JP2561097B2 - 塗料用重質炭酸カルシウムの処理方法 - Google Patents

塗料用重質炭酸カルシウムの処理方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は塗工紙塗料用炭酸カルシウムの処理方法に関
するものである。更に詳しく述べるならば、塗料用顔料
として、塗工工程でのストリークトラブル、ロールパタ
ーンやエアーナイフパターンの発生が少なく、かつブレ
ード刃の摩耗が少ない重質炭酸カルシウムを得る方法に
関するものである。
(従来の技術と問題点) 一般に塗工紙を製造する場合、塗工紙の白色度、平滑
度、光沢度およびインキ受理性を持たせる目的でクレ
ー、カオリン、二酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機
顔料が使用される。特に炭酸カルシウムは白色度、イン
キ受理性、通気性において優れた性質を有している為、
塗料用顔料としての使用量が増えつつある。一般に炭酸
カルシウムはその製造方法の相違によつて化学反応によ
つて得られる沈降性炭酸カルシウムと天然産の粉砕によ
る重質炭酸カルシウムとに大別される。重質炭酸カルシ
ウムはその製造方法が簡単な故に沈降性炭酸カルシウ
ム、クレーやカオリンに比べ、安価である。従つて重質
炭酸カルシウムを塗料用として高配合で使いたいが、重
質炭酸カルシウムは石灰石を機械的に粉砕しただけのも
のであるので、風簸あるいは水簸等で分級しただけで
は、沈降性炭酸カルシウムに比べて、平均粒子径が大き
く、粒度分布の巾も広いため、粗大粒子の混入を避ける
ことができない。また塗料の保水性を低下させる傾向が
強いので、配合率には限度がある。すなわち重質炭酸カ
ルシウムの配合を増やすほど、塗工紙面にストリークと
呼ばれる紙の縦方向にはしる条跡が発生して品質を著し
く損ね、また、ブレード刃を著しく摩耗して、操業に支
障をきたしていた。また重質炭酸カルシウムの配合によ
り塗料の保水性が下がり、塗料中の水分がブレード刃の
加圧下で原紙に吸収され、流動性不良のため、ストリー
クを引起こす原因となつていた。ロールコーターやエア
ーナイフコーターで塗工する場合でも、塗料への重質炭
酸カルシウムの配合を増やすほど、粗大粒子の増大およ
び保水性低下のため、ロールパターンや塗りむらが顕著
になり、平滑性や光沢を損ねていた。
(問題点を解決するための手段及びその作用) 本発明者等は以上のような欠点を有する重質炭酸カル
シウムを改質する方法について種々検討を重ねた結果、
特定の比表面積を持つ重質炭酸カルシウムを特定の比表
面積を持つようにサンドミルを用いて湿式で処理する
と、重質炭酸カルシウム中の粗大粒子が選択的に摩砕さ
れ、しかも保水性が向上するので、かかる重質炭酸カル
シウムを用いた塗料で塗工すると、ストリークやロール
パターンが全く生じず、ブレードの刃持ちが著しく改善
されること、ならびにサンドミルを用いて複数段階で処
理する際に、第2段階処理以後、第1段階処理より細か
い粒子のビーズを用いることによりより効果的に重質炭
酸カルシウムが摩砕されることを見出した。
すなわち本発明は、比表面積が下記の式(1),
(2)および(3)を同時に満たすように、重質炭酸カ
ルシウムを固形分濃度30〜85重量%の分散液でサンドミ
ル処理することを特徴とする塗工紙塗料用炭酸カルシウ
ムの処理方法、 0.05≦A≦0.7 ・・・(1) B≦−44.48A3+66.77A2−33.42A+7.04 ・・・(2) 1.0≦B≦4.5 ・・・(3) 式中、Aはサンドミル処理前の重質炭酸カルシウムの
比表面積 m2/g Bはサンドミル処理後の重質炭酸カルシウムの比表面
積 m2/g ならびに、比表面積が上記式(1),(2)および
(3)を同時に満たすように、重質炭酸カルシウムを固
形分濃度30〜85重量%の分散液で複数段階でサンドミル
処理するに際し、第2段階処理以後、第1段階処理より
細かいビーズを用いることを特徴とする塗工紙塗料用炭
酸カルシウムの処理方法である。
以下、本発明を詳しく説明する。
第1図は本発明のサンドミル処理前と処理後の重質炭
酸カルシウムの比表面積を示したものである。原料炭酸
カルシウムの粗大粒子の解消、保水性、流動性等の改善
を果すためには、それぞれ異つた比表面積を有する原料
重質炭酸カルシウムについて、それぞれの比表面積に応
じて適切な度合のサンドミル処理を行ない、第1図のサ
ンドミル処理前の比表面積0.05と0.7と処理後の比表面
積1.0と4.5の線ならびにB=−44.48A3+66.77A2−33.4
2A+7.04の線で囲まれる範囲内の粒度とする必要があ
る。
サンドミル処理前の重質炭酸カルシウムは前述したよ
うな粗大粒子を含んでいるが、本発明のような限定処理
をサンドミルによつて行なうことにより粒径の大なる粒
子から選択的に粉砕を進行させ、その間粒径の小さな粒
子の粉砕を最小限に留めることにより、粗大粒子を解消
して、かつ粒径の比較的揃つた重質炭酸カルシウムを得
ることが可能になつた。
すなわちサンドミル処理前後の重質炭酸カルシウムの
比表面積が(1)式、好ましくは(4)式及び、(2)
式、(3)式を同時に満足するようにサンドミル処理す
ることにより、粗大粒子の除去が完全となり、ストリー
クやロールパターンの解消およびブレード刃摩耗の改善
は可能となつた。更にそれ以上の過度の処理は塗料の調
製を困難にするばかりか、塗料の流動性の低下を招き、
却つてストリークの原因となる。また処理が軽過ぎても
粗粒子を除去し切れない。結局、(1),(2)および
(3)式を同時に、より好ましくは(2),(4)およ
び(5)式を同時に満たす条件でサンドミル処理を行な
うことにより本発明の効果を発揮し得る。
0.08≦A≦0.6 ・・・(4) 1.2≦B≦4.0 ・・・(5) 本発明で云うサンドミル処理とは、平均粒子径が5mm
以下、更に好ましくは4mm以下の天然または合成の微小
粒子、例えば鉱物微小砂、ガラス製微小粒子、硬質プラ
スチツク製微小粒子、金属製微小粒子等(以上の粒子を
ビーズという)を容器内に充填し、任意形状の撹拌羽根
を介して、この微小粒子を機械的に撹拌しながら、当該
容器に重質炭酸カルシウムの分散液を1回または複数回
通過させる。サンドミル、サンドグラインダー、ダイノ
ーミル等と呼ばれる装置は本発明のサンドミル処理に使
用可能な装置の一例である。
本発明において重質炭酸カルシウムは水分散液の形で
サンドミル処理されるが、分散液の固形分濃度は30〜85
%の範囲で任意に選択可能であり、また必要に応じて分
散剤を使用することもできる。逆に処理前の固形分濃度
が30%未満ないし85%を越えると、サンドミル処理での
粗大粒子の粉砕が不完全となり、本発明の効果を果し得
ない。なおサンドミル処理は重質炭酸カルシウム単独の
分散液としてなされるのが好ましいが、塗料の配合によ
つては必要に応じて、カオリン、クレー、タルク、水酸
化アルミニウム、二酸化チタン、サチンホワイト、沈降
性炭酸カルシウム等の他の顔料との混合分散液の形で処
理しても良い。またサンドミルで処理される重質炭酸カ
ルシウムとしては、天然産の方解石、石灰石、大理石ま
たは白亜を適当な粉砕機によつて粉砕したもの、および
これを風簸または水簸によつて不純物を除去し、粒度を
ある程度揃えたものが用いられる。
また本発明で云う比表面積とは恒圧通気式粉体比表面
積測定装置(島津製作所製)にて測定されるものであ
る。
(発明の効果) 以上の通り本発明の範囲内の適正な条件でサンドミル
処理すれば粗大粒子がほとんど除去され、かつ保水性が
改善された。従つてこれを含む塗料の塗工工程におい
て、ストリークやロールパターンが生じない、かつブレ
ード刃摩耗の著しく軽減された塗料用重質炭酸カルシウ
ムを得ることができるのである。
また、複数段階でサンドミル処理を行う場合、第2段
目以降の処理を第1段目処理より細かいビーズを用いる
ことにより効率よく処理することができる。
(実施例) 以下本発明を実施例によつて具体的に説明するが、本
発明は実施例によつて限定されるものではない。なお実
施例において部および%とあるのは特に記載がない限
り、重量基準である。
実施例1 比表面積0.05m2/gの重質炭酸カルシウム(三共精粉
製)と対重質炭酸カルシウム0.3%のポリアクリル酸ナ
トリウム系分散剤(東亜合成化学工業製アロンT−40)
とを固形分75%にスラリー濃度調整し、1時間撹拌し
た。この分散液をサンドミル(五十嵐機械製造製SLG−3
2G)で周速12m/sec,流量3/minで6回処理した結果、
比表面積が4.4m2/gの炭酸カルシウムが得られた。この
処理済分散液を40部、カオリン(EMC社製UW−90)60部
を固形分70%になるように水中に分散させ、その後酸化
澱粉(王子コーンスターチ製エースC)を7部、スチレ
ン−ブタジエン共重合体系ラテツクス(日本合成ゴム製
JSR−0619)を10部混合し、水で希釈して固形分58%濃
度にて撹拌して塗料を調製した。この塗料をテストブレ
ードコーター、テストロールコーターおよびテストエア
ーナイフコーターにて塗工用原紙に塗工量が固形分で15
g/m2になるように塗り、乾燥し、更にスーパーカレンダ
ーで処理した後、紙の品質を調べた。
この結果を、塗料の性質およびコーターでの塗工適性
をも合わせ第1表に示す。
上記サンドミル処理後の重質炭酸カルシウムは粗粒子
が少なく、流動性に優れ、その塗料は流動性、保水性と
もに優れているので、ブレードコーターでのストリーク
は全く発生せず、刃の摩耗はほとんどなく、ロールコー
ターおよびエアーナイフコーターでのパターンも発生し
なかつた。得られた塗工紙は優れた平滑度、光沢度を有
していた。
実施例2〜8 実施例1と同様な処理を第1表の比表面積を有する重
質炭酸カルシウムについて、第1表に示す処理条件で行
なつた。実施例1と同様の評価を行なつた。
結果を第1表に示す。
得られた製品は何れも優れた品質を有していた。
比較例1〜12 実施例1と同様な処理を第2表に示した比表面積を有
する重質炭酸カルシウムについて第2表の処理条件で行
なつた。
結果を第2表に示す。
その結果は何れの場合も、処理が軽すぎるか、また
は、処理過多の為、塗工紙の品質は劣つていた。
実施例9,10,比較例13 比表面積0.14m2/gの重質炭酸カルシウムと対重質炭酸
カルシウム0.4%のポリアクリル酸系分散剤(東亜合成
化学工業製アロンT−40)とを固形分75%にスラリー濃
度を調整し、1時間撹拌した。この分散液をサンドミル
(五十嵐機械製造製SLG−32G,実容量80)で周速12m/
秒で第3表に示す条件で1〜3回粉砕処理を行つた。
得られた処理済分散液を固形分として40部、カオリン
(EMC社製UW−90)60部を固形分70%になるように水中
に分散させ、その後酸化澱粉(王子コーンスターチ製エ
ースC)を7部、スチレンブタジエン共重合体系ラテツ
クス(日本合成ゴム製JSR−0619)を10部混合し、水で
希釈して固形分58%濃度にて撹拌して塗料を調製した。
この塗料をテストブレードコーターにて塗工用原紙に
塗工量が固形分で15g/m2になるように塗り、乾燥し、更
にスーパーカレンダーで処理した後、紙の品質を調べ
た。
この結果を第3表に示す。
実施例9及び実施例10のサンドミル処理後の重質炭酸
カルシウムは粗粒子が少なく、流動性に優れ、それを用
いた塗料も流動性に富むと共に保水性にも優れているの
で、ブレードコーターでのストリークは全く発生せず、
刃の摩耗はほとんどなく、ロールコーターおよびエアー
ナイフコーターでのパターンも発生しなかつた。得られ
た塗工紙は優れた平滑度、光沢度を有していた。
また、実施例9と実施例10の処理後の炭酸カルシウム
の性状を比較すればわかるように、3回共ビーズとして
3mmのものを用いた実施例9に比し、1回目に3mmのもの
を用い、2回目、3回目に1.6mmのものを用いた実施例1
0においては、得られた炭酸カルシウム粒子の平均粒径
は小さく、従つて比表面積は大であり、かつ350M/S残渣
%(粗大粒子量)は小さくなつていることがわかる。
なお、比較例13においては350M/S残渣9.5%で塗工特
性も好ましくなかつた。
なお使用した測定器機および測定方法を下記に示す。
比表面積は恒圧通気式粉体比表面積測定装置(島津
製作所製)にて試料3gを2cm2×1cmの試料筒に充填し、6
00mm水柱にて測定後、換算により求めた。
高剪断流動性は熊谷理機工業製ハイシエアービスコ
メーターHR−801CDを用いて、8800回転時のトルクを計
測。
粗粒子(5μ以上)の含有率は、光透過式粒度分布
測定器(セイシン企業製ミクロンフオトサイザーSKN−1
000型)を用いて測定した。
保水度は、巾2cm×長さ8cmのフイルターペーパー
(東洋濾紙(株)製No50)を塗料に垂直に立て、10分経
過後の滲み高さを測定。
平滑度はスムースター平滑度試験器にて測定した。
光沢度は入射角75゜で測定(日本電色製変角光沢度
計VG−1D使用)。
ストリークはテストブレードコーターにおいて、10
分間に発生した回数である。
ブレード刃摩耗度はテストブレードコーターで2時
間塗工した前後のブレードの長さの差で示した。
ロールパターンはテストロールコーターリールの紙
を目視で評価し、下記の4段階で表示した。
◎:優れている ○:良い △:あまり良くない ×:悪い エアーナイフパターンはテストエアーナイフコータ
ーリールの紙を目視で評価し、と同じ要領で表示し
た。
つぎに、第1回目に径3mmのビーズを用い第2回目以
降更に径3mmのビーズを用いた場合と、径1.6mmのビーズ
を用いた場合の効果の相違を第2図に示す。
第2図は、比表面積0.14m2/gの重質炭酸カルシウムを
径3mmのビーズを用いて1回処理したもの(平均粒径2.0
μ,350M/S ON残渣0.64%)をさらに3mmのビーズ及び1.6
mmのビーズを用いて夫々2回目,3回目の処理を行つた場
合のサンドミル内滞留時間と炭酸カルシウムの平均粒径
との関係を示し、曲線Iは2回目以後も3mmのビーズを
用いた場合を、曲線IIは2回目以後1.6mmのビーズを用
いた場合のデータを示す。
試験は、五十嵐製サンドミル(80)を用い炭酸カル
シウムスラリー濃度75%、主軸周速12m/秒でその他第3
表に示す条件で処理した。なお、サンドミル内滞留時間
は、次式で表わされる。
2回目以降も径3mmのビーズを用いた曲線Iにおい
て、2回パス後の点Aにおいて、平均粒径1.15μ,350M/
S ON残渣0.004%のピーライト500級炭酸カルシウムが得
られ、3回パス後の点Bにおいて平均粒径0.9μの炭酸
カルシウムが得られたがそれ以上のグレードの炭酸カル
シウムは得ることができなかつた。
2回目以降径1.6mmのビーズを用いた場合、点Cの2
回目パス後において平均粒径0.71μで350M/S ON残渣0.0
05%のソフトン2200級の炭酸カルシウムが得られ、点D
(3回パス後)において平均粒径0.51μのカービタル90
級の炭酸カルシウムが得られた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明においてサンドミル処理される処理前
及び処理後の重質炭酸カルシウムの比表面積を示すグラ
フ、第2図は径3mmのビーズを用いて処理した後2回目
以降径3mmのビーズまたは径1.6mmのビーズを用いて処理
した場合のサンドミル滞留時間と炭酸カルシウムの平均
粒径との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 横山 潔紀 鳥取県米子市車尾1500 王子製紙株式会 社米子工場内 (56)参考文献 特公 昭55−11799(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比表面積が下記の式の条件を同時に満足す
    るように、重質炭酸カルシウムを固形分濃度30〜85重量
    %の分散液でサンドミル処理することを特徴とする塗工
    紙塗料用炭酸カルシウムの処理方法。 0.05≦A≦0.7 ・・・(1) B≦−44.48A3+66.77A2−33.42A+7.04 ・・・(2) 1.0≦B≦4.5 ・・・(3) 但し、Aはサンドミル処理前の重質炭酸カルシウムの比
    表面積 m2/g Bはサンドミル処理後の重質炭酸カルシウムの比表面積
    m2/g
  2. 【請求項2】比表面積が下記の式の条件を同時に満足す
    るように、重質炭酸カルシウムを固形分濃度30〜85重量
    %の分散液で複数段階サンドミル処理するに際し、第2
    段階処理以後、第1段階処理より細かいビーズ粒子を用
    いることを特徴とする塗工紙塗料用炭酸カルシウムの処
    理方法。 0.05≦A≦0.7 ・・・(1) B≦−44.48A3+66.77A2−33.42A+7.04 ・・・(2) 1.0≦B≦4.5 ・・・(3) 但し、Aはサンドミル処理前の重質炭酸カルシウムの比
    表面積 m2/g Bはサンドミル処理後の重質炭酸カルシウムの比表面積
    m2/g
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FR2910479B1 (fr) * 2006-12-20 2012-09-07 Coatex Sas Procede de fabrication d'une dispersion ou d'une suspension aqueuse contenant du carbonate de calcium et du kaolin et son utilisation dans la fabrication de sauces de couchage.

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