JP2556876B2 - 燃料要素及び燃料集合体 - Google Patents

燃料要素及び燃料集合体

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JP2556876B2 JP63056036A JP5603688A JP2556876B2 JP 2556876 B2 JP2556876 B2 JP 2556876B2 JP 63056036 A JP63056036 A JP 63056036A JP 5603688 A JP5603688 A JP 5603688A JP 2556876 B2 JP2556876 B2 JP 2556876B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は燃料要素及び燃料集合体に係り、特に燃料ペ
レツトの種類を増大させないで径方向,軸方向の出力分
布を平坦化できるようにバーナブルポイズンの配置,濃
度を調整するのに好適な燃料要素及び燃料集合体に関す
るものである。
〔従来の技術〕
従来の原子炉の燃料集合体において、燃料の燃焼にと
もない消滅するガドリニア等のバーナブルポイズンを用
いて燃焼初期の出力増大を抑制したり、燃焼初期の必要
制御棒本数を低減させることは、一般的に行われてい
る。燃料集合体中の複数本の燃料棒にパーナブルポイズ
ンを入れる従来の一般的な方法は、2酸化ウランとガド
リニアを混合させ、さらに焼結して円柱型の燃料ペレツ
トを作成し、それを燃焼集合体中の特定の数本に装荷す
るという方法であつた。この方法では、初期の反応度の
低減は可能であるが、バーナブルポイズン入りの燃料要
素の出力が大きく低下し、その分バーナブルポイズンが
入つていない燃料要素の出力が上昇するという燃料集合
体内局所出力の上昇の問題があつた。この局所出力の上
昇を抑制しつつバーナブルポイズンを用いて燃焼初期の
余剰反応度を抑制する方法の1つが特公昭61−51275号
公報で論じられている。この例では、燃料集合体の径方
向断面において外周部の燃料ペレツトにバーナブルポイ
ズンを用いるものとし、さらにその円柱状の燃料ペレツ
トの径方向外側領域にバーナブルポイズンを混入するよ
うにしている。この場合、燃料集合体内の局所出力の歪
みを抑えつつ初期反応度を抑制できるというメリツトが
あつた。しかし、燃料ペレツトを内側領域と外側領域に
区分し、外側領域にのみバーナブルポイズンを混入する
という製造上の複雑さがともなつていた。また、上記例
では、軸方向の出力分布平坦化が考慮されていなかつ
た。仮に軸方向にバーナブルポイズン濃度差をつけると
すると、さらに燃料ペレツトの製造種類を増やすことに
なり、複雑となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術は、燃料集合体出力の平坦化,軸方向出
力の平坦化,燃料集合体局所出力の平坦化が望ましいの
に対し、複雑な構成により燃料集合体出力及び局所出力
の平坦化を実施しているが、軸方向出力に関してはその
平坦化がさらに複雑となるという問題があつた。
本発明の目的は、従来技術より容易な方法で燃料集合
体出力,軸方向出力,局所出力のすべてについて平坦化
できる燃料要素及び燃料集合体を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
すなわち本発明は、核燃料物質のみを含んだ燃料ペレ
ットが積層されて内蔵されている原子炉用燃料要素にお
いて、前記積層された燃料ペレットの間に、核燃料が入
っていない可燃性毒性を含む物質を円板状にして配置す
るとともに、この円板状物質の肉厚を、前記燃料積層部
中央部のものよりも上下部のものの方が、薄肉となるよ
うに形成し所期の目的を達成するようにしたものであ
る。
〔作用〕
燃料ペレツトの間に燃料を含まないバーナブルポイズ
ン含有物質を円板状に形成して配置するようにしたの
で、燃料要素中のバーナブルポイズンとしての中性子吸
収体物質の利用範囲を広げられ、バーナブルポイズンに
比較的任意の中性子吸収効果及び燃焼特性を持たせるこ
とができる。例えば、従来のバーナブルポイズンとして
ガドリニアを用いていたのに対し、ボロン10を用いるこ
とが可能である。この結果、燃料集合体の最も出力の高
い燃料要素にバーナブルポイズンを含有させることが可
能となり、燃料集合体内局所出力の平坦化が実現でき
る。
また、燃料ペレツトの間にバーナブルポイズンを配置
した結果、軸方向燃料ペレツトを1種類としたままバー
ナブルポイズン円板の厚みあるいはバーナブルポイズン
濃度を変更することにより軸方向出力分布を容易に平坦
化でき、かつ、複数の段階構成にしても平坦化できるこ
とになる。また、バーナブルポイズン円板は薄くするこ
とができるため、燃料物質が低下するという問題は、従
来のガドリニア入り燃料要素に比べて大きな問題とはな
らない。
〔実施例〕
以下本発明を第1図〜第7図に示した実施例を用いて
詳細に説明する。
第1図は本発明の燃料要素の一実施例を示す部分縦断
面図である。第1図においては、円柱状の核燃料物質の
みからなる燃料ペレツト1が被覆管2の内部に密封され
ており、また、燃料要素の上部,下部にはそれぞれ上部
端栓3,下部端栓4が溶接されている。燃料ペレツト1の
間には、燃料を含まないバーナブルポイズン含有円板5
が配置してあり、燃料ペレツト1は酸化ウランあるいは
酸化プルトニウムと酸化ウラン混合物の焼結ペレツトで
あり、バーナブルポイズン含有円板5は炭化ボロンであ
り、ボロン10をバーナブルポイズンとして用いている。
第2図は第1図のバーナブルポイズン含有円板5付近
の拡大図で、第2図(a)は水平断面図、(b)は縦断
面図である。第2図(b)に示すように、バーナブルポ
イズン含有円板5は、燃料ペレツト1の直径よりもやや
大きくしてあり、かつ、径方向中央部はやや薄肉にして
ある。直径を大きくしている理由は、熱膨張係数が酸化
ウランの10×10-6-1であるのに対し、炭化ボロンが約
3×10-6-1で約1/3程度であり、原子炉運転中の高温
下でも熱膨張が小さいためである。また、径方向中央部
で薄肉化してある理由は、運転条件下で燃料ペレツト1
が熱膨張し、つづみ形にふくらむことを考慮し、あらか
じめ燃料ペレツト1の膨張領域を確保し、出力運転中の
燃料ペレツト1と被覆管2の相互作用による破損を防止
するためである。
以下、本発明の燃料要素の実施例の効果について説明
する。
(1)バーナブルポイズン量調整が容易である。
従来の燃料ペレツト中にガドリニアを入れてバーナブ
ルポイズン燃料要素を形成する場合、目標の反応度抑制
効果を得るためには、ガトリニア濃度を濃くする等の調
整が必要であり、ガドリニア濃度別に燃料ペレツトを製
造するという複雑さがともなつていた。また、過度にガ
ドリニアを燃料ペレツト中に混入すると、熱伝導率が低
下するという問題があつた。しかし、本実施例の燃料要
素によれば、バーナブルポイズン量の調整は、バーナブ
ルポイズン含有円板5内のポイズン濃度を変更するか、
その板厚あるいは枚数を変更するだけで可能であり、し
かも、核燃料が入つていないのでそれが容易にできる。
(2)燃料ペレツト中心温度を低減できる。
熱伝導度は、500℃で酸化ウランが約0.04(W/℃・c
m)であるのに対し炭化ボロンは約0.13(W/℃・cm)で
3倍以上もあり、バーナブルポイズン含有円板5は、燃
料ペレツト1の径方向の熱伝導板の役割りをはたし、燃
料ペレツト1の中心温度を低下させる。この結果、燃料
要素の健全性を増大できる。
(3)燃料ペレツトの熱膨張を吸収できる。
上記したように、炭化ボロンの熱膨張係数は燃料ペレ
ツト1の1/3程度で、温度が上昇しても熱膨張が小さ
い。また、バーナブルポイズン含有円板5の径方向中央
部を薄肉化してあるので、燃料ペレツト1の熱膨張を吸
収でき、出力上昇時の燃料健全性を向上できる。また、
燃料ペレツトでは、熱膨張時を考慮し、デイツシユ,チ
ヤンフアといつた円柱ペレツト端面部の削り加工を実施
していたが、本発明の燃料要素の実施例では、その必要
性がなくなり、バーナブルポイズン含有円板5の方を径
方向外側及び中央部を削るか成形加工時に中央部が薄く
なるように成形すればよく、しかも、核燃料物質でない
ため加工が容易である。
(4)減速材としての効果がある。
従来の燃料要素中のガドリウムは中性子を吸収し、バ
ーナブルポイズンの役割りを終えた後には、その質量が
大きいため減速材としては役に立たなかつたが、炭化ボ
ロンを形成する炭素とボロン11は質量が小さく、減速効
果が大きい。また、中性子を吸収したボロン10はリチウ
ムに変換され、これも減速効果が大きい。したがつて、
炭化ボロンはバーナブルポイズンの役割りを終了した後
でも減速材としての役割りを果たし、燃料要素の有効利
用をはかることができる。
次に、本発明の燃料集合体について説明する。第3図
は第1図,第2図の燃料要素を有する沸騰型軽水炉の燃
料集合体の一実施例を示す水平断面図である。燃料要素
は8×8タイプの64本の燃料集合体であり、第1図,第
2図のバーナブルポイズン含有円板入り燃料要素6は、
制御棒7にとなり合つた最外周全体に配置するととも
に、制御棒7にとなり合わない最外周にも部分的に配置
してある。この結果、バーナブルポイズンを含まない燃
料要素8と合わせ、第3図の燃料集合体では、燃料集合
体内出力分布の平坦化を実現できる。従来のガドリニア
入りバーナブルポイズンは、ガドリニアの中性子吸収断
面積が大き過ぎるため、燃料集合体中数本程度の燃料要
素にしか含有させないため、中性子束の低い外側から第
2層目より内側に配置していた。しかし、第3図に示す
実施例では、バーナブルポイズンとしてガドリニアより
やや中性子吸収断面積が小さいボロン10を使つているた
め、最も出力の高い外周燃料要素位置に配置することが
でき、出力平坦化を達成できる。
第4図は第1図,第2図の燃料要素を用いた新型転換
炉用の燃料集合体の一実施例を示す水平断面図である。
第4図の燃料集合体では、最外層の燃料要素18本にバー
ナブルポイズン含有円板入り燃料要素6を配置してあ
る。第4図の場合も第3図の場合と同一理由により燃料
集合体中の出力分布平坦化を達成できる。
第5図は本発明の燃料要素の他の実施例を示す縦断面
図である。第5図に示す燃料要素では、バーナブルポイ
ズン含有円板5の厚みが軸方向中央部では厚く、軸方向
上下部では相対的に薄くしてある。これは、出力の高い
軸方向中央部のバーナブルポイズンを相対的に濃度を高
めることにより軸方向の出力分布の平坦化をはかるため
である。また、さらに軸方向上下部のバーナブルポイズ
ン含有円板5は、径方向中央部に穴をあけた構造として
ある。これは、軸方向中央部より中性子束レベルの低い
軸方向上下部において、バーナブルポイズン濃度を低
め、軸方向出力分布平坦化効果をより高めるためと、バ
ーナブルポイズンの燃焼残りを防止するためである。本
実施例によれば、第1図,第2図の燃料要素の効果に加
えて、軸方向出力分布平坦化を燃料ペレツト1が1種類
のままではかることができるという効果が得られる。ま
た、バーナブルポイズンの燃焼も中性子束レベルに応じ
て適切に濃度調整できるため、出力分布が均一化される
という効果もある。ここで、第5図に示す実施例では、
軸方向バーナブルポイズン濃度調整をバーナブルポイズ
ン含有円板5の厚みを変えることで行つている、バーナ
ブルポイズン含有円板5のボロン10濃度を調整すること
によつて行い、バーナブルポイズン含有円板5の厚みを
一定にすることも可能である。
なお、第5図の燃料要素は、軸方向の中性子束分布が
比較的上下対称の加圧水型軽水炉,新型転換炉,高速増
殖炉,高転換炉に使用するのに適しているが、沸騰型軽
水炉のように軸方向下部の中性子レベルが上部よりも高
い場合は、第5図の燃料要素の軸方向中央部から上部の
関係を用い、軸方向下部ではバーナブルポイズン含有円
板5の厚みを厚くし、軸方向上部では円板5の厚みを薄
くすることが考えられる。
さらに本発明の燃料要素の他の実施例を第6図に示
す。第6図に示す実施例の燃料要素では、燃料として酸
化物燃料ではなく、UO2のような金属燃料あるいはZr−
U,Zr−Puよりなる合金燃料を用い、バーナブルポイズン
含有物質としてホウ素含有金属円板9を用い、金属燃料
ペレツト10の間にホウ素含有金属円板9を配置してあ
る。また、燃料と被覆管2との間には液体ナトリウムを
配置して燃料と被覆管2との間の熱伝導を良好にすると
ともに、ホウ素を添加してない金属燃料ペレツト11の硬
化を防止するようにする。
〔発明の効果〕
以上説明した本発明によれば、積層したバーナブルポ
イズンを含まない燃料ペレツトの間に燃料を含まないバ
ーナブルポイズン含有物質よりなる円板を配置した構成
の燃料要素としたので、バーナブルポイズンの配置,濃
度を自由に調整でき、しかも、その加工が容易で、径方
向,軸方向の出力分布平坦化が可能であり、製造工程も
簡略化でき、かつ、熱伝導度が大きくなるので温度を下
げることができ、また、バーナブルポイズン物質の選定
が広範囲となり、中性子吸収効果も比較的任意に選定で
きる。また、このバーナブルポイズン含有円板を配置し
た燃料要素を含む燃料集合体は、燃料を含まないバーナ
ブルポイズン含有円板を含む燃料要素を制御棒にとなり
合う最外周全体に配置し、また、となり合わない最外周
にも部分的に配置することができるので、バーナブルポ
イズンを含まない燃料要素と合わせて燃料集合体の出力
分布の平坦化を実現できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の燃料要素の一実施例を示す部分縦断面
図、第2図は第1図のバーナブルポイズン含有円板付近
の拡大図、第3図は沸騰水型軽水炉用の第1図,第2図
の燃料要素を有する燃料集合体の一実施例を示す水平断
面図、第4図は新型転換炉用の第1図,第2図の燃料要
素を有する燃料集合体の一実施例を示す水平断面図、第
5図,第6図はそれぞれ本発明の燃料要素の他の実施例
を示す縦断面図である。 1……燃料ペレツト、2……被覆管、3……上部端栓、
4……下部端栓、5……燃料を含まないバーナブルポイ
ズン含有円板、6……バーナブルポイズン含有円板入り
燃料要素、7……制御棒、8……バーナブルポイズンを
含まない燃料要素、9……ホウ素含有金属円板、10……
金属燃料ペレツト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 十亀 求 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (72)発明者 金戸 邦和 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社日立製作所日立工場内 (56)参考文献 特開 昭60−78385(JP,A) 実開 昭59−77098(JP,U)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】核燃料物質のみを含んだ燃料ペレットが積
    層されて内蔵されている原子炉用燃料要素において、 前記積層された燃料ペレットの間に、核燃料が入ってい
    ない可燃性毒性を含む物質を円板状にして配置するとと
    もに、この円板状物質の肉厚を、前記燃料積層部中央部
    のものよりも上下部のものの方が、薄肉となるように形
    成したことを特徴とする燃料要素。
  2. 【請求項2】核燃料物質のみを含んだ燃料ペレットが積
    層されて内蔵されている原子炉用燃料要素において、 前記積層された燃料ペレットの間に、核燃料が入ってい
    ない可燃性毒性を含む物質を円板状にして配置するとと
    もに、この円板状の物質のうち、前記燃料積層部の上下
    部に配置されている円板状の物質を、中空状に形成する
    ようにしたことを特徴とする燃料要素。
  3. 【請求項3】前記円板状に形成された物質は、その中央
    部が外周部よりも薄くしてあり、かつ外径は前記燃料ペ
    レットの外径よりも大きく形成されている特許請求の範
    囲第1項または第2項記載の燃料要素。
  4. 【請求項4】前記円板状に形成された物質は、前記燃料
    ペレットを含めた可燃性毒物の平均濃度が燃料積層部中
    央部よりも上下部の方が小さくなるように形成されてい
    る特許請求の範囲第1項または第2項記載の燃料要素。
  5. 【請求項5】前記円板状に形成された物質は、前記燃料
    ペレットを含めた可燃性毒物の平均濃度が燃料積層部上
    部よりも下部の方が高くなるように形成されている特許
    請求の範囲第1項または第2項記載の燃料要素。
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