JP2561594B2 - 水性分散体組成物および水性塗料 - Google Patents

水性分散体組成物および水性塗料

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JP2561594B2
JP2561594B2 JP4091560A JP9156092A JP2561594B2 JP 2561594 B2 JP2561594 B2 JP 2561594B2 JP 4091560 A JP4091560 A JP 4091560A JP 9156092 A JP9156092 A JP 9156092A JP 2561594 B2 JP2561594 B2 JP 2561594B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属、プラスチック、
木材、セラミックスなどのコーティング剤に利用でき、
特に好ましくは缶、アルミサッシ、プレコートメタルな
どの金属コーティングに好適に使用できる、塗料の流動
性、貯蔵安定性、耐熱水性、屈曲性、密着性、特に貯蔵
安定性が一段と優れた水性分散体組成物、およびそれを
用いた水性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の溶剤型あるいは有機溶剤含有型の
水性コーティング剤は、缶、アルミサッシなどの金属用
コーティング剤として使用されてきたが、溶剤による公
害、安全衛生、省資源などの面から、溶剤を含まない
か、あるいは溶剤を極力少なく用いる水系への移行が望
まれており、種々の方法が提案されている。例えば、乳
化重合により得られたアクリル系樹脂に、水溶性樹脂を
組み合わせた低溶剤系コーティング塗料が、特開昭62
−127363号公報に開示されている。しかしなが
ら、この塗料は、少しではあるが有機溶剤を必須として
おり、やはり環境上問題がある。この有機溶剤を少な
く、あるいは無くすと、塗料の流動性が大幅に低下し、
また系に存在する乳化重合で得られたアクリルラテック
スと水溶性樹脂との相溶経時変化により、塗料の流動性
が著しく変化するという貯蔵安定性の問題が発生する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来の
技術的課題を背景になされたもので、作業衛生上の問題
を解決し、しかも塗料の流動性、耐熱水性、屈曲性、密
着性、保存安定性が改良された水性コーティング剤に好
適な水性分散体組成物およびそれを用いた水性塗料を提
供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(イ)ア
クリル系共重合体ラテックスを固形分換算で10〜95
重量部、ならびに下記(ハ)水溶性アクリル樹脂を固形
分換算で90〜5重量部〔ただし、(イ)+(ハ)=1
00重量部〕を主成分する水性分散体組成物を提供する
ものである。 (イ);下記(ロ)水性分散体を、下記(a)〜(d)
成分の合計100重量部に対し、固形分換算で1〜10
0重量部の存在下で、(a)エチレン性不飽和カルボン
酸および/またはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ
ート1〜40重量%、(b)アルキル(メタ)アクリレ
ート20〜70重量%、(c)芳香族ビニル単量体0〜
75重量%、および(d)その他の共重合可能なエチレ
ン性不飽和単量体0〜79重量%〔ただし、(a)+
(b)+(c)+(d)=100重量%〕を乳化重合し
て得られるアクリル系共重合体ラテックス。 (ロ);(e)エチレン性不飽和カルボン酸5〜80重
量%、(f)アルキル(メタ)アクリレートおよび/ま
たは芳香族ビニル単量体20〜95重量%、および
(g)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0
〜75重量%〔ただし、(e)+(f)+(g)=10
0重量%〕を乳化重合して得られる水性分散体。 (ハ);(h)エチレン性不飽和カルボン酸5〜60重
量%、(i)アルキル(メタ)アクリレートおよび/ま
たは芳香族ビニル単量体40〜95重量%、および
(j)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0
〜55重量%〔ただし、(h)+(i)+(j)=10
0重量%〕を共重合して得られる水溶性アクリル樹脂。
【0005】また、本発明は、前記(イ)アクリル系共
重合体ラテックスを固形分換算で10〜95重量部、お
よび前記(ハ)水溶性アクリル樹脂を固形分換算で90
〜5重量部〔ただし、(イ)+(ハ)=100重量部〕
に対し、(ニ)熱硬化性樹脂0.5〜100重量部を含
有してなる水性塗料を提供するものである。
【0006】まず、本発明の分散体組成物に使用される
(イ)アクリル系共重合体ラテックスは、前記(ロ)成
分の存在下に、前記(a)〜(d)成分を乳化重合して
得られるものである。ここで、(イ)成分に使用される
(a)エチレン系不飽和カルボン酸としては、(メタ)
アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、モノアルキルイタ
コネート、マレイン酸、クロトン酸、2−(メタ)アク
リロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などのα,
β−不飽和カルボン酸などが挙げられる。また、ヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ヒドロキ
シメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒド
ロキシアミル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシ
ル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。この(a)
成分は、(a)〜(d)成分中、1〜40重量%、好ま
しくは2〜30重量%、さらに好ましくは5〜20重量
%であり、1重量%未満では耐熱水性が劣り、一方40
重量%を超えると塗膜の屈曲性が劣るものとなる。
【0007】また、(イ)成分に使用される(b)アル
キル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)ア
クリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル
(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレー
ト、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)
アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、ヘキ
シル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メ
タ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート
などが挙げられ、好ましくはアルキル基の炭素数が1〜
8のもの、さらに好ましくはメチル(メタ)アクリレー
ト、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アク
リレートである。この(b)成分は、(a)〜(d)成
分中、20〜70重量%、好ましくは25〜60重量
、さらに好ましくは30〜50重量%であり、20重
量%未満では屈曲性に劣り、一方70重量%を超える
と、耐熱水性が劣るものとなる。
【0008】さらに、(イ)成分に使用される(c)芳
香族ビニル単量体としては、例えばスチレン、α−メチ
ルスチレン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレ
ン、3−メチルスチレン、4−メトキシスチレン、2−
ヒドロキシメチルスチレン、4−エチルスチレン、4−
エトキシスチレン、3,4−ジメチルスチレン、2−ク
ロロスチレン、3−クロロスチレン、4−クロロ−3−
メチルスチレン、4−t−ブチルスチレン、2,4−ジ
クロロスチレン、2,6−ジクロロスチレン、1−ビニ
ルナフタレン、ジビニルベンゼンなどが挙げられ、特に
スチレンが好適に使用される。この(c)成分は、
(a)〜(d)成分中、0〜75重量%、好ましくは1
0〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%で
あり、75重量%を超えると、塗料の流動性が劣るもの
となる。
【0009】さらに、(イ)成分に使用される(d)そ
の他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体としては、
アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリ
レート、メチルグリシジル(メタ)アクリレートなどの
エポキシ化合物、ジビニルベンゼン、エチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレ
ート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサ
ンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプ
ロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量体、
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミ
ド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,
N′−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアク
リルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドなどの酸ア
ミド化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニ
ルエステルなどのビニル化合物、トリフルオロエチル
(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル
(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体、γ
−(メタ)アクリロイルプロパントリメトキシシラン、
チッソ(株)製のサイラプレーンFM0711などの反
応性シリコーンなどのシリコーン化合物などが挙げら
れ、これらは1種単独であるいは2種以上を併用するこ
とができる。この(d)成分は、(a)〜(d)成分
中、0〜79重量%、好ましくは0〜60重量%、さら
に好ましくは0〜35重量%であり、79重量%を超え
ると耐熱水性の悪化あるいは乳化重合時に凝固物の発生
量の増加を生じ好ましくない。
【0010】 また、(イ)アクリル系共重合体ラテッ
クスの重合時に使用される(ロ)水性分散体は、前記
(e)〜(g)を乳化重合して得られるものである。こ
こで、(ロ)成分に使用される(e)エチレン性不飽和
カルボン酸は、前記(イ)アクリル系共重合体ラテック
スに使用される(a)成分と同様のものが使用される。
この(e)成分は、(e)〜(g)成分中、5〜80重
量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは
20〜50重量%であり、5重量%未満では塗料の貯蔵
安定性が劣り、一方80重量%を超えると塗料の流動性
が劣るものとなる。
【0011】また、(ロ)成分に使用される(f)アル
キル(メタ)アクリレートは、前記(イ)アクリル系共
重合体ラテックスに使用される(b)成分と同様の化合
物が挙げられる。また、芳香族ビニル単量体としては、
前記(イ)アクリル系共重合体ラテックスに使用される
(c)成分と同様の化合物を挙げることができる。この
(f)成分は、(e)〜(g)成分中、20〜95重量
%、好ましくは40〜90重量%、さらに好ましくは5
0〜80重量%であり、20重量%未満では重合時の凝
集物の発生量が増加し、一方95重量%を超えると、塗
膜の耐熱水性が劣るものとなる。さらに、(ロ)成分に
使用される(g)その他の共重合可能なエチレン性不飽
和単量体は、前記(イ)アクリル系共重合体ラテックス
に使用される(d)成分と同様の化合物が挙げられる。
(g)成分は、(e)〜(g)成分中、0〜75重量
%、、好ましくは0〜50重量%、さらに好ましくは0
〜30重量%であり、75重量%を超えると耐熱水性の
悪化、あるいは重合時の凝固物の発生量の増加を生じ、
好ましくない。
【0012】本発明に使用される前記(ロ)水性分散体
は、通常の乳化重合法により得ることができる。例え
ば、水性媒体中に、(e)〜(g)からなる単量体成
分、重合開始剤、連鎖移動剤、キレート化剤、pH調整
剤などを添加し、温度30〜100℃で1〜30時間程
度重合反応を行うことによって得られる。ここで、使用
される乳化剤としては、陰イオン性、非イオン性、また
は陰イオン−非イオン性の組み合わせが用いられ、場合
によっては両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤も用
いることができる。
【0013】陰イオン性乳化剤としては、例えば高級ア
ルコール硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼン
スルホン酸ナトリウム塩、コハク酸ジアルキルエステル
スルホン酸ナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテル
ジスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのう
ち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル
サルフェートナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキ
ル(またはアルキルフェニル)エーテルの硫酸塩などが
好ましく使用される。
【0014】非イオン性乳化剤としては、例えばポリオ
キシエチレンアルキルアリルエーテルなどを挙げること
ができる。一般的には、非イオン性乳化剤としては、ポ
リオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンオクチルフェニルエーテルなどが使用される。
両性乳化剤としては、ラウリルベタインが適当である。
陽イオン界面活性剤としては、アルキルピリジニルクロ
ライド、アルキルアンモニウムクロライドなどが使用で
きる。
【0015】さらに、前記単量体成分を構成する単量体
と共重合可能な、いわゆる反応性乳化剤、例えばスチレ
ンスルホン酸ナトリウム、アリルアルキルスルホン酸ナ
トリウム、アルキルアリルスルホコハク酸塩、ポリオキ
シエチレンアルキルアリルグリセリンエーテルサルフェ
ート、ポリオキシエチレンアルキルフェノールアリルグ
リセリンエーテルサルフェートなども、乳化剤として使
用してよい。
【0016】なお、乳化剤として、水溶性高分子を使用
することもできる。この水溶性高分子としては、例えば
ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、水溶性(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン
酸共重合体塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
塩、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリ(メタ)アクリ
ルアミドの共重合体などが挙げられ、これらのうち好ま
しくは部分ケン化ポリビニルアルコール、水溶性(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン
酸共重合体塩、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
塩などのカルボキシル化芳香族ビニル共重合体の塩であ
る。乳化剤の使用量は、通常、単量体成分100重量部
あたり、0〜5重量部であるが、耐熱水性の点で、ソー
プフリー系、反応性乳化剤の使用系が好ましい。なお、
乳化剤として使用することのできる水溶性高分子には、
後記する(ハ)水溶性アクリル樹脂は含まれないものと
する。
【0017】重合開始剤としては、例えば水溶性の過硫
酸塩、過酸化水素などが使用可能であり、場合によって
は還元剤と組み合わせて使用することができる。還元剤
としては、例えばピロ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素
ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸
およびその塩、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシ
レートなどを挙げることができる。
【0018】また、油溶性の重合開始剤、例えば2,
2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビ
ス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリ
ル)、2,2′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニ
トリル、1,1′−アゾビス−シクロヘキサン−1−カ
ルボニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジブチル、ク
メンヒドロ過酸化物などを単量体あるいは溶媒に溶解し
て使用することができる。好ましい油溶性重合開始剤と
しては、キュメンハイドロパーオキサイド、イソプロピ
ルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイ
ドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベ
ンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキ
サイド、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキ
サイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエ
ート)などを挙げることができる。これらの重合開始剤
の使用量は、単量体成分100重量部あたり、0.1〜
3重量部程度である。
【0019】連鎖移動剤としては、ハロゲン化炭化水素
(例えば、クロロホルム、ブロモホルム)、メルカプタ
ン類(例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシ
ルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン)、キサン
トゲン類(例えば、ジメチルキサントゲンジサルファイ
ド、ジイソプロピルキサントゲンジサルファイド)、テ
ルペン類(例えば、ジペンテン、ターピノーレン)、α
−メチルスチレンダイマー〔2,4−ジフェニル−4−
メチル−1−ペンテン(a1 )、2−4−ジフェニル−
4−メチル−ペンテン(a2 )、および1−1−3−ト
リメチル−3−フェニルインダン(a3 )の少なくとも
1種からなり、好ましくは(a1 )/(a2 )および/
または(a3 )(重量比)=40〜100/0〜6
0〕、不飽和環状炭化水素化合物(例えば、9,10−
ジヒドロアントラセン、1,4−ジヒドロナフタレン、
インデン、1,4−シクロヘキサジエン)、不飽和ヘテ
ロ環状化合物(例えば、キサンテン、2,5−ジヒドロ
フラン)などを挙げることができる。連鎖移動剤の使用
量は、単量体成分100重量部あたり、0〜5重量部程
度である。
【0020】キレート化剤としては、例えばグリシン、
アラニン、エチレンジアミン四酢酸などを、またpH調
整剤としては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、
炭酸水素ナトリウム、アンモニアなどを挙げることがで
きる。キレート化剤およびpH調整剤の使用量は、それ
ぞれ、単量体成分100重量部あたり、0〜0.1重量
部、および0〜3重量部程度である。
【0021】なお、乳化重合の際に必要に応じて使用さ
れる溶剤としては、作業性、防災安全性、環境安全性お
よび製造安全性を損なわない範囲内で、少量のメチルエ
チルケトン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタ
ン、メチルイソブチルケトン、ジメチルスルホキサイ
ド、トルエン、ジブチルフタレート、メチルピロリド
ン、酢酸エチル、アルコール類、セロソルブ類、カルビ
ノール類などが用いられる。この溶剤の使用量は、単量
体成分100重量部あたり、0〜5重量部程度である。
【0022】本発明における(ロ)水性分散体の乳化重
合は、公知の方法、例えば単量体成分全量を反応系に一
括して仕込む方法、単量体成分の一部を仕込んで反応さ
せたのち、残りの単量体成分を連続または分割して仕込
む方法、単量体成分全量を連続して仕込む方法などによ
って行うことができる。
【0023】(イ)アクリル系共重合体ラテックスは、
このようにして得られる(ロ)水性分散体の存在下で、
前記(a)〜(d)成分を重合して得られるが、この際
に使用される(ロ)水性分散体の量は、固形分換算で
(a)〜(d)成分の合計100重量部に対して1〜1
00重量部、好ましくは3〜50重量部、さらに好まし
くは5〜30重量部であり、1重量部未満では塗料の貯
蔵安定性が劣り、一方100重量部を超えると屈曲性の
悪化を招き好ましくない。また、(イ)アクリル系共重
合体ラテックスは、前記(ロ)水性分散体存在下で前記
(ロ)水性分散体の重合方法と同様の方法で重合するこ
とによって容易に得ることができる。なお、(イ)アク
リル系共重合体ラテックスの重合は、別途で重合した
(ロ)水性分散体を使用してもよいが、(ロ)水性分散
体を重合したのち、前記(a)〜(d)成分を連続的に
添加して重合を行う、いわゆる多段階重合方式で行って
もよい。
【0024】このようにして得られる(イ)アクリル系
共重合体ラテックス中の共重合体のガラス転移温度(T
g)は、通常、−20〜+130℃、好ましくは0〜+
110℃、さらに好ましくは+20〜+100℃であ
り、−20℃未満では硬度が低くなり、一方+130℃
を超えると屈曲性が劣るものとなる。また、(イ)アク
リル系共重合体ラテックスの酸価は、通常、2〜20
0、好ましくは5〜50、特に好ましくは5〜40であ
り、2未満では密着性、流動性、貯蔵安定性に劣る場合
があり、一方200を超えると耐熱水性が充分でない場
合がある。
【0025】なお、(イ)アクリル系共重合体ラテック
ス中の共重合体のトルエン不溶分は、好ましくは98重
量%以下、さらに好ましくは40〜98重量%、特に好
ましくは60〜95重量%であり、98重量%を超える
と耐熱水性が劣るものとなり好ましくない。また、
(イ)アクリル系共重合体ラテックス中の共重合体の重
量平均分子量は、好ましくは200,000以上、さら
に好ましくは300,000以上、特に好ましくは40
0,000以上であり、200,000未満では耐熱水
性が充分でない場合がある。これらの(イ)アクリル系
共重合体ラテックス中の共重合体のガラス転移温度、酸
価、トルエン不溶分、重量平均分子量は、使用する単量
体の種類、量を適宜選ぶことによって容易に調整するこ
とができる。なお、(イ)アクリル系共重合体ラテック
スの平均粒子径は、通常、0.1μmを超え5μm以
下、好ましくは0.15〜2μm、さらに好ましくは
0.15〜1μmであり、0.1μm以下では塗料の流
動性が劣り、一方5μmを超えると貯蔵安定性が劣るも
のとなる。この平均粒子径は、乳化剤の量、重合温度、
攪拌条件などを適宜選ぶことによって調整することがで
きる。
【0026】次に、(ハ)水溶性アクリル樹脂は、前記
(h)〜(j)成分を共重合して得られるものである。
ここで、(ハ)成分に使用される(h)エチレン系不飽
和カルボン酸としては前記(イ)アクリル系共重合体ラ
テックスに使用される(a)成分と同様のものが挙げら
れる。この(h)成分は、(h)〜(j)成分中、5〜
60重量%、好ましくは10〜55重量%、さらに好ま
しくは20〜50重量%であり、5重量%未満では耐熱
水性、塗料の流動性が劣り、一方60重量%を超えると
塗膜の屈曲性、耐熱水性が劣るものとなる。
【0027】また、(ハ)成分に使用される(i)アル
キル(メタ)アクリレートは、前記(イ)アクリル系共
重合体ラテックスに使用される(b)成分と同様の化合
物が挙げられる。また、芳香族ビニル単量体としては、
前記(イ)アクリル系共重合体ラテックスに使用される
(c)成分と同様の化合物を挙げることができる。この
(i)成分は、(h)〜(j)成分中、40〜95重量
%、好ましくは45〜90重量%、さらに好ましくは5
0〜80重量%であり、40重量%未満では塗料の流動
性が劣り、一方95重量%を超えると、塗膜の屈曲性が
劣るものとなる。
【0028】さらに、(ハ)成分に使用される(j)そ
の他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体は、前記
(イ)アクリル系共重合体ラテックスに使用される
(d)成分と同様の化合物が挙げられる。(j)成分
は、(h)〜(j)成分中、0〜55重量%、好ましく
は0〜45重量%、さらに好ましくは0〜30重量%で
あり、55重量%を超えると耐熱水性の悪化、あるいは
重合時の凝固物の発生量の増加を生じ、好ましくない。
【0029】本発明の(ハ)水溶性アクリル樹脂は、通
常の溶液重合法により得ることができる。例えば、有機
溶剤中に、(h)〜(j)からなる単量体成分、重合開
始剤、連鎖移動剤などを添加し、温度50〜250℃で
1〜30時間程度重合反応を行うことによって得られ
る。ここで使用される有機溶剤としては、メチルエチル
ケトン、アセトン、トリクロロトリフルオロエタン、メ
チルイソブチルケトン、ジメチルスルホキシド、トルエ
ン、ジブチルフタレート、メチルピロリドン、酢酸エチ
ル、アルコール類、セロソルブ類、カルビノール類など
が用いられる。
【0030】重合開始剤としては、前記(イ)アクリル
系共重合体ラテックスの乳化重合に用いられるのと同様
の油溶性の重合開始剤が用いられる。この重合開始剤の
使用量は、単量体成分100重量部あたり、0.1〜3
重量部程度である。また、連鎖移動剤の種類および量
は、前記(イ)アクリル系共重合体ラテックスの乳化重
合に使用されるものと同様である。
【0031】このようにして得られる(ハ)水溶性アク
リル樹脂は、有機溶剤を樹脂固形分に対し10重量%以
下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量
%以下の含有率になるまで除去したのち、アンモニアま
たは有機アミンの存在下で水を加えて水溶化させる。こ
こで、使用される有機アミンとしては、トリメチルアミ
ン、トリエチルアミン、ブチルアミンなどのアルキルア
ミン、2−ジメチルエタノールアミン、ジエタノールア
ミン、トリエタノールアミン、アミノメチルプロパノー
ル、モルホリンなどの1価アミン、ジエチレンアミン、
ジエチレントリアミンなどの多価アミンが挙げられる。
なお、(ハ)水溶性アクリル樹脂の他の重合方法として
は、前記(イ)アクリル系共重合体ラテックスの乳化重
合法と同様の乳化重合を施し、その後、アンモニアまた
は前記有機アミンを加えて水溶化させてもよい。
【0032】このようにして得られる(ハ)水溶性アク
リル樹脂中の共重合体の重量平均分子量は、通常、4,
000〜200,000、好ましくは5,000〜10
0,000、さらに好ましくは8,000〜80,00
0であり、4,000未満では充分な塗料粘度が得られ
ず、かつ耐熱水性が劣り、一方200,000を超える
と流動性が劣るものとなる。また、(ハ)水溶性アクリ
ル樹脂中の共重合体のガラス転移温度(Tg)は、通
常、−20〜+160℃、好ましくは−10〜+150
℃、さらに好ましくは0〜+140℃、特に好ましくは
+20〜+130℃であり、−20℃未満では硬度が低
くなり、一方+160℃を超えると屈曲性が劣るものと
なる。
【0033】本発明の水性分散体組成物の組成割合は、
固形分換算で、(イ)アクリル系共重合体ラテックスが
10〜95重量部、好ましくは20〜90重量部、さら
に好ましくは50〜90重量部、(ハ)水溶性アクリル
樹脂90〜5重量部、好ましくは80〜10重量部、さ
らに好ましくは50〜10重量部である。(イ)アクリ
ル系共重合体ラテックスが10重量部未満では塗膜欠陥
が発生し、一方95重量部を超えると流動性に劣るもの
となる。
【0034】前記(イ)および(ハ)の配合方法は、通
常、1種類以上の(イ)アクリル系共重合体ラテックス
に、水に溶解させた一種類以上の(ハ)水溶性アクリル
樹脂を後添加する方法が挙げられるが、(イ)成分の重
合過程にあらかじめ(ハ)成分を共存させておいてもよ
い。また、(ハ)成分を水溶化させる前に1種類以上の
(イ)成分に配合し、その後、1種類以上の(ハ)成分
を溶解させてもよい。さらには、これらを組み合わせて
もよい。
【0035】次に、本発明の水性塗料に使用される
(ニ)熱硬化性樹脂は、前記(イ)成分および/または
(ハ)成分の硬化剤として配合されるものである。
(ニ)熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノー
ル樹脂、アミノ樹脂、ブロックイソシアネートなどが挙
げられるが、これらのうちでも好ましくはレゾール型お
よび/またはノボラック型フェノールホルムアルデヒド
樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアル
デヒド樹脂、ベンゾカナミンホルムアルデヒド樹脂、こ
られの部分もしくは完全アルキルエーテル化物、特に好
ましくはレゾール型フェノール樹脂、アミノ樹脂が挙げ
られる。これらの(ニ)熱硬化性樹脂は、1種単独であ
るいは2種以上を併用することができる。
【0036】(ニ)熱硬化性樹脂の配合割合は、固形分
換算で(イ)および(ハ)成分の合計量100重量部に
対し、0.5〜100重量部、好ましくは2〜80重量
部、さらに好ましくは5〜60重量部であり、0.5重
量部未満では架橋が不充分であり、耐熱水性、硬度が劣
り、一方100重量部を超えると屈曲性が劣る。また、
(ニ)熱硬化性樹脂の配合方法は、あらかじめ乳化剤、
水溶性樹脂に分散後、(イ)および(ハ)成分の混合物
に後添加する方法、(イ)成分と(ハ)成分を混合する
前にあらかじめ(イ)成分に添加する方法、あるいは
(ハ)成分に添加する方法、さらには(ニ)熱硬化性樹
脂の存在下で(イ)成分または(ハ)成分を重合する方
法などにより配合することができる。さらに、(イ)成
分、(ハ)成分および(ニ)成分を配合する際、加熱処
理することもできる。この加熱処理には、例えば(イ)
成分と(ハ)成分の配合後、(イ)成分、(ハ)成分、
(ニ)成分の配合後、また(イ)成分と(ニ)成分の配
合後、あるいは(ハ)成分と(ニ)成分の配合後など、
どの配合段階でも行うことができ、あるいはこれらを組
み合わせてもよい。また、加熱処理温度は、30℃以
上、好ましくは50℃以上、さらに好ましくは70℃以
上がよく、処理時間は10分以上、好ましくは30分以
上、さらに好ましくは1時間以上がよい。
【0037】本発明の水性塗料には、目的に応じて下記
の添加剤を添加することができる。この添加剤の添加量
は、(イ)および(ハ)成分の固形分の合計100重量
部に対して、通常、50重量部以下、好ましくは40重
量部以下である。この添加剤としては、まず例えばドデ
シルベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、ジ
ノニルナフタレンジスルホン酸などのアミンブロック化
した酸触媒を挙げることができる。この酸触媒の使用量
は、(イ)および(ハ)成分の固形分換算100重量部
に対し、好ましくは0.05〜2重量部である。また、
前記添加剤以外の添加剤としては、一般に用いられる水
溶性ポリエステル樹脂、水溶性あるいは水分散性エポキ
シ樹脂、水溶性あるいは水分散性アクリル樹脂、スチレ
ン−マレイン酸樹脂などのカルボキシル化芳香族ビニル
樹脂、ウレタン樹脂などのほか、金属酸化物、多価金属
塩や、さらに潤滑剤、消泡剤、湿潤剤、レベリング剤、
顔料などを用いることができる。
【0038】さらに、添加剤として、造膜性、濡れ性を
向上させるために、メチルアルコール、エチルアルコー
ル、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルア
ルコール、ヘキシルアルコールなどのアルコール類、メ
チルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソル
ブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカ
ルビトール、エチルカルビトール、メチルセロソルブア
セテート、エチルセロソルブアセテート、トリブトキシ
メチルフォスフェートなどの有機溶剤を使用することが
できる。この有機溶剤の使用量は、(イ)および(ハ)
成分の固形分100重量部に対し、20重量部以下、好
ましくは10重量部以下である。
【0039】本発明の水性分散体組成物は、優れた塗料
流動性、耐熱水性、屈曲性、硬度、基体への密着性など
に優れた被膜を形成することから、金属、プラスチッ
ク、木材、セラミックスなどのコーティング剤に利用で
き、特に好ましくは缶、アルミサッシ、プレコートメタ
ルなどの下塗りおよび上塗り用のコーティング剤、電着
塗料などに使用することができる。
【0040】また、本発明の水性塗料は、優れた塗料流
動性、耐熱水性、屈曲性、硬度、基体への密着性などの
優れた被膜を形成することから、各種金属素材、缶胴、
缶蓋、その他の缶部材の塗布に用いることができる。本
発明の水性塗料は、通常のスプレー塗料や静電塗装に用
いられるだけでなく、ローラ塗布、ブラシ塗布、ドクタ
ーコーター、エアナイフコーター、リバースコーター、
ナチュラルコーターなどの各種コーターによる塗布作業
に用いることができる。
【0041】
【実施例】以下、実施例を挙げ、本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これ
らの実施例に限定されるものではない。なお、実施例
中、割合を示す部および%は、重量基準によるものであ
る。また、実施例における諸物性の測定は、次の方法に
拠った。
【0042】流動性 水性塗料のチクソトロピーインデックス(以下「T.
I.」と略記する)(型粘度計による6rpmと60
rpmの粘度の比)を評価した。また、水性塗料を、ロ
ールコーターにて塗装後、直ちにガスオーブンで焼き付
け、フロー状態を評価した。貯蔵安定性 50℃雰囲気下で1カ月静置させた後の水性塗料の流動
性を評価した。耐熱水性 試験片を水中に浸漬し、130℃で30分間の条件で熱
水処理を行ったのち、塗膜の白化状態を評価した。試験
片が白化せずかつ外観良好なものを○、若干白化するも
のを△、白化するものを×と評価した。
【0043】屈曲性 直径3mmの芯棒を用いて、試験片を180°折り曲げ、
ひびの発生を目視にて評価した。鉛筆硬度 JIS K5400に準じて、鉛筆引っ掻き試験機を用
いて測定した。硬度B以下のものは、本発明の目的を達
成していないものと判断した。密着性 JIS K5400に準じて、1mm角100個の碁盤
目試験を行い、セロテープにより剥離状態を確認し、1
00個中の接着数により表示した。
【0044】実施例1 攪拌機、温度計および単量体添加ポンプを備えたステン
レス製オートクレーブに、加熱器およびチッ素ガス導入
装置を取付け、このオートクレーブに水80部、アルキ
ルアリルスルホコハク酸塩0.05部および過硫酸ナト
リウム0.3部を仕込み、気相部を15分間、チッ素ガ
スで置換し、75℃に昇温した。その後、別容器からア
クリル酸1部、メタクリル酸3部、n−ブチルアクリレ
ート1部、メチルメタクリレート2部、スチレン3部の
単量体成分を、所要時間1時間かけて連続的に添加し
た。添加終了後、さらに85〜95℃で2時間熟成し、
(ロ)水性分散体を得た。
【0045】次いで、この(ロ)水性分散体に、さらに
過硫酸ナトリウム0.3部を仕込み、別容器からn−ブ
チルメタクリレート10部、エチルアクリレート20
部、メチルメタクリレート30.7部、スチレン30
部、エチレングリコールジメタクリレート0.3部、ヒ
ドロキシエチルメタクリレート4部、メタクリル酸5部
の単量体成分と、アルキルアリルスルホコハク酸塩0.
2部、水40部との乳化物とを、所要時間3時間かけて
連続的に添加した。添加終了後、さらに85〜95℃で
2時間熟成したのち、25℃まで冷却し、アンモニア水
でpH8に調整したのち、固形分濃度を水で45%に調
整し、次いで200メッシュ金網でろ過し、(イ)アク
リル系共重合体ラテックスを得た。得られた共重合体ラ
テックスの平均粒径は、0.3μmであった。なお、平
均粒径は、コールター社製、ナノサイザーを用いて測定
した。また、得られた共重合体ラテックスの酸価は3
0、共重合体のトルエン不溶分は82%、重量平均分子
量は600,000、ガラス転移温度は66℃であっ
た。
【0046】次に、攪拌機、温度計および単量体添加ポ
ンプを備えたステンレス製のオートクレーブに、加熱器
およびチッ素ガス導入装置を取り付け、このオートクレ
ーブに、水80部を仕込み、気相部を15分間、チッ素
ガスで置換し、75℃に昇温した。その後、別容器から
アクリル酸10部、メタクリル酸30部、n−ブチルア
クリレート10部、メチルメタクリレート20部および
スチレン30部の単量体成分、n−ドデシルメルカプタ
ン3部、アルキルアリルスルホコハク酸塩0.5部、水
40部との乳化剤とを、所要時間3時間かけて連続的に
添加した。添加終了後、さらに85〜95℃で2時間熟
成したのち、25℃まで冷却し、得られたラテックスを
アンモニアにて水へアルカリ溶解させ、固形分20%の
透明な樹脂水溶液を得た。このようにして得られた
(ハ)水溶性アクリル樹脂の共重合体の重量平均分子量
は50,000、Tgは100℃であった。
【0047】次に、得られた前記(イ)アクリル系共重
合体ラテックス85部(固形分換算)と(ハ)水溶性ア
クリル樹脂の水溶液15部(固形分換算)とを混合して
水性分散体組成物を得た。さらに、この水性分散体組成
物100重量部(固形分換算)を攪拌しつつ、メラミン
樹脂分散液〔三井サイアナミッド(株)製、サイメル3
03を20部、以下のレゾール型フェノール樹脂20
部、藤井義通商(株)製、2625Aのアンモニア塩
0.2部および水30部〕を徐々に加え、80℃まで昇
温させて2時間攪拌したのち、25℃まで冷却し、水性
塗料を得た。
【0048】レゾール型フェノール樹脂 レビスフェノールA、p−クレゾール、ホルムアルデヒ
ドおよびアンモニア触媒を用いて誘導されたレゾール型
フェノール樹脂〔ビスフェノールA/p−クレゾール
(重量比)=80/20、数平均分子量=650〕この
水性塗料について、流動性と貯蔵安定性を評価した。結
果を表1に示す。さらに、この水性塗料を、ロールコー
ターを用いて電解クロム酸処理鋼板(以下「TFS」と
いう)に乾燥膜厚で約5μmとなるように塗装し、21
0℃で10分間焼きつけて試験片とし、塗膜物性、すな
わち耐熱水性、屈曲性、鉛筆硬度を評価した。結果を表
1に示す。
【0049】実施例2〜3 実施例1において、単量体の種類と仕込み量を表1に示
すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗
料と試験片を得、評価した。結果を表1に示す。 比較例1〜2 実施例1において、(ロ)水性分散体の仕込み量を表1
に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして水
性塗料とその試験片を得、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表1に示す。表1の結果から、(イ)アクリ
ル系共重合体ラテックスに使用される(ロ)水性分散体
が1部未満では、分散塗料の貯蔵安定性が劣り、一方1
00部を超えると、屈曲性が劣ることが分かる。
【0050】比較例3〜4 実施例1において、単量体の種類と仕込み量を表1に示
すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗
料および試験片を得、実施例1と同様にして評価した。
結果を表1に示す。表1の結果から、(イ)アクリル系
共重合体ラテックスに使用される(c)アルキル(メ
タ)アクリレートの合計量が20%未満では屈曲性が劣
り、一方70%を超えると硬度、耐熱水性が劣ることが
分かる。また、(イ)アクリル系共重合体ラテックスに
使用される(c)芳香族ビニル単量体が75%を超える
と、水性塗料の流動性が劣ることが分かる。
【0051】比較例5〜6 実施例1において、単量体の種類と仕込み量を表1に示
すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗
料および試験片を得、実施例1と同様にして評価した。
結果を表1に示す。表1の結果から、(ハ)水溶性アク
リル樹脂に使用される(h)エチレン性不飽和カルボン
酸の合計量が5%部未満では、塗料の流動性と耐熱水性
が劣り、一方60%を超えると耐熱水性と屈曲性が劣る
ことが分かる。
【0052】比較例7〜8 実施例1において、(イ)アクリル系共重合体ラテック
スと(ハ)水溶性アクリル樹脂との混合比を表1に示す
ように変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗料
とその試験片を得、実施例1と同様に評価した。結果を
表1に示す。表1の結果から、(イ)アクリル系共重合
体ラテックスが10部未満では屈曲性が劣り、一方95
部を超えると、水性塗料の流動性が劣ることが分かる。
【0053】比較例9〜10 実施例1において、(ニ)熱硬化性樹脂の量を表2に示
すように変更した以外は、実施例1と同様にして水性塗
料とその試験片を得、実施例1と同様にして評価した。
結果を表2に示す。表2から、(ニ)熱硬化性樹脂の配
合量が0.5部未満では耐熱水性が悪く、一方100部
を超えると流動性、貯蔵安定性、屈曲性が悪いことが分
かる。
【0054】比較例11〜12 実施例1において、単量体の種類および仕込み量を表2
に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして水
性塗料および試験片を得、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表2に示す。表2の結果から、(イ)アクリ
ル系共重合体ラテックスに使用される(a)エチレン性
不飽和カルボン酸およびヒドロキシアルキル(メタ)ア
クリレートの合計量が1%未満では耐熱水性、硬度が劣
り、一方40%を超えると屈曲性および硬度に劣ること
が分かる。
【0055】比較例13 実施例1において、(イ)成分を(ロ)水性分散体の不
存在下に乳化重合させたのち、(ロ)水性分散体を混合
した以外は、実施例1と同様にして塗料および試験片を
得、実施例1と同様にして評価した。結果を表2に示
す。表2から、(ロ)水性分散体の不存在下に(イ)ア
クリル系共重合体ラテックスを乳化重合すると、耐熱水
性および硬度が劣ることが分かる。
【0056】実施例4 攪拌機、温度計および単量体添加ポンプを備えたステン
レス製オートクレーブに、加熱器およびチッ素ガス導入
装置を取付け、このオートクレーブにブチルセロソルブ
120部を仕込み、気相部を15分間、チッ素ガスで置
換し、80℃に昇温した。その後、別容器からアクリル
酸10部、メタクリル酸3部、n−ブチルアクリレート
10部、メチルメタクリレート20部、スチレン30
部、および過酸化ベンゾイル2部の混合物を、所要時間
3時間かけて連続的に添加した。添加終了後、さらに8
5〜95℃で2時間熟成したのち、25℃まで冷却し
た。その後、真空乾燥により溶剤を除去し、得られた溶
剤含有率5%の樹脂固形物をアンモニアにて水へアルカ
リ溶解させ、固形分20%の透明な樹脂水溶液を得た。
実施例1において、(ハ)水溶性アクリル樹脂を、上記
の樹脂水溶液に代えた以外は、実施例1と同様にして水
性塗料とその試験片を得、実施例1と同様にして評価し
た。結果を表2に示す。
【0057】実施例5 実施例1において、混合する(ハ)水溶性アクリル樹脂
の量を固形分換算で5部に変更した以外は、実施例1と
同様に水性塗料を得た。次に、ルチル型チタン白〔石原
産業(株)製〕50部を(ハ)水溶性アクリル樹脂の水
溶液10部(固形分換算)にサンドミルにてあらかじめ
分散させたのち、得られた上記水性塗料に混合し、水性
白色塗料を得た。この水性白色塗料について、実施例1
と同様にして試験片を得、評価した。結果を表2に示
す。
【0058】実施例6〜8 実施例5において、単量体の種類と仕込み量を表2に示
すように変更した以外は、実施例5と同様にして水性白
色塗料と試験片を得、実施例5と同様に評価した。結果
を表2に示す。
【0059】比較例14〜15 実施例1において、(ロ)水性分散体の単量体の種類と
仕込み量を表3に示すように変えた以外は、実施例1と
同様にして水性塗料とその試験片を得、実施例1と同様
に評価した。結果を表3に示す。表3から、(ロ)水性
分散体に使用される(e)エチレン性不飽和カルボン酸
が5%未満では水性塗料の貯蔵安定性、耐熱水性が劣
り、一方80%を超えると流動性、貯蔵安定性、屈曲性
が劣ることが分かる。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】本発明の水性分散体組成物は、水性塗料
に有用であり、従来の溶剤タイプ、溶剤含有水性タイプ
のコーティング剤本来の優れた流動性、耐熱水性、密着
性、貯蔵安定性などの特性を損なうことなく、硬度、屈
曲性、撥水性などの特性に優れており、また有機溶剤含
有量を著しく低減でき、作業衛生上においても優れた特
徴を有し、缶コーティング剤、プレコートメタル、アル
ミサッシなどの金属コーティング用、プラスチック用、
電着用塗料などに利用することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C09D 125/08 PFB C09D 125/08 PFB 133/02 PFW 133/02 PFW (72)発明者 平春 晃男 東京都中央区築地二丁目11番24号 日本 合成ゴム株式会社内 (72)発明者 小島 瞬治 神奈川県横須賀市ハイランド 4−22− 16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(イ)アクリル系共重合体ラテック
    スを固形分換算で10〜95重量部、ならびに下記
    (ハ)水溶性アクリル樹脂を固形分換算で90〜5重量
    部〔ただし、(イ)+(ハ)=100重量部〕を主成分
    とする水性分散体組成物。 (イ);下記(ロ)水性分散体を、下記(a)〜(d)
    成分の合計100重量部に対し、固形分換算で1〜10
    0重量部の存在下で、 (a)エチレン性不飽和カルボン酸および/またはヒド
    ロキシアルキル(メタ)アクリレート1〜40重量%、 (b)アルキル(メタ)アクリレート20〜70重量
    %、 (c)芳香族ビニル単量体0〜75重量%、および (d)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0
    〜79重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)+
    (d)=100重量%〕を乳化重合して得られるアクリ
    ル系共重合体ラテックス。 (ロ);(e)エチレン性不飽和カルボン酸5〜80重
    量%、 (f)アルキル(メタ)アクリレートおよび/または芳
    香族ビニル単量体20〜95重量%、および (g)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0
    〜75重量%〔ただし、 (e)+(f)+(g)=100重量%〕を乳化重合し
    て得られる水性分散体。(ハ);(h)エチレン性不飽
    和カルボン酸5〜60重量%、 (i)アルキル(メタ)アクリレートおよび/または芳
    香族ビニル単量体40〜95重量%、および (j)その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体0
    〜55重量%〔ただし、(h)+(i)+(j)=10
    0重量%〕を共重合して得られる水溶性アクリル樹脂。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の(イ)アクリル系共重合
    体ラテックスを固形分換算で10〜95重量部、および
    請求項1記載の(ハ)水溶性アクリル樹脂を固形分換算
    で90〜5重量部〔ただし、(イ)+(ハ)=100重
    量部〕に対し、(ニ)熱硬化性樹脂0.5〜100重量
    部を含有してなる水性塗料。
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