JP2557969Y2 - ガスライター用燃焼ノズル - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ガスライターの燃焼ノ
ズル、特に内部自動消火装置を設けたノズルの構造に関
する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、種々の構造のガスライターが
提案されており、その中の１つとして、万が一の災害予
防のために、ガスライター内部にコイル状の形状記憶合
金等を配置し、必要以上の時間継続燃焼が発生すると自
動的にガス流路を閉塞して消火する自動消火装置が組み
込まれたガスライターが提案されている（例えば実願平
２−９８５１９号参照）。

【０００３】図８は、従来提案された、自動消火装置が
組み込まれたガスライターの燃焼ノズル近辺の部分断面
図である。この図は、ヤスリ発火点火方式のライターの
図であるが、自動消火装置に関してはピエゾ点火方式の
場合も同様である。燃料タンク１内には燃料ガスが蓄え
られており、この燃料ガスは、使用時には流量調整部材
２によりその流量が規制されつつガス流出孔３より流出
するが、不使用時には図示しないスプリングにより付勢
されたノズル弁捍５の底部に固定された第１の弁４がガ
ス流出孔３を閉塞している。

【０００４】発火石１１は、石押しスプリング１２によ
りヤスリ１０に常時押圧されており、このライターの使
用者がヤスリ１０を回転させるとこの発火石が発熱しつ
つ削られ、火花となって燃えながらノズル孔５ａの上方
に飛散する。使用者は、ヤスリ１０を回転させるととも
にガスバルブ開放レバー９の、図８の右側の図示しない
一端を押し下げ、これによりその他端９ａが持ち上がり
これによりこのガスバルブ開放レバー９と係合したノズ
ル弁捍５が持ち上げられる。このノズル弁捍５が持ち上
げられると、第１の弁４は底栓６を介してこのノズル弁
捍５に固定されているため、この第１の弁４も一緒に持
ち上げられ、ガス流出孔３が開放される。これにより、
燃料タンク１内の燃料ガスはガス流出孔３を通りノズル
弁捍５の側面に沿って流れ横孔５ｂよりノズル弁捍５の
内部に入りそのノズル弁捍５の燃料ガス内部通路５ｃを
通ってノズル孔５ａから噴出する。このとき、上述した
火花により点火され炎を作る。Ｏリング７はキャップ８
によりタンク壁とノズル弁捍５との間に位置し、使用時
にノズル弁捍５の周囲より燃料ガスが外に漏出するのを
防いでいる。

【０００５】ノズル弁捍５の内部には形状記憶合金コイ
ル１４、第２の弁１３、及び戻しスプリング１５が備え
られ、これにより自動消火装置が構成されている。形状
記憶合金コイル１４の下部１４ａは、ノズル弁捍５内に
その下方から嵌入された底栓６に圧入されており、形状
記憶合金コイル１４上端１４ｂには第２の弁１３が圧
入、固定されている。また戻しスプリング１５は第２の
弁１３を下方に押し戻す位置に配置されている。ここ
で、上述したようにしてノズル孔５ａから噴出した燃料
ガスが点火されるとノズル弁捍５の温度が上昇し、異常
な継続燃焼が発生して所定の温度を越えると形状記憶合
金コイル１４が伸びて第２の弁１３を上方に押し上げ、
この第２の弁１３により燃料ガス内部通路５ｃの途中の
閉塞部５ｄが塞がれる。これによりノズル孔５ａからの
燃料ガスの噴出が遮断され、消火される。形状記憶合金
コイル１４が伸びる際は、第２の弁１３を押し上げると
もに戻しスプリング１５を押し縮めるため、形状記憶合
金コイル１４が冷えるとこの形状記憶合金コイル１４が
このスプリング１５の押圧力により元の形状に復元し、
これにより再使用可能な状態となる。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】上記のように、従来の
自動消火装置は、形状記憶合金コイル１４、第２の弁１
３、及び戻しスプリング１５の３部品で構成されるが、
ノズル弁捍５の燃料ガス内部通路５ｃは例えば直径１．
５〜２．０ｍｍ程度と非常に細くせねばならず従ってそ
の中に組み込む上記各部品は非常に小さなものである。
従って形状記憶合金コイル１４が第２の弁１３を押し上
げる力も１００グラム以下の僅かなものであり、したが
って戻しスプリング１５は、この僅かな力のうち閉塞部
５ｄを塞ぐに十分な力の余力だけで押し縮められる非常
に小さな弱いスプリングである。このため、戻しスプリ
ング１５に組立ての際僅かでも異常な力が作用するとつ
ぶれてしまう等の塑性変形を起こしてしまいこの戻しス
プリング１５の取扱いが難しいという問題がある。また
取扱いの難易の問題とは別に、部品点数をできるだけ削
減した方がコスト上あるいは信頼性の点から有利であ
る。

【０００７】ここで、戻しスプリングを省く方法の一つ
として、これ迄の文献においては、形状記憶合金コイル
１４をトレーニングしてこの形状記憶合金コイル１４に
二方向性を付与することが提案されている。しかし、こ
の場合、形状記憶合金コイル１４に二方向性を付与する
ためのトレーニングが必要となり、これがコスト上昇の
要因となってしまうこととなる。また、形状記憶合金コ
イル１４が所定の温度を越えた際の変形においては、前
述したように、例えば数十グラム程度の力が発生する
が、形状記憶合金コイル１４に二方向性を付与したとし
ても、形状記憶合金コイル１４が冷えて元の形状に復元
する際にはさらに小さな力しか発生せず、したがって極
く僅かな摩擦、引っ掛かり等により元の形状に復元せず
機能不良が生じるおそれもある。

【０００８】本考案は、上記事情に鑑み、上記した従来
の提案と比べ戻しスプリングを廃止して部品点数を削減
するとともに、形状記憶合金コイル等の形状記憶部材に
特に二方向性を付与してなくても十分に復元する自動消
火装置を備えたガスライターの燃焼ノズルを提供するこ
とを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本考
案のガスライター用燃焼ノズルは、先端部にノズル孔を
有し内部に該ノズル孔と連通する燃料ガス内部通路が形
成されたノズル弁捍と、該ノズル弁捍の底部に保持され
て、燃料ガスを貯えたタンクから該燃料ガスが導出され
るガス導出孔を閉塞する第１の弁と、ノズル弁捍内に移
動自在に備えられ燃料ガス内部通路の途中の閉塞部を閉
塞する第２の弁と、一端が燃料ガス内部通路内の所定位
置に固着されるとともに他端が第２の弁に固着され、所
定の温度以下の温度において第２の弁を閉塞部から離れ
た位置に保持するとともに、所定の温度を越えると変形
し該第２の弁を該閉塞部に移動させて該第２の弁により
燃料ガス内部通路を閉塞させる形状記憶部材とを備えた
ガスライター用燃焼ノズルにおいて、上記第２の弁が、
上記閉塞部を閉塞した際に弾性変形して形状記憶部材を
押し戻す方向に付勢する押戻部を備えたことを特徴とす
るものである。

【００１０】

【作用】弁は通常ゴム等の弾性体を材料として用いてい
る。本考案はこれを利用したものである。即ち上記第２
の弁に、上記戻しスプリングに代わる押戻部を形成し、
この第２の弁が上記閉塞部を閉塞した際にこの押戻部が
弾性変形して、形状記憶部材を押し戻す方向に付勢する
構成としたものであり、これにより、第２の弁自体が閉
塞部を開閉する機能とともに上記戻しスプリングの機能
を兼ね備えることとなり、戻しスプリングは不要であっ
て、しかも形状記憶部材に二方向性を付与するためのト
レーニングも不要となる。これにより部品点数が少な
く、コスト上有利となりかつ信頼性が向上することとな
る。

【００１１】

【実施例】以下、本考案の実施例について説明する。図
１は本考案の第１の実施例におけるノズル弁捍及びその
内部を示す断面図、図２は第１の実施例の分解斜視図、
図３は第１の実施例における第２の弁の拡大斜視図であ
る。図１（Ａ）は消火前の状態、図１（Ｂ）は消火時の
状態を示している。

【００１２】尚、以下に示す各実施例においては、簡単
のため、従来例（図８参照）と同一の機能を有する部品
には、多少の形状の相違があっても図８に付した番号と
同一の番号を付して示し、重複説明は避け、従来例との
相違点についてのみ説明する。図１に示す実施例におい
ては、ノズル弁捍５は自動消火装置が組み込まれる主筒
部５１と、先端に集熱フィン５２ａを有する噴出孔部５
２の２部品からなり、圧入組み付けされて構成されてい
る。燃料ガスが噴出して燃焼するとその熱が集熱フィン
５２ａにより集熱され主筒部５１、形状記憶金属コイル
１４に伝熱されるため、集熱フィン５２ａを備えること
により伝熱効率が向上する。

【００１３】この第１実施例における第１の弁４０は、
前述した従来例における第１の弁４と底栓６との双方の
作用、及び横孔５ｂの作用をなすものであり、図２に示
すように燃料ガスをノズル弁捍５内に導く燃料ガス通路
４が設けられ、またその上部に形状記憶合金コイル１４
の下部が圧入されるよう構成されている。またこの第１
実施例における第２の弁３０は、図３に示すように形状
記憶合金コイル１４に圧入される圧入部３１と、形状記
憶合金コイル１４の上端部を支える支持部３２と閉塞部
５ｄ（図１参照）を塞ぐ弁部３３を備えるとともに、そ
の弁部３３を取巻くように形成された、本考案にいう押
戻部の一例である鍔部３４が備えられている。この鍔部
３４は図３に示すように３つに分割されており、それら
３つの鍔部３４の間には燃料ガス通路用スリット３５が
形成されている。

【００１４】形状記憶合金コイル１４が伸びることによ
り、図１（Ａ）に示す消火前の状態から図１（Ｂ）に示
す消火時の状態に移行すると、図１（Ｂ）に示すよう
に、鍔部３４の先端３４ａがノズル弁捍５の内壁に当接
して鍔部３４が弾性変形する。このため、この第２の弁
３０には、形状記憶合金コイル１４を図の下方に押し下
げる力が作用する。したがって形状記憶合金コイル１４
が冷えるとこの鍔部３４により形状記憶合金コイル１４
が押し下げられ、図１（Ａ）に示す状態に復元する。こ
のように、この第１実施例では第２の弁３０に鍔部３４
を設けたため、前述した従来例（図８参照）における戻
しスプリング１５は不要となる。

【００１５】図４は、本考案の第２の実施例におけるノ
ズル弁捍及びその内部を示す、消火前の状態（Ａ）及び
消火時の状態（Ｂ）の断面図、図５は、第２実施例にお
ける第２の弁の拡大斜視図である。この第２実施例にお
けるノズル弁捍５の先端部は、効率的に集熱が行われる
ように４つ割りにスリットが形成されている。またこの
第２実施例における第２の弁６０は、図５に示すよう
に、上述した第１の実施例における第２の弁３０（図３
参照）と同様に、形状記憶合金コイル１４に圧入される
圧入部６１と、形状記憶合金コイル１４の上端を支える
支持部６２と、閉塞部５ｄ（図４参照）を塞ぐ弁部６３
とを備えているが、支持部６２には交互に厚肉部６２ａ
と薄肉部６２ｂが形成され、薄肉部６２にポール６４が
立設されている。この第２実施例では薄肉部６２ｂとポ
ール６４とにより、本考案にいう押戻部が構成されてい
る。即ち形状記憶合金コイル１４が伸び、図４（Ａ）に
示す消火前の状態から図４（Ｂ）に示す消火時の状態に
移行すると、図４（Ｂ）に示すようにポール６４の先端
６４ａがノズル弁捍５の内壁に当接して薄肉部６２ｂが
弾性変形する。このため、この第２の弁６０には形状記
憶合金コイル１４を図の下方に押し下げる力が作用し、
形状記憶合金コイル１４が冷えるとこの形状記憶合金コ
イル１４が下方に押され、図４（Ａ）に示す状態に復元
する。このように、この第２実施例では第２の弁６０に
薄肉部６２ｂとポール６４を設けたため、上述した第１
の実施例の場合と同様に、従来例（図８参照）における
戻しスプリングは不要となる。図６は、本考案の第３の
実施例におけるノズル弁捍及びその内部を示す断面図で
ある。消火前の状態（Ａ）と消火時の状態（Ｂ）を並べ
て示す。また図７は、第３実施例における第２の弁を示
した拡大斜視図である。

【００１６】この第３実施例における第１の弁７０は、
従来例（図８参照）の第１の弁４と同様に、ノズル弁捍
５と一体的に固定された底栓８０の底部に固定されてい
るが、形状記憶合金コイル１４は、従来例の場合とは逆
に、その上端部がノズル弁捍５に圧入され下端部に第２
の弁９０が圧入されている。この第２の弁９０は、図７
に示すように、形状記憶合金コイル１４に圧入される圧
入部９１と、形状記憶合金コイル１４の下端を支える支
持部９２と、底栓８０の上端の開口８１（本実施例では
この開口が本考案にいう閉塞部に相当する。）を塞ぐ弁
部９３を備えているが、支持部９２は、この第２の弁９
０の円周方向全周には形成されておらず、３つに分断さ
れており、分断された第２の弁９０の間にはそれぞれ略
Ｌ字型のアーム９４が形成されている。

【００１７】一方底栓８０の開口８１は、図６（Ｂ）に
示す消火時において第２の弁９０の弁部９３が開口８１
を確実に閉塞するように弁部９３と対応する形状をなし
ているとともに、その上端外周には、消火時（図６
（Ｂ））の状態に移行する途中において第２の弁９０の
アーム９４の先端９４ａが当接する当接部８２が形成さ
れている。

【００１８】このため、形状記憶合金コイル１４が伸
び、図６（Ａ）に示す消火前の状態から図６（Ｂ）に示
す消火時の状態に移行すると、アーム９４が弾性的に撓
み、このため第２の弁９０を持ち上げる力、即ち形状記
憶合金コイル１４を上方へ押し上げる力が作用する。こ
のため、形状記憶合金コイル１４が冷えるとこの形状記
憶合金コイル１４が上方に押され、図６（Ａ）に示す状
態に復元する。

【００１９】この第３実施例では、このアーム９４が従
来例（図８）における戻しスプリングの作用をなし、し
たがって上述した第１実施例、第２実施例の場合と同様
に戻しスプリングは不要となる。またこの第３実施例で
は、第１実施例，第２実施例の場合とは逆に、形状記憶
合金コイル１４の上端部をノズル弁捍５に固定し、下端
部に第２の弁９０を備えたが、このように第２の弁と形
状記憶合金コイルとの配置の上下関係は、どちらが上、
下であってもよい。また第２の弁の形状、特に本考案に
いう押戻部は、例えばここで例示したように種々の形状
とすることができ、また上記各実施例に限定されるもの
でもなく戻しスプリングに相当する作用を行わしめるよ
うに工夫されることをもって本考案に包含されるもので
ある。

【００２０】また本考案は、種々の形状のノズル弁捍、
底栓、第１の弁等について適用することができるもので
あることも言うまでもない。さらに、上記各実施例で
は、本考案にいう形状記憶部材の一例としてコイル状に
巻回された形状記憶合金コイルを例示したが、本考案に
いう形状記憶部材は、合金である必要はなく、またコイ
ル状に巻回されたものである必要もなく、所定の温度を
越えたときに第２の弁を閉塞部に移動させてこの閉塞部
を閉塞させるように変形するものであればよい。

【００２１】また、本考案は、戻しスプリングに代え、
第２の弁の押戻部により形状記憶部材を押し戻すように
構成したものであるため、形状記憶部材に二方向性を付
与するためのトレーニングは不要とすることができる
が、本考案は形状記憶部材に二方向性を付与することを
排除するものではないことはもちろんであり、第２の弁
に押戻部を備えることと合わせて形状記憶部材に二方向
性を付与し、もって一層なめらかにもしくは一層確実に
形状記憶部材を復元させるようにしてもよい。

【００２２】

【考案の効果】以上説明したように、本考案のガスライ
ター用燃焼ノズルは、ノズル弁捍内に備えられた、形状
記憶部材の作用により閉塞部を閉塞する第２の弁に、閉
塞部を閉塞した際に弾性変形して形状記憶部材を押し戻
す方向に付勢する押戻部を備えたため、戻しスプリング
は不要であって部品点数が削減され、かつ形状記憶部材
に二方向性を付与しなくても復元する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の第１実施例におけるノズル弁捍及びそ
の内部を示す断面図である。

【図２】第１の実施例の分解斜視図である。

【図３】第１の実施例における第２の弁の拡大斜視図で
ある。

【図４】本考案の第２実施例におけるノズル弁捍及びそ
の内部を示す、消火前の状態（Ａ）及び消火時の状態
（Ｂ）の断面図である。

【図５】第２実施例における第２の弁の拡大斜視図であ
る。

【図６】本考案の第３実施例におけるノズル弁捍及びそ
の内部を示す断面図である。

【図７】第３実施例における第２の弁を示した拡大斜視
図である。

【図８】従来提案された、自動消火装置が組み込まれた
ガスライターの燃焼ノズル近辺の部分断面図である。

【符号の説明】

４，４０，７０ 第１の弁 ５ ノズル弁捍 ５ｄ 閉塞部 ６，８０ 底栓 １４ 形状記憶合金コイル １５ 戻しスプリング ３０，６０，９０ 第２の弁 ３１，６１，９１ 圧入部 ３２，６２，９２ 支持部 ３３，６３，９３ 弁部 ３４ 鍔部 ６２ａ 厚肉部 ６２ｂ 薄肉部 ６４ ポール ９４ アーム

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 先端部にノズル孔を有し内部に該ノズル
   孔と連通する燃料ガス内部通路が形成されたノズル弁捍
   と、 該ノズル弁捍の底部に保持されて、燃料ガスを貯えたタ
   ンクから該燃料ガスが導出されるガス導出孔を閉塞する
   第１の弁と、 前記ノズル弁捍内に移動自在に備えられ前記燃料ガス内
   部通路の途中の閉塞部を閉塞する第２の弁と、 一端が前記燃料ガス内部通路内の所定位置に固着される
   とともに他端が前記第２の弁に固着され、所定の温度以
   下の温度において前記第２の弁を前記閉塞部から離れた
   位置に保持するとともに、所定の温度を越えると変形し
   該第２の弁を該閉塞部に移動させて該第２の弁により前
   記燃料ガス内部通路を閉塞させる形状記憶部材とを備え
   たガスライター用燃焼ノズルにおいて、 前記第２の弁が、前記閉塞部を閉塞した際に弾性変形し
   て前記形状記憶部材を押し戻す方向に付勢する押戻部を
   備えたことを特徴とするガスライター用燃焼ノズル。