JP2562841B2 - 内燃機関の弁作動制御装置 - Google Patents

内燃機関の弁作動制御装置

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は内燃機関の吸気弁等の開弁機関(開閉時期)
等を運転条件によって可変的に制御する装置に関する。
(従来の技術) 内燃機関の出力特性や燃費特性の改善を目的として、
吸・排気弁の開閉時期を運転状態に応じて可変的に制御
するようにした装置が多く提案されている(たとえば19
85年5月出版のMTZ「MotorTechnischZeitschrift」
等)。
一般に吸・排気弁の作動角を小さくすると、ポンピン
グロスが低減し、またシリンダ内残留排気が少なくな
り、燃費効率が改善される傾向にあり、これに対して作
動角を大きくすると、特に高回転域などでの吸排気効率
が改善され、機関の高出力化が図れる。
したがって、燃費を重視する部分負荷運転時などは弁
作動角を小さく、高負荷運転時には大きな作動角に切換
えることにより、燃費と共に出力特性をも満足させるよ
うにしている。
(発明が解決しようとする課題) ところで、吸気絞弁開度(TVφ)と機関の発生出力
(トルク)との関係を、弁作動角の小さいときと大きい
ときとで比較してみると、第6図に示すようになり、こ
の場合、弁作動角の切換時期によっては切換えに伴い出
力トルクが段差的に変化し、運転性が著しく損なわれる
ことがある。
たとえば出力トルクに差のないA点で切換を行えばス
ムーズな運転性が確保できるが、これでは燃費の改善効
果が少なく、これに対して小作動角での運転領域を広げ
てB点で切換えば、燃費改善効果は大ききものの切換時
のトルク段差も大きくなり、運転性の悪化は避けられな
い。
これらのことから、従来はある程度の燃費の改善効果
があり、かつトルク段差が所定の許容値ΔTに収まる領
域を切換点としていた。
しかし、これでは急加速時など出力特性の立ち上がり
に応答遅れがでて加速性能が悪く、また、燃費的にも必
ずしも十分に満足が得られるわけではなかった。
本発明はこのような問題を解決することを目的とす
る。
(課題を解決するための手段) そこで本発明は、第1図にも示すように、少なくとも
吸気弁の開弁期間を小作動角と大作動角とに可変制御す
る弁開閉時期制御機構50と、機関の点火時期を制御する
点火時期制御機構51と、機関の運転状態を検出する手段
52と、機関の緩加速と急加速とを判断する手段53と、急
加速時には小作動角から大作動角への切換えを発生トル
クが略一の絞弁開度域で行い、また緩加速時は同切換え
を絞弁大開度域で行いかつ同時に点火時期を一時的に遅
らせる制御手段54とを備える。
(作用) したがって高出力が要求される急加速時など絞弁小開
度域から高出力側の大作動角に切換えられ、スムーズな
加速性能を確保する。
一方、大きな出力トルクが要求されない緩加速時など
は絞弁開度がかなり大きくなる領域まで小作動角を維持
し、大幅な燃費改善効果を実現し、しかも切換に伴うト
ルクショックは点火時期を一時的に遅らせることで緩和
することができ、運転性の悪化も最小限に留どめられ
る。
(実施例) 以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第2図は制御装置の全体的なブロック図であり、図中
20は吸気絞弁の開度を検出するための開度センサ、21は
機関回転数を検出する回転数センサ、22は機関負荷(燃
料噴射パルス幅など)を検出する負荷センサ、23は絞弁
開度信号を微分して加速状態を検出する加速検出手段、
26は加速検出手段23の出力から緩加速か急加速かを判断
して、これに応じて弁作動角の切換信号を弁作動角制御
機構24に出力すると共に、点火時期制御機構25に点火時
期の修正信号を出力する制御回路である。
制御回路26はマイクロコンピュータ等で構成され、緩
加速時と急加速時とで吸・排気弁の作動角の切換特性を
変化させ、急加速時は小作動角から大作動角への切換え
を、絞弁開度の小さい略同一発生トルクの運転時に行
い、緩加速時は発生トルクは相違しても絞弁開度の比較
的大きい運転時に行い、かつ同時に点火時期を一時的に
リタードさせるように、それぞれ弁開閉時期(作動角)
制御機構24と点火時期制御機構25を作動させる。
第5図は吸気弁の開閉時期を可変的に制御する弁作動
角制御機構(ただし排気弁側も同様に構成できる)を示
すもので、各気筒に設けた2つの吸気弁1A,1Bはバルブ
スプリング2A,2Bに付勢されたリフタ3A,3B及びリテーナ
プレート4A,4Bを介して、カムシャフト6に形成した立
体カム5A,5Bに接触する。
立体カム5A,5Bは軸方向位置によってカムプロフィル
が徐々に変化し、したがてアクチュエータ11を介してカ
ムシャフト6を移動させることにより、吸気弁1A,1Bの
開閉時期とリフト量が変化する。
アクチュエータ11は、カムシャフト6の端部に形成し
たスプライン6Aがシリンダ12の内周のスプライン12Aと
係合し、このカムシャフト6の端部に形成した油圧室13
に油孔15を介して図示しないオイルポンプから圧油が導
入されると、カムシャフト6が図示しないリターンスプ
リングに抗して図中左方へと移動し、これに対して油孔
16から作動油を逃がすことによりカムシャフト6が戻る
ようになっている。
なお、シリンダ12の外側には歯車14が固定され、この
歯車14が図示しないクランクシャフトに同期して回転駆
動され、これによりカムシャフト6が回転する。
したがって、アクチュエータ11への供給油圧を図示し
ない制御弁を介して制御することによりカムシャフト6
が軸方向に変位し、立体カム5A,5Bに対する吸気弁1A,1B
の接触位置が変わり、吸気弁1A,1Bの開閉時期やリフト
量が変化する。
つまり前記制御回路26によって上記制御弁の作動を制
御することにより、運転条件に応じて吸気弁1A,1Bの作
動角を小さくしたり、大きくしたりするのである。
以上のように構成され、次に作用について第3図のフ
ローチャートを参照しながら説明する。
機関回転数nと機関負荷Tpを読込み、さらに機関の加
速状態αを検出する(ステップS1,S2)。
そして加速状態αを基準値と比較して、緩加速から急
加速かを判断する(ステップS3)。
急加速時にはステップS4,S5に進み、弁作動角の切換
マップのうちから急加速時の切換マップを選択し、その
ときの回転数nと負荷Tpに基づいて作動角を読込み、選
択した作動角を弁開閉時期制御機構24に出力する。
この急加速時は第6図のA点、つまり小作動角と大作
動角とで発生トルクが略同一となる絞弁小開度域で作動
角の切換えが行なわれる。したがって高出力が要求され
る急加速時には、加速初期から立ち上がりの早い、しか
もトルク段差のないスムーズな加速性能が得られる。
これに対して、緩加速時にはステップS6,S7に進み、
緩加速要の切換マップから同様にして作動角を選択し、
これを弁開閉時期制御機構24に出力する。そしてステッ
プS8で実際に切換えが行なわれたかどうかを判断し、切
換えが行なわれたときは切換えと同時に点火時期をリタ
ードさせるように点火時期制御機構25に出力する(ステ
ップS9)。この点火時期のリタードは弁作動角切換時に
一時的に行うもので、これによって小作動角から大作動
角への切換に伴って発生するトルクショックを軽減す
る。
緩加速時は急激な加速や高出力が望まれるわけではな
いので、燃費を重視した小作動角での運転領域を拡大す
ることにより燃費の改善効果を高め、また点火時期のリ
タードにより切換時のトルクショックも最小限に抑え、
運転性の悪化を回避する。
第5図には弁作動角を機会回転数nと負荷Tpに基づい
て小・中・大と3つの特性に切換えるマップの一例を示
す。同一の回転数で比較してみると、急加速時の方が緩
加速時に比べて相対的に負荷の小さい領域で切換えが行
なわれる。
なお、上記した説明では小作動角と大作動角とに切換
える場合を示したが、このようにさらに作動角の切換数
を増やせば、それだけ円滑な運転ができる。
(発明の効果) 以上のように本発明によれば、急加速時と緩加速時と
で小作動角から大作動角への切換特性を変え、急加速時
には出力トルク差の少ない絞弁小開度域で切換えること
により加速初期からスムーズで良好な加速性能を確保
し、これに対して高出力を要求されない緩加速時は、絞
弁大開度域で切換えることにより燃費改善効果を大幅に
向上させ、しかも切換時に一時的に点火時期を遅らせる
ことでトルクショックを軽減し、運転性の悪化も最小限
にくい止めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のクレーム対応図、第2図は実施例のブ
ロック図、第3図は制御動作をあらわすフローチャー
ト、第4図は弁作動角の切換マップの説明図、第5図は
弁開閉時期制御機構の一部切断斜視図、第6図は弁作動
角と発生トルクの関係を示す特性図である。 1A,1B……吸気弁、5A,5B……立体カム、11……アクチュ
エータ、20……絞弁開度センサ、21……回転数センサ、
22……負荷センサ、24……弁開閉時期制御機構、25……
点火時期制御機構、26……制御回路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも吸気弁の開切期間を小作動角と
    大作動角とに可変制御する弁開閉時期制御機構と、機関
    の点火時期を制御する点火時期制御機構と、機関の運転
    状態を検出する手段と、機関の緩加速と急加速とを判断
    する手段と、急加速時には小作動角から大作動角への切
    換えを発生トルクが略同一の絞弁小開度域で行い、また
    緩加速時は同切換えを絞弁大開度域で行いかつ同時に点
    火時期を一時的に遅らせる制御手段とを備えたことを特
    徴とする内燃機関の弁作動制御装置。
JP28097389A 1989-10-27 1989-10-27 内燃機関の弁作動制御装置 Expired - Lifetime JP2562841B2 (ja)

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