定時間に達す
   るまで継続したとき上記起動手段を作動させるようにし
   たエレベータ遠隔監視装置。