JP2564465B2 - 既製杭埋設工法 - Google Patents

既製杭埋設工法

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JP2564465B2
JP2564465B2 JP6014587A JP1458794A JP2564465B2 JP 2564465 B2 JP2564465 B2 JP 2564465B2 JP 6014587 A JP6014587 A JP 6014587A JP 1458794 A JP1458794 A JP 1458794A JP 2564465 B2 JP2564465 B2 JP 2564465B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は、地盤中に既製杭を埋
設して、建築物等のコンクリート基礎部分が設置される
部分の地盤を強化するための既製杭埋設工法に関し、特
に地盤中に埋設した既製杭の杭頭内部とコンクリート基
礎部分とに跨がって連結用鉄筋を埋設し得るようにした
既製杭埋設工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】既製杭を使用して地盤を強化する場合に
おいて、地盤中に埋設された既製杭とその上部に設置さ
れるコンクリート基礎部分とを強固に連結する手段とし
て、既製杭の杭頭内部とその上部に設置されるコンクリ
ート基礎部分に跨がって連結用鉄筋を埋設することが有
力である。
【0003】図9には、既製杭を使用し且つ既製杭の杭
頭内部とコンクリート基礎部分に跨がって連結用鉄筋を
埋設するようにした従来の既製杭埋設工法を示している
が、この従来の既製杭埋設工法は、次のようにして行わ
れる。
【0004】まず、図9の(イ)に示すように、地盤中
に掘削装置7によって所定深さの掘削孔3を形成する。
この掘削工程では、回転軸71の下端ヘッド73から水
を供給しながら掘削翼72で掘削することによって行
う。従って、形成された掘削孔3内は、スラリー状(泥
漿状)となっている。又、掘削孔3を所定深さまで掘削
した後、掘削装置7を掘削孔3内から引き抜くのに先立
って、回転軸71の下端ヘッド73から掘削孔3の底部
付近にセメントミルクあるいはモルタル等の根固め用固
化材(図9の(ハ)の符号4a)が吐出される。尚、掘
削装置7の引き抜き操作は、回転軸71を回転(逆回
転)させながら行うので、掘削孔3の底部付近に吐出さ
れた根固め用固化材4aは掘削孔3内のスラリー4と混
合・撹拌されるようになる。従って、掘削孔3内の上部
寄り位置にあるスラリー4中にも、濃度は漸次薄くなる
ものの固化材成分が混入されるようになる。
【0005】次に、掘削装置7を引き抜いた後、図9の
(ロ)に示すように、掘削孔3内に中空円筒状の既製杭
1を挿入する。このとき掘削孔3内のスラリー4は、既
製杭1の外周側空所及び既製杭の内部空所10内の全域
に充満する。尚、掘削孔3内に充満しているスラリー4
は、時間の経過に伴って乾燥・硬化が進行する。
【0006】続いて、掘削孔3内のスラリー4がある程
度硬化した後、図9の(ハ)に示すように、杭頭1aの
上部の土壌を削り取って杭頭上部に構築されるコンクリ
ート基礎部分6(図9の(ニ)参照)用の空所15を形
成するとともに、既製杭1の杭頭内部11の土壌を排出
して、該杭頭内部11に所定小深さの鉄筋挿入用空所1
6を形成する。この鉄筋挿入用空所16を形成するため
の土壌排出作業は、スコップ等を使用して手作業により
行われる。尚、この鉄筋挿入用空所16の深さHは、少
なくとも既製杭1の外径の1.5倍は必要であり、例え
ば既製杭1の外径が600mmである場合には上記深さH
が900mm以上、必要である。
【0007】そして、図9の(ニ)に示すように、コン
クリート基礎部分用空所15と既製杭1の鉄筋挿入用空
所16とに跨がって連結用鉄筋(鉄筋籠)5を設置した
後、その連結用鉄筋5を埋設した状態で該鉄筋挿入用空
所16及び基礎部分用空所15内に生コンクリートを打
設してコンクリート基礎部分6を構築する。
【0008】このようにして構築された既製杭1とコン
クリート基礎部分6との連結構造では、杭頭1aとコン
クリート基礎部分6とに跨がって連結用鉄筋5が介在さ
れているので、その連結強度が高強度となる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した従
来の既製杭埋設工法では、図9の(ハ)に示すように、
杭頭内部11の土壌を排出して鉄筋挿入用空所16を形
成する際に、その排出すべき土壌の比重がかなり大き
く、且つ杭頭内部11のかなりの深さ(例えば900mm
程度)まで掘り下げなければならないために排出すべき
土壌の量が多くなり、その土壌排出作業が重労働となる
とともにその作業に長時間を要するという問題があっ
た。又、排出すべき土壌中には、少量ながら根固め用固
化材4aが混入している関係上、該土壌がかなりの硬度
で固結しており、土壌排出作業はその固結している土壌
をスコップ等でほぐしながら行う必要があって、その作
業性が極めて悪くなっていた。
【0010】本願発明は、既製杭の杭頭とその上部に構
築されるコンクリート基礎部分とに跨がって連結用鉄筋
を埋設するようにした既製杭埋設工法において、地盤中
に埋設される既製杭の杭頭内部に形成すべき鉄筋挿入用
空所を容易に且つ短時間で形成し得るようにすることを
目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本願発明は、上記課題を
解決するための手段として、内部にスラリーが入ってい
る掘削孔内に中空円筒状の既製杭を挿入し、その既製杭
の杭頭内部と該既製杭の上部に構築されるコンクリート
基礎部分とに跨がって連結用鉄筋を埋設するようにした
既製杭埋設工法において、既製杭を掘削孔内に挿入する
のに先立って、既製杭の内部空所における杭頭の上端か
ら所定小深さの範囲の容積部分に、掘削孔内のスラリー
が既製杭の内部空所を通って上方向に流通し得るスラリ
ー通路を形成した状態で詰め物を充填しておき、その詰
め物つき既製杭をスラリーの入った掘削孔内に挿入し、
該スラリーがある程度以上固化した後に詰め物を既製杭
から取り除いて、既製杭の杭頭内部に連結用鉄筋を挿入
するための空所を形成するようにしたものである。
【0012】既製杭としては、鋼管杭やコンクリート杭
などが使用可能である。又、上部に構築される建造物の
構造や地盤の地質などによって、適宜サイズ(長さや太
さ)の既製杭が使用される。
【0013】既製杭は、その杭頭内部に、予め内部空所
の所定小深さまで詰め物を充填した状態で使用される
が、この詰め物は、詰め物つき既製杭を掘削孔内に埋設
した後に取り除いて杭頭内部に鉄筋挿入用空所を形成す
るためものである。この詰め物の材料としては、発泡ス
チロールのように比較的容易に破壊することができるも
の、あるいは木材や合成樹脂等の硬質材料からなる成型
品等が使用可能である。詰め物として発泡スチロール製
のものを使用する場合には、既製杭から取り除く際に該
詰め物を小さく破壊しながら行えるので、詰め物を杭頭
内面に対して必ずしも原形のままで着脱自在とする必要
がない。尚、発泡スチロール製の詰め物を使用した場合
であっても、該詰め物を杭頭内部から原形のまま離脱さ
せるようにしてもよい。又、詰め物として硬質材料から
なる成型品を使用する場合には、該詰め物を杭頭内面に
対して引き抜き自在に充填しておく。その場合、詰め物
における掘削孔内のスラリーが接触する面に剥離効果の
高い薬液を塗布しておくと、該詰め物の抜き外し作業が
容易に行える。この詰め物つき既製杭を掘削孔内に挿入
する際には、詰め物が既製杭の内部空所に入っているス
ラリーによって上方に押し上げられるような作用を受け
るが、該詰め物は取外し可能な適宜の固定手段によって
不用意に上方に抜け出さないようにするとよい。尚、杭
頭内部における詰め物の充填深さは、既製杭の外径の
1.5倍以上必要である。又、既製杭の杭頭内部に詰め
物を充填した状態において、詰め物充填部分に上下に貫
通するスラリー通路を形成しておく。このスラリー通路
は、1箇所でも2以上の複数箇所でもよい。又、該スラ
リー通路は、杭頭内面と詰め物外側面との間に形成して
もよく、あるいは詰め物中を上下に貫通させるように形
成してもよい。
【0014】地盤中に形成される掘削孔は、一般に回転
軸の下端に掘削翼を設けた掘削装置で掘削されるが、そ
の掘削作業は回転軸を通して水を供給しながら行われ
る。従って、形成された掘削孔内には、土壌と水とが混
合したスラリー(泥漿)が充満するようになる。又、掘
削孔を形成した後、掘削装置を引き抜くのに先立って、
掘削孔の底部付近に回転軸の下端ヘッドからモルタル等
の根固め用固化材を吐出し、続いて回転軸を回転させな
がら掘削装置を引き上げていく。すると、掘削孔の底部
付近に吐出された根固め用固化材は掘削孔内のスラリー
と混合・撹拌されるようになる。従って、掘削孔内の上
部寄り位置にあるスラリー中にも、濃度は漸次薄くなる
ものの固化材成分が混入されるようになる。
【0015】そして、本願発明の既製杭埋設工法では、
スラリー(泥漿)が入っている掘削孔内に上記詰め物つ
き既製杭を挿入し、掘削孔内のスラリーがある程度以上
固化した後、詰め物を杭頭内部から取り除いて杭頭内部
に鉄筋挿入用空所を形成し、次に該鉄筋挿入用空所とコ
ンクリート基礎部分が構築される基礎部分用空所に跨が
って連結用鉄筋(鉄筋籠)を設置し、続いて該基礎部分
用空所と鉄筋挿入用空所とに生コンクリートを打設する
ようにして行われる。
【0016】
【作用】本願発明の既製杭埋設工法では、スラリーの入
った掘削孔内に詰め物つき既製杭を挿入すると、スラリ
ー中に侵入する詰め物つき既製杭の体積量と同量のスラ
リーが上方に押し上げられるようになる。そして、詰め
物つき既製杭の挿入最終段階の直前において、詰め物の
下面が既製杭の内部空所に入っているスラリーの上面に
接触し、その後、さらに詰め物つき既製杭を下方に進入
させると、既製杭の内部空所にあるスラリーの一部が、
詰め物充填部分に形成しているスラリー通路を通って杭
頭の上端開口から杭頭外周に溢れ出るようになる。従っ
て、杭頭内部に詰め物をしたものであっても、スラリー
通路を形成していることにより、詰め物つき既製杭を支
障なく所定深さまで挿入させることができる。又、詰め
物つき既製杭を掘削孔内に完全に挿入した状態では、詰
め物充填部分がスラリー中に埋没しており、杭頭内部に
おける詰め物充填部分は当然にスラリーが排除されてい
る。
【0017】そして、掘削孔内のスラリーがある程度以
上硬化した後、杭頭上部の土壌を排除してコンクリート
基礎部分用の空所を形成するとともに、詰め物を杭頭内
部から取り除く。ところで、詰め物として発泡スチロー
ル製のものを使用した場合には、該詰め物を杭頭内部か
ら取り除く際に小塊状に破壊しながら順次排除させるこ
とができ、詰め物の外表面と杭頭内面とが固着性を有す
る土壌で接着されている場合であっても、該詰め物を支
障なく排除することができる。又、詰め物として木材や
合成樹脂等の硬質成型品を使用した場合には、該詰め物
を人力によって抜き外すことができない場合も考えられ
るが、その場合には詰め物の抜き外しを適宜の動力装置
を用いて行ってもよい。
【0018】又、杭頭内部から詰め物を除去した後に
は、スラリー通路部分に土壌が残ったままになることが
あるが、その残土は比較的少量であり、且つスコップ等
で容易に崩すことができるので、その取り除き作業も容
易に行える。
【0019】
【発明の効果】本願発明の既製杭埋設工法では、上記の
ように既製杭の杭頭内部に予め詰め物を充填しておき、
その詰め物つき既製杭をスラリー入りの掘削孔内に挿入
し、掘削孔内のスラリーがある程度以上固化した後に、
詰め物を杭頭内部から取り除くことにより杭頭内部に鉄
筋挿入用空所を形成するようにしているので、地盤中に
埋設された既製杭の杭頭内部に鉄筋挿入用空所を容易に
且つ短時間で形成することができるという効果がある。
又、詰め物つき既製杭における詰め物充填部分にスラリ
ー通路を形成しているので、この詰め物つき既製杭を掘
削孔内に挿入した際に、既製杭の内部空所内のスラリー
を、スラリー通路を通して杭頭の上部外周に排出させる
ことができ、予め詰め物を充填した既製杭を掘削孔内に
挿入するようにしたものであっても、既製杭を支障なく
掘削孔の最終深さまで挿入させることができるという効
果がある。さらに、詰め物として発泡スチロール製のも
のを使用すると、該詰め物を安価に製作でき、且つ容易
に小塊状に破壊することができるので、詰め物取り除き
作業を、動力装置を使用することなく容易に行えるとと
もに、詰め物が軽量であるので排出作業が土壌に比して
軽作業で行えるという効果がある。又、詰め物として、
杭頭内部に対して原形のまま着脱させるようにした場合
には、該詰め物を次の工事に転用することが可能となる
という効果がある。
【0020】
【実施例】図1〜図8を参照して本願発明の実施例を説
明すると、図1〜図6に示す実施例では、詰め物2とし
て発泡スチロール製で四角柱状に成形したものを使用し
ており、図7に示す実施例では、詰め物2として同じく
発泡スチロール製で中心部に通孔(スラリー通路とな
る)21を形成した円柱状に成形したものを使用してお
り、図8に示す実施例では、詰め物として木材あるいは
硬質合成樹脂等の硬質材料で成形したものを使用してい
る。
【0021】図1〜図6に示す実施例の既製杭埋設工法
においては、図1に示すように、既製杭1の杭頭内部1
1に詰め物2を充填した詰め物つき既製杭Aを使用して
行われる。
【0022】既製杭1としては、鋼管杭やコンクリート
杭などが使用可能であるが、この実施例ではコンクリー
ト杭(鉄筋入りあるいは鉄筋なしのどちらでもよい)を
使用している。又、この既製杭1のサイズ(長さや太さ
等)は、上部に構築される建造物の構造や地盤の地質な
どによって、適宜のものが採用される。又、この種のコ
ンクリート杭1には、その長さ方向両端面にそれぞれ環
状の鉄板14,14が取付けられている。
【0023】杭頭内部11に充填される詰め物2は、図
1の場合では発泡スチロール製で四角柱状のものを使用
している。この詰め物2は、その平面視における対角間
の長さが、使用される既製杭1の杭頭内部11の内径よ
りわずかに大きくなるような平面外形を有し、且つ既製
杭1の外径の1.5倍以上の長さを有している(例えば
既製杭1の外径が600mmである場合には詰め物2の長
さを900mm以上にする)。そして、この詰め物2を、
杭頭内部11に詰め物上面と杭頭上面とがほぼ同一面と
なるまで圧入させる。尚、このとき、詰め物2の4つの
稜線部分が杭頭内面に圧接しているので、該詰め物2は
杭頭内部11に仮保持される。そして、この詰め物2の
上面を押え鉄筋19,19で上動不能に押えておく。
尚、押え鉄筋19,19は、その両端部を杭頭上部に取
付けた鉄板14に軽く溶接しておき、後でハンマーで横
から叩くことによって溶接部分を容易に分離させ得るよ
うにしておく。
【0024】このようにして組立てられた詰め物つき既
製杭Aには、詰め物2の4つの側面と杭頭内面との間に
上下に貫通する合計4つの通路21,21・・が形成さ
れている。この各通路21は、詰め物つき既製杭Aをス
ラリー入り掘削孔3内に挿入した際のスラリー通路とな
るものである。
【0025】他方、地盤中には通常の方法により掘削孔
3が形成される。この掘削孔3は、例えば図9の(イ)
に示すように、回転軸71の下端に掘削翼72を設けた
掘削装置7で掘削されるが、その掘削作業は回転軸71
を通して下端ヘッド73から水を供給しながら行われ
る。従って、形成された掘削孔3内には、土壌と水とが
混合したスラリー(泥漿)4が充満するようになる。
又、掘削孔3を形成した後、掘削装置7を引き抜くのに
先立って、掘削孔3の底部付近に回転軸71の下端ヘッ
ド73からモルタル等の根固め用固化材4aを吐出し、
続いて回転軸を回転させながら掘削装置7を引き上げて
いく。すると、掘削孔3の底部付近に吐出された根固め
用固化材4aは掘削孔3内のスラリー4と混合・撹拌さ
れるようになる。従って、掘削孔内の上部寄り位置にあ
るスラリー4中にも、濃度は漸次薄くなるものの固化材
成分が混入されるようになる。
【0026】この実施例の既製杭埋設工法では、まず図
2に示すように、従来方法によりスラリー4が入ってい
る掘削孔3内に詰め物つき既製杭Aを挿入する。そのと
き、掘削孔3内のスラリー4は詰め物つき既製杭Aの内
部空所10内にも侵入する。そして、詰め物つき既製杭
Aが挿入されるのに伴って、スラリー4中に挿入された
詰め物つき既製杭Aの体積量と同量のスラリー4が掘削
孔3内を上方に押上げられ、掘削孔3の内面と既製杭1
の外側面との間の隙間20を通って矢印4bで示すよう
に掘削孔3の上部開口からその周囲に溢れ出るようにな
る。又、詰め物つき既製杭Aの挿入最終段階の直前にお
いては、詰め物2の下面が既製杭1の内部空所10に入
っているスラリー4の上面に接触し、その後、さらに詰
め物つき既製杭Aを下方に進入させると、既製杭1の内
部空所10にあるスラリー4がスラリー通路21,21
・・を通って矢印4cで示すように杭頭1aの上端開口
から杭頭外周に溢れ出るようになる。従って、杭頭内部
11に詰め物2をしたものであっても、詰め物つき既製
杭Aを掘削孔3の所定深さまで挿入させることができ
る。又、図3に示すように、詰め物つき既製杭Aを掘削
孔3内に完全に挿入した状態では、詰め物2の充填部分
がスラリー中に埋没しており、杭頭内部11における詰
め物充填部分は当然にスラリーが排除されている。尚、
詰め物つき既製杭Aを掘削孔3内に挿入させる際に、既
製杭1の内部空所10に入っているスラリー4中に詰め
物2部分が侵入すると、該スラリー4の抵抗によって詰
め物2を既製杭1に対して上動させるような作用が働く
が、該詰め物2の上部に押え鉄筋19,19を配置して
いるので、該詰め物2が杭頭内部11から抜け出すこと
がない。
【0027】そして、詰め物つき既製杭Aを掘削孔3内
に埋設した状態で、数日間放置し、掘削孔3内のスラリ
ー4がある程度以上硬化した後、図4に示すように、杭
頭1a上部の土壌を排除してコンクリート基礎部分用の
空所15を形成するとともに、押え鉄筋19,19を取
外し且つ詰め物2を杭頭内部11から取り除く。その際
に、この実施例では詰め物2として発泡スチロール製の
ものを使用しているので、該詰め物2を小塊状に破壊し
ながら順次杭頭内部11から排除させることができる。
従って、詰め物2の外表面と杭頭内面とが固着性を有す
る土壌で接着されている場合であっても、該詰め物2を
支障なく排除することができる。又、このように発泡ス
チロール製の詰め物2を使用した場合には、該詰め物2
の重量が土壌に比して軽量となり、破壊させた状態の詰
め物屑を杭頭内部11から排除させる際に比較的軽作業
で行える。
【0028】杭頭内部11から詰め物2を除去した後に
は、図4及び図5に示すように、スラリー通路21,2
1・・部分に土壌B,B・・が残ったままになってい
る。この残土Bも排出することが好ましいが、その残土
Bは比較的少量であり且つスコップ等で杭頭内壁面から
簡単に剥離させる(崩す)ことができるので、その残土
取り除き作業は容易に行える。
【0029】次に、図6に示すように、杭頭内部11内
に形成された鉄筋挿入用空所16とその上部の基礎部分
用空所15に跨がって連結用鉄筋(鉄筋籠)5を設置
し、型枠を組立てた後、鉄筋挿入用空所16と基礎部分
用空所15に生コンクリートを打設すれば、連結用鉄筋
5をコンクリート基礎部分6と杭頭内部11とに跨がっ
た状態で埋設することができる。
【0030】このように、この実施例の既製杭埋設工法
では、杭頭内部11に予め詰め物2を充填した詰め物つ
き既製杭Aをスラリー入りの掘削孔3内に挿入し、掘削
孔3内のスラリー4がある程度以上固化した後に、詰め
物2を杭頭内部11から取り除くことにより杭頭内部1
1に鉄筋挿入用空所16を形成するようにしているの
で、地盤中に埋設された既製杭1の杭頭内部11に鉄筋
挿入用空所16を容易に且つ短時間で形成することがで
きる。又、詰め物つき既製杭Aにおける詰め物充填部分
にスラリー通路21を形成しているので、この詰め物つ
き既製杭Aを掘削孔3内に挿入した際に、既製杭の内部
空所10内のスラリー4を、スラリー通路21を通して
杭頭外周に排出させることができ、予め詰め物2を充填
した既製杭1を掘削孔3内に挿入するようにしたもので
あっても、既製杭1を支障なく掘削孔3の最終深さまで
挿入させることができる。さらに、詰め物2として発泡
スチロール製のものを使用すると、該詰め物2を安価に
製作でき、且つ容易に小塊状に破壊することができるの
で、詰め物取り除き作業を、動力装置を使用することな
く容易に行えるとともに、軽量であるので排出作業が土
壌に比して軽作業で行えるという利点がある。
【0031】図7に示す詰め物つき既製杭Aでは、詰め
物2として上記実施例と同様に発泡スチロール製のもの
を使用しているが、該詰め物2を杭頭内径とほぼ同径の
円柱形に形成し、さらに該詰め物2の中心部に1つの貫
通穴21(スラリー通路となる)を形成している。この
詰め物つき既製杭Aを掘削孔3内に埋設した場合には、
杭頭内部11における詰め物2の中心部分に小径円筒状
のスラリー固化柱が形成されるが、このスラリー固化柱
は詰め物2の破壊作業中に同時に破壊しながら杭頭外に
排出し得る。又、この図7に示す詰め物つき既製杭Aを
使用した場合には、杭頭内面と詰め物2の外側面とが全
周に亘って接合しているので、杭頭内面と詰め物外側面
との間にスラリー4がほとんど侵入することがなく、杭
頭内部11の詰め物2を除去した後の杭頭内面に土壌が
残らなくなる。
【0032】図8に示す詰め物つき既製杭Aでは、詰め
物2を、木材や硬質合成樹脂等の硬質材料で形成してい
る。この詰め物2の外周面には合計4つの縦凹溝を形成
してスラリー通路21,21・・としている(このスラ
リー通路21の形成場所及び個数は適宜に設定可能であ
る)。又、このような硬質材料からなる詰め物2を使用
する場合には、詰め物2の外周面に剥離用の薬液を塗布
しておくとよい。そして、この詰め物つき既製杭Aを掘
削孔3内に埋設した後、詰め物2を鎖線図示する如く原
形のまま上方に抜き出すようにする。尚、詰め物2を抜
き出す際に、手動で行えない場合には動力装置によって
引き抜くことも可能である。このように、詰め物2とし
て硬質材料で形成したものを使用すると、原形のままで
引き抜かれるので、該詰め物2を次の工事に転用するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施例の既製杭埋設工法で使用され
る詰め物つき既製杭の斜視図である。
【図2】図1の詰め物つき既製杭を掘削孔内に途中まで
挿入した状態の断面図である。
【図3】図1の詰め物つき既製杭を掘削孔内に完全に挿
入した状態の断面図である。
【図4】図3の状態から杭頭上部の土壌及び詰め物を除
去した状態の断面図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】図4からの工程変化図である。
【図7】図1の詰め物つき既製杭の他の構造例を示す斜
視図である。
【図8】図1の詰め物つき既製杭のさらに他の構造例を
示す斜視図である。
【図9】従来から行われている既製杭埋設工法の作業工
程図である。
【符号の説明】
1は既製杭、1aは杭頭、2は詰め物、3は掘削孔、4
はスラリー、5は連結用鉄筋、6はコンクリート基礎部
分、10は内部空所、11は杭頭内部、15は基礎部分
用空所、16は鉄筋挿入用空所、21はスラリー通路、
Aは詰め物つき既製杭である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部にスラリー(3)が入っている掘削
    孔(3)内に中空円筒状の既製杭(1)を挿入し、その
    既製杭(1)の杭頭内部(11)と該既製杭(1)の上
    部に構築されるコンクリート基礎部分(6)とに跨がっ
    て連結用鉄筋(5)を埋設し得るようにした既製杭埋設
    工法であって、 既製杭(1)を掘削孔(3)内に挿入するのに先立っ
    て、既製杭(1)の内部空所(10)における杭頭(1
    a)の上端から所定小深さの範囲の容積部分に、掘削孔
    (3)内のスラリー(4)が既製杭(1)の内部空所
    (10)を通って上方向に流通し得るスラリー通路(2
    1)を形成した状態で詰め物(2)を充填しておき、 その詰め物つき既製杭(A)をスラリー(4)の入った
    掘削孔(3)内に挿入し、該掘削孔(3)内のスラリー
    (4)がある程度以上固化した後に前記詰め物(2)を
    既製杭(1)から取り除いて、既製杭(1)の杭頭内部
    (11)に連結用鉄筋(5)を挿入するための空所(1
    6)を形成するようにした、 ことを特徴とする既製杭埋設工法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、詰め物(2)として
    発泡スチロール製の成形品を使用し、詰め物つき既製杭
    (A)を掘削孔(3)内に挿入し、該掘削孔(3)内の
    スラリー(4)がある程度以上固化した後に詰め物
    (2)を破壊して、該詰め物(2)を杭頭内部(11)
    から取り除くようにすることを特徴とする既製杭埋設工
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1において、詰め物つき既製杭
    (A)として、詰め物(2)を既製杭(1)の杭頭内部
    (11)に対して引き抜き自在としたものを使用し、そ
    の詰め物つき既製杭(A)を掘削孔(3)内に挿入し、
    該掘削孔(3)内のスラリー(4)がある程度以上固化
    した後に、詰め物(2)を杭頭内部(11)から抜き外
    すようにすることを特徴とする既製杭埋設工法。
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