JP2566592Y2 - キャッチャー付き運搬車のキャッチャー構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、荷物を抱持するキャ
ッチャーが起立姿勢と傾斜姿勢とに亘って傾起可能に取
り付けられたキャッチャー付き運搬車のキャッチャー構
造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】荷物を抱持するキャッチャーを油圧シリ
ンダによって起立姿勢と傾斜フレーム上に沿う傾斜姿勢
とに亘って傾起可能に構成した自走式の運搬車は知られ
ており、細長い荷物を個別に配達する際等に用いられて
重宝がられている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】ところが、荷物によっ
ては比較的小さい（径も小さく、高さも低い）ものもあ
るから、これを一つずつ運搬するのは効率が悪い。した
がって、キャッチャーに荷物を横に並べ（上下に重ねる
と安定が悪く、また、キャッチャーがうまく抱持できな
い）、これを傾斜姿勢にして運搬することになる。しか
し、このようにすると、荷物の幅が往々に車体の幅を越
えて他部材に干渉することになるから、キャッチャーの
回動支点をいきおい遠いものにしてこれを避けざるを得
ず、こうすると、傾斜姿勢にしたとき、荷物の重心位置
が高くなって安定性が悪く、危険である。この考案は、
このような課題を解決するものであって、要は、キャッ
チャーを傾斜姿勢にすると、自動的に重心を下げ得る構
成にしたものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため、この考案は、車体の前部に、荷物を抱持するキ
ャッチャーを車体との間に介設される油圧シリンダの伸
縮でキャッチャーを起立させる起立姿勢と、車体上に前
下がりに設置される傾斜フレームの上に寝る傾斜姿勢と
に切り換えるキャッチャー付き運搬車において、キャッ
チャーを、荷物を抱持する荷台枠と、荷台枠の後方に平
行リンクで連結され、下端に車体に設けられる固定歯車
の前方位置で噛み合う遊星歯車が取り付けられ、かつ、
油圧シリンダが枢着された縦フレームとで構成し、油圧
シリンダを縮短させて縦フレームを傾斜姿勢にすると
き、縦フレーム下端の遊星歯車が固定歯車の周囲を遊星
回動して平行リンクが折り畳まれ、荷台枠が縦フレーム
側に接近する構成にしたことを特徴とするキャッチャー
付き運搬車のキャッチャー構造を提供するのである。

【０００５】

【作用】以上の手段をとることにより、キャッチャーが
傾斜姿勢になるとき、キャッチャーを構成する荷台枠が
その後方の縦フレームに接近することになるから、その
ままで傾斜させたよりも重心が下に下がり安全である。

【０００６】

【実施例】図１はキャッチャー付き運搬車の側面図であ
るが、この運搬車はクローラ１０で支えられる車体１２
の前部に支点軸１４を中心に油圧シリンダ１６の伸縮に
よって起立姿勢と前傾して設けられる傾斜フレーム１８
上に沿う傾斜姿勢とに亘って回動するキャッチャー２０
が装備されるものである。

【０００７】キャッチャー２０は二本の縦フレーム２２
と荷台枠２４とを平行リンク２６で連結したものであ
る。この場合、縦フレーム２２の下端には支点軸１４に
固着される固定歯車２８の外周を遊星回動する遊星歯車
３０が取り付けられ、上部に油圧シリンダ１６が枢着さ
れている。これにより、荷台枠２４に荷物３２を抱持さ
せ、油圧シリンダ１６を縮短させると、キャッチャー２
０は回動して傾斜姿勢になるが、このとき、遊星歯車３
０の作用によって平行リンク２６が移動する回動角度が
大きくなり、荷台枠２４を支点軸１４回りに回動させた
ものよりも重心を上下方に移動させる。すなわち、仮に
両者の歯数を同じとした場合、遊星歯車３０は固定歯車
２８の倍回転することになる。具体的には、縦フレーム
２２が支点軸１４回りに回動する角度をθとすると、こ
の構成による回動角度は２×θとなり、その分、平行リ
ンク２６が縦フレーム２２に対して上方に折り畳まれる
ことになる（図１参照）。

【０００８】図２および図３は荷台枠２４の平面図であ
るが、この荷台枠２４を２ピースとし、縦フレーム２２
の位置を不変にしてその組合せ姿勢を変えることで、荷
物３２を抱持する形態が中央一個と横二個に変更できる
ようにしておく。すなわち、平面視逆く字形をしている
荷台枠２４の内寄りの一辺を重合させたとき（図２参
照）が中央一個のもの、ピン２５等で直列に連結したと
き（図３参照）が横二個のものである。なお、荷物３２
を荷台枠２４に載せるときにはベルト２７で固定してお
く。図４および図５は荷台枠２４とクローラ１０との関
係を示す一部平面図であるが、このようにすると、荷物
３２の最後部は中央一個のものではクローラ１０内に入
り込ませても（図４参照）、横二個のものではクローラ
１０の前方に位置させなければならないこともある（図
５参照）。

【０００９】図６はこのように荷台枠２４の組合せ姿勢
を変え、小型の荷物３２を横二個抱持した場合を示す運
搬車の側面図であるが、この場合も、キャッチャー２０
を傾斜姿勢にすると、平行リンク２６と遊星歯車３０の
作用で荷台枠２４の重心はハンドル寄り、かつ、傾斜フ
レーム１８側に移動する。したがって、前記した荷物３
２が横二個のときにクローラ１０の幅を越えても（荷台
枠２４をクローラ１０の前方に位置させても）、安全性
に支障がないようにできるのである。

【００１０】

【考案の効果】以上、この考案は前記したものであるか
ら、すなわち、キャッチャーを傾斜姿勢にした場合、そ
のまま傾斜させたものに比べて重心が下方に移動するこ
とになるから（荷物は傾斜フレームに沿って上方に上が
るが、重心は下がる）、安定性が高い。特に、階段等を
昇降するときには、この重心移動はその安全性に最適に
対応する。さらに、このことは、荷台枠を支点軸から遠
く離れて（クローラの前方）設置することが可能になる
から、クローラの幅を越える荷物を積載でき、その有用
性が一層高まる。

【図面の簡単な説明】

【図１】キャッチャー付き運搬車の側面図である。

【図２】荷台枠の平面図である。

【図３】荷台枠の平面図である。

【図４】キャッチャー付き運搬車の一部平面図である。

【図５】キャッチャー付き運搬車の一部平面図である。

【図６】キャッチャー付き運搬車の側面図である。

【符号の説明】 １２ 車体 １６ 油圧シリンダ ２０ キャッチャー ２２ 縦フレーム ２４ 荷台枠 ２６ 平行リンク ２８ 固定歯車 ３０ 遊星歯車 ３２ 荷物

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体（１２）の前部に、荷物（３２）を
   抱持するキャッチャー（２０）を車体（１２）との間に
   介設される油圧シリンダ（１６）の伸縮でキャッチャー
   （２０）を起立させる起立姿勢と、車体（１２）上に前
   下がりに設置される傾斜フレーム（１８）の上に寝る傾
   斜姿勢とに切り換えるキャッチャー付き運搬車におい
   て、キャッチャー（２０）を、荷物（３２）を抱持する
   荷台枠（２４）と、荷台枠（２４）の後方に平行リンク
   （２６）で連結され、下端に車体（１２）に設けられる
   固定歯車（２８）の前方位置で噛み合う遊星歯車（３
   ０）が取り付けられ、かつ、油圧シリンダ（１６）が枢
   着された縦フレーム（２２）とで構成し、油圧シリンダ
   （１６）を縮短させて縦フレーム（２２）を傾斜姿勢に
   するとき、縦フレーム（２２）下端の遊星歯車（３０）
   が固定歯車（２８）の周囲を遊星回動して平行リンク
   （２６）が折り畳まれ、荷台枠（２４）が縦フレーム
   （２２）側に接近する構成にしたことを特徴とするキャ
   ッチャー付き運搬車のキャッチャー構造。
2. 【請求項２】 荷台枠（２４）を二つのピースで形成
   し、その組合せ形状を変えると、荷物（３２）を抱持す
   る形態が中央一個と横二個のものに変更可能になる請求
   項１記載のキャッチャー付き運搬車のキャッチャー構
   造。