JP2563863Y2 - ロータリーポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、液状食品の輸送に好適
なロータリーポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、液状食品の輸送に使用されている
ロータリーポンプは、ローター駆動軸の先端部にロータ
ーをスプライン嵌合等により一体回転可能に嵌挿すると
共に、このローターをケーシング本体のポンプ室に嵌合
し、前記ローターから突出したローター駆動軸の先端軸
部にローター止めナットを螺合固着し、そして前記ケー
シング本体には、内側面に前記ローター歯部及びロータ
ー止めナットが回転可能に遊嵌する凹陥部を形成したケ
ーシングカバーを取付けた構成よりなのものである。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】上記のような従来のロ
ータリーポンプにおいては、ポンプ室内を流動する輸送
液体が、前記ローターとケーシングカバーとの間の狭小
な間隙を経由して前記ケーシングカバーの内側凹陥部内
に入り、更にはローター止めナットの螺合部やスプライ
ン嵌合部まで入り込むことになるが、一旦入り込んだ液
体はそのまま滞留し易く、滞留した場合にはその滞留食
品が腐食したり変質し、その後に輸送される食品に悪影
響を及ぼすことになるので、一般には一日の輸送作業を
終えた段階でポンプ内部を洗浄する必要があった。しか
るに、洗浄液を導入してポンプを運転する自動洗浄では
上記凹陥部内等の奥まった滞留部まで洗浄力が及ばない
ため、洗浄に際してポンプを完全に分解せねばならず、
その分解洗浄及び洗浄後の組立作業には多大の手間と時
間を要し、結果的には製品のコストアップにつながるこ
とになっていた。

【０００４】本考案は、上述の事情に鑑み、ローターと
ローター駆動軸との連結構造に工夫を凝らし、ケーシン
グカバーの内側面を平面状とすることにより、ケーシン
グ内部に凹陥部等の奥深い凹入部を無くして、上記従来
のロータリーポンプにおけるような液体の滞留を生ぜし
めないようにしたロータリーポンプを提供することを目
的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本考案は、ローター駆動
軸の先端部に一体回転可能に外嵌したローターを、該ロ
ーター駆動軸の中間の段部と、当該ローター駆動軸の先
端部に螺着したローター止めボルトの頭部との間で挟着
固定し、ケーシング本体の一端面側に凹入形成したポン
プ室に前記ローターを嵌合して、該ポンプ室をケーシン
グカバーによって封鎖してなるロータリーポンプにおい
て、前記ローター駆動軸は、先端部に前記ローター止め
ボルトを螺入させる同心状のねじ穴を有すると共に、シ
ール部材を介してケーシング本体に挿通され、前記ロー
ター止めボルトは、頭部が円板状をなすと共に、該頭部
の表面に開口した同心状の回転操作用角穴を備え、この
角穴の内部に、対応する断面形状の角栓と、該角栓を角
穴から突出する方向に付勢するばねとが装填され、前記
角栓は、外端面が当該ローター止めボルトの軸線と直交
する平面状をなすと共に、周面に前記角穴の内周面に接
するＯリングが嵌装され、前記ローターのケーシングカ
バー側の端面には、前記ローター駆動軸を挿嵌させる中
心孔の周縁に沿う環状凹所が凹設され、前記ローター駆
動軸のねじ穴に螺入緊締した前記ローター止めボルトの
円板状頭部が、該環状凹所にＯリングを介して嵌合する
と共に、この頭部表面と前記ローターのケーシングカバ
ー側の端面とが面一になるように設定され、前記ケーシ
ングカバーの内面が、前記ローターのケーシングカバー
側の端面に沿って面一状を成すことを特徴とする。

【０００６】

【実施例】本考案の実施例について図面を参照して説明
すると、図１はロータリーポンプの軸方向縦断面図、図
２はケーシングカバーを取外した状態での端面図であ
り、これらの図において、１Ａ，１Ｂはモーター（図示
省略）によって駆動される一対のローター駆動軸で、そ
の中間に設けた段部２ａよりも先端側がスプライン軸部
２を構成すると共に、先端面に開口した同心状のねじ穴
４が穿設されている。３Ａ，３Ｂは一対のローターであ
り、それぞれ前記ローター駆動軸１Ａ，１Ｂの各スプラ
イン軸部２に対応する内周面形状の中心孔３０をスプラ
イン嵌合し、且つ前記ねじ穴４に螺入されたローター止
めボルト５の円板状の頭部５ａと前記段部２ａとの間で
挟着することにより、ローター駆動軸１Ａ，１Ｂに一体
回転可能に連結固定されている。

【０００７】しかして、ローター３Ａ，３Ｂの一端側の
端面には中心孔３０の周縁に沿う環状凹部６が形成さ
れ、この環状凹部６にローター止めボルト５の円板状の
頭部５ａが周面にＯリング７を介して液密に嵌合してお
り、該ボルト５の緊締状態においてその頭部５ａの表面
とローター３Ａ，３Ｂの一端側の端面とが面一になるよ
うに設定されている。

【０００８】前記ローター止めボルト５には頭部５ａの
表面に開口した断面六角形状の回転操作用角穴８が同心
状に設けてあって（図２参照）、この角穴８には、これ
と対応する断面形状で外周にＯリング１０を嵌装した角
栓９が軸方向摺動可能に嵌挿されている。この角栓９
は、外端面がローター止めボルト５の軸線と直交する平
面状をなすと共に、内端からは位置決めロッド１１が同
心状に突設されており、この位置決めロッド１１が角穴
８の奥壁部１２のロッド挿通穴１２ａを貫通してロータ
ー止めボルト５の先端に突出し、その突出端部のねじ部
１１ａにストッパーナット１３が螺着されている。また
角穴８内には前記奥壁部１２と角栓９との間に圧縮コイ
ルばね１４が装填され、このばね１４により角栓９が角
穴８から外へ押し出す方向に付勢されている（図３参
照）。しかして、前記角栓９は、前記ストッパーナット
１３の螺合位置調整によって、常時は当該角栓９の外端
面と前記ローター止めボルト５の頭部５ａ表面とが面一
となる位置に保持される。

【０００９】また、図１及び図２において、１６はポン
プケーシングであって、一端面側に前記ローター３Ａ，
３Ｂのポンプ歯部１７の遊嵌回動を許容するポンプ室１
８を凹入形成したケーシング本体２１と、このケーシン
グ本体２１に着脱自在に取付けられる平板状のケーシン
グカバー２２とから構成されており、ケーシング本体２
１にはポンプ室１８に連通する吸入口１９及び吐出口２
０が形成されている。２３は前記各ローター駆動軸１
Ａ，１Ｂ及び各ローター３Ａ，３Ｂと前記ポンプケーシ
ング１６のケーシング本体２１との間に介装されたメカ
ニカルシール、図３における２７は前記ローター止めボ
ルト５の緩み止めワッシャーである。

【００１０】上記の構成よりなるロータリーポンプを組
立てるには、各ローター３Ａ，３Ｂをケーシング本体２
１のポンプ室１８に嵌入すると共に、各ローター駆動軸
１Ａ，１Ｂの先端部をケーシング本体２１の他端側から
前記ローター３Ａ，３Ｂの中心孔３０に突入させてスプ
ライン嵌合させる。そして各ローター駆動軸１Ａ，１Ｂ
先端部のねじ穴４にローター止めボルト５を螺入し、そ
の円板状の頭部５ａをローター３Ａ，３Ｂの環状凹所６
に嵌合する。しかして、前記ボルト５を緊締し、ロータ
ー３Ａ，３Ｂをローター駆動軸１Ａ，１Ｂに固定するこ
とにより、前記ボルト５の頭部５ａの表面がローター３
Ａ，３Ｂの端面と面一状態になる。

【００１１】前記ローター止めボルト５を締め付けるに
あたっては、図３に示すように、回転操作用の六角レン
チ１５によって、角穴８に嵌挿されている角栓９をコイ
ルばね１４の付勢力に抗して角穴８の内方へ押し込み、
この押し込んだ状態で六角レンチ１５を回動操作すれば
よい。このローター止めボルト５の緊締後、レンチ１５
を抜き取れば、前記角栓９は元の位置に復帰することに
なる。

【００１２】かくしてローター３Ａ，３Ｂをローター駆
動軸１Ａ，１Ｂに固定させた後、図１に示すように、ケ
ーシングカバー２２をケーシング本体１０の面一状の取
付端面に接合するように取付ける。これによりポンプ室
１８が封鎖されるが、ケーシングカバー２２の平坦な内
面はローター３Ａ，３Ｂの端面に沿って面一状を成し、
且つローター３Ａ，３Ｂの端面とローター止めボルト５
の頭部５ａ表面と角栓９の外端面とが面一状をなすた
め、該ケーシングカバー２２の内面側には余剰の空間が
形成されない。

【００１３】尚、前記ポンプケーシング１６の取付けに
あたっては、ケーシング本体２１及びケーシングカバー
２２のそれぞれ周辺部に複数の軸方向貫通穴（図示省
略）を設け、これらの貫通穴に、ギヤケース２４側から
軸方向に突設された長ボルト２５をそれぞれ挿通させ
て、その挿通端部に蝶ナット２６を螺合し締結すること
により、ケーシング本体２１をギヤケース２４に固定す
ると同時に、ケーシング本体２１にケーシングカバー２
２を固定するようにしている。

【００１４】上記のようにして組立てたロータリーポン
プにおいて、両ローター駆動軸１Ａ，１Ｂにより両ロー
ター３Ａ，３Ｂを図２に矢印で示すように互いに逆方向
に同調回転駆動することによって、それぞれポンプ室１
８内を回動するポンプ歯部１７の働きで、吸入口１９か
ら液体がポンプ室１８内に吸引されると共に、加圧され
て吐出口２０へ送り出されることになる。この場合、ケ
ーシングカバー２２の内面側とこれに対向するローター
３Ａ，３Ｂ側の端面との間には従来のような奥まった袋
状の空間が存在せず、また両ローター駆動軸１Ａ，１Ｂ
のねじ孔４とローター止めボルト５の角穴８とが共にＯ
リング７，１０によってポンプ室１８に対して液密にシ
ールされているため、ポンプ室１８内を流動する輸送液
体の滞留を生ずる虞がない。したがって、従来のこの種
ロータリーポンプのような滞留部における液体の腐敗や
変質を回避できる上、ポンプ室内の洗浄も簡単容易に行
うことができ、例えば洗浄液を導入してポンプを運転す
る自動洗浄法によって、ポンプを分解することなくポン
プ内部を確実に洗浄することができる。

【００１５】尚、実施例では、角栓９を、位置決めロッ
ド１１及びストッパーナット１３によって常時ローター
端面と面一状態に保持するようにしているが、角栓９は
ケーシングカバー２２を取付けることによってローター
端面と面一状態に保持されるから、そのような位置決め
ロッド１１及びストッパーナット１３は必ずしも設ける
必要はない。

【００１６】

【考案の作用及び効果】本考案のロータリーポンプで
は、ローターをケーシング本体のポンプ室に嵌合し、こ
のローターの中心孔にローター駆動軸の先端部を一体回
転可能に挿嵌すると共に、該ローター駆動軸の先端部の
ねじ穴にローター止めボルトを螺入緊締することによ
り、該ローター駆動軸とローターとを同軸一体に連結固
定でき、この連結状態でローター端面の環状凹所に前記
ローター止めボルトの円板状の頭部が嵌合して、該頭部
とローター端面とが面一状となるため、前記ケーシング
本体に取り付けてポンプ室を封鎖するケーシングカバー
として内面が平面状をなすものを用い、もってケーシン
グカバーの内側に従来のようなローター端面より突出し
たローター固定ナットを収めるための奥深い袋状の空間
を解消できる。

【００１７】また、前記ローター止めボルトは、その回
転操作を行うために頭部表面に開口した角穴を有する
が、この角穴に角栓とこれを突出方向に付勢するばねを
装填しているため、該角穴に回転操作具を挿入して角栓
を押し込んだ状態で回動して前記ローター止めボルトの
締め付けを行うことができると共に、締付け後は回転操
作具を角穴から抜き取ってケーシングカバーを取付るこ
とにより、角栓の外端面がローター端面及び前記ロータ
ー止めボルトの頭部表面と面一状態になり、ローターの
端面側に前記角穴による凹陥部を生じない。しかも、前
記のローター駆動軸のねじ孔とローター止めボルトの角
穴は共にＯリングによってポンプ室内空間から液密に遮
断されているので、これらの内部に輸送液体が入り込む
こともない。

【００１８】従って、本考案のロータリーポンプによれ
ば、従来のロータリーポンプにおけるケーシングカバー
の内側の凹陥部、ローターとローター駆動軸の嵌合部、
ローター止めナットの螺合部等のような輸送液体が入り
込み得る奥まった凹入部が存在せず、もって稼働中のポ
ンプ内部での輸送液体の滞留を生じないことから、液状
食品の輸送に適用しても該食品の腐敗や変質を抑えるこ
とができると共に、構造的にポンプ内部の洗浄性が著し
く向上するため、洗浄操作を簡単容易に行うことがで
き、特に洗浄液を導入してポンプを運転することによる
自動洗浄法を支障なく採用できるという、優れた効果が
奏される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係るロータリーポンプの縦断面図
で、図２のＡ−Ａ線に沿って断面した断面図である。

【図２】 ケーシングカバーを取外した状態でのロータ
リーポンプの端面図である。

【図３】 図１の要部拡大図で、ローター止めボルトの
角穴に回転操作用六角レンチを嵌挿して同ボルトの回転
締付け方法を示す説明断面図である。

【符号の説明】

１Ａ ローター駆動軸 １Ｂ ローター駆動軸 ２ スプライン軸部 ２ａ 段部 ３Ａ ローター ３Ｂ ローター ４ ローター駆動軸のねじ穴 ５ ローター止めボルト ５ａ 頭部 ６ 環状凹所 ７ Ｏリング ８ 角穴 ９ 角栓 １０ Ｏリング １４ 圧縮コイルばね １５ 六角レンチ（回転操作具） １６ ポンプケーシング １７ ポンプ歯部 １８ ポンプ室 １９ 吸入口 ２０ 吐出口 ２１ ケーシング本体 ２２ ケーシングカバー ２３ メカニカルシール（シール部材） ３０ 中心孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ローター駆動軸の先端部に一体回転可能
   に外嵌したローターを、該ローター駆動軸の中間の段部
   と、当該ローター駆動軸の先端部に螺着したローター止
   めボルトの頭部との間で挟着固定し、ケーシング本体の
   一端面側に凹入形成したポンプ室に前記ローターを嵌合
   して、該ポンプ室をケーシングカバーによって封鎖して
   なるロータリーポンプにおいて、 前記ローター駆動軸は、先端部に前記ローター止めボル
   トを螺入させる同心状のねじ穴を有すると共に、シール
   部材を介してケーシング本体に挿通され、 前記ローター
   止めボルトは、頭部が円板状をなすと共に、該頭部の表
   面に開口した同心状の回転操作用角穴を備え、この角穴
   の内部に、対応する断面形状の角栓と、該角栓を角穴か
   ら突出する方向に付勢するばねとが装填され、 前記角栓は、外端面が当該ローター止めボルトの軸線と
   直交する平面状をなすと共に、周面に前記角穴の内周面
   に接するＯリングが嵌装され、 前記ローターのケーシングカバー側の端面には、前記ロ
   ーター駆動軸を挿嵌させる中心孔の周縁に沿う環状凹所
   が凹設され、前記ローター駆動軸のねじ穴に螺入緊締し
   た前記ローター止めボルトの円板状頭部が、該環状凹所
   にＯリングを介して嵌合すると共に、この頭部表面と前
   記ローターのケーシングカバー側の端面とが面一になる
   ように設定され、 前記ケーシングカバーの内面が、前記ローターのケーシ
   ングカバー側の端面に沿って面一状を成す ことを特徴と
   するローターポンプ。