JP2563794B2 - 屋根パネル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、工場で組み立てて現場で設置するように
した屋根パネルに関するものである。

従来の技術 住宅建築において、現場での省力化を図り、かつ、工
期短縮を行なうためには、各部材をできるだけ工場生産
化することが望ましい。屋根の場合も同様であり、骨組
であるトラスと屋根の下地材等が一体になったものを工
場生産し、これを現場で躯体上へ設置することによっ
て、このような現場施工の工数を削減することができ
る。しかしながら、そのように屋根を一体として工場生
産すると、極めて大型のものを輸送しなければならず、
トラックによる輸送力の限界を越えてしまう不都合があ
る。

そこで、このような問題を解決する方法として、従
来、第12図のように、屋根棟部で分割形成した一対のパ
ネル（41）（41）を蝶番（42）で連結して、折り畳み自
在とし、そのように折り畳んだ状態で現場へ搬送した
後、クレーン等で吊り上げて開かせ躯体上へ設置するこ
とが考えられている（実開昭51−156617号公報参照）。
また、各パネル（41）（41）の下端部間は、中央で屈折
する連接杆（43）で連結されている。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、上記従来の折り畳み可能な屋根パネル
においては、前記連接杆（43）の下面に天井パネルを張
り付け若しくは吊下げると、その重量をこの連接杆（4
3）によってのみ支持することとなるため、このような
荷重を支持することが出来ないという強度上の問題があ
る。また、このような問題は、下方からの力を受けた場
合も同様であり、例えば、下側からの風の吹上げによっ
てパネル（41）（41）が相互に折り畳まれるような力を
受けると、棟側が浮き上がる恐れがある。

この発明は、上記従来の欠点を解消して、輸送が容易
で、なおかつ強度の高い屋根パネルを実現したものであ
る。

問題点を解決するための手段 上記の目的を達成するため、この発明では、左右方向
に２分割された屋根分割パネル（１）（１）をその分割
端側で相互に枢支連結して裏面側へ折畳み可能とし、更
に、この分割端側に束材（３）の上端を、両分割パネル
（１）（１）に対して相対的に垂直面方向へ回動可能に
取付ける一方、その一端を各々対応する分割パネル
（１）（１）へ垂直面方向に回動可能に枢着した一対の
分割下弦材（２）（２）をその他方の端部において相互
に枢支連結して、上記分割パネル（１）（１）の折畳み
時各下弦材（２）（２）を各分割パネル（１）（１）間
へ収納可能としたことを特徴とするものである。

作用 以上のように、分割パネル（１）（１）を折畳み、し
かも、この折畳まれた分割パネル（１）（１）間に下弦
材（２）（２）を収納するので、全体が小型となり輸送
も容易となる。また、束材（３）が予め取付けられてい
ることから、この束材（３）によって天井の荷重や吹き
上げ力を支持でき、かつ、現場での束材（３）の取付け
も不要である。

実施例 以下、この発明の構成を、図示の実施例に基づいてよ
り詳しく説明すると、（１）（１）は、屋根の棟を境と
して左右に２分割された１対の屋根分割パネル、（２）
（２）は、同じく屋根棟を通る垂直方向の面を境として
左右に２分割された三角形トラスの１対の分割下弦材を
示している。（３）は、これら分割下弦材（２）（２）
の相互の連結部と屋根分割パネル（１）（１）相互の連
結部との間に取付けられる垂直方向の束材である。

屋根分割パネル（１）の構造を説明すると、（４）
（４）は、普通綱の溝形鋼からなり、かつ、屋根傾斜方
向に沿って配置される一対の上弦材であり、これらの上
弦材（４）（４）が、それらの溝が相互に向かい合うよ
うにして平行に配置されるとともに、両者の屋根頂部側
端部と軒側端部とに跨がって、同じく軽量溝形綱の横架
材（５）（５）が取り付けられて（第２図参照）、長方
形の鉄骨フレームを構成している。各上弦材（４）
（４）の溝内には、その下側のフランジ（６）へ載せる
ようにして、夫々木製の母屋受け材（７）（７）が取り
付けられ、この母屋受け材（７）（７）間に、木製母屋
（８）（８）が、屋根傾斜方向に適宜間隔をおいて多数
架設されている。（９）は軒先母屋（鼻隠しと言っても
よい）であり、この軒先母屋（９）は、上弦材（７）の
端部を覆うようにして、その軒先の外方より挿し込んだ
ボルト（10）によって、軒側の横架材（５）へ固定され
ている。そして、屋根下地板（13）が、上弦材（４）
（４）及び横架材（５）（５）からなるフレームを覆う
ようにして上方から設置されるとともに、母屋（８）及
び軒先母屋（９）へ、上方より螺じ込んだビス（11）に
よって固定されている。（12）は、上弦材（４）（４）
間の屋根棟側の端部を覆う覆い板を示している。

次に、上記各屋根分割パネル（１）相互の連結構造を
説明すると、まず前記第２図でも示すように、屋根分割
パネル（１）には、屋根棟側の端部近傍において、上弦
材の下部フランジ（６）下面より突出して連結ブラケッ
ト（14）が突出されている。そして、第４図及び第５図
で示すように、各分割パネル（１）（１）のそれらのブ
ラケット（14）（14）を相互に対向させるとともに、両
者に跨がって連結金具（15）を配置して、この連結金具
（15）の両端をピン（16）（16）で、各ブラケット（1
4）（14）へ枢着し、これによって、両者屋根分割パネ
ル（１）（１）が相互に枢支連結され、第４図の如く屋
根裏面側へ折り畳みできるようになっている。

他方、各分割パネル（１）（１）の軒先側の端部寄り
の位置には、第６図で示すように、前記上弦材（４）の
フランジ（６）（６）間に取付け板（17）が固着されて
おり、この取付け板（17）に、前記分割下弦材（２）
（２）のそれぞれの軒先側の端部が、ピン（18）によっ
て上下方向へ回動自在に枢着されている。更に、両分割
下弦材（２）（２）の中央部側の端部は、第５図で示す
ように、連結金具（19）を介し、ピン（20）（20）によ
って、少なくとも上方へ折り曲げ可能に相互に枢支連結
されている。

次に、束材（３）は、その上端が上部連結金具（15）
下面へ固着されるとともに、下端側が、第７図のよう
に、前記下部連結金具（19）へコ字形部材（28）を固着
して形成した上下方向のガイド穴（29）へ相互にスライ
ド可能に挿通されている。更に、第７図で示すように、
束材（３）の下端及び下部連結金具（19）には、開いた
状態において相互に一致するボルトまたはピン（30）等
の固定用穴（31）が予め形成されている。第４図のよう
に折り畳んだ状態では、両分割下弦材（２）（２）が、
軒先側の端部を支点として上方へ折り曲げられ、これに
よって、屋根分割パネル（１）（１）間に収納した状態
に折畳まれるものである。このとき、中央の下部連結金
具（19）が束材（３）に沿って上方へスライドする。第
４図で示すように、このような折畳み時、分割下弦材
（２）（２）は、上弦材（４）（４）間の空間部分へ入
り込むようになっている。また分割下弦材（２）（２）
…は、棟方向に２本計４本用いられている。（27）は繋
ぎ梁で、その両端が、下部連結金具（19）（19）間へ固
着されている。（21）（21）は、屋根分割パネル（１）
（１）を建物躯体へ設置するための固定金具であり、こ
れらの固定金具（21）（21）が、躯体の梁等へ載置され
てボルト等によって固定される。

第８図〜第10図は、上記屋根パネル（22）の現場での
設置方法を説明している。まず屋根パネル（22）は、第
８図のように折り畳んだ状態でトラックによって輸送さ
れ、現場で、クレーンより吊り下げたワイヤー（24）
（24）の先端を、両分割パネル（４）（４）の中間部分
へ取り付けて、棟側が上部となるようにして持ち上げ
る。そして、このような状態で持ち上げたまま第９図の
ように建物躯体（25）上へ移送し、第10図の如く各分割
パネル（１）（１）及び下弦材（２）（２）を開かせ
て、そのまま躯体（25）上へ設置して固定するものであ
る。また、このときに、束材（３）下端と下部連結金具
（19）の固定用穴（31）へピン（30）又はボルト等を挿
込んで、この束材（３）下端を固定する。第11図がその
ようにして取り付けた状態を示しており、各分割パネル
（１）（１）…は屋根棟方向に複数に分割して予め製作
され、これを、現場で並べて設置する。また、切妻屋根
における妻側においては、屋切部材（26）（26）よりも
外方へ突出する大きさの屋根パネルを製作しておき、こ
れによって、妻側に張り出させる。

発明の効果 以上のように、この発明によれば、予め製作されたパ
ネルを折り畳んで運搬できるため、輸送が容易となるの
みならず、天井の重量や下方からの吹上げ力に対して
は、束材が抵抗力として働くので、これらの力に対する
強度が高く、しかも、この束材は、折り畳み時に下弦材
と共に分割パネル間に収納されるので、そのように束材
まで含んだものでありながら、輸送が容易となる効果が
得られる。逆に言えば、束材が予め取付けられているの
で、実施例でも示すように、この束材の下端を下弦材へ
連結するのみでよく、現場で新たに束材を取り付ける場
合に比較して現場施工の工数が少なくて済むという効果
がある。その際、束材の下端と下弦材の連結部に形成し
た固定用穴へピンやボルトを挿込むようにすれば、その
ような連結作業も容易となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の屋根パネルの一部切欠斜視図、第
２図は、同じく屋根分割パネルの要部縦断面図、第３図
は、同じく要部横断面図、第４図は、屋根パネルの折り
畳み状態を示す要部の側面図、第５図は、屋根パネルを
開いた状態の要部の側面図、第６図は、第４図のＡ−Ａ
線拡大横断面図、第７図は第５図のＢ−Ｂ線断面図、第
８図〜第10図は、屋根パネルの現場での設置方法を示す
概略説明図、第11図は、同じく屋根パネルの設置状態を
示す建物の要部の斜視図、第12図は、従来の屋根パネル
の構造を示す概略説明図である。 （１）……屋根分割パネル、（２）……下弦材、 （３）……束材、（22）……屋根パネル、 （31）……固定用穴。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 進 大阪市北区中之島６丁目２番27号 積水 ハウス株式会社内 (72)発明者 細川 道夫 大阪市北区中之島６丁目２番27号 積水 ハウス株式会社内 (56)参考文献 実開 昭51−156617（ＪＰ，Ｕ)

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】左右方向に２分割された屋根分割パネルを
   その分割端側で相互に枢支連結して裏面側へ折畳み可能
   とし、更に、この分割端側に束材の上端を、両分割パネ
   ルに対して相対的に垂直面方向へ回動可能に取付ける一
   方、その一端を各々対応する分割パネルへ垂直面方向に
   回動可能に枢着した各分割下弦材をその他方の端部にお
   いて相互に枢支連結して、上記分割パネルの折畳み時各
   下弦材を各分割パネル間へ収納可能としたことを特徴と
   する屋根パネル。
2. 【請求項２】上記束材下端及び分割下弦材相互の連結部
   には、屋根分割パネルを相互に開いた状態において互い
   に一致する固定用穴を設けた特許請求の範囲第１項記載
   の屋根パネル。
3. 【請求項３】束材を、各分割下弦材相互の連結部に形成
   した挿通穴へスライド自在に挿通した特許請求の範囲第
   １項乃至第２項記載の屋根パネル。