JP2564195B2 - 理髪用乳化液 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、充分な時間作用させた後、髪から洗滌除去
する理髪用乳化液であって、アニオン系界面活性剤含有
したものを提供することを目的とし、保存のためにエタ
ノール、イソプロパノールあるいはこれらのアルコール
の混合物が含まれることを特徴とする。

何度も漂白したり、パーマネントウェーブをかけた
り、あるいは染色することによって、また、脱脂効果の
ある毛髪用洗浄薬剤によって髪を通常の方法で洗うこと
によっても、髪の組織には損傷が生じる。このような髪
は、ざらざらしたものであって、髪の光沢が失われてい
る。さらに、このような髪には、櫛によって静電気が溜
まり、ざらざらになった髪の表面には、毛髪のもつれや
毛髪のからまりが生じる。これによって、櫛の通りが非
常に妨げられる。

それゆえ、髪を梳かす時の櫛の通りを改良する作用お
よび理髪効果を有する毛髪処理用の薬剤は重要であり、
特に理髪用乳化液の形態であるものは、非常に価値のあ
るものとなる。

通常、このような理髪用乳化液は、水で軽く洗滌する
ことのできる油／水系−乳化液である。この中には、構
成成分として半固形物質あるいは固形物質として、たと
えば、ある種の油およびワックスが含まれている。乳化
剤としては、特にアニオン系あるいはカチオン系界面活
性剤が使用される。

このような理髪用乳化液は、クリームリンス、調整剤
あるいは髪用治療剤としての特徴をも示すものであっ
て、ヘアシャンプーとは異なり、比較的少量の界面活性
剤成分しか含まれていないので、洗浄効果あるいは脱脂
効果がない。

カチオン系理髪用乳化液の場合においては、使用され
るカチオン系界面活性剤が、特に酸のpH範囲においてそ
れ自身が保存効果を有するので、通常は保存剤の添加を
必要としないが、アニオン系理髪用乳化液においては保
存剤を添加することによって、微生物から害を受けない
ように保護する必要がある。この場合における保存剤と
しては、たとえば、ホルムアルデヒド、５−ブロモ−５
−ニトロ−2,3−ジオキサン、ｐ−ヒドロキシ安息香酸
エステル、サリチル酸、2,4,4′−トリクロロ−２′−
ヒドロキシ−ジフェニルエーテル、５−クロロ−２−メ
チル−３−イソチアゾロン、２−メチル−３−イソチア
ゾロンおよび２−ブロモ−２−ニトロ−プロパンジオー
ル−（1,3）が使用される。

最近では、このような保存剤のいくつかにおいて、た
とえば、ホルムアルデヒドおよび２−メチル−３−イソ
チアゾロンにおいて、生理学上および皮膚病学上の点
で、充分に危険性のないものではないとする疑問が持た
れている。さらに、保存効果を有するアルデヒドおよび
フェノールにおいては、蛋白質との反応あるいは相互作
用が生じることが知られている。

アルデヒドの場合には刺激性という危険があり、一
方、サリチル酸のようなフェノールの場合には、特に高
濃度時において、角膜への影響がある。

上記のような理由によって、保存剤の多くの種類の使
用が、より一層世界的に厳しく制限されたり、あるいは
完全に禁止されている。

特に、アニオン系理髪用乳化液においては、理髪用乳
化液が生理学上および皮膚病学上の点から、充分に優し
いものでなければならず、しかも他方では微生物による
害から充分に保護されなければならないので、充分な保
存性を有するということが、しばしば非常な問題とな
る。

本発明の課題は、一方では髪の状態を保持するという
優れた性質があり、他方では優れた保存性があるもので
あって、保存によって理髪用乳化剤の持つ生理学上の優
しさが害されることのない毛髪処理に使用される安定性
を有したアニオン系理髪用乳化液を提供することであ
る。

注目すべきこととして、本発明により、アニオン系界
面活性剤を0.1〜6.5重量パーセントの割合で含み、しか
も、エタノール、イソプロパノールあるいはエタノール
／イソプロパノール混合物を９〜18重量パーセントの割
合で含むことを特徴とする、アニオン系界面活性剤含有
の理髪用乳化液が、提案されてきた課題を優れた方法で
解決することがわかった。

特に、乳化を破壊するものとして文献に記載されるア
ルコール−たとえば、Houben−Weyl,Methoden der orga
nischen Chemie,Bd.I/1（1958年）,214頁および216頁;D
eutsche Apotheker Zeitung 104巻,No.39,1334頁および
Chinese Journal of Applied Chemistry,3巻,No.6（198
6年）,55〜57頁−が、乳化液の油層および水層を分解
（解乳化）するための補助剤であると言われて紹介され
ているにもかかわらず、本発明の場合においては、アル
コール添加物によって乳化の形成が阻害されることがな
く、また、乳化の安定性も阻害されないということは注
目すべきことである。

本発明の目的は、アニオン系界面活性剤を0.1〜6.5重
量パーセントの割合で含み、しかも、エタノール、イソ
プロパノールあるいはエタノール／イソプロパノール混
合物を９〜18重量パーセントの割合で含むことを特徴と
する、アニオン系界面活性剤含有の理髪用乳化液を提供
することである。

本発明の理髪用乳化液は、特に、アニオン系界面活性
剤を0.4〜４重量パーセントの割合で含み、しかも、エ
タノール、イソプロパノールあるいはエタノール／イソ
プロパノール混合物を10〜14重量パーセントの割合で含
むことが好ましい。本発明の理髪用乳化液に使用するの
に適したアニオン系界面活性剤には、たとえば、C₁₂−
〜C₁₈−アルキル硫酸ナトリウム塩、特にセチルステア
リル硫酸ナトリウム塩およびラウリル硫酸ナトリウム塩
のような、アルカンスルホン酸塩、アルキルベンゼンス
ルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩
およびアルキルエーテルカルボン酸塩などのアルカリ
塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩あるいはアルカミ
ン塩；やし脂肪酸塩化物および動物性蛋白質水和物から
なる縮合生成物のカリウム塩（Lamepon ,Grnau社
製）のようなアニオン系脂肪酸縮合生成物；ステアリン
酸ナトリウムあるいは−カリウムのような石鹸、および
アルカノールアミドからのスルホコハク酸半エステルの
ジナトリウム塩がある。この理髪用乳化液には、特に、
アニオン系界面活性剤の以外に他の界面活性剤を含まな
い。しかし、このようにするのが一般的ではあるが、顕
著な保護を行う時には、アニオン系界面活性剤の重量に
応じて他の界面活性剤を添加すべきである。

本発明の理髪用乳化液は、油／水系−乳化液であっ
て、特に油成分を１〜16重量パーセントの割合で含み、
しかも水を59.5〜89.9重量パーセントの割合で含む。特
に、このような理髪用乳化液には、油成分を２〜10重量
パーセントの割合で含み、しかも水を72〜87.5重量パー
セントの割合で含むことが好ましい。

油成分としては、油／水系−乳化液中において使用で
きる天然油あるいは合成油およびワックスのいずれを
も、単独で、あるいは組み合わせて選ぶことができる。

適した油あるいはワックスには、特にパラフィン油お
よびイソパラフィン油；シリコン油およびシリコンワッ
クス、特に直鎖のポリジメチルシロキサン；ワセリン；
パラフィンワックスおよびセレシンワックス；セチルア
ルコールおよびステアリルアルコールのような高級脂肪
族アルコール；パルミチン酸セチルあるいは−ステアリ
ルのような脂肪族アルコールエステル；グリセリン−モ
ノ−ジ−ステアレートあるいはグリセリルトリステアレ
ートのような脂肪族グリセリド；ラノリン；ラノリン
油；ラノリンアルコールおよび蜜蝋などがある。

本発明における好ましい実施態様としては、 （ａ）エタノール、イソプロパノールあるいはエタノー
ル／イソプロパノール混合物を９〜18重量パーセント、 （ｂ）少なくとも１種類の油あるいはワックスを１〜16
重量パーセント、 （ｃ）アニオン系界面活性剤を0.1〜6.5重量パーセン
ト、 および （ｄ）水を59.5〜89.9重量パーセント の割合で含むことを特徴とする油／水系−理髪用乳化液
である。

特に好ましいものとしては、 （ａ）エタノール、イソプロパノールあるいはエタノー
ル／イソプロパノール混合物を10〜14重量パーセント、 （ｂ）少なくとも１種類の油あるいはワックスを２〜10
重量パーセント、 （ｃ）アニオン系界面活性剤を0.4〜４重量パーセン
ト、 および （ｄ）水を72〜87.5重量パーセント の割合で含むことを特徴とする油／水系−理髪用乳化液
である。

本発明の理髪用乳化液における油成分の水に対する重
量比率は、特に1:4〜1:100であることが好ましく、特に
1:8〜1:43であることがより好ましい。本発明の理髪用
乳化液におけるアニオン系界面活性剤および油成分は、
特に1:1〜1:13の重量比率であることが好ましく、特に
1:1〜1:11.5の重量比率であることがより好ましい。

さらに、本発明の理髪用乳化剤においては、このよう
な薬剤に対して通常使用され、良く知られた添加剤、た
とえば、香料、凝縮剤、酸化防止剤、頭垢に対する作用
物質、薬草抽出物、コレステリンおよびベタインのよう
な理髪用物質、並びに美髪用染料を含むことができ、液
状体の形態中と同様に、ペースト状の形態中にも存在す
ることができる。

本発明によるアニオン系界面活性剤含有の理髪用乳化
剤は、刺激性を有するものではなく、非常に皮膚に対す
る優しさを持ったものである。アルコール成分が含まれ
ることにより、理髪用乳化液の安定性あるいは生理学的
な優しさは害されることがなく、理髪用乳化液の保存性
は優れたものとなる。さらに、アルコール添加物によっ
て、理髪用乳化液がもたらす櫛で梳かす時の改良性は、
特に湿った髪の場合において、明らかに改良されたもの
となる。

従って、本発明におけるこの他の目的は、アニオン系
界面活性剤含有の理髪用乳化液を保存するために、エタ
ノール、イソプロパノールあるいはエタノール／イソプ
ロパノール混合物を９〜18重量パーセントの割合で使用
することができる。

本発明の理髪用乳化液を使用する際には、通常の方法
が行われ、洗髪に続いて、髪の長さに応じて約５〜20g
の充分な量の理髪用乳化液を、タオルで乾かせた髪に分
けて付け、約２〜15分間作用させた後、なまぬるい水で
再び洗滌する。

以下に示した実施例は、本発明の内容を詳細に説明す
る為のものであって、この実施例の内容に限定されるも
のではない。

実施例 実施例1:クリームリンス 12.0 ｇ エタノール 2.0 ｇ セチルステアリルアルコール 0.4 ｇ ラウリル硫酸ナトリウム塩 85.6 ｇ 水 100.0 ｇ 実施例2:毛髪治療剤（ペースト状） 12.00 ｇ エタノール 4.96 ｇ セチルステアリルアルコール 3.10 ｇ ラノリン 1.71 ｇ グリセリン−モノ−ジ−ステアレート 1.14 ｇ セチルステアリル硫酸ナトリウム塩 0.09 ｇ ステアリン酸カリウム塩 0.15 ｇ コレステリン 76.85 ｇ 水 100.00 ｇ 実施例3:クリームリンス 5.00 ｇ エタノール 5.00 ｇ イソプロパノール 2.48 ｇ セチルステアリルアルコール 0.86 ｇ グリセリン−モノ−ジステアレート 0.60 ｇ ラノリン 3.72 ｇ セチルステアリル硫酸ナトリウム塩 0.05 ｇ ステアリン酸カリウム塩 82.29 ｇ 水 100.00 ｇ 実施例4:毛髪治療剤（ペースト状） 10.0 ｇ イソプロパノール 2.6 ｇ セチルステアリルアルコール 1.5 ｇ ラノリン 0.5 ｇ セチルステアリル硫酸ナトリウム塩 10.0 ｇ ベタインモノ水和物 75.4 ｇ 水 100.0 ｇ 実施例5:毛髪調色用理髪用乳化液 13.00 ｇ エタノール 2.40 ｇ セチルステアリルアルコール 2.20 ｇ ワセリン 0.40 ｇ セチルステアリル硫酸ナトリウム塩 10.00 ｇ ベタインモノ水和物 0.10 ｇ ディスパーズ ブルー 3（C.I.61 505） 0.05 ｇ ２−アミノ−４−ニトロ−フェノール 71.85 ｇ 水 100.00 ｇ

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アニオン系界面活性剤を0.1〜6.5重量パー
   セントの割合で含み、しかも、エタノール、イソプロパ
   ノールあるいはエタノール／イソプロパノール混合物を
   ９〜18重量パーセントの割合で含むことを特徴とする、
   アニオン系界面活性剤含有の理髪用乳化液。
2. 【請求項２】上記アニオン系界面活性剤が、アルカンス
   ルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル
   硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩およびアルキルエーテ
   ルカルボン酸塩のアルカリ塩、アルカリ土類塩、アンモ
   ニウム塩あるいはアルカミン塩；アニオン系脂肪酸縮合
   生成物；石鹸、およびアルカノールアミドからのスルホ
   コハク酸半エステルのジナトリウム塩から選ばれたもの
   であることを特徴とする請求項１記載の理髪用乳化液。
3. 【請求項３】油／水系−乳化液の形態であって、しかも
   油成分が１〜16重量パーセントの割合で含まれることを
   特徴とする請求項１あるいは２記載の理髪用乳化液。
4. 【請求項４】油成分が、パラフィン油およびイソパラフ
   ィン油；シリコン油およびシリコンワックス；ワセリ
   ン；パラフィンワックスおよびセレシンワックス；高級
   脂肪族アルコール；脂肪族アルコールエステル；脂肪族
   グリセリド；ラノリン；ラノリン油；ラノリンアルコー
   ルおよび蜜蝋から選ばれたものであることを特徴とする
   請求項３記載の理髪用乳化液。
5. 【請求項５】（ａ）エタノール、イソプロパノールある
   いはエタノール／イソプロパノール混合物を９〜18重量
   パーセント、 （ｂ）少なくとも１種類の油あるいはワックスを１〜16
   重量パーセント、 （ｃ）アニオン系界面活性剤を0.1〜6.5重量パーセン
   ト、 および （ｄ）水を59.5〜89.9重量パーセント の割合で含むことを特徴とする油／水系−理髪用乳化
   液。
6. 【請求項６】（ａ）エタノール、イソプロパノールある
   いはエタノール／イソプロパノール混合物を10〜14重量
   パーセント、 （ｂ）少なくとも１種類の油あるいはワックスを２〜10
   重量パーセント、 （ｃ）アニオン系界面活性剤を0.4〜４重量パーセン
   ト、 および （ｄ）水を72〜87.5重量パーセント の割合で含むことを特徴とする油／水系−理髪用乳化
   液。
7. 【請求項７】油成分の水に対する重量比率が1:4〜1:100
   であることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項記
   載の理髪用乳化液。
8. 【請求項８】アニオン系界面活性剤の油成分に対する重
   量比率が1:1〜1:13であることを特徴とする請求項１〜
   ７のいずれか１項記載の理髪用乳化剤。