JP2563153Y2 - 縫製装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は縫製装置に関し、とくに車両用シートのシー
トカバーを構成する被縫製物の縫製に適した縫製装置に
関する。

（従来技術） 車両用シートのシートカバーの天板部分を構成する被
縫製物Ｗには、例えば第７図に示すように形状の異なる
３種類の縫い目S1,S2,S3が形成されている。

この種の被縫製物Ｗは従来、第８図に示すような縫製
装置を用いて縫製されている。この縫製装置はミシン本
体１を設置したミシンテーブル２、同テーブル２に移動
可能に設置されたスライドプレート３、スライドプレー
ト３に載置した被縫製物Ｗに所定形状の縫い目が形成さ
れるように同プレート３のミシン針1aに対する移動方向
を設定するガイド溝4aを有しミシンテーブルに設置され
たガイドプレート４、スライドプレート３に連結した第
１ワイヤ５をミシン針1aの運動に同期して巻取り同プレ
ート３を前進させる第１巻取軸６及びスライドプレート
３に連結した第２ワイヤ７を巻取り同プレート３を後退
させる第２巻取軸８を備え、スライドプレート３の裏面
に垂設したガイドピンをガイドプレート４のガイド溝4a
に遊嵌し、第１巻取軸６とミシン本体１の駆動軸1bをベ
ルト９及びクラツチ10を介して接離可能に連結し、かつ
第２巻取軸８を巻取モータ11に連結して構成されてい
る。

かかる構成の縫製装置によれば、クラツチ10を介して
ミシン本体１の駆動軸1bと第１巻取軸６を接続してミシ
ン本体１を起動すると、ミシン針1aの運動に同期して第
１ワイヤ５が第１巻取軸６に巻取られ、これによりスラ
イドプレート３がガイド溝4aに沿って前進し、同プレー
ト３上に載置された縫製装置Ｗに所定形状の縫い目が形
成される。

ついで、クラツチ10を切換えてミシン本体１の駆動軸
1bと第１巻取軸６を切り離し、巻取モータ11にて第２巻
取軸８を駆動すると第２ワイヤ７が同軸８に巻取られて
スライドプレート３が後退する。

（考案が解決しようとする課題） ところで、上記した縫製装置においては被縫製物Ｗが
載置されるスライドプレート３の縫い始めにおけるミシ
ン針1aに対する位置が被縫製物Ｗの全長Ｌに合わせて予
め設定されており、この位置を変えることができない。

しかし、第７図に示す被縫製物Ｗは種類によって全長
Ｌが異なり、特定の全長Ｌを有する被縫製物Ｗに合わせ
て縫い始め位置を設定したスライドプレート３に全長Ｌ
の異なる被縫製物Ｗを載置した場合、被縫製物Ｗの縫い
始めにおけるミシン針1aに対する位置が違ってくるの
で、縫い目の長さに過不足が生じてしまう。そのため、
被縫製物Ｗの種類毎に縫製装置が必要となり、多大な設
備費及び設置スペースを要する。

本考案はかかる問題点に鑑み、全長Ｌの異なる複数種
類の被縫製物Ｗに所定形状の縫い目を形成することがで
きる縫製装置を提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案はミシン本体を設置したミシンテーブル、同テ
ーブル上に移動可能に設置したスライドプレート、前記
ミシンテーブルに設けられ前記スライドプレートに載置
した被縫製物に所定形状の縫い目が形成されるように同
プレートのミシン針に対する移動方向を設定するガイド
手段、前記スライドプレートに連結した第１ワイヤを前
記ミシン針の運動に同期して巻取り同プレートを前進さ
せる第１巻取手段及び前記スライドプレートに連結した
第２ワイヤを巻取り同プレートを後退させる第２巻取手
段を備えた縫製装置において、前記第１ワイヤを前記ス
ライドプレートに対する位置を調整可能な掛合手段を介
して同プレートと前記第１巻取手段間に張設したことを
特徴とする。

（考案の作用、効果） 上記構成によれば、掛合手段のスライドプレートに対
する位置を予め調整しておくことにより、同プレートの
ミシン針に対する位置を調整して被縫製物の縫い始めに
おけるミシン針に対する位置を被縫製物の全長に合わせ
て設定できる。従って、１台の縫製装置で種類の異なる
被縫製物の縫製が可能となるので、設備費及び設置スペ
ースを節約できる。

（実施例） 以下に本考案の実施例を図面に基づき説明するに第１
図ないし第６図には本考案の一実施例に係る縫製装置が
示されている。当該装置は全長Ｌが異なる４種類の被縫
製物Ｗに、例えば第７図に示す縫い目S2を形成するため
のものであって、ミシン本体20と同本体20を設置したミ
シンテーブル21を備え、同テーブル21にはガイドプレー
ト22,23,24と被縫製物Ｗが載置されるスライドプレート
25が設置されている。

ガイドプレート22,23,24はスライドプレート25に載置
された被縫製物Ｗに縫い目S2が形成されるようにスライ
ドプレート25のミシン針20aに対する移動方向を設定す
るためのものであり、３枚を１組としてミシン本体20の
左右両側に１組ずつ配置されている。

第２図に示すように、ガイドプレート22には１本の直
線ガイド溝22aが形成され、ガイドプレート23,24にはそ
れぞれ２本のガイド溝23a,23b,24a,24bが並列に形成さ
れ、ガイド溝23a,23bのガイドプレート22に対向する端
部は外側に屈曲している。ガイドプレート22,24はミシ
ンテーブル21に固定され、ガイドプレート23はガイド溝
23aの両端がそれぞれガイド溝22aとガイド溝24aに対向
する位置及びガイド溝23bの両端がそれぞれガイド溝22a
とガイド溝24bに対向する位置の間を移動可能に設置さ
れ、図示しないアクチユエータによりいずれかの位置に
切換設定される。

スライドプレート25はこれらのガイド溝22a,23a,23b,
24a,24bに沿って移動するように前後両端にガイド溝22
a,23a,23b,24a,24bに遊嵌するガイドピン25aが固着され
ている。

また、スライドプレート25の前端部には第１ワイヤ26
の一端が係止され、後端部には第２ワイヤ27の一端が係
止されている。

第１ワイヤ26はミシンテーブル21を支持するフレーム
28に固定した軸29,30,31,32に回転可能に組付けたガイ
ドローラ33,34,35,36及びガイドローラ34,35間に介設し
たガイドローラ37を介してスライドプレート25と第１巻
取軸38間に張設されている。この第１巻取軸38はミシン
テーブル21の中央部下方に固設した軸受39に回転可能に
支承され、クラツチ40及びベルト41を介してミシン本体
20の駆動軸20bに連結されている。

第３図に拡大して図示するように、ガイドローラ37は
ラツク42の前端部に固着したナツクル43に回転可能に組
付けられ、ラツク42はミシンテーブル21の下方に固設し
たリニヤモータ44に連結されている。リニヤモータ44に
よりラツク42を駆動すると、ガイドローラ37が前後に移
動して同ローラ37のスライドプレート25に対する位置を
調整できる。これにより、第１ワイヤ26が引っ張られて
スライドプレート25が移動し、同プレート25の縫い始め
におけるミシン針20aに対する位置すなわち始点位置を
調整できる。

第４図に詳細に図示するように、リニヤモータ44のハ
ウジング44aには４個のリミツトスイツチ46,47,49,50が
取付けられるとともに、ラツク42には各リミツトスイツ
チ46,47,49,50を開閉作動する４個のドグ46a,47a,49a,5
0aが取付けられている。各リミツトスイツチ46,47,49,5
0はリニヤモータ44及び同モータ44に内蔵されたブレー
キを制御してガイドローラ37を所定位置に停止させ、こ
れによりスライドプレート25の始点位置を被縫製物Ｗの
長さに合わせて設定するためのものであり、リミツトス
イツチ46は４種類の被縫製物Ｗのうち最も長いものに合
わせて取付け位置が設定され、リミツトスイツチ50は最
も短いものに、またリミツトスイツチ47,49はそれぞれ
２番目、３番目の長さのものに合わせて取付け位置が設
定されている。

第２ワイヤ27はミシンテーブル21の後端部に固定した
軸51に回転可能に取付けたガイドローラ52を介してスラ
イドプレート25と第２巻取軸53間に張設されている。こ
の第２巻取軸53はミシンテーブル21の下方に固設した巻
取モータ54に連結されている。

第５図に拡大して図示するように、ミシンテーブル21
の後端部には４個の近接スイッチ55〜58が同テーブル21
の長手方向に沿って所定位置に列設されている。これら
の近接スイツチ55〜58は巻取モータ54により第２ワイヤ
27を巻取ってスライドプレート25を後退させたとき、同
プレート25の後端面を検出して巻取モータ54の駆動を停
止させスライドプレート25を被縫製物Ｗの長さＬに応じ
た始点位置に停止させるためのものであり、近接スイツ
チ55は４種類の被縫製物Ｗのうち最も長いものに合わせ
てミシン針20aとの間隔が設定され、近接スイツチ58は
最も短いものに、また近接スイツチ56,57はそれぞれ２
番目、３番目の長さのものに合わせてミシン針20aとの
間隔が設定されている。

また、ミシンテーブル21の前端部と中間部にはスライ
ドプレート25の前端面を検出する近接スイツチ59,60
（第２図参照）が設けられている。近接スイツチ59はス
ライドプレート25が縫い目S2の縫い終わり位置、すなわ
ち終点位置に到達したことを検出するために設けられ、
近接スイツチ60は同プレート25が所定の中間位置に到達
したことを検出するために設けられている。

ミシンテーブル21の下方にはリレー回路からなる制御
装置61が設置されている。また、同テーブル21の中央縁
部には操作盤62が取付けられている。この操作盤62には
第６図に示すように、４個の始点位置設定用ボタン62a,
62b,62c,62d及び起動用ボタン62eが列設されている。

ミシン本体20、リニヤモータ44、巻取モータ54、クラ
ツチ40及びガイドプレート23を切換設定する図示しない
アクチユエータは操作盤62、リミツトスイツチ46,47,4
9,50及び近接スイツチ55〜60の信号に基づいて制御装置
61から出力される制御信号により以下に説明するように
その作動が制御される。

全長Ｌの異なる被縫製物Ｗのうち、例えば長さが２番
目の被縫製物Ｗを縫製する場合、被縫製物Ｗをスライド
プレート25に載置してボタン62bを操作すると、リニヤ
モータ44が起動してガイドローラ37が後方へ移動し、ラ
ツク42に設けたドグ47aにてリミツトスイツチ47が作動
されると、同モータ44が停止するとともにラツク42がリ
ニヤモータ44に内蔵されたブレーキにて制動される。こ
れにより、スライドプレート25は第２図に示すように後
端面が近接スイツチ55に対向する始点位置から近接スイ
ツチ56に対向する始点位置へガイド溝22aに沿って移動
して停止する。この結果、スライドプレート25に載置さ
れている被縫製物Ｗは前端部がミシン針20aに近接する
位置まで移動する。

次にボタン62eを操作してミシン本体20を起動する
と、ミシン針20aの運動に同期して第１ワイヤ26が第１
巻取軸38に巻取られる。これに伴い、スライドプレート
25がガイド溝22a,23a,24aに沿って前方へ移動し、各溝2
2a,23a,24aに対応して縫い目S2のP1点とP2点の区間、P2
点とP3点の区間、P3点とP4点の区間が順に縫製される。

スライドプレート25が終点位置に到達すると近設スイ
ツチ59の信号に基づいてミシン本体20の駆動が停止する
とともに、クラツチ40が切換られて第１巻取軸38とミシ
ン本体20の駆動軸20bが切り離され、かつ巻取モータ54
が起動して第２ワイヤ27が第２巻取軸53に巻取られる。
これにより、スライドプレート25が後退し、ミシン針20
aが縫い目S2のP5点に到達する中間位置までスライドプ
レート25が後退すると、近設スイツチ60の信号に基づい
て巻取モータが54が停止するとともに、図示しないアク
チユエータによりガイドプレート23が第２図の矢印方向
へ切換えられてガイド溝22a,23b,24bが互いに連結し、
ついで駆動軸20bと第１巻取軸38がクラツチ40にて接続
されるとともに、ミシン本体20が再駆動される。これに
より、スライドプレート25がガイド溝22a,23b,24bに沿
って再び移動し、各溝22a,23b,24bに対応して縫い目S2
のP5点とP2点の区間、P2点とP6点の区間、P6点とP7点の
区間が順に縫製される。

スライドプレート25が再び終点位置に到達すると近接
スイツチ59の信号に基づいてミシン本体20の駆動が停止
するとともに、クラツチ40が切換られて第１巻取軸38と
ミシン本体20の駆動軸20aが切り離され、かつ巻取モー
タ54が起動して第２ワイヤ27が第２巻取軸53に巻取られ
る。これにより、スライドプレート25は後退し、同プレ
ート25の後端面が近接スイツチ56に対向する位置に到達
すると、巻取モータ54が停止し、かつガイドプレート23
が矢印とは逆方向へ切換へられてガイド溝22a,23a,24a
が互いに連結し、縫い目S2の縫製工程が完了する。

なお、上述の説明においては当初、スライドプレート
25がリミツトスイツチ55にて設定される始点位置にある
場合について説明したが、例えば同プレート25が当初リ
ミツトスイツチ57にて設定される始点位置にある場合、
操作ボタン62bを操作すると、リニヤモータ44が回転
し、ガイドローラ37及びラツク42が前方に移動する。こ
れに伴い巻取モータ54が起動してスライドプレート25が
後退する。一方、ドグ47aにてリミツトスイツチ47が作
動されると、リニヤモータ44に内蔵されたブレーキが作
動したラツク42が制動される。これによりガイドローラ
37が所定位置に停止してスライドプレート25は近接スイ
ツチ56にて設定される始点位置に設定される。

以上説明したように本実施例によれば、第１ワイヤ26
の中間部分に掛合するガイドローラ37のスライドプレー
ト25に対する位置を可変調整することにより、スライド
プレート25の縫い始めにおけるミシン針20aに対する位
置を変えてスライドプレート25に載置される被縫製物Ｗ
の縫い始めにおけるミシン針20aに対する位置を被縫製
物の全長Ｌに合わせて設定できる。従って、１台の縫製
装置で種類の異なる被縫製物Ｗの縫製が可能となるの
で、設備費及び設置スペースの大幅な節約が可能とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例に係る縫製装置の全体構成を
示す斜視図、第２図は同装置を構成するミシンテーブル
及び同テーブルに設置されたガイドプレートとスライド
プレート並びに各種スイツチの位置関係を示す説明図、
第３図は同装置の要部を示す拡大斜視図、第４図は同装
置を構成するリニヤモータとラツクの拡大正面図、第５
図は同装置の他の要部を示す拡大斜視図、第６図は同装
置を構成する操作盤の拡大斜視図、第７図は被縫製物を
示す平面図、第８図は従来の縫製装置を示す斜視図であ
る。 符号の説明 20…ミシン本体、20a…ミシン針、21…ミシンテーブ
ル、22,23,24…ガイドプレート、25…スライドプレー
ト、26…第１ワイヤ、27…第２ワイヤ、38…第１巻取
軸、37…ガイドローラ、40…クラツチ、42…ラツク、44
…リニヤモータ、46,47,49,50…リミツトスイツチ、53
…第２巻取軸、54…巻取モータ、55,56,57,58…近接ス
イツチ、Ｗ…被縫製物、S1,S2,S3…縫い目。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ミシン本体を設置したミシンテーブル、同
   テーブル上に移動可能に設置したスライドプレート、前
   記ミシンテーブルに設けられ前記スライドプレートに載
   置した被縫製物に所定形状の縫い目が形成されるように
   同プレートのミシン針に対する移動方向を設定するガイ
   ド手段、前記スライドプレートに連結した第１ワイヤを
   前記ミシン針の運動に同期して巻取り同プレートを前進
   させる第１巻取手段及び前記スライドプレートに連結し
   た第２ワイヤを巻取り同プレートを後退させる第２巻取
   手段を備えた縫製装置において、前記第１ワイヤを前記
   スライドプレートに対し位置を調整可能な掛合手段を介
   して同プレートと前記第１巻取手段間に張設したことを
   特徴とする縫製装置。