JP2558978Y2 - クローラ走行装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、可動転輪を備えた揺動
アームの基部に支点軸を設けると共に、この支点軸をト
ラックフレームに上下揺動自在に挿通支持させてあるク
ローラ走行装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】冒記のクローラ走行装置おいては、図５
に示すように、トラックフレーム２の上面にブラケット
１３を溶接固定し、このブラケット１３に圧入止着した
金属製の軸受ブッシュ１６に支点軸９を挿通支持させて
いた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】しかし、上記従来構造
おいては、ブラケット１３に軸受ブッシュ１６を圧入し
たのちに、ブラケット１３をトラックフレーム２に溶接
する組付手順をとるために、溶接時の熱歪よって軸受ブ
ッシュ１６の真円度が損なわれ易く、このために支点軸
９の回動抵抗が増大したり、早期摩耗や局部摩耗が発生
しやすいものであった。又、圧入した軸受ブッシュ１６
の交換には手数がかかりメンテナンス費用が高くつく問
題もあった。

【０００４】尚、トラックフレーム２にブラケット１３
を溶接したのちに軸受ブッシュを圧入しようとすると、
溶接の熱歪のためにブラケット１３に形成したブッシュ
挿入孔が変形して軸受ブッシュ１６の圧入が不能になる
ことが多く、上記組付手順によらざるを得なかった。

【０００５】本考案は、このような実情に着目してなさ
れたものであって、組付けが比較的容易であると共に、
部品の交換も簡単安価に行うことができる揺動支点構造
を備えたクローラ走行装置を提供するものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本考案の特徴構成は、可
動転輪を備えた揺動アームの基部に支点軸を設けると共
に、この支点軸をトラックフレームに取付けたブラケッ
トに上下揺動自在に挿通支持させてあるクローラ走行装
置において、前記ブラケットを板状に構成し、このブラ
ケットに挿入止着した樹脂製の軸受ブッシュに揺動自在
に前記支点軸を挿通すると共に、この軸受ブッシュの外
径及びブラケットに設けたブッシュ挿入孔を、互いに嵌
合する異径に形成し、前記軸受ブッシュのうち支点軸を
支持する軸受け部分の軸芯方向長さを前記ブラケットの
厚さよりも大に設定してある点にある。

【０００７】

【作用】上記構成によると、軸受ブッシュはブラケット
のブッシュ挿入孔に異径嵌合によって回り止め状に挿入
されるので、強力な圧入を要することなく軸受ブッシュ
をブラケットに止着することができ、しかも、軸受ブッ
シュ自体が樹脂材からなるので、多少の加工誤差や組付
誤差はブッシュ自体の弾性変形によって吸収でき、トラ
ックフレームに溶接固定したブラケットに容易にブッシ
ュを挿抜することができる。しかも、消耗部品としての
軸受ブッシュの外径は異径であるが樹脂成型によって安
価に製作できる。その上、ブラケットを板状としてある
から、ブッシュ挿入孔を異径としながらも、打ち抜き加
工などにより容易に形成することができる。更に、軸受
ブッシュの軸受け部分の軸芯方向長さを前記ブラケット
の厚さよりも大に設定してあるから、ブラケットを板状
としながらも、支点軸の姿勢を安定させてその支点軸を
ブラケットに支持させることができる。

【０００８】

【考案の効果】従って本考案によれば、組付けや部品交
換等のメンテナンスが容易となって取扱性が向上すると
共に、交換部品を安価なものとしてメンテナンス費用を
低減することが可能となり、しかも、異径のブラケット
挿入孔を容易に形成できる板状にブラケットを構成しな
がらも、所期の支点軸の支持を安定良く確実に行えるよ
うになった。

【０００９】

【実施例】図３に、コンバインに装備されるクローラ走
行装置が示されている。図において、符号１はコンバイ
ンの機体フレーム、２はこれの下側に前後一対の連結フ
レーム３を介して連結されたトラックフレーム、４はト
ラックフレーム前端に配備された駆動スプロケット、５
はトラックフレーム後端に装着したテンション輪、６は
トラックフレーム２に軸支された複数個の転輪、７はこ
れら転輪６の前後中間に位置して設けられた可動転輪、
８は各輪体にわたって巻回張設されたゴム製のクローラ
ベルト、１８は前後の連結フレーム３に取付けたゴム製
のスクレーパであり、クローラベルト８の内面に付設し
た泥土をベルト戻り経路において掻き落とす。

【００１０】前記可動転輪７は、トラックフレーム２に
対して支点軸９を中心として上下動揺動自在に取付けら
れた揺動アーム１０の遊端に遊転自在に軸支され、揺動
アーム１０が支点軸９にカラー１７を介して外嵌したつ
る巻バネ１１によって下方付勢されることで可動転輪７
がクローラベルト８の内周面に接触追従するようになっ
ている。

【００１１】図１に示すように、揺動アーム１０の上端
基部には支点軸９が片持ち状に固設されており、この支
点軸９がトラックフレーム２の上面に溶接固設した板状
のブラケット１３に一対の軸受ブッシュ１４を介して回
動自在に貫通支承されている。この軸受ブッシュ１４は
ナイロン等の耐摩耗性の高い樹脂からなるつば付ブッシ
ュが使用され、ブラケット１３の両端に回動不能に一定
姿勢で挿入固定されている。つまり、図２に示すよう
に、軸受ブッシュ１４の外周面は、対角位置に突部を有
する異径に形成されると共に、ブラケット１３のブッシ
ュ挿入孔１５はブッシュ外形に合致する異径孔に形成さ
れ、多少ゆるい嵌合でも軸受ブッシュ１４が周り止めさ
れるようになっている。かつ、軸受ブッシュ１４のうち
支点軸９を支持する軸受け部分の軸芯方向長さは前記ブ
ラケット１３の厚さよりも大に設定されて、支点軸９を
安定支持するように構成されている。

【００１２】尚、実用新案登録請求の範囲の項に図面と
の対照を便利にするために符号を記すが、該記入により
本考案は添付図面の構成に限定されるものではない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係るクローラ走行装置の可動転輪支持
部の縦断後面図

【図２】図１におけるＡ−Ａ線断面図

【図３】クローラ走行装置の全体側面図

【図４】クローラ走行装置の縦断後面図

【図５】従来の可動転輪支持部の縦断後面図

【符号の説明】

２ トラックフレーム ９ 支点軸 １０ 揺動アーム １３ ブラケット １４ 軸受ブッシュ １５ ブッシュ挿入孔

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 可動転輪（７）を備えた揺動アーム（１
   ０）の基部に支点軸（９）を設けると共に、この支点軸
   （９）をトラックフレーム（２）に取付けたブラケット
   （１３）に上下揺動自在に挿通支持させてあるクローラ
   走行装置において、前記ブラケット（１３）を板状に構
   成し、このブラケット（１３）に挿入止着した樹脂製の
   軸受ブッシュ（１４）に揺動自在に前記支点軸（９）を
   挿通すると共に、この軸受ブッシュ（１４）の外径及び
   ブラケット（１３）に設けたブッシュ挿入孔（１５）
   を、互いに嵌合する異径に形成し、前記軸受ブッシュ
   （１４）のうち支点軸（９）を支持する軸受け部分の軸
   芯方向長さを前記ブラケット（１３）の厚さよりも大に
   設定してあるクローラ走行装置。