JP2566302Y2 - 鉄筋配設用スペーサー - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は、コンクリート部材中
に埋設される補強用鉄筋を、コンクリート部材形成時の
型枠に支持固定する鉄筋配設用スペーサーに関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種の鉄筋配設用スペーサーと
しては、補強用鉄筋を固定せず、ただ単に、コンクリー
ト部材形成用の型枠からの所定距離位置に補強用鉄筋を
保持するものが一般に知られている。また、この従来の
鉄筋配設用スペーサーは、プラスチック，モルタル，鋼
製等で形成されている。

【０００３】

【この考案が解決しようとする課題】しかし、前述した
従来の鉄筋配設用スペーサーでは、ただ単に、型枠から
の所定距離位置に補強用鉄筋を保持するだけなので、補
強用鉄筋のスペーサーへの固定が面倒なものとなってし
まう。

【０００４】一方、鉄筋配設用スペーサーをプラスチッ
ク製にすると、プラスチックの強度が十分でないので、
スペーサー自身が耐荷性の劣るものとなってしまう。さ
らに、プラスチックとコンクリート部材用打設コンクリ
ートとの熱膨張係数が異なるため、蒸気養生セメントの
効果熱によって、コンクリートとスペーサーとの界面に
隙間が生じ、水の浸透が容易に起こることとなる。

【０００５】また、鉄筋配設用スペーサーをモルタル製
にすると、モルタルの密度が小さいので、スペーサー自
身が、透水性の大きいものとなってしまう。さらに、モ
ルタルの強度が十分でないので、スペーサー自身が耐荷
性，耐衝撃性が劣るものとなってしまう。

【０００６】また、鉄筋配設用スペーサーを鋼製にする
と、スペーサー自身の形状によっては耐荷性，耐衝撃性
が強いとものとなるが、水の浸透によってスペーサー自
身に錆が発生する等、耐久性に疑問がある。

【０００７】この考案は前述した事情に鑑みて創案され
たもので、その目的はコンクリート部材の厚みが大きく
て鉄筋重量も大きい場合にも、補強用鉄筋の固定が容易
に行えるように、耐荷性，耐衝撃性に優れ、しかも、耐
久性，施工性，経済性に優れた鉄筋配設用スペーサーを
提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】この考案の鉄筋配設用ス
ペーサーは、コンクリート部材の形成時に形成用型枠へ
取付けて、この型枠からの所定距離位置に、前記コンク
リート部材中となる補強鉄筋を支持固定する鉄筋配設用
スペーサーであり、ガラス繊維が混合された高強度モル
タルで形成されている略立方体状の本体と、この本体の
一端面に設けられており、底面と底面の両縁から内側に
傾いた両側面と両側面の先端から反対方向に傾いたガイ
ド面を有して、底面と両側面とで前記補強用鉄筋を支持
固定する係止用凹部とを備えてなり、前記係止用凹部
は、前記補強用鉄筋を、凹部内へ押付けて嵌入させるこ
とで支持固定できるように、バネ鋼で形成されている。

【０００９】そして、バネ鋼で形成されている係止用凹
部によって、型枠からの所定位置に補強用鉄筋の固定を
短時間で容易かつ確実に行うことができる。また、スペ
ーサーの本体をガラス繊維が混合された高強度モルタル
で形成したことにより、スペーサー自身を耐荷性、耐衝
撃性に優れたものとすることができるようにしたもので
ある。

【００１０】

【実施例】以下、この考案の鉄筋配設用スペーサーを、
図示する実施例によって説明する。

【００１１】コンクリート部材の形成時に形成用型枠
（図示せず）へ取付けて、この型枠からの所定距離位置
に、コンクリート部材中となる補強用鉄筋２を支持固定
する鉄筋配設用スペーサー１（図１参照）は、ガラス繊
維が混合された高強度モルタルで形成されている略立方
体状の本体３と、この本体の一端面に設けられており、
底面５と底面５の両縁から内側に傾いた両側面６と両側
面６の先端から反対方向に傾いたガイド面７を有して補
強用鉄筋２を支持固定する係止用凹部４とを備えてなっ
ている。

【００１２】また、前記係止用凹部４は、補強用鉄筋２
を、凹部４内へ押付けて嵌入させることで支持固定でき
るように、バネ鋼で形成されている。なお側面６には透
孔８が穿設してあり、必要により線を通して、補強用鉄
筋２のしばりに利用する。

【００１３】そして、この実施例における筋配設用スペ
ーサー１の略立体状の本体３は、普通のコンクリートで
は衝撃に弱いので、鉄筋を無理に押し込むと破損するこ
とがあるので、ガラス繊維で補強された高強度モルタル
によって形成されている。そして曲面をなす型枠に接す
る面は曲面に形成する。

【００１４】なお、具体的なスペーサー１の製作は、高
流動化された高強度のモルタルをスペーサー成形用型枠
内へ流し込む際に、予めプレミックスや吹付けによっ
て、Ｇ．ＦやＣ．Ｆのアラミド繊維等のガラス繊維を混
合することで行われる。

【００１５】係止用凹部４は、突起の付いたバネ鋼を本
体３の中へ埋込んで本体３に取付けられるようになって
いる。

【００１６】このような構成からなる鉄筋配設用スペー
サー１を使用しての補強用鉄筋２の固定は、先ず、鉄筋
配設用スペーサー１をコンクリート部材成形用型枠（図
示せず）の成形面に設置する。

【００１７】次に、型枠（図示せず）の成形面に設置し
た鉄筋配設用スペーサー１の係止用凹部４に、補強用鉄
筋２を嵌入する。このことにより、鉄筋配設用スペーサ
ー１で、補強用鉄筋２をコンクリート部材成形用型枠内
の所定位置に固定することとなる。

【００１８】

【考案の効果】この考案の鉄筋配設用スペーサーによれ
ば、バネ鋼の係止用凹部によって、コンクリート部材成
形用型枠内に補強用鉄筋を容易かつ確実に固定すること
ができる。

【００１９】また、この考案の鉄筋配設用スペーサーの
本体は、高強度のモルタルでかつ、ガラス繊維により補
強されていることから、重量の大きい鉄筋を支持し、高
振動のバイブレーターによるコンクリート締固めにも損
傷が生じない。

【００２０】さらに、鉄筋配設用スペーサーの本体は、
モルタル製のために、コンクリートとの付着が良く、水
みちが生じにくい。また、所謂、鉄筋の被りの部分に、
鉄製の材料がないため、錆等の腐食が生じない。

【００２１】しかも、鉄筋配設用スペーサーと鉄筋との
定着部である係止用凹部にバネ鋼を用いているので、ス
ペーサーの取付けが簡単にでき、作業製が向上する。ま
た、一度取付けたものは、取れにくい。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案の鉄筋配設用スペーサーを示す斜視図
である。

【符号の説明】

１…鉄筋配設用スペーサー、２…補強用鉄筋、３…本
体、４…係止用凹部、５…底面、６…側面、７…ガイド
面、８…透孔。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)考案者 松田 正人 埼玉県東松山市大字岡1871 (72)考案者 田村 憲一 東京都板橋区双葉町３番４号 三信技研 株式会社内 (56)参考文献 実開 昭63−192518（ＪＰ，Ｕ) 実公 昭51−13868（ＪＰ，Ｙ１)

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 コンクリート部材の形成時に形成用型枠
   へ取付けて、この型枠からの所定距離位置に、前記コン
   クリート部材中となる補強用鉄筋を支持固定する鉄筋配
   設用スペーサーであり、 ガラス繊維が混合された高強度モルタルで形成されてい
   る略立方体状の本体と、この本体の一端面に設けられて
   おり、底面と底面の両縁から内側に傾いた両側面と両側
   面の先端から反対方向に傾いたガイド面を有して、底面
   と両側面とで前記補強用鉄筋を支持固定する係止用凹部
   とを備えてなり、 前記係止用凹部は、前記補強用鉄筋を、凹部内へ押付け
   て嵌入させることで支持固定できるように、バネ鋼で形
   成されていることを特徴とする鉄筋配設用スペーサー。